遊戯治療過程に関する一考察 : 同じ遊びを繰り返したK児の症例を通して
144
0
0
全文
(2) 目. 次. はじめに. 第2章. (page). 1.. クライエントの治療過程. 45. 1. 2.. 母親面接の過程. 問題と目的. 来談者中心療法 来談者中心療法の人間観 来談者中心療法の特質 来談者中心療法の過程 遊戯療法 遊戯療法の概念と意義 児童中心遊戯療法 遊びの治療的価値と治療者の役割 遊戯療法の治療機制 遊戯療法の治療過程 成長過程としての治療過程 遊戯治療過程の仮説 登校拒否 登校拒否症の定義 登校拒否症の症状形成論 登校拒否症の分類 登校拒否症の治療の目標 本研究の目的と分析仮説. 症例の提示. 症例の概要 治療構造等. 9=ノ つフ4. 第1節 第2節. 45. 第3章. 125. 治療過程の分析と考察. 第1節. 遊戯治療過程. 1.. チェックリストによる治療過程の概観. 2.. 治療過程の区分と考察. 第2節. 治療過程にみられる象徴的表現. 1.. セラピストとの関係の深化に関わる象徴的表現. 2.. 「卓球」にみる象徴的表現. 3.. 箱庭作品にみる象徴的表現. 第3節 第4節. 症状の変化と発達的な外的行動. 1.. 母親の症状の理解. 2.. 母親の養育態度の洞察と改善. 3,. 心理検査にみる養育態度の変化. 第5節. セラピストの内的体験過程. 1.. 内的体験過程の概要. 2.. 内的体験過程の=考察. 親面接. 11 11 61 62 12 32 42 42 72 62 82 9 5 5 5 81 81 9 0 1 3 3 3 1. 節L公3節し2・3・4節1・λ節しλ隻4節 1 2 3 4 第 第 第 第 第 5. 治療経過. 3 4 7 911 628 036 3 9 1 14 11 28 22 37 3. 第1章. 第3節. 要 約. 265. 生徒指導実践における本研究の意義. 271. おわりに. 273. 引用文献 ・参考文献. 275.
(3) は じ め に. 来の生徒指導の姿に立ち戻ることの必要性を感じながらも、多発す る問題行動の処理に追われ、管理主義的生徒指導を克服する道を、. 学級は、実にさまざまな子ども達によって構成されている.教室. なお見出せないでいる。これは、先に述べたように、「子どもを『. をまさに「うち」と構想し、担任や友達に積極的に働きかける子が. 行き違い』の悪循環の中に置き、その悪感情の渦の中に閉じ込めて、. いる一方では、他となじむことができず、心を開こうとしない子も. 子どもの人間的存在そのものを脅かす」(高木,1984)ことになり、. いる。自己中心的な言動の目立つ子がいると思えば、周囲に優しい. 「子どもの自己実現の過程を促進する」という、生徒指導の究極の. 心遺いのできる子がいるといった具合である。. ねらいにも逆行するものである。. 我々教師は子ども達との関わり合いの中で、時々、子どもの思い. このような状況を打開するために、新しい視点を臨床心理学に求. が理解できなくて戸惑うことがある。それは特に、自閉的傾向を持. めたいと思う。臨床心理学は、一丸(1986)が述べるように、「人を. つ子どもや、情緒的に不安定な状態を呈する子どもとの関わりの中. まとまりのある全体として、まるごと理解」し、「発達という時間. で強く感じることである。大抵の場合、子どもの思いが理解されな. 軸から種々の問題行動や適応障害を理解しようとする」立場をその. いまま放置されるか、または、教師の一方的な「思い込み」で事が. 基本的観点に持ち、「人は本来、成長する力を備えているものであ. 処理されてしまうものである。その際、子どもは自分の気持ちが理. り、適切な環境が与えられれば成長するものであるという、臨床実. 解されないことに不満を感じ、教師に対する否定的感情を醸成させ. 践かち得られた信念」のもとに、困っている人との間に暖かい信頼. ることとなる。. 関係を築き、成長する力が再び動き出すように援助することを目指. 彼らにとって、このような感情の「行き違い」は、学校に限った. している。このような観点は生徒指導本来のものであり、子どもと. ことではない。彼らの感情は、周囲の大人達には受け入れ難いもの. 関わる一人ひとりの教師が身につけなければならないものである。. である場合が多いため、家庭においても社会においても、「行き違. 自分の気持ちや考えを、相手に充分伝える言語を持たない子ども. い」を経験し、それはいわば「慢性」の状況を呈することになる。. 達は、 「身体言語」と「心像言語」を媒介として語りかけてくる。. そしてそれは、彼らを非社会的行動、あるいは反社会的行動へと駆. この「暗号」ともいうべき「言語」を、いかに的確に把握し、それ. り立てる危険性をはらんでいる。. に対して、どのように援助的に関われるかは重要な課題である。. 近年、社会問題にまで発展した、児童・生徒の問題行動に対処する. 本研究を通じて臨床心理学を学び、子どもの「成長過程」に立会. ため、学校教育現場では、学習指導とともに、生徒指導の持つ教育. い、一人の子どもを深く理解するセラピストの「あり方」を探るこ. 機能の見直し・充実が緊急の課題となり、その知識・指導力がすべて. とは、生徒指導の基本に通じるものであり、同時に、自らの生徒観・. の教師に必要とされるようになってきた。しかし、我々教師は、本・. 教育観を問い直すことにもつながると思うのである。. P一一 一一. 一2一.
(4) 第■章. 問題と目白勺. なわち、人間の成長と変容に対する深い信頼が、その基盤になって いることはいうまでもない。. 第■節 来談者中心療法 1.来談者申心療法の人間観. 2.来談者中心療法の特質. Rogers, C. R(1946)は、来談者中心療法の特質として、「予測可能な. 過程」、 「クライエントの能力の発見」、 「セラピィ関係のクライ Rogers,C. R.(1957)は、人間の本質について、「人間は、基本的. エント中心的性質」の三つをあげている。. には、人類の信頼に足る一員なのであり、その最も深いところにお. 来談者中心療法が、予測可能な過程である理由としてRogersは、. ける特質は、発達、分化、協力関係というものに向かう傾向をもっ. 「クライエントの内部には、その力とその一様性がこれまでまった. ており、その衝動は、自然に複雑にして変化のある自己規制(self−. く認められず、あるいは非常に軽視されていたような建設的な力(. regulation)のなかに調和をとげて行くものであり、そしてその全. constructive forces)が内在していることを発見(discovery)した. 体的な特質は、自己およびその種族を保持し発展させるというよう. ということのなかにある」と述べる。すなわち、人間には「成長へt”. な傾向をもつものであり、そしてまた自己およびその種族の進化に. の力(gr。wth force)」、 「自己実現(self−actualization)に向かう. 向かってて進んで行くものなのである。(中略) 十分に人聞になる. 力」が内在しており、 「セラピストとクライエントの問に適切な心. (fully to be a human‘being)ということは、この地球上で最も敏. 理的雰囲気が存在」すれば、どのような人間にも内在するこれらの. 感な、最も責任のある、最も創造的な、最も適応的な生物になって. 建設的な力が発動し、 「情動的な解放」をもたらし、さら仁、その. 行く複雑な過程に入り込むことである、と信じたい」と述べ、肯定. 人間を動かして、 「知覚の再体制化」、 「自己構造」の修正、統合. 的な人間観を表明している。. にいたらせる。このようなプロセスは、すべてのクライエントに観. 1940年頃から、そのRogersを中心として発展してきた来談者中. 察されるものであり、したがって、以下に挙げるような条件が整え. 心療法も、その中心仮説一「援助する人が真実さ、ケアリング(ca−. ば、おのずと予測可能なプロセスをたどることになるのである。. ring)、および、深く感受性豊かな評価しない理解を体験し、かつ伝. 予測可能な来談者中心的アプローチは、次の6つの要素があれば. え合いつつあるような関係のなかで、どのような個人の成長する潜. 始動するという。. 在力も解放される傾向があるということである。」(Meador, B. D.&. 1.カウンセラーが、人間は基本的には自らの力で責任をとってい. Rogers,C.R.,1973;田畑,1977)が示すように、肯定的な人間観、す. けるものであるという原理にもとづいて行動し、すすんでその. 一3一. 一4一.
