1.はじめに
留学生の日本語教育に要請される課題の一つに、「専門分野にかかる様々なレポートや 論文を日本語で作成する能力の錬成」(古城1999)を目的とする教授法や教材の開発があ る。これらのレポートや論文の指導のためには、文章のジャンルによる違いを明らかにす る必要があり、理系の専門分野における文章では、文章構造面の分析の重要性がしばしば 指摘されてきた(加納1993、深尾1999等)。しかしながら、レポートや論文の書き方の 参考書類(木下1981等)は種々あるものの、理系の文章を分析したものは、学術論文に 関する佐藤・仁科(1996)、村岡他5名(2004)等のごく僅かの研究に限られ、理系の大 学生のレポートの文章構造の研究は皆無に近い。
岡崎ら(2001)は、英語の第二言語の作文教育を踏まえて、文章産出過程研究の実績 を評価しつつ、学術用の第二言語使用には、さらに専門分野での学問領域の常識として用 いられている文型や文章構造のパターンの活用が必須であるとして「ジャンル・アプロー チ」(ジャンル分析)を紹介している。特に、理系の学術論文の文章研究と作文指導とし ては、英語のジャンル分析(Swales 1990等)に成果が上げられている。
一方、日本語の文章論研究においては、佐久間(1987、1995、1996、2003等)が、時 枝(1960)、市川(1978)、永野(1986)による文章論を発展させ、文章の成分として、文 を越える「段」という言語単位に基づき、文章型や要約文研究などの成果を上げている。
本稿では、日本の大学の理工系学部に学ぶ留学生の課題レポートの指導をするための基 礎的研究として、日本人理工系学部生の課題レポートを調査資料とし、「ジャンル分析」
と佐久間の「段」の統括論に基づいて、序論の文章構造の分析をする。理系の課題レポー トの文章構造に関する先行研究は、分析方法も確立していないため、学生の課題レポート に適した分析方法を提案したい。序論を分析対象とするのは、論文・レポートを書く上 で書き手が最も困難を覚える部分という理由で、先行研究(米田・林2003、村岡他5名 2004)でも取り上げられていることによる。
における序論の文章構造
村上 康代
キーワード
専門分野に関わる日本語教育・ジャンル・構成要素・段・中心文
2.先行研究
2. 1 理系の論文の序論に関する先行研究
佐藤・仁科(1996)は、多くの留学生が抱える日本語の読解・作文の問題に関して、論 理的な文章を扱う専門科目への導入のための文章構成の指導を重視し、理系の文章の中で も必要度の高い工学系の学術論文の序論について詳細に記述・分析している。文レベルの みならず、意味のまとまりとしての文段注1レベルでの機能分析を行い、「意義指摘型」、「課 題提示型」、両者の「複合型」という序論の書き出しの3類型を指摘している。
欧米のジャンル分析(Swales 1990、Jacoby et. al. 1995等)では、テキストの類型を、
ディスコース・コミュニティの慣習を反映した結果としてとらえており、大島(2003)は、
専門分野の橋渡しとなる日本語教育でのジャンル分析の応用可能性を指摘している。こ の分野では、米田・林(2003)が、ジャンル分析に基づき、農学部の卒業論文発表のビ デオの分析から序論部分の文章・談話レベルの構造分析を試みている。そこで、本稿で は、課題レポートの話題のまとまりを分類する意味的側面の観点に、佐藤・仁科(1996)
の日本語の工学系学術論文の論述事項と記述事項とともに、Swales(1990)が提唱した CARSmodel(研究領域創造モデル)注2のMoveやその下位項目のStepの応用を試みる。
2. 2 文章構造と文章構成の概念
本稿における「文章構造」とは、永野(1986)等に従い、文章の成分の重層的な結びつ き方のことである。「重層的な結びつき方」とは、同じレベルの成分相互の関係や異なっ たレベルの成分との関係、さらには文章全体との統括関係を意味している。また、この関 係は意味の関係であり、言語の形式によって実現されるものである。
一方、「文章構成」とは、文章の書き手の思考による組み立て(神尾1989:126)であ り、三部構成や起承転結など修辞的な側面である文章の成分の線条的な配置として観察さ れる。理工系学部生の専門分野での学習や、研究活動の基礎学力を養うための作文指導に おいては、構想段階においても、実際に書く作業においても、学生に期待される文章構成 のモデルを示すことは有効と考えられる。その構成と、それが文章に実現する仕組みを明 らかにするためにも、文章構造の研究が不可欠であると考えられる。
2. 3 日本語の「段」に関する先行研究
