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空き家の適正管理とストックとしての有効活用に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)空き家の適正管理とストックとしての有効活用に関する研究. 樋口 翔. 1.はじめに. 示唆を得ることを目的とし、 以下の3点に焦点を当て考察する。. 1-1 研究の背景. ① 全国の空き家条例の整理と特徴の把握. ①全国における空き家数の増加に伴う取組みとその課題. ② 空き家の適正管理に対する自治体の課題と住民の意識. 総務省統計局の 2008 年の調査において、賃貸住宅の空. ③ 空き家活用に対する地域の取り組みの実状および課題. 室や別荘等を含む全国の空き家数は約 757 万戸あり、08. 1-3 既往研究. 年までの 10 年間に約 180 万戸増加したという結果が報告さ. 既往論文には対象地域の空き家の分布状況や空き家バン. 1). れている (図1) 。そのような現状に対し、既に埼玉県所. クに登録された物件、空き家の需給関係の把握を扱った研. 沢市や福岡県宗像市など空き家の適切な管理を所有者に. 究 2)、中心市街地における空き家所有者へのアンケートを通. 義務付け、撤去規定も盛り込んだ「空き家条例」を施行し. した実態把握を目的とした研究 3)、空き家の情報提供事業. た自治体や、住宅ストックの流通市場を活性化するために. に着目した研究 4)5) 等があるが、本研究は老廃した危険な空. 空き家バンクなど空き家を活用した事業を進める自治体が. き家と流通市場に乗る空き家の双方向から、特に空き家の. 増えている。しかし現状として、空き家の管理や活用をす. 管理手法に焦点を当て、対象地域の実態調査を行っている。. るためには、どのように空き家の発生要因や動向を把握し、 2.全国における各自治体の空き家条例の整理 その情報を管理するかなどの多くの課題が挙げられている。. 2-1 各都道府県及び各自治体の空き家数の現状(図 5). ②福岡県糸島市における地域課題. 全国の総空き家数は 08 年時点で約 757 万戸にのぼる。. 福岡県西部に位置する糸島市は、2005 年の九州大学の移. 空き家率※ 1 は、1953 年から 08 年に至るまで 5 年毎に平均. 転開始による学生居住者の増加や、福岡市へのアクセスの. 約1.1%ずつ上昇し、98 年には 10%を超えている。この傾向. 容易さから二地域居住者等への期待が高まっている一方で、 が続けば 2018 年には 15%を超えることが予想される(図 1) 。 約 40 年ぶりに人口減少に転じたことで、定住化の問題と共. 都道府県別にみると、空き家数は東京、大阪、神奈川と. に空き家増加への対処が目下の課題となっている(図 2、3) 。 人口・住宅数の多い都市に比例するが、2003 年から 5 年間 1-2 研究の目的. の空き家の増加率は、島根が約 1.4 倍で最も高く、次いで. 以上から本研究では福岡県糸島市を対象地として、増加. 福岡、宮城が約 1.3 倍、山口、岩手、鳥取が約 1.2 倍となり、. する空き家の地域全体での管理方法及び有効な活用方法の. 中国地方、東北地方の増加率が著しい。空き家率は、山梨. (%) 14.0. 空き家数 空き家率. 12.0. 11.5. 10.0. 8.6. 6,000. 2.0 1.3. 2.0. 対し、三重、愛知など逆に空き家率が低下した地域もある。. 5,000 4,000. 2-2 空き家条例制定の背景と内容の整理. 3,000. 4.0. 4.0. が、2003 年からの 5 年間で多くの都道府県が上昇したのに. 7,000. 9.8. 5.5. 6.0. が 20.3%と最も高く、全ての都道府県で 10%を上回っている. 8,000. 7.6. 8.0. 0.0. 9.4. 12.2. 千(戸) 13.1 9,000. 2,000. 2.5. (1) 空き家条例制定自治体増加の背景. 1,000. 53 58 63 68 73 78 83 88 93 98. 