(5) 責任をその人圃に保持させようとするとき。. ようになるであろう。. 2,カウンセラーが、クライエントは成熟し、社会的に適応し、独. 4.彼は、自己自.身についてのより明確な知覚に照らしあわせて、. 立し、生産的になろうとする強い衝動をもっているものである. 自分からすすんでまた自己の責任において、彼の適応していな. という原理にもとづいて行動し、セラピィ的な変化をもたらす. かった目標よりももっと満足すべき新しい目標を選択するよう. ために彼自身の力(powers)に依存しないで、この力(force). になるであろう。. に依存するとき。. 5.彼は、このような目標に達するために、いままでとはちがつた. 3.カウンセラーが、人間が自分のもっているいかなる態度も感情. 行動の様式を選択しようとする。そしてこの新しい行動は、よ. をも(中略)、それを自由に表現することができるような温かい、. り大きな心理的成長と成熟の方向に向かうようになるであろう。. 許容的(permissive)な雰囲気を作りあげるとき。. 4.加えられる制限は、態度に関する制限ではなく、行動について. さて、来談者中心療法の特質の3っ目は、クライエント中心的性. の簡単な制限だけである。. 質である。他のセラピィにおいては、セラピストの技術がクライエ. 5.カウンセラーが、面接において、表現された情動的な態度を深. ントに働きかけるのであるが、来談者中心的アプローチにおいては、. く理解しているということ、およびそれを受容しているという. セラピストは「クライエントが活動しやすいような心理的雰囲気」. ことを伝えるような方向や技術のみを用いるとき。. をつくりあげることに努める。即ち、セラピストは、 「クライエン. 6.カウンセラーが、上記の諸原理に反するような表現、あるいは. トが自己を知覚するそのままの姿で理解しようとすることに完全に. 行為を差し控えたとき。. その精神を集中する」のである。セラピストがこのような態度を保 持し続けるとき、クライエントは現在の自分について、 「本当にコ. そして、そのアプローチは、以下のような結果をもたらす。. ミュニケートしていると感じ」、また、 「自分のコミュニケーショ. 1.クライエントは深い、彼を動機づけている態度を表明するであ. ンがいかなる評価もされずにセラピストに受容されていると感じる」. ろう。. ので、クライエントはより深いレベルでのコミュニケートが可能と. 2.クライエントは、前よりもずっと完全に彼自身の態度や反応を. なるのである。このような関係がより効果を生むのであり、来談者. 探求しようとし、彼の態度の、以前には否定されていた側面に. 中心的アプローチの特徴である。セラピストがこのような態度をと. 気づくようになるであろう。. り続けようとすれば、必然的にクライエント中心的な性格をもつセ. 3.彼は、彼を動機づけている態度について、より明瞭な意識的な. ラピィとなるのである。. 実感をもつようになり、そしてより完全に自己自身を受容する 一5一. 一6一.
(6) 3.来談者中心療法の過程. に関係したものが次第に多くなる。 3.クライエントは、次第に自分の環境、他人、自’ ネ、自分の経験、. Rogers,C. R,(1957)は、「治療における人格変容の必要にして十分. およびこれらのものの相互関係などを含めて、自分の感情や知. な条件」という論文の中で、建設的な人格変容が起こるためには、. 覚の対象を、だんだんと分化させ、弁別できるようになていく。. 次のような条件の存在と、それがかなりの期間継続していることの. クライエントの知覚はほとんど内在的でなくなり、いっそう外. 必要性を指摘する。. 在的になっていく。. 1.二人の人間が心理的な接触(psychological contact)をもって. 4.クライエントの表す感情は、自分の経験のなかのあるものと、. いること。. 自己概念との間の不一致に関係したものがだんだんと多くなつ. 2.クライエントは、不一致(incongruence)の状態にあり、傷つき. ていく。. やすい、あるいは不安の状態にあること。 3.セラピストは、この関係のなかで、一致しており(congruent)、 統合され(integrated)ていること。. 5.クライエントは、そのような不一致からきた脅威を、意識の上 で経験するようになる。 6.クライエントは、過去において意識することを拒否していたり、. 4.セラピストは、クライエントに対して、無条件の肯定的な配慮. 歪曲して意識していた感情を、意識の上で十分に経験するよう. (unconditional positive regard>を経験していること。. になる。. 5.セラピストは、クライエントの内部的照合枠(internal frame. 7.クライエントの自己概念は、以前には意識することを拒否して. 。f reference)に感情移入的な理解(empathic understanding). きたり、歪めて意識していた経験を同化し、取り入れるように. を経験しており、そしてこの経騨をクライエントに伝達するよ. 再体制化されていく。. 8.このような自己の構造の再体制化が続くと、クライエントの自. うに努めていること。. 6.セラピストの感情移入的理解と無条件の肯定的配慮をクライエ ントに伝達するということが、最低限に達成されること。. 己概念は、ますます自分の経験と一致するようになっていく。 9.クライエントは、脅威を感ずることなしに、セラピストの示す. さらに、Rogers(1959)は、上述の諸条件が継続的に満たされると. 無条件の肯定的な配慮をますます経験することができるように. き、以下のようなセラピィの過程が展開するという。. なっていく。. 1.クライエントは、言葉および行動によって、次第に自由に自分. 10.クライエントは、ますます無条件の肯定的な自己配慮を感ずる. の感情を表現するようになる。. ようになっていく。. 2.クライエントが表す感情は、非自己(non−self)より、自己(self). 11.クライエントは、ますます自分自身を、評価の主体として経験. 一7一. 一8一.