文章構造の研究に際しては、研究目的に即した言語単位に基づいて研究することが重要 である。文章の成分としては、語、節、文など種々のレベルが認められるが、本稿のため には、語や文を越えた話題のまとまりである成分に基づいて研究を進めることが有益と考 え、佐久間(2003)による「段」を分析単位として用いる。
佐久間は、市川(1978)の「文段」および「中心文」注3の概念を発展させ、主要な「文 章の成分」として、段落の改行の有無に関わらず、「意義の統一」を伴う連文をもって基 本的単位とする「段」として新しく規定し直し、佐久間(2003)にその後の研究成果をま とめている。
文章の直接的な成分である「段」は、一段内部の文集合が核となる「中心文」が有す る統括機能の及ぶ範囲(統括領域)の言語表現であると考えるが、「段」は主として
内容上のまとまりとして他と相対的に区分される意味的な統一体である。「段」は原 則として1個以上の中心文と、それによって統括される複数の文群からなる。統括機 能とは、同一の話題を表す文集合を文章の成分の一つとしてくくりまとめる力を意味 している。各段の統括機能には、文章展開面で果たす役割の種類と、相対的な統括力 の及ぶ範囲の違いがある。
(佐久間1995:94)
3.調査対象と分析方法
3. 1 本稿の調査資料
本稿では、課題レポートを専門分野の入門期の作文として位置づけ、理工系留学生への レポート指導のための基礎研究の資料として、「理工系学生のための日本語教育」である 慶應義塾大学理工学部総合教育セミナーの成果報告書注4に収められた課題レポート45編 の序論を調査する。これらの資料の序論では、文数3〜4のものが45編中19編で最も多 く、特に長い文数(〔資料2〕の文章[2–5]が33文と文章[2–6]が30文)の文章を除 いた43編の序論の平均文数は、3.8文であった。
3. 2 課題レポートの序論の構成要素
本稿では、まず意味内容の面から、佐藤・仁科(1996)の工学系学術論文の論述事項と 記述事項および、Swales(1990)の論文の序論のモデルをもとに理系の課題レポートの 構成要素を設定する。この構成要素とは、理工系学部生が、研究の成果(わかったこと)
を読み手に効果的に伝えるために、課題レポートのある部分で述べるレポート作成上必要 な要素である。これは、課題レポートの論理性や首尾一貫性を保つために必要な要素とし て、指導者が学生に求めているものでもある。この構成要素を、主に、「段」の中心文に よって認定し、課題レポートの文章構造を分析する。
【表1】のように、序論の構成要素として、「Ⅰ問題発見」「Ⅱ問題分析」「Ⅲ課題設定」
の3要素を設定し、この構成要素を文章に実現させるための下位要素として、aからoの 15項目を設定した。日本語の理工系学部生の課題レポートにふさわしい要素を設定する ために、Swales(1990)と佐藤・仁科(1996)の他に、山崎(2000)注5、米田・林(2003)、
アカデミック・ジャパニーズ研究会編(2002)等も参考とした。
【表1】の左端の列の記述事項a〜tは、佐藤・仁科(1996:30–31)の工学系の学術論
文の序論において、文型に注目して文単位で抽出されたものである。論述事項A〜Dと は、文段単位で抽出したものである。次の列では、アカデミック・ジャパニーズ研究会編
(2002)による、論文・レポートの構成要素の該当項目を○で示した。同様に、3列目に は米田・林(2003)の口頭発表の序論部の構成要素を示した。中央の列は、Swales(1990)
の、Move1: Establishing a territory(論文が扱う領域を確立する),Move2: Establishing a niche(研究されるべきテーマや新しい視点を指摘する)Move3: Occupying the niche(自 分の論文を位置づける)をM1〜M3で示し、下位要素のStepを1–1〜3–3の記号注6で 示した。
「構成要素Ⅰ 問題発見」とは、課題レポートの共通テーマ(「ロボットと人間の共存」
等)や関連するより広いテーマ(「環境問題」「少子高齢化社会」等)から、各自の課題 につながる問題を発見するまでの過程を示し、レポートで扱う領域を示すためのものであ る。それを文章として表現するために、(Ⅰ−a)から(Ⅰ−e)の下位要素がある。(Ⅰ−a)
は、共通テーマや広いテーマを話題として提示、解説する要素である。(Ⅰ−b)は、その テーマの重要性・必要性を指摘する機能を持つ要素である。(Ⅰ−c)は、そのテーマへの 一般的な注目や書き手の関心を指摘する。(Ⅰ−d)はそのテーマへの背景・社会的要請を 示す。(Ⅰ−e)は、書き手が発見した、テーマに関する問題の指摘である。
後述する[文章例1]では、文①は、「20世紀において」…「著しく進歩した。」という「時 に関する表現」と「叙述表現」により、ある時点での、大きな変化への注目を示しており、
