密 教 文 化
金 剛界 大 曼 茶羅 儀軌 一 切 金 剛 出現
第一喩伽三摩地品-和
訳-高 橋 尚 夫
は し が き (1) ア ー ナ ン ダ ガ ル バ(Anandagarbha)作 『金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 (2) (3) 出現 』 は 『真 実 摂 経 』 の 金 剛界 大曼 茶 羅 品 を 中心 に作 成 され た儀 軌 で あ り、 諭 伽 三 摩 地 を獲 得 す るた め の 実 習 書 の優 品 で あ る。筆 者 は二、 三部 分 的 な (4) (5) 小 論 を提 して き た が、 最 近 に そ の梵 文 写 本 の紹 介 とテ キ ス トの校 訂 と和 訳 (6) が発 表 され た。 筆 者 もそ の校 訂 作 業 に参 画 した一 人 で あ る が、 梵 文 写 本 は 全 体 の3分 の1程 し か な く、 こ こ に残 余 の部 分 を翻 訳 しよ う とす る もの で (7) あ る。 当稿 は全 体 の 約3分 の1程 で、 第 一 諭 伽 三 摩 地 品 の全 部 で あ る。 規 定 の枚 数 を は る か に超 過 した こ とを お詑 び す る と と もに、 関係 各 位 の御 好 意 に甚 深 の謝 意 を表 す る もの で あ る。 翻 訳 に あ た っ て は次 の点 に留 意 した。 ○Tib. 訳 テ キ ス トは北 京 版 を底 本 に デ ル ゲ塚 ・ ナル タ ン版 を照 合 した が、 注記 は必 要 と思 わ れ る も の に と どめ た。 ○文段 に番 号 を 附 し、 小 見 出 し をつ けた が、 悠 意 的 な も の で あ る。 ○真言(心 真 言 ・マ ン トラ)に は所 出 の順 に番 号 を附 した。 後 の研 究 に 便 な ら しめ る た め で あ る。原 文 の表 記 は 割 愛 した が、 『真 実摂 経 』、 『略 出 念 諦 経二』 の 当該 個 処 を附 した。 略 号P.チ ベ ッ ト訳 北 京 版(大 谷 目録No. 3339) D.チ ベ ッ ト訳 デ ル ゲ 版(東 北 目録No. 2516) N.チ ベ ッ ト訳 ナ ル タ ン版(大 正 壬 生 目録No. 1337) Tib.上 記 三本 に共 通 す る場 合-150-H.堀 内 寛 仁 編 著 『初 会 金 剛 頂 経 の 研 究 』 密 教 文 化 研 究 所 昭 和58年 R.「 金 剛 頂 愉 伽 中 略 出 念 諦 経=」 国 訳(拙 訳)「 両 部 大 経 」(上)所 収、 真 言 宗 豊 山 派 宗 務 所 編 昭 和58年 D.P・(一)拙 稿 「SarvadurgatipariSodhanatantra-校 訂 と 和 訳-(一)」 『仏 教 の 歴 史 と 思 想 』 所 収、 大 蔵 出 版 昭 和60年 D・P・(二)同 上 「(二)」 『仏 教 思 想 論 集 」 所 収、 成 田 山 新 勝 寺 昭 和 61年 注(1)慶 喜 蔵 と 訳 す。 松 長 博 士 に よ れ ば8世 紀 に 活 躍 した と さ れ る。(松 長 有 慶 著 「密 教 経 典 成 立 史 論 」 法 蔵 館 昭 年55年p.195)。 タ ー ラ ナ ー タ に よ れ ば9世 紀 頃 と考 え られ て い る。(D. Chattopadhyaya: “Taranatha's History of BuddhiSm in India” SIMLA. 1970pp. 284-286)。 栂 尾 博 士 は10世 紀 頃 と見 る。(栂 尾 祥 雲 著 「曼 茶 羅 の 研 究 」p.525)。 凡 そ8世 紀 ∼9世 紀 に か け て 活 躍 し た 学 匠 で あ ろ う。 な お、 ア ー ナ ン ダ ガ ル バ に は 『真 実 摂 経 」 の 逐 語 釈 Tattvalokakari「 真 性 作 明 」(P痢vol. 71, No. 3333)を 始 め22の 著 作 が あ る。 (D. Chattopadhyaya: ibib. p. 423)
(2)P. vol. 74, No. 3339:
Vajradhatu-mahamandalopayika-sarvavajrodaya-nama(1∼57b8): D.No.2516(1∼50a5), N.No.1337 (1∼50b2)な お、 次 の 注 釈 書 が あ る こ と を し る して お く。
Munlndrabhadra: “Vajadhatumahamapdalopayika-sarvavajrodayanama-pindartha”. (P. No. 3552)
Bu-stop: “rdo rje dbyins kyi dkyil hkhor gyi cho ga, rdo rje thams cad hbyun ba shes bya bahi rgya cher bsad pa, Yid bshin gyi nor bn shes byaba.” (D.No. 5105)
ditto: “Rin po ohes bsam hphel.”(D. No. 5107)
(3)堀 内 寛 仁 編 著 「初 会 金 剛 頂 経 の 研 究 』 上、 下 密 教 文 化 研 究 所 昭 和58年。 (4)拙 稿 「『略 出 経 』 と 『Vajrodaya』-供 養 会 に つ い て-」 『勝 又 俊 教 博 士 古 稀
記 念 論 集 」 「大 乗 仏 教 か ら 密 教 へ 」 所 収。 春 秋 社、 昭 和56年9月
同 「「略 出 念 諦 経 』 と 『ヴ ァ ジ ュ ロ ー ダ ヤ 』 一 入 マ ン ダ ラ に つ い て 一 」 『密 教, 学 研 究 」 第14号 昭 和57年。
(5)森 口 光 俊 「Palm Ms: Sarvavajrodakaに つ い て-belonging to National Archives, C. No. tr. 360-」 『大 正 大 学 綜 合 仏 教 研 究 所 年 報 』 第6号 昭 和 59年。 (6)密 教 聖 典 研 究 会 「Vajradhatumahamapdalopayika-Sarvavajrodaya-梵 文 テ キ ス ト と 和 訳-(1)」 「(H)」 『大 正 大 学 綜 合 仏 教 研 究 所 年 報 」 第8号、 第9号 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 昭 和61年、62年。 (7) 『真 実 摂 経 」 に お い て は 五 相 成 身 観 を 第 一 楡 伽 三 摩 地 と 立 て る が、 当 軌 に お い て は 諸 加 持、 雑 供 養、 灌 頂、 大 三 法 掲 の 四 印 等 が 五 相 成 身 観 へ の 前 行 と し て 組 み 込 ま れ て お り、 経 典 を 巧 み に シ ス テ ム 化 して い る。 又、 第 二:最 勝 マ ン ダ ラ 王 三 摩 地、 第 三 最 勝 掲 磨 王 三 摩 地 は 「一 梵 文 テ キ ス トと 和 訳 一(1)」 に 掲 載 さ れ て い る。 尚、 こ の 三 種 三 摩 地 の 品 類 は 「Vajrasikharamahaguhyayogatantra」 (P.vol.5, No.113, 192b7∼193b3)に 初 出 し、 「Durgatiparisodhana」(拙 稿 D.P.(一)§26)にutpattikramaと 規 定 さ れ、 「Guhyasamaja」 聖 者 流 の 生 起 次 第 で あ る 「Pindlkrtasadhana」 に 結 実 す る。 こ れ ら に つ い て は 別 に 稿 を 改 め た い。 (1b) イ ン ド の 言 葉 に て 『Vajradhatumahamandalopayika-sarvavajro-(1) dayanama』(全 剛 界 大 マ ン ダ ラ儀軌 一切 金 剛 出 現 と 名 つ くる も の) チベ ッ トの 言 葉 に て 『金 剛界 の大 マ ンダ ラ の儀 軌 で一 切 金 剛 出現 と 称 す る も の』 1 帰 敬 尊 と き文殊 童 子 に帰命 し奉 る。 聖 な る金 剛薩 垣 に帰 命 し奉 る。 (1)本 尊 金 剛薩 垣(2a)に あ ま ね く稽 首 し頂礼 し、吉 祥 な る一 切 金 剛 出 現 の マ ンダ ラ儀 軌 を説 か ん。 こ こに お い て、 聖 真 実 摂 大 タ ン トラの儀 軌 に よ る三 昧 耶(本 誓)等 を 獲 得 す る玲 伽 者 の た め に マ ンダ ラの儀軌 が摂 せ られ るべ き で あ る。 2 舌 加 持 (2) 先 づ 最 初 に、(一 切 諸 法 は)無 我 な り と信 解 し、 内 の 燥 浴 を な した後、 喉 の と ころ に フ リー ヒ字 よ り(変 じた る)入 葉 の蓮 華 を想 い、 蓮 華 とな っ た舌 の葉 の上 に フ ー ン宇 よ り(変 じた る)白 色 の五 鈷 金 剛 杵 を生 じた後、 (1) 金 剛 舌 よ とい うこ の(マ ン トラ)に て舌 を加 持 す べ し。 3 手 掌 加 持 (2b)さ らに、 両 の掌 に ア(字 変 じて)月 輪 とな る と想 い、 そ の二 の(月 輪 の)上 に二 の フー ン(字 変 じて)白 色 の五 鈷 金 剛 杵 とな る と想 い、 手
