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JALA の発展安全な無痛分娩のための基盤 海野信也 JALA 総会議長日本産科麻酔学会前会長北里大学医学部産科学主任教授

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Academic year: 2022

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(1)

「 JALA 」の発展

安全な無痛分娩のための基盤

JALA 海野信也 総会議長

日本産科麻酔学会前会長

北里大学医学部 産科学主任教授

(2)

• 日本の周産期医療システムの特徴:小規模分娩施設が多数

• クリニック 47% 、一般病院 29%

• 総合周産母子医療センター 8% 、地域周産母子医療センター 16%

• 2017 年に「無痛分娩に関連する重篤な医療事故」報道

→ 厚労省:「無痛分娩の適切な安全対策を検討するための研究会」設 置を決定

• 「無痛分娩の実態把握および安全体制の構築についての研究」

( 厚生労働特別研究事業 )内での分娩状況

• 無痛分娩は、病院よりもクリニックで行われるのが一般的

• クリニックには常勤麻酔科医がいることは稀で、帝王切開の麻酔も産科医

• が担当 産科医が主に無痛分娩を担当している

(3)

• 2018.3 月の「安全な無痛分娩を提供するシステム構築に向けた提言」

をもとに、 JALA (無痛分娩関係学会・団体連絡協議会)が、同年 6 月に 発足。

• 安全教育部門( 4 つのカテゴリーのセミナー開催)

• 情報提供部門(無痛分娩の基本情報、無痛分娩施設情報、セミナー情報、無 痛分娩施設登録)

• 有害事象解析部門(無痛分娩関連有害事象収集・原因と背景の解析・再発防 止策の共有)

• 将来の展望

• 日本でも無痛分娩を利用したより安全で快適な分娩への社会的要求が高まっ ているが、現状では産科医の研修、麻酔科医不足等の問題も残存している。

• 産科麻酔の安全性を高めるためには,より多くの麻酔科医が関与することが

必要であろう。

(4)

日本人妊婦が求めていること

常盤真琴先生(コロンビア大学産婦人科 NY)

コロンビア大学での現在の診療

月10-20件の分娩のうち日本人は40%

12人の産科医グループで診療

硬膜外麻酔は全患者で90%、日本人患者で95%施行

日本人妊婦さんからよくある質問

「無痛分娩」になりますか?

予約必要ですか?

日本人患者さんにお話しすること

「無痛分娩」と硬膜外麻酔

安全な産科麻酔を常時可能にするために

24時間365日 患者中心の産科麻酔チームとチーム医療

の提供

(5)

U.S. PERSPECTIVE:

DATA TO REPORT ON MATERNAL MORTALITY IN THE U.S.

Brian T. Bateman, MD, MSc

Vice Chair for Faculty Development Chief, Division of Obstetric Anesthesia Department of Anesthesiology

Brigham and Women’s Hospital Associate Professor of Anesthesia Harvard Medical School

(6)

日本語版のまとめ〜母体死亡の統計

• アメリカにおいて、母体死亡を報告するシステムとしては CDC ( アメリカ疾病予防 管理センター ) や National Center for Health Statistics など、いくつかの委員会 やサーベイランスシステムがある

• 1940 年頃より、ペニシリンの投与、栄養状態の改善、衛生処置を行う技術、輸血 の医療が向上したことで母体死亡率が激減した

• しかし、母体死亡のサーベイランスからの報告によると、 1987 年以降、アメリカに

おける妊娠に関連した死亡数は漸増している

(7)

まとめ〜母体死亡の原因

• 2014−17 年の母体死亡の主な原因は、心血管系イベントや心筋症、次いで 感染が多く、麻酔合併症は少ない

• 死亡発生の時期は、妊娠中と産褥 43 〜 365 日が同じく全体の 24% を占め、産 褥 1 〜 6 日及び 7 〜 42 日がそれぞれ全体の 16% 前後で、分娩当日の死亡は 15.5% と最も少なかった

• 一般的に、出血・高血圧・深部静脈血栓症・感染が原因の死はより防げ得た

ものだったろう

(8)

まとめ〜母体死亡と人種差

• アメリカにおいて、妊娠に関連する死亡には人種差がある

• 非ヒスパニック系黒人が 41.7% と最も多く、次にネイティブアメリカン / アラスカネイティ ブ、

アジア系 / 太平洋の島(パシフィックアイランダー)、非ヒスパニック系白人と続き、

ヒスパニック / ラテン系の死亡が最も低い

• 死亡原因を人種別に見ると、心筋症や子癇は黒人で多く、精神疾患は白人で多い

• 非ヒスパニック系白人、非ヒスパニック系黒人、ヒスパニックいずれでもおおよそ 2/3 の症例が防ぎえた死亡であった

人種格差は早急に解決する必要がある

(9)