(Ⅰ−c)として認定する。文②は、「重要な役割を果たした。」という叙述表現から(Ⅰ−b)
として認定する。文⑤は、「副作用をもたらすものが多い」という表現から、医療の発展 における薬物の副作用という広い領域の問題を指摘しているとして(Ⅰ−e)と認定する。
「構成要素Ⅱ 問題分析」は、(Ⅰ−e)について、書き手が入手した各種資料や統計を もとに分析し、研究対象を絞る過程を示している。(Ⅱ−f)は問題(Ⅰ−e)の解決のため の必要条件を示す。(Ⅱ−g)は、先行研究ともいえる各種調査の内容を解説するもので、
[文章例1]では、注を含む文④が該当する。(Ⅱ−h)は、すでに発見した問題(Ⅰ−e)
である薬物の副作用について、文献等の調査をもとに、より具体的な薬物の制御という問
【表1】 参考書と課題レポートの序論の記述事項と構成要素の一覧表 記述事項(a〜t)論述事項(A〜D)アカデミック
ジャパニーズ 研究会
米田・林 Swales 課題レポートの構成要素(Ⅰ〜Ⅲ)
下位要素(a〜0)
各構成 要素の 出現率 A対象の意義の指摘(kも含む)
a対象〔主題〕の説明 b対象〔主題〕の重要性の指摘 c対象〔主題〕への注目の指摘 B課題の提示 (a,kも含む)
d問題の背景の説明 e問題の指摘
f問題解決の必要条件の提示 C研究史の記述 (aも含む)
g先行研究の存在の指摘 h先行研究の内容の紹介 i先行研究の不備の指摘 j不備解消の必要条件の提示 k研究の必要性の指摘 D研究経過の報告
l筆者の研究の進展状況の報告 E研究の概括
m研究の動機の表明 n研究[論文]の主題の提示 o研究[論文]の目的の表明 p研究の方針の提示 q研究の方法の提示 r研究の資料の説明 s研究の実施要目の提示 t論文の要目の提示
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○ M1
1-1
1-2 M2
1-3 2-1B/
2-1C M3
3-1A
3-3 3-2
Ⅰ問題発見
a共通テーマ/テーマ(広)の提示・説明 bテーマ(広)の重要性・必要性の指摘 cテーマ(広)への注目の指摘
dテーマ(広)への社会的要請・背景の指摘 eテーマ(広)に関する問題の指摘 Ⅱ問題の分析
f問題 (e) の解決の必要条件の提示 g調査結果(文献・資料)の紹介 h調査により発見した問題点の指摘 i問題点 (h) 解決の必要条件の提示 Ⅲ課題設定
jレポートのテーマ(狭)研究の必要性の指摘
kレポートのテーマ(狭)決定の動機の説明 lレポートのテーマ(狭)の提示
mレポートの研究行動の説明 nレポートの研究行動の表明 oレポートの構成・項目の提示
46(%)
13 4 13 3 12 9(%)
2 1 3 3 45(%)
1
4 10
3 27 計100%1
題点を指摘し、(Ⅱ−i)はその問題点解決のための必要条件を提示する。文⑥は、「これは、
…がなされていない為である。」と、文④の問題解決のための条件を示しており、(Ⅱ−f)
と認定される。
「構成要素Ⅲ 課題設定」は、「Ⅰ問題発見」や「Ⅱ問題分析」を踏まえて、レポ−トの 研究対象を具体的に示す。(Ⅲ−j)は、テーマを絞り込んで発見した狭いテーマである学 生の研究の必要性を指摘し、(Ⅲ−k)は学生の研究の動機を説明する。また、(Ⅲ−l)は 狭いテーマを解説し、(Ⅲ−m)は研究方法を説明する。(Ⅲ−n)はレポートの研究内容を 具体的に示す機能を持ち、(Ⅲ−o)はレポートの構成・執筆項目を示す機能を持つ。[文
章例1]の文⑦では、「そこで〜を〜という面から考えて行きたい。」と具体的な研究行動
を表明しており、(Ⅲ−n)として判断できる。
以上の方法に従い、〔資料1〕から〔資料3〕の45編の課題レポートの序論について、
単一の段と認定された場合、文単位でこれらの構成要素を認定する。複数の段と認定され た文章については、序論の構造を「段」を単位として記述するため、各段の中心文の構成 要素を認定する。
3. 3 課題レポートの「段」と「中心文」
[文章例1]を例に挙げ、序論の認定法を述べる。この文章は、6章からなる約7200字
の課題レポートであり、第1章と第6章は全文を、第2章から第5章までは見出しのみを 記している。まず、文章全体を、序論・本論・結論に分割する。この文章では、第1章「は じめに」において、書き手が「レポートで何を述べるか」、「何を調査・研究するか」をそ の理由とともに示していることより、第1章が序論であると判断する。また、最後の第6 章「おわりに」で、調査・研究の成果である、レポートの結論、「要するに何がわかったか」
が、文⑤と文⑥で述べられているので、第6章を結論の部分に該当すると判断する。さら に、第2章から第5章では、結論を導く過程が述べられており、この部分を本論と判断す る。
