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地価下降期の大阪府における開発利益に関する研究 : 資本化仮説による実証分析

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地価下降期の大阪府における開発利益に関する研究

: 資本化仮説による実証分析

著者

中村 徳三

内容記述

学位記番号:論経第67号, 指導教員:綿貫伸一郎

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大阪府立大学博士学位論文

地価下降期の大阪府における

開発利益に関する研究

-資本化仮説による実証分析-

大阪府立大学大学院 経済学研究科

博士後期課程 経済学専攻

中村 徳三

2010 年 3 月

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I 目 次 序 論 1 第 1 章 開 発 利 益 の 理 論 的 枠 組 み と 先 行 研 究 5 1 . 開 発 利 益 に つ い て 5 (1) 開 発 利 益 の 理 論 的 枠 組 み 5 (2) 資 本 化 仮 説 に つ い て 6 (3) 開 発 利 益 と は 8 2 . 先 行 研 究 に つ い て 9 3 . ま と め 12 第 2 章 具 体 的 事 例 に み る 開 発 利 益 の 還 元 13 1 . 大 阪 府 の 大 規 模 開 発 事 業 13 (1) 事 業 の 概 要 13 (2) 地 価 下 降 期 の 事 業 14 2 . 開 発 利 益 還 元 の 具 体 的 手 法 15 3 . 地 価 上 昇 期 の 開 発 利 益 の 内 部 化 18 4 . 地 価 下 降 期 の 開 発 事 業 の 財 源 に つ い て 21 5 . ま と め 24 第 3 章 宅 地 の 供 給 と 地 代 総 額 変 動 26 1 . 泉 佐 野 市 の 地 代 総 額 変 動 26 2 . 開 発 利 益 の 理 論 に 示 さ れ た 指 標 と 地 代 総 額 変 動 28 3 . ま と め 31 第 4 章 都 市 基 盤 施 設 と 地 代 総 額 変 動 32 1 . 大 阪 府 下 5 つ の 地 域 の 地 代 総 額 変 動 32 2 . 都 市 基 盤 施 設 と 地 代 総 額 変 動 の 相 関 39 3 . ま と め 47

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II 第 5 章 社 会 資 本 と 道 路 整 備 49 1 . 社 会 資 本 と 地 方 公 共 財 49 2 . 社 会 資 本 整 備 費 と 道 路 整 備 費 50 3 . ま と め 59 第 6 章 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 と 地 代 総 額 へ の 帰 着 度 に つ い て 61 1 . 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 の 測 定 61 2 . 地 代 総 額 へ の 地 方 公 共 財 の 帰 着 度 に つ い て 68 3 . 地 代 総 額 及 び 道 路 面 積 変 動 と 人 口 変 動 と の 関 係 72 (1) 府 下 4 地 域 で の 道 路 面 積 の 変 動 と 人 口 変 動 と の 関 係 72 (2) 4 地 域 内 で の 人 口 変 動 と 帰 着 度 お よ び 道 路 面 積 変 動 と の 関 係 75 A. 人 口 変 動 と 帰 着 度 と の 関 係 75 B. 道 路 面 積 変 動 と 人 口 変 動 と の 関 係 80 4 . ま と め 83 結 論 86 1 . 結 論 86 2 . 今 後 の 課 題 89 注 91 参 考 文 献 92 謝 辞 95