2003 08. Ν. 国土交通省では 2006 年に策定された住生活基本計画 6). 0. 図 1.全国における空き家数・空き家率の推移. 図 2.福岡県における糸島市の位置 背景. 自治体. ② 福岡県糸島市における地域課題. 目的. 定住・移住支援策 への活用. Ⅰ. 環境整備 生活環境整備 空き家の適正管理. ① 全国における空き家数の増加に伴う取組みとその課題. 新規移住者情報 の把握. ① 全国の空き家条例の整理と特徴の把握. Ⅳ. ② 空き家の適正管理に対する自治体の課題と住民の意識. 空き家バンク. 生活環境の管理 地域課題の解決. 空き家. 空き家ストック の把握. 入居希望. 移住者 ( 転入者). 糸島市への移住における課. 定住化推進意見交換会. 題. 住民の意識. の ヒ ア リ ン グ. Ⅱ. Ⅲ. 全国における各自治体の空き家条例の整理. 糸島市の各行政区 における空き家管 理の実態. 文. 献. 調. からみる空き家活. 統計データ分析. 糸島市における老廃した 危険な空き家の現状. 消防本部空き家実態 調査データを用いた 分析. 老廃した危険な空き 市内 5 校区の 家に対する地域住民 区長へのアン ケート調査 の管理状況. 前. 原 糸. 校. 福. 吉. 桜. 野. 区. 校. 区. 校. 区. Ⅴ. 17-1. 総括. 人. 設 計 事 務 所 市 議 会 議 員 政. 空き家の適正管理と活用のための地域体系の提案. 図 4. 研究フロー. 図 3. 空き家に関する地域の課題. 査. 不 動 産 会 社. 空き家活用に対する課題の整理. 区. 校. 調. NPO 法. 行. 前 原 南 校 区 長. 各事業体への ヒアリング調 査. 査. 福岡県糸島市及び 市内各校区の基礎情報の整理. 献. 糸島市へのヒアリング. 糸 島 市 役 所. 糸島市内各事業体 用の実状と課題. 空き家を扱う 事業体・組織. 空き家情報の把握 と所有者とのマッチング. 新規移住者と住民間の コミュニティ形成. 文. の現状と地域. ③ 空き家活用に対する地域の取り組みの実状および課題. 地域 (周辺住民). 糸島市における空き家バン クの現状と課題. 区. 長.

(2) と住宅土地統計調査の結果を踏まえ、住宅ストックの有効. 宗像市は所沢市の条例とほぼ同一の条例内容となっており、. 活用等を検討する事を目的として、 空家実態調査 ( 住戸規模、 柏市のみ空き家管理のための「支援」を条項に組込んでい 空き家所有者の特性、発生要因等 )を実施し、2010 年に調 7). る。足立区は「助成」の他、所有者から自ら危険な状態の. 査報告書をまとめた 。しかし前年 09 年 11 月における事業. 解消が出来ないとの申し出があった際に必要最低限度の措. 仕分けにより、空き家問題の解決策の検討等を行う「不動. 置をとる「緊急安全措置」が条項に組込まれている。和歌. 産管理適正化のためのモデル構築事業」が、国が取り組む. 山県は、空き家による景観悪化を防ぎ、生活に密着した景. 必要性が乏しいとの理由で予算計上見送られることとなる。 観を保全することを目的としており、他の条例の多くが防犯・ このような状況のなか、空き家の適切な管理を所有者に義. 防災上の空き家管理を目的としているのに対し独自の条例内. 務付け、撤去規定も盛り込んだ「空き家条例」が全国の自. 容となっている。また所有者が命令に応じない場合に職員. 治体で各々制定され始めることとなった。. が立入調査を行うことのできるのも特徴といえる。松江市に. (2) 条例内容の事例―埼玉県所沢市の空き家条例. 関しても、良好な景観・住環境の確保や魅力あるまちづくり・. 所沢市は生活環境の保全と防犯のまちづくりの推進のた. まちなか居住促進が条例の目的となっており、空き家活用に. め、 「所沢市空き家等の適正管理に関する条例」を 2010 年. 言及する内容が含まれている点に特徴がある。上記の条項. 7月に制定し、同年 10 月から実施している。条例における事. に具体的な空き家の活用方針は示されていないが、 「代執行」. 務手続きは図 6 のような行程となる。