次いで、話題のまとまりにより「段」の認定を行う。話題のまとまりを認定するにあたっ て、内容面では「構成要素」(3–2参照)から、形態面では佐久間(1987等)の文段の認 定基準に従って、中心文を認定し、その統括力の範囲を確認して、段を認定した。意味の まとまりを、漠然とした話題、内容という観点からではなく、レポート作成上必要な構成 要素と、客観的な基準を示すことのできる形態面の特徴の双方から判断することになる。
なお、文章例に施された下線や は、分析に際して、筆者が記したものである。
二重下線 は、段の中心文を示し、波線 は、下位要素を判定する際の手がかり とした表現に、 と は統括力の強い接続表現と提題表現に付した。
[文章例1]「D.D.Sとナノテクノロジー」(〔資料2〕文章[2−11])
1. はじめに
一 ①20世紀において医療分野は、他の産業の発展に伴い著しく進歩した。(Ⅰ−c)
②特に薬物の開発は医療の発展において重要な役割を果たした。(Ⅰ−b)③例えば かつて死病と恐れられていた結核もいまや過去の病気となりつつある。④これはス トレプトマイシンなどの抗結核薬の開発によるものである1)。(Ⅱ−g)⑤しかし薬
物の中には薬効と共に副作用をもたらすものが多い。(Ⅰ−e)⑥これは薬物の制御 が為されていないためである。(Ⅱ−f)⑦そこで21世紀の医療分野の更なる発展 の可能性を薬物の制御という面から考えて行きたい。(Ⅲ−n)
2. D..D.S(Drug Delivery System)
3. ナノマシンの利用 4. ナノドラッグキャリア 5. 将来的なD.D.S 6. おわりに
三 ①21世紀、日本を始めとして高齢化社会の路を歩む国々が多い中で医療の需要 はますます高まる。②その中で「適切な場所に適切な時間に適切な量の薬を運ぶこ と」により副作用を押さえる技術は非常に重要である。
③副作用自体が病魔同様身体を蝕むものであるのはもちろんのこと、副作用を防 ぐためにとられる処置も患者に身体的にも精神的にも負担を与える。④例えばがん 患者は抗がん剤の副作用をふせぐために1日に何本もの点滴を打つこととなり、患 者はベッドに縛り付けられる。
⑤副作用をおさえた薬物投与により患者の身体的・精神的負担を軽減し、更に薬 効も高める。⑥それを可能にするD.D.Sの開発は今後の医療開発の中で最も進め ていくべきものの1つである。
[文章例1]の序論は、文⑦を中心文とする単一の段からなると判定される。文⑦の話
題は、「薬物の制御トイウ面カラ」の研究であり、書き手が「レポートで何を述べるか」、
「何を調査・研究するか」を示す序論の目的を文⑦で表明している。形態的特徴としては、
「ソコデ」という順接型の接続表現と「〜テイキタイ。」という、伝達レベルの叙述表現、
「医療分野」(文①)「発展」(文①、文②)、「薬物」(文②、文⑥)、「薬物の制御」(文⑥)
という反復表現の系列を備えている。また、「本課題レポートデハ」ないしは「筆者ハ」
という序論と文章全体を統括する提題表現が略題となっている。以上の形態的指標によ り、文⑦は、内容と形態の両面から、文①から⑥を一つの話題としてとりまとめる序論で 最大の統括力を示す中心文として、文章の冒頭の大段一を成立させている。そこで、こ の中心文⑦を序論の「大中心文」と呼ぶ。
3. 4 課題レポートの序論の文章構造の分析
序論の文章構造の分類方法としては、まず、「問題発見」「問題分析」「課題設定」の3 つの構成要素の配置によって序論の構成を分類する。また、単一段からなる序論は、その 中心文の位置と頻度から、複数の段からなる序論は、大中心文を含む段の位置と頻度から、
佐久間の6種の「文章型」に従い、序論の構造類型の提示を試みる。
[文章例2]では、序論は文①〜文③からなる。文③は、接続表現「ソコデ」により、
内容面でも研究課題を示しており、3文中、最も統括力の強い中心文で、序論の大中心 文として認定できる。[文章例2]は、単一段からなり(表2以下では「単段」と称す)、
(Ⅰ−a)と(Ⅰ−e)の「Ⅰ問題発見」と(Ⅲ−n)の「Ⅲ課題設定」の構成要素の配置を 持つと認定できる。さらに、序論の終わりの部分に大中心文③があり、「尾括型」の構造
類型を持つと認定できる。
[文章例2]「これからの時代に必要なロボット」(〔資料1〕文章[1−6])
1.はじめに
一 ①ロボットには、様々な種類があり、必要になってくる場面はそれぞれ異なる。
(Ⅰ−a)②しかし、その多種類のロボットの中には、そこまで必要ではないと思わ
れるものがある。(Ⅰ−e)③そこで、どのようなものが必要で、どのようなものが 必要でないと思われるかを述べながら、最終的には自分のロボットのイメージにつ いて述べる。(Ⅲ−n)
[文章例3]の序論は、文③を中心文とする段 と、文⑧を中心文とする段 の複数の
