コロナ禍における幼稚園教育実習事前指導の実際 : ハイブリッド型授業の展開と省察
著者 三宅 一恵, 児子 千鶴子, 湯澤 美紀, 池田 尚子
雑誌名 ノートルダム清心女子大学紀要. 人間生活学・児童
学・食品栄養学編
巻 45
号 1
ページ 81‑93
発行年 2021
URL http://id.nii.ac.jp/1560/00000477/
1.はじめに 本稿の目的
2020 年、COVID-19(以下、新型コロナ ウィルス)の世界的な感染拡大は、本邦の 高等教育においても、年度初めの授業の一 時停止ならびに ICT を活用した遠隔によ る授業実施を余儀なくされた。
当然ながら、これまで通りの対面型の授 業が困難となったが、特に、演習形式の授
業においては、授業のねらいをいかに実現 しうるかといったことは、授業者にとって 大きな課題となった。
多様な授業形態の中でも、本稿は、特に、
3年次 10 月実施の幼稚園教育実習に向け た事前指導(授業科目「教育実習事前事後 指導」)の内容を報告する。その理由は、
大きく二つある。
一つは、当該授業が、教育実習に向け、
それ以前の大学での多様な学びを統合し、
コロナ禍における幼稚園教育実習事前指導の実際
―ハイブリッド型授業の展開と省察―
三宅 一恵
※1・児子 千鶴子
※2・湯澤 美紀
※1・池田 尚子
※1A Study of “Instructional Lectures of Kindergarten Teaching Practice”
in the COVID-19 Pandemic:
Introduction and Reflection on Lectures Consisting of Three Types of Classes.
Kazue M
iyake, Chizuko N
igo, Miki y
uzawaand Hisako i
keda
キーワード:幼稚園教育実習,ハイブリッド型授業,教材研究,幼児理解,保育実践力
※1 本学人間生活学部児童学科
※2 本学非常勤講師
This report introduces the contents of instructional lectures of kindergarten teaching practice in the COVID-19 pandemic. The lectures consisted of three types of classes : face to face style, material distribution style, and remote style, and was organized by the e-learning system “manaba folio”. First, the report summarizes the outlines and aims of the lectures in 2020. Then, it explains the contents and merits of the three different types of classes. The results of the lectures more improvements in students’ skills of researching teaching materials, understanding children, and caring and teaching children. Finally, some effective methods of teaching classes after the COVID-19 pandemic are discussed.
Keywords: kindergarten teaching practice, hybrid style class, researching teaching materials, understanding children, caring and teaching children
学生の実践力を育むことを目的としてお り、幼稚園教員免許状取得に際し、基幹的 な科目である点である。
もう一つは、当該授業の内容は、それ以 前の個人の学びの省察とともに、実際の保 育現場への観察実習を含むと同時に少人数 の仲間同士で行うアクティブラーニングを 組入れており、一方的な授業では成立しえ ないといった特徴を有していたことである。
こうした特徴を有する本授業の展開を記 録し、授業を振り返ることは、改めて、学 生に身につけてほしい保育実践力とは何か といった省察に繋がるとともに、これから の時代において継承しうるものについても 考察することを可能にする。本稿はこのこ とを目的とする。
全国的及び県下の新型コロナウィルスの 感染拡大状況を踏まえ、授業は流動的に計 画・変更したが、結果、当該授業において は、各授業のねらいに応じて、資料配付型 授業・遠隔型リアルタイム授業・対面型授 業を組み合わせたハイブリッド型の授業を 組み立てることとなった。
なお、同時期、資料配付形式・オンディ マンド形式で実施される授業も多く、リア ルタイムで学生たちの様子を知ることがで きる数少ない授業となった。したがって、
学生たちの心身の健康状態の把握もまた、
新たなミッションとして加わった。その際 の工夫についても、3.において報告する。
コロナ禍における高等教育の授業・実習に 関する文部科学省の通達