(7) するようになっていく。. ている。以下、遊戯療法の源流を探ってみる。. 12.クライエントは、経験に対して、自分の価値の条件にもとつい. 第一の源流は、 「児童分析」にもとめることができる。Klein,M.. て反応することが少なくなり、ますます有機体的な価値づけの. とFreud, A.は、精神分析療法を子どもに適用しようとする試みのな. 過程にもとづいて反施するようになる。. かから、 「遊戯療法」を生みだした。それらは、「治療の中心とし. て遊戯を利用するのではなく、むしろ分析という本来の仕事への準 備としての感が強いもの」(古瀬,1966)ではあったが、遊戯を、「言. 第2節. 遊戯療法. 語能力の未分化な子どもに用いたという点で、今日の遊戯療法の先 駆とみなすことができる」(深谷,1974)。. 1.遊戯療法の概念と意義. もう一一つの大きな源流は、 「来談者中心療法」の提唱者、Rogers. の流れをくむもので、Axline,V.M.によって発展させられたもので. 子どもの性格または行動的問題を取り扱う方法として、「いわゆ. ある。この他にも、Taft,」.、 Alle n, F.H.などの「関係療法」、さ. る『環境調整』と、子どもに対する『直接的アプローチ』がある」. らに最近では、「行動療法」などが第三の源流として台頭しつつあ. (深谷,1974)が、後者の代表的なものに「遊戯療法」(play therapy. る(深谷,1974)。それぞれの立場によって、遊戯療法の効果について. またはplay technique)がある。. の議論は分かれるところである。深谷(1974)は、以下の三つを挙げ. 「遊戯療法」とは、精神療法におけるある特定の一技法を指すの. ている。 1. ではない。それは、 「精神療法が児童に行われたさいに、たまたま. ① セラピストと子どもの人間関係を重視する立場. とる型にすぎない」(小倉,1966)のであり、 「子どもの心理療法と. ② 子どもが引き起こしている情緒的緊張を「遊び」によって解. いう程度の意味しか持っていない」(深谷,1974)のである。現在、. 消させることを重視する立場。. 「おとなの臨床場面で用いられる種々の心理療法は、すべて『言語』. ③ プレイ・ルームという保護された環境の中で、個々の学習を. を媒介として治療関係を成立させることを基本としている」(江口. 成立させることを重視する立場. 他,1980)。しかし、 「言語発達や言語表現が未分化」(田畑,1975). ①は、Allenに代表される「関係療法」の立場である。田中(197. な子どもの場合、「言語」を媒介とした治療関係の確立は不可能で. 6>によれば、Allenの治療原理は、 「子どもとは育成されるもので. ある。そこで、 「遊び」を用いた心理治療が考え出され、ここから. はなくて、自分自身の力で成長する力を備えた人格である。心理療. 遊戯療法という名称が生まれたのである。. 法というものも一つの成長過程にほかならない。人間的関係を介し. 遊戯療法理論は、Freud, S.の精神分析理論に端を発するといわれ. ての成長こそ治療の真髄である。」とするところに見いだすことが. 一9一一. 一10一一.
(8) できるという。したがって、「『受容』による子どもとの関係が子. て、この遊戯療法の根本的原理が、 「子どもの健康な適応と、成長. どもをサポートし、子ども自身の自己知覚を変え、他者理解を健康. への潜在力(p。tentiality)への呼びかけと信頼」であり、これが、. なものに変えると考え、これを、子どもが『なおる』ことの中心的. Rogersに依ることはいうまでもない。. メカニズムとする立場」(深谷,1974)に立つことになる。. Axline,V. M.(1947)は、「各個人の内部には自己実現を完全になし. ②はErikson, E.H.に代表されるものである。彼は、「適当に選. とげようとして、たえまない努力を続けている、ある強い力」があ. 択され、適当に適応された遊戯、あるいは児童の自発的な遊戯その. り、 「あらゆる場合の個人の行動は一つの動因、つまり完全に自己. ものには、自癒的効用があると考えた」(小倉,1966)。いわば「カタ. を実現しようとする動因によって引き起こされている」と述べる。. ルシス効果を最大のメカニズム」(深谷,1974)とする立場である。. そして、適応行動とは、自己概念を「日陰から明るみに出して、自. ③は、行動療法に代表される。. 己実現を完遂するために、評価・選択・応用などをすることによっ て自分の行動を意識的に、目的々に向ける場合」であり、逆に、不. これらのメカニズムは、いずれの遊戯療法にも多少なりとも入り. 適応行動とは、 「公然と自分の行為の方向を定めることができず、. 込んでいるものであり、セラピストの観点によって、その比重が変. 直接というより、代理的に自己実現を遂げて満足し、しかも、この. わるものなのであろう。. 動因をほとんどまたは全然、より建設的でより生産的な方向に向け. いずれにしても、遊戯療法の意義は、適応上の障害をもつ子ども. られない場合」をいう。しかし、自己実現の動因が、外部の圧力で. に対して、遊びを通じて、その人格、行動を再適応に導くところに. 阻害されたときに起こる不適応行動も、その動因が働きを止めたこ. 認められる。換言すれば、「遊戯療法は、子どもの遊びのなかに、. とを意昧するのでなく、 「欲求不満がつくり出すところの緊張を起. あるいは遊びを媒介にして、子どもが治療者との対人関係の支えに. こさせる力のために、ますます惰力を増し」、働きを継続する。そ. よって、自由な感情表現をおこなったり、体験をすることを通して、. れは、 「現実の世界に自分の自己概念を確立する」ための戦いとし. 自己を再統合し、人格・行動の成長や発展を促されていく活動」(. て現れたり、あるいは「自己概念をあまり苦労せずに設けられる自. 田畑,1975)であるといえる。. 分の内的世界にとどめて代理的に動因を満たす」姿、にみることが できる、と論じる。. 2.児童中心遊戯療法. Axline,V.M.(1947>は、遊戯療法について、 「あそびが子どもの. 自己表現の自然な媒体である、という事実」にもとづき、 「自分の これはRogersの来談者中心療法が、 Axline,V.M.によって子ども. 気持ちや問題を、子どもが『あそぶことにより表出する』ためにあ. の遊戯療法に取り入れられ、発展させられたものである。したがっ. たえちれている一つの機会」であり、さらに、 「もっともふさわし. ・一. P1・一. 一12一.
(9) い条件のもとで子どもに成長を体験させるために与えられる機会」. としない。子どもが先導する。治療者はそれに従う。. であるとする。不適応に陥り、自己実現が十分にできない子どもに. (7)治療者は治療をはやめようとしない。治療は緩慢な過程であり、. 対して、遊びを通して子どもの、蓄積された緊張感、欲求不満、不. 治療者はそれをそのようなものとして認めている。. 安定感、攻撃性、恐怖、当惑、混乱などを外部に表す機会を与える。. (8)治療者は、治療が現実の世界に根をおろし、子どもにその関係. 子どもは、表出した感情に直面し、それらをコントロールすること. における自分の責任を気づかせるのに必要なだけの制限を設け. を学ぶのである。そしてさらに、「自分のうちにある、自らの権利. る。. で本当の自分になろうとする力を実現し、自分で考え、自分で決定 を下し、もっと心理的な成長を遂げ、そうすることによって個性を. 児童中心遊戯療法は、 「子どもはすべて発達過程にあり、どの子ど. 実現しはじめる」ことになる。つまり、 「自己実現のために必要な. もも内的に発達可能性(capacity for development)を秘めている。」. 成長の場であり機会」(古瀬,1966)が治療なのであり、それを最も. (佐藤,1978)という児童観に立ち、 「より十分に子どもが発達する. ふさわしい条件で提供するのが、児童中心遊戯療法である。. ように、その変容可能性のある内部状況に働きかけて、これをとと. Axlineは、遊戯療法の8つの基本原理を示している。. のえ、発達可能性の顕現の基礎をつくる」(佐藤,1978)機会である. (1)治療者はできるだけ早くよいうポートができるような、子ども. といえる。. とのあたたかい親密な関係を発展させなければならない。 (2)治療者は子どもをそのまま正確に受けいれる。. 3.遊びの治療的価値と治療者の役割. (3)治療者は、子どもに自分の気持ちを完全に表現することが自由. だと感じられるように、その関係におおらかな気持ちをつくり. 子どもの遊びは生活そのものであり、幼児生活のすべてであると. 出す。. いわれる。子どもにとってそれは、重要であり、なくてはならない. (4)治療者は子どもの表現している気持ちを油断なく認知し、子ど. 活動である。. もが自分の行動の洞察を得るようなやり方でその気持ちを反射. 遊びの意味について、高野(1961)は、次の5つをあげている。. する。. ① 遊びは楽しみであり、満足感を伴う活動である。喜び、おも. (5)治療者は、子どもにそのようにする機会があたえられれば、自. しろさ、快感なしに、遊びはあり得ない。. 分で自分の問題を解決しうるその能力に深い尊敬の念をもって. ② 遊びは自発的であり、心理的に自由である。何ものも強制し. いる。選択したり、変化させたりする責任は子どもにある。. て、遊ばせることはできない。. (6)治療者はいかなる方法でも、子どもの行いや会話を指導しよう. ③ 遊びはそれ自身が目的であり、他の動機づけを必要としない。. 一13一. 一14d一.