-148-の 指 等 も金 剛 -148-の峯 とな る と想 い、 障 碍 -148-の遮 遣 等 を なす べ し。 4急 怒 テ ィ リンテ ィ リの 印 言 次 に また、 フー ン字 よ り(変 じて)金 剛 火 炎 の如 く燃 え る 自身 を想 い、 (2)オ ー ン 掴 め 金 剛 の 三 昧 耶 を持 つ もの よ フ ー ン ヴ ァ ン (H.§894) と唱 え て、 念 怒 テ ィ リンテ ィ リの 印 を結 ぶ ぺ し。す なわ ち (1)金 剛 内縛 を 結 び、 瞑 志 の意 を もっ て 固 く金 剛 大 指 に て覆 うべ し。 念 怒 テ ィ リンテ ィ リ(の 印)と 説 か る。(H.§1052) 5甲 冑 被 鎧 の 印 言 次 に、 半 迦 座 に て坐 し、金 剛 テ ィ リンテ ィ リ(の 印 を)結 び、 (3)オ ー ン 光 環(コ ロナ)の 如 き金 剛 火 炎 よ フ ー ン 吾 れ を潅 頂 した ま え と唱 え、 金 剛 内 縛 を結 び、 二 大 指 を並 び竪 て、 竪 て た指 を上 か ら覆 うが 如 くに置 く、 これ が テ ィ リン テ ィ リの 印 で あ るが、 この(印)を も って、 (3) 頭 か ら始 め て四 処 にお い て金 剛 童 の潅 頂 を受 け、(4)「オ ン ト ゥン」 (R.(7))と い う二 文 字 の 甲 冑 に て被 鎧 し て、 (5)オ ー ン 光 環 の如 き金 剛 火 炎 よ フー ン くの と唱 え て、 左 拳 に し心 臓 に置 き、 右(手)に て金 剛 杵 を抽 螂 し、 一 切 の障 碍 を突 き刺 す べ し。 6金 剛 火 炎 の印 言 次 に、 金 剛 火 炎 の 印 を もっ て障 碍 の焼 尽 等 を な す べ し。 す な わ ち (6)オ ー ン 光 環 の如 き金 剛 火 炎 よ 殺 せ 焼 け 燃 や せ 鎭 け 砕 け 撃 て フ ー ン パ ッ ト(cf.H.§1431) と唱 うべ し。金 剛 内縛 を結 び、 諸 指 を内 に開 くが如 くな し、金 剛 大 指 を 竪 つ、 これ が金 剛 火 炎 の 印 で あ る。 7金 剛 眼 の印 言 次 い で、 (7)金 剛 眼 よ 一 切 の 障碍 を縛 せ(cf.H.§382,R.(22)) 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 と(唱 え)、 印 を結 ん で、 一 切 の 障碍 を縛 す べ し。金 剛 縛 を(3a)結 び、 二 大 指 を伸 ば し、斉 等 に置 くは、 金 剛 眼 の印 で あ る。金 剛縛 を伸 ば して地 に置 き、 (8)オ ー ン 吾 れ に金 剛 堅 固 が あれ か し 一 切 を守 護 せ よ ス ヴ ァー ハ ー と(唱 え)、 下(方)を 縛 すべ し。 8金 剛 怖 畏 眼 の 印 言 金 剛 怖 畏 眼 の 印 を(も って)、 (9)オ ー ン フル フル フー ン パ ッ ト とい う(マ ン トラ)を(唱 えな が ら)、 上(方)を 縛 す べ し。二(手) 金 剛拳 を結 び、 旋 火輪 の如 く回 し、頭 の上 に 頭指 を鉤 の如 くに して置 く は、 金 剛怖 畏 眼 の 印 で あ る。 9金 剛 薬 叉 の 印 言 金 剛 薬 叉 の 印 を(も っ て) (10)オ ー ン 金 剛 薬 叉 よ フ ー ン (5) とい う(マ ン トラ)を(唱 え な が ら)、 そ の(金 剛怖 畏 眼 の)下 を、 ま た そ の ま ま で上 を縛 す べ し。金 剛 合 掌 の二 大 指 を伸 ば し、 二 頭 指 を牙 の 如 くにす る は、 金 剛 薬 叉 の印 で あ る。 10金 剛 頂髪 の 印 言 金 剛 頂 髪 の印 を な して、 東 方 を縛 す べ し。 (11)オ ー ン ドウル ン 縛 せ ハ ン とい うの が、 或 は(12)「 ドウル ン」 とい うの が マ ン トラで あ る。 二 (手)金 剛拳 の小 指 を索 に ま とい、 二 頭 指、 先 端 を着 け、 背 面 し、 頭 に 置 く、 これ が 金 剛 頂 髪 の印 で あ る。 11金 剛索 の 印 言 また、 金 剛 索 を も っ て 自身 を縛 す べ し。 (13)オ ー ン フー ン 金 剛索 よ フ リー ヒ ニ(手)金 剛拳 に な し、 手 首 を交 結 す るは、 金 剛 索 の 印 で あ る。
-146-12金 剛 幡 の 印 言 (6) 金 剛 幡 に よっ て西 方 を縛 す べ し。 (7) (14)オ ー ン 金 剛 幡 よ 鳥(の よ うに は ば た く もの)よ ラ タ 金 剛 縛 を な し、二 大 指 を薩 垣 蜘 座 に な し、二 頭 指 を斉 等 に並 べ て 引 き裂 き、 二 小 指 を幡 の如 くに なす は、 金 剛 幡 の 印 で あ る。 13金 剛 カ ー リーの 印 言 (四)方 と(四)維 と上 と下 の障 碍 達 を能 断 し、金 剛 カ ー リー に よっ て北 方 を縛 す べ し。 (15)ブ リ 金 剛 カ ー リー よ ル ッ ト(3b)マ ッ ト(cf.H.§1434) 金 剛 薬 叉 の 印 を心 臓 に堅 くな す は、 金 剛 カ ー リー の 印 で あ る。 14金 剛頂 の 印 言 金 剛 頂 を 南方 に縛 す べ し。 (16)オ ー ン 金 剛 頂 よ ル ッ ト マ ッ ト ニ(手)金 剛 拳 に な し、 山 を引 き上 げ る如 くに なす は、 金 剛 頂 の印 で あ る。 15金 剛 業 の 印 言 金 剛 業 に よ って マ ン ダ ラ(全 体)を 縛 し、矯 を な す べ し。 (17)オ ー ン 金 剛 業 よ さ ら に、 金 剛 畔 迦 羅 に よ っ て内 に矯 を なす べ し。 (8) (18)フ ー ン ニ(手、 金 剛 拳 を結 び、 両 の手 首 を交 叉 して、 二 小 指 鉤 に ま とい、 降 三 世 と名 つ くる二 頭 指 を祈 克 に ま と う(印)は、 金 剛 畔 迦 羅 の印 で あ る。 そ の(印)よ り、両 の頭 指 と中 指 を 金 剛 にな す は、 金 剛 業 の印 で あ る。 一6金 剛 網 の印 言 金 剛 縛 の(印)と (19)金 剛 縛 よ バ ン(cf.H.§299,R.(24)) とい うこ の(マ ン トラ)に よっ て 金 剛網 を な す べ し。 17金 剛 輪 の 印 言 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 次 に、 金 剛 輪 の 印 と、 (20)オ ー ン 金 剛 輪 よ フー ン(H.§1280(1)) とい う(マ ン トラ)に よ って 金 剛 界 大 マ ンダ ラを 現前 に化 作 す べ し。 (1)二(手)金 剛 拳 を結 び、 頭 指 と小 指 を金 剛 節 に(な す は)金 剛 輪 と云 わ れ る(印)で あ り、一 切(諸 尊)の マ ンダ ラを成 就 す。(小 金 剛輪印) こ の(印)を も って、 一 切 方 を右 方 よ り廻 らせ ば、 一 切(諸 尊)の マ ン ダ ラが 化 作 され るべ し。 そ の(印)を 口 に置 き、(マ ン ダ ラ を)謄 視 し つ つ、 金 剛 輪 の マ ン トラを百 入 回 諦 す な らば、 一 切(諸 尊)の マ ン ダ ラ に入 る で あ ろ う。 18総 礼 次 に、 マ ン ダ ラ を悟 れ る者 は、 現 前 す るが如 くに知 覚 して、 花 等 に よ って供 養 し、一 切 の方 角 に、 次 の(マ ン トラ)を も って五 輪 礼 敬 を な す べ し。 (9) (21)オ ー ン 吾 れ は 一切 如 来 の身 語 心 の頂 礼 に よ っ て金 剛 の繋 縛 を なす (R.(65)) 19四 ネL(H.§214∼217,R.(12)-(15)) 【東 方 】 次 に、 四礼 を な す べ し。 す な わ ち、 東 方 に金 剛合 掌 を伸 ば し、 全 身 を投 げ だ し、 (22)オ ー ン ー 切 如 来 の供 養 承 事 の た め に吾 れ は 己身 を奉 献 す(4a)一 切 如来 の金 剛 薩 唾 よ 吾 れ を加 持 した ま え とい うこの(マ ン トラ)と 共 に頂 礼 す べ し。 【南 方 】 次 に、 南 方 に同 じ位 置 か ら、金 剛 合 掌 を心臓 にな し て、額 を 地 に着 け て、 (23)オ ー ン ー 切 如 来 の供 養 潅 頂 の た め に吾 れ は 己身 を奉 献 す 一 切 如 来 の金 剛 宝 よ 吾 れ を潅 頂 した まえ とい うこ の(マ ン トラ)と 共 に 頂礼 す べ し。 【西 方 】 次 に、 西 方 に述 べ た如 き金 剛 合 掌 を頭 に置 い て、 口 を地 に着
-144-け て、 (24)オ ー ン ー 切 如 来 の供 養 展 転 の た め に吾 れ は 己身 を奉 献 す 一切 如 来 の金 剛 法 よ 吾 れ に(法 輪 を)転 じた ま え とい うこ の(マ ン トラ)と 共 に頂 礼 す べ し。 【北 方 】 次 に、 北 方 に同 じ位 置 か ら、 金 剛 合 掌 を頭 よ り下 ろ し心 臓 に 置 い て、 頭 を地 に着 け て頂 礼 す べ し。 (25)オ ー・ン ー 切 如 来 の供 養 事 業 の た め に吾 れ は 己身 を 奉 献 す 一 切 如 来 の金 剛 掲 磨 よ 吾 れ に(事 業 を)な した ま え とい うこ の(マ ン トラ)と 共 に頂礼 す べ し。 20繊 悔 ・随 喜 ・勧 請 【幟 悔 】 次 に、 両 の膝 が し らを地 に 立 て て、 金 剛合 掌 を心 臓 に 当 て、 一 切 の 罪 を俄 悔 す べ し。 「十 方 の 諸 仏諸 菩 薩 よ、如 来 と金 剛 と宝 と蓮 華 と掲 磨 の(五)部 に安住 せ る一 切(諸 尊)よ、 心 真 言 と印 とマ ン トラ と一 切 の持 明 尊 よ、吾 れ を護 念 した ま え。 吾 れ 金 剛 某 甲 は、 十 方 の一 切 の仏 菩 薩 の 面 前 で、 如 来 と金 剛 と宝 と蓮 華 と掲 磨 の(五)部 に安 住 せ る一 切(諸 尊)と、 心 真 言 と印 とマ ン トラ と一 切 の持 明尊 の面 前 で、 一 切 の罪 を 無上 の俄 悔 に て幟 悔 し奉 る。」 【随 喜 】 「(4b)十方 に お け る過 去 と未 来 と現 在 の諸 仏 諸 菩 薩 と独 覚 と声 聞 と正 至 と正 行 達 と一 切 有 情 の あつ ま りの一 切 の福 徳 を広 く随 喜 し奉 る。」 【勧 請 】 「十 方 の仏 世 尊 に して、 法輪 を未 だ転 ぜ ざ る一 切 の方 々 に、 法 輪 を転 ぜ られ ん がた め に勧 請 し奉 る。 十 方 の仏 世 尊 に して、 般 浬 葉 せ ん と した ま う方 々、 そ の 方 々 に浬 葉 せ ざ らん こ と を懇 願 し奉 る。」 21雑 供 養(R(184-(200)) 【花 】 次 に、花 の 印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。「こ の世 界、 或 は十 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 方 の 一 切 世界 にお け る天 ・人 達 の 花 の種 別 は、 意 生 の もの、 或 は水 生 の もの、 或 は 陸 生 の もの 等 が あ るが、 そ れ らを 無 尽 無 余 の一 切 如 来 に供 養 せ ん が た め に、 十 方 の 仏菩 薩 と五 部 に安 住 せ る一切(諸 尊)と 心真 言 と 印 とマ ン トラ と持 明尊 の個 々 に あ ま ね く奉 献 す。」 (26)オ ー ン ー 切 如 来 の花 供 養 雲 海 鉦 遍 三 昧耶 よ フ ー ン 【焼 香 】焼 香 の印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「こ の世 界、 或 は十 方 の一 切 世 界 にお け る天 ・人達 の焼 香 の種 別 は、 倶 生 の も の、 或 は調 合 した もの、 或 は 変 化 した も の等 が あ るが、(5a)そ れ ら を無 尽 無 余 の一 切 如 来 に供 養 せ ん が た め に、 十 方 の仏 菩 薩 と五部 に安 住 せ る一 切(諸 尊) と心 真 言 と印 とマ ン トラ と持 明尊 の個 々 に あま ね く奉 献 す。」 (27)オ ー ン ー 切 如 来 の焼 香 供 養 雲 海 督 遍 三 昧 耶 よ フ ー ン 【燈 】 燈 の印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「この世 界、 或 は十 方 の 一 切 世 界 に お け る天 ・人達 の 光 明 の 種 別 は、 意 生 の も の、 或 は宝 石 の光、 或 は 燈 明 の あか り等 が あ る が、 そ れ らを無 尽 無 余 の一 切 如 来 に供 養 せ ん が た め に、 十 方 の仏 菩 薩 と五 部 に安 住 せ る一 切(諸 尊)と 心真 言 と印 と マ ン トラ と持 明尊 の個 々 に あ ま ね く奉 献 す。」 (28)オ ー ン ー 切 如 来 の燈 供 養 雲 海 督 遍 三 昧 耶 よ フー ン 【塗 香 〕 塗 香 の印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「この世 界、 或 は 十 方 の一 切 世 界 にお げ る天 ・人 達 の塗 香 の種 別 は、 倶 生 の もの、 或 は 調合 した も の、 或 は変 化 した も の等 が あ る が、 それ らを無 尽 無 余 の一 切 如 来 に供 養 せ ん が た め に、 十 方 の仏菩 薩 と五 部 に安 住 せ る 一 切(諸 尊)と (5b)心 真 言 と印 とマ ン トラ と持 明 尊 の個 々 に あ まね く奉 献 す。」 (29)オ ー ン ー 切 如 来 の塗 香 供 養 雲 海 野 遍 三 昧 耶 よ フー ン 【宝 】 虚 心 合 掌 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「こ の世 界、 或 は十 方 の 一 切 世 界 にお け る宝 の 山、 或 は海 の宝 の種 々 な る もの、 そ れ ら一 切 を 無尽 無 余 の 一 切 如来 に供 養 せ ん が た め に、 十方 の仏 菩 薩 と五部 に安 住 せ る一 切(諸 尊)と 心 真 言 と印 と マ ン トラ と持 明尊 の個 々 に あ ま ね く奉 献 す。」
-142-(30)オ ー ン ー 切 如 来 の 菩提 分 荘 厳宝 供養 雲 海 野 遍 三 昧 耶 よ フ ー ン 【戯 嬉 】 次 に、 笑 の印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「この 世 界、 或 は十 方 の一 切 世 界 に お け る天 ・人 達 の笑 と戯 と嬉 と玩 の楽 しみ の種 別 が あ る が、 それ らを無 尽 無 余 の一 切 如来 に供養 せ ん が た め に、 十 方 の仏 菩 薩 と五 部 に安 住 せ る一 切(諸 尊)と 心 真 言 と印 とマ ン トラ と持 明尊 の個 々 に あ まね く奉 献 す。」 (31)オ ー ン ー 切 如 来 の笑 と戯 と嬉 と玩 の楽 無 上 供 養 雲 海 野 遍(6a)三 昧 耶 よ フー ン 【劫 樹 】 次 に、 そ の笑 の印 を金 剛 合 掌 に し旋 舞 して頭 に置 き、 再 び 虚 心 合 掌 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「この世 界、 或 は十 方 の 一 切 世 界 にお け る劫 樹、 或 は衣 樹、 それ らを無 尽無 余 の一 切 如 来 に供 養 せ ん が た め に、 十 方 の仏 菩 薩 と五 部 に安 住 せ る一切(諸 尊)と 心 真 言 と印 とマ ン トラ と持 明 尊 の個 々 に あ まね く奉 献 す。」 (32)オ ー ン ー切 如 来 の無 上菩 提 荘 厳 衣 服 供 養 雲 海 野 遍 三 昧 耶 よ フー ン 【四 無 量 心 】 次 に、 三 摩 地 の 印 を結 ん で、 「一 切 有 情 は大 梵 天 の 四住 処 を得 るべ し。」 と言 っ て、 こ の(マ ン トラ)を 奉 献 す。 曾 オ ー ン ー 切 如 来 の 四梵 住 供 養 雲 海 督 遍 三 昧 耶 よ フ ー ン 【菩 提 心】 次 に、具 徳 金 剛 薩 埋 の掲 磨 印 を結 ん で、(か くの如 く言 うべ し)。 「一 切 有情 の輪 廻 の苦 しみ を憶 念 し、悲 のカ に よ って 一 切 有 情 を救 度 せ ん が た め に菩 提 心 を生 じ、末 度 の者 達 を度 せ ん が た め に、 未 解 脱 の者 達 を解 脱 させ ん が た め に、安 慰 な き者 達 に安 慰 を生 ぜ し めん が た め に、 般 浬 葉 せ ざ る者 達 を般 浬 藥 させ ん が た め に、 無 量 の 有情 界 を輪 廻 の海 か ら 救 度 せ ん が た め に(6b)菩 提 心 を生 ぜ ん。」 (34)オ ー ン ー 切 如 来 の金 剛 菩 提 心 供 養 雲 海箭 遍 三 昧 耶 よ フー ン 【嬉 】 嬉 の印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「一 切 有 情 は 一 切 の 資 具 を もっ て正 行 し、欲 す るの み で一 切 の成 就 に結 ば れ よ。」 (35)オ ー ン ー 切 如 来 の大 金 剛 生 布 施 波 羅蜜 供 養 雲 海 督 遍 三 昧 耶 よ フ 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 ー ン 【鍾 】 金 剛糞 の 印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「一切 有 情 は一 切 の 不 善 な る身 語 意 の 業 を 遠離 せ よ。一 切 の善 な る身語 意 の業 を具 足 せ よ。」 (36)オ ー ン ー 切 如 来 の無 上 な る大 菩 提 を もた らす持 戒 波 羅 蜜 供 養 雲 海 野 遍 三 昧 耶 よ フー ン 【歌 】 金 剛 歌 賢女 の 印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「一 切 有情 は一 切 の相 好 に て身 体 を厳 り、常 にお 互 い に怖 畏 な く、憎 悪 す る こ とな く住 し、眼 と心 に歓 喜 が あ り、甚 深 な る法 を能 く堪 忍 せ よ。」 (37)オ ー ン ー 切 如 来 の無 上 な る大 法 を覚 悟 す る忍 辱 波 羅 蜜 供 養 雲 海 好 遍 三 昧 耶 よ フー ン 【舞】 金 剛舞 賢 女 の印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「一 切 有 情 は菩 薩 行 に精 進 し、仏 性 に趣 向 し、輪 廻 を棄 捨 す る こ とな く精 進 す べ し。」 曾 オ ー ン ー 切 如 来 の輪 廻(7a)不 捨 の無 上 な る大 精 進 波 羅 蜜 供 養 雲 海 野 遍 三 昧 耶 よ フ ー ン 【花 】 花 の印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「一 切 有 情 は 煩 悩 と随 煩 悩 を離 れ よ。 禅 定 ・解 脱 ・三 摩 地 ・等 至 ・神 通 そ して一 切 の 明 呪 に 自在 な る こ とを成 就 せ よ。」 働 オ ー ン ー 切 如 来 の 無上 な る安 楽 住 な る禅 定 波 羅 蜜 供 養 雲 海 野 遍 三 昧耶 よ フ ー ン 【焼 香 】 焼 香 の 印 を結 ん で、 か くの如 く言 うべ し。 「一切 有 情 は世 間 と 出 世 間 の般 若 と智 とを具 足 す べ し。 四無 凝 を獲 得 し、工 巧 や 一 切 の論 書 (10) に通達 し、経 典 を持 し、秘 密 儀 軌 に通 達 し、真 実 を見 て、 一 切 の 煩 悩 障 ・所 知 障 を断 ず る智 を獲 得 す べ し。」 (40)オ ー ン ー 切 如 来 の 無 上 な る煩 悩 所 断 の一 切 法 を遍 知 せ る大 般 若 波 羅 蜜 供 養 雲 海 野 遍 三 昧 耶 よ フ ー ン 【身 】 身 体 を もっ て承 事 せ ん が た め に、 自身 を十 方 の 無 量 世 界 の一 切 如 来 の足 元 に献 げ て(次 の マ ン トラ を唱 うべ し)。 (41)オ ー ン ー 切 如 来 の身 奉 献 供 養 雲 海 静 遍 三 昧耶 よ フー ン