2020 年4月から 2020 年9月に至るまで に文部科学省から発表された(通知)(周知)
(依頼)等の連絡のうち、高等教育に関す るものを以下の表1に抜粋する。
なお、運用面での質問に関しては、「令 和2年度における大学・専門学校等の教職 課程等の実施に関するQ&A」「大学等に
おける学事日程等の取扱い及び遠隔授業の 活用に係るQ&A」の形で回答がなされて いた。
2020 年1月 17 日、日本国内で初めて新 型コロナウィルスが確認されて以降、国内 の警戒は高まった。しかしながら、感染は 徐々に広がり、2020 年4月7日、安倍新 型コロナウイルス感染症対策本部長(内閣 総理大臣)は、特措法第 32 条第1項に基 づき、緊急事態宣言を発出した。2020 年 5月 25 日、緊急事態宣言を解除されたも のの、2020 年現在もなお、新型コロナウィ ルス感染の終息は見られていない。
こうした状況を受け、文部科学省から大
表1 大学向け新型コロナウィルスに関連 の文部科学省諸連絡抜粋
新型コロナウィルスに感染した場合等の 受験生への配慮について(依頼)(令和 2年1月 30 日)
令和2年度における大学等の授業の開始 等について(通知)(令和2年3月 24 日)
大学等における新型コロナウイルス感染 症の拡大防止措置の実施に際して留意い ただきたい事項等について(周知)(令 和2年4月 17 日)
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言 を受けた家庭での学習や校務継続のため の ICT の積極的活用について(令和2年 4月 23 日)
令和2年度における教育実習の実施期間 の弾力化について(通知)(令和2年5 月1日)
大学等における遠隔授業等の実施に係る 留意点及び実習等の授業の弾力的な取扱 い等について(令和2年5月1日)
大学等における新型コロナウイルス感染 症への対応ガイドラインについて(周知)
(令和2年6月5日)
学への初めての通知は、令和2年1月 30 日、「新型コロナウィルスに感染した場合 等の受験生への配慮について(依頼)」と してなされた。ただし、この時点で、大学 の授業そのものへの影響はみられていな い。しかしながら、卒業式・入学式等、三 密(密集・密接・密閉)が生じやすい行事 への対応や場合によっては延期等が提案さ れると同時に、授業内容についても、弾力 的な対処の依頼がなされた。また、令和4 月 17 日、大学等における新型コロナウィ ルス感染症の拡大措置に関し、遠隔授業を 中心とした ICT の活用が提示され、大学 によって授業開始日に違いはあるものの、
ICT を活用した授業が全国的に始まった。
しかし、「令和2年度における大学・専 門学校等の教職課程等の実施に関するQ&
A」において、教育実習の事前指導の対面 型授業を遠隔型授業にかえる場合、面接型 授業に相当する教育的効果を担保すること が示されていた。並行して、令和2年5月 1日の通知において、令和2年度に限り、
教育実習科目の総授業時間数のうち、3分 の1を越えない範囲で行うことが可能とす る通知があり、学内実習の可能性も示され た。
流動的な情勢のなか、当該授業において は、学内での教育実習実施も視野に入れつ つ、当初の授業目的にかなった授業内容の 再構築が求められた。
誰一人置き去りにしない教育
授業においては、ICT を活用すること となったが、学生によっては様々な要因に よって自宅での学習環境が整備されていな い場合も考えられた。
現在、国際社会は、2015 年9月の国連 サミットで採択された「持続可能な開発の ための 2030 アジェンダ」を踏まえ、SDGs
(Sustainable Development Goal: 持 続 可
能な開発目標)に取り組んでいる。SDGs とは、すべての人々にとって、より持続可 能な未来を築くためのゴールとターゲット であり、「誰一人置き去りにしない」を合 言葉に、2030 年までに 17 の目標の実現を 目指している。その中で、教育領域におい ては「4.質の高い教育をみんなに」といっ たゴールが主にあたるが、教育に係る ICT 環境へのアクセスもまた、コロナ禍におい て、すべての学生に保障されるべき重要課 題であった。
この点については、大学全体の取り組み とも連動するが、当該授業において、どう いった配慮がなされたのかといった点につ いても、3.において追記することとする。
なお,第一筆者・第二筆者が主に授業立 案ならびに授業実践を行い、第三筆者・第 四筆者は、授業実践の一役を担った。執筆 は第一筆者を筆頭に全員であたった。
2.授業科目内容の概要
本稿で取り扱う「教育実習事前事後指 導」の授業は,3年次前期・後期に開講し ている。10 月に実施される教育実習に向 けた授業を事前指導、教育実習後の振り返 りを主とした授業を事後指導と位置づけて いる。以下、本来予定されていたシラバス を記したのち、変更したシラバスを授業の ねらいに応じて記していく。
予定されたシラバス
(授業の概要)
教育実習の目的や内容を明らかにし,実 践に必要な心構え,教材研究,指導計画案 作成,学級経営,指導技術等について,具 体例を通して学ぶ。
教育実習後に,自分の実習の成果と課題 を明らかにし,今後の学びについて計画を もつ。
(到達目標)
・ 教育実習の意義を理解し,幼稚園実習に 積極的に向き合うことができる。