(10) ④ 遊びは非現実的な活動である。経過と結果のいかんは個人の. 法の立場で治療を進めようとするときには、なおさらである。河合. 社会的存在に本質的な影響力をもってはいない。. (1978)はこの点にふれて、Axlineの述べた原則は、治療者の基本と. ⑤ 特に幼児にあっては、遊びは子どもの心身の発達水準と即応. なる態度であるとしながち、これにあまり縛ちれると、治療者が、. した、子どもの生活適応の方法ですらある、. 受容的というよりは単に受動的に行動することになり、遊戯治療に. さて、遊びは、このような特性をもつと考えちれるが、遊戯治療. 対する安易さがうまれる、と指摘する。治療者の受動的態度につい. 場面ではどのような機能が重視されているのであろうか。以下、江. ては、Axline,V.M.(1947)もこれを戒め、「治療者の役割は非指示的. 口他(1980)の指摘にしたがって、遊びの治療的価値を列挙してみる。. であるとはいえ、決して受身だというのではありません。かえって. (1)緊張・不安の解消. 注意深さとか、敏感さとか、子どもの行っていること、話している. (2)人間関係の手段. ことなどに、いつも正しい認識を持っていること、などが要求され. (3)自己表現の手段. ます。」と述べている。河合(1968>はさらに、「受容と対立する解. (4)成長・発達の促進. 釈としてではなく、その意味をくみとることによってこそ、人間は. 遊戯療珠は、前述したように}子どもの自由な遊びを媒介として、. 受容し、その中に生きているものであって、意味の把握への努力と、. 子どもに本来的に内在する自己実現の力、あるいは、自己治癒力が. 積極的な受容の態度とが表裏一体のものであること」を強調する。. 十分に発動することを目指している。これを援助するのが、治療者. Axline,V.M.(1947)が、 「成功をさめる治療は、治療者に始まり. の役割である。この際、子どもの言語・行動・遊びをいかに受容す. ます。」と述べるように、遊戯治療の成否は、治療者の態度にかか. るかが、重要となる。なぜなら、「〈あそび〉において、児童は、. っていると考えられる。. 身体と玩具その他をつかって、象徴的な体験」(山中,1971)をして. いるのであり、治療者に対して「ことば」だけではなく、彼らは「. 4。遊戯療法の治療機制. からだ」で語り、玩具を通して、「象徴的に」語りかける。子ども. の遊びの象徴する内的体験の「意味の把握」が、治療者によって的. 遊戯治療場面において、子どもはどのような内的経験をもつので. 確におこなわれるならば、子どもの側に「内的体験の深化や確認が. あろうか。佐藤(1978)は、一般的なものとして、次の4つをあげて. 起こり」(江口他,1980>、それはまた、子どもの自己実現の力を促進. いる。. させることにつながるのである。. (1)感情の解放と欲求のプレイ行動化. ところで、 「受容」と「意味の把握」、すなわち、「解釈」とは. 子どもとセラピストの治療的関係の進展にしたがって、子どもは、. 対立する概念であると捉えられがちである。特に、非指示的遊戯療. 遊戯室の中で自己の感情を自由に表出できるようになる。この感情. 一15一. 一一. P6一.
(11) の自由な表現は、カタルシス(catharsis)とよばれ、重要な治療機 制の1つであると同時に、以下のような治療的意義も認められる。. 「遊戯療法は、どんな心因性の問題でも、子どもの問題を解決す. ① 心理的安定性の獲得. る有力な方法」(佐藤,1978)である。例えば、 「基本的不安に対す. ② 自己防衛的態度の放棄. る自己防衛機制」(藤掛,1978)が症状発生の源泉と考えられる登校. ③ 感情の客観的理解. 拒否の子どもが、その症状を解消、あるいは改善させ、自我の成長. (2)行動の基礎的学習. ・強化を図っていくのも、上述したような遊戯療法の治療機制、治. 遊戯療法は、子どもに学習の機会を提供する。子どもは、セラピ. 療機序によるものと考えちれる。. ストとの受容的人間関係を土台として、いろいろの新しい適応の仕 方を学習する。. ① 安定性のある対人関係の学習 ② 社会的要求の充足 ③ 依存的関係の形成. 第3節 遊戯療法の治療過程 1.成長過程としての治療過程. (3)自己像の変容. 「自己像(self image)は個人が体質的なものを背景に、対人関係. Allen, F.H.(1942)は、 「合目的的に計画された成長経験」が心理. を通じて習得した自己に対する知覚像であって、これは子どもの行. 療法の過程であるとし、 「患者は治療者という、この特定の人物を. 動を規定する」。性格や行動に問題をもつ子どもは、その自己像に. 基盤にして自我を確立し、自己を個性化していく」と述べている。. 歪みをもっことが多い。このような子どもも治療場面では、セラピ. 遊戯療法に関しては、Axline,V.M.(1947)が、「子どもに成長を体験. ストとのあたたかい治療関係に支えちれて、感情を開放し、欲求の. させるための機会」と意義づけており、さちに宮本(1958)は、「そ. 行動化が可能となる。その結果、子どもは「行動の基底にある自己. の個人特有の天性を充分に発揮させる機会を与え、成長の過程を体. の感情を認識」し、旧い自己像を修正していくことになる。. 験させる機会を与えるもの」と述べる。このように、心理治療過程、. (4)認知構造の変容. 遊戯治療過程は、 「治療経験そのものが発達過程である」(佐藤,19. 遊戯治療を通して感情の開放と客観的理解が可能になってくると、. 78)ととちえることができる。. 子どもは洞察に達することができる。その結果、子どもは、対人、. 遊戯治療過程は、山下他(1978)が述べるように、 「厳密には、子. 対物的なものの見方に新しい視点を取入れ始める。これは、認知構. どもの要因(問題の性質と程度、年齢、知能程度、パーソナリティ. 造を変容させることにつながる。. 特性、治療への動機づけなど)と治療者側の要因(子ども観・発達 一17一. 一一. P8一一.
