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巻頭言昭和大学歯学部歯科補綴学講座

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Academic year: 2021

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1 昭和学士会誌 第75巻 第1号〔1頁,2015

特  集 歯科医療のパラダイムシフト デジタル・デンティストリー

巻 頭 言

昭和大学歯学部歯科補綴学講座

  馬場 一美

 近年のデジタル制御工学・情報工学の加速度的な発 展は人々の生活に様々な福音をもたらした.歯科医療の 進歩においてもデジタル技術は中核的な役割を担い,デ ジタル技術を用いたイノベーション,すなわちデジタ ル・デンティストリーは,歯科医療技術の向上だけでな く歯科医療のワークフローを根本的に変えつつある.特 にインプラント歯科学分野は,デジタル・デンティスト リーとの親和性が高く,検査・診断から治療計画,手術 までがパッケージ化されたデジタルソリューションが比 較的早期から提供されてきた.その一方で,インプラン ト上部構造や補綴装置の製作においては,ワックスアッ プ,埋没,鋳造というロストワックス法による従来の ワークフローが主流であった.しかし,ここ 10 年のジル コニアを用いたメタルレス修復の普及,貴金属価格の高 騰などを契機として,今日では CAD/CAM を用いた補 綴装置が広く普及し,ロストワックス法による従来型の 歯科技工ワークフローに取って代わろうとしている(図 1).硬質レジンブロックを用いた CAD/CAM クラウン の保険導入はこの流れをさらに加速するであろう.もち ろん,これらの変化は歯冠修復用ジルコニア,硬質レジ ンなど,歯科材料の進化を基盤とするものであることは 言うまでもない.

 臨床ステップについても,デジタル技術を用いた印

象,いわゆる光学印象の普及はデジタルワークフローの 枠組みを臨床手技にまで拡大することになり,補綴歯科 治療,修復治療の全課程がデジタル化される可能性が 現実味を帯びてきた.さらには,これらの技術が統合さ れワークフロー全体の信頼性と臨床的有用性が実証され コストの問題が解決されれば,即日修復と呼ばれる来院 当日に間接法で歯冠修復装置を製作し装着する臨床 ワークフローの普及も加速するであろう.また,歯科矯 正学の分野においても治療のシミュレーションや治療の 流れのなかにデジタル技術の応用が進み,例えば,矯正 用ワイヤーを用いないアライナーと呼ばれるマウスピー スを用いた治療など,デジタル技術によって初めて実現 される治療方法が普及しつつある.

 こうしたデジタル化の流れにより,補綴装置・修復装 置の精度・再現性の向上,質の均一化,医療廃棄物の 削減,技工および臨床ステップの簡便化・可視化,デー タの共有・統合などが可能となるばかりでなく,歯科医 療ワークフローのパラダイムシフトが起こりつつあり,

そのインパクトは計り知れない.以上の背景から,本企 画では歯科医療におけるデジタル化について,歯科材料 学,歯科技工学,歯科補綴学,インプラント歯科学,美 容歯科学,歯科矯正学における現状と今後の展望を各 専門分野のエキスパートに解説していただく.

図 1 歯科技工におけるデジタル化:

コンピュータソフト上でデザインされたクラウン(左,中)と機械加工により実際に製作されたジルコニアクラウンのフレーム(右)

参照

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