・ 教育実習生として園の教育活動に参画す る意識をもつことができる。
・ 指導計画作成の意義について理解を深 め,保育を構想することができる。
・ 教育実習を経て得られた成果と課題等を 省察し,教員免許取得までに習得すべき 知識や技能等について明確にすることが できる。
(授業一覧)
[事前指導]
Ⅰ オリエンテーション
1〜2 教育実習の概要と準備について 3 教育者の目指すべき姿
4〜5 教育実習の心構えと教師の服務
Ⅱ 教育実習の実務練習
6〜8 実習記録の書き方Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ 9〜10 観察実習、遊び実習ほか 11〜12 参加実習、模擬保育ほか
Ⅲ 教育実習の直前準備
13〜14 教育実習体験談(4年生から)・ 直前打合せ
15 実習園オリエンテーション
[事後指導]
Ⅳ 教育実習の反省と課題
16〜17 教育実習の振り返り(個人と各 園別)
18 教育実習報告会
19〜20 教育実習のまとめ(実習記録等 の整理とレポート作成)
Ⅴ 教育現場との連携
21〜22 人権・同和問題(人権意識を育 てる教育活動の理論と実践)
23 教員採用試験合格体験談(現役 合格者から)
24 〜 ボランティア・インターンシッ プによる現場体験
3.2020 年度の授業の概要 当該授業においては、幼稚園教育実習に 特化した「教育実習の手引き」を独自に作 成しており、それをテキストとして採用し ている。
授業においては、教育実習に向けた実習 園の配属や個人調査票の提出等の事務的な 手続きも進めつつ、大きくは、「教材研究」
「幼児理解」「保育実践」の3つを柱に取り 組むこととした。
授業の諸連絡・課題の提出等は、大学が 採用している NTT スマートコネクトのク ラウドサービス「マナバフォリオ」を活用 した。また、各授業については、資料配付 型授業・遠隔型リアルタイム授業・対面型 授業を組み合わせて行った。
以下、各授業スタイルの利点と本授業で の活用例を挙げたうえで、実際の授業の概 要を示し、本授業の振り返りを行っていき たい。
1)ハイブリット型授業の概要
マナバフォリオ(以下、マナバ)の利点と 本授業での活用
本学で採用している「マナバフォリオ」
とは、学習の過程の成果物を長期間収集し 格納していき、学習の「結果」だけでなく 成長の「過程」を評価することが可能な教 育現場向けサービスである。
特長1)学習プロセスの全体俯瞰・目標管 理を促進:学生生活の中で作成するレポー ト、配布物、資料、成績等を「ポートフォ リオ」上に一元的に蓄積・管理をサポート する。
特長2)授業支援と学生の学習促進:講 義、クラスなど、学習単位のコミュニティ の作成を支援する。教員はポートフォリオ を通じてレポートの出題を行い成績や講評 等、伝える。作成したレポートを公開して
コミュニティでの共有を可能にする。
特長3)コミュニケーションの活性化を促 進:授業単位、または学生や教員が自由に 参加できる SNS の作成を支援。メッセー ジの掲載とともに、多様なファイルの添付 を可能にする掲示板機能を備えており、グ ループ学習を支援する。
本学科においては、1年次「総合演習」
という科目において、初年次教育の一環と してその活用について周知徹底される。
3年次での本授業において、パソコンか らだけでなく、スマートフォンでのやり取 りも可能なマナバを本授業においても活用 した。毎回の授業課題は、マナバで提出す ることを基本とした。授業の感想や簡易な 記録等はマナバの「フォーム入力レポート」
に直接書き込むこととした。「このフォー ム入力レポート」は、教員が自由に課題を 設問し、学生は、フォームにしたがって回 答することができ、学生にとっては回答が 簡易であると同時に、教員にとっても管理 を容易にさせるものであった。模擬保育等 で使用するために作成する指導計画案(以 下、指導案)は、事前に様式を送り、それ に入力したものをマナバの「ファイル送信 レポート」に添付して送信、それを教員側 で印刷して確認した。また、教材研究とし て授業内で学んだことをもとに作成した造 形物や、手書きで修正した指導案等は、写 真や動画に撮ってデータをマナバに添付 して送るように指示した。いずれの場合 も、うまく送信・添付できない場合は、教 員の個人メールアドレスを知らせ、そちら へ添付して送ってもよいこととした。ただ し、模擬保育の授業風景を録画し、その提 出をもって課題の終了とみなしたが、本学 契約のマナバにおいては、容量を超えてい た。そのため、Google フォルダーへの送 信、あるいは学生が保存した Google フォ ルダー内のアドレスの添付等により、対応
した。
資料配付型授業の利点と本授業での活用 学生にマナバで資料を配付することで行 う授業では、学生が自分の都合に合わせて 授業を受けることができる。映像を事前に 録画した動画を送信して行うオンディマン ド型と同様であるが、資料配付だけであれ ば、学生にとって通信環境をさほど気にせ ず利用できるという利点がある。また、後 で確認したい箇所があれば、配付された資 料を再度表示したり印刷したりすること で、何度でも読み直すことができるのも利 点の一つである。資料配付型授業で使用す る資料には、対面では口頭で伝えている内 容についても、詳細に追記する必要がある。
誤解のないような文面で伝えることも配慮 の一つである。
