患者の意思が確認できない際は、2.と同様になるが1.
患者にとって最善の治療を医療チームで話し合う2.
医療行為の開始・不開始、変更、中止
また、代理意思決定者が誰もおらず、医療チームが医学的適応などを鑑みて治療の意 思決定を行う場合もある。その際、医療者は患者擁護の視点に立つこと、最後まで患 者に最善のケアをすることが大切である。スライド 60 :ジョンセンの
4
分割法
ジョンセンらは、倫理的問題を明らかにし分析する体系的な方法として以下の4
つの 項目に関して、医学的適応、患者の意向、
QOL、周囲の状況 の それぞれを検討することを提案し
ている。
この4
分割法を用いる効用としては、事例を全体的に捉えられる
複雑な問題を論理的に整理して検討できる
多方向からの視点で検討できる
倫理的問題が明確化できる
何がわかっていて、何がわからないのか、何が問題になっているのか、などをはっき りさせることができる
対処の方策を検討でき、医療チームで共有できる
患者本人の意思を尊重することができる、とされている。
スライド
61
:医学的適応
善行と無危害の原則に基づいている。
患者の病状の評価、診断、予後と治療について、臨床の場で通常検討される項目であ る。
「適応」とは、患者の病状を評価し、治療するのに適切な診断的・治療的介入をさす。
患者に与える利益や患者の意向など、その症例の基本的倫理的特徴に照らして医学的 事実を検討し評価する。
検討する項目の内容としては、
患者の医学的問題について;診断、予後
急性、慢性、可逆的/不可逆的
治療の目標
治療の成功する確率
治療の効果がない場合の計画 があげられる。
この患者は、医学的及び看護的ケアでどのくらい利益を得られるのか、どのように害 を避けることができるのか、についての情報を得る。スライド 62 :患者の意向
自律性尊重の原則に基づいている。これは、あくまでも患者の自己決定に関するもの である。
患者自身の価値観や、患者が評価する利益や負担に基づく、患者の意向が重要である。
患者が何を欲しているのか、患者の目標は何かを検討する。
患者へ必要な情報が伝わっているか、患者はそれを理解できているか。
患者が自発的に同意しており、強制されていないか。
患者に判断能力がなかったり意思が表明できない場合には、患者の代わりに決定する 権限があるのかは誰なのか。
検討する項目の内容としては、
患者の判断能力、法的対応能力
患者の治療についての意向
インフォームド・コンセント
治療に対して非協力的か、拒否があるか
代理意思決定 (患者の最善の考慮)
アドバンス・ディレクティブ、推定意思 があげられる。
まとめると、患者の選択権は、倫理的にも法的にも最大限に尊重されているかを検討 する。スライド 63 :QOL
善行と無危害と自律性尊重の原則に基づいている。
外傷や疾病は、その症状や徴候によって患者のQOL
を現実に低下させるか、将来低 下させる危険をもたらす。
医学的介入の1
つの目標として、QOLの回復、維持、改善にあるため、あらゆる医 学的介入においてQOL
が問われなければならない。
検討する項目の内容としては、
日常生活に復帰できる見込み
患者の身体・精神・社会的損失について
医療者によるQOL
評価に偏見を抱かせる要因
延命が望ましくないと判断される将来像の予測
治療中止の理論的根拠
緩和ケアの計画 があげられる。
治療の遂行もしくは中断によって、患者の幸福に影響がどのようにあるのかについて 検討する。スライド 64 :周囲の状況
忠実義務と公正の原則に基づいている。
患者は、医療、財政、社会制度というようなものにも直面する。患者の状況はどのよ うな可能性をもち、どのように制約を受けるか。
患者(もしくは代理意思決定者)の決定は、心理的、情緒的、金銭的、法律的、科学 的、教育的、宗教的な影響を他者に与える。もしくは、これらの要因が患者(もしく は代理意思決定者)の決定に影響を与える。
検討する項目の内容としては、
家族側の要因(利害関係)
医療者側の要因(施設方針、臨床研究)
経済的要因、医療資源配分
宗教・文化的要因
守秘義務
法的要因
その他(診療情報開示、医療事故)があげられる。
まとめると、家族や施設、医療制度や経済の状況が患者の決定やケアにどのように影 響があるか。スライド 65 :事例検討の進め方
倫理的問題を医療スタッフ間で共有するために、事例検討が推奨されている。以下、ステップ
1
から5
に沿って説明する。
ステップ1 問題点の整理
問題の本質はどこにあるのか洞察することが重要。
直感的に判断しない。
複数の問題は存在しないか問題を明らかにする。
ステップ2 問題に対する捉え方の整理
その問題に対する登場人物の考え方を整理する。
考えが明らかになっていない人はいないか。
対立している部分どこか、合意を得ている部分はどこか。スライド 66 :事例検討の進め方 (つづき)
ステップ3 問題の捉え方の背景を考える
「なぜそのように考えるか」考え方の背景を明らかにする。
個別的な事情を考慮した問題の検討をする。
それぞれの人々の考え方の理解を深める。
ステップ4 倫理原則で問題を考える
本人の意思を尊重する決定とは。
医療者が考える最前の方法は。
患者に不利益になる決定は何か。
同様の事例での対応は。
この事例で最善な倫理的対応は。スライド 67 :事例検討の進め方 (つづき)
ステップ5 プロセスを結合して今後の方向性を導く
患者にとって最善の決定とは何か。
まず、どのような行動をとるべきか。
関係する人々が納得できる結論か。スライド 68 :成年後見制度
成年後見制度は、例えば、未成年の患者が亡くなったときの財産分与の場合などに適 用される。
ドキュメント内
モジュール4:エンド・オブ・ライフ・ケアにおける倫理的問題
(ページ 30-35)