段(連段)からなる。文⑧が序論および文章全体を統括する提題表現「本報告デハ」と叙 述表現「〜ヲ考エ、マトメタ。」を備え、研究課題を示す内容面でも、文③よりも強い統 括力を有するため、文⑧を序論の大中心文と認定した。一方、文③は問題解決の必要条件 を示す(Ⅱ−f)の要素として認められ、[文章例3]の序論の構成は、「Ⅱ問題分析」+「Ⅲ 課題設定」の配列になる。序論の終わりの部分に、大中心文⑧が位置するので、序論は、
「尾括型」の構造類型である。
[文章例3]「究極のコミュニケーションロボット―我々が求めるロボットの実現に向けて―」
1.はじめに (〔資料1〕文章[1−5])
一 ①現在、コミュニケーション網が専用ネットや電話回線を通じて急速に発展し てきている。(Ⅰ−c)②そのため、ボタン操作や、遠隔換作による「目の前に相手 を必要としない」コミュニケーションが簡単に実現できるが、一方では、コミュニ ケーションの空洞化、共同性の低下などを心配し、相手を目の前にして行うコミュ ニケーションの重要性が問われている。(1e)
③そこで筆者は、人間が心から安心することができる自分だけのパートナーであ るコミュニケーションロボットの存在が、上述の心配を減少させることに役立つの ではないかと考えた。(Ⅱ−f)
④近年、図1、図2に示すように、HONDAのASIMOやSONYのAIBOを代表に、
エンターテイメントロボットや家庭用パーソナルロボットといった、コミュニケー ションロボットの開発が特に盛んである。(Ⅱ−g)⑤これらのロボットは複雑に動 く単なる機械ではなく、人間の意図を捉えより緻密なサービスを提供できる、人間 適応型の情報処理機器を目指して開発されている。⑥しかし、現在市場に登場して いるコミュニケーションロボットの多くが、人間の働き掛けに単に応答するか、ま たは人間の状況を考慮せずに一方的に働き掛けているものであり、真のコミュニ ケーションが成立しているとは言えない。(Ⅱ−h)⑦また、ロボットの単調な行動 は人間を飽きさせてしまう。(Ⅱ−h)
⑧そこで本報告では、ロボットが人間に効果的に自身の意図を伝え、かつ人間に 飽きられないためには、ロボットにどのような機能を持たせればよいかを考え、ま とめた。(Ⅲ−n)
4.課題レポートの序論の中心文の調査結果と分析
4. 1 課題レポートの序論の大中心文の構成要素の特徴
〔資料1〕から〔資料3〕の45編のレポート
の序論の大中心文の構成要素の割合を【図1】
に示した。大中心文とは、単一の段からなる序 論では、その中心文であり、複数の段からな る文章の場合は、最も統括力の強い中心文であ る。内側の円は、「構成要素Ⅰ 問題発見」〜「構 成要素Ⅲ 課題設定」の組み合わせとその割合
(%)を示し、外側の円は、各下位要素の割合 を示す。
全45編に「構成要素Ⅲ 課題設定」があり、
序論の必須要素は、「課題設定」である。その 下位要素として、42編に(Ⅲ−n)「研究行動 の表明」がある。そのうち(例文1)〜(例文6)
のように「Ⅲ課題設定」のみからなる大中心文
が37編(82%)で、その下位要素は(Ⅲ−n)「研究行動の表明」単独の場合が31編(69%)
と大半を占め、次いで(Ⅲ−l)「レポートのテーマ(狭)の提示」のみを持つものと、(Ⅲ
−l)と(Ⅲ−n)の両方を含むものが3編(7%)ずつであった。複数の構成要素からな
る大中心文では、「Ⅲ課題設定」と「Ⅰ問題発見」の組み合わせが、4編(8%)であり、
その他の組み合わせも、併せて4編(8%)にすぎなかった。以上のように、序論の大中 心文は、「Ⅲ課題設定」を必須要素とし、レポートの研究課題を具体的な研究行動として 述べる文である。
4. 2 課題レポートの序論の大中心文の形態的特徴
序論の大中心文は、次のような形態的特徴がある。まず、以下の(例文1)に示したよ うに、「本報告(書)デハ、/本レポートデハ、/本稿デハ、/本文デハ」等の、レポート 全体を示す、統括範囲の非常に広い堤題表現が15例(33%)あることが指摘される。
次に、前文の内容を条件とするその帰結を後文に述べる、論理的な結合関係を示す順接
型(市川1978:89)接続表現が15例(33%)みられた。これは、大中心文の意味内容を論
理的に支える支持文がこれらの接続表現の先行文中にあることを示しており、序論の類型 に尾括型が多いことの一因となっている。
(例 文1)本報告書では、ロボットと雇用の関係、並びに、ロボットのために新しく
生まれた職種が、人間に与える満足感を通し、今後の産業ロボットの方向性を考 察する。(Ⅲ−n)(〔資料1〕文章[1–8]文⑨)
(例 文2)このため、本報告書では、現在の最先端の技術をもつ家庭用ロボット2台
の機能を解説すると共に、自ら考えた究極の家庭用ロボットの機能も解説する。
(Ⅲ−n)(〔資料1〕文章[1–2]文②)
【図1】序論の大中心文の構成要素の割合