この授業では、例年、第1回目の授業に おいて、幼稚園実習園の決定に必要な居住 地調査を実施するが、今回は、各教育委員 会から指示された実習園一覧表を学生に配 付し、各園の住所や通勤方法などを調査す る資料配付型の授業を実施した。初めての 遠隔授業ということもあったため配付型授 業とし、併せて受講生全員のネット環境の 確認も行った。まだ遠隔授業に不慣れな学 生に、マナバで連絡や資料を配付し期日ま でに回答する、といった一連の操作練習を 兼ねたため、調査の回答期間を長くとる配 慮をした。
遠隔型リアルタイム授業の利点と本授業で の活用
対面授業ができない状況下、新学期を迎 えたばかりの時期に、リアルタイムで授業 を行う意義は大きい。今後、予定通り幼稚 園実習が行われるかどうか分からないこと への不安のある学生にとって、担当教員の 名前やマスクを外した顔を知ったり、教員
と学生同士が互いに顔を見ながら、リアル タイムで情報をやり取りしたりすることで 安心できるといった利点があった。
インターネットを利用したテレビ会議シ ステムとしていくつかの方法があるが、本 授業では zoom ビデオコミュニケーション ズが提供する Web 会議システムを使用し た。ネット環境さえあれば比較的簡単に参 加できること、途中、小グループに分かれ ての活動が可能な事、担当教員の使いやす さなども考慮したうえで決定した。大学側 からも希望する教員には zoomID が配付さ れた。
第2回目の授業以降は、対面以外の授業 はすべて zoom 会議システムを使用した遠 隔操作リアルタイム授業を、毎回 90 分間 行った。
対面型授業の利点と本授業での活用 対面式授業は、互いにマスクを着用して いても、教員が学生本人と直接話したりや り取りしたりすることで、ネット環境時に は分からなかった人となりを知ることがで きる貴重な機会である。人と人が実際に出 会い、直接話すことの大切さを実感するこ ととなった。隔席に座っていても、同じグ ループのメンバーで、話を切り出すタイミ ングを気にせず、自由にやり取りできるこ とは、対面授業の最大の利点である。
また、実習を前に、作成した指導案をも とに模擬保育を実践することは不可欠であ るが、これは遠隔授業での実施は難しい。
しかし、対面授業を行うにあたっては、
マスクの着用や手指の消毒を十分行うよう に指示することはもちろんだが、三密を避 ける対応が必要となった。そこで、受講 生 76 人と教員5人が同じ部屋に集まり模 擬保育を行うことは無理だと判断し、広く 動けるスペースのある講義室二部屋を用意 した。担当教員が二部屋に分かれ、さらに
その教室と教室を zoom につないで授業を 行った。重要な連絡事項や、模擬保育の進 め方や指導案作成のポイントなど、担当す る教員が二部屋に分かれた学生全員に、そ れぞれの専門性を活かした指導を行い、互 いの教室の状況を確認しつつ授業を進めて いった。全受講生が同じ内容の指導を受け られるように配慮したためである。
県内や学生が通学してくる隣県の新型コ ロナウイルスの感染状況を見ながら随時決 定していったため、事前指導では第9回〜
12 回の計4回のみ、対面授業を行うこと ができた。
対面授業では、遠隔授業時から模擬保育 に向けて準備を進めていた3人組のグルー プで、実習で行うことの多い「絵本の読み 聞かせ」と「製作活動」の2つの模擬保育 を行った。
2)授業の概要
以下、実習以前に行った 15 回の授業の 展開について、記述する。
第1回:資料配付型授業「実習園調査」
前述したように、学生のネット環境調査 も兼ねて、配付資料をもとに幼稚園実習園 についての課題を事前にマナバで送付し た。併せて、それぞれが、幼稚園実習に向 かう目的を記述するように求めた。前年秋 に行った保育実習を踏まえ、その成果を確 認し、課題を克服したいという意見が多 かった。実際に目的を記すことで、実習の 具体的なイメージをもったり、期待を高め たりすることにつながった。
次回への課題として、事前に郵送した『幼 稚園実習の手引き』を読んでおくように指 示した。
第2回:遠隔型リアルタイム授業①「『幼 稚園実習の手引き』の確認(教育実習の心
構え)」
初めての zoom を使った遠隔授業という ことで、まずは zoom の使い方の資料を事 前に配付し、実際につながった後、その使 用方法を確認した。教員らは、三密を避け られる広い部屋に集まり、パソコンやタブ レット計3台を駆使しながら、授業を進め た。
少し慣れてくると『幼稚園実習の手引 き』を手元で開くように指示するとともに、
データ化したものを画面で共有しながら、
幼稚園実習について詳細を説明した。前述 している通り、この手引きは、実習の進め 方だけでなく、「教材研究」や「幼児理解」
など、多くの具体的な子どものエピソード を記述している本学独自のものである。エ ピソードについて実際に記述した第三筆者 を中心に、具体的な子どもの姿を紹介した。
次回への課題は、マナバで事前に送った
「こいのぼり」の楽譜を見て、家で歌って おくこととした。また、次回授業に使用す る折り紙(買い物に行けない場合は、正方 形の紙)を用意しておくことを伝えた。
第3回:遠隔型リアルタイム授業②「観察 記録の書き方について学ぶ」
前回に引き続き、zoom を使った授業を 行った。幼稚園実習で行う観察実習では、
