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特別支援学校教員におけるストレスとサポートに関する研究

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Academic year: 2021

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(1)特別支援学校教員におけるストレスとサポートに関する研究 学校教育学専攻 臨床心理学コース. M07079F 粂田 直美. 1.問題と目的. 校特別支援教諭50名,普通学校普通学級担当.  現在,教師のストレスは非常に高い。職務. 教諭22名から回答を得た。. の曖昧さや多忙がますます教師のストレス要. 2.2質問紙の構成. 因を高めている状況である。その土教育制度. 質問項目は,学校組織特性尺度(瀬戸、2001),. が大きく変化し,それに伴い,教員免許制度. バーンアウト尺度(田尾・久保,1996),教師自. の改定,学校評価制度などストレスを高める. 己効力感尺度(前原,1994)をもとにして71項目. 要因がますます増えている状況である。また. 作成した。71項目の内訳は,学校組織特性7項. 特別支援においては,障害者政策と連動して. 目(回答は5件法),バーンアウト尺度18項目. さまざまな法律が改正され,教育課程の改訂. (回答は4件法)と,教師自己効力感尺度20項. など制度の移行途中である。このように教職. 目(回答は5件法)と,ストレス要因11項目(回答. 員のメンタルヘルスの悪化が問題となってく. は4件法)と,役だったと思う他者からの援助体. るなかで,バーンアウトを予防することは重. 験及び援助者11項目(回答は4件法)と,役に. 要な課題である。. 立たなかったりいやな思いをしたりした援助体験.  本研究の目的は,バーンアウトの予防や軽. 4項目(回答は有無)及び自由記述から構成し. 減のために,どのような要因(自己効力感,. た。. 性別,所属,教職年数)がバーンアウトに大 きな影響を及ぼすのか,どのようなサポート. 3.結果と考察. が必要となってくるかを,質問紙調査により. 3.1測定尺度の因子分析. あきらかにすることである。その際特別支援.  学校組織特性,バーンアウト尺度,教師自. 教育に携わる教職員に焦点を当てて調査をし. 己効力感尺度について因子分析を行った。学. た。. 校組織特性の因子構造については,「協働性」,. 「職場への満足」の2因子を確認することが. 2.研究方法. でき,尺度得点についてはすべてが3点以上. 2.1調査対象. と高得点であった。教師自己効力感の因子構.  主に大学院に通っている現職教諭や地域の. 造は,「教師の力量」,「個人的効力感」の2因. 学校研修会などの参加者を対象として質問紙. 子を確認することができた。バーンアウトの. 調査をした。特別支援学校教諭82名,普通学. 因子構造は,「情緒的消耗感」,「達成感の後退」. の2因子を確認することができた。. 一172一.

(2) 3.2 性別,教職年数,所属による検討. 可欠となってくることからだと考えられた。.  性別による広検定で有意に差のあった下位. 3.3 各尺度間の相関について. 尺度は,学校組織特性の「職場満足」(亡=.  学校組織特性,バーンアウト尺度,教師自己. ・2,158,ρ<.05),教師自己効力感の「教師. 効力感,ストレス要因の各尺度間の相関を調べ. の力量」(ち=・2,541,ρ〈.05)でいずれも女. たところ,「協働性」と「情緒的消耗感」に中. 性の得点が上回っていた。これは,女性の方. 程度の相関1r:一.421,ρ〈.001),「協働性」. が同僚などの職場環境に左右されやすいこと. と「個人的効力感」(r=.364,ρ〈.001)に弱い. を示していた。. 相関がみられた。「職場満足」と「情緒的消耗.  教職年数についての一元配置分散分析では,. 感」l r=一.482,ρ〈.001)に中程度の負の相関,. 有意に差のあった下位尺度は学校組織特性の. 「職場満足」と「達成感の後退」(r=一.527, ρ〈.00ユ)に中程度の負の相関,「職場満足」. 「職場満足」(ハ4,14。)=8,132,ρ<.01),バ. ーンアウトの「情緒的消耗感」(ハ4,148)=5,564,. と「教師の力量」(r二、405,ρ〈.001)に正の相. ρ〈.O1),「達成感の後退」(ハ4,148〕=4,905,. 関が見られた。. ρ<.05)であった。「職場満足」では,教職 年数31年以上のものが,1年∼5年(ρ<.01),. 4.総合考察と今後の課題. 6∼10年(ρく.01),11∼20年(ρく.01),.  本研究から,学校組織特性とバーンアウトや. 21∼30年(p<.05)と他のものとすべて. 教師自己効力感との間には関連が強い傾向に. 差が有意であり,いずれも31年以上の得点. あると考えられた。また先行研究と同様,教師. が他より有意に低かった。経験が多いという. のバーンアウト傾向は高いと考えられる。その. ことから,職場に対する思いも厳しいものと. 大きな要因は,具体的には自由記述の「事務的. 推察された。「情緒的消耗感」では,教職年数. な仕事が多く児童生徒のための教材研究など. 1年∼5年が他の教職年数すべてに対して差. をする時間がない」,「学期末などは忙しく帰宅. が有意に(pく.05)高かった。「達成感の後退」. 時間も遅くなり,家事等が後回しになりがちに. では,教職年数31年以上のものが,他教職. なっていること」など仕事に対する多忙感がス. 年数すべてに対して有意に高かった。. トレスに大きな影響を及ぼしている可能性が.  ストレス要因において有意差がみとめられ. ある。バーンアウト予防のためのサポートにつ. たが,単純に年数だけでは判断しにくい結果. いては,特に有意差が認められず,有効なサポ. を示した。. ート方法を,明らかにすることができなかった。.  所属別についての一元配置分散分析では,. 今後はデータ数を増やし,自由記述で具体的な. 「生徒指導・学級経営」と「授業・教科指導」. 内容を検討する必要がある。またストレス要因. において,普通学級が高得点を示し,授業や. とあげられた教師の多忙感に焦点をあてて研. 生徒指導など直接生徒と関わる問題が大きな. 究する必要がある。. ストレスとなっていることを示した。「同僚と. の関係」においては,特別支援学校が有意に 主任指導教員 藤生 英行. 高かった。これは複数で学級指導を担当する.   指導教員 藤生 英行. ことが多く,そのため同僚との協力体制が不. 一173一.

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