モジュール
4: エンド・オブ・ライフ・ケアにおける倫理的問題
指導者用アウトライン
このモジュールは、倫理的感受性を高めることをひとつの目的としているため、受講 者に振り返りを促すような問いかけやディスカッション、ケーススタディなどを含め て進めるとよい。 たとえ短時間であっても、受講者自身が日常の臨床実践の中で生じている倫理的問題 に気づき、それらについて考えるきっかけになるよう工夫するとともに、知識の習得 だけがこのモジュールの目標ではないということを、受講者にもガイダンスするとよ い。 スライド 1:表紙 スライド 2:モジュールの概要 このモジュールでは、 エンド・オブ・ライフ・ケアにおける倫理的問題に焦点を当て、臨床においてこれら の問題に気づく力を養う 看護倫理に基づくケアの実践について理解する こととしている。 スライド3:目標 このモジュールの目標は 4 つである。 倫理的問題とは何かを理解することができる クリティカルケア領域における倫理的問題について理解することができる アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の目的を理解することができる 看護倫理に基づくケアの実践について理解することができる スライド4:講義内容一覧 <Ⅰ.倫理的問題とは何か> まずはじめに、この単元では「倫理的問題とは何か」について概説する。 そして、クリティカルケア領域におけるエンド・オブ・ライフ・ケアで直面する具体 的な倫理的問題に焦点をあて、講義を進めていく。最後に看護倫理に基づくケアの実 践について説明する。スライド5:倫理とは 受講者の背景やレディネスに合わせて、このスライドは説明が必要である。受講者の 背景・レディネスが豊富であれば「倫理」について再考できるような機会になるよう な問いかけをする。経験年数の少ない受講者であれば「倫理」って何?というところ から説明する。 これまでに、クリティカルケア領域に関する倫理について学ぶ機会があったか?、倫 理と聞くと、「とても難しい」「重い」というイメージを持っていませんか?、クリテ ィカルケアにおける倫理とは、どのようなイメージですか? などと問いかけてみる。 1〜2 人、マイクを向けてみる。 倫理という言葉の説明 「倫」は『人の輪』『仲間』を意味し、「理」は、『模様』『ことわり』というように、 人として踏み行うべき正しい道筋を表わす。 よって、「倫理」は「仲間の間での決ま りごと、守るべき秩序」という意味合いになる。 人として守り行うべき道としての「倫理」は、時代や文化によっても異なり、そのあ り方、考え方は多様である。 (日本看護協会 HP: 看護倫理―倫理 ) 「倫理」とは、人間が自発的に自らの振る舞いをコントロールする姿勢であって、自 分だけではなく、皆がとるべきだと考えるようなものに関わることである。 (清水, 2011a) スライド6:倫理と道徳 倫理と類似した意味合いをもつ用語として、道徳がある。倫理の意味を確認するため に、その違いについて簡単に触れる。 倫理と道徳の違いは、 道徳:個人や家族などの小集団のとるべき態度、心の持ち方 倫理:個々人の関係から社会に至るまでより広範に用いられ、普遍性をもつ といわれている。 例えば、「真実を伝える」ということを考えてみる。 私という個人は、「真実を伝える」ことが正しい行為であると日常生活の中で考えて いる。これは、道徳的な判断に基づいていると言うことができる。では、看護師であ
る私は、「真実を伝える」ことが常に正しい行為であると医療現場で考えるだろうか。 このように、看護師は、個人として形成されてきた道徳 (観)とともに、看護師として の (職業)倫理を踏まえて行動することが期待されている。 (日本看護協会 HP: 看護倫理―倫理と道徳 ) スライド7:日々の業務の中でこのように感じたことはありませんか? 受講者と倫理について確認したうえで、臨床における日々の業務の中で、「あれ?お かしいな」「なんか モヤモヤする」「私は正しいのかな?」「どうすべきなのかな?」 という思いを感じたことがないか尋ねてみる。 これまで、一般的な倫理ということを考えてきた。今度は、臨床の中での倫理を考え てみましょう、と提案する。 皆さんは、日常業務で「あれ、おかしいな」「私の考えって正しいのかな」「こういう ときどうするべきなのかな」という思いをしたことはありませんか?30 秒ほど、思い 起こしてみましょう。 →どんなことがありますか?と 1〜2 人に、聞いてみてもよ い。 例として、下記が挙げられる。 患者と家族の意向が食い違うとき 患者の意向を十分確認できずに進められる治療 など スライド8:倫理的問題とは 「あれ?おかしいな」「なんかモヤモヤする」などの感覚は、目の前の出来事が、自 分の持つ価値観に反している場合に生じる。 ⇒このように感じる場合は、その出来事自体が倫理的問題をはらんでいる場合が多い 医療における倫理的問題は、医療を受ける患者、患者の関係者、医療スタッフ間に おいて、それぞれの価値観や価値判断の違い、役割の違いから生じる問題と言える。 しかし、医療スタッフが直面する倫理的問題に、容易な解決策はないため、この後の 単元で考えていく。 また、看護師として、倫理的問題に適切に対処するための的確な判断能力と倫理的感 性を身につけていくことが必要である。
【参考文献】 ・田村京子 (2002) Chapter1看護の倫理 . 岡崎寿美子 , 小島恭子編 . 看護倫理―ジレン マを解決するために . (p.1-10).東京: 医歯薬出版 . スライド 9:価値観とは 医療における倫理的問題には、価値観や価値判断が影響することを前スライドで述べ たが、ここでは「価値観」について整理していく。 価値観とは、‘いかなる物事に価値を認めるかという個人個人の評価的判断 ’である。 (大辞林第 3版) 人は「こうあるべきだ」「これが正しい」といった自分の価値観の範囲内で考えや判 断をしているが、多くはそれに気づいていない。 倫理的問題には、価値観や価値判断が影響することを前スライドで述べたが、倫理的 問題について考えていく前に、まず「価値観」について整理していく。 行為や方法の背景には、必ずその人の価値観が潜んでいる 例えば、看取りのあり方、緩和ケアのあり方、家族のあり方など、それぞれの立場で こうあるべきだ、これが良い方法だと信じているが、実はその背景には自分の価値観 があることに気が付いていない。自分がどういう価値観を持っているのかを気づくこ とが大切である。 倫理的問題を考えるうえで、自分が何を大切にし、どんな価値観をもっているのかに 気づくこと、そして、相手がどのような価値観をもっているのかを理解することが大 切である。 上記については、「モジュール 5:エンド・オブ・ライフ・ケアにおける文化的配慮」 を通して、さらに考えていく。 【※モジュール 5 参照】 価値観は多種多様であるため、先ほどのスライド7であったような、個人のジレン マとして知覚されることもある。 また、時に役割や考えの違いによって、衝突を生むこともある。 【※補足スライド 参照】