(例 文3)そこで、本報告では、ロボットが人間に効果的に自身の意図を伝え、かつ 人間に飽きられないためには、ロボットにどのような機能を持たせればよいかを 考え、まとめた。(Ⅲ−n)(〔資料1〕文章[1–5]文③)
叙述表現については、思考動詞「考える」に関連する叙述表現が17例(38%)と最も 多く、以下「検討する」類が8例(18%)、「思う」類が4例(9%)、「検証する」類、「示 す」類、「注目する」類が各3例見られた。いずれも、「〜タイ」という書き手の意図の表 明を表す文末表現が後続する。これは、(Ⅲ−n)の「研究行動の表明」の特徴である。な お、(例文6)のように、疑問を表す文型で研究課題を示す例や、疑問を表す文を含む複 数の中心文で研究課題を表すものが、[資料3]に4例あった。これらは、工学系の専門 教員の指導による[資料1][資料2]と異なり、社会科学系の専門教員の指導による6編 のレポートの中に特徴的に見られた。下位要素の出現傾向の違いは、作文の指導者の属す る集団の文章表現上の慣習の違いに基づくと思われる。また、(例文7)は大中心文に、(Ⅱ
−h)と(Ⅲ−n)の2つの下位要素を持つ例である。
(例 文4)このため本報告では、福祉ロボットの必要性について考える。(Ⅲ−n)
(〔資料1〕文章 [1–9]文②)
(例 文5)本報告書では、ロボットと雇用の関係、並びに、ロボットのために新しく
生まれた職種が、人間に与える満足感を通し、今後の産業ロボットの方向性を考 察する。(Ⅲ−n)(〔資料1〕文章[1–8]文⑨)
(例 文6)同じ建築家のデザインにより後に東京に建築されたセンチュリータワーもや
はり風水に基づいて設計されているのだろうか。(Ⅲ−l)(〔資料3〕文章[3–6]文②)
(例 文7)そこで看護士たちには、患者と話す機会があまりないという点に注目し(Ⅱ−h)、
看護士の労働を支援するロボットの可能性を検討した(Ⅲ−n)。(〔資料2〕文章[2–4]
文③)
5.課題レポートの序論の文章構造の調査結果と分析
5. 1 課題レポートの序論の構成要素の特徴
【図2】は、序論の構成要素の出現頻度の割合を示す。計数方法は、単一段の序論はす
べての文の構成要素数を、複数の段の序論は各中心文の構成要素数を計数したものであ る。1文に複数の要素を含む場合があるため、述べ要素数の総計192要素に対する各要素 の延べ数の百分率を示している。内側の円グラフは、全45論の序論に見られた構成要素
Ⅰ〜Ⅲの出現率である。「Ⅰ問題発見」と「Ⅲ課題設定」は、88要素(46%)と86要素
(45%)とほぼ同数見られるが、「Ⅱ問題分析」は17要素(9%)であり、他の要素の5分 の1である。この「Ⅱ問題分析」は、論文における先行研究の検討に相当し、各種資料の 調査結果を詳細に分析するもので、専門分野の知識をほとんど持たない学部学生にはかな り難度の高い内容となる。そのため、この要素の記述が少なくなる傾向がある注7。
外側の円グラフは、各下位要素の割合を示した。「Ⅰ問題発見」は、(Ⅰ−c)「テーマ
(広)への注目の指摘」、(Ⅰ−a)「テーマ(広)の提示・説明)」、(Ⅰ−e)「テーマ(広)
に関する問題の指摘」がほぼ同数みられる。これらの 下位要素は、「Ⅰ問題発見」の主な項目で、クラスの共 通テーマなどを確認し、発見した問題を明らかにして いる。また、「Ⅱ問題分析」の構成要素は、(Ⅱ−f)「問 題解決の必要条件」が4要素(2%)、「調査結果により 得られた問題点の指摘」(Ⅱ−h)が6要素(3%)、「問 題点(h)解決の必要条件の提示」(Ⅱ−i)が5要素
(3%)など、少数見られる。序論の必須要素「Ⅲ課題 設定」については、(Ⅲ−n)「レポートの研究行動の表 明」が最も多く51要素(27%)あり、次いで、「レポー トのテーマ(狭)の提示」(Ⅲ−l)(テーマを疑問の形 で示す場合等)が19要素(10%)見られた。
本稿の資料のような、平均文数が3.8文の序論では、1文で1つの下位要素を表す場合、
4個程度の下位要素しか表現できない。その結果、課題レポートの序論の構成は、「Ⅲ課 題設定」を必須要素として「何を研究するか」を示し、「なぜ研究するか」という課題設 定の根拠を表す「Ⅰ問題発見」を必須要素に準ずるものとして含む2要素のものが典型に なると考えられる。
5. 2 課題レポートの序論の文章構造の特徴
調査の結果、45編の学生レポートの序論について、構成要素の配列に基づく類型とし
て、【表2】のような4種の類型が得られた。なお、表中の「Ⅲ課題設定」に添えられた*
の記号は、序論の大中心文が含まれていることを示す。
4種のすべての 類型が「Ⅲ課題設 定」の要素を持つ ので、序論の必須 要素が「Ⅲ課題設 定」であることが 改めて確認できる。
[類型1]は、「Ⅲ 課題設定」のみか らなる序論で、単