条例制定後は、空き. や「罰則」を与える条項を組込むことで、該当する空き家に. 家等の所有者に対し、指導の裏づけとなる条例を同封して通. 対する最終処置が比較的強いため、空き家活用への指針を. 知することで、所有者からの連絡が制定以前よりも増加した. 示しやすいといえる。. り改善が図られたりする等の効果が表れている。2011 年 6 月. 現在、空き家条例は防犯・防災上の空き家に対する対処. 時点で、相談件数 111 件のうち 63 件が解決(57%の解決率) が目的となっているものが多いが、和歌山県や松江市のよう しており、その内更地になった物件も複数件ある。制定以前. に景観的側面から空き家問題を捉えた条例や、空き家の有. には市民からの相談内容に対して個別の課で担当していたこ. 効活用促進を目的とした条例など、空き家の短所と長所を組. とにより、各課にとっても市民にとっても対応者が不明瞭で. み合わせた条例が今後出てくるものと推測される。. 調整が困難であったという課題があったが、制定により窓口. 3.糸島市の各行政区における空き家管理の実態. が一本化されたことも効果の要因の一つと考えられている。. 3-1 福岡県糸島市について. (3) 各自治体の空き家条例の整理 ( 表 1). 福岡県糸島市は 10 年 1 月に前原市と志摩町、二丈町が合. 全国で空き家に関する条例を制定している自治体は 10 年. 併した市であり、福岡県西部にある糸島半島に位置している。. 以前にもあったが、空き家対策単独の条例は全国でも例が. 05 年より九州大学が当市と福岡市西区にまたがる新キャンパ. なく、埼玉県所沢市が初となった。以降 2011 年 11 月時点で. スへの移転を開始したことで、学生居住者の増加が期待さ. 空き家対策単独の条例を制定した自治体は 9 つある。条例. れたが、2011 年に 41 年ぶりの人口減少となり(図 7) 、さら. 内容は各自治体によって異なるが、ふじみ野市・川島町・柏市・. に過去 10 年間で初めて転入者数を転出者数が上回ることと. 500 ~. 50 ~. 130 % ~. 17.0 % ~. 2.5 % ~. 200 ~ 500. 20 ~ 50. 120 % ~ 130 %. 15.0 % ~ 17.0 %. 2.0 % ~ 2.5 %. 100 ~ 200. 10 ~ 20. 110 % ~ 120 %. 13.0 % ~ 15.0 %. 1.0 % ~ 2.0 %. 0 ~ 100. 0 ~ 10. 100 % ~ 110 %. 0.0 % ~ 13.0 %. 0.0 % ~ 1.0 %. 千(戸). 空き家数(H20) 都道府県 RANK 1 2 3 4 5. 東京都 大阪府 神奈川県 北海道 千葉県. 千(戸). ~ 0.0 %. 空き家数推移(H15→H20) 都道府県 RANK. 総空き家数. 750,300 625,100 428,600 374,400 355,900. 1 2 3 4 5. 東京都 福岡県 北海道 埼玉県 神奈川県. 空き家数増加率(H15→H20) 都道府県 RANK. 空き家数推移. 84,900 82,000 70,600 49,500 37,000. 1 2 3 4 5. 空き家数増加率. 140.3% 133.8% 130.2% 127.3% 127.1%. 島根県 福岡県 宮城県 山口県 岩手県. 空き家率(H20) 都道府県 RANK 1 2 3 4 5. 山梨県 長野県 和歌山県 高知県 香川県. 空き家率推移(H15→H20) 都道府県 RANK. 空き家率. 20.3% 19.3% 17.9% 16.6% 16.0%. 1 2 3 4 5. 島根県 長野県 福岡県 山口県 岩手県. 図 5. 各都道府県の空き家数・空き家数推移(2003-08 年)・空き家増加率・空き家率・空家率推移 2003-08 年)(左図から) 表 1. 空き家条例を制定した自治体の条例内容の比較. 図 6. 所沢市の空き家条例 事務手続きの流れ. 17-2. 空き家率推移. 3.8% 2.6% 2.6% 2.6% 2.6%.