スライド10 :看護師の果たすべき倫理的責任 看護者の倫理綱領について、見たり聞いたりしたことがあるかどうか、受講者の背景 やレディネスに合わせて、問いかけてみるのもよい。 看護者の倫理綱領って知っていますか?と、挙手してもらったり、いつごろ知りまし たか?、具体的にはどういう風に臨床の看護活動と関係あるかわかりますか?、どの ように倫理綱領を看護実践で生かしていますか?どのように使っていますか?など 受講者の背景に合わせた質問をする。 倫理的問題を考えるうえで、看護師として何を大事に考えて行動するのか、つまり、 看護師には専門職としてどのような倫理的責任があるのか?ということをおさえて おく必要がある。 倫理的責任とは、法による規定や罰則がなくても、人としてあるいは専門職としてと るべき行動、果たすべきことを求められる責任である。 看護師の倫理的責任については、スライドに示したように、 2003年に日本看護協会 が作成した「看護者の倫理綱領」に定められている。 あらゆる場で実践を行う看護者を対象とした行動指針として、そして、看護の実践に ついて専門職として引き受ける責任の範囲を社会に明示するものとして定められて いる。 前文には、看護師の使命・目的、社会的責務、倫理綱領の目的が示されている。 この倫理綱領は、 15の条文からなっており、スライドのように 3つの構造に分けら れる。 ・1~6条:看護提供に際して守るべき倫理的な価値と義務 ・7~11条:責任を果たすために求められる努力 ・12~15条:土台としての個人的特性と組織的取り組み (日本看護協会 HP: 看護者の倫理綱領 ) 看護師の倫理的責任を考える上で、第 1条から第 6条の「看護提供に際して守るべき 倫理的な価値と義務」の箇所が特に重要となる。 例) 第1条では、看護者はいかなる場面でも、生命、人としての尊厳を守ることを判断お よび行動の基本とすることが求められている。 ⇒これを具体的に考えると、「せん妄や意識障害のある患者を尊重できているだろう か?」「意識がある人と同じように語りかけながらケアしているだろうか?」など、 患者を 1人の人間として遇すること、患者の尊厳を大切にするということが私たちに は問われている。
第2条では、平等な看護の提供がいわれています。 ⇒これは、単に等しく同じ看護を提供するのではなく、その人の個人的特性やニーズ に応じた看護を提供することであるとも述べられている。 第4条では、患者の擁護者として行動することを明らかにしている。 患者の自己決定とは、患者だけに判断を委ねるということではない。 個人の判断や選択が、その時その人にとって、最良になるように支援することが求め られている。 (日本看護協会 HP: 看護者の倫理綱領 ) 【※補助教材 1~3 参照】 スライド 11 :生命倫理の4原則 受講者の背景やレディネスに合わせて、「皆さんは生命倫理の4原則について知って いますか?」と問いかけてみる。 さきほど、患者や患者の家族、医療スタッフの間においてそれぞれの価値観や価値判 断の違いから倫理的問題が生じるとのべた。 【スライド9 参照】 倫理的問題を検討するうえでの手がかりや枠組みとなるものとして、スライドに示し た4つの「生命倫理の 4原則」(以下:倫理原則)がある。 自律の尊重 (Respect for Autonomy)
善行 (Beneficence) 無危害 (Nonmaleficence) 正義 (Justice)
(Beauchamp TP & Childress JF, 2001) 【※ 補助教材 4~5 参照】 スライド 12 :臨床において生命倫理の4原則はどう役立つのか? 倫理原則は、 直面している問題が、倫理的問題かどうかを識別することを助ける 医療スタッフの判断や行動の指針となる 治療やケアの方向性を示す と、いわれている。 倫理的問題に気づき、それに対処していくうえでの指針となる。
倫理原則を用いることで、釈然としない思いは何によるのか、なぜ判断に困惑するの か、判断の違いは何によるのかなど、問題を顕在化することができ、解決のための糸 口を見つけることができるようになる。 (日本看護協会 HP:看護倫理―倫理原則 ) 【参考文献】 ・ 和泉成子 (2007)原則の倫理 .小西恵美子編 .看護倫理―よい看護・よい看護師への道 しるべ . (p.36-44).東京:南江堂 . 次のスライドより、 4 つの倫理原則についてそれぞれ説明していく。 クリティカル領域のエンド・オブ・ライフ・ケアにおいて、個々の倫理原則の観点で は、どのような倫理問題に直面することが多いのか、理解を促すために例を挙げなが ら説明する。 スライド13 :自律の尊重 自律の尊重の原則は、「他人からの強制なしに自分の人生や身体についての決定を下 す権利を尊重する」ことである。 (Pence GE, 2000) つまり、自己決定できる個人を尊重するものであり、個人的な価値観や信念を基本に、 彼らの選択を認めることである。
(Fry ST & Johnstone M-J, 2008) 臨床場面において患者の自律を尊重することとは、患者が自分で決定できるよう、重 要な情報の提供、疑問への丁寧な説明などの援助を行い、患者の決定を尊重し従うこ とを、医療スタッフや患者の家族など、患者に関わる周囲の人々に対して求めている ことを意味する。 患者の個人の意思決定(選択)を最大限尊重するという意味で、インフォームド・コン セントの基本となる考え方でもある。 例) として、どのように考えていくかというと、 患者の意思に添ったケアが提供できているか? 患者よりも家族の意向が優先されていないか? と問うことが、自律の尊重に関わる倫理的問題を考えることになる。
クリティカルケア領域では、危機的状況に陥りやすいことから、先のスライドで示し た4 つの原則に加え、正確な情報を適切に提供するといった誠実の原則も含む、医療 専門職の義務の基礎となる6 つの原則に基づいて考えることもある。 【補助教材7 参照】 スライド 14 :善行 善行の原則は、「他人に善をなす」ということである。 (Pence GE, 2000) 他者にとって利益が得られるように支援すること、患者の福利や尊厳を積極的に推進 することを意味する。
(Fry ST & Johnstone M-J, 2008) 患者にとっての善行を行うために、患者をよりよく理解することが看護においてはと ても重要である ⇒すなわち、患者にとって何が善になるのか、何が利益になるのかを知らなくてはな らない。 (和泉, 2007) 医療においてこの原則に従うことは、患者のために最善を尽くすことを要求している。 (日本看護協会 HP: 看護倫理-倫理原則 ) 患者をケアする医療スタッフは、客観的な評価によって、その患者の最善の利益を決 定することに意を注ぎ取り組む、と解釈されやすいが、患者の最善の利益とは、医療 スタッフの考える患者にとっての最善の利益を指すのではなく、その患者の考える最 善の利益を考慮することを意味する。(日本看護協会 HP: 看護倫理-倫理原則) スライド 15 :無危害 無危害の原則は、「他者に危害を加えない」ということである。 (Pence GE, 2000) つまり、患者に害が加わることのリスクを防いだり減らしたりすることを意味する。 (Fry ST & Johnstone M-J, 2008) ここでいう「危害」とは、身体的損傷や精神的ダメージだけでなく、患者の人権や自
この原則は、善行の原則と連動した意味合いをもち、得られる利益と不利益とのバラ ンスを見ることが重要となる。 例) 患者が代替療法を受けるための協力をすべきか否か (日本看護協会 HP: 看護倫理―倫理原則 ) 【参考文献】 ・和泉成子 (2007)原則の倫理 .小西恵美子編 .看護倫理―よい看護・よい看護師への道し るべ . (p.36-44).東京:南江堂 . スライド 16 :正義 正義の原則は、「利益と負担を公平に配分する」ということである。 (Pence GE, 2000) つまり、どのような状況のもとで、誰がどのような医療資源を受け取るべきか?とい うことについて考えることである。 公平な分配を行うために公正な規則作りが必要となる。
(Fry ST & Johnstone M-J, 2008) このように言われているが、日本語では、公平 equality、公正 fairnessが、正義 justiceという概念を表している。 公平は:分け隔てなく平等に患者に恩恵を与えるべきである 公正は:決め方のルールに関わるもの 臨床現場においては、最善の可能な医療資源 (集中治療室のベッド、災害医療時の医 療資源など )をすべての人に提供できるわけではない。医療システムなど様々な状況 の中で、医療スタッフは、個々の患者に費やすことができる資源の範囲、提供できる 治療の限界について判断することを求められる。 (日本看護協会 HP: 看護倫理―倫理原則) 例)「抑制はしないでほしい」と家族にいわれた。しかし、その患者は苦痛のために挿 管チューブに何度も手を添える。そのため、担当看護師は他の患者のケアが十分にで きなかった。など。 【参考文献】 ・宮坂道夫 (2005)医療倫理学の方法 .(第 1 版, p. 48-55).東京:医学書院 .