• 母体死亡をより解明するため、新しくデータソースが作られている

• MAX(Medicaid Analytic Extract: 医学統計分析 ) の妊娠に関するデータと、

全国の死亡診断書の索引との間にリンクを張って探せるようにしたり

NIDA (National Institute on Drug Abuse: 薬物乱用研究機関 ) という団体 に

よって、オピオイド関連母体死亡のリスクと発症率を調べるようになった

まとめ〜母体死亡を理解するために

(10)

日本における母体死亡率

~ JMDEC の報告書より~

加藤里絵(昭和大学麻酔科)

• 2000年:日本初の母体死亡原因の全国調査

• 母体死亡のおよそ半分は“preventable”=回避可能

• 産科医が一人しかいない小さな分娩施設はリスク高

• 2010年:JMDEC

(妊産婦死亡症例検討評価委員会)

発足

• 毎年報告書を発行

• 母体死亡の原因の約40%は大量出血と脳出血

• 特に大量出血は回避可能だったケースが多い

• 日本における分娩の現状

• 約50%の分娩が小規模な分娩施設で行われている

→ 個々の施設のスタンダードを向上させる必要

(11)

• 母体死亡を減らすための様々な取り組み

• シミュレーションコースが有用

→ 早く「気づく」「介入する」「搬送する」!

• 原因として「大量出血」は減少してきている

• 麻酔関連の母体死亡はここ6年間で5件発生

• 原因は、high spinal・LAST・気道確保失敗など

• 「母体安全への提言2019」でも言及されている

• 今後のJMDECの課題

• 全ての母体死亡をきちんと報告してもらう必要

→ 全職種にJMDECの周知を

• 救命出来た/出来なかったケースの死亡原因の比較

(12)

日本における母体安全

遠藤 誠之(大阪大学)

• 日本の母体死亡率は3-5人/10万人

• クリニックでの分娩数は全分娩の約半分

• 分娩施設ごとの分娩件数が少ない

• クリニックでは医師は産科医1人しかいないことがほとんど

• 予定帝王切開の麻酔も産科医が担当していることが多い

• 大坂におけるObstetrical Near Miss

• 59件/1万分娩

• およそ40%が高次施設に搬送されている

• 今後のクリニックと病院の役割分担

• クリニックと病院の患者の住み分け

• まず病院に妊婦を集めて、低リスク症例をクリニックに割り振る

• 高次施設にマンパワーを集める

(13)

分娩における鎮痛:日本と世界を取り巻く最近の状況

William Camann, M. D.

産科麻酔科医は、お母さんの出産経験に対して、より良く、安全なものに し、価値を与えることができる。

・ 重要なことは、単に硬膜外穿刺がうまいことではなく、お母さんとのコミュニケー ションが効果的にとれることである

・ 心の麻酔(お母さんの気持ちに寄り添った麻酔)をこころがける

・ 無痛分娩を経験したお母さんへの調査結果

・ 産科麻酔科医の言動は、お母さんの出産経験に大きな影響を与える

・ お母さんの満足度を上げるのは、効果的な鎮痛だけではなく、スタッフとの信頼関係、

スタッフの態度、熱心なサポートである

・ 産科麻酔科医は、より良いお産のために、病院の方針を変えるように働きかけること

すべての周産期スタッフ(産科医、新生児科医、助産師、看護師)とのコ

ができる

ミュニケーションが重要

・ 産科麻酔科医はチームのコミュニケーションを促進することができる

(14)

ハイリスク妊婦に帝王切開を行う場所としての、ハイブリッド手術室の有 用性

・ 癒着胎盤:血管内バルーン・塞栓、尿管ステント留置

・ 心血管疾患:バルーンによる弁形成

・ 脳神経疾患:コイリングなど

お母さんとその家族中心の「ジェントルな」帝王切開

・ 分娩後すぐにスキンシップ、授乳も

・ 透明なドレープで、誕生の瞬間が見られる

・ お父さんも参加できる

・ 非常に好評、母子のアウトカムが改善する

・ メディアに取り上げられ、病院の宣伝にもなる

(15)

産科麻酔科の仕事:カテ入れだけではない!

