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宇宙機のフォーメーションフライト

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Academic year: 2021

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宇宙機のフォーメーションフライト

1. はじめに

 宇宙機のフォーメーションフライト とは,複数の宇宙機による編隊飛行の ことで,単一の宇宙機では実現が困難 な長基線を実現できるという利点があ り,立体視,長焦点距離の望遠鏡の実 現,電波方探,レーザ干渉計など多様 なミッションが考えられている.また アメリカの F6 計画のように宇宙機の 機能を複数機に分散させて適応的な ミッションの実現をめざす例もある.

本稿では,このようなフォーメーショ ンフライトの現状について,簡単に紹 介することにしたい.

2. 地球周回軌道でのフォーメー ション

 一般に宇宙機は地球の周りを周回し ており,この軌道周回の周期が等しけ れば宇宙機間の相対距離はある範囲内 に収まっている.このとき宇宙機は フォーメーションフライトを行うこと ができ,最も簡単には同一軌道に複数 の宇宙機を配置することで達成される

(In-track).さらに各宇宙機の離心率 や傾斜角などを微小量だけ変化させる ことでより変化に富むフォーメーショ ンが可能になる.基準となる宇宙機の 軌道が円軌道である場合には,基準と なる宇宙機を中心として円を描くよう な フ ォ ー メ ー シ ョ ン も 実 現 で き,

GCO(General Circular Orbit) や レ コ ー ド 盤 軌 道 と 呼 ば れ て い る.In- track と GCO の概念図を図 1に示す.

 このような宇宙機のフォーメーショ ン軌道の設計には,宇宙機の相対位置 の時間発展を表す状態遷移マトリクス を用いる場合が一般的であり,基準軌 道が楕円軌道のフォーメーションにお いても一般的な状態遷移マトリクスが 導出されている.さらに,地球の重力 ポテンシャルのひずみである

J

2項の 影響によって,フォーメーション軌道 がしだいに乱れていくことが知られて いるが,この

J

2項の影響を考慮した 状態遷移マトリクスや,それに基づく フォーメーションの初期値の補正も提 案されている(1)

3. 周回軌道でのフォーメーショ ンの例

 基準となる宇宙機の軌道が円軌道で ある場合には,In-track と GCO では,

外乱の影響を無視すれば宇宙機間の相 対距離は一定に保たれる.そのため望 遠鏡ミッションのように相対距離を一 定に保つ必要がある場合には都合がよ い.JAXA と大阪大学,名古屋大学 などで計画されている FFAST は,

GCO を利用して 20m の焦点距離の X 線望遠鏡を実現するプロジェクトであ る.地球を周回する略円軌道ですでに フォーメーションの実現された例で は,わが国の ETS-VII のほか,フラ ン ス の Essaim(2004 年 打 上 げ ),

ELISA(2011),ドイツの TerraSAR- X(2007)と TanDEM-X(2010),ス ウェーデンの Prisma(2010)などが ある.Essaim,ELISA は電波源の方 向 探 知,TerraSAR-X と TanDEM-X は合成開口レーダの干渉による高度情 報取得を目的としている.また基準と なる宇宙機の軌道が楕円軌道である場 合のフォーメーションも検討されてお り,ESA(欧州宇宙機関)の計画す る Proba-3 では遠地点側で太陽観測 ミッションを行い,近地点側で軌道制 御を行う計画である.

4. その他のフォーメーション

 まだ実現はしていないが,地球を周 回する宇宙機以外でもフォーメーショ ン が 考 え ら れ て い る. た と え ば,

ESA/NASA の計画している重力波検 出プロジェクトである LISA では,地 球の公転軌道上で地球より 20°離れた 点を中心として 3 機の宇宙機で GCO を形成する.宇宙機間の距離を 500 万 km として,レーザ光の送受信間隔の きわめて長いレーザ干渉計を実現し,

その干渉縞から重力波を検出する計画 である.

  さ ら に ラ グ ラ ン ジ ュ 点 回 り で の フォーメーションの例もある.太陽と 地球のように中心となる天体が二つ あって一方が他方の回りを公転してい るときに,中心天体からの重力と遠心

力のつり合う点が 5 点あり,ラグラン ジュ点(

L

1

L

5)と呼ばれている.た とえば太陽―地球系では,地球から見 て太陽と反対側 150 万 km のところに ラグランジュ点

L

2があるが,L2点回 りの軌道は熱的に安定しており,つね に天球の半分を観測可能なので,多く の観測ミッションが提案されている.

このうちフォーメーションによる観測 として,NASA の TPF-I では複数の 宇宙機による赤外領域の観測を行い,

地球型惑星の直接検出を目的としてい る.

5. おわりに

 フォーメーションフライトでは,複 数の宇宙機の協調制御や高精度な相対 位置検出が必要となる.多様かつ高機 能なミッションを達成できる可能性が あるが技術的に解決すべき課題も多 く,現在も研究開発がさかんに行われ ている状況である.

(原稿受付 2012 年 10 月 11 日)

〔山田克彦 名古屋大学,吉河章二,

島 岳也 三菱電機(株)〕

●文 献

( 1 )山田克彦・島 岳也・吉河章二,進行方向 に距離を保つ宇宙機の編隊飛行における相 対運動の解析,日本航空宇宙学会論文集,

57-662(2009),123-130.

図 1 宇宙機の代表的なフォーメーション GCO

In-track

─ 55 ─

日本機械学会誌 2013. 1 Vol. 116 No.1130 55

参照

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