スライド 17 :倫理原則の適用の限界 臨床で生じる倫理的問題には色々な要因が絡んでおり、倫理原則のみを用いて考えて いくことに限界があると言われている。 なぜなら、 倫理原則は抽象的であり、個々の問題に即して考えるには限界がある 個々の原則の解釈の違いや原則間の対立に対して、確実な解決の方針がない 実際に起こっている倫理的問題を原則論だけで解決することは困難である つまり、ただ単に倫理原則を適用するのではなく、個々の事例を尊重した倫理的判断 がなされなくてはならない 【参考文献】宮坂道夫 (2005)医療倫理学の方法 .(第 1版, p. 48-55).東京:医学書院 . スライド 18 :講義内容一覧 <Ⅱ. クリティカルケア領域におけるエンド・オブ・ライフ・ケアで看護師が直面する倫 理的問題> ここからは、クリティカルケア領域におけるエンド・オブ・ライフ・ケアで直面する 倫理的問題について具体的に考えていく。 皆さんはエンド・オブ・ライフにある患者・家族と関わる中で、どのようなことが倫 理的に問題だと感じますか?と投げかけ、考えてもらう。受講者にその場で発表して もらったり、グループで話し合ってもらったりするのもよい。講義の進行状況に合わ せて、隣同士で話し合うのみ、受講者ひとりで想像するのみなどとする。 スライド19 : クリティカル領域におけるエンド・オブ・ライフ・ケアで看護師が直面す る倫理的問題 クリティカル領域でエンド・オブ・ライフ・ケアを提供する看護師が直面する倫理的 問題の例にはこのようなものを挙げてみた: 前のスライドで発表する時間が取れない場合、このような場面に遭遇したことがある か?と問いかけ、挙手してもらう。 患者に意識障害が認められるため、医療に関する意思決定が家族にゆだねられる 患者は無駄な延命を拒否したが、急変時、家族が「できる限りの事をしてほしい」と 主張している
治療当初に装着した人工呼吸器に依存しており、救命不能だが、直ちに心停止には至 らない状態が続いている 多臓器不全にて全身浮腫を呈する終末期患者の家族が「早く楽にしてあげたい」と訴 えている スライド20 : クリティカル領域におけるエンド・オブ・ライフ・ケアで看護師が直面す る倫理的問題① 患者に意識障害が認められるため、医療に関する意思決定が家族にゆだねられる 患者は無駄な延命を拒否したが、急変時、家族が「できる限りの事をしてほしい」と 主張している ⇒ まず、上の2つのような場合の倫理的問題は何かということについて考えていく。 意識障害などにより他者に委ねられる意思決定 クリティカル領域では、病態上、もともと意識障害を呈している場合や、人工呼吸管 理のため鎮静をされていることが多くある。 また、意識がないため、患者に直接インフォームド・コンセントがされない場合も多 く見られる。 ⇒このような場合の倫理的問題は何でしょうか。鎮静や、インフォームド・コンセン トなどについて次のスライドから学んでいきましょう。 スライド 21 :意思決定に関する倫理的問題 患者の意思決定能力の低下により、患者が自分で治療の選択や最期の過ごし方につい て自己決定を下すことができないことがある。 代理意思決定をする家族と患者の意向の不一致、つまり家族に正しい情報が伝えられ ていなかったり、最期の迎え方に関して患者と家族が十分に話し合っていなかったり、 また家族が冷静に判断できないために、患者の望む治療の選択や最期の迎え方を考え られないこともある。 クリティカル領域における医療に関する意思決定の場面では、家族が十分に考えられ る機会が得られないままに、複雑で高度な医療に関する意思決定を要することが多い。 これらの状況は意思決定に関する倫理的問題と言える。 これらの倫理的問題を検討するうえで、短時間での経過を辿るクリティカルケア領域
においても適切なインフォームド・コンセントのプロセスを踏むことが重要である。 たとえ限られた時間の中でもこれまでどのようなインフォームド・コンセントが行わ れたかを再確認し、インフォームド・コンセントのプロセスに問題がなかったか再確 認することが重要である。 スライド 22:インフォームド・コンセントのプロセス スライドの図は、清水哲郎氏の「インフォームド・コンセントの全体像」の図を一部 改変したものである。 (清水哲郎 HP: 臨床倫理の考え方 )を一部改変 この図を使って、インフォームド・コンセントのプロセスを説明する。 以下の「臨床事例に基づく説明の例①〜④」を使用するか、次にある1〜4の言葉の概 念自体を使用して説明するかは受講者の背景・レディネスに依るとよい。 臨床事例に基づく説明の例: たとえば、誤嚥性肺炎で入院してきた87歳の女性患者の治療に関する意思決定を例にこの 図を説明していきます。 ① まずはじめに、医療チームから、多くの場合医師が、患者さんの現在の状態や医師が 勧める治療法について一般的な判断に基づいて患者さんと家族に説明します。今回の 患者さんの場合、誤嚥性肺炎による急性呼吸促迫症候群(ARDS)で、X線写真上は、 両側性の肺浸潤を来して真っ白な状態であること。重篤な状況であるために、人工呼 吸管理、ステロイドパルス療法などの治療法が奏功する可能性があること。しかし、 これまでに誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しておられ、ここまでよく頑張ってこられた ので、侵襲の高い治療を控えて、緩和ケアを行うという選択肢もあることが説明され ます。このように、医療者側から、生物学的なデータに基づいて客観的な説明がされ ます。 ② 次に、患者の意向を聞くステップです。この事例では、患者は冷静に判断できない状 況ですので、患者のことをよく理解している家族に、患者の推定意思を尋ねます。す ると、説明を受けた患者の娘は、「とても悪い状態だということはわかりました、でも、 孫の結婚まで、できればもう半年がんばってほしい。母はとても楽しみにしていたん です。母がもしここにいたら、頑張ってみる。っていってくれるとも思います。」のよ うに、患者の希望を表現します。 ③ 患者の価値観や人生設計を聞いて、医療チームは、その人の希望や大切にしているこ とをふまえて、個別化した判断を加えてさらに医療者側の見解について説明を加えま す。この例の患者で言えば、「わかりました。では、お家に帰ってもらえることを目指 して治療を進めたいと思います。ICUで人工呼吸器をつけて、できる限りの治療を 積極的に進める方針でよろしいでしょうか?と説明をする。