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序 論

1990 年 1 月 に 株 価 の 大 暴 落 で 始 ま っ た バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 は 、地 価 の 下 落 を 招 く と と も に 、 銀 行 に お び た だ し い 額 の 不 良 債 権 を 抱 え さ せ 、 日 本 経 済 は 長 期 に わ た っ て 本 格 的 な 不 況 に 陥 っ た 。 地 価 の 下 落 は 地 方 自 治 体 や 第 三 セ ク タ ー が 実 施 す る 宅 地 開 発 な ど の 事 業 を 直 撃 し 、 経 営 の 破 た ん や 継 続 し た 事 業 で は 巨 額 の 財 源 不 足 を 招 い た 。 こ れ ら の 事 業 で は 、 地 価 の 上 昇 を 前 提 と し て お り 、 初 期 投 資 を 借 入 金 で 賄 い 、 造 成 後 の 土 地 分 譲 収 入 で 償 還 す る が 、 土 地 価 格 が 下 落 す る こ と で 当 初 に 見 込 ん だ 分 譲 収 入 が 得 ら れ な い た め 、 借 入 金 の 償 還 金 が 不 足 す る こ と に な っ た の で あ る 。 そ れ ま で の 開 発 事 業 が 前 提 と し て い た 地 価 の 上 昇 は 開 発 利 益 と よ ば れ 、 社 会 資 本 の 整 備 前 と 整 備 後 の 地 価 の 上 昇 差 と し て 時 系 列 的 に 捉 え る こ と が 可 能 で あ り 、 誰 の 目 に も そ の 存 在 が 明 ら か で あ っ た 。 大 阪 府 が 宅 地 造 成 し た 泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン の 事 業 で は 、 用 地 費 、 造 成 費 と 各 種 負 担 金 等 の 支 出 が 約 3000 億 円 で あ る の に 対 し 、 収 入 は 約 4300 億 円 と な っ て お り 収 支 差 は 実 に 1300 億 円 に も の ぼ る 。一 方 、地 価 下 降 期 に 事 業 が す す め ら れ た り ん く う タ ウ ン で は 、約 2000 億 円 の 財 源 不 足 と な る こ と が 明 ら か に さ れ た 。 こ の よ う に 、 バ ブ ル 経 済 崩 壊 後 の よ う な 地 価 の 下 降 期 に は 開 発 利 益 は 消 滅 し 、 存 在 し な く な る の で あ ろ う か 。 本 論 文 で は 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 に つ い て 、 そ の 存 在 の 確 認 と 測 定 を 試 み 、 事 業 者 へ の 還 元 に つ い て 考 察 す る 。 開 発 利 益 の 事 業 者 へ の 還 元 に 関 す る 研 究 の 目 的 は 次 の 二 つ で あ る 。 一 つ に は 、公 的 開 発 事 業 の 破 た ん 処 理 や 財 源 不 足 に 充 当 さ れ る 資 金 と し て 、 事 業 者 へ 開 発 利 益 を 還 元 す る こ と で あ る 。 地 価 が 下 降 す れ ば 開 発 事 業 地 や イ ン フ ラ を 整 備 し た 地 域 で の 土 地 分 譲 収 入 に よ る 事 業 費 の 回 収 が 不 可 能 と な る た め 、 土 地 保 有 税 に よ る 間 接 徴 収 ( 現 行 で は 固 定 資 産 税 な ど ) で 事 業 者 に 還 元 す る し か 方 法 は 考 え ら れ な い 。 と こ ろ が 、 土 地 の 資 産 価 値 に 係 る 固 定 資 産 税 は 市 町 村 税 で あ る た め 、 道 府 県 が 事 業 主 体 の 場 合 は 事 業 資 金 の 回 収 は で き な い こ と に な る 。 た だ し 、 東 京 都 23 区 の 場 合 は 、