「観察記録」を書くこと、しっかり子ども を観察し理解することが求められる。観察 実習では、観点をもって幼児を観察し、さ らに幼児理解をもとにエピソードを記すポ イントについて説明をした。
教材研究として、5月のこの時期に歌 う「こいのぼり」の歌唱指導を行った。そ れぞれパソコンやタブレットの前で、歌う 前に顔を柔軟に動かす遊びや、ずっと家に 籠っていることもあり、ストレッチになる 体をほぐす遊びを紹介、その後、声を合わ せて「こいのぼり」を歌った。遠隔で行う
ため、どうしても少しずれてしまうのだが、
それでも一緒に歌うということがとても新 鮮に感じられた。ストレッチを兼ねたこの ような体をほぐす遊びは、これ以後も歌唱 指導をする前には必ず行うこととした。
また、用意した折り紙を使って、実際に カブトを折り、そのカブトを使った遊びや 壁面構成などを具体的に紹介した。それら を組み合わせて壁面構成とする活動では、
近年、折り紙で遊んだことの少ない学生に とっては、いろいろな色の紙で、何枚も折 ることで自然に折り方が身に着き、さらに 色によってイメージを膨らませて作る楽し さを存分に味わうこともできる。本来は数 人のグループで一緒に作成したかったが、
今回は各自で製作することを課題とした。
この課題については、時間がかかると判断 し、提出を1か月先とした。
今期は、実際に園に行って観察実習を行 うことはできなかったが、学生らは昨年度 までの保育実習やボランティア活動など で、ポートフォリオ等に記録したエピソー ドはたくさん持っているはずである。印象 に残っているエピソードを改めて振り返 り、記録にまとめることを次回までの課題 とした。
第4回:遠隔型リアルタイム授業③「指導 案の書き方の確認」
保育の指導案については、今までの様々 な授業の中で書き方を学び、実際に保育実 習でも作成しているが、今回、改めて指導 案の書き方の基本を確認した。
昨年度までも、この授業では学生が保育 アイデアを豊かに構築するために、様々な 取組を行ってきた。指導案は、それを作成 することで必死となり、子ども側の視点を 見失いがちである。実際の子どもの姿を想 像することが難しい学生にとっては、保育 を構想することそのものが保育者視点から
のみになりやすい。子どもの視点から保育 を構想し、指導案を作成する視点を学ばせ たい。
今回は、読み聞かせの模擬保育を行うた めに、まずは、指導案の内容に沿った考え 方を提示することとした。そのため、本授 業の教科書としている担当教員の湯澤美紀 著『子どもも大人も絵本で育つ』(2019)
の中から、3〜5歳児に読みたい絵本を1 冊選ぶように伝えた。そして「その絵本を 選んだ理由」「対象年齢」「読む時期」「読 むときに気を付けたいこと」「見せてほし い子どもの姿」などを記述することを課題 とした。
第5回:遠隔型リアルタイム授業④「読み たい絵本を発表する」
前回の課題をもとに、zoom のグループ セッションで4人組をつくり、それぞれ選 んだ絵本について発表する時間をとった。
前回の課題として考えた項目が、指導案 の項目に合致する点について説明した。す なわち、「なぜこの絵本を読んだか」→「幼 児の実態」に、「絵本を読むときの配慮事項」
→「教師の援助」に、「見せてほしい子ど もの姿」→「ねらい・内容」の欄の内容と なる。
教材研究として、この時期によく見られ るツバメについてとりあげ、歌「つばめに なって」の歌唱指導を行うとともに、ツバ メを題材とした、折り紙や廃材で作る製作 物を見せながら、保育への展開例も紹介し た。
次回への課題として、先週の課題につい て、改めて「幼児の姿」と「ねらい・内容」
について考えて書くこととした。また、自 宅から出られない状況であることを考慮 し、家庭にあるものを利用してツバメを題 材とした製作物を作成し、写真や動画に撮 影して、そのデータを添付して送るよう指
示した。
第6回:遠隔型リアルタイム授業⑤「部分 実習指導案の作成」
前回の課題から、今回は具体的な指導案 例を紹介しながら、いよいよ実際の実習で 作成する指導案の形にしていくように解説 を行った。今まで2週にわたって子どもた ちに絵本の読み聞かせをどのように行うか 考えてきたことが、結果として指導案とし て完成することを伝えた。
教材研究として、前回の課題であったツ バメの製作物の写真や動画を、グループ セッションで作られた4人組になり紹介し 合った。また、梅雨の季節になったことか ら、「てるてるぼうず」の歌唱指導と、作っ たてるてる坊主を実際に使って遊ぶわらべ うたを紹介した。
次回への課題として、前週までの絵本の 読み聞かせの部分実習指導案を様式に合わ せて作成することとした。指導案の形式は データにしてマナバで送付した。
第7回:遠隔型リアルタイム授業⑥「模擬 保育Ⅱに向けた保育の構想」
新たにグループセッションで3人組をつ くり、模擬保育Ⅱに向けて活動を構想する よう促した。10 月の幼稚園実習で行いた い活動を考えることとし、昨年度の実習で 先輩らが行っていた活動として、いくつか 紹介した。グループメンバーで考える内容 としては「活動名」「対象年齢」「予想され る幼児の姿」「具体的な学びや育ち」とし、
マナバのレポートフォームには、それぞれ が書くことを課題とした。
教材研究として、「てるてるぼうず」の 歌唱指導と合わせ、グループで紹介し合っ たツバメの製作物の写真を全体でも画像を 共有して紹介した。他の学生のアイデアや 工夫を見せ合うことで、互いに学び合うこ