-140-【語 】 一 切 にお い て、 百 千 あ ま りの舌 の門 よ り、『比 ぶ もの な き不 動 よ云 々』 等 の称 讃 に よ っ て供 養 を献 げ て(次 の マ ン トラを唱 うべ し)。 (26)オ ー ン(7b)一 切 如来 の 語 奉 献供 養 雲 海 野 遍 三 昧 耶 よ フー ン 【心 】 一 切 の菩 薩 と一 心 とな って一 切 法 平 等 性 に お い て献 身 して(次 の マ ン トラ を唱 うべ し)。 (43)オ ー ン ー 切 如 来 の 心奉 献 供 養 雲 海 督 遍 三 昧 耶 よ フ ー ン 【秘 密 】 一 切 諸 法 は 非存 在 を 自性 と し、空 性 で あ り、無 相 で あ り、 無願 で あ る と信 解 して、 (44)オ ー ン ー 切 如 来 の秘 密 供 養 雲 海 静 遍 三 昧 耶 よ フー ン と唱 うべ し。 22廻 向 (11) か くの如 く、二 十 種 の供 養 を も っ て一 切 如来 に供 養 し、 自身 を奉 献 す べ し。す なわ ち、 「(吾れ は)一 切 の 仏 菩 薩 に 自身 を奉 献 す。 あ らゆ る時 に、 あ らゆ る手 段 で 吾 れ を摂 取 した した ま え。 大 悲 あ る主尊 達 よ、 お ん身 等 は 大 三 昧 耶 の悉 地 を吾 れ に授 け た ま え。」 と言 い、 そ の善 根 を ま た一 切 有情 と共 有 せ しめ て(次 の如 く言 うべ し)。 「これ らの善 根 に よ って、 吾 れ と一 切 有 情 は世 間 ・出世 間 の一 切 の 災 い を離 れ ん。 世 間 ・出世 間 の一 切 の富 楽 を(得)、 安 楽 と悦 意 とを共 な (12) って、 人 の最 上 者 た る仏 陀 と、今 生 に お い てな らん。 これ らの吾 が善 業 に よ っ て、(こ の)世 にお い てす みや か に仏 陀 とな らん。 人 々 の幸 福 の た め に法 等 を示 さん。 多 くの苦 に苛 まれ た 有情 を 救 わ ん。」 サ ンヴア ラ と言 っ て、 無 上 正 等 菩 提 に廻 向 して、(8a)律 儀 を受 持 す べ し。 ザ ン ヴア ラ 23律 儀(菩 提 心 戒) (1)三 世 の諸 尊 が菩 提 を成 じた如 く、吾 れ も無 上 に して 最 勝 な る菩 提 心 を発 さん。 サ ン ヴア ラ くユの (2)仏 諭 伽(よ り生 ぜ る)律 儀 にお い て、 戒 学 処 と摂 善 法 と饒 益 有 情 との三 種 の戒 を吾 れ は堅 固 に受 持 せ ん。 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教, 文 化 (3)仏 ・法 ・僧 の無 上 の三宝 を今 目 よ り以 降受 持 せ ん。 決 し て捨 離 せ ず。 (4)最 勝 大 金 剛部 の金 剛 と鈴 と印 とを如 実 に受 持 せ ん。 ま た 師等 も受 持 せ ん。 (5)最 勝 大 宝 部 の意 楽 の三 昧 耶 にお い て、 毎 目六 度 び 四種 の施 を常 に 施 こ さん。 (6)大 菩 提 よ り生 じた る清 浄 な る大 蓮 華 部 にお い て、 外 と秘 密 と三 乗 の最 勝 な る法 を受 持 せ ん。 サ ン ヴア ラ (7)最 勝 大 掲 磨 部 にお い て、一 切 の律 儀 を持 つ者 と し て如 実 に受 持 せ ん。 供 養 の業 も能 う限 りな さ ん。 (8)吾 れ は無 上 で あ り最 勝 で あ る菩 提 心 を発 し、一 切 有 情 の利 益 の た サ ン ヴア ラ め に、 吾 れ は無 量 の律 儀 を受 持 せ ん。 (9)未 解 脱 の も の を解脱 せ しめ ん。 未 度 の もの を度 せ ん。 安 慰 を生 ぜ ざ る もの に安慰 を生 ぜ し めん。 存 唐 を浬 葉 に安 住 せ しめ ん。 と言 うべ し。 24マ ンダ ラ遍 入(加 持 護念) 次 に、 色 像 等 との玲 伽 に よ り、印 を結 ぶ こ とを先 にな し、 一 切 の儀 軌 に随 順 す べ し。 (1)(虚 心)合 掌 を堅 く結 び、(8b)諸 指 を交 え た るは金 剛合 掌 と云 わ れ、 よ く結 ぶ が故 に金 剛 縛 な り。 (45)金 剛 合 掌 よ(R.(23)) とい うの は 金 剛 合 掌 の マ ン トラで あ る。 (46)金 剛縛 よ(R.(24)) とい うの は金 剛 縛 の(マ ン トラ)で あ っ て、 (47)金 剛 縛 よ トラ ッ ト(R.(27)) と(唱 え)、 心 臓 にお い て三 度 攣 すべ し。 (48)金 剛遍 入 よ(R.(28)) と(唱 え)、 金 剛 遍 入 三 昧 耶(印)を 結 び、
-138-(49)「 ア」 と(唱 え)、 自身 に(マ ン ダ ラ)を 遍 入 さす べ し。 さ らに、 この 遍 入 を次 の(マ ン トラ)に よ って堅 固 に な すべ し。 (50)立 て 金 剛 よ 吾 れ に堅 固 が あ れ か し 吾 れ に不 変 が あれ か し 吾 が 心臓 を加 持 した ま え 吾 れ に一 切 の悉 地 を もた ら した ま え フー ン ノ、 ハ ノ、 ハ ホ ー(H.§227, R.(223)) 26召 罪 くユの ま た、 金 剛 拳 とい う三 昧 耶 の金 剛 拳(印)を 結 ん で次 の如 く唱 うべ し。 (51)オ ー ン 金 剛拳 よ ヴ ァ ン(H.§837,R.(29)) これ に つづ い て、 (52)オ ー ン ー 切 の 罪 障 を鉤 召 し浄 除 せ しめ る金 剛三 昧 耶 よ フ ー ン パ ッ ト(R.(219)) と(唱 え)、 印 と共 に一 切 の悪 趣 を鉤 召 す べ し。 (1)二 手 金 剛 印 に な した 後、 二 頭 指 を結 び能 く上 に騰 げ るは 堕者 を起 こす に最勝 な り。(H.§983) 26擢 罪 (53)オ ー ン 金 剛 手 よ 一 切 の罪 悪 の繋 縛 を砕 きた ま え 一 切 の悪 趣 よ り一 切 の有 情 達 を解 脱 せ しめ た ま え 一切 如 来 の金 剛 三 昧 耶 よ タ ッ ト(H,§841,R.(220)) と(唱 え)、 擢 罪 の印 を結 ん で、 一 切 の罪 悪 を擢 破 す べ し。 (1)金 剛 結 を縛 し て、 二 中指 を柱 だ て、 余 の 四(指)の 先端 を着 け る (15) は擢 罪 と称 す る(印)で あ る。(H.§842,984) 27三 昧 耶 印 次 に、 毘 盧 遮那 等(三 十 七尊)の 三 昧耶 印 を結 ん で、 そ れ らの真 言 を 七 度 び 唱 え、 そ こで 自身 の心 臓 に お い て解 くべ し。 (54)オ ー ン 金 剛 よ ム フ か くの如 くな す な らば一 切 の印 を 自在 に なす で あ ろ う。 そ して、 これ を (9a)な す こ とに よ って、 玲 伽 者 は三 劫 を出 離 せ る菩 薩 に等 しい 者 とな る で あ ろ う。 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 28法 印 次 に、 自身 の心 臓 に在 る金 剛(杵)の 真 中 に(各)尊 の心 真 言 を三 昧 (16) 耶 に よ っ て描 い て、 一 切 法 は無 我 な り と観 想 す べ し。母 音 の十 六 文 字 を 具 えた そ の(心 真 言)が 月輪 の形 に変 ず る と想 い、 さ らに、 そ の(月 輪 の)上 に、 そ の も の と力字 等 の(子 音 字)が 星 の形 の如 く変 ず る こ とか ら、 大 月 輪 の相 が二 つ に な る と想 うべ し。 それ よ り生 じた も の が あ る が そ の上 に また、 そ の 心 真 言 を持 つ も の か ら光 明 の髪 を具 えた 五 鈷 金 剛 杵 を想 うべ し。 さ ら に、金 剛(杵)よ り生 じた(各)尊 の印(を 想 うべ し)。 次 に、(各)尊 の印 の真 中 に(各)尊 の心 真 言 を建 立 し、『吾 れ は(各)尊 の 印 な り』 と観 想 す べ し。 す な わ ち、(55)「 吾 れ は金 剛 な り」 とい う こ と よ り、(56)「 吾 れ は鈴 な り」 とい うま で、(各)尊 の心 真 言 を再 び諦 して、 一 切 如 来 の 身語 心 金 剛界 が(各)尊 の 印 に安 住 す る と想 うべ し。 29四 処 加 持 (17) 次 に、(57)「 金 剛 界 よ」 と唱 え て、 印 の相 を薩 垣 と加 持 す る玲 伽 に よ っ て、 金 剛 薩唾 な り と観 想 し、そ のっ も りに な っ て金 剛 杵 を抽 郷 し、 (58)吾 れ は 金 剛 薩唾 な り と唱 うべ し。次 い で、(本)尊 の マ ン トラ に よ っ て本 尊 の身 そ の も の と (な る と)想 い、 次 の如 く唱 うべ し。 (59)吾 れ は 大 三 昧 耶 薩 唾 な り (本)尊 の 三 昧 耶 印 を結 ん で次 の如 く唱 うべ し。 す な わ ち (60)吾 れ は 三 昧 耶 な り 次 の(マ ン トラ)に よっ て、 心 臓 と額 と喉 と頂 とを加 持 す べ し。 (61)三 昧耶 薩 垣 よ(9b)吾 れ を加 持 した ま え 30投 花 得 仏 次 に、 各 尊 の大 印 を結 ん で、 そ れ ぞれ の心 真 言 とマ ン トラ も諦 す べ し。 再 び 自身 の 心臓 の 月(輪)の 上 に、 金 剛 歌 の掲 磨 印 に よ って 金 剛 界 大 マ ン ダ ラ を化 現 し、 (62)汝 は 三 昧 耶 な り
-136-と唱 え て、 薩唾 金 剛 印 を結 ん で、 そ の(印)の 二 中指 を もっ て(花)髪 を掴 み、 (63)三 昧 耶 よ フ ー ン とい う この(マ ン トラ)を(唱 え)、 自身 の心 臓 に位 置 す る マ ン ダ ラ に入 る べ し。 さ らにそ の(花)童 を (64)金 剛 よ 納 受 せ よ ホ ー(H.§229,R.(223)) とい うこ の(マ ン トラ)に よっ て 自身 の頭 頂 に都 げ る べ し。 次 い で そ の (花)髭 を (65)オ ー ン この 吾 れ 薯按 取 せ よ 大 力 あ る薩 埋 よ(H.§229,R.(223)) とい うこ の(マ ン トラ)に よっ て 自身 の 頭 頂 に結 ぶ べ し。 31解 覆 面 次 に、 (66)オ ー ン 金 剛 薩 唾 は 自 ら今 日、汝 の 眼 を 開 か し め ん と専 心 し た ま え り、一切 眼 に して 無 上 な る金 剛 眼 を開 か しむ オー 金 剛 よ 見 よ (H.§230,R(244)) とい うこの(マ ン ト ラ)に よ っ て顔 の覆 い を解 くべ し。 32見 マ ンダ ラ 次 に、金 剛 鉤 よ り始 め て、 世 尊 毘 盧遮 那 に至 る ま で、 自身 の 身 体 に位 置 せ る マ ン ダ ラを見 るべ し。(そ して)、 再 び金 剛 薩唾 の印 を結 ん で、 (67)立 て 金 剛 よ と唱 え て、 心 臓 に お い て解 くべ し。 33瓶 灌 頂 次 に、 金 剛(杵)に て加 持 した瓶 よ り金 剛 拳 に よ っ て水 を取 っ て、 (68)金 剛 よ 潅 頂 せ よ とい う この(マ ン トラ)に よ って、 水 に よ る潅 頂 を獲 得 す べ し。 34五 仏 灌 頂 次 に、 五仏 の 宝冠 と糟 練 に よ る潅 頂 を金 剛 界 自在(印)等 に よ っ て獲 得 す べ し。 