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2 固 定 資 産 税 は 東 京 都 が 徴 収 し 、 そ の 一 定 割 合 は 各 区 に 調 整 配 分 さ れ る 。 地 方 税 法 な ど 税 制 の 改 正 が 必 要 と な る が 、道 府 県 が 固 定 資 産 税 を 徴 収 し 、 地 域 市 町 村 に 調 整 配 分 す る と と も に 事 業 者 と し て の 道 府 県 も 収 入 す る と い う シ ス テ ム も 検 討 に 値 す る と 考 え ら れ る 。 も う 一 つ は 、「 持 続 可 能 な 都 市 」の 実 現 に む け て 、コ ン パ ク ト シ テ ィ 論 や イ ン ナ ー シ テ ィ 、 ニ ュ ー タ ウ ン の 再 編 な ど の 本 格 的 な 議 論 が 始 ま っ て い る が 、 こ れ ら の 事 業 へ の 開 発 利 益 の 還 元 で あ る 。 地 価 が 上 昇 に 転 じ た 地 点 が あ る と は い え 、 利 便 性 と 繁 華 性 の 優 劣 に よ り 地 価 が 上 昇 す る 地 点 と 下 降 す る と こ ろ が 併 存 し 、 そ の 後 も 地 価 の 二 極 化 と い う 傾 向 は 変 わ っ て い な い 。 こ の よ う な 土 地 価 格 を め ぐ る 環 境 の 変 化 に 対 応 し 、 今 後 に 予 想 さ れ る 地 域 再 整 備 事 業 の 資 金 調 達 の 制 度 の 確 立 が 求 め ら れ て い る 。 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 に つ い て 肥 田 野 (1992)は 、「 地 域 横 断 的 に 発 生 し 」、 そ の 還 元 に つ い て は 「 相 対 的 便 益 で 吸 収 す る こ と は 正 当 化 さ れ る 」 と 指 摘 し て い る 1)。道 路 や 鉄 道 が 整 備 さ れ る と そ の 沿 線 や イ ン タ ー チ ェ ン ジ と 駅 周 辺 の 地 価 が 相 対 的 に 上 昇 す る こ と が 観 察 さ れ る こ と か ら も 地 域 横 断 的 な 開 発 利 益 も 一 般 的 な 理 解 と し て 合 意 さ れ て い る 。 こ れ ま で の 地 価 上 昇 を 前 提 と し た 開 発 利 益 の 還 元 論 に 基 づ け ば 、 地 価 下 降 期 の 地 域 再 整 備 事 業 の 実 施 は 不 可 能 と な る た め 、 肥 田 野 が 主 張 す る 観 点 で の 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 還 元 論 の 見 直 し は 必 要 不 可 欠 で あ る 。 東 京 で は 首 都 高 速 道 路 の 日 本 橋 を 地 下 に 移 設 す る 計 画 を 検 討 す る 「 日 本 橋 川 に 空 を 取 り 戻 す 会 」( 委 員 長:早 稲 田 大 学 伊 藤 滋 特 命 教 授 )が 、高 速 道 路 の 地 下 化 に よ る 周 辺 地 域 の 増 加 す る 不 動 産 価 値 の 一 部 を 道 路 建 設 事 業 費 に 還 元 す る こ と を 想 定 し て い る 2)。 本 論 文 で は 、 社 会 資 本 整 備 に よ る 便 益 は 地 代 に 帰 着 す る と い う 資 本 化 仮 説 の 考 え に 基 づ き 、 今 後 の 公 的 開 発 事 業 の 資 金 調 達 の 一 方 策 と し て の 開 発 利 益 の 還 元 に つ い て 考 察 す る 。 資 本 化 仮 説 は 、 地 方 公 共 財 の 供 給 の 増 加 は 社 会 的 便 益 の 増 加 分 と 等 し く 、 ま た 、 地 方 公 共 財 の 供 給 が 最 適 で あ れ ば 地 代 総 額 の 上 昇 と も 等 し く な る 、 と い う も の で あ る 。 仮 説 の 前 提 と し て 、 小 地 域 ・ 開 放 と い う 条 件