(12) 観、治療への理論的背景、治療者としての資質・経験・技術、パー. 2.遊戯治療過程の仮説. ソナリティ特性や態度、治療意欲など)との複雑なからみ合いによ って、その進展は異なる」ものである。しかし、 「一見複雑な治療 過程も、視点を決めれば、いくつかの段階(phase)にまとめること. Allen, F.H.は、症例を通して、その過程を次のように’説明してい る。. が可能」となる。. 「初期において子どもは、母との分離不安を体験するが、自分を. ところで、治療過程の一m一般的経過を把握しておくことは、どのよ. 力づけ、恐怖心を処理してくれる治療者に支えられ、その関心を、. うな意義をもつのであろうか。. 治療者との間に生ずる感情に向けばじめる。そして、恐怖心は減少. 高橋(1970)はこれについて、「段階を仮説としてもちながら、遊. し、治療者に対する悪感情を表出しはじめる。しばらくするうちに、. びの推移を継続的なものとして検討してゆくときに、治療場面に展. 子どもは、自分の中で成長感がはっきりしはじめ、混乱を呈する。. 開されるドラマの意味が現実的なものとなって、セラピストの心に. 再び不安が示され、攻撃的な投射が治療者に向けちれる。次いで治. 迫ってくる。」と述べている。深谷(1974)は、「個々の子どもをよ. 療者を支配しようと、攻撃的投射は激しくなる。この時加えられる. りょく理解するために必要であり、治療者として、①当初に子ども. 制限により、子どもは行動の限界を知ることができる段階にまで感. の状態像を把握し、②治療計画をたて、③さらに途中で治療の進行. 情的成長を遂げる。そうすることで、治療者もまた現実の人間であ. 状況を把握し、④成功や失敗を判定し、⑤技法の修正を試みる」た. ることを認識し、子どもは、その年齢相応の自己を取り入れ、終結. めに有効であるとする。さらに、後藤(1977)は、「ある特定の治療. に至る」(後藤,1977)。また後藤(1977)は、「まず第1に、治療者と. 仮説あるいは治療理論の適用範囲の中では、特定の治療過程が想定. のラポートが開かれる。次に転移と呼ばれる過程で、子どもが自分. ’される」。したがって、「ある程度共通の治療仮説が考えられる子. の感情をどんどん治療者に投射してくる。更に、自分の自我を治療. どもには、共通の治療過程を考えることが有利である」と述べる。. 者に投射し同一視を行うようになる。更に次には、同一化した自我. いずれも、一般的治療経過の把握に積極的な意味を見いだし、それ. と治療者の自我との相違に気づき、自我と他我との区別ができるよ. を治療の中で有効に生かすべきことを指摘している。しかし、 「す. うになる。自我に対し客観的態度がとれるようになり、自我を統制. べての子どもの治療過程に、それぞれ特有の個性があることは言う. し、自我の再建、すなわち内面的成長がはじまる。」と論ずる。. なでもない」(後藤,1977) ことであり、 「『一般』からの偏りが、. その子どもの生きた姿」.(深谷,1974)であるので、それにとちわれ. さて、遊戯治療過程についての仮説モデルには、如何なるものが. 過ぎることは、厳に戒めなければならない。. あるのか、次にそれを示す。 Moustakas,C.E.(1968)は、子どもの問題の根源には、自己の否定. ・一. P9一一. 一20一.
(13) がある、とし、「このような自己否定の感情がうすれ、より肯定的. とっては治療場面は全くttうち”である。. な感情が芽生えてくるプロセス」(深谷,1974)を典型的なものとと. 第4段階:離脱期。治療場面が唯一の’tうち1’でないことを子ども. ちえ、次のような段階を示している。. が理解する。治療場面を一段高い次元で“よそ“とする. 第1段階1漠然とした焦点の定まらない不安、ないしは敵意の表. ようになる。. 出。. 第2段階:漠然とした不安と漠然とした敵意が相互にambivalent. 東と村山(1962)は、難発性の重症吃音児の症例を、典型的な発展. に表出される。. 過程を示した例としてとりあげ、三段階の治療過程を提示している。. 第3段階:焦点の定まった敵意の表出と、強い恐れの表出(特に. 第1段階:分離不安の顕著な段階。緊張がほぐれるにつれて、い. 両親や兄弟に向けられる)、すなわち直接的な否定的. ろいろな玩具を通して探索的行動が始まる。. 態度の表出。. 第2段階:攻撃的な感情表現と自己主張の段階。セラピストとの. 第4段階=肯定的態度と否定的態度のアンビバレンツな表出。. 関係が深まり遊戯室が楽しい場所になると、攻撃的な. 第5段階:肯定的態度と否定的態度の分化。. 感情表現と自己主張が活発に示される。. 第3段階:自己信頼と安定した行動がみられる段階。行動が安定 堀(1962)は、精神医学的立場から、4段階のモデルを提唱してい. し、落ち着きがみられるようになる。セラピストとの. る。. 会話や言語表現が非常に多くなる。. 第1段階=導入期。子どもにとって、そこは全くの”よそ鴨である。. しかし、子どもが治療場面で、自分のindependencyに. 上田と吉田(1969)は、登校拒否児に遊戯治療を行い、その治療過. secureであるようになること、すな;わち”よそ”をt’うち. 程を5段階に分けている。. ”と構想するようになる段階である。. 第1段階:堅い自己概念で自分の身辺をとらえていて、この敵意. 第2段階=開発期。活発な攻撃破壊がすすみ、積極的に治療者と. や拒否、消極的な形での反抗的態度によって、自己を. 交流できるようになってくると、放散行為がおさまる. 強く守ろうとしている。. とともに時に著しい症状の改善や消退が認められるよ. 第皿段階:治療場面が症児に脅威や不安を与え、自己概念をつき. うになる。. くずすものでないことが認知されてくると、感情が徐. 第3段階:創造期。遊びそのものは創造的となり建設的となる。. 徐にとけ動き出して活動性をおびてくる。そして、治. t。うち“を拡張していく行動もみちれる。子どもたちに. 療者に対して、試すような行動に出る。硬直化してい. 一21一. 一22一.
(14) た自己概念がとけ出していく。. 造的で建設的な行動が増加していく。. 第皿段階:内的に満たされないで持っている依存感情を受容され. 第5段階:離反期.日常場面でよい適応が可能になるにつれて、. たことかち、治療者に対して依存的になり治療的退行. プレイ・ルームの魅力が減少し、クリニックに来たが. が起こってくる。. ちなくなる。終結を待つようになる。. 第W段階:非生産的な態度かち生産的な態度へと動けるようにな ってきて、暖かい受容された人間関係の中で、経験を. 藤掛(1974)は、 「登校拒否児の遊戯療法過程も、多くは次のよう. 自己のものにしていけるようになる。. な5つの特徴的な時期を経て進展する傾向がある。」という。. 第V段階=あるがままに行動するようになる。治療者との関係に. 第1段階=防衛期。緊張と不安の状態で来所した子どもが、はじ. おいても、適度の距離をおいて柔軟な態度をとるよう. めて経験する治療場面で、自己防衛的・警戒的となり、. になり遊戯治療の意味を症児なりに把握するようにな. 自己抑制的で不活動状況にある段階。. る。. 第2段階:開示期。子どもの自己防衛的態度が和ちぎ、自発語や 遊びなどの動きが始まり、自己開示的となる段階。. 深谷(1974)は、次のようなプロセスを、一般的なモデルとする。. 第3段階=発散期。外界に対する抑圧された感情や攻撃性の発散. 第1段階=探索期。場の理解が未成立であるため、不安や緊張が. がみられる段階。. 高く、探索的行動に終始する。セラピストにもくり返. 第4段階=転換期。活動性が減少し、行動の鎮静化を呈する時期。. し探りが試みられる。. 認知構造の転換が発現する段階、. 第2段階:行動化期。場の理解が確立し、セラピストとの治療関. 第5段階:安定期。安定感と自信が高まり、治療の終結をみる。. 係が次第にできはじめる。それに支えられて行動は自 由さを増し、自己表現も可能となっていく。. 上記のもの以外にも、高橋や、箱庭療法の立場からKalff,D.らも. 第3段階:攻撃性拡大期.セラピストとの治療関係に充分支えら. 過程モデルを提唱している。以下も簡単にふれてみる。. れ、新しい行動が開発される。しかしそれは建設的な ものではなく、多くはそれまで抑制していた攻撃性の. 高橋(1970)は、の3段階を提唱する。. 発揮である。攻撃性の発揮は、子どもが、自己受容能. 第1段階= 治療初期。クライエントが治療の場を受入れ、その. 力を高めたことを示している。. 場の受容性や自由性を検証していく段階。. 第4段階:創造と再構成期。否定的、攻撃的な行動は減少し、創. 第2段階: 中期。自己拡大の段階。. 一23一. 一24一.