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 (19) (毘)1)金 剛 合 掌 よ り生 じた もの で(H.§390) 2)二 大 指 を交 え、 頭 指 の先 端 を鉤 に な し、 中指 の(上)節 を斉 等 に な す は、 金 剛 界 自在(印)と 言 われ る。(H.§391) と説 か れ る この(印)と、 (69)オ ー ン 金 剛 界 自在 女 よ フ ー ン 金 剛 女 よ 吾 れ を潅 頂 した ま え (cf.H.§323,R.(135)) と言 っ て、 頭 に(10a)白 色 の毘 盧 遮 那 身 が最 勝 菩提 印 を も っ て居 住 せ る と想 うべ し。 (阿)そ の(印)よ り中指 を金 剛 にな した この(印)と、 (70)オ ー ン 金 剛 金 剛 女 よ フ ー ン(H.§324,R.(136)) とい うこ の(マ ン トラ)に よっ て、 額 の上 に青 色 の阿 閤身 が触 地 印 を も っ て居 住 す。 (宝)二 中指 を鉤 にな し て宝(形)の 如 くな す この(印)と、 (71)オ ー ン 宝 金 剛 女 よ フー ン(H.§325,R.(137)) とい うこ の(マ ン トラ)に よっ て、 右 耳 の上 に黄 色 の宝 生 身 が施 願 の印 をな してい る を想 うべ し。 (無)中 指 と無 名 指 と小 指 を蓮 華 の如 くなす こ の(印)と (72)オ ー ン 法 金 剛 女 よ フー ン(H.§326,R.(138)) とい う この(マ ン トラ)に よ っ て、 後 頭 に赤 色 の 無量 光 身 が最 勝 三 摩 地 印 を な して い る を想 うべ し。 (不)諸 指 を展 げ た こ の(印)と (73)オ ー ン 業 金 剛 女 よ フー ン 吾 れ を潅 頂 した ま え (cf.H.§327,R.(139)) とい う この(マ ン トラ)に よ っ て、 左 耳 の上 に緑 色 の不 空 成 就 身 が 施 無 畏 印 を もっ て居 住 せ る を想 うべ し。 これ らす べ て も金 剛界 自在 印 よ り生 じた も の で あ る。 35被 鎧 続 い て、
-134-(74)オ ー ン ト ゥン(R・(7)) と言 って、 二 手 金 剛 拳 にな し心臓 の と ころ で節 を結 ぶ 仕 種 を も って被 鎧 す べ し。 同様 に、 喉 と後 頭 と心 臓 と胸 部 に、 繰 り返 し、心 臓 と喉 と背 と 額 の上 に節 に な し、繕 を結 ぶ 仕 種 を な し、誇 らしげ に末 尾 の方 か ら解 い て、 端 を合 わ せ た合 掌 を(な し)、 (75)金 剛 よ 喜 悦 せ よ オ ー(H.§311,R.(77)) と言 って 満 足 せ しむ べ し。 36金 剛 主 灌 頂 次 に、 (1)今 目、 諸 仏 は 汝 に金 剛潅 頂 を潅 げ り、一 切 諸 仏 を成 就 せ ん が た め に、 この 金 剛 杵 を汝 は把 るべ し。 (76)オ ー ン 金 剛 主 よ(10b)吾 れ は汝 を潅 頂 す 立 て 金 剛 よ 汝 は 三 昧 耶 な り(H.§233,R.(229)) とい うこ の(マ ン トラ)に よ っ て、 本 尊 の金 剛(杵)二潅 頂 を授 け るべ し。 本 尊 の金 剛(杵)と い うの は、 如 来 の金 剛(杵)は 十 二指(量)で 五 鈷、 金 等 でで き てい る。 大 持 金 剛 の金 剛(杵)は 大 き さは 決 ま って お らず、 五 鈷 は幾 分 か離 れ て お り輝 き を持 っ。 三 双 の把 手 が っ い て お り、紅 玉 等 で で きて い る。 金 剛 王 以 下 も また 同 じで あ る。 金 剛 薬 叉 と金 剛 噂迦 羅 の 電 光(金 剛杵)は 非 常 に浄 らか な もの でで きて お り、十 二 指 量 で 五 鈷 は 鋭 い。 この 金 剛(杵)も また 三 双 の把 手 が つ い て い る。 37金 剛 名 灌頂 金 剛 名潅 頂 は また、 こ の金 剛(杵)を 自分 の(弟 子)の 頭 に置 い て、 (77)オ ー ン 金 剛 薩 埋 よ 吾 れ は汝 を金 剛 名 潅頂 よ り 潅 頂 す オ オ 金 剛某 甲 よ(H.§234,R.(230)) とい うこの(マ ン トラ)に よ って授 け る べ し。 自分 の(弟 子)の 名 前 が あ るそ こ に 「オ オ 」 とっ け るべ し。 38金 剛禁 戒 次 に、 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 (1)ま さ に これ(金 剛杵)は 一 朔 諸 仏 な り、金 剛 手 の掌 に安 住 せ り、汝 も また 常 に金 剛 手 の禁 戒 を堅 固 に持 す べ し。 (78)オ ー ン ー 切 如 来 の悉 地 金 剛 三 昧 耶 よ 住 せ ま さ に吾 れ は汝 を守 護 せ ん 金 剛 薩垣 よ ヒ ヒ ヒ ヒ フー ン(H.§316,R.(231)) とい う この(マ ン トラ)に よっ て金 剛 禁 戒 を授 け る べ し。 か くの 如 く自 (20) 加 持 等 を なす な らば成 就 す る で あ ろ う。 39金 剛 薩 堰 遍 入(大 印 成 就 法 広 大 儀 則)(H.§254∼256) そ こ で、 最 初 に まつ、 自身 の心 臓 に あ る そ の月 輪 と一 体 とな る と想 い、 次 い で 自身 の 身 体 に(79)「 三 昧 耶 よ ア」 と唱 え て、 諸 尊 の住 処 に月 輪 を生 じ、本 尊 の 住 処 に あ る月 輪 の上 で、 再 び金 剛 薩 垣 の大 印 を結 び、 マ ン トラそ の もの に よ って 面 前 の(11a)空 中 にあ るそ の 月 輪 の上 に、 (80)「金 剛 薩 垣 よ ア 」(H.§225)と い う この(マ ン トラ)に よ っ て金 剛 主 を遍 入 せ しめ て、(81)「 吾 れ は金 剛(杵)な り」 とい うこの マ ン トラ に よ っ て、 そ の つ も りに な っ て、(82)「 吾 れ は金 剛 薩 唾 な り」 と唱 え、 『吾 れ は 白色 の金 剛 薩 唾 身 な り』 と想 うべ し。 そ こ で そ の ま ま、 金 剛 鉤 等(の 印)に よ っ て、 鉤 召 と引 入 と縛 と、自在 を な して、 尊 とき金 剛 薩垣 で あ る本 尊 の三 昧耶 印 と、(83)「金 剛 薩 唾 よ 見 よ」(H.§255)と い う こ の(マ ン トラ)に よ っ て見 渡 す べ し。 さ らに そ の三 昧 耶 印 と、(84)「 ご ヤハ フー ン ヴ ァ ン ホ ー ホ」(H.§255)と(い うマ ン トラ を)唱 え て、 自身 の心 臓 の月(輪)に 鉤 召 と引 入 と縛 と 自在 をな す べ し。 (1)(85)「 汝 は三 昧 耶 な り」(H.§256(1))と 唱 え て、 背 後 に 月(輪) を成 じ、(86)「吾 れ は汝 と三 昧耶(平 等)な り」(H.§256(2))と 唱 え て、 そ こ にお い て、 『吾 れ は薩 垣 身 な り』 と 想 うべ し。 (87)「金 剛 薩 垣 よ」 とい う心 真 言 と、(88)「オ ー ン 金 剛 薩 埋 よ フー ン」 とい うマ ン トラ も唱 うべ し。 40金 剛 王 等 の 大 印 同 様 に金 剛 王(菩 薩)等 の大 印 を結 ん で、 この 印 の色 身 を こ の心 真 言 に よ っ て遍 入 せ しむ べ し。
-132-(89) (王)金 剛 王 よ ア (愛)金 剛 愛 よ ア (喜)金 剛善 哉 よ ア (宝)金 剛 宝 よ ア (光)金 剛光 よ ア (瞳)金 剛 瞳 よ ア (笑)金 剛笑 よ ア (法)金 剛 法 よ ア (利)金 剛 利 よ ア (因)金 剛 因 よ ア (語)金 剛 語 よ ア (業)金 剛 業 よ ア (護)金 剛 護 よ ア (牙)金 剛 薬 叉 よ ア (拳)金 剛 合 よ ア (嬉)金 岡腋喜よ ア (量)金 剛 量 よ ア (歌)金 剛 歌 よ ア (舞)金 剛 舞 よ ア (香)金 剛 香 よ ア (花)金 剛 花 よ ア (燈)金 剛 燈 よ ア (塗)金 剛 塗 よ ア (鉤)金 剛 鉤 よ ア (索)金 剛 索 よ ア (鎖)金 剛 裂 よ ア (鈴)金 剛 遍 入 よ ア 41金 剛王 等 の傲 慢 相 次 に そ れ らの 印 の傲 慢 相 を観 想 す べ し。 (90)(王)吾 れ は 鉤 な り (愛)吾 れ は矢 な り (喜)吾 れ は満 足 な り (宝)吾 れ は宝 な り (光)吾 れ は 金 剛 目な り (瞳)吾 れ は憧 な り (11b)(笑)吾 れ は笑 な り (法)吾 れ は蓮 華 な り (利)吾 れ は剣 な り (因)吾 れ は輪 な り (語)吾 れ は 舌 な り (業)吾 れ は掲 磨 金 剛 杵 な り (護)吾 れ は 甲 冑 な り (牙)吾 れ は歯 な り (拳)吾 れ は拳 な り (嬉)吾 れ は二本 の金 剛 杵 な り (髭)吾 れ は宝 量 な り (21) (歌)吾 れ は琵琶 な り (舞)吾 れ は金 剛 舞 を な す小 枝 な り (香)吾 れ は焼 香 な り (花)吾 れ は花 な り (燈)吾 れ は 燈 な り (塗)吾 れ は塗 香 な り 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 (鉤)吾 れ は鉤 な り (索)吾 れ は索 な り (鎖)吾 れ は裂 な り (鈴)吾 れ は鈴 な り 42金 剛 王 等 の 法 印 (法)印 の ダ ラ ニ は以 下 で あ り、各 々 の 尊 の 身 を観 想 す べ し。 す な わ ち (91)(王)吾 れ は金 剛 王 な り (愛)吾 れ は 金剛 愛 な り (喜)吾 れ は金 剛 善 哉 な り (宝)吾 れ は金 剛 蔵 な り (光)吾 れ は金 剛 光 な り (憧)吾 れ は金 剛 侯 な り (笑)吾 れ は金 剛 歓 喜 な り (法)吾 れ は金 剛 眼 な り (利)吾 れ は金 剛 慧 な り (因)吾 れ は 金 剛 道 場 な り (語)吾 れ は金 剛 言 説 な り (業)吾 れ は 金 剛 毘 首 な り (護)吾 れ は 金 剛精 進 な り (牙)吾 れ は 金 剛暴 悪 な り (拳)吾 れ は 金 剛拳 な り (嬉)吾 れ は金 剛 嬉 な り (量)吾 れ は金 剛 糞 な り (歌)吾 れ は金 剛 歌 な り (舞)吾 れ は金 剛 舞 な り (香)吾 れ は 金 剛 焼 香 な り (花)吾 れ は金 剛 花 な り (燈)吾 れ は金 剛 燈 な り (塗)吾 れ は金 剛 塗 香 な り (鉤)吾 れ は 金 剛 鉤 な り (索)吾 れ は金 剛 索 な り (鎖)吾 れ は 金 剛 裂 な り (鈴)吾 れ は金 剛 鈴 な り 43四 摂 次 に、 金 剛 鉤 等 の掲 磨 印 と以 下 の心 真 言 に よ って ま さ に鉤 召 し引 入 し 縛 し 自在 に なす べ し。 (92)金 剛 鉤 よ ジ ャハ 金 剛 索 よ フ ー ン 金 剛 裂 よ ヴ ァ ン 金 剛 鈴 よ ア 44金 剛 王 等 の見 次 に、 各 々 の 三 昧 耶 印 を結 ん で ∼以 下 の 心 真 言 に よ っ て見 渡 す べ し。 す な わ ち (93) (王)金 剛 王 よ 見 よ (愛)金 剛愛 よ 見 よ (喜)金 剛 善 哉 よ 見 よ
