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熱可塑性樹脂シートのしわ抑制検討と実構造物の壁面での養生実績

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Academic year: 2022

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熱可塑性樹脂シートのしわ抑制検討と実構造物の壁面での養生実績

大阪広域水道企業団 北部水道事業所 志賀真悟 廣村 治 羽口武士 鹿島建設(株) 正会員 ○仲森稔晃 芦澤良一 坂本 真 藤井信宏 東京大学大学院工学系研究科 フェロー 石田哲也

1.背景および目的

コンクリートの耐久性をはじめとする表層品質を 向上させるために,写真-1 に示す,高撥水性を有 する熱可塑性樹脂シート(以下,シート)を用いた 養生工法(以下,シート養生)を考案した 1).この 養生方法は,図-1 に示すとおり,予め型枠にシー トを貼付しておき,コンクリートを打ち込んで型枠 を取り外した後もシートを残置するもので,長期間 の水分逸散防止養生を行うことが可能である.ここ で , 一 般 的 な 樹 脂 シ ー ト の 熱 膨 張 係 数 は 約 140

(10−6/K)程と大きいため,写真-2 に示すように,

夏期に日照を受けることでしわが発生し,コンクリ ートにしわが転写されることが課題として挙げられ た.本報告では,シートの熱膨張係数を要因として,

夏期の日照を模擬した室内加温試験を行い,しわの 発生の有無を調べた結果と,シート養生を実構造物 の壁面に適用した実績について報告する.

2.シートの日照模擬試験 2.1 試験概要

しわの発生を評価するための試験として,写真-3 に示すように,室温20℃の恒温・恒湿養生槽内にシ ートを専用のりで貼付した型枠を水平に置いて,日 照を模擬するため電熱線ヒータ(写真-4)で加温し,

しわ発生の有無を目視で確認した.シートは一般的 な熱可塑性樹脂の熱膨張係数である①約140(10−6/K) のものと,しわの発生を防ぐため②約 70(10−6/K)

に低減した2種類を評価した.試験は,シートとヒ ータの距離を50cmとして,型枠の中心から10cm毎,

5分~20分間隔でシートの表面温度を測定した.ヒ ータの仕様は表-1のとおりである.

2.2 試験結果

図-2にヒータの照射から80分後におけるシート の表面温度分布を示す.2 種類のシートとも,温度 分布はほぼ同じになった.最も温度が高くなったヒ

表-1 ヒータの仕様

電源 AC100V 50/60Hz 電熱線 消費電力 400W ミ ニ レ フ ラ

ンプ 消費電力 40W 本 体 外 形 サ

イズ

約 φ 279 × 高 さ 121mm

図-2 各測点の温度分布(80 分後)

図-3 経過時間と最高温度推移 キーワード:熱可塑性樹脂シート,水分逸散防止養生,日照模擬試験,熱膨張係数

連絡先 〒182-0036 東京都調布市飛田給2-19-1 鹿島建設(株)技術研究所 TEL 042-489-8006 20

25 30 35 40

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

表面温度(℃)

ヒータ直下からの距離(cm)

20 25 30 35 40

0 20 40 60 80 100

表面温度(℃)

経過時間(分)

② 写真-1 シート外観

写真-3 試験状況 10cm毎に測定

写真-2 日照によるしわ

写真-4 電熱線ヒータ ミニレフランプ

電熱線

最高 37.9℃

最高 37.9℃

ヒータ・型枠間距離:50cm 50cm

図-1 シート養生概要

コンクリート打込み時

シート 型枠

脱型時

乾燥しない

脱枠時 コンクリート打込み時

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑341‑

Ⅵ‑171

(2)

ータ直下から10cmの位置の経過時間と最高温度分布 を図-3に示す.2種類のシートとも,概ね温度分布 は一致しており,最高温度は約38℃,室温20℃との

温度差は18℃程度となった.写真-5,写真-6に,

80 分経過時のしわ発生状況を示す.ほぼ同じ温度分 布の状況において,シートの熱膨張係数の差によって,

しわ発生に大きな差異があることが分かった.

3.実構造物の壁面におけるシート養生の実績 3.1 施工時の状況

シート養生を適用した構造物の全景を写真-7 に 示す.延長15.9m×高さ0.8mの壁面約13m2にシート 養生を適用した.型枠は縦0.9m×横1.8mの合板9枚 を使用した.コンクリートは表-2に示す配合のもの を使用した.熱膨張係数②約70(10−6/K)のシートを 貼付した型枠を建込み後,コンクリートを打ち込んだ.

図-4に施工時の最高最低気温の推移を示す.7月下 旬のシート貼付け~8 月上旬のコンクリート打込み までの期間で,1日の温度差は7℃~10℃程度であっ た.この条件下での施工を行った結果,日照によるし わは生じなかった.

3.2 シート養生結果

材齢14日で脱枠し,シートの撤去時期は,脱枠時

(14日),28日,および250日以上とした.写真-8 に示すように,シートのしわが少なく,写真-9に示 すように,203日時点でコンクリートにシートが残置 されており,確実な養生ができていることが確認され た.写真-10に脱枠時(14日),シート撤去した直後 の外観写真を示す.日照によるシートのしわがコンク リートに転写されること無く,平滑な表面となってい ることが分かった.

4.まとめ

日照模擬試験により,熱膨張係数を低減したシート のしわが少ないことを確認した.実構造物の壁面にお いて,しわ無く,シート残置による養生が可能である ことを確認した.

謝辞

本研究の実施にあたり,積水成型工業(株)の矢野英 伸氏,渋谷能成氏をはじめとする,多くの皆様に多大 なご協力を頂いた.ここに感謝の意を表す.

参考文献

1)石田ら:熱可塑性樹脂シート養生によるコンクリー トの表面改質,土木学会第69回年次学術講演会講演 概要集, pp.117-118,2014.

写真-5 ①約 140(10−6/K)

写真-6 ②約 70(10−6/K)

写真-7 シート養生適用箇所

表-2 コンクリートの配合

W/C (%)

スランプ (cm)

(%)

細骨 材率 (%)

単位量(kg/m3) セメ

ント

混和

54.0 10.0 4.5 45.9 168 311 832 995 1.87 30-10-20Lのレディーミクストコンクリート

写真-8 シート養生の状況 脱枠時(14 日)

シート貼付け 打込み

図-4 施工時の外気温

15 20 25 30 35 40

28日 29日 30日 31日 1日 2日 3日 4日

7月 8月

外気温

最高気温(℃) 最低気温(℃)

シート有

千里浄水池築造工事 しわなし ヒータ

しわ多い

写真-9 シート養生状況 材齢 28 日

写真-10 シート撤去直後の外観 脱枠時(14 日) 土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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参照

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