(15) 第3段階= 終期。社会的適応と創造の段階。. と、自らの症例を通して、それぞれ5段階を報告している。. Kalff, D、は、 Lowenfeldの世界技法にJung分析心理学を取り入. 遊戯治療過程のモデルを概観してきたが、その表現には違いがあ. れ、診断よりも治療に重点を置く箱庭療法(Sandspie1,Sand Play. るものの、本質的には大きな差異はなく、治療はある程度共通の過. Technique)を発展させた。この「箱庭療法は,遊戯療法の一技法」(. 程をたどるといえる。. 岡田,1984)であり、彼女の提唱する3段階の治療過程も大きな手が. かりとなる。彼女は、「まず自己表現があり、それから以下の3段 階の過程を経て、再び自己が表現される」(岡田,1984)と考えた。. 第1段階=動・植物段階。無意識内に閉じ込められた、エネルギ. 第4節 登校拒否. 一に満ちた、未分化な、本能的な、衝動的な生命の動. 広く不登校を呈するものとして、岡田他(1988)は、①登校拒否、. きが現れてくる段階である。. ②生徒アパシー、⑧怠学、④非行に伴うもの、の四態が考えられる. 第2段階:戦いの段階。自我と自己の関係が不安定なために、揺. という。このうち①は、しばしば「神経症的」と形容される。 「学. れ動き、混乱することを意味する段階といえる。自我. 校へ行きたいと思うものの、不安が強く登校できないもの、あるい. は肥大化されたり、狭小化されたりして不安定であり、. は、行かねばならないことはわかってはいるが、学校が嫌いで行こ. 攻撃的になる。. うとしないもので、これまで学校恐怖や登校拒否と呼ばれてきた」。. 第3段階:統合の段階。心が揺れ動き、新しいものと古いものと. 学校恐怖症あるいは神経症的登校拒否の研究が文献に現れたのは、. の戦い、新たなる成長のための痛みなどを越えた段階. Johnson(1941)の研究であり、日本では、佐藤(1959)および鷲見・. である。症状は解消され、年齢相応の発達段階に達す. 玉井・玉井(1960)の報告が最初であった。. るなどの外的状態の変化が期待される.. 最初は、児童が心理的な理由から学校へ行きたがらない状態を、. さちに、熊谷(1986)は、. 〈学校に対する恐怖症〉と見なして、「学校恐怖症」School Phobia. ①探索期、②退行・再生期、③自己表出期、④自信獲得期、⑤離脱期、. という診断名で呼ばれた。しかし、研究が進むにつれて、この症状. 佐々木(1987)は、. を持つ児童が、必ずしも、恐怖症と診断できるものばかりではない. ①探索期、②退行・再生期、③自己表出期、④自己充足期、⑤終結期、. ことが明かとなり、最近では、学校恐怖症にかわって、登校拒否(. 佐藤(1987)は、. 症)という症状名が用いられるようになった(小泉,1973)。. ①自己抑制期、②依存・退行期、③自己表現期、④転換期、⑤離反期 一25一. 一一. Q6一.
(16) 1.登校拒否症の定義. こもりが特徴であり、したがって、非行生徒や怠学生徒の欠 席とは明かに区別されるものである。. 佐藤(1968)は、学校恐怖症を、 「現象的には、学校または登校刺. (3)登校刺激ともいうべき心理的刺激に対して、特異的にすくみ. 激に非合理的な不安や恐怖をもって登校を拒否する、情緒障害的な. 反応ともいうべき反応的行動を呈する。. 行動異常である。」と定義し、次のような条件をもつものの中から. 稲村(1980>は、登校拒否を定義することの困難さを指摘したうえ. 恐怖症児を見つけると述べている。. で、登校拒否の中核となるものは、いうまでもなく神経症機制であ. (1)登校拒否が主訴の中心をなしている。. るが、 「登校拒否というのは、学校へ行かない現象のすべてを含め. (2)登校拒否の原因となるような、身体または知能に障害がない。. るべきだ」と、広義の定義づけを行っている。そして、 「それを内. (3)小児自閉症、精神分裂病、うつ病などの精神疾患がない。. 容にしたがっていくつかのタイプに分けて用いる方がよい」と述べ. (4)登校拒否が非行症状の一つでない。. ている.. (5)就学について親の理解や家計に問題がない。. 稲村(1980)によれば、登校拒否の定義は大別して、三つに分けち. (6)学校側から登校停止を求められていない。. れるという。. (7>進路変更のための登校拒.否でない。. 第1は、最も狭く厳密に定殺するものである。すなわち、あらゆ る学校へ行かない行動のうちかち、神経障害によるもの、怠けによ. 鐘(1963)も同様に、 「登校することにたいして、明かに不安をし. るもの、一過性のもの、信念を持った積極的なものなどをすべて除. めし、そのために登校を拒否することによって、継続的または断続. き、学校恐怖症といわれる神経症的なものだけに限局する立場であ. 的な欠席現象をていする神経症的な反応症状である。」とこれを定. る。. 義づけている。そして、佐藤と同義の5つの条件を満たしているこ. 第2は、三間的な定義である。これは、神経症的な登校拒否のほ. と、とする。. かに、精神障害によるもの、怠けによるものなども加える立場であ. 梅垣(1970)は、「心理的な理由によって学校欠席をするもののう. る。. ち、登校刺激に対して特異的にすくみ反応を呈するもの」と定義づ. 第3は、最も広義に定義するものである。学校へ行かないすべて. け、三つの特徴をあげている。. の行動を登校拒否の中に含め、そのうえでさまざまに分類しようと. (1)登校拒否は欠席の理由が客観的には不明確で、 「理由なき欠. いう立場である。いうまでもなく、稲村氏の立場である。. 席」ともいえるものである。. (2)登校拒否の場合、特にその初期においては、家の中への閉じ 一一. Q7一. 一一. Q8一一.
(17) 2。登校拒否症の症状形成論. う場面への児童の適応障害の特定の様式」としたうえで、「かかる. 児童はクラスで圧力を感じ、より安易な適応の場として家庭に逃避 登校拒否症の症状形成を理解するために、佐藤(1968)をてがかり. している」と主張する。. にその理論を概観してみる。 2MII[E−211一ilE一 Si (separation anxiety theory). {[ti2−gs!.zs一. Johnson, Estes, Coolidge, Eisenberg,鷲見らが主張するもので、「. 主にAgrassが提言しているもので、「症状の背景には、抑うつ的. 精神力動的な立場から学校恐怖症の症状形成を取り上げ、親と子の. 不安があり、これが学校恐怖症の基礎になっていて、児童期のうつ. 間の、未解決な依存性を症状形成の基礎とし、子どもは学校への不. 病depressive disorder childhoodではないかという」。. 安や恐怖から登校を拒否して’いるのではなく、母(または父)との. 分離不安に対する不安が、学校場面にシンボリカルに置きかえられ. J’・理 の i. たものだ」とするものである。. 佐藤(1968)が自説として提唱しているものである。親子の固着関. 係や共生関係の中で形成された自我は、実際以上に拡大され主張さ. ew (self−image theory). れる。このような自我は「自己申心的で、年齢に施じて社会化され. Levanthal,宇津木らが主張しているものである。登校拒否症の子. ておちず、傷つきやすく、衝動的」である。しかし、 「強力で拡大. どもが持つ自己像は、非現実的、拡大的、自己愛的なものである。’. された自我」も、学校、学級集団の中では「不安への予期的な過敏. このような自己像を持つ子どもは、家庭ではそれが受け入れられ、. 症」のために萎縮し防衛的である.このような挫折しそうな自我は、. 安定していられるが、学校などでは必ずしもそれが受け入れられず、. 学校状況や家庭状況に大きな変化が生じると、もはや保持できなく. 安定感を保持することは難しい。子どもは、このような「自己像を. なり、登校拒否に陥るという。. 抑制しなければなちない場面」から逃避し、拡大された自己像が保 持できる母の所へ逃避しようとする。このようにして、「自己像を. 3.登校拒否症の分類. 脅かし続けていた学校から逃避して、母のいる家庭に帰って、拡大 された、非現実的な自己像を許容してもちい、安定性を保持しよう. 登校拒否児に対する指導・援助に示唆を与えることをねらって、. とするところに、登校拒否が生じる」と論じる。. いろいろな立場から登校拒否の類型化が試みられてきた。. ここでは、代表的なものを取り上げ、諸氏の分類を概観する。 高木(1963)は、登校拒否症を、「あくまでも学校ないし学級とい 一一. Q9一一. 一30一.
