• 検索結果がありません。

の 割 増 (3) 共 済 年 金 職 域 部 分 (243 万 円 )の 廃 止 と それに 替 わる 年 金 払 い 退 職 給 付 の 新 設 共 済 年 金 の 職 域 部 分 はすでに 2015 年 10 月 に 廃 止 することが 決 定 済 みであるの で 年 金 払 い 退 職 給

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "の 割 増 (3) 共 済 年 金 職 域 部 分 (243 万 円 )の 廃 止 と それに 替 わる 年 金 払 い 退 職 給 付 の 新 設 共 済 年 金 の 職 域 部 分 はすでに 2015 年 10 月 に 廃 止 することが 決 定 済 みであるの で 年 金 払 い 退 職 給"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

退職金の大幅切り下げをさせないための第

1 次討議資料

2012 年 11 月 22 日 全国大学高専教職員組合中央執行委員会 政府は8 月 7 日、国家公務員の退職手当を平均 402.6 万円引き下げること、および、 独立行政法人や地方公務員に対しても同様な措置を要請することを閣議決定しました。 「国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の 一部を改正する法律案」は11 月 2 日に閣議決定の上国会に提出され、衆議院解散日 の11 月 16 日に審議が開始され、同日に採決され、可決成立しました。国家公務員給 与の臨時特例減額法と同様に国会の末期に、充分な審議が行われず極めて短時間に採 決された、手続き的にも極めて問題の大きいものです。 国家公務員に対する退職手当の引き下げ実施日が2013 年 1 月 1 日であることから、 年内に国立大学等法人が、8 月 7 日閣議決定の要請に応える必要があるとして、組合 に退職金の切り下げを提案する事態が予想されます。 この第1 次討議資料は、退職金切り下げの解説と団体交渉に臨む論点を示しました ので活用ください。また、顧問弁護士による退職金削減に係る判例等の解説などを補 強した第2 次討議資料を発行する予定ですので、それに向けて単組の皆様のご意見を お寄せください。

1. 国の退職手当切り下げの内容

(1) 1年と半年で退職手当を平均 402.6 万円(14.9%)引き下げる。 退職給付の官民較差(平均402.6 万円)の全額を解消(退職手当の支給水準を 2707.1 万円から2304.5 万円に約 14.9%引下げ)するために、段階的引き下げを 2013 年 1 月 1 日から実施し、2014 年 7 月 1 日に制度完成。 これまで勤続年数が 20 年以上の退職者に適用されていた「調整率」を、すべて の退職者に適用し、調整率の引き下げによって退職手当を引き下げる。 2012 年 12 月 31 日まで 104/100(調整率) 2013 年 1 月 1 日~ 98/100 2013 年 10 月 1 日~ 92/100 2014 年 7 月 1 日~ 87/100 これにより勤続年数20 年以上の者の調整率は、これまでの 104/100 から最終的 には87/100 に引き下げられ、最高支給率は 59.28 月から 49.59 月、率にしてマイ ナス 16.3%という大幅な引き下げとなる。勤続 20 年に満たない退職者において も、13%の大きな引き下げとなる。 (2) 早期退職募集制度の導入 定年前15 年以内に退職する勤続 20 年以上の職員は、定年前 1 年につき最大 3% 全大教資料 No.12-02 2012 年 11 月

(2)