-130-(宝)金 剛宝 よ 見 よ (光)金 剛 光 よ 見 よ (瞳)金 剛 憧 よ 見 よ (笑)金 剛 笑 よ 見 よ (法)金 剛 法 よ 見 よ (利)金 剛利 よ 見 よ (因)金 剛 因 よ 見 よ (語)金 剛 語 よ 見 よ (業)金 剛 業 よ 見 よ (護)金 剛護 よ 見 よ (牙)金 剛 薬 叉 よ 見 よ (拳)金 剛 合 よ 見 よ (嬉)金 剛 嬉 よ 見 よ (量)金 剛糞 よ 見 よ (歌)金 剛 歌 よ 見 よ (舞)金 剛舞 よ 見 よ (香)金 剛焼 香 よ 見 よ (花)金 剛 花 よ 見 よ (燈)金 剛 燈 よ 見 よ (塗)金 剛 塗 香 よ 見 よ (鉤)金 剛 鉤 よ 見 よ (索)金 剛 索 よ 見 よ (鎖)金 剛裂 よ 見 よ (鈴)金 剛 召 入 よ 見 よ 45四 摂 次 に、 各 々の(12a)三 昧 耶 印 そ れ ら と、 (94)ジ ャハ フー ン ヴ ァン ホ ー ホ と唱 えて、 所 定 の位 置 に鉤 召 し引入 し縛 し 自在 に なす べ し。 46布 置観 (1)(95)汝 は 三 昧 耶 な り と唱 え て、 背 後 に月(輪)を 観 想 し、 (96)吾 れ は汝 と三 昧 耶 な り と唱 うべ し。 そ こ で、 吾 れ は 薩 唾 身 な り と観 想 せ よ。(H.§256) そ こ にお い て 心臓 の右 には 金 色 の金 剛 王(菩 薩) (心臓 の)左 方 に は赤 色 の愛(菩 薩)身 心臓 の 背 後 に は緑 色 の 喜(菩 薩)身 額 に は黄 色 の宝(菩 薩)身 頭 の背 後 に は太 陽 の色 を した 金 剛 光(菩 薩) 両 肩 には虚 空 の 色 を した 金 剛憧(菩 薩) 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 両 の歯 糞 には 貝 や 蓮根 の如 き 白い笑(菩 薩) 喉 には 白赤 の 法(菩 薩) 両 乳 の 中 央 には虚 空 の如 き青 白の利(菩 薩) 膀 に は 金色 を した 金剛 因(菩 薩) 舌 に は銅 色 を した語(菩 薩) 頂 に は雑 色 を した 金剛 業(菩 薩) 鎖 骨 に は金 色 を した金 剛 護(菩 薩) 口 に は黒 い牙(菩 薩) 両 脇 に は黄 の拳(菩 薩) 金 剛 薩 唾 の左 方 に は 白 い嬉(賢 女) 金 剛 宝 の左 方 に は黄 の婁(賢 女) 金 剛 法 の左 方 に は 白赤 の歌 賢 女 金 剛 業 の左 方 に は緑 の舞 賢 女 成 就 者 の 秘 密 処 の所 に は 白色 の焼 香 女 身 頭 には 黄 の 花 女(身) 両 眼 には 薄 赤 の燈 女(身) 乳 と胸 と心 臓 には 緑 の 塗 香 女(身) 右 の腕 には 白い 鉤 女(身) 左 の腕 には 黄 の索 女(身) 右 の ふ くらは ぎ には(12b)薄 赤 の鎖 女(身) 左 の ふ くらは ぎに は緑 の鈴 女(身) (を 想 うべ し)。 47金 剛 王 等 の心 真 言 と マ ン トラ 次 に、 これ ら(諸 菩 薩 の)心 真 言 とマ ン トラは 以 下 で あ る。 す な わ ち (97)(王)金 剛 王 よ/ オ ー ン 金 剛 王 よ ジ ャ (愛)金 剛 愛 よ/ オ ー ン 金 剛 愛 よ ホ ー (喜)金 剛善 哉 よ/ オ ー ン 金 剛 善 哉 よ サ (宝)金 剛 宝 よ/ オ ー ン 金 剛 宝 よ オ ー ン
-128-(光)金 剛光 よ/ オ ー ン 金 剛 光 よ ア ン (撞)金 剛憧 よ/ オ ー ン 金 剛 憧 よ トラ ン (笑)金 剛笑 よ/ オ ー ン 金 剛 笑 よ ハ (法)金 剛 法 よ/ オ ー ン 金 剛 法 よ フ リー ヒ (利)金 剛利 よ/ オ ー ン 金 剛 利 よ デ ィ (国)金 剛 因 よ/ オ ー ン 金 剛 因 よ マ ン (語)金 剛語 よ/ オ ー ン 金 剛 語 よ ラ ン (業)金 剛 業 よ/ オ ー ン 金 剛 業 よ カ ン (護)金 剛護 よ/ オ ー ン 金 剛 護 よ ハ ン (牙)金 剛 薬 叉 よ/ オ ー ン 金 剛 薬 叉 よ フ ー ン (拳)金 剛 合 よ/ オ ー ン 金 剛 合 よ ヴ ァン (嬉)金 剛嬉 よ/ オ ー ン 金 剛 嬉 よ フー ン (髪)金 剛量 よ/ オ ー ン 金 剛 量 よ トラン (歌)金 剛 歌 よ/ オ ー ン 金 剛 歌 よ フ リー ヒ (舞)金 剛舞 よ/ オ ー ン 金 剛 舞 よ ア (香)金 剛焼 香 よ/ オ ー ン 金 剛 焼 香 よ フ ー ン (花)金 剛花 よ/ オ ー ン 金 剛 花 よ トラ ン (燈)金 剛 燈 よ/オ ー ン 金 剛 燈 よ フ リー ヒ (塗)金 剛 塗 香 よ/ オ ー ン 金 剛 塗 香 よ ア (鉤)金 剛 鉤 よ/ オ ー ン 金 剛 鉤 よ ジ ャ ハ (索)金 剛 索 よ/ オ ー ン 金 剛 索 よ フー ン (鎖)金 剛 裂 よ/ オ ー ン 金 剛 裂 よ ヴ ァン (鈴)金 剛遍 入 よ/ オ ー ン 金 剛 遍 入 よ ア 48金 岡集 会 次 に、 自身 の 身体 と金 剛 薩唾 等 の身 に対 して、 (1)金 剛 集 会 の 印 を結 ん で、 (98)ジ ャハ フ ー ン ヴ ァン ホ ー ホ と唱 えて、 意 に て妙 玲伽 をな して一 切 諸 仏 を安 置 さす べ し。 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 (cf.H.§256(3)) 49四 印 押 捺<五 仏> 次 に、 以 下 の愉 伽 に よっ て、 これ ら(諸 尊)を 各 尊 の三 昧 耶(印)と 法 (印)と 掲 磨(印)と 大 印 とに よ っ て刻 印 す べ し。 金 剛 界 の 三 昧 耶 印 を結 ん で、 (99)金 剛 界 よ 見 よ ジ ャハ フ'一ン ヴ ァン ホー ホ 汝 は三 昧 耶 な り 吾 れ は 汝 と三 昧 耶 な り と唱 うべ し。次 に、(100)「金 剛 界 よ」 と三度 唱 えて、 (101)オ ー ン ー 切 如 来 の 大 玲伽 自在 な る もの よ フー ン とい う世 尊 毘 盧 遮 那 の マ ン トラ を(13a)三 度 唱 え る べ し。 同様 に、 阿 閤 と宝 生 と無 量 光 と不 空 成 就 の 印 を結 ん で、 次 の如 く言 うべ し。 す なわ ち (102)金 岡堺 よ 見 よ ジ ャノ・ フ ー ン ヴ ァン ホ ー ホ 汝 は 三 昧 耶 な り 吾 れ は 汝 と三 昧 耶 な り とい う もの と、(103)「金 剛 界 よ」 とい う共 通 の心 真 言 を三 度 唱 うべ し。 そ して (104)オ ー ン 金 剛 薩 垣 よ フー ン とい う阿 閤 の心 真 言 と (105)オ ー ン 金 剛 宝 よ プー ン とい う宝 生 の心 真 言 と (106)オ ー ン 金 剛 法 よ フ ー ン とい う無 量 光 の 心真 言 と (107)オ ー ン 金 剛 業 よ フー ン とい う不 空 成 就 の心 真 言 もま た 三度 唱 うべ し。 次 い で、 法(印)と 掲 磨 (印)と 大 印 に つ い て も愉 伽 す べ し。 50<四 波 羅 蜜> そ れ に つづ い て、 (108)薩 垣 金 剛 女 よ 吾 れ を加 持 した ま え
-126-と唱 え て、心 臓 と眉 間 と喉 と頭 を加 持 して、 金 剛 薩唾 等 の 心 月 輪 にお い て五 鈷 金 剛形 を想 うべ し。 (109)宝 金 剛 女 よ 吾 れ を加 持 した ま え と唱 えて、 金 剛 宝 女 が潅 頂 処 に大宝 形 と(成 る と想 え)。 (110)法 金剛 女 よ 吾 れ を加 持 した ま え と唱 えて、 金 剛 法 女 が 喉 の処 に金 剛蓮 華 と(成 る と想 え)。 (111)掲 磨 金 剛 女 よ 吾 れ を加 持 した ま え (22) と唱 え て、 金 剛 業 女 が 頭 に掲 磨 金剛 杵 の印 を も っ て生 ず と(想 うべ し)。 51三 十 二 尊三 昧 耶 印 縛 如 来 の持 諦 者 溶五 現 等 覚次 第 に よっ て、 如 来 の大 印 を生 じ、一 切 の 儀 則 を随 行 す べ し。 そ こで、 金 剛 界 自在 印 を結 ん で、 心 臓 と眉 間 と喉 と頭 と を加 持 す べ し。 そ れ よ り三 昧 耶 印等 を生 ず べ し。す なわ ち (1)一 切 の三 昧 耶 印 は 金剛 縛 よ り生 じる が故 に、 そ れ らの縛 は(13b) 無 上 な る金 剛 縛 と称 せ らる。(H.§263(2)) (2)金 剛 縛 を堅 くな し、 中指 を芽 の如 く並 び竪 て、 中指 を 内 に並 び 置 くは第 二 の 仏(阿 閤)の(印)で あ る と言 われ る。(H.§264(3)) (3)中 指 を宝 形 の 如 くな し(宝生)、 中指 を蓮 華 の如 く屈 す(無 量光)。 第 五 の 仏(不 空成 就)の 印 は 同様 に頭 指 を屈 す。(H.§264(4)) (4)次 に、如 来 部 の三 昧 耶 を摂 持 す る印縛 と、悉 地 と事 業 とを説 くで あ ろ う。(H.§265(5)) (5)二 手 月 の如 くな し、 中指 を離 し、大 指 と小 指 を各 々竪 て る。 薩 垣 金 剛 の 金剛 竪(印)な り(薩)。(H.§265(6)) (6)頭 指 を鉤 に な し(王)、 頭 指 を交 う(愛)。 