<特集 : 研究生活を振り返って> 研究生活を振り返 って
著者 山本 伸也
雑誌名 教育学論究
号 13
ページ vi‑vii
発行年 2021‑12‑15
URL http://hdl.handle.net/10236/00029947
【T:】Edianserver /【関西学院】/教育学論究/第 13 号/
⚓ 校
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氏 名
山本 伸也
(やまもと しんや)職 名 教育学部 教授
最終学歴 関西学院大学大学院文学研究科博士前期課程修了 関西学院大学大学院文学研究科博士後期課程 単位取得後退学
学 位 文学修士
学位論文 On the Germanic Consonant Shift
主な職歴 1989年⚔月 聖和大学短期大学部英語科専任講師(至1993年⚓月)
1993年⚔月 聖和大学短期大学部英語科助教授(至2000年⚓月)
2000年⚔月 聖和大学人文学部英米文化学科助教授(至2002年⚓月)
2002年⚔月 聖和大学人文学部グローバル・コミュニケーション学科教授(至2009年⚓月)
2009年⚔月 関西学院大学教育学部教授(現在に至る)
そ の 他 1998年⚘月 アムステルダム大学文学部留学(至1999年⚗月)
2009年⚔月 関西学院子どもセンター長(至2014年⚓月)
2013年⚔月 教育学部副学部長(学生担当)(至2015年⚓月)
2014年⚔月 日本歴史言語学会監事(至2015年12月)
2015年⚓月 関西学院大学教育学会運営委員長(至2017年⚓月)
2015年12月 日本歴史言語学会理事(至2017年12月)
2018年⚙月 アムステルダム大学文学部客員研究員(至2019年⚒月)
2019年⚔月 関西学院大学教育学会運営委員長(至2021年⚓月)
2019年12月 日本歴史言語学会理事(現在に至る)
2020年⚔月 関西学院 学院史編纂室長(至2021年⚓月)
専門分野 言語学、ゲルマン語、ルーン文字碑文
主な著書・論文等
⚑.「中動態について」(単著)『人文学会論集』VI,1989年
⚒.「ゴート語と古英語の再帰代名詞について」(単著)『聖和大学論集』第18号,1990年
⚓.「古英語の動作主名詞について」(単著)『聖和大学論集』第20号,1992年
⚔.「新約ギリシャ語の動詞前接辞について」(単著)『聖和大学論集』第21号,1993年
⚕.「ゴート語の再帰動詞」(単著)『聖和大学論集-人文学系』第23号,1995年
⚖.「ゴート語の過去現在動詞」(単著)『聖和大学論集-人文学系』第25号,1997年
⚗.『英語の構造と背景』(共著)燃焼社,2001年
⚘.「ゴート語聖書におけるギリシャ語の小辞
δ
ὲ」(単著)『聖和大学論集-人文学系』第35号,2007年
⚙.「『ギリシア語新約語法』解題」(単著)蛭沼寿雄著作選集 第⚒巻
『新約本文学演習ルカ福音書/ギリシア語新約語法』新教出版社,2011年 10.「Wetzstein von Strøm の碑文」(単著)『教育学論究』第11号,2019年
【T:】Edianserver /【関西学院】/教育学論究/第 13 号/
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研究生活を振り返って
山 本 伸 也 高校時代には英語、西洋哲学、中央アジアの歴史
に強い関心を持っていましたが、大学に入って初め て知った未知の分野である「言語学」は、当時の私 にとって新鮮で魅惑的な響きを持っていました。ゼ ミ選択の際には、躊躇せずに言語学をテーマとする ゼミを選択し、そこで初めて生涯の恩師である蛭沼 寿雄(ひるぬまとしお:1914-2001)先生に出会い ました。言語学の研究領域は多岐にわたりますが、