とができた。
第8回:遠隔型リアルタイム授業⑦「今ま で学んだことの振り返り」
前々回に作成した絵本の読み聞かせの指 導案について、教員が気づいたいくつかの 点について、再度、重要なポイントを書い た資料を配付し確認した。記入もれや幼稚 園実習に適切な言葉を使用しているかと いった点に加え、活動内容が年齢に応じて いるか、子どもの興味や関心に寄り添って いるか等を見直すよう指導した。
また、第3回の課題とした「今までに出 会った子どもとのエピソード」について、
学生が書いたいくつかの例を紹介しながら 解説を行った。幼児理解は保育の原点であ り、子どもをあたたかい目でしっかりと観 察し、子どもの思いを感じながら関わるこ とで幼児理解はより深まる。幼児理解がで きてこそ、指導案が作成できるのである。
授業を通して、このような統合的な学びを 大切にしたい。
教材研究として、この時期に園でよく取 り上げられるカエルを題材として、「かえ るのうた」の歌唱指導、カエルの製作物や 保育への展開例などを紹介した。季節に応 じた教材研究の大切さを伝えた。
次週は対面授業となる。そこで、本日の 課題として、本日の授業で分かったこと3 点についてマナバのレポートで提出するこ とに加え、廃材を使った楽器をつくって持 参するように伝えた。
第9回:対面授業①「事務書類の作成と模 擬保育Ⅰの準備」
3カ月ぶりの対面授業では、前述したよ うに、76 名の学生たちには、事前に教室 の収容人数に応じて、30 名と 46 名に分か れて集まるように指示した。担当教員も2 名ずつに分かれ、二部屋を zoom でつない
で授業を行った。
学生同士も久しぶりに出会うためか、皆 やや緊張気味であった。また、広い教室に 隔席に座っていることや、感染防止への配 慮もありとても静かであった
まずは、実習に必要な書類について、対 面授業が行える間に提出できるように準備 するとともに、調査をもとに決定した実習 園を学生に通知した。また、同じ実習園に 行く者が同じ教室になるように配慮し、初 めての顔合わせをした後、教生長を決める ように声を掛けた。
前回の課題として、手作り楽器を持参し ていたので、歌「おもちゃのチャチャチャ」
に合わせて合奏をした。家にある廃材をう まく利用して、ギターやカスタネットなど を作成していた。実習で子どもと一緒に作 ることを想定している学生も見られた。互 いの教室の様子をタブレットのカメラで映 し出すことで、教室の異なる友達の作品も 見ることができた。
来週までの課題として、前回作成した
「絵本の読み聞かせ」の指導案を再度手直 しして持参し、全員が先生役となって実践 する模擬保育Ⅰを行うため、絵本や活動の 導入などで使用する物も持参するように伝 えた。また、作成した楽器も写真に撮影し、
データをマナバに送るように指示した。
第 10 回:対面授業②「模擬保育Ⅰを実践 し、先生役を経験する」
前回同様、2部屋に分かれたが「絵本の 読み聞かせ」の模擬保育Ⅰを行うため、第 7回の遠隔授業のグループセッションで集 まった3人が同じ教室となるようにした。
自由に図書館に行くこともままならない 状況下、絵本が手元にない学生3人から メールで連絡があり、研究室にある絵本を こちらで準備した以外は、全員、模擬保育 で使う絵本や指導に使う遊具等を準備して
きた。3人組での活動であったが、一人ず つ順番に先生役となるため、緊張感をもっ て進めている様子が見られた。指導後は、
絵本の持ち方、読み方、導入の工夫の他、
子どもたちは読んでいる先生の顔も見なが ら聞いていることなど、担当教員が気付い た点について伝えた。
次週から行う製作活動の模擬保育Ⅱに向 け、グループで決めた活動について、それ ぞれに指導案を作成してくることとした。
第 11 回:対面授業③「模擬保育Ⅱの準備」
次週行う模擬保育Ⅱでは、3人が先生役 と子ども役に分かれ、グループ2組で互い に見せ合うことで学び合うこととし、それ に向かって準備をする時間とした。模擬保 育で使用する材料を持参し、試してみてい るグループもあった。担当教員にアドバイ スを求め、活動内容を見直したり、指導案 を書き直したりする時間とした。
第 12 回:対面授業④「模擬保育Ⅱを実践 し、互いの保育を見せ合い学びを深める」
2組のグループで互いに模擬保育を見せ 合うこととした。グループごとに教室の広 い場所に離れて移動し、先生役の学生はマ スクの上にフェイスガードを使用する対策 を施したうえで模擬保育Ⅱを行った。
製作活動がテーマであったので、絵具や クレパス、画用紙などの用具も用意し、そ れぞれのグループで工夫しながら、模擬保 育を終えた。
今後の感染状況によっては、後期の授業 の進め方にも影響があることが考えられる ため、模擬保育の様子を、相手方のグルー プメンバーに録画するように伝え、その データを共有のドライブに保存しておくよ うに求めた。
課題として、自分のグループの指導案に は反省・評価を記載、相手方の指導案には、
感想や自分だったらこうするといった視点 からも赤字で記入し、写真にとって、デー タを送信することにした。県内の感染状況 が悪化し、来週から遠隔授業にすることに したからである。
第 13 回:遠隔型リアルタイム授業⑧「模 擬保育Ⅱの振り返り」
前回の模擬保育についての振り返りを 行った。指導案と保育との関連をはじめ、