善 哉 を与 うが如 き は第 四 の 金剛 薩 垣(喜)の 印 で、 これ は衆 印 の悉 地 で あ る。 (H.§266(7)) (7)大 指 を並 び置 き、二 頭 指 を挑 して面 を着 け る は 金剛 宝 で あ る。 そ の(印 の)ま ま、 中指 と無 名 指 と小 指 を開 き伸 ぶ(光)。 (工≡正。§266(8)) 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 (8)そ れ(金 剛縛)よ り、二 の無 名 指 と小 指 を並 び置 くは憧 で あ る。 そ の(印)よ り転 じて 口処 に置 く(笑)。(H.§267(9)) (9)二 大 指 を並 び 置 き、二 頭 指 を屈 す(法)。 中 指 を竪 て て先 端 を屈 す。 それ こそ金 剛 剣 で あ る(利)。(H.§267(10)) (10)そ れ(金 剛縛)よ り、無 名 指 と小 指 を並 び 置 くは輪(因)で あ る と 言 わ れ る・ 二 大 指 を 開 き あ て 口辺 に置 く(語)。(H.§268(11)) (11)大 指 と小 指 の光 端 を着 け る は業 金 剛 で あ る と言 わ れ る。 そ れ(金 剛縛)よ り、二 頭 指 を並 べ 置 き心 臓 に押 しあ て て置 く(護)。 (H.§268(12)) (12)二 頭 指 の 先 端 を鉤 にな し、 小指 を 開 い て歯 牙 に(置 く)(牙)。 二 小 指 に二 大 指 を(つ け)二 頭 指 に て圧 す(拳)。(H.§269(13)) (13)大 指 を斉 等 に して心 臓 に置 く(嬉)。(14a)よ く開 い て髭 に(な す)(婁)。 合 掌 の先 端 を 口 よ り生 ず(歌)。 旋 舞 し て合 掌 を頭 に置 く (舞)。(H.§270(14)) (14)金 剛 縛 を下 に 向 け(香)、 合 掌 を上 に投 ぐ(花)。 大 指 を斉 等 に して よ く縛 す(燈)。 よ く開 い て塗 る(塗)。(H.§270(15)) (15)一 頭 指 を屈 す(鉤)。 二 大指 の節 を着 く(索)、 大 指 と頭 指 を環 に結 ぶ(鎖)。 金 剛 結 に し頭 指 を縛 す(鈴)。(H.§270(16)) と言 わ れ る もの で あ り、薩 垣 等 の三 昧 耶 印 にお い て も、 自身 の心 臓 に フ ー ン字 よ り五 鈷 金 剛杵 を生 じて玲 伽 す べ し。 52法 印(cf.H.§278∼283, R.(140-(167)) 次 に、如 来 達 の舌 に法 印 を安 置 す べ し。す な わ ち、(112)「金 剛 智 な り」 とい うの は(五)仏 の で あ る。 (113)(薩)汝 は 三 昧 耶 な り (王)鉤 召 せ よ (愛)あ あ 安楽 な り (喜)善 哉 善 哉 (宝)汝 は 妙 大 な り (光)色 身 光 明 な り (憧)義 利 を獲 得 せ り (笑)ハ ハ フ ー ン ヘ ー (法)一 切 を作 す (利)苦 を断 ず
-124-(因)仏 菩提 あ り (語)応 声 な り (業)汝 は 妙 自在 な り (護)汝 は無 畏 な り (牙)敵 を傲食 す (拳)一 切 悉 地 な り (嬉)大 喜 な り (董)色 身 端 厳 な り (歌)耳 を楽 し ます (舞)一 切 の供 養 な り (香)悦 澤 な り (花)果 を もた らす (燈)妙 光 の 最 上 な り (塗)妙 香 の支 分 な り (鉤)汝 は 来 た れ ジ ャハ (索)蛇 よ フ-ン フ ー ン (鎖)オ オ 裂 け ヴ ァン (鈴)鈴 よ アハ ア ハ とい うす べ ては 法 印 で あ って、 以 前 の如 く舌 に金 剛 杵 を想 っ て玲 伽 す べ し。 53掲 磨 印 縛(H.§285∼290) 次 に、 掲 磨 印縛 を生 ず。 す なわ ち (1)決 定 せ る者 は金 剛 拳 を堅 く結 び、 二 つ にな す べ し。 二 手 金 剛 印 を 結 び、 そ の(印)よ り結(印)を 説 くで あ ろ う。 (2)左(拳)の 金 剛 頭 指 を右(拳)の 内 に起 た す べ し。 最 勝 菩 提 の大 印 で あ り、仏 菩 提 を与 う。(大 日) (3)不 動(阿 閤)の(印)は 触 地、 宝(生)の(印)は 施 願、 無 量 寿 の(印)は 勝 定、 不 空 の(印)は 施 無畏 で あ る。 (4)次 に、 諸 々 の鵜 磨 印 を(14b)手 短 か に説 くで あ ろう。 金 剛 薩垣 を 始 め とす る薩 埋 達 の金 剛 錫磨(印)を な す。 す な わ ち (5)二 手 の うち(左)慢 を持 し、(右)抽 榔 す(金薩)。鉤 を持 す る が如 く住 す(王)。 矢 を射 る仕 種(愛)で、 善 哉 と言 っ て心 臓 に置 く(喜)。 (6)潅 頂 処 に は二 金 剛(拳)(宝)。 心 臓 に は 目 を堅 くなせ(光)。 左(拳) の上 に(右)杖 の 形 に し(瞳)、 ま た(二 拳)を 口処 に開 くべ し(笑)。 (7)右(拳)に よ っ て左(拳)を 開 く(法)、 心 臓 に左(拳)を(置 き)、 (23) (右)剣 を持 す(利)。 旋 火 輪 の(如 く)旋 転 す(因)。 金 剛 心(真 言) を 口 よ り出 だ す(語)。 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 (8)金 剛 舞(の 如 く)旋 転 し、 掌 を頬 よ り頭 に置 く(業)。 甲 冑 に し (護)、 小 指 牙 にす(牙)。 二 拳 を圧 す(拳)。 (9)金 剛 慢 の仕 種 にて、 心 勇 躍 して礼 す べ し(嬉二)、量 を結 び(婁)、 口 よ り出 だす(歌)、 金 剛 舞 は旋 転 す(舞)。 (10)二 手 金 剛 拳 に して香 等 を同 じ く与 う。一 切 諸 仏 に対 し 供 養 の 印 (花、燈、塗)の 供 養 を なす。 (11)頭 指 を鉤 に結 び、 小指 よ り大 鉤 に し(鉤)、 腕 を交 え て(索)、 二 頭 指 を環 に し(鎖)、 両 の 背 を並 べ て圧 す(鈴)。 54大 印 縛(cf.H.§256-2∼262) 次 に、 大 印 縛 を生 ず。 す な わ ち (毘)以 上 の よ うに説 かれ た最 勝 菩 提(印)は 毘 盧遮 那 の で あ る。 (阿)最 勝 三 摩 地(印)を 結 ん で、 右 手 を地 に触 れ る仕 種 をな す は不 動 の で あ る。 (宝)そ の(印)よ り右 手 を施願 の仕 種 に なす は宝 生 の で あ る。 (無)最 勝 三 摩 地 の 印 は無:量光 の で あ る。 (不)そ の(印)よ り右 手 を施 無 畏 の仕 種 に置 くは不 空 成 就 の で あ る。 (薩)左 の 金 剛 拳 に鈴 を持 ち、(15a)慢 の仕 種 で振 りか ざ し、右 手 で金 剛 杵 を抽郷 し、 自身 の心 臓 に誇 らしげ に持 す る は金 剛 薩 垣 の で あ る。 (王)金 剛 鉤 に よ っ て一 切 如来 を鉤 召 す る仕 種 に住 す る は金 剛 王 の で あ る。 (愛)金 剛箭 に よっ て一 切如 来 を射 る仕 種 にな す は金 剛 愛 の で あ る。 (喜)二 手 金 剛 拳 に な し、善 哉 とい う仕 種 に て 一 切 如 来 を喜 ば せ るは 金 剛 喜 の で あ る。 (宝)右 の金 剛 拳 で宝 珠 を 自身 の潅 頂 処 に置 い て、 左 に鈴 を持 って ふ りか ざ す は 金 剛 蔵 の で あ る。 (光)金 剛 目輪 の光 に よ っ て一 切 如 来 を照 らす は金 剛 目の で あ る。 (憧)如 意宝 瞳 に よ っ て布施 波 羅 蜜 を行 ぜ しむ る は金 剛 瞳 の で あ る。 (笑)金 剛 笑 に よ っ て喜 ば し め るは 金 剛 笑 の で あ る。 (法)左 に慢 を持 して蓮 華 の茎 を持 ち、 右 手 で 自身 の心 臓 に お い て蓮 華 を 開
-122-くは 金剛 眼 の で あ る。 (利)左 の 金 剛拳 で 御胸 に般 若 波羅 蜜 多 経 を持 ち、 右 手 で金 剛 剣 を持 ち、 打 つ が仕 種 に置 くは 金 剛 慧 の で あ る。 (因)右 手 の 中指 に 八輻 輪 を転 ず る仕 種 に置 くは金 剛 因 の で あ る。 (語)金 剛舌 に よっ て語 る仕 種 に なす は金 剛 語 の で あ る。 (業)左 を ふ りか ざ して、 毘 首金 剛 杵 の っ い た鈴 を持 ち、 右 手 で(15b)毘 首 金 剛 杵 を御 胸 に誇 ら七 げ に持 つ は金 剛 毘 首 の で あ る。 (護)金 剛 甲 冑 を持 つ は金 剛 護 の で あ る。 (牙)金 剛 牙 の武 器 を 自身 の 口 に置 き、 威 嚇 の仕 種 をな す は 金 剛 薬 叉 の で あ る。 (拳)三 昧 耶 の金 剛 拳 に よっ て掴 ん だ五 鈷 金 剛 杵 を三 昧 耶 の金 剛拳 で圧 す る は金 剛 拳 の で あ る。 (嬉)金 剛 慢 の仕 種 で二 手 に双 金 剛 を持 つ は 金 剛嬉 女 の で あ る。 (髪)宝 珠 の髭 を持 つ は量 女 の で あ る。 (歌)琵 琶 を弾 くが如 くに なす は歌 女 の で あ る。 (舞)二 手 に三 鈷 金 剛 杵 を掴 み、 舞 をな す は舞 女 の で あ る。 (香)手 に香 炉 を持 つ は焼 香 女 ので あ る。 (花)手 に花 籠 を持 つ は花 女 の で あ る。 (燈)手 に燭 台 を持 つ は 燈 女 の で あ る。 (塗)手 に塗香 器 を持 つ は塗香 女 の で あ る。 (四摂)手 に鉤 と索 と鎖 と鈴 を持 っ は金 剛 鉤達 の で あ る。 55金 剛 杵 の擁 立 か くの 如 く四 印 に て刻 印 す るな らば、 一 切 の悉 地 が 授 か る で あ ろ う。 (こ の際)一 切 の大 印 の玲 伽 に お い て も 自身 の 心臓 に薩唾 金 剛(金 剛杵) を観 想 す べ し。 (1)大 我(諸 尊)が あ る だ け、 それ だ け の印 を結 び、 唱 え た心 真 言 の 意 味、 そ こ にお い て 自我 を観 想 す べ し。 一 切 の 三 昧 耶 印 の 中 の如 来 の 印 に っ い て は(114)「 汝 は三 昧 耶 な り」 と 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 文 化 唱 え るべ し。