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3 が あ り 、市 町 村 と い う 基 礎 自 治 体 を 対 象 に 分 析 す る こ と が 求 め ら れ る が 、 こ の 条 件 を 満 た す 先 行 研 究 に つ い て は 、 皆 無 と い っ て も 過 言 で は な い 。 唯 一 、 基 礎 自 治 体 を 対 象 に 分 析 し た 先 行 研 究 は 、 仮 説 に 示 さ れ た 地 代 総 額 を 分 析 し た も の で は な い 。 本 論 文 で は 、 資 本 化 仮 説 に 基 づ き 、 市 町 村 と い う 基 礎 自 治 体 を 対 象 に 社 会 資 本 整 備 と 地 代 総 額 と の 相 関 関 係 か ら 開 発 利 益 の 存 在 の 確 認 と 測 定 を 試 み た 。 次 に 本 論 文 の 構 成 で あ る 。 第 1 章 で は 、 開 発 利 益 測 定 の 理 論 的 枠 組 み と 、 一 般 的 に 用 い ら れ る 開 発 利 益 と い う 用 語 に つ い て 本 論 文 で の 定 義 を し 、 わ が 国 で 市 町 村 と い う 基 礎 自 治 体 を 対 象 に 資 本 化 仮 説 に よ る 分 析 を し た 唯 一 の 研 究 と さ れ る 「 都 市 財 政 の 資 本 化 に 関 す る 実 証 分 析 」 (近 藤 、 寺 井 、高 間 2007)の 成 果 を 紹 介 す る 。こ の 研 究 で は 、土 木 費 と 教 育 費 が 地 価 に 対 し て プ ラ ス の 影 響 を も た ら す と と も に 、 代 理 変 数 を 用 い た モ デ ル で は 、 道 路 総 延 長 と 都 市 公 園 面 積 が 地 価 に 対 し 、 プ ラ ス に 強 く 有 意 と な っ て い る こ と が 報 告 さ れ て い る 。 第 2 章 で は 地 価 上 昇 期 と 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 に つ い て 、 大 阪 府 の 土 地 造 成 事 業 を 概 観 す る 。 こ れ ら の 事 業 は 、 原 価 主 義 を 原 則 と し 独 立 採 算 制 の 会 計 で 経 理 さ れ て お り 、 地 代 の 増 分 と 社 会 資 本 整 備 費 用 と の 関 係 を 資 本 化 仮 説 に 照 ら し て 検 討 す る こ と に 適 し て い る 。 第 3 章 以 降 で は 本 論 文 の 目 的 で あ る 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 の 存 在 の 確 認 と 測 定 に つ い て 述 べ る 。 関 西 国 際 空 港 対 岸 の 泉 佐 野 市 で は 、 空 港 開 港 翌 年 の 1995 年 に 農 地 転 用 に よ り 宅 地 面 積 が 大 き く 増 加 し た 。そ こ で 、第 3 章 で は 、 宅 地 面 積 と 地 価 の 対 前 年 比 率 の 積 で あ る 地 代 総 額 変 動 と い う 指 標 を 設 定 し 、 泉 佐 野 市 の 地 代 総 額 の 対 前 年 比 を 算 出 し 、 時 系 列 的 に 開 発 利 益 の 有 無 の 確 認 を 試 み た 。 そ の 結 果 は 地 価 下 降 期 に も か か わ ら ず 、 1995 年 に は 地 代 総 額 が 前 年 を 上 回 っ た た め 、空 港 開 港 後 3 年 間 に つ い て 資 本 化 仮 説 に 示 さ れ た 社 会 資 本 整 備 の 状 況 お よ び 人 口 と 就 業 者 数 の 変 化 に つ い て 調 査 し た 結 果 を 示 す 。 資 本 化 仮 説 に よ れ ば 、 地 方 公 共 財 の 供 給 の 増 加 が も た ら す 地 代 総 額 の 上 昇 と 社 会 的 便 益 の 増 加 分 は 等 し く な る と い う こ と で あ る 。 す な わ ち 、

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4 道 路 な ど の 社 会 資 本 整 備 が す す め ら れ た 地 域 で は 、 整 備 に よ っ て 地 域 住 民 の 便 益 が 増 加 す る な ら ば 、 そ れ に 対 応 し て 地 代 総 額 も 変 動 す る と い う こ と で あ る 。そ こ で 、第 4 章 で は 、関 西 国 際 空 港 開 港 の 1994 年 か ら 3 年 間 に つ い て 、 大 阪 府 下 5 地 域 の 地 代 総 額 変 動 を 求 め 、 社 会 資 本 整 備 と 地 代 総 額 の 変 動 に つ い て 、 デ ー タ 比 較 が 可 能 な 府 下 4 地 域 の 相 関 を 求 め る こ と に よ り 、 資 本 化 仮 説 に 基 づ く 開 発 利 益 の 存 在 の 確 認 を 試 み た 。 第 5 章 で は 社 会 資 本 の 代 理 変 数 と し て の 道 路 整 備 面 積 の 有 効 性 に つ い て 述 べ 、 第 6 章 で は 1991 年 か ら 2005 年 ま で の 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 に つ い て 、 地 代 総 額 と 社 会 資 本 の 代 理 変 数 と し て の 道 路 面 積 変 動 の 相 関 に よ り 開 発 利 益 の 存 在 を 確 認 し 、開 発 利 益 の 地 代 総 額 へ の 帰 着 度 に つ い て 、 人 口 変 動 と の 相 関 を 加 え て 考 察 す る 。 結 論 で は 、 本 論 文 で の 地 価 下 降 期 の 大 阪 府 に お け る 開 発 利 益 に 関 す る 分 析 は 資 本 化 仮 説 の 理 論 を 支 持 す る 結 果 と な り 、 地 価 下 降 期 に お け る 地 域 整 備 事 業 の 資 金 調 達 に 開 発 利 益 を 還 元 す る 手 法 の 議 論 は 検 討 に 値 す る こ と を 示 し 、 今 後 の 研 究 課 題 を 述 べ て い る 。