2 の割増。 (3) 共済年金職域部分(243 万円)の廃止と、それに替わる「年金払い退職給付」の 新設 共済年金の職域部分はすでに2015 年 10 月に廃止することが決定済みであるの で、「年金払い退職給付」を新設するというものです。 そのことが「法律案の概要」の 3 ページ「年金払い退職給付」で説明されてい ます。ここで問題は「年金払い退職給付」部分を労使の積み立てによるとし、労使 折半で1.5%、労働者は 0.75%の新たな負担が発生することです。 この共済年金の制度改定は、国立大学・高専教職員が国家公務員共済組合に加 入していることから、直接の影響があります。 全体としては、退職手当の支給水準を引き下げて(402 万円)、共済年金職域部 分(243 万円)が廃止されるので、それに替って民間の企業年金に対応した「年金 払い退職給付」を新設し、その財源は労使折半で共済組合加入者にも新たなに負担 を求めるというものになっています。 詳細は下記の「共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議」をご覧くだ さい。 ○国家公務員の退職給付について法律案の概要(資料1) http://www.soumu.go.jp/main_content/000184241.pdf ○閣議決定 http://www.soumu.go.jp/main_content/000178755.pdf (4) 国家公務員退職手当の引き下げ決定にいたる経緯 2012 年 3 月、人事院が総務大臣、財務大臣の要請により退職手当の調査報告(資 料2)を行いました。それは企業規模 50 人以上の民間企業 3614 社を集計した結果、 退職給付水準の官民較差として「年金(使用者拠出分)、退職一時金を合わせた退職給 付総額での官民比較。民間 25,477 千円公務 29,503 千円(4,026 千円(13.65%)公 務が上回る)」とし、「官民均衡の観点から、民間との較差を埋める措置が必要」とい う見解を示しました。 その報告を踏まえ、政府の国家公務員制度改革推進本部(副総理のもとに設置)に 「「共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議」を設置し検討。7 月 5 日に有識 者会議の「報告」(資料3)がされました。 そこでは、「人事院調査結果にもとづき官民較差を是正すべきとの結論に至った」と し、較差全額を「退職手当の支給水準引き下げにより行うことが適当」と結論づけて います。 そうした中で、「段階的引き下げ措置を講ずることが適切との意見が多数」とも結論 づけ、そのことについての検討ポイントとして次の諸点を挙げています。

(3)

3 ■退職手当引下げにおける段階的引下げ措置 【検討のポイント】 ○民間では大きな引下げの場合には段階的に引下げを行うのが一般的であること ○就業規則の不利益変更に係る判例法理等を踏まえると、引下げを一時に行うこ とは訴訟リスクの可能性が高いレベルであると考えられること ○退職手当が退職後の生活保障の性格を有すること等を考えると、引下げを一時 に行うことは生活設計に大きな影響を及ぼし得ること ○国家公務員の労働基本権が制約されている中で一方的に不利益を課すには手続 的にも慎重であるべきこと ⇒段階的引下げ措置を講ずることが適切との意見が多数。 この報告を受け、政府は8 月 7 日の退職手当の切り下げを閣議決定にいたりました。 ○(資料2)「民間の企業年金及び退職金の調査結果並びに当該調査結果に係る本院の 見解の概要」 平成24 年 3 月 人事院 http://www.jinji.go.jp/nenkin/H23/gaiyou23.pdf ○共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議 http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/kaigi/ 「共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議」の報告(平成24 年 7 月 5 日) http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/kaigi/houkokusyo.pdf (資料3)(報告書の概要) http://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/kaigi/houkokusyogaiyou.pdf

2. 国立大学・大学共同利用機関・国立高専の退職金支給と運営費交付金の関

8 月 7 日の閣議決定では、国家公務員に対する退職手当引き下げ等の実施について 述べた上で、国立大学等法人については、次のように言及をしています。 独立行政法人(総務省設置法(平成 11 年法律第 91 号)第4条第 13 号に規定する独 立行政法人をいう。)の役職員(独立行政法人通則法(平成 11 年法律第 103 号。以 下「通則法」という。)第2条第2項に規定する特定独立行政法人の職員を除く。)の退 職手当については、国家公務員の退職手当の見直しの動向に応じて、通則法等の趣旨を 踏まえつつ、今般の国家公務員の退職手当制度の改正に準じて必要な措置を講ずるよう 要請等を行う。 11 月 21 日の段階で、文部科学省国立大学法人支援課は、全大教からの電話による 問い合わせに対し、「財務当局とこの問題に関する新しいやり取りはない」、「国立大学 法人に対して運営費交付金の取り扱いの変更を含めた新たな通知、情報提供はおこな

(4)