④ 患者や家族がこの医師からの説明を受けて、与えられた情報に基づいて意思の形成が される。というのは、意見を受けて、「はい、孫が生きがいでしたので、頑張ってくれ ると思います。先生がご説明された治療の方針でよろしくお願いします。」と意見を相 互に交換し、対話のプロセスが進みます。これが、このスライドで<情報共有-合意モ デル>として説明されているような、適切なインフォームド・コンセントです。 言葉の概念の説明: 1.医療チームは、患者および家族に現時点での最善な治療法について一般的な判断を説明 する。 「生物学的」とは、病状説明や予後はどれくらいかなどの医学的・客観的な情報に関 する説明を指す。 2.一方で患者・家族は、自分 (たち)の価値観、これからの人生計画といった固有の事情を 医療チームに説明する。 「伝記的」とは、どこで過ごしたい、旅行をしたいなどの患者・家族の主観的な情報 に関する説明を指す。 3.医療チームは、そのような事情であればと患者の固有の事情を理解し、その事情を加味 したうえで、最善な治療についての個別化した判断を行い、それを患者・家族に提示する。 4.その提示に対して、情報に基づく意思が形成され (インフォームド・ウィル)、合意に導 かれる。 このように、情報を提供し合って合意に至るプロセスをインフォームド・コンセント と呼ぶ。 繰り返しになるが、クリティカルケア領域でのような短い時間でもこのプロセスを踏 めるようにしていく必要があることを伝える。 【参考文献】 ・中島一憲 (1995)インフォームド・コンセントとは .現代のエスプリ 339: 9-14. スライド 23 :インフォームド・コンセントの構成要件 インフォームド・コンセントが成り立つ要件として、下記の 3 つの要素と 7 つの項 目が挙げられる。 前提となる要素 ・理解と決定のための患者の「能力」 ・意思決定を行う際の患者の「自発性」 情報に係わる要素
・医療スタッフの情報の「開示」 ・医療スタッフによる治療計画の「推薦」 ・上記 2 つに対する患者による「理解」 同意に係わる要素 ・治療計画に同意するという患者による「決定」 ・選択した治療計画に対する患者による「権限の委譲」
(Beauchamp TP & Childress JF, 2001) 上記の構成要件がそろって、初めてインフォームド・コンセントが成立するのであっ て、単に説明をして同意を得ることがインフォームド・コンセントではない。 (前田, 2007) また、これらの中でクリティカルケア領域では「患者による」という自律の原則(先 のスライド:倫理の原則自立の尊重)がかけていることが多くみられる。 患者の意思決定能力が不足する場合、家族が代理で医療者の説明を受け、それをなる べく担保するようなインフォームド・コンセントのプロセスとたどることになる。こ れに関してもインフォームド・コンセントの構成要件は同様である。代理の意思決定 に関しては後述する。 スライド 24 :インフォームド・コンセントにおける看護師の役割 適切なインフォームド・コンセントが行われるために、看護師はスライドにあるよう に常に目を向け、患者を擁護する必要がある。 患者が意思決定できるために必要な情報が提示されているか 患者・家族の意思が尊重されているか 意思表示ができない患者や意思決定できない患者の権利が尊重されているか (石本, 2007) 患者の立場に立って患者を擁護し支援することが看護師の役割である。すなわち、看 護師には、患者・家族がその人らしく尊厳をもって生きられるようにサポートする役 割が常にある。 (石本, 2007) インフォームド・コンセントは、患者との共同行為であり、時間的な制約はあるが、 継続的なプロセスであると捉えることが重要である。
スライド 25 :鎮静 (セデーション)とは 先程も述べたように、鎮静による意識低下のため、意思決定能力を失うことがあるの で、意思決定に関する倫理的問題には、鎮静も含まれる。 再度、鎮静について考えてみましょう、と投げかける。 苦痛緩和のための鎮静について国際的に統一された定義はないが、一般的に言われる 鎮静の定義とは ① 患者の苦痛緩和を目的として、患者の意識を低下させる薬物を投与すること あるいは、 ② 患者の苦痛緩和のために投与した薬剤によって生じた意識の低下を意図的に維持す ることである。 (日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会, 2010) クリティカルケア領域における鎮静は、安楽や安全を確保することが目的で、決して 「眠らせる」ことではなく、鎮痛とともに行われることが多い。 この文章は、皆さんもご存知のように、と前置きをいれるとつながりがよい。 しかし、呼吸状態が悪い場合で自発呼吸をなくしたい場合や、呼吸困難が強い場合に は、深い鎮静をして「眠らせる」場合がある。 鎮静によって、意識の低下がおこりコミュニケーションをはじめとする本人の意思表 示ができなくなる。これは何度か話している「自律性の低下」へといたるため、代理 で意思決定をしていく必要性が発生する。 例)人工呼吸管理や侵襲的治療では、苦痛軽減のために鎮静薬・鎮痛薬が投与される。 例)呼吸循環不全、臓器障害の影響で意識障害を呈していることがある。 スライド 26 :代理意思決定とは 代理意思決定とは、意思決定能力が消失した患者に代わって、代理決定者(多くの場 合は家族)が医療に関する意思決定を行うことである。 代理決定者は、今の医療現場においてはキーパーソンと言われたりしているが、私た ちが病棟でキーパーソンとしている家族は、多くの場合、一番頻繁に患者さんを面会 している家族である。必ずしも我々がキーパーソンと称する方が代理決定者としてふ さわしい人であるとは限らないことを伝える。 この様な状況の中で、どれくらいの家族が、自分がどのような役割を果たすかを事前 に分かっているか?多くの場合、その場になって初めて患者の代わりに意思決定をし
なければならない事実と向き合うといわれている。 また、患者の人生や今後の生活を自分の決断が左右することから、意思決定の過程は ストレスフルであることがわかっている。 そして、患者の意向やその理由が不明確であること、自分の患者に対する思いと患者 の意向が異なるときにジレンマがあり苦悩を感じることが明らかになっている。 【※補足スライド53〜56】 スライド 27 :クリティカルケア領域における代理意思決定 クリティカルケア領域では、患者は、発症、或いは、受傷から短期間で生命の危機状 態に陥る。 クリティカルケア領域での患者の人生の最終段階における意思決定では、患者が呈し ている病状を、患者本人や家族があらかじめ予測していないことが考えられる。その ような場合、患者の延命治療に関する意向について事前に家族と話し合い、合意が得 られていないことが多い。 そのため、代理意思決定を迫られる家族の役割はいっそう重要になる。 看護師は、家族が患者の身の上におこっている事態を受け入れ難いといった心理的苦 痛を経験しているという状況を認識したうえで、代理意思決定を支援するという役割 がある。 患者が何を望むかを基本とし、それがどうしてもわからない場合には、患者の最善の 利益が何であるかについて、家族と多種職医療チームが十分に話し合い、合意を形成 することが重要である。 (人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン解説編,2015) 【※ 補足スライド 57〜59】 この意思決定には、検査の承諾や手術を受けることを選択するといった治療方針に関 するものや、患者が心肺停止に陥ったときの蘇生術を行う、もしくは行わないという 表明、終末期の治療の中止、差し控え、臓器提供の意思表示なども含まれる。 モジュール1の代理意思決定に関する課題を参照のこと。 【※ M1 参照】