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本 論

第 1 章 開 発 利 益 の 理 論 的 枠 組 み と 先 行 研 究

1 . 開 発 利 益 に つ い て (1) 開 発 利 益 の 理 論 的 枠 組 み 開 発 利 益 計 測 の 理 論 的 な 枠 組 み と し て は 、 都 市 経 済 学 に お け る 交 通 投 資 に よ る 総 地 代 の 上 昇 と し て 開 発 利 益 を 捉 え る も の と 、 公 共 経 済 学 で の 地 方 公 共 財 の 便 益 が 地 代 に 帰 着 す る と い う も の が あ る 。 都 市 経 済 学 で は 、 個 々 の 都 市 に お け る 市 場 経 済 は 、 経 済 活 動 の 集 積 点 と し て の 中 心 核 を 持 ち 、 こ れ を 中 央 業 務 地 区 、 CBD(Central Business District)と 呼 ぶ 。都 市 の 公 共 経 済 が 人 々 の 市 場 行 動 だ け で で き て い る と 仮 定 す る と 、 生 産 主 体 の 立 地 、 消 費 者 全 体 の 住 宅 立 地 が 決 ま れ ば 都 市 の 空 間 的 構 造 は ほ ぼ 固 ま る 。 企 業 の 立 地 理 論 で は 財 の 輸 送 費 や 情 報 の 伝 達 費 、 家 計 の 立 地 理 論 で は 通 勤 費 用 な ど が CBD に 近 づ く ほ ど に 節 約 さ れ る た め 、 土 地 や 住 宅 に 対 す る 需 要 価 格 ( 付 け 値 ) は 、 CBD に 近 い ほ ど 高 く な る 。 最 も 高 い 付 け 値 を 申 し 出 た も の か ら 立 地 が 決 ま る の で 、 均 衡 地 代 は 都 市 の CBD か ら 郊 外 に 離 れ る に し た が っ て 低 く な る 。 こ の 枠 組 み に よ っ て 、 交 通 投 資 に よ り ど の よ う に 総 地 代 が 上 昇 し 開 発 利 益 が 発 生 す る か に つ い て の モ デ ル を 構 築 し 、 鉄 道 新 線 の 整 備 効 果 に つ い て 計 測 さ れ る 。 公 共 経 済 学 で は 地 方 公 共 財 の 便 益 の 帰 着 に 関 す る ヘ ン リ ー ・ ジ ョ ー ジ 定 理 と 資 本 化 仮 説 の 二 つ の 議 論 が あ る 。 ヘ ン リ ー ・ ジ ョ ー ジ 定 理 は 、 均 質 な 都 市 を 無 数 に 考 え る こ と が で き る 場 合 、 公 共 財 が 都 市 の 産 出 の 一 定 割 合 で ま か な わ れ て い る と き に は 、 人 の 移 動 を 通 し て 公 共 財 の 生 産 費 用 で 表 わ さ れ る 価 値 に 対 応 し て 地 代 総 額 が 上 昇 す る と い う も の で あ る 。 し た が っ て 、 租 税 な ど を 通 し た 所 得 移 転 な ど に よ り 、 個 々 の 経 済 主 体 に 資 源 制 約 が 特 別 に 生 じ な い 場 合 に は 開 発 利 益 は 地 代 に 転 化 し 、100% 土 地 課 税 に よ り 吸 収 で き る 。 こ の 結 果 は 、 い わ ゆ る ヘ ン リ ー ・ ジ ョ ー ジ が 提 唱 し た 土 地 単 一 課 税 を 支 持 す る も の で あ り 、 ヘ ン リ ー ・ ジ ョ ー ジ 定 理 と 呼