4 っていない」と回答しています。 国立大学等法人の退職金支給と運営費交付金の関係は次のとおりです。 (1) 国立大学法人・高専機構等の教職員の退職金は、就業規則の一部である「退職金 支給規程」等によって規定され、それにしたがって支給されています。現段階にお いて、その規程内容は現時点では国の規程と同じです。 (2) 国立大学法人等に対して、教職員(承継職員および承継職員退職に伴い補充した 職員分)の退職金相当額が運営費交付金の一部である「特殊要因運営費交付金」と して交付されています。このことは、法人化時点の平成16 年 4 月 21 日、文部科 学省大臣官房人事課長名の「国立大学法人に措置する退職金相当額の運営費交付金 の積算方法等について」(16 文科人第 26 号)(資料 4)で通知されています。 そこでは、国立大学法人等の「退職金に係る運営費交付金は、義務的に必要な経 費であり、かつ、毎年度の所要額の変動が大きいことから、特殊要因経費として措 置され、清算義務が課されることになりました」として、対象は「承継職員及び承 継職員の退職に伴い補充した職員」であり、「退職金に係る運営費交付金の対象者 台帳」の「作成、管理及び報告」が求められ、この運営費交付金の積算対象となる 退職金の支給率は「国家公務員退職手当法に基づいた支給率とする」こととなって います(詳細は資料4 参照)。 (3) 国立大学等法人における退職金の引当について 前項においてしめしたとおり、現在は承継職員等の退職金相当額は運営費交付金 により措置され、国立大学等法人において引当は行われていません(法人化後の新 規職員等のうち退職金が必要な職員については引当がされています)。国立大学法 人会計基準では、退職金の引当について「第86 退職給付に係る会計処理」で定め ています。 第86 退職給付に係る会計処理 1 退職給付債務のうち、運営費交付金に基づく収益以外の収益によってその支払財源 が手当されることが予定されている部分については、「第35 退職給付引当金の計 上方法」により退職給付引当金を計上する。 2 退職給付債務について、次の要件に該当する場合には退職給付引当金は計上しな い。なお、その場合は次の要件に合致しない場合に計上したであろう退職給付引当 金の見積額を貸借対照表の注記において表示するとともに、退職給付債務に係る毎 事業年度の増加額は国立大学法人等業務実施コスト計算書に表示する。 (1) 退職一時金(役員及び教職員の退職時に支払われる退職手当をいう。)につい ては、退職一時金に充てるべき財源措置が運営費交付金により行われること が、例えば中期計画等で明らかにされている場合 (以下、省略)

(5)

5 この規定について、文部科学省国立大学法人支援課は、全大教からの問い合わせに 対し、次の通り回答しています(11 月 20 日)。 i. 第 86 の第 1 項に該当する場合には引当金を計上する。第 2 項(1)の場合、す なわち運営費交付金により財源措置が行われている場合には、引当を行わな いとなっている。 ii. (問)「ある特定の個人の退職金を二分して、その一部を運営費交付金から、 残りを引当金による、ということも可能だということで良いか。」に対して は、そのとおりと回答した。 iii. (問)「運営費交付金以外、ということは、たとえば具体的には、間接経費の 収益によるというようなイメージで良いか。」に対しては、そのとおりと回 答した。 iv. (問)「逆に言えば、運営費交付金による退職給付との差額を支払うための引 当は、運営費交付金ではできない、ということか。」に対しては、そのとお りと回答した。 (4) 現行の退職金の支給率を維持した場合の国立大学等法人の負担程度 以下の、「交渉の論点」の項で詳述するとおり、運営費交付金が減額されても、各法 人の判断により、退職金水準を切り下げない事が可能です。その場合の、各法人の負 担については、法人との団体交渉で明らかにさせることを前提としつつ、組合として、 その程度をおおまかに推計することは可能です。なお、各法人の退職金の所要額は、 教職員の年齢構成による定年退職者の数の年々変動、病気や死亡、自己都合による突 発的な退職者の発生等によって、毎年相当程度変動します。 i. 国立大学法人全体を考える場合、国立大学法人運営費交付金のうち、特殊要因 運営費交付金は主に退職金相当額として計上されていると言われています。こ のことから、2012 年度政府予算国立大学法人運営費交付金の特殊要因運営費 交付金が1,013 億円であり、これは運営費交付金総額(11,423 億円)の 8.9%、 総事業費(24,019 億円)の 4.2%であり、退職金がそれぞれに占める割合はお およそこの程度かと推計されます。国家公務員の退職手当支給基準引き下げ率 (マイナス14.9%)通りに運営費交付金の中の相当額が減額されるものとすれ ば、特殊要因運営費交付金が約 862 億円(マイナス 151 億円)と試算され、 減額は運営費交付金総額の1.3%、国立大学法人の総事業費の 0.63%を占める ことになります。 ii. 各法人の毎年の退職手当支給額は、毎年公表されホームページにも掲載されて いる「役職員の給与水準」の「III 総人件費について」に記載されています。 また、役員・職員の別、教員・職員の別、常勤・非常勤の別の詳細については 「財務諸表」の「財務諸表明細書」中の「業務費および一般管理費の明細」に