スライド 28 :人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン (厚 生労働省, 2015) 厚生労働省の終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会によって 2015 年に 改訂された、人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインに、 「人生の最終段階における医療及びケアの方針の決定手続」という項目がある。個々 のスライドでは、このガイドラインの患者の意思の確認ができない場合の手続きにつ いて紹介する。 これは、「人生の最終段階における医療及びケアの方針の決定手続」の項目の中の、 患者の意思が確認できない場合の手続きである。 患者の意思確認ができない場合には、次のような手順により、医療・ケアチームので 慎重な判断を行う必要がある。 ① 家族が患者の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、患者にとって の最善の治療方針をとることを基本とする。 ② 家族が患者の意思を推定できない場合には、患者にとって何が最善であるかにつ いて家族と十分に話し合い、患者にとっての最善の治療方針をとることを基本と する。 ③ 家族がいない場合及び家族が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、患者に とっての最善の治療方針をとることを基本とする。 (厚生労働省 終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会,2015) スライド 29 :クリティカルケア領域におけるエンド・オブ・ライフ・ケアで看護師が直 面する倫理的問題② 治療当初に装着した人工呼吸器に依存しており、救命不能だが、直ちに心停止には至 らない状態が続いている。 ⇒ このような場合には、医学的無益性について評価する必要がある。 スライド 30 :医学的無益性の検討 医学的無益性:その医療行為が、患者の医学的な状態を改善させないことが科学的根 拠をもってわかっている場合、「医学的に無益」と呼ぶ (Bernat JL, 2005) 選択した治療の予後や利益・不利益に関するコミュニケーション不足や誤解によって 生じることが多い。 (Emanuel LL et al., 2005)
例えば、終末期の患者に血糖コントロールや輸液をし続けることに意味があるの か?と治療に疑問を持つ場合があると考えられる。 このように治療の利益に関する考え方に医療スタッフ間、あるいは患者・家族と 医療スタッフ間の意見の衝突がある場合がある。このような状態は「無益な医療」 と考えられることもあり、後で説明する倫理的コンサルテーションを求めるか倫 理委員会で協議することの多い問題である。 そのため、「誰のためにこれを行っているのか?」「患者は何を望んでいるのか?」 「患者の価値観に沿っているのか?」などということについて、多職種チームで検討 していくことが必要である。 スライド 31 :益と害の評価 無益な状況については、予想される益 (メリット )と介入を続けることによる害(デメ リット )のバランスという視点で評価することが重要である。 益 (メリット ) 例) 症状緩和 余命の延長 害 (デメリット ) 例) 患者の苦痛、副作用 経済的負担 周囲の負担 以下の例で説明してもよい。 たとえば、予後不良であると医学的に考えられている患者に対して、カテコラミン投 与をするときの益と害を考えてみましょう。 益は、循環不全が改善するという意味で、症状緩和がはかられ、余命は延長します。 生存する時間が薬効がある間は続きます。 害は、カテコラミン投与により、不整脈の出現や、末梢循環不全がみられることで患 者の苦痛があるかもしれません。余命が延長することや新たに治療が加わることで経 済的負担は増えます。また、家族は終わりのない不確かさが増えたり、仕事など社会 活動が滞ることでの負担は増えるという一面もあります。
患者にとって、その治療が益 (メリット )となるのか、益になるとしてもどのくらい 患者のためになることなのかを評価する必要がある。 益(メリット )と害(デメリット )の評価には、医療スタッフ自身の価値観が反映される ことがあるため、患者自身の価値観をふまえて、専門職の立場から、(時には患者・ 家族とともに)議論することが重要である。 【参考文献】 ・INR 日本版編集委員会編 (2001)臨床で直面する倫理的諸問題―キーワードと事例から 学ぶ対処法 . (p.14-15).東京: 日本看護協会出版会 . スライド 32 :クリティカル領域におけるエンド・オブ・ライフ・ケアで看護師が直面す る倫理的問題③ 多臓器不全にて全身浮腫を呈する終末期患者の家族が「早く楽にしてあげたい」と訴 えている ⇒ 患者の容貌の変化、それらに関連して安楽死・尊厳死などの倫理的問題が出てく る。 スライド 33 :容貌の変化 クリティカルケア領域では、その病態から患者の容貌が大きく変化してしまうことが 多い。 例として 大量輸液による全身浮腫 多臓器不全による顔色不良 人工呼吸器や体外補助循環などの装着 目に見える皮膚損傷 みなさんもこのような姿を見ることはありますよね?と参加者に問いかけるのも良 い。 医療機器をつけている状態だけでも、家族にとっては衝撃を受けることがある。 通常と違う状況である患者をみて苦悩し、意思決定にも影響することがある。 家族が例えば、そのような姿を見て「早く楽にしてあげたい」といったとき、どのよ
うな方法をとることができるのでしょうか?と問いかけ、思考を促す。家族に実際に 言われたことがある人がいるかどうかを聞いてもよい。 スライド 34 :クリティカルケア領域での延命措置の選択肢 容貌を変化させる可能性のある延命措置について、エンド・オブ・ライフ・ケアでは いくつか延命措置の選択肢が挙げられている。 ① 現在の治療を維持する ② 現在の治療を減量する ③ 現在の治療を終了する ④ 上記の何れかを条件付きで選択する 実際の臨床では、延命措置の選択肢について、どのようにきめられているでしょうか、 と問いかけて、思考を促す。受講者が印象に残っている例などを聞いてみてもよい。 ここで大切なことは、 患者の意向や価値観、患者の病態や予後予測を踏まえて、多 職種チームで検討し、患者や家族らに十分説明し合意を得て進めることである。 スライド 35 :安楽死・尊厳死の定義 それではここで、一般に言われている安楽死・尊厳死について考えてみましょうよう。 <安楽死> 苦しい生、ないし意味のない生から患者を解放するという目的のもとに、意図的に達 成された死、ないしその目的を達成するために意図的に行われる「死なせる」行為の ことを指す。 (清水哲郎 HP: 尊厳ある死・安楽死の概念と区分 ) <尊厳死> 傷病により「不治かつ末期」になった時に、自分の意思で、死にゆく過程を引き延ば すだけに過ぎない延命措置をやめてもらい、人間としての尊厳を保ちながら死を迎え ることを指す。 (日本尊厳死協会 HP: 尊厳死とは ) もちろん日本において安楽死は合法ではない。 看護師は、死を早める求めとその他の求めを判別する責任がある。
