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貼付型養生シート「シンプル キュア」の開発と現場適用

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Academic year: 2021

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(1)

西松建設技報 VOL.41

貼付型養生シート「シンプル キュア」の開発と現場適用

椎名 貴快 Takayoshi Shiina

1.はじめに

型枠を取り外した後のコンクリート壁面を効率的に養 生するため,片面に粘着加工を施して貼付け施工できる 養生シート「シンプルキュア」を宇部エクシモ(株)と 共同で開発した.本報では,シンプルキュアの特長やそ の養生効果および現場適用例について概説する.

2.貼付型養生シート「シンプルキュア」

「シンプルキュア」は,農業用ハウスの内張り保温材と して実績のあるLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)製 の中空フィルムに着目し,同フィルムの片面に特殊な粘 着加工を施したコンクリート用被膜養生シートである

(写真―1).

⑴ 断面構造

基材は,図―1に示すように幅約5.0 mm×厚さ約1.1 mmの連続した空気層を有する中空構造で,空気層によ ってコンクリート中の熱を外部に逃がしにくくする「保 温効果」を得られ,かつ素材自体が水を通さないため,コ ンクリート表面からの水分逸散を防止して「保湿効果」

も期待できる.

⑵ 荷姿寸法

シンプルキュアの荷姿寸法は,幅570 mm×50 m巻

(約28 m2)または幅1,150 mm×50 m巻(約57 m2)の2 種類を標準とし,シート自体の重量は約214 g/m2で市販 の養生マットと同程度である.

⑶ 使用方法

シートの剥離紙を剥がし,粘着加工面をコンクリート 表面に押し付けることで容易に貼り付いてコンクリート 面を覆うことができ,保温・保湿養生の効果を発揮する.

紫外線の作用する屋外での耐用期間は3〜5か月ほどで,

必要により紫外線劣化防止剤を付与するとより長い耐用 期間を得られる.なお,シートの繰返し転用はできない.

⑷ 用途

本シートの代表的な用途は,ボックスカルバートの側 壁やスラブ下面,橋脚の柱・梁部,高欄,トンネル覆工 コンクリート,擁壁などであり,一般的なマット状の養 生材では設置が難しい壁状コンクリート面に有効である.

3.養生性能と効果

3―1 試験概要

20℃屋内環境にて,幅400 mm×高さ400 mm×奥行き 300 mmの型枠内にコンクリート27-12-20 N(W/C=

55%,C=300 kg/m3)を打込み,翌日脱型した後,400

mm×400 mmの一面を試験面として各種養生の性能比

較試験を実施した.養生方法は全3水準で,①無対策(脱 型後,20℃気中存置),②湿潤養生7日(脱型後,材齢7 日まで濡れウエスとブルーシートで封緘状態とし,養生

終了後は20℃気中存置)および③シンプルキュア養生

(脱型後,材齢28日までシンプルキュアで養生し,その

後は20℃気中存置)とした.

3―2 養生性能

⑴ 保温性

コンクリート表面から深さ方向に埋設した熱電対の測 定温度データを用いて,逆解析により養生時の熱伝達率 を求めた.熱伝達率[20℃,無風時]の値は無対策時で 13.2 W/m2 K,シンプルキュア養生では8.6 W/m2 Kとな り,シンプルキュアの熱伝達率は合板の値(8 W/m2 K:

土木学会コンクリート標準示方書1)より)と同程度で,合 板型枠を存置し続けた場合に近い保温性を有していた.

⑵ 保湿性

シンプルキュアで覆われたコンクリート表面付近の相 対湿度は90%RH以上で高く,材齢8日目に高周波容量 法水分計で測定したコンクリート表面の含水率は,無対

策で5.6%,シンプルキュア養生で12%超であった.