(6)

6 記載されています。これらの値を用いれば、各法人の年々の退職手当の支給実 績がわかりますので、運営費交付金の相当額が減額された場合にも現行の支給 率を維持した場合の各法人の負担程度が推計できます。 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」報告書(表紙・目次) 平成15 年 3 月 5 日 (平成 24 年 1 月 25 日改訂) 国立大学法人会計基準等検討会議 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfil e/2012/04/09/1289344_03.pdf 「国立大学法人会計基準」及び「国立大学法人会計基準注解」報告書 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfil e/2012/04/09/1289344_04.pdf

3. 実施された場合の退職金減額モデル

国と同様に規則改正・実施された場合について、A 大学の試算によると、教授で 2 年後の2015 年 3 月 31 日退職では 529 万円の減額となり、課長レベルの職員で 401 万円の減額となります。(大学等職員の場合、6 級退職は少数です) (A 大学の試算) 教授 教1 5 級 74 号俸 546,500 円 勤続年数 35 年 定年退職 退職年月日 退職手当額 現行との差 現行 (2013 年 3 月 31 日) 34,898,520 改正後 2013 年 3 月 31 日 33,029,490 1,869,030 2014 年 3 月 31 日 31,160,460 3,738,060 2015 年 3 月 31 日 29,602,935 5,295,585 課長 一般1 6 級 63 号俸 413,900 円 勤続年数 38 年 定年退職 退職年月日 退職手当額 現行との差 現行 (2013 年 3 月 31 日) 26,086,392 改正後 2013 年 3 月 31 日 24,670,854 1,415,538 2014 年 3 月 31 日 23,255,316 2,831,076 2015 年 3 月 31 日 22,075,701 4,010,691

4. 団体交渉の論点

多くの国立大学法人等では平均 7.8%の給与臨時減額により、2012 年度、2013 年 度の2 年間で給与が最大 200 万円も不当に引き下げられました。それについて、福岡

(7)