(18) (1)WW:平井(1968)は、慢性、亜急性(後に混合. 第1期:心気症的時期(hypochondriacal stage)。 腹痛・頭痛な. 性とした)、急性の3タイプに分けた。. ど身体症状を訴え、ある朝登校を拒む。この症状は、多. 慢性とは、 「既に幼少期より、学校に対して積極的に通う状態. くの場合昼頃までには回復するので、放置されたり簡単. が少なく、ときどき登校拒否をくり返している中に、思春期に到. に扱われたりする。大方は1∼2日の登校拒否で再登校. ってついに決定的となった」ものである。このタイプの子どもは、. するが、若干は第2期へ移行する。. その過保護的養育環境により、自己中心的であり、身辺の自立が. 第2期:攻撃的時期(aggressive stage)。子ども自身、登校拒否. できず、依存的でもある。したがって、依存の対象がなく、自己. そものもに起因する不安を感じ始め、両親も不安を表現. 申心的行動が受け入れられない学校場面では不安が大きく、耐え. し始める。子どもは、登校を強制し、相談機関に連れて. ちれない.そこで、家庭という温床に逃避する。これが登校拒否. 行こうとする親の態度に次第に反抗的となり、我儘が目. となって現れるのだという。. 立つようになる。特に登校時間における不安反応は著明. それに反して急性は、思春期になって突然現れるものである。. で、蒲団を離れず、無理に起こそうとすると攻撃的な行. それまでは、「比較的よく学校にも適応し、友人も適当にあり、. 動をとることが多い。晩になると、登校の意志を示す。. 母親かちみると素直であり、反抗期がなかったという例が多い」。 このタイプは自主性の発達の遅れが認めちれるものであり、その 原:因は、親の「支配的過干渉」が原因である。. 外出を嫌い、内弁慶、家庭における小さな暴君となり、 親はまったく子どもにひきまわされる。 第3期=自閉的時期(autistic stage)。大部分は以上の時期に止. 亜急性は、二つのタイプそれぞれの原因を共存させており、ど. まるが、なお若干は、対近隣社会、対学校場面のみなら. ちらともつかない経過をたどるものである。. ず、家族の中においてさえ自閉的となり、一見精神分裂 病を思わせる様相を呈する。子どもは無口(mutistic)と. 梅垣(1984)は、 「思春期初発型(急性型〉」と「思i春期再発型(. なり、一室にとじこもり、常同的にくstereotypically)一. 慢性型)の2つに分類している。既に述べた平井氏のものと、類似. 室を歩きまわったり、小児的な集蒐にふけったりする。. するものである。. 鐘(1963)は、4つの段階に分けている。. 〈2)症一一:高木(1963)は、「予後を推定する. 第1段階:単純な反応性の段階(The stage of simple reaction)。. のに便利である」として、症状の経過にしたがい、それを3期に. 幼稚園かち小学校低学年に最も多くみられるものである。. 分類する。. これまでの保護された環境かち、独立・自立を要求され 一31一. 一32一一.
(19) る状況への移行過程で、不適応を起こし、その結果とし. (3)itziE.ZZEiE.L,1;mblM#1:代表的なものに、小泉(1973)がある。小. ての「逃げこみ反応」である。. 泉氏の立場はすでに述べたように、(1)身体的理由、(2)経済的理. 第il段階1合理化、理由づけの段階(The stage of rati。naliza−. 由、(3>家庭的理由、さらに(4)心理的理由で学校を長期にわたり. tion)。登校を拒否する理由を、学校状況あるいは身体的. 欠席するもののうち、(4)によるものを広義の登校拒否とするもの. 状況などに結び付けて述べることがこの段階の特徴であ. である。. る。おもに、小学校期にみられる。. 広義の登校拒否として、次のようなものをあげている。. 第皿段階:強迫不安の段階(The stage of obsessive fear)。最も. 1.神経症的登校拒否. 典型的な学校恐怖症状を示す。登校しなければどいう気. 2.一過性のもの. 持ちと、登校に対する統禦できない不安との葛藤状態が. 3,精神障害によるもの. みられる。自分の行為に対する罪障感は、閉じこもり、. 4、怠学傾向によるもの. 登校刺激に対する忌避、として示される。また、登校を. 5.発達遅滞を伴うもの. 強要されるとパニック状態に陥り、攻撃的行動となって. 6.積極的・意図的登校拒否. 周囲とのコミニュケーションをまったく閉ざしてしまう.. 氏はこのうち、神経症的登校拒否を狭義の登校拒否とし、この. 小学校中学年から中学校期にみられる。. なかには、2つのタイプがあると述べ、それらをAタイプ、Bタ. 第IV段階:高度の合理化、理由づけ(The stage of high level of. イプと呼ぶ。. rationalization)。第皿段階の合理化、理由づけが、単. Aタイプは、 「優等生の息切れ型」であり、 「親からの心理的. 純で一貫性に欠けているのに対して、この段階のそれは、. 独立の挫折、自己内の葛藤に起因するものが多い」と述べる。B. 論理に一一貫性がみられるのが特徴である。中学校期以上. タイプは、 「甘やかされたタイプ」であり、 「社会的情緒的に未. にみちれる。. 成熟で、困難や失敗を避けて安全な家庭内に逃避する」と論じる。. 平井(1968)も経過を4つに分けている。心気症期、暴力期、無為. 登校拒否の分類には、上述したもののほかに、自我発達かちの分. 期、回復期がそれである。さきに挙げた、高木氏のものと類似して. 類、症状形成要因からみた分類、治療との関連からの分類等がある. いるので、その詳細は割愛する。. が、ここではふれないことにする。. 一一. R3一. 一34一.