先ほどの例のような、ある要求が死を早める要求であると判断されたら、看護師は、 患者のニーズと期待を支える方法で対処し、倫理的でかつ法的にかなったケアを提供 する必要がある。これには、積極的な症状コントロールや支持的ケアを含む、実際的 な知識を有する必要がある。また、他のチームメンバーと協働し多職種チームで考え ていくことが必要である。 その例として、家族が「早く楽にしてあげたい」と訴えている場合だと、「早く楽に してあげる方法」が積極的な安楽死をさすのか、または苦痛をとってあげたいという 家族の希望なのか、倫理的で法的にかなえられるケア内容を多職種とともに考える、 などが挙げられる。 スライド 36 :尊厳死=尊厳を持って最期まで生きること エンド・オブ・ライフ・ケアで私たちが目指すことは、「尊厳のある死」すなわち「尊 厳をもって生きることを支える」ことであると考える。 「尊厳死」とは、人間としての尊厳を保って死に至ること、つまり、単に「生きた物」 としてではなく、「人間として」遇されて、「人間として」死に到ること、ないしその ようにして達成された死を指す。 ⇒「尊厳ある死」ではなく、「尊厳をもって死に至るまで生きること」である。 (清 水哲郎 HP:尊厳ある死・安楽死の概念と区分 ) 死に至るまで、自らの存在を肯定する自尊心を持って生きるあり方を指しており、そ れを達成することがエンド・オブ・ライフ・ケアの目的である。 つまり、死だけに焦点をあてるべきではなく、この題名にあるように最期まで生きる ことを支えるという考え方である。 【M1参照】 スライド 37 :講義内容 <Ⅲ.アドバンス・ケア・プランニング:尊厳ある人生のため に話し合うこと> これらを推進していく上で、どのようにしていけばいいかという考え方として、この 単元では、アドバンス・ケア・プランニングを紹介する。 スライド 38 :アドバンス・ケア・プランニング (ACP)とは アドバンス・ケア・プランニング (ACP)とは、「患者・家族の価値観や目標を理解し、 これからの人生の計画も含んだ治療・ケアに関する話し合いのプロセスのこと」を示
す。 アドバンス・ケア・プランニングの目的は、将来、患者の意思決定能力が低下した際 も、患者の意向が尊重され、患者が望む医療を提供できるようにすることである。 患者にとって不適切な医療の提供が回避され、 患者がどのような状況に置かれても、‘患者にとっての最善’を家族や多職種チームメン バーと共に考えていくことができる。 アドバンス・ケア・プランニングの特徴について、下記に示した。 将来に向けてケアを計画する「プロセス」である 患者の気がかり、価値観を把握する 個々の治療の選択だけではなく、全体的な目標を立てる 家族も含めて話し合いを行う 患者が将来、意思決定能力が低下した際も患者の望む医療を提供できるように準備す る ⇒ アドバンス・ディレクティブ:事前指示を含む (白浜, 2004) スライド 39 :アドバンス・ディレクティブ (事前指示)とは アドバンス・ディレクティブ (事前指示 )とは、「患者あるいは健常人が、将来判断 能力を失った際に、自らに行われる医療行為に対する意向を前もって示すこと」であ る。 (赤林他 , 2001) 意向を示す方法として、 2つの形態がある。 医療行為に関して医療スタッフ側に指示を与える 自らが判断できなくなった際の代理決定者を委任する 【※補足スライド 53 参照】 前者を文書で表したものが、一般にリビング・ウィルと呼ばれる。 (赤林他 , 2001) リビング・ウィルは、患者が意思決定能力を有している間に、方針決定能力あるいは 決定を伝達する能力がなくなった場合の患者の意向を記述する。 【※補助教材 11参照】 どのタイプの延命措置を患者が希望する・しないか、どのような状況でそのような延 命措置を実施し、控え、中止するかについて記述する。
スライド 40 :DNARオーダーとは
DNAR とは、Do Not Attempt Resuscitation の略である。
DNARオーダーとは、急変時または末期状態で心停止・呼吸停止の場合に、蘇生処置 をしないという取り決めのことである。 いかなる治療にも反応しない不治の進行性病変で、死が目前に迫っている患者に対し ては、患者が心停止に陥った時、心肺蘇生を行わないことを前もって指示しておくこ とができ、その指示を DNARオーダーと呼んでいる。 (白浜, 2004) 患者から DNARに関する申し出があった場合や、患者の容態が重篤な病気で死が迫 っていると主治医が判断した場合に検討される。 ここでいう蘇生処置とは、胸骨圧迫、気管挿管、人工呼吸器の装着、薬物投与 (エピ ネフリンなど )などのことである。 いわゆる「どの治療をどこまで行うのか」について詳細に決められる場合もあり、例 として胸骨圧迫、気管挿管は行わないが、昇圧剤は行うなど、多職種との話し合いや、 家族の希望で決められる。 【※M1スライド22〜24参考】 以前は「 DNR」と言っていたが、 DNRは「蘇生可能な場合に対しても、拒否する」 という意味合いにもとられるため、現在では DNARという言い方が主流となってい る。 スライド 41 :アドバンス・ケア・プランニングの位置づけ この単元のⅢ. アドバンス・ケア・プランニング:尊厳ある人生のために話し合うこ との項目の関係性は、図のように説明できる。(スライド47〜49) 「アドバンス・ケア・プランニング (ACP)」、「アドバンス・ディレクティブ (事前 指示 )」、「生命維持治療の差し控え(DNARなど)」の関係は、このような図で表 すことができる。 アドバンス・ケア・プランニングは、アドバンス・ディレクティブ (事前指示)と生命 維持治療の差し控え(DNARなど)を含む広い概念であり、またアドバンス・ディレ クティブ(事前指示 )は生命維持治療の差し控え(DNARなど)のみを指すものではな
い。
(NHS HP: Advance Care Planning: A Guide for Health and Social Care Staff)を一部改 変 スライド 42 :講義内容一覧 <Ⅳ 看護倫理に基づくケアの実践> これ以後のスライドは、看護倫理に基づくケアの実践について話す。倫理的問題を解 決できるような実践内容を提案する。 スライド 43 :看護倫理に基づくケアとは 看護倫理とは、看護師の患者・家族に対するケアやコミュニケーション、判断におい て、どのように対応するのが適切かを考えることである。 看護師として、どのようにケアに取り組めばよいのか、その取り組みの基盤となるも のが看護倫理の考え方である。 「看護倫理に基づくケア」とは、患者へのケアが、その時、その人にとって最善なも のになるように支援することを指す。 スライド 44 :看護倫理に基づくケアの実践 看護倫理に基づくケアを実践するうえで、看護師は、患者の尊厳を守り、患者を擁護 する擁護者となる。具体的には、スライドのようなことをさす。 患者の権利を守る 患者の価値観を守る 患者を人として尊敬する人としてみる (小西他 , 2007b) もし、医療チームの他のメンバーが患者の権利や尊厳が脅かしていると感じた場合、 看護師には患者・家族を擁護するために適切な行動をとることが求められる。つまり、 患者・家族がその人らしく最期まで尊厳を もって生きられるようにサポートする擁 護者としての役割がある。 (石本, 2007) 倫理的問題を医療スタッフ間で共有する、ということに関して まず何が倫理的問題となっているのか医療スタッフ間で共有し、共通の問題として取 り組む必要がある。 【※補助スライド60〜64】 例えば、日常の看護の中で、患者にとってこのままでよいのだろうか?と感じること