7 教育大学教職員組合、高エネルギー加速器研究機構職員組合、全大教・高専単組が、 労働契約法違反として11 月 27 日、未払い賃金請求訴訟を提訴します。来年 3 月に訴 訟を準備している組合もあります。また、多くの大学等において、臨時賃下げ問題が 現在でも労使交渉中です。そうした中で、法人側が退職手当の切り下げ提案は、労使 関係を悪化させ、労使交渉による解決を不可能なものとすることは明らかです。そし て、労使紛争、訴訟が続発することになりかねません。 組合側は、以下の論点を活用し、冷静に団体交渉に当たりつつ、こうした情勢を踏 まえて、今回の退職金切り下げが強行されるような事態になれば、この問題について も訴訟を辞さない構えを示すことも大切です。 (1) 就業規則(退職金支給規程)の不利益変更には、「高度の必要性に基づいた合理 的な内容」と労働組合の合意が必要 退職金の支給は、賃金と同じく就業規則に規定された労働条件の一部であり、労働 契約法により労働者との合意のない一方的な不利益変更は違法です(労働契約法第 9 条)。「賃金や退職金等労働者にとって重要な権利や労働条件の改変の際には、高度の 必要性に基づいた合理的な内容のもの」(みちのく銀行事件・最高裁平成12 年 9 月 7 日判決)でなければ、就業規則変更は拘束力を持たない(労働契約法第10 条)。 したがって、法人側が、組合に労使交渉を申し入れ、まずは組合に退職金切り下げ 「変更の必要性、その合理性」を充分に説明する義務がある。 (2) 平均 7.8%の給与臨時減額と同時実施の退職金平均 15%切り下げの不利益変更 は認められない 2012 年度、2013 年度の人事院勧告分と給与臨時削減で 5%~10%の大幅給与引き 下げが実施され、同時に退職金平均15%切り下げが実施されるのは、極めて大きな不 利益変更であり認められない。今後、退職する者にとっては、住宅ローンや教育費の 支払計画の変更や、退職後の生活の切り詰めなど現実に大きな影響を与える。 実際に、給与減額が不当に実施される期間中に、2013 年 1 月 1 日~9 月 30 日の間 の退職金を平均6%程度引き下げ、2013 年 10 月 1 日以降は平均 12%程度引き下げら れる。この時期に定年退職するものは、給与が平均 7.8%、退職金が平均 6%~12% 程度引き下げられるという極めて大きな不利益変更を受けることになる。 さらに、2014 年 3 月 31 日に給与臨時減額が終了したとしても、2014 年 3 月 31 日 に退職するものは約12%、2014 年 7 月 1 日以降に退職するものは、約 15%の退職金 が切り下げられる。 (給与と退職金の切り下げの同時進行) 給与平均7.8%臨時減額 退職金平均15%切り下げ 2012 年 4 月以降~ 2012 年 12 月 31 日まで 現行 (調整率) 104/100 2013 年 1 月 1 日~ 98/100

(8)

8 2014 年 3 月 31 日まで 2013 年 10 月 1 日~ 92/100 2014 年 7 月 1 日~ 87/100 (3) 退職金支給水準の決定は労使自治の範囲 大学法人等は自主的な法人運営が可能であり、退職金支給規程を国と同じにする法 的な規制はない。国立大学法人等の給与・退職金に関わる法的規定は、独立行政法人 通則法第63 条による「社会一般の情勢に適合」するという規定だけである。 国立大学法人等の退職金支給規程により支給されることによって、国からの運営費 交付金として措置される退職手当分で不足する分を、法人が補填すれことは可能であ る。 すでに、国立大学付属病院の7 対 1 看護実施による看護職員の増員により、増員さ れた看護職員の退職金は大学の自前の財源(退職積立金)から支払われている。 (4) 国立大学教職員等の退職金水準は低く、切り下げの必要性は明らかではない 国立大学等の職員の給与・退職金は、独立行政法人通則法第 63 条により「社会一 般の情勢に適合」することが原則とされている。この規定は必ずしも国家公務員と同 じであることを求めているものではない。その視点から、国立大学法人等の教職員の 実際の退職金水準はどの程度であるか、民間企業と比較してどうなのか、法人側が示 す必要がある。 大学等職員の給与水準は、国家公務員と比較して 85%程度である。このことから、 基本給が退職金算出の基本データーとなるため、大学等職員の退職金は国の水準より 15%低くなる。さらに、退職時の国家公務員と国立大学等職員の給与水準の格差は 15%よりさらに大きなものとなるため、退職金は 2 割以上の格差が想定できる。 したがって、民間企業と比較しても当然20%程度低くなることになり、退職金切り 下げの必要性や合理性はない。 教員の退職金については、人事院調査が民間企業の事務・技術系職員の調査である ことから、水準比較はできない。しかし、国の支給基準が、勤続年数が35 年~45 年 における最高支給率は59.28 から 49.59 に引き下げらたが、東京にある私立大学の退 職金支給率(下記は一部の例)は、勤続40 年定年退職では、55 ヵ月から 70 ヵ月と なっており、国の49.59 ヵ月を下回る私立大学は少数である。 東京の私立大学教職員の退職金支給率(定年退職) 勤続20 年 勤続30 年 勤続40 年 東京大手A 大 32.6 50.7 70 東京大手B 大 30 ヵ月 50 ヵ月 65 ヵ月 東京中規模C 大 26.2 49.5 65 東京小規模D 大 21.3 41.55 55.3