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6 ば れ る 由 縁 と な っ て い る 。 資 本 化 仮 説 は 、 地 方 公 共 財 の 供 給 の 増 加 が も た ら す 地 代 総 額 の 上 昇 と 社 会 的 便 益 の 増 加 分 は 等 し く な る 、 と い う も の で あ る 。 開 発 利 益 の 具 体 的 な 計 測 方 法 と し て は 、 ヘ ド ニ ッ ク ア プ ロ ー チ に よ る 分 析 や 平 均 地 価 関 数 に よ る も の が あ る が 、 本 稿 で は 都 市 経 済 学 や 公 共 経 済 学 で 議 論 さ れ る 地 代 総 額 に 着 目 し 、 そ の 時 系 列 的 な 変 動 か ら 開 発 利 益 の 計 測 を 試 み る こ と と し た 。 そ の 理 由 は 、 関 西 国 際 空 港 と そ の 対 岸 の り ん く う タ ウ ン 周 辺 の 新 た な 宅 地 供 給 の 増 加 の 大 き さ は 地 価 ( 地 代 ) の 下 落 分 を 上 回 り 、 地 代 総 額 が 上 昇 し て い る の で は な い か と 考 え た か ら で あ る 。 ま た 、 そ の 事 実 が 確 認 さ れ る な ら ば 、 地 域 横 断 的 に 発 生 す る 開 発 利 益 の 存 在 を も 十 分 に 示 唆 す る も の と 考 え た か ら で あ る 。 (2) 資 本 化 仮 説 に つ い て 資 本 化 仮 説 と は 地 方 公 共 財 の 追 加 的 な 整 備 に よ る 便 益 が 地 代 に 帰 着 す る と い う 理 論 で あ る が 、企 業 や 消 費 者 の 土 地 や 住 宅 に 対 す る 需 要 価 格( 付 け 値 ) が 、 地 方 公 共 財 の 追 加 的 な 整 備 に よ っ て ど れ だ け 変 化 す る か と い う 問 題 を 解 く こ と に よ り 導 く こ と が で き る 。 需 要 価 格 ( 付 け 値 ) と は 住 民 が 支 払 う こ と が で き る 最 大 限 の 地 代 を 表 し て お り 、 資 本 化 仮 説 は 住 民 の 税 負 担 を 変 え ず に 地 歩 公 共 財 の 供 給 を 限 界 的 に 増 加 さ せ た と き の 付 け 値 地 代 の 上 昇 分 を 求 め る こ と で 導 出 さ れ る 。 具 体 的 に は 、 地 方 公 共 財 の 供 給 が 増 加 す る こ と に よ っ て 、 そ の 地 域 が 改 善 さ れ 、新 し い 住 民 が 移 転 し て 来 る 。そ の た め 、住 宅 地 の 需 要 が 増 し 、 住 宅 地 代 ( あ る い は 地 価 ) の 上 昇 が 起 き る 。 各 住 民 は 予 算 制 約 の も と で 効 用 関 数U ( z、h、G )を 最 大 に す る よ う に 行 動 し 、 消 費 財zと 住 宅 敷 地 面 積hを 選 択 す る(Gは 地 方 公 共 財 の 供 給 量 あ る い は サ ー ビ ス 水 準 )。一 方 、 地 方 公 共 財 の 供 給 費 用Cは 、 住 民 数 が 増 加 す る と 、 同 じ サ ー ビ ス 水 準Gを 維 持 す る た め の 費 用 が 高 く な る 。 し た が っ て 、 地 方 公 共 財 の 供 給 費 用 はC( G ,N )と 表 す こ と が で き 、サ ー ビ ス 水 準Gと 人 口Nの 増 加 関 数 で あ る 。