(3) なった(図 8) 。高齢者世帯数※ 2 は 2010 年までの 5 年間に. 頼、敷地周辺にロープを張る等限られている為、敷地内の. 約 2.5 倍増加し 6500 世帯を超え、さらに高齢夫婦世帯のう. 環境を改善することが非常に困難であることも挙げられた。. ち共に 65 歳以上の世帯と高齢単身世帯の合計数は 5000 世. 3-3 防犯・防災上危険な空き家に対する地域住民の管理状況. 帯を超えている(図 9) 。各校区別に人口、世帯数をみると、 行政区内に存在する防犯・防災上危険な空き家について 共に鉄軌道及び国道に沿う地域に集中し、海沿岸や中山間. 行政区長へのアンケートを行い、区長の問題意識と空き家. 地域と格差がある。高齢化率は引津、福吉、桜野、長糸の. が周辺環境に対して与える影響に関して調査を行った ※4。. 4 校区が非常に高く、特に引津、福吉は 30%近くとなってい. 防犯・防災上危険な空き家への関心については「認識だ. る。糸島市外縁部に位置する 5 校区は今後数年で高齢化率. けはしておきたい」が 15 人(37%) 、 「できるなら撤去する等. が 30%を超える可能性が高い。. の対処をしたい」が 10人(24% )で「地域のまちづくりへの活. 3-2 糸島市における防犯・防災上危険な空き家の現状. 8). 用」が 5 人(12% )であった。校区によって際立った特徴は見. 糸島市消防本部により実施された調査により、糸島市内で ※3. られないが、適正管理としてどの程度の対処が必要であるか. 616 件の空き家が確認された 。その中で現地調査により. という設問で「所有者への助言・指導・勧告」39%、 「実態調. 危険と判定されたのは 328 件である。判定別にみると、A.85. 査」30%、計 69%あり、さらに「他人の所有物なので口出し. 件、B.65 件、C.178 件であり、特に A 判定は廃屋状態で容. はできないという」回答もあり、空き家の状態把握や所有者. 易に出入りができ、雑草等が繁り火災の発生危険が大きいこ. への助言・勧告まではしたいが、撤去を行うというほど積極. とから、定期的な状況把握と近隣住民への注意喚起が必要. 的な対処に踏み出す必要はないという意見が多い。また「所. である。空き家分布をみると、前原地域は中心市街地に集. 有者名は個人情報なので市に問い合わせても知ることができ. 中しており、また中山間地には危険度の低い空き家が点在し. ない」という回答からも事後的な対処が住民側からは難しい. ている。二丈地域は海岸沿いに集中しているが判定外(D 判. ことが分かる。従って、空き家の対処は事前・事後での住民. 定)に属するものが多く、逆に志摩地域は海沿岸部にある. と自治体の連携が必要だといえる。空き家が地域の集会で. 空き家の危険度が高いという特徴がある。. の議題に上がったことがあるのは 8 行政区であり、そのうち. 消防本部へのヒアリングによると、空き家の適正管理への. 6 区が実際に対応している。また前原と長糸では実態調査が. 課題は、所有者の現住所が不明で、管理への助言・勧告等. されており、地域住民への注意の呼びかけも行なっている。. ができない場合の対処が挙げられた。また消防の職務範囲. 4. 空き家バンクの現状と地域住民の意識. では空き家での発災時の被害軽減が主となり、事前に対処. 4-1 糸島市における空き家バンクの現状と課題. できることは近隣住民への注意の呼びかけや情報提供の依. 糸島市へのヒアリングによ き家バンクが開設されたが、 現在では機能していない状 態にある。その理由は空き. 図 7. 糸島市の総人口の推移. 図 8.糸島市転入者(上)転出者(下)の推移. あんしん住替え情報バンク. ると、当市では 2010 年に空. 紹介. 空き家・空き地の所有者. 情報提供 (申請書提出) 情報提供. 賃貸借契約. 空き家バンク 情報. 情報. 紹介. 糸島市. 情報提供 (申請書提出). 入居希望または情報を求める者. 図 13. 糸島市空き家バンクの仕組み※5. 家バンクに提出される申請書に関してその内容の正確性を 確認しなければ、入居希望者に情報提供できないためであ る。申請書の情報確認だけでなく定期的な点検も必要とな り、市職員だけでは難しい。糸島市としても民間の不動産事 業者に空き家の管理を任せ、空き家情報・入居希望者情報. 図 9.糸島市の高齢者世帯数の推移. 図 10.糸島市各校区の住宅数(左)高齢率(右)の推移. 桜野. 可也 引津 前原 地域. 調査件数. 前原市. 330. 志摩地域. 137. 二丈地域. 453. 合計. 616. A判定. B判定. C判定. D判定(その他). 38 12% 38 28% 85 19% 85. 32 10% 28 20% 65 14% 65. 119 36% 49 36% 178 39% 178. 141 43% 22 16% 125 28% 288. 南風. 東風. 鉄道. 波多江. 前原南. 加布里. 深江. 雷山 一貴山. 怡土. 長糸. 福吉. 図 12. 防犯・防災上危険な空き家に関する行政区長へのアンケート調査. 図 11. 糸島市内の防犯・防災上危険な空き家の分布図 ※ 左上:集積密度. 17-3.

