宮崎県 追補
著者 南谷 忠志
雑誌名 植物地理・分類研究
巻 60
号 2
ページ 46
発行年 2013‑03‑01
URL http://doi.org/10.24517/00053534
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
南谷忠志(〒
880
-0913
宮崎市恒久5
-4
-7
)45.宮崎県
追補(A) 植物誌
『宮崎県植物誌』(平田正一 1984)は200部しか 印刷せず,発行直後に絶版となっている。その後,
各地から新版の発行をしないのかとの問い合わせが あものの,目処は立っていない。間もなく30年を 迎えようとしているし,自生種が2144(変種以上)
あったものが現在では2500を越えており,宮崎植 物研究会で何とかせねばとの話題となっている。
中には新種と思われるものが相当数確認されてい るが,未発表のままになっていることも足踏みの原 因となっている。
県新記録,九州新記録や新種と思われるものは
『宮崎県総合博物館研究紀要』(毎年発行)や『宮崎 植物研究会誌』(隔年発行を目標)に報告されてい る。これらの報告書はそれぞれHPがあるので,そ こから問い合わせれば入手できる。
(B) 研究機関
日南市にある世界唯一の蘚苔類研究所である服部 植物研究所も2006年に60周年を迎え,宮崎県総合 博物館で記念展示「コケの世界」を実施し,その中 で『服部植物研究所報告』の100号までを展示した。
宮崎県総合博物館は歴史部門と自然史部門があ り,植物担当の学芸員は2人で,植物観察会などの 普及活動など生涯学習施設として多面的な活動をし ている。特に3年スパーンで調査地域を決めての資 料収集,それらの報告書作成,そして記念展示へと 繋がる活動は注目すべきで,今は4巡目に入ってい る。最近は県民からの植物の問い合わせも多くなっ たという。
宮崎植物研究会は間もなく30周年を迎えようと している。オオヨドカワゴロモやヒュウガタイゲ キ,シロバナナガバノイシモチソウなどの希少種の 保全活動や著名な場所の調査と報告(11号は綾照 葉樹林と猪八重渓谷)をしている。 4年前にHPも 立ち上げている。
県の南西部にある都城市に拠点を置いた都城盆地 植物愛好会は,かなりの歴史があり,1995年に『都 城盆地及び周辺の植物』を出版したが,それを最後 に現在は活動の様子が見られないのは残念である。
(C) 標本庫
宮崎県総合博物館の標本は室屋瀧雄氏コレクショ ン寄贈もあり,ようやく50,000点を超えている。
館自体の積極的な収集活動も行われている。ここ には江戸時代の賀来飛霞のコレクションがあるが,
2110年に国の登録記念物に指定されている。
個人のコレクションととしては,南谷忠志が自宅 保管の10万点を超える標本があり,特にミツバツ ツジ類(5,000点を超える)は日本全国のものを収 集している。また,イラクサ科のPellioniaもほぼ 全国規模のものが集まっている。しかし,依然とし て収集は増えるものの,整理不十分で検索が容易で ない。早急な対策が必要だと感じている。
(D) レッドデータブック
環境省と同じ年の2000年に『宮崎県の保護上重 要な野生生物(宮崎県版レッドデータブック)』を 出版した。その後は,10年スパーンで調査と出版 を実施するとの計画どおり,2010年に改訂版を発 行している。群落,動物も入っており,植物には維 管束植物の他,蘚苔類・車軸藻類・淡水産紅藻緑藻 類・地衣類・担子菌類も取り上げている。維管束植 物は2000年版には646種を対象にしたが,2010年 版は127種が増えて773種が絶滅あるいは絶滅危惧 種に指定されている。また,今年の3月にその『概 要版』も出版された。両方とも販売されているので,
鉱脈社(0985-25-7291)に問い合わせれば入手可 能である。
(E) 植物群落
宮崎県には照葉樹林が日本一多く残っており,特 に綾町などに広がる国内最大規模の照葉樹林と周辺 地域がユネスコの生物圏保存地域(エコパーク)に 登録されることが決まった。国内では屋久島や志賀 高原など4地域が登録されて以来,32年ぶりで5例 目である。
ここの照葉樹林は多くの研究家が調査しているが,
宮崎植物研究会も会誌11号に調査報告している。現 在,地元の綾町は菌類等の調査も実施中である。
県内の重要な植物群落は前述の宮崎県レッドデー タブックに312の群落が取り上げられている。
図 宮崎県の保護上重要な野生生物
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植物地理・分類研究 第 60 巻第 2 号 2013 年 3 月