先生は、特にギリシャ語、ラテン語、ケルト語及び 古代イタリアの言語を中心としたインド・ヨーロッ パ語比較言語学を専門とされていました。大学院の ゼミでは A. メイエの『印欧語比較研究入門』(邦題)
を⚕年以上かけて読了しました。比較言語学の面白 さを味わい、研究することの難しさを痛感したこの 時代に、私の研究基盤が形成されたと言っても過言 ではありません。
先生は言語学者であり、また新約本文学の研究者 でもありました。ギリシャ語で書かれた新約聖書の 本文は手書き写本のみが残っており、原典が残って いません。しかも、残っている写本の内容はそれぞ れ異なっているために、原典に近いものを再建する ためには多くの手書き写本を精緻に比較・検討する 必要があります。日本にはこの分野の研究者はほと んどいなかったために、先生のご研究は国内よりも むしろ海外の研究者から高く評価されていました。
先生はご退職後も関学神学部の大学院で新約聖書の
「原典購読」を講義され、私も最後の授業まで聴講 することができました。この授業を受けたことは、
後にギリシャ語聖書から翻訳されたゴート語聖書を 研究することにもつながりました。
1998年⚘月から1999年⚗月までオランダのアムス テルダム大学に留学する機会を得ました。当時、ア ムステルダム大学文学部でゲルマン語の研究をされ ていた Arend Quak 先生に留学生として受け入れて いただきたい旨の手紙を差し上げたところ、快諾の お返事をいただきました。
留学先での研究テーマはゲルマン語の動詞の歴史 的研究としていましたが、大学で先生に初めてお会 いした時に、先生ご担当の「ルーン学Ⅰ」(第⚑学 期)と「ルーン学Ⅱ」(第⚒学期)の授業に出席す
ることを勧められました。ルーン(rune)とはゲ ルマン人が考案した文字です。石、金属、木片等に その文字で書かれた大量の碑文が現存しており、最 も古い碑文は紀元後⚒世紀に遡ります。ルーン文字 については多少の知識は持っていましたが、本格的 な研究は行っていませんでしたので、⚒つの授業を 受けることにしました。毎回の授業ではルーン文字 碑文をラテンアルファベットに転記した後、内容を 解釈することが求められました。予習に明け暮れる ほどに難しい内容ではありましたが、ルーン文字碑 文の研究の面白さを知ることができました。2018年 秋学期に客員研究員としてアムステルダム大学に在 籍した際にも、Quak 先生(現 ライデン大学教授)
にお世話になりました。
私が聖和大学短期大学部英語科教員に着任したの は1989年(平成元年)⚔月でした。その時から約20 年が経過した2009年⚔月、学校法人聖和大学と学校 法人関西学院が合併し、聖和キャンパスに関学10番 目の学部となる教育学部が設置されました。聖和大学 短期大学部保育科(現 聖和短期大学)と聖和幼稚 園(現 関西学院幼稚園)は学校法人関西学院のもと で存続し、聖和大学最後の卒業式が行われた2013年 には学校法人聖和大学の廃止が認可されました。
聖和の源流は、女子伝道学校(1880年、後に神戸 女子神学校)、神戸婦人伝道学校(1888年、後にラ ンバス記念伝道女学校)、英和女学校保姆養成科
(1895年、後に広島女学校保姆師範科)であり、こ れら⚓つの学校・学科はそれぞれアメリカ人宣教師 によって設立されました。1932年、神戸女子神学校 は神戸の中山手通から現在の聖和キャンパスに移転 しました。1921年にはランバス記念伝道女学校と広 島女学校保姆師範科が合併してランバス女学院(大 阪市天王寺区)となり、1941年に神戸女子神学校と ランバス女学院が合併して聖和女子学院となったこ とにより、⚓つの源流がこの岡田山のキャンパスで 一つになりました。長い歴史と伝統を有するこの キャンパスで教育・研究活動を続けてこられたこと は幸いなことでした。
お世話になりました皆様に感謝するとともに教育 学部のさらなるご発展をお祈りいたします。