如 来 部 の 印 を結 ぶ 時 は、(115)「 汝 は妙 楽 な り」 と唱 うべ し。 それ に っつ い て、 百 字(真 言)(H.§307))を 三 度 唱 え、 堅 固 とな っ て、(16a)一 切 の潅 頂 と金 剛 誓 誠 を 同様 に受 け て、 (2)金 剛 薩 垣 を摂 受 す る が故 に、 無 上 な る金 剛 宝 あ り。金 剛 法 の歌 詠 を も っ て、 金 剛 業 を作 した ま え。(H.§314) (24) とい う金 剛 歌 を得 て、 各 々金 剛 舞 を な して、 金 剛 嬉 女 等 の入 供 養 の掲 磨 印 を も っ て供 養 し、 左 手 で金 剛 鈴 を掴 み、 右 で金 剛 杵 を抽 螂 し、金 剛 の 語 をか くの如 く唱 うべ し。 (116)タ ッキ フ ー ン ジ ャハ さ らに、 そ の金 剛 杵 を 自身 の 心 臓 に誇 ら しげ に置 い て、 (117)タ ッ キ ジ ャ ホー と唱 うべ し。 か くの如 くな す な らば、 身 と語 と心 とは金 剛 薩 唾 の 如 くな るで あ ろ う。 56金 剛 杵 の 意 味 フー ン字 よ り(化 作 した)そ の金 剛 杵 を金 剛 薩 埋 と想 い、 如 実 に持 つ べ し。 (1)金 剛 薩 唾 は 無始 無 終 の 薩 垣 で あ り、大 満 足 で あ り、普 賢 で あ り、 一 切 主 で あ り、金 剛 傲 慢 で あ り、主 の 中 の 主 な り。 世 尊 の最 勝 で あ り第 一 の息 子 で あ る とい うの が(そ の)真 実 の(意 味 で) あ る。 57金 剛 鈴 の 意 味 法 の鈴 を振 るべ し。す な わ ち、 世 尊 ・如 来 ・有(三 界)の 主 ・一 切 勝 の 最 勝 ・自在 最 勝 な る もの が、 法 の最 勝 の語 を施 与 す る こ とは、 (1)有 は 自性 か ら して清 浄 な り。 自性 か ら して有 を離 れ、 自性 清 浄 な る最勝 の 薩 垣 は 有 の最 勝 を成 就 す。 (118)法 よ ア とい うの は鈴 の種 字 で あ る。 58三 昧耶 の意 味
-120-偉 大 な三 昧 耶 印 を加 持 すべ し。 す な わ ち (1)(三)有 の楽 は小 さ く、大 な る苦 を浄 め ん が た め に、 妙 楽 に し て (25) 最 勝 の方 便 で あ る こ の三 昧 耶 を常 に生 ず べ し。 (2)欲 望 を享 受 せ ん とす る者 は、 一 切 を意 の ま ま に掴 む が如 く、本 尊 (26) の玲 伽 に よ っ て、(16b)自 と他 と を供 養 す べ し。 一 切如 来 の 無上 に し て最勝 な る秘 密 大 乗 の三 昧 耶 の 諭伽 は世 尊 の三 昧 耶 な り。そ れ は何 故 か とな らば、 か くの如 く(言 わ れ る)。 (3)一 切 如 来 に よ って(も)違 越 され ない が故 に、 印 の 三 昧 耶 と言 わ れ、 意 の色 身(意 成 身)は 堅 固 な る が故 な り。 59金 剛薩 垣 の讃 次 に、 鈴 を振 って、 三 三 昧耶 の歌 の供 養 をな す べ し。 以 下 で あ る。 (1)虚 空 よ り生 起 せ る相 を持 っ故 に、 無 始 無終 に して最 勝 な る薩 唾 よ、 大 金 剛 を 自性 とせ る金 剛 薩 垣 よ、 今、(吾 れ を)成 就 せ しめ た ま え。 (2)一 切 の最 勝 に して大 成 就 者、 大 自在 に して最 高 尊、 一 切 の持 金 剛 の主、 不 変 最 勝 な る者 よ、吾 れ を成 就 せ しめ た ま え。 (3)汝 は過 失 の矢 な く、常 恒 な り、一切 の貧 欲 に随 染 せ る大 食欲 者 よ、 大 喜 よ、 世 尊 よ、 吾 れ を成就 せ しめ た ま え。 (4)極 清 浄 に して、 一 切 の最勝、 当初 よ り解 脱 し、如 来、 普 賢、 一 切 我、 菩 薩 よ、 吾 れ を成 就 せ し めた ま え。 (5)大 成 就 者、 一 切 の最 勝、 大 自在、 最 勝 印 を具 足 せ る大 金 剛 を称 讃 す。 金 剛 傲 慢(相)を とる者 よ、 吾 れ を成 就 せ しめ た ま え。 60ア 字 本 不 生 の 真 言 か くの如 く自 己 を成 就 せ しめ、 大 印 を(結 び)、 虚 空 処 に住 し、 (119)オ ー ン ァ字 は一 切 法 の 門 な り(一 切 法 は)本 初 不 生 な る が故 に と唱 えて、 そ の 意義 を信解 し、一 切 世 間界 は空 性 な り と観 想 す べ し。 61器 界 観 次 に、 フー ン字 よ り生 じた 金 剛風 輪 よ り始 め て、 大 海 の 中央 を想 い、 (17a)そ の真 ん 中 に、(120)「 フー ン ス ン フー ン」 と唱 え てヤ 四種 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品
密 教 -文 化 の 宝 か ら成 り、四 角 で、 あ らゆ る宝 石 で飾 られ た 山 の 王 須 弥 山 を生 じ、 (121)オ ー ン(吾 れ に)金 剛 堅 固 が あれ か し(=(8)) 云 々等 と、 金 剛縛 を も って 以前 の如 く加 持 す べ し。 そ の(須 弥 山 の)上 に、 金 剛 因 の掲 磨 印 を もつ て、 金 剛 杵 と摩 尼 宝 よ り成 る楼 閣 を化 作 し、 毘 盧 遮 那 の位 置 に(122)「ア ス ィ ン ア」 と唱 え て獅 子 座 を、 不 動 の位 置 に、(123)「 フ門 ン ガ ン フー ン」 と唱 え て象 座 を、 宝 生 の位 置 に、, (27) (124)「 トラ ヴ ァ トヲ」 と唱 え て馬座 を、 無 量 光 の位 置 に、(125)「 ブ リー ヒ マ ン フ リー ヒ」 と唱 え て孔 雀 座 を、一不 空成 就 の位 置 に、(126) 「ア ガ ン ア 」 と唱 え て ガル ダ座 を想 うべ し。 62道 場 観 獅 子 座 等 にお い て、 ア字 よ り月 翰 を生 じて、 真 ん 中 に薩 唾 蜘 坐 に よ っ て坐 して、(四)禅 と(四)無 色 定 の達成 を現 証 した意 成 身 を も って、 ア カ ニシ ュ タ(天)に お い て三 無 数 劫 の(難 行)よ り出 で た る一 切 義 成 就 (28) 大 菩 薩 の色 身 に 自 己 を生 ず と想 い、 一 切 如 来 に よ っ て、 こ の一 切 の仏 国 土 は胡 麻 策 の如 くに満 た され た と想 うべ し。次 に、 一切 如 来 の色 身 と法 性 を憶 念 す べ し。次 い で、 大 乗 に よ る出 離 の法 を(憶 念 し)、 そ の後 で、 大 乗 の(17b)菩 薩 の 僧伽 を憶 念 す べ し。 63不 可 動三 摩 地 次 に、一 切 世 間 界 に集 会 せ る一 切 有情 と一切 の生 類 に余 す こ とな く慈 を生 ず べ し。 ま た、 悪 趣 等 の苦 に逼 られ た一 切 に悲 を、 一 切 の 賢 聖 に喜 び を(生 じ)、一 切 の世 間 法 を棄 捨 す べ し。 また、 一 切 法 にお け る無 自 性 の 自性 と、如 幻 性 と、如 電 光 性 とを信 解 して、 発 菩 提 心 と、 般 若 波 羅 蜜 と、 善 巧 方 便 の行 と、五 部 と、金 剛 鈴 と、印 と、 阿 闊梨 性 と、 慈 と、 無 畏 と、財 と法 の施 と、一 切 の マ ン トラの 理 趣 の説 示 と、 三乗 に よ る出 離 と、真 言 門 の行 等 を現 証 し、 一切 有情 に対 す る利 益 と安 楽 を成 就 せ し め ん が た め に仏 陀 と成 らル と想 って、 不 可 動 三 摩 地 に入 るべ し。 64五 相 成 身 観(H.§17-2∼28) 次 に、 以 下 の次 第 に よ って現 等 覚 を証 す べ し。 そ れ はす な わ ち次 の通
-118-りで あ る。 金 剛 結 蜘 坐 をな し、 そ の上 に金 剛 縛 を押 しあ て て置 き、 自身 の心臓 に 薩 垣 金 剛(五 鈷金剛杵)を 想 い、 次 の 如 く 観 想 す べ し。 す な わ ち、 そ の 時、 一 切 如 来 に よ っ て、 こ の仏 国 土 は あた か も胡 麻 策 の如 くに充 満 させ られ た。 そ の時、 一 切 如 来 は集 ま っ て、(18a)一 切 義 成 就 菩 薩 摩 詞 薩 と い う菩 提 場 に坐 せ る彼 に近 づ い て、 こ の菩 薩 に対 し、 こ と さ らに報 身 を 示 して次 の よ うに言 った。 「善 男 子 よ、 汝 は 何 故 一 切 如来 の真 実 を悟 らず に、 一 切 の難 行 を堪 忍 し、 この よ うな 無 上 正 等 菩 提 を現 証 で き る と思 うの か」 第 一 通 達 菩 提 心 そ の 時、 一切 義 成 就 菩 薩摩 詞薩 は一 切 如 来 に警 告 され て不 可動 三摩 地 よ り立 ち上 が り、一 切 如来 に頂礼 し、次 の よ うに 申 し上 げ た。 「諸 々 の尊 と き如 来 方 よ、真 実 とは い か な る も ので す か、 い か に して成 就 す べ き で す か、 お教 え下 さい」. この よ うに 申 し上 げ る と、彼 ら一 切 如 来 は異 口同 音 に次 の よ う に言 っ た。 「善 男子 よ、 自身 の 心 を観 察 し調 え て、 この 自性 成 就 せ る マ ン トラ を欲 しい ま ま に唱 えて成 就 せ よ」 (127)オ ー ン 吾 れ は 心 を洞 察 す そ こで、 か の菩 薩 は 一 切 如来 に次 の よ うに 申 し上 げ た。 「諸 々 の尊 と き如 来 方 よ、 吾 が心 臓 に 月輪 の よ うに 見 え る もの が(吾 れ に よ って)知 られ ます 」 如 来 達 が 言 った。 「善 男子 よ、 そ の心 は 自性清 浄 で あ るが故 に、 それ は清 め られ れ ば そ れ だ け(清)ま るの で あ っ て、 あた か も(18b)白 い布 を顔 料 で(染)め る よ うな も の で あ る」 第二 修 菩 提 心 そ こ で、 一 切 如 来 は 自性 清 浄 な る心 の認識 を増大 せ しめ ん がた め に、 (128)オ ー ン 吾 れ は菩 提 心 を発 す 金 剛 界 大 曼 茶 羅 儀 軌 一 切 金 剛 出 現 第 一 喩 伽 三 摩 地 品