出来上がった製作物の扱い方、製作に扱う 題材を子どもの興味や関心とどうつなげる かなど、実際の園でのエピソードを交えな がら具体的に紹介した。
来週までの課題として、集団遊びとして、
わらべうたで遊ぶ活動の指導案を作成する こととした。子どもが喜ぶ三つのわらべう たを教員が選び、それぞれの楽譜、歌唱専 門の教員が歌っている動画を録画して送 り、学生がその中から一つを選んで、対象 年齢を決めて指導案を作成し提出する。指 導案を書くことに慣れることもあるが、こ れまでの「絵本の読み聞かせ」「製作活動」
と、「集団遊び」の指導案を書いた経験を もって実習に行くことができる自信につな がるよう考えた。
第 14 回:遠隔型リアルタイム授業⑨「集 団遊び(わらべうた)の指導案作成」
前回課題としていた指導案にとりあげた 三つのわらべうたについて、実際に子ども が遊んでいる DVD を流したり、担当教員 が教室で模擬保育を行い、タブレットでリ アルタイムに配信したりした。
今後、実習園へオリエンテーションに行 くため、その確認も行った。
課題として、本日の授業の感想の提出と、
本日の授業内容を聞き、再度指導案を見直 したものを2週間後までに提出することと した。
第 15 回:幼稚園実習園事前オリエンテー ション
各園と日程調整をしたうえで、学生らが 実習園に出向き、園長先生と事前オリエン テーションを行うこととした。さらに可能 であれば、実習までにボランティアをさせ ていただくよう依頼するように伝えた。
以上のように、第1回〜 14 回において、
ハイブリッド式の授業展開を行ってきた が、全体を通して、例年にはない配慮とし て次の2点をあげる。
まずは、例年に増して学生一人一人に丁 寧に対応するということである。これは SDGs の理念にも通じる。
毎回の授業後には、マナバを通して学生 から課題が届くが、毎週、課題を送る際、
質問など自由記述できる欄を設け、遠隔授 業等に対する不安がある学生への配慮を 行った。教員の個人メールアドレスも繰り 返し伝え、些細な質問にも細やかに応じる 姿勢を示した。
そういった質問欄に書かれた声の中か ら、遠隔リアルタイム授業時、始終顔を見 せながら授業を進められることにストレス に感じる学生がいることが分かった。個別 への返信とともに、全体へも、必要のない 時には画像と音声をオフにして授業に参加 してよいことを伝えた。
また、様々な理由で欠席した学生の不安 を軽減するために、毎回、その日の授業内 容についての振り返りと次回への課題につ いて、改めてマナバに記載して送信した。
学生から届く電子メールの数は、昨年度 より著しく増加したが、その分、学生の疑 問点が分かり、そのことについて再度マナ バで全体へ返すこともできた。これらは、
対面授業であれば当然できていたことでは あるが、対面でないからこそ届いたものも ある。
二点目に、毎回の授業はじめに、教材研 究や保育エピソードを伝える時間を確保し たことである。例年ならば、本学に併設さ れている附属幼稚園において観察実習2日 間(5月)、遊び実習2日間(6月)を体 験したうえで、4週間の教育実習(10 月)
に出るのであるが、4月から7月末までは、
実習やボランティア活動などは、大学の判 断としてすべてが中止されることとなっ た。そのため毎回の授業で、子どもの姿を 思い浮かべながら実践的な学びを得ること ができるよう配慮した。
教材研究や指導案作成の過程で、学生の 幼児理解を深められるよう、それぞれが関 連し合って保育が展開された事例を多くと りあげてきた。このような経験を重ねるこ とで、学生に実践力を育むことができるよ う努めた。なお、学生の ICT 環境の整備 に関しては、大学より PC の貸与、Wi-Fi 環境の新たな設置、Wi-Fi の通信容量の増 大に関し、申請に応じて助成が行われた。
3)学生の課題提出状況
このような状況下にあっても、学生らは 日々、授業担当者から次々と送られてくる 課題に取り組むことに懸命であった。本授 業においても毎回、課題を提出することを 求めた。提出の締め切りは、次週の課題と 重ならないように、授業後3〜7日の間に 提出するように設定したが、内容によって は、1ヶ月程度を見越して指示したものも あった。
事前指導の計 14 回の授業におけるマナ バを使用した課題の提出率は、第1回、4 回、6回、7回、13 回については 100%、
第2回、5回、12 回は 99%、第3回、8 回は約 95%、第9回、14 回(指導案)は 92%、第 14 回(感想)が 83%(第 10 回、
11 回は対面授業のためマナバでの提出課 題なし)であった。この数値には、締め切
り期限を過ぎて、こちらから催促したのち、
メールで提出されたものも含まれている。
マナバの締め切り当初の提出率は、第4 回のみ 100%で、残りの回は 99%(第4回、
第 13 回)〜 83%(第 14 回)であった。
マナバは提出期限を過ぎると提出できな くなるように設定されているため、未提出 の原因として、メールには「送ったものだ と思っていた」「締め切りを間違えていた」
「ネット環境が整わなかった」などの理由 が語られていた。
4)授業上の課題