(4) の取りまとめを市が行うという方式を検討しているが、民間. を行うのが望ましいということになる(図 14) 。. 事業者を選定する入札方法など空き家バンクの体系を慎重. 5.おわりに. な姿勢で取り組む必要がある。. 本研究では、全国における空き家数等の実態や自治体. 4-2 糸島市への移住における課題. による空き家条例の制定等の取組みについての概要把握を. 糸島市が定住推進を目的とした事業を検討するにあたり、 行った上で、福岡県糸島市を対象として空き家の地域全体で 桜野校区への移住者を対象として意見交換会を行った。そこ. の管理方法及び有効な活用方法の検討及び考察を行った。. で①地域活動に対する情報の提供 ②生活環境の改善 ③. 現在多くの自治体で空き家に関する条例が制定され始め. 空き家需要の飽和状態という 3 つの課題が示された。特に. ており、空き家管理の指導・命令を目的としたものだけでな. ③では桜野校区は市街化調整区域が多くを占めているため、 く、撤去支援や空き家活用を条項に組み入れたものなど地 移住の需要はあるものの住宅を新築できず、住宅の紹介が. 域によって異なる条例が生まれている。糸島市でも空き家条. できないというものであった。それに対し都市計画区域の線. 例や空き家バンクの再検討を行っているが、民間事業者や. 引きの見直しを求める意見もあった。しかし、桜野校区の高. 地域住民との連携なしに増え続ける空き家を定期的かつ適. 齢化率は 27.9%と糸島市内でも非常に高く、今後多くの空き. 切に管理することは難しい。また、市街地や郊外、中山間地、. 家が発生する可能性があるため、空き家が放置され老廃す. 海沿岸部では現状として空き家の分布傾向、各地域の課題、. る前に情報を把握し、所有者との空き家となった後の処置に. 移住者の空き家への需要に違いがあるため、地域ごとに異. ついて確認するなどの方策が必要といえる。. なる管理体制が必要であるといえる。ただ、どの地域でも空. 4-3 糸島市における空き家活用の実状と課題. き家が活用できる状態から老廃し地域環境を悪化させる状. 糸島市役所および糸島市で事業を行っている不動産会社、 態となる前に、地域住民による細かな空き家の情報の把握 設計事務所、NPO 法人、市議会議員に対し糸島市での空き. が重要である。. 家活用に関する実状と課題をヒアリング調査した。その中で 多く挙がったのは①自治体と民間が協働して空き家管理(空 き家バンクの設置等)を行うべき ②空き家の活用は高齢者 のケアや就農など他の課題と共に取組むべきという 2 点で あった。①に関しては現状では空き家所有者と入居希望者 のマッチングを行うのは難しく、双方の要望をうまく取りまと めるシステムの構築が空き家バンクを設置する上で重要とな る。②に関しては高齢者世帯・高齢単身者の増加が問題とし て多く挙げられ、中山間地では特に高齢の地域住民と新規 入居者の繋ぎ合わせが空き家活用を考える上での鍵となる。 ヒアリング内容をまとめると、 「自治体と住民の連携による 空き家情報の把握」 「自治体と不動産事業体による空き家状 態の把握」の2つを軸に管理体制をつくり、集約した情報を 空き家を流通市場に乗せるもの、地域で活用するもの、また 危険な空き家として対処するもの等異なる観点から状態管理. [ 注釈 ] ※ 1 空き家率は空き家数を総住宅数で除した数値を使用している ※ 2 高齢者世帯とは 65 歳以上の者のみで構成するか、又はこれに 18 歳未満の未婚の 者が加わった世帯をいい、夫婦高齢者世帯とは 65 歳以上の夫婦のみの世帯をいう。 