を、チームメンバーに打ち明け、話し合おうと思うこと、カンファレンスに提案でき ることが大切である。 患者にとって何が最善なのか、患者、家族、多職種チームで話し合い、合意を得たう えでケアを実践する、ということに関しては 初めの方のスライドで、倫理的問題には簡単な解決方法はないと述べた。そのため、 看護師の倫理綱領に則った行動をとることが善いことだと、単純化できるものではな いという前提で、関係者が集まって問題を整理し、知恵を出し合い、協働作業をしな がら答えを出していくプロセスを踏んでいくことが重要となる。 医療スタッフ間で共有したり、合意するよい方法として、事例検討がある。 【※補助スライド65〜67】 また、それぞれが倫理的感受性を高めることもよいケアの実践につながる。 スライド 45 :倫理的問題を未然に防ぐ努力をする これまで、倫理的問題に直面した際にどうすればよいかという点について説明してき たが、ここでは、倫理的問題を未然に防ぐという考え方について説明する。 看護師は倫理的問題が起こることを、できるだけ未然に防ぐ努力をする必要がある。 ⇒ これは「予防倫理」という考え方である。 そのためには、 疾患の経過に関する知識を身につけることで、看護師は患者・家族がどんなことに懸 念を抱くのか、どんな危機的状況が生じるかなどについて事前に把握し、備えること ができる 患者・家族のその時々の気持ちや意向を理解する 文化やスピリチュアル面についてアセスメントする。これは次のM5で学ぶ。 コミュニケーションスキルを高める ・コミュニケーションスキルを高めることで、対話を促進し、衝突が生じるような状 況が生じる前に、患者や家族と医療チームメンバーの価値観や考え方を精査するこ とが可能になる。(Reigle J & Boyle RJ, 2000)
【参考文献】
・Forrow L, Arnold RM & Parker LS (1993) Preventive ethics: Expanding the horizons
スライド46 :倫理的問題への組織的な対応 倫理的問題に対応するための組織的な対応として、スライドのような 3 つが挙げられ る。 現場で倫理的問題を考える仕組みとして 日々のカンファレンスや多職種チームのカンファレンスなどがこれにあたる。 ・臨床で遭遇する「本当にこれでいいの?」といったモヤモヤや気がかりを日々のカ ンファレンスなどで話題にし、多職種チームに開示することが大切である。そして それらが倫理的問題であるかを同定し、話し合いを始める。 ・倫理的問題はすぐに答えが出ないことが多いが、患者の権利を守る看護師として、 患者に不利益が起きていると感じたら、そこから目を背けないことが大切である。 ・話し合った経過を記録に留め、倫理的問題があることを提示する材料を整理してい く。まず、自分達にできることからはじめ、仕組み作りを促していくことが大切で ある。 【参考文献】 ・ 濱口恵子 ,石川邦嗣 (2001)緩和医療における臨床倫理委員会の意義 . 緩和医療学 3(1): 19-27. 臨床倫理委員会 臨床倫理委員会の活動は、 ・事例検討、臨床倫理問題に関する医療スタッフのコンサルテーション活動、臨 床倫理に関する医療スタッフ、患者・家族への教育・啓発活動 ・施設における指針の作成やレビュー などがあげられる。
研究審査員会 (Institutional Review Board: IRB)
治験をはじめとする臨床研究に関する倫理について審査する役割を持つ。 もし、倫理委員会や倫理コンサルテーションの仕組みがない組織でも、まず自分達に できることから始めるとよい。 スライド 47 :講義内容一覧<Ⅴ. 結論> スライド 48 :結論 看護師は、倫理的問題にまず気づくことが重要である
看護師は、倫理に関する洞察力、言葉による伝達能力、意思決定の過程を理解するこ とが必要である 看護師には、患者の価値観やニーズを把握し、患者・家族の権利を擁護する役割があ る 看護師は、エンド・オブ・ライフにおける倫理的問題に取り組む際に倫理原則やその プログラムを使い、多職種で患者の最善を考える スライド 49 :補足スライド これ以降のスライドは、必要に応じて使用してください。 スライド 50 :看護倫理の位置づけ スライドでは、看護倫理の位置づけがわかるように、「臨床倫理」と「医療倫理」と の関係を示した。スライドの図では、看護倫理が医療倫理の一領域であることを示し ている。 「倫理」の中に、看護にも他の専門職にも、同じ倫理の基盤 (様々なことについての 価値や、よく生きることについて考える哲学 )があるが、各職種は独自の役割や責任 を持つ。 (Davis AJ, 2011) 「看護倫理」には、看護師固有の部分と、医師などの他職種と共通の部分、さらに一 般市民と共通する部分がある。 (清水, 2011b) 「看護倫理」とは何かを考えるときは看護師独自の責務を考慮することが大切である。 「臨床倫理」は、医療・介護従事者に共通のものであり、看護倫理と大きく重なる。 「医療倫理」は、「看護倫理」と同様に、医師固有の部分と、他職種と共通の部分、 一般市民と共通する部分がある。 (清水, 2011b) スライド 51 :それぞれの価値や価値判断とは
まず、「価値」「価値判断」「価値観」について整理する。(価値観は次のスライド で詳細に) (価値はいくつか意味合いがあるが、ここでは②の《哲》を採用する) ①物がもっている,何らかの目的実現に役立つ性質や程度。値打ち。有用性。 「 - ある品物」 「 -を損なう」 「言及する-もない」 〔幕末までは「価直(かちよく)」 が用いられた〕 ②〘哲〙 善きもの・望ましいものとして認め,その実現を期待するもの。内在的な もの・手段的なものなどにわかれるが,特に,真・善・美など,普遍妥当性をもった 理想的・絶対的価値をいう。 ③〘経〙 商品の価格の背後にあって,それを規定しているもの。その本質・源泉の とらえ方によって客観価値説(労働価値説)と主観価値説(効用価値説)とが対立す る。 〔この語は price の訳語の一つとして「英和記簿法字類」(1878 年)に,また value の訳語として「附音挿図英和字彙再版」(1882 年)に載る〕 スライドには、例として「家族」に対する価値と価値判断を示した。 こんなに具合が悪いのだから、毎日面会に来てほしい(価値) こんなに具合が悪いのだから、面会にこないなんて変な家族だ(価値判断) 患者、家族、医療スタッフそれぞれが大切していることや価値は異なるかもしれない。 ⇒医療スタッフの価値や価値判断をおしつけていないだろうか。 価値観を次のスライドで説明する。 スライド52 :クリティカルケア領域における価値観の例 価値と価値判断、価値観をクリティカルケア領域の例で説明する。 患者が「天命を全うしたい」という価値を持っている。 患者の意識がある場合で、かつ自律性が保たれている場合に初めて「延命はしない」 という価値判断がされる。 しかし、意識障害があり、代理意思決定をする場合は、患者の価値観がどんなもの か検討する。「患者は『延命したくない』という価値観を持っているはず。だから、 延命治療はしない」 スライド 53 :代理意思決定者の選定 代理で意思決定を行う人の選定は、以下の4点に注意しなければならいと示されてい ます。 代理意思決定者をたてる必要性