(20) 4q’. o校拒否症の治療の目標. ちれるからである。. 平井(1968)は、両親に対するカウンセリングの指針として、次の. 勢から以下の4つの分類が可能であるという。. ① 再登校という変化に最大の価値を置いて進められる治療。行 動療法が主体となる。登校拒否を学校からの回避反応ととちえ、. ような原則を挙げている。. ①②③④. 松本他(1986)は、登校拒否症の治療については、治療に対する姿. 登校させるための努力を一切やめること。 生活を一切子どもにまかせること。. 子どもに対する一切の奉仕をやめること。. 治療の主眼は症状の除去すなわち再登校に向けられる。. 子どもに忍耐力(tolerance>を養うために、子どもへの出費. ② 当面の不登校を黙認しながら再登校をも目標としている治療。. を一定にすること。. 程度の差はあるものの、ひとまず不登校を認め、強力な登校刺. @. 伝い等、子どもに家事などをまかせることを実行すること。. 激は加えないとする立場であり、この治療法には、収容治療と 個人療法に分けられる。. @. ③ 登校拒否を社会病理現象の発露とする立場で、再登校の有無. 子どもの自我の発達が或る程度まで促進されてきた頃に、手. 部屋が単独で与えられていない時には、それを与える工夫を すること。. については扱わない治療。学校教育を申心にした社会的背景の 病理を強調するもので、子どもの自己実現を重視し、再登校の. さて、カウンセリングを通して、両親の不安を受容する中で、子. 有無は特に問題にしない。. どもに対する治療の目標は、どのように構想されているのであろう. ④ 不登校を個人の病理としてとらえず、家族システムの危険信. か。これについて佐藤(1968)は、 「学校恐怖症の治療の本質は、未. 号としてとらえる立場の治療。システム論的家族療法の立場で. 成熟な自我を変容させ、強化することにある」と述べる。平井(196. ある。. 8)も同様に、「子どもの自我の成熟を促すことが目標」とする。さ. 以下、②の個人療法に関わって、その治療目標を概観する。. らに、梅垣(1974)は、 「登校拒否児をめぐって生じた諸々の問題点. 登校拒否に対する治療は、従来、両親に対するカウンセリングと. を解決し、あるいは処理していく過程で、登校拒否児が、 『環境適. 子どもへのカウンセリングあるいは遊戯療法が行われてきた。その. 応と人間的成長』を目指す事を、究極的な《処理目標》」としてい. なかでも、両親、特に母親との関わりが主流をなす。なぜならば、. る。そして、具体的に次のような3つの目標を設定している。. 子ども自身が来室することは希であること、さらには、「両親によ. 第1目標:患児の心身安定化と親・三児関係など患児をめぐる家. って作られた登校拒否症であるから、両親が洞察を得るならば、そ. 庭内人間関係の改善。. れを通じて子どもの人格の変容を期待できる」(平井,1968)と考え. 第2目標二患児の学校復帰の促進。. 一35一一. 一36一一.
(21) 第3目標:患児のパーソナリティの成熟。. きる。. 仮説2. 治療の進展にともなって、遊びの内容、箱庭作品には症. いずれにしても、治療目標は研究者に大差はなく、その究極的な. 児の成長・発達を裏づけるような一定の変化が認められ. 目標は、子どものパーソナリティの成熟に向かっての援助であると. る。. いえる。. 仮説3. 遊戯行動、箱庭作晶において示される発達段階には、密 接な関係が認められる。. 仮説4. 第5節 本研究の目的と分析仮説 本研究では、Axlineの児童回心の遊戯療法の立;場を基本として関. 親面接の進展にともなって、親子関係の変容が認められ る。. 仮説5. 治療の進展にともなって、外的行動の変化が生じ、現実 生活への適応が高まる。. わった、登校拒否の初期症状を示した子どもの遊戯治療過程、セラ ピストの内的体験過程、さらに、並行して実施された母親面接を分 析することを通して、次のような諸点について明らかにしょうとす・ るものである。. 1. 治療過程における遊戯行動には、子どもの成長・発達を裏づ けるような変化が認められるか。. 2. プレイ場面での成長・発達に付随して、外的行動においても 変容が認められるか。. 3. 親やセラピストの態度の変容は、症児の成長・発達とどのよ うな関わりがあるか。. 具体的には、以下の5点の仮説を設定し、症例を通して検証する。. 仮説1 治療の進展にともなって、成長・発達の過程が特定化で 一37一一. 一38一.
(22) 透析)を続けている。疲れやすく、家事、農業はできない。. 第2章. 症例の提示. 家の中でテレビをみたり手芸をしたりしていることが多い。. 夫の突然の死と自分の病気のため、ふさぎがちである。症 児の問題に対しては、 「姉は頑張ってるのに弟は男なのに. 第■節. 症例の概要. 何や」という考えを持っている、と母親は話す。 ・ 父親は、左官業と農業を営んでいる。夕食時には帰宅。. 5. 日﹄. 1.症. K児 小学校6年男子. 234. 初診時年齢 11歳4カ月. 真面目で責任感の強い仕事ぶりだと母親は語るが、家庭内 における父親について語ちれることは少なかった。症児の. 受理年月日. 昭和62年7月17日. 問題についても、母親に任せ「黙って見守る」という態度. 主 訴. 登校拒否. である。. 家庭環境 (イ)家族構成. ・ 母親は、ママさんバレーに参加したり、P.T.A.の役員を. 父方祖母(64歳) 父(41歳 自営業). 引き受けるなど、「活動的」であると同時に、子どもの養. 母(40歳) 姉(12歳 中学1年). 育にも熱心で大いに関心をもっている様子である。. 本人(11歳 小学校6年). (の家族関係. 「祖父母、伯父への気遣いが大変で、子どもが望むとき にすぐに応じてやれない」等、二世代同居は気苦労が多い. 面接開始時の家族構成は(イ)の通りであるが、2朋半前ま. では祖父が、また、症児の誕生時から約10年聞は、伯父が 同居していた。. と感じている。. 「祖母と母親の関係が円滑でないようだ。」と担任はみ ている。面接の中でも母親は、祖母に対するアンビバレン. 祖父は元気で、家業の農業を支えてきたが、本年4月29. ツな感情をしばしば表明した。. 日、バイクの運転を誤るという自損事故のため、急逝した。. ・ 姉は、活動的で弁がたつ。小学校3年の頃、紫斑病から. 伯父は、症児誕生の頃交通事故に会い、その後遺症のた. 腎炎になり長期入院。退院後も運動が制限され、6年生にな. め仕事が出来ないことを理由に、症児ちと同居してきたが、 一昨年ようやく独立した。 ・ 祖母は病身である。特に7, 8年前かち成人病(腎臓病). がひどくなり、12月には入院。退院後も食事療法と通院( 一39一. るまで母親が学校への送迎をしていた。. 姉弟関係は、近所の人が感心するくらいにょい。プロ野 球の話など話題もよく合う。下校後は、姉弟で遊ぶことが 多かった。. 一40一.
図
関連したドキュメント
1 ) ADOC 療法 : adriamycin (ADR) , cisplatin (CDDP) , vincristine (VCR) , cyclophosphamide (CPA) 2) PAC 療法: cisplatin (CDDP), doxorubicin (DOX) (=adriamycin,
小児在宅酸素療法 ホット 在宅酸素療法を始められるお子様とご家族のための HOT 入門 監修 東京女子医科大学臨床教授東医療センター新生児科部長 長谷川久弥先生 東医療センター新生児科助教鶴田志緒先生
東医療センター 新生児科部長 長谷川 久弥 先生.. 二酸化炭素
ROP に対する抗 VEGF 療法として,ラニビズマブの 国際共同治験,RAINBOW study(RAnibizumab Com- pared With Laser Therapy for the Treatment of INfants BOrn
*課題関連的訓練(task-related training)は,目的志向的訓練(task-oriented
在宅の病児や 自宅など病院・療育施設以 通年 病児や障 在宅の病児や 障害児に遊び 外で療養している病児や障 (月2回程度) 害児の自
在宅医療の充実②(24年診療報酬改定)
key words : children with medical complexity, home care medicine for children, neonatal intensive care unit, community based integrated care system, community based
(3)各医療機関においては、検査結果を踏まえて診療を行う際、ALP 又は LD の測定 結果が JSCC 法と