Tel-Aviv Sourasky Medical Center 産科麻酔部長 Carolyn Weiniger 先生

• ヨーロッパにおける産科麻酔のガイドラインを発表した

• 「全ての産科病棟に麻酔科医が常駐すること」を提言

(Eur J Anaesthesiol 2020; 37:1115-1125)

• リソースの担保

• 産科・麻酔科のマンパワーだけでなく、ICU、NICU、輸血室との連携も必要

• ハイリスク患者への対応:産前に外来でアセスメント、循環器コンサルト

• 無痛分娩:開始時

• 効果不十分な場合のトラブルシューティング法 (Ende et al IJOA 2021 Epub)

(16)

• 無痛分娩中

• 疼痛の個人差について:疼痛閾値の個人差、分娩の進行、初産婦と経産婦 の違い、陣痛促進の有無、児頭と骨盤のバランス、遺伝子レベルでの違い

• 双胎分娩、吸引分娩、人工破膜、産後出血などへの対応

• 帝王切開への移行:

• CSに使えるカテーテルか?の評価

• どこでトップアップを開始すべきか? 手術室 vs 産科病棟

• 局麻の選択:2%リドカインが主流+メイロン(+エピネフリン)

計15-20cc が主流

• CS術中の疼痛対策の重要性:

• イギリスのCS関連訴訟、74%は疼痛が原因! (McCombe Anaesthesia 2018)

• コールドテストで「冷たい」と言われたら、信じること!

• 脊麻の失敗率は1.7%とも (D’Angelo Anesthesiology 2014)

• 妊婦のACLS

• 日頃からのシミュレーション教育が大切

(17)

産科麻酔における知識、技術、判断力

Robert Gaiser, M.D

Professor and program director department of anesthesology Yale school of medicine

Disclosure :Director for ACGME and ABA

(18)

• 産科麻酔の臨床で求められる3要素

①知識 ②技術 ③判断力

• American Board of Anesthsiology (ABA:米国麻酔専門医認定委員 会)とAccreditation Council for Graduate Medical Education

(ACGME:卒後研修認定協議会)でも上記の3要素を規定している

• 「産科麻酔科医」の定義には3要素を加味したバランスのとれた 評価が必要

• ベストな人材を想像するためには

①自己認識(結果に対する自己責任の受容)

②創造性(経験への意欲、障壁を乗り越える力、切り開く力)

③関係性(情緒的・共感的な関係を構築するために人の話を聞く 力・話す力)が必要

• 「人生は経験を積むための旅だ。解決するための問題じゃない。」

by くまのプーさん

(19)

• スライド4-7では、Fundamental attribution error(根本的な帰属の 誤り)や臨床例、Wasonの確証バイアスなどを紹介し、「産科

麻酔科医」を定義するには多角面からの視点が大切であることを 説明

• スライド8-14では、産科麻酔科医として必要な知識、技術、判断 力を評価するための方法(MCQ、口頭試問、OSCE)の利点・欠点 について説明

• 組織(ABA、ACGME)が産科麻酔を管理する理由

① 必要品の資金調達

② 知識の評価:MCQ(試験)での評価

③ 技術の評価:臨床上もしくはシミュレーターを用いての評価、

OSCE(オスキー)での評価

④ 共感力の評価:OCSCEでの評価

⑤ 判断力の評価:口頭試問での評価

(20)

産科麻酔における研修プログラムの発展

Developing a Fellowship Program for Obstetric Anesthesia 演者名:Michaela K. Farber MD MS

総論:米国の産科麻酔:専門医研修プログラムの現在と将来の需要

●米国の妊産婦の罹患率と死亡率の高さを受けて

➡地域のケアセンター

➡集約化施設での専門スタッフ が求められている

●研修プログラムの導入により、安全性・臨床的対応、研究が継続 して強化される利点がある。

●例:ACGMEの産科麻酔研修プログラムの達成事項

• Oversight by the Institution 機関による監督

• Personnel: Core Faculty 人材:指導医の存在

• Criteria and number of fellows フェローの基準と人数

• Curriculum / Scholarly Activity カリキュラム・学術活動

• Evaluation processes 評価プロセス

• The learning and working environment 学習・職場環境

(21)

産科麻酔における研修プログラムの発展

Developing a Fellowship Program for Obstetric Anesthesia 演者名:Michaela K. Farber MD MS

各論: ●Tip 1 産科麻酔科指導医の明確化

・指導医の到達目標を明確に

➡研究内容、指導医の人数、レクチャーなど教育の積極 性、臨床能力

・研修のローテーション内容及び期間の設定の例

●Tip 2 指導医の学術活動目標の設定

・研究の発展、助成金の取得・品質向上や患者の安全性 に関する取り組み、システムレビュー、メタ研究、発表。

カリキュラム、教育的活動など。

●Tip 3 カリキュラムの構築

・可変式な研修プログラム

●Tip 4 積極的な教育・学習環境の構築

(22)

米国でのSOAP COE提供

Brendan Carvalho MBBCh, FRCA, MDCH

Professor, Chief of Obstetric Anesthesia Division Stanford University School of Medicine

SOAP COE 委員長

(23)