一段の序論が3編、複数段からなる序論が2編見られる。なお、段の内部を詳細に見ると、
(Ⅲ−n)(レポートの研究行動の「表明」)を持つ大中心文以外の文には次のような特徴が みられた。例えば、冒頭にレポートのテーマ(狭)決定の「動機」を述べる文として、レ ポートのテーマ(狭)を提示・説明する(I−a)を持つ文や、問題点を指摘する(Ⅰ−e)
を持つ文が見られ、後に大中心文が置かれている。この場合は、一種の根拠の提示を行っ た後で、序論での最大の主張であるレポートの研究行動を表明しており、段の内部も序論 と同様の類型をもつといえる。
2つの構成要素からなる2種のうち、[類型2]は、「Ⅰ問題発見」を述べた後で「Ⅲ課
【図2】序論の構成要素の割合
【表2】 序論の構成の類型
要素1 要素2 要素3 単段 複段 合計
類型1 *Ⅲ課題設定 3 2 5
類型2 Ⅰ問題発見 *Ⅲ課題設定 25 2 27 類型3 Ⅱ問題分析 *Ⅲ課題設定 0 3 3 類型4 Ⅰ問題発見 Ⅱ問題分析 *Ⅲ課題設定 4 2 6
その他 1 3 4
33 12 45
題設定」の結果を提示するものである。この類型は、45編中の25編(56%)であり、こ の類型が平均文数約4の序論にとっての典型といえる。「Ⅰ問題発見」の下位要素のうち、
話題としてテーマ(広)を提示・解説する(Ⅰ−a)あるいは、テーマ(広)への注目を 指摘する(Ⅰ−c)を初めに述べ、レポートのテーマ(狭)の提示と研究行動の表明をそ の後で述べている。(Ⅰ−a)と(Ⅰ−e)、(Ⅰ−c)と(Ⅰ−e)の連続の後に「Ⅲ課題設定」
が見られる。これは、まず、テーマ(広)に対する読み手の関心を誘い、次にその問題点 を指摘することで、レポートの研究の必要性を示すのが容易になるためであろう。
一方、[類型3]は、まず「Ⅱ問題分析」から始まり、次に「Ⅲ課題設定」を述べている。
これら3編は、複数の段からなる序論である。[類型3]は、先行研究等に関する高度な 知識が必要である「Ⅱ問題分析」を冒頭に置いたため、記述が複雑になり、複数段を必要 とすると思われる。
[類型4]は、序論の3つの構成要素をすべて含み、「Ⅰ問題発見」、「Ⅱ問題分析」、「Ⅲ
課題設定」の順に述べている。これは、単一段の序論に4編、複数段の序論に2編あった。
まず、「Ⅰ問題発見」の過程を示し、次に、「Ⅱ問題分析」を行い、レポートの研究課題に 直結する具体的な問題点を示す。その根拠として、資料等の調査結果に言及し、より具体 的な問題解決の条件を提示して、レポートの研究行動の前提を明らかにする。その後、「Ⅲ 課題設定」の過程を経て書き手が定めた具体的な研究行動を、序論の大中心文によって、
表明している。「Ⅰ問題発見」「Ⅱ問題分析」「Ⅲ課題設定」の3要素を、この順で文章の 序論に展開することが、読み手に対する効果的な説得方法として考えられる。この[類型 4]は、「研究の概要」を必須要素とし、「研究史の記述」を準必須要素とする佐藤・仁科
(1996)の工学系の学術論文の構成に最も近いものといえよう注8。 最後に、序論の段における大中心文の位置による類型を
【図3】にしめした。【表2】の「類型1」に、頭括型、中括
型、両括型が各1編見られることと、「その他」に分類され た序論に両括型が2編みられるのを除いて、他の40編はす べて段の「おわり」の部分に大中心文が置かれる「尾括型」
の段の構造類型になることが観察された。また、この大中 心文の要素は、【図1】に示したように、すべて「Ⅲ課題設 定」である。理系の文章の書き方を解説する木下(1981:
36)は、著者抄録の類を持たない文章では、「序論のなかで ごく簡単にでも内容(結論を含む)の要旨を示すべきであ
る。スペースが限られている場合には、目標規定文を第1文として序論を書き始める」こ とを勧めている。序論のみならず、論文全体の構造について、最大の主張を冒頭部分にお く頭括型を推奨しているわけである。しかしながら、本課題レポートにおいては、1編を 除き、序論の大中心文に結論を含むものが見られなかった。これは、独自の研究成果のア ピールを最も重視する学術論文と、論理的な文章の基礎的な日本語教育も目的とする学部 学生の課題レポートとのジャンルの違いに基づく差ではないかと考えられる。
【図3】序論の構造類型
6.まとめ
本稿では、日本人理工系学部生の課題レポートの序論の文章構造の分析をした。必要 性は認められながら、分析の困難さが指摘されていた理系の文章の文章構造について、日 本語の文章論研究の「段」を分析単位として用い、英語のジャンル分析等を参考に課題レ ポートの構成要素を設定して、文章構造の特徴を明らかにした。この方法は、各要素の認 定基準としての形態的特徴が明確であり、理工系の留学生の作文指導にも有効であると考 えている。
課題レポートの序論の構成要素として「問題発見」「問題分析」「課題設定」の3要素と、