高齢単身世帯とは 65 歳以上の者一人のみの一般世帯をいう ※ 3 糸島消防本部による調査は各行政区長に依頼し入手した区内の空き家情報と消防団 による見回りで得た空き家情報、そして相談窓口に寄せられた空き家情報の 3 つを統 合し現地調査によって空き家の所在地や危険度を把握するというものである。危険度 の判定は 3 ランクで以下のような基準で判定されている。 ・A 判定:廃屋状態で容易に出入りができ、雑草等が繁り火災の発生危険が大きい。 ・B 判定:空家になって長年が過ぎ、周囲に家屋がなく管理体制も不備で、溜まり場と して利用しやすく火災発生の危険がある。 ・C 判定:建物自体はしっかりしているが、所有者及び管理者が不明であり、管理体制 が不備である。 ・D 判定(その他):上記以外のもの(不動産屋管理、売家、倉庫、場所不明等) ※ 4 糸島市にある 15 校区 162 行政区のうち、中心市街地の前原校区、郊外住宅地の前 原南校区、中山間地の長糸校区、海沿岸部の福吉校区、九州大学のある桜野校区の 5 校区 40 行政区を選択し、40 人の行政区長に対しアンケート調査を実施した。 ○アンケート調査実施時期:2011 年 12 月 26 日~ 2012 年 1 月 5 日 ○対象地区(回収数) :前原 12 行政区(8)、前原南 8 行政区(8)、長糸 6 行政区(5)、 福吉 6 行政区(6)、桜野 8 行政区(5) ○実施方法 : 郵送により配布・回収(一部、公民館にて配布・回収) ○アンケート回収率:40 人の行政区長のうち期間内に回収できたものは 32 人であり 回収率は 80.0%である。うち、有効回答者数は 32 人であるた め有効回答率は 100%となる。 ※ 5 あんしん住替え情報バンクは高齢者が住み替え先の情報収集や住み替え後の持ち 家の売却・賃貸等の活用方法について相談ができる窓口. 消防署 管理者不明の空き家 情報の報告. 管理者不明の空き家 の現地調査. 空き家情報の提供. 市役所. まちづくり活動 を行う事業体・組織 活用方法の提案. 空き家情報 の提供 空き家発生 要因の調査. 空き家の発生要因 の把握. 空き家の状態管理. 空き家活用. 地域活性化 地域問題の解決. 情報提供 (申請書提出). 入居希望または 情報を求める者. 管理者不明の 空き家の対処. 民間企業. 空き家バンク. 紹介. 空き家所有者と 入居希望者の 繋ぎ合わせ 賃貸借契約. 地域の空き家 情報の報告 協力. 新規移住者情報 の把握. 仲介 空き家情報 の提供. 地域への. 不動産事業体. 住宅ストックとし ての空き家活用. 地域の課題や ニーズの提示. 地域活動の内容等を含む. 地域 (周辺住民). 生活環境の情報提供. 図 14. 糸島市における空き家の管理と活用のための地域体系の提案. 17-4. [ 参考文献 ] 1) 総務省統計局 HP:住宅・土地統計調査 2) 小林 靖 , 安藤 正雄:空き家バンクにみる空き家の再市場化 の可能性 ,学術講演梗概集 ,2010/7/20 3) 亀山 芳香 , 濱崎 一志:滋賀県長浜市中心市街地における空 き家の実態に関する研究 ,学術講演梗概集 ,2009/7/20 4)5) 黒木 彩音 , 山本 幸子 ,中園 眞人:農村地域における空き 家情報提供事業の取り組み ,学術講演梗概集 ,2009/7/20 6) 国土交通省「住生活基本計画」 7) 国土交通省「空家実態調査」 8) ぎょうせい「自治体法務研究」,2011/26 号 /p.71. 情報提供 (申請書提出). 空き家所有者. [ 謝辞 ] 研究に協力頂いた糸島市の行政区長の皆様、 糸島市役所、糸島 市消防本部、宗像市役所、その他ヒアリングに協力頂いた糸島市 内の多くの方々に深く感謝申し上げます。.

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