• COE (Center of Excellence) の任務

• 産科麻酔における研究・教育・実践を通じた妊産婦、

新生児の健康促進と提唱

• 国際水準の医療レベルの構築

• サブスペシャリティとしての産科麻酔推進

• COE認定に求められる項目

• 人員、設備、プロトコール、方針

• 帝王切開

• 無痛分娩

• 産科麻酔医療の質

• 推奨される医療やガイドラインの実施

• 患者のフォローアップ

*認定にはすべての必須項目と他項目の大部分を満た

さねばならない

(24)

• COE認定施設の利点

・産科麻酔医療の質の証明・名声

・医療の正当性の証明

・COEネットワークへの参加

・有力なマーケティング手段

・コスト削減←リスクの削減、悪質な医療の削減による

・麻酔科医や専攻医リクルートメント時の利点

・出資者や病院との交渉時の有用な称号

(25)

• COEの運営

・毎年8月に申請

・認定期間:4年間

・申請料:500$ 認定料:2000$

・情報:SOAPウェブサイト参照。

ウェブセミナーあり

・厳格な再評価システムあり

• 米国におけるCOE認定施設

現在62施設

日本では2018/2019に順天堂大学、

2020/2021に国立成育医療研究センターが認定

(26)

SOAPセンター・

オブ・エクセレンスを 日本にもたらす

順天堂大学医学部附属 順天堂医院

角倉 弘行

(27)

COI in JAPAN

そもそも COE は北米の施設を対象として制定さ れた制度である。

日本で COE の認定を得るためには工夫が必要で ある。

日本で COE を増やすためには認定基準の見直し

を上申する必要がある。

(28)

米国周産期麻酔学会

Center of Excellence 認定施設として

国立成育医療研究センター 手術・集中治療部 手術室診療部長 大原 玲子

日本で最も大規模なこどもと母親のためのナショナルセンター

研究施設併設

手術・集中治療部は小児麻酔-産科麻酔-ICUの部門から成る

周産期麻酔管理: 産科麻酔部門専従チーム / 24時間365

不育・不妊科の手術

胎児治療

帝王切開

無痛分娩

母体搬送症例

年間分娩件数:2000例前後

予定帝切: 全分娩の30 ( 600-650 ) 自然分娩: 経腟分娩の30% ( 500-600 ) 無痛分娩: 経腟分娩の70 ( 900-1000 ) 年間胎児治療麻酔:40-60

(29)

私たちの考え

水準の高い産科麻酔医療を提供するには、産科麻酔科学に特化した部門が必要 産科医療の安全性を高めるために次世代の育成を続ける

私たちの使命

高品質で専門的な医療を提供する

医療のスタンダートを国際レベルで向上させる

産科麻酔科医師を育成する

的確な情報を産婦に提供する

助産師・看護師の教育プログラムを提供する

見学のご希望承ります , ご清聴ありがとうございました。

(30)

低所得 - 資源に乏しい状況での産科麻酔トレーニング

• 母体死亡率の地域間の較差

• “ Every Woman Every Child (女性と子供の健康に向けたグローバル戦略)”

2010年開始の国連による取り組み

• 母体や新生児の死亡は,早期の覚知と必要な技術と知識の適切な実行によ り防ぐことができる

• 高所得国でも,低中所得国(LMICs)でも母体死亡原因の1位は産科出血だ

が,LMICsでは産科出血がより多い

(31)

Technical skills

・身近な材料を用いてシミュレーショント レーニングに必要な器材を準備する(子宮,

子宮内バルーンなど)

・何度行えばエラーを少なく実行できるか?

例えば,気管挿管 74.7回, 分娩時の硬膜外カ テーテル挿入 75回

Non technical skills

・ヘルスケアにおける有害事象やエラーの50- 80%はノンテクニカルスキルを欠いた行動による

・Obstetric Early Warning Score

・Medical emergency team,Rapid response team・team STEPPS (SBAR, Check-Back)

・チェックリスト (Cognitive Aid)の使用,読み 上げるスタッフは必要か?

Team work

・シナリオを用いたトレーニング

・VASTコースの2日目には産科麻酔についての トレーニングが行われる

・SAFEコースは,産科医,外科医,麻酔科医,

看護師で行うコース Outcome

・ラテンアメリカでの母体死亡率は年々減少し ている研修医が新しく技術を身に着けて,より条件の 良い海外に流出してしまう問題

(32)

Special thanks to

Hamamatsu University Chieko Akinaga

Mizuki Taniguchi Satoshi Naruse Hitomi Asaba

Tokyo Women’s Medical University

Risa Fukushima Yoko Tsugu

Mihoshi Sato Ayana Hirose

Brigham and Women's Hospital

Ayumi Maeda

Juntendo University Yoko Hikida

Shoko Okahara

参照

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