15種の下位要素を設定し、本研究の資料について分析した結果、研究内容の新規性や重 要性を先行研究と比較検討し強調する工学系学術論文の序論とは異なった、次のような特 徴が得られた。
1)課題レポートの序論の必須要素は「課題設定」であり、「研究行動の表明」の機能を 持つ大中心文によって、「研究方法」を含めて「研究行動」が具体的に提示されている。
2)課題レポートの序論の構成の典型は、始めに「問題発見」を示した後で、「課題設定」
を表明するものである。「課題設定」に至る過程を先行研究に基づき分析する「問題分析」
は、他の2つの要素の5分の1しか認められなかった。これは、先行研究の記述が準必須 要素である学術論文との大きな相違点であった。この差異は、専門家である研究者の論文 と、理系の専門教育をまだ受けていない学部学生の課題レポートというジャンルの違いに 基づくと考えられる。
3)序論の文章構造は、序論の終わりの部分に大中心文が位置する「尾括型」が45編中
40編見られ、序論の構造の典型であると考えられた。これは、まず「問題発見」の要素 で「なぜ研究をするか」という理由を述べ、読み手の興味を喚起するよう働きかけた後に
「何を研究するか」を表明する展開が、課題レポートの主な読み手である指導者の期待に 応える基本的なパターンであることを示していると考えられる。
これらの特徴については、文科系課題レポートの序論の文章構造との異同が明らかにさ れる必要がある。共通する特徴は、学部学生一般のレポート指導に有用であろう。
今後の研究課題として、課題レポートの「本論」や「結論」の文章構造を明らかにした い。さらに、理系の専門分野における日本語の学術論文の文章構造を解明し、日本語教師 が理系学部学生の日本語指導をする上での有用な資料を提供したいと思う。
謝辞
本稿は、2004年6月提出の早稲田大学大学院日本語教育研究科修士論文『理系学部学 生による課題レポートの文章構造の分析』の一部を加筆・修正したものである。ご指導を 賜った本研究科の佐久間まゆみ教授をはじめ、小宮千鶴子・細川英雄両教授、ならびに貴 重な資料の提供・ご助言を賜った慶應義塾大学理工学部の山崎信寿教授に深く感謝申し上 げます。
注
1 市川(1987:126)は、「文段」を次のように定義している。「文段とは、一般に、文章の内部の 文集合(もしくは1文)が、内容上のまとまりとして、相対的に他と区分される部分である。」
2 Swales(1990)は、自然科学の研究論文の序論についてCreate a Research Space modelを提唱し、
コミュニケーション上の意図に基づく3つのMoveとそれを文章に実現するための下位要素であ る11のStepから分析し、各Stepについては、表現特性も分析している。訳語は、杉田(1997)
に従う。
3 市川(1978:127)は、「中心文」を次のように定義している。「中心文とは、段落における中心 的内容(小主題)を端的に述べている文のことである。トピックセンテンスともよばれる。」
4 〔資料1〕山崎信寿編(2003)に収録された全レポート18編。〔資料2〕山崎信寿編(2002)に
収録された全レポート15編。〔資料3〕相吉英太郎編(1997)に収録されたレポートより12編。
各資料は、総文字数約4000字から8000字のレポートで、図表を平均8以上含んでいる。
5 山崎信寿(2000)は、「卒業研究も社会にでてからの創造的仕事も、共に問題発見にはじまり、
問題分析・意思決定・解析・考察を経て成果報告で完了する。」と述べている。
6 課題レポートの下位要素には、SwalesのStepのうち、1-1: Claiming centrality、1-2: Making topic generalization(s)、1-3: Reviewing items of previous research、2-1B: Indicating a gap、
2-1C: Question-raising、3-1A: Outlining purposes、3-3: Indicating RA structure等が見られた。
7 〔資料1〕と〔資料2〕の指導者である慶應義塾大学理工学部の山崎信寿氏から、「「問題分析」の
過程については、研究対象に対する高度な知識等が求められるため、学部1年生には荷が重い。」
という主旨の回答を得ている。
8 村岡他5名(2004:44–46)は、3段落の工学系と農学系の論文の緒言では、第1段落と第2段 落で背景や問題意識を明らかにし、第3段落で、課題設定から研究の内容紹介が行われるという 論理展開の流れを指摘している。[類型2]または[類型4]が、この展開に一致する。
参考文献
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