(9)

9 総務省 国家公務員の退職手当支給率一覧 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jinji/pdf/teate_t_gaiyo_2.pdf (5) 退職金の段階的な大幅切り下げによる教育研究への影響 退職金の切り下げは、教職員の士気の低下や人材流失、人材確保が困難となり、国 立大学等の研究教育の質の低下を招くことは明らかである。 それに加え、退職金を段階的に切り下げることは、条件のいい時期を選んだ「駆け 込み退職」を誘発するおそれがある。「駆け込み退職」が起きると、退職者の予想外の 増加により、研究教育の現場でスタッフが不足する、管理運営部門でも仕事が回らな くなる事態となるなど、職場の混乱が予想され、残されたスタッフの負担が増える結 果ともなる。法人側は、そうした事態が発生する可能性をよく認識し、これを回避す るためにも、退職金の切り下げは行うべきではない。 ( 資 料 ) 労働契約法 第9 条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労 働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。た だし、次条の場合は、この限りでない。 第 10 条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後 の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不 利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労 働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的 なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規 則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び 使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた 部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。 第四銀行事件最高裁判決 ①労働者の被る不利益の程度 ②使用者側の変更の必要性の内容・程度、 ③変更後の就業規則の内容自体の相当性、 ④代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況 ⑤労働組合等との交渉の経緯、 ⑥他の労働組合又は他の従業員の対応 ⑦同種事項に関する我が国社会における一般的状況等

(10)

10 上記を総合判断。 合理性判断 変更の必要性 経営財政理由: 退職金相当額の運営費交付金 が減額される。 (だから同額を削減する必要 性は何か) 退職金の水準: 人事院の官民格差調査からで あるので、社会一般と適合する ため。 (企業規模50 人からを比較対 象とするのが妥当か) 不利益の程度 ・最終的には 400 万円という極めて大きな減額。平均 15%の減額になる。 退職後の生活への影響は極めて大きい。退職後の住 宅や教育ローンの支払計画に影響する ・経過措置期間として(1 年 6 月)は、極めて短期間で ある。 ・2012 年度、2013 年度は人事院勧告分と給与臨時削減 で5%~10%の大幅給与切り下げとダブルパンチ。 労働組合等との交渉の経緯 (組合の対応)平均 7.8%の大幅賃下げが強行実施 された直後であり、この件で訴訟や継続交渉中の状況 では、法人側から新たに退職金の大幅切り下げの提案 を組合は同意できない。 今後、労使紛争を多発させることになる。 同種事項に関する我が国社会における一般的状況等 ・大学教員については、私立大学の水準を調査し、それ も考慮することが必要だ。 ・私立大学で退職金が400 万円も削減された例がある か。 代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況 運営費交付金が削減されるとして給与臨時減額が され、代償措置は出来ていない。 さらに退職金が引き下げられた代償措置も実施は 困難である。

参照

関連したドキュメント

 調査の対象とした小学校は,金沢市の中心部 の1校と,金沢市から車で約60分の距離にある

このたび、第4回令和の年金広報コンテストを開催させていただきま

また、支払っている金額は、婚姻費用が全体平均で 13.6 万円、養育費が 7.1 万円でし た。回答者の平均年収は 633 万円で、回答者の ( 元 )

この数字は 2021 年末と比較すると約 40%の減少となっています。しかしひと月当たりの攻撃 件数を見てみると、 2022 年 1 月は 149 件であったのが 2022 年 3

賞与は、一般に夏期一時金、年末一時金と言うように毎月

越欠損金額を合併法人の所得の金額の計算上︑損金の額に算入

わずかでもお金を入れてくれる人を見て共感してくれる人がいることを知り嬉 しくなりました。皆様の善意の募金が少しずつ集まり 2017 年 11 月末までの 6

金沢大学における共通中国語 A(1 年次学生を主な対象とする)の授業は 2022 年現在、凡 そ