ハイブリッド型の事前指導を行う上での 課題として、まずは担当教員らが、様々な 遠隔授業でできることを理解することが求 められる。この授業では、常勤の担当教員 3人が、それぞれに他の授業で経験してい るノウハウを持ち寄り、アイデアを出し合 いながら授業を進めることで、何とか遠隔 でできる方法を編み出し、学生らが学ぶ機 会を逃さないように工夫した。毎回の授業 では、学生の出席状況を確認しながらネッ ト環境のトラブルをメールで知らせてくる 一人一人の学生への個別の対応をする教 員、全体の進行をする教員、それぞれの専 門性を活かした教材研究、幼児理解等につ いて語る教員など、複数の教員が同じ場に いたからこそ、役割分担しながら進めるこ とができた。途中、様々なトラブルが起き た際にも、大きな混乱なく切り抜けること ができたことは、教員自身が遠隔授業を行 ううえでの経験値となった。
学生らにとっては、この授業以外でも、
授業によってさまざまな遠隔授業の進め方 があり、混乱しながら課題をこなすことに 精一杯である様子も窺えた。尋ねたいこと があってもすぐに聞きに行くことができな い不自由さを感じていたようである。課題 の提出が出席扱いとなるため、課題の一つ
一つとどう向き合うか、自己管理する力も 求められている。
一方、これからの IT 社会で働くことに なる学生らにとって、この遠隔授業で得た 経験は、間違いなく貴重な学びの経験と なっている。保育課程の学生たちに、今ま でマナバで一斉に連絡事項を伝えることは あっても、作成した資料や写真データを添 付して送るといったことはほとんどなかっ た。対面授業時であれば、紙ベースで提出 することで何も不都合がなかったからであ る。この経験で得た知識を、社会で活かし てほしい。
4.今後継承したい取組
遠隔授業により、毎回データで課題を提 出したことで、教員や学生自身がいつでも 提出した資料の内容を確認したり、上書き したりすることができた。今回、一度作成 した指導案について、教員からの助言や模 擬保育の経験後に、過去に書いた指導案を 見直し、上書きをして提出するという課題 を2回実施した。それぞれ2度目に提出さ れた指導案は、以前のものと比較すると、
より適切な表現や内容に修正されており、
データとして web 上に残しておくことは、
学びを積み上げるという意味で非常に有効 であった。また、リアルタイム配信時には、
画面越しではあるが、誰もが教室の一番前 で講義を受けることができた。対面授業で 広い講義室内では伝えにくいことや見えに くいものも、手元に映しながら伝えること ができた点は、遠隔授業の良さであった。
今後は対面授業でもこの良さを工夫して活 用したい。
一方、授業の進め方について、例年なら ば、複数の教員の目で、学生の実態を確認 しながら進めることができたが、今期は、
画面越しとマスクをつけたままの対面授業 4回だけであり、個々の学生の本授業での
取り組みについて十分に把握することはで きず、課題として提出された資料や、出席 状況や課題の提出状況を確認したり、メー ルを介したやり取りをしたりするほかな かった。しかしその中で、教材研究とし て、学生が家で製作し写真に撮って提出し た製作物は、その学生がどのような姿勢で 課題に取り組んでいるかがよく分かり、学 生を理解する一つの指標となった。工夫を 凝らし丁寧に作られた製作物は、それをい かに保育に活かそうとしているのか、製作 者の思いのこもった保育環境の一部となり うる。子どもの姿を想像しながら、自分の 手で作ったり描いたりして課題に向き合う 学生の姿勢は、しいては子どもに関わる保 育者の姿につながる。
今年度、自宅での学習が多くなったが、
「教材研究」を通して「幼児理解」をさら に深め、同時に、指導構想するといった「保 育実践」力もまた培うことができたように 思う。今後もこの3つの柱を本授業のねら いと定め、時に、連関させながら、学生一 人ひとりの学習実態に応じた応答的な授業 を進めていきたい。
考察・引用文献
1)文部科学省(令和2年1月 30 日)「新 型コロナウィルスに感染した場合等の受 験生への配慮について(依頼)」
2)文部科学省(令和2年3月 24 日)「令 和2年度における大学等の授業の開始等 について(通知)」
3)文部科学省(令和2年4月 17 日)「大
学等における新型コロナウイルス感染症 の拡大防止措置の実施に際して留意いた だきたい事項等について(周知)」
4)文部科学省(令和2年4月 23 日)「新 型コロナウイルスによる緊急事態宣言を 受けた家庭での学習や校務継続のための ICT の積極的活用について」
5)文部科学省)(令和2年5月1日)「令 和2年度における教育実習の実施期間の 弾力化について(通知)」
6)文部科学省(令和2年5月1日)「大 学等における遠隔授業等の実施に係る留 意点及び実習等の授業の弾力的な取扱い 等について」
7)文部科学省(令和2年6月5日)「大 学等における新型コロナウイルス感染症 への対応ガイドラインについて(周知)」
8)三宅一恵 児子千鶴子 池田尚子 湯 澤美紀(2020)「初等教育実習事前事後 指導」の授業内容の検討Ⅱ−保育アイデ アの構想を豊かなものにするために−
ノートルダム清心女子大学紀要 人間生 活学・児童学・食品栄養学編 第 44 巻 第1号,79-90
9)湯澤美紀 児子千鶴子 三宅一恵 片 平朋世(2017)製作遊びの研修プログラ ムの提案(2)−「製作遊び−折り紙を 使って何をつくろう?」− ノートルダ ム清心女子大学紀要 人間生活学・児 童学・食品栄養学編 第 41 巻第1号,
116-125
10)湯澤美紀(2019)「子どもも大人も絵 本で育つ」柏書房