技術研究所土木技術グループ

図 ― 1 シンプルキュアの断面構造 写真 ― 1 貼付型養生シート「シンプルキュア」

(粘着剤)

養生シート

剥離紙

基  材 (LLDPE 製中空フィルム)

※ LLDPE

※ OPP

(直鎖状低密度ポリエチレン)

(2 軸延伸ポリプロピレン)

約 1.1 mm

約 5.0 mm

(OPP : 20μm 厚)

(アクリル系)

(コンクリート面側)

中間層 粘着剤

(2)

西松建設技報 VOL.41

2 貼付型養生シート「シンプルキュア」の開発と現場適用

3―3 養生効果

⑴ 圧縮強度

材齢7日,28日での圧縮強度試験結果を表―1に示す.

シンプルキュア養生は,28日強度が湿潤養生7日と概ね 同等で,無対策に比べると1.65倍大きく,保温・保湿に よる強度増進効果を確認できた.

⑵ 細孔径分布

図―2にコンクリート表面部0〜5 mmから採取した 試料の細孔径分布(材齢80日目)の測定結果を示す.シ ンプルキュア養生は,細孔直径1〜0.1 µmの比較的粗大 な径の範囲が20℃水中養生と概ね同程度で他よりも少 なく,一方で0.06 µm以下の微小径範囲が増加し,養生 で空隙組織が緻密化して20℃水中養生並みの細孔構造 であった.

⑶ 中性化抵抗性

図―3に促進中性化試験(JIS A 1153)の結果を示す.

シンプルキュア養生の中性化抵抗性は,湿潤養生7日と 概ね同程度で,無対策に比べて3割ほど向上した.

⑷ 表層品質評価

図―4に材齢135日目に測定した表層透気試験による 表 層 透 気 係 数kT (×10-16 m2)お よ び 表 面 吸 水 試 験

(SWAT法)による表面吸水速度P600(ml/m2/s)の値

を,無対策時の測定値に対する比率で示す.シンプルキ ュア養生は,コンクリート表層部での透気性および吸水 抵抗性が,湿潤養生7日と同程度の品質を有していた.

1.00

0.37 0.42

0.09 1.00

0.73 0.70

0.24

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

①無対策 ②湿潤養生

7日

③シンプルキュア 28日

(参考) 20℃

水中養生

無対策1.00

表層透気係数 表面吸水速度

図 ― 4 表層品質評価(表層透気係数,表面吸水速度)

4.現場適用例

山岳トンネル二次覆工コンクリートの坑口部覆工スパ ンの高耐久化を目的に,セントル型枠を脱型した後,シ ンプルキュアを貼り付けて養生を行った(写真―2).ま た,2連ボックスカルバートの側壁(壁厚800 mm)およ び中壁(壁厚500 mm)をシンプルキュアで合計210 m2 養生した(写真―3).本工事では,コンクリート面の汚 れ防止も兼ねていた.

写真 ― 2 トンネル二次覆工コンクリート

写真 ― 3 ボックスカルバート(側壁・中壁)

参考文献

1) 土木学会:2017年制定コンクリート標準示方書[設 計編]

表 ― 1 圧縮強度

養生方法 圧縮強度(N/mm2

7 28

① 無対策(脱型後,20℃気中) 19.2(1.00) 22.0(1.00)

② 湿潤養生(7日) 28.0(1.46) 35.8(1.63)

③ シンプルキュア養生(28日) 26.8(1.40) 36.2(1.65)

(参考)20℃水中養生 28.6(1.49) 39.3(1.79)

図 ― 3 促進試験による中性化深さ 図 ― 2 細孔径分布 0.000

0.002 0.004 0.006 0.008 0.010 0.012

0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000

(ml/g)

細孔直径(μm)

①無対策

②湿潤養生7日

③シンプルキュア養生28日

(参考)20℃水中養生 表面部 0~5mm

(材齢80日目)

0 5 10 15 20 25 30 35 40

0 5 10 15 20 25 30

進試験mm

促進材齢(週)

①無対策

②湿潤養生7日

③シンプルキュア養生28日 (参考) 20℃水中養生

27-12-20N (W/C=55%)

参照

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