代理意思決定者としては誰が適任であるか 代理意思決定者の「義務と責任を遂行する能力」 そして代理意思決定者に開示すべき情報の範囲 の確認の4つになります。 スライド 54 :代理意思決定者の選定−1 1つめの代行判断者をたてる妥当性とは、 患者さん自身が自ら判断し決定できる力があるかということです。 例えば、新生児や乳幼児、特にクリティカルであれば意識障害を起こしている患者な どです。 あとは、患者自身が代理意思決定者を立てることを強く望んでいるかどうか という視点が妥当性の査定をしなければなりません。 スライド 55 :代理意思決定者の選定−2 2つめは誰が適任者であるかとうことになります。 新生児・乳幼児では両親、児童虐待では児童相談所所長などの法的保護者はいない か? 患者家族の中のキーパーソン(代行判断の中心者)は誰か? 患者さんと患者家族の間に意見の対立はないか? 患者家族は患者さんの最善の利益以外の事項(例えば遺産や年金)を優先していない か? 患者さんが、血縁のない知人・友人を代理意思決定者に指名する希望を持っていない か? 家族間に対立はないか? 患者さんが情報開示、意思決定参加を望まない家族員はいるか? ということを鑑みて誰が適任者であるかということを査定します。 スライド 56 :代理意思決定者の選定−3 3つめの代理意思決定者の「義務と責任を遂行する能力」のチェックとしては、 患者家族の医療情報に関する理解度は十分か? 家族構成員間の情報と意思の疎通は十分か? といった代理意思決定者の義務と責任能力を査定します。 そして、代理意思決定者に開示すべき情報の範囲の確認は、 患者はどの範囲までであれば自分の個人情報を代理意思決定者に開示してよいと考
えているか? についての内容になります。 スライド 57 : 代理意思決定のプロセス 1.患者の意思が推定できる 患者の意思が推定できる場合は、 1. 患者の推定意思を確認する 2. 患者の推定意思を尊重する 3. 治療などの選択肢を家族等に説明 4. 家族等と医療従事者が十分に話し合う 5. 医療行為の開始・不開始、変更、中止 スライド 58 :代理意思決定のプロセス 2.患者の意思が推定できない 患者の意思が推定できない場合は、 1. 患者にとって最善の治療を医療チームで話し合う 2. 治療などの選択肢を家族等に説明 3. 家族等と医療従事者が十分に話し合う 4. 医療行為の開始・不開始、変更、中止 これらは、「先生方におまかせします」といったような、家族が医療チームに決定を 委ねる場合を含みます。 スライド 59 :代理意思決定のプロセス 3.患者の意思が確認できず代理意思決定者が いない 患者の意思が確認できない際は、2.と同様になるが 1. 患者にとって最善の治療を医療チームで話し合う 2. 医療行為の開始・不開始、変更、中止 また、代理意思決定者が誰もおらず、医療チームが医学的適応などを鑑みて治療の意 思決定を行う場合もある。その際、医療者は患者擁護の視点に立つこと、最後まで患 者に最善のケアをすることが大切である。 スライド 60 :ジョンセンの 4 分割法 ジョンセンらは、倫理的問題を明らかにし分析する体系的な方法として以下の 4 つの 項目に関して、 医学的適応、患者の意向、QOL、周囲の状況 の それぞれを検討することを提案し
ている。 この 4 分割法を用いる効用としては、事例を全体的に捉えられる 複雑な問題を論理的に整理して検討できる 多方向からの視点で検討できる 倫理的問題が明確化できる 何がわかっていて、何がわからないのか、何が問題になっているのか、などをはっき りさせることができる 対処の方策を検討でき、医療チームで共有できる 患者本人の意思を尊重することができる、 とされている。 スライド61 :医学的適応 善行と無危害の原則に基づいている。 患者の病状の評価、診断、予後と治療について、臨床の場で通常検討される項目であ る。 「適応」とは、患者の病状を評価し、治療するのに適切な診断的・治療的介入をさす。 患者に与える利益や患者の意向など、その症例の基本的倫理的特徴に照らして医学的 事実を検討し評価する。 検討する項目の内容としては、 患者の医学的問題について;診断、予後 急性、慢性、可逆的/不可逆的 治療の目標 治療の成功する確率 治療の効果がない場合の計画 があげられる。 この患者は、医学的及び看護的ケアでどのくらい利益を得られるのか、どのように害 を避けることができるのか、についての情報を得る。
スライド 62 :患者の意向 自律性尊重の原則に基づいている。これは、あくまでも患者の自己決定に関するもの である。 患者自身の価値観や、患者が評価する利益や負担に基づく、患者の意向が重要である。 患者が何を欲しているのか、患者の目標は何かを検討する。 患者へ必要な情報が伝わっているか、患者はそれを理解できているか。 患者が自発的に同意しており、強制されていないか。 患者に判断能力がなかったり意思が表明できない場合には、患者の代わりに決定する 権限があるのかは誰なのか。 検討する項目の内容としては、 患者の判断能力、法的対応能力 患者の治療についての意向 インフォームド・コンセント 治療に対して非協力的か、拒否があるか 代理意思決定 (患者の最善の考慮) アドバンス・ディレクティブ、推定意思 があげられる。 まとめると、患者の選択権は、倫理的にも法的にも最大限に尊重されているかを検討 する。 スライド 63 :QOL 善行と無危害と自律性尊重の原則に基づいている。 外傷や疾病は、その症状や徴候によって患者の QOL を現実に低下させるか、将来低 下させる危険をもたらす。 医学的介入の 1 つの目標として、QOL の回復、維持、改善にあるため、あらゆる医 学的介入においてQOL が問われなければならない。 検討する項目の内容としては、
日常生活に復帰できる見込み 患者の身体・精神・社会的損失について 医療者によるQOL 評価に偏見を抱かせる要因 延命が望ましくないと判断される将来像の予測 治療中止の理論的根拠 緩和ケアの計画 があげられる。 治療の遂行もしくは中断によって、患者の幸福に影響がどのようにあるのかについて 検討する。 スライド 64 :周囲の状況 忠実義務と公正の原則に基づいている。 患者は、医療、財政、社会制度というようなものにも直面する。患者の状況はどのよ うな可能性をもち、どのように制約を受けるか。 患者(もしくは代理意思決定者)の決定は、心理的、情緒的、金銭的、法律的、科学 的、教育的、宗教的な影響を他者に与える。もしくは、これらの要因が患者(もしく は代理意思決定者)の決定に影響を与える。 検討する項目の内容としては、 家族側の要因(利害関係) 医療者側の要因(施設方針、臨床研究) 経済的要因、医療資源配分 宗教・文化的要因 守秘義務 法的要因 その他(診療情報開示、医療事故) があげられる。 まとめると、家族や施設、医療制度や経済の状況が患者の決定やケアにどのように影 響があるか。 スライド 65 :事例検討の進め方 倫理的問題を医療スタッフ間で共有するために、事例検討が推奨されている。以下、