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7 こ こ で 、 地 域 間 の 移 住 が 自 由 で そ の 費 用 は 不 要 、 地 方 公 共 財 の 便 益 の 及 ぶ 地 域 が 他 地 域 全 体 と 比 較 し て 小 さ い と い う 小 開 放 地 域 の 仮 定 を 設 け る と 、 付 け 値 地 代 関 数Rは 消 費 財zと 地 方 公 共 財Gを 変 数 と す る 関 数 で 表 わ さ れ る 。 こ こ で 、 住 民 の 税 負 担 を 変 え ず に 地 方 公 共 財Gの 供 給 を 限 界 的 に 増 加 さ せ る と 、 付 け 値 地 代 の 上 昇 分 は z G G U U h R dG dR 1 = = と し て 求 め ら れ る(UGはGの 供 給 増 に よ る 効 用 Uの 増 加 分 、 同 様 にUzはzの 供 給 増 に よ る 効 用Uの 増 加 分 を 表 す )。 人 口 をNと す る と 全 体 の 住 宅 地 面 積H― は 、H―=N hで あ る か ら 、コ ミ ュ ニ テ ィ 全 体 で の 地 代 総 額 の 上 昇 は 、 z G G U U N H R = − と な る 。つ ま り 、地 方 公 共 財 の 供 給 を 追 加 的 に 整 備 す る こ と に よ る 地 代 総 額 の 上 昇 と 地 方 公 共 財 の 社 会 的 限 界 便 益 は 等 し く な る 。 こ の こ と は 、 地 方 公 共 財 の 社 会 的 限 界 便 益 が す べ て 地 代 の 上 昇 に 帰 着 し て し ま う こ と を 意 味 し て い る 。 ま た 、 地 方 公 共 財 の 最 適 供 給 は 住 民 の 効 用 関 数U ( z,h,G )を 最 大 と す る よ う に サ ー ビ ス 水 準Gを 選 択 す る こ と に よ っ て な さ れ る 。 効 用Uの 最 大 化 の 条 件 を 求 め る と G z G C U U N = が 得 ら れ る 。こ れ は サ ミ ュ エ ル ソ ン に よ っ て 導 か れ た 混 雑 が 存 在 し な い 純 粋 公 共 財 の 最 適 供 給 の 条 件 と 同 じ で あ る 。 こ の 条 件 は 地 方 公 共 財 の 供 給 量 を 最 適 に す る た め に は 、 地 方 公 共 財 を 限 界 的 に 増 加 さ せ た 場 合 の 便 益 の 増 価 と そ の 限 界 費 用 が 等 し く な る よ う に す れ ば よ い 、 と い う こ と を 表 し て い る 。し た が っ て 、 z G G U U N H R = − と G z G C U U N = と か ら 、RGH =CG − と な り 、地 方 公 共 財 の 限 界 費 用 は 地 代 の 増 加 分 と 等 し く な る た め 、 開 発 利 益 の 還 元 策 に よ っ て 税 収 等 で 回 収 す れ ば 、 そ の 費 用 を 賄 う こ と が で き 、 社 会 資 本 の 整 備 財 源 を 調 達 す る 理 論 的 な 根 拠 と な り う る 。

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8 (3) 開 発 利 益 と は 開 発 利 益 は 時 系 列 的 な も の と 地 域 横 断 的 な も の と に 分 け て 捉 え る こ と が で き る が 、 そ も そ も 開 発 利 益 と は 何 か と い う こ と に つ い て 、 開 発 利 益 還 元 制 度 研 究 会 3)( 以 下 、「 研 究 会 」 と い う 。) は 石 田 頼 房 の 指 摘 と と も に 研 究 会 と し て 以 下 の よ う に 整 理 し て い る 。 ま ず 、 石 田 頼 房 の 「 開 発 利 益 」 と い う 言 葉 に つ い て の 指 摘 は 以 下 の と お り で あ る 4)。 「『 開 発 利 益 』と い う 言 葉 は 、都 市 計 画・都 市 経 済・都 市 財 政 な ど 都 市 関 係 の 学 問 分 野 で は 一 般 的 に 使 わ れ て お り 、 都 市 計 画 ・ 宅 地 問 題 ・ 税 制 な ど に 関 す る 審 議 会 答 申 に も し ば し ば 登 場 す る 。 ま た 、 最 近 の 新 聞 記 事 に も 普 通 に み ら れ る 言 葉 で あ る 。 し か し 、 一 般 の 辞 書 ・ 百 科 事 典 、 例 え ば『 広 辞 苑 』( 岩 波 書 店 、1993 年 )、『 大 辞 林 』( 三 省 堂 1988 年 )、『 世 界 大 百 科 事 典 』( 平 凡 社 1981 年 )な ど に は 載 っ て い な い 。『 現 代 用 語 の 基 礎 知 識 1989 年 版 』( 自 由 国 民 社 1989 年 )に は 、新 設 項 目 で あ る『 土 地 ・ 不 動 産 用 語 』 に 『 開 発 利 益 の 還 元 』 が 載 っ て い る が 、 開 発 利 益 そ の も の は 『 地 価 上 昇 の 利 益 』 と い う 意 味 で 使 わ れ 、 厳 密 な 用 語 の 解 説 は な い 。 こ の よ う な あ つ か い は 、 開 発 利 益 と い う 言 葉 が 、 確 定 し た 意 味 内 容 を も ち 一 般 に 通 用 す る 用 語 で は な い と い う こ と で あ ろ う 。」 「 開 発 利 益 」 と い う 概 念 は 、 都 市 計 画 ・ 経 済 学 ・ 財 政 学 ・ 法 学 ・ 工 学 等 の 広 い 学 術 分 野 だ け で は な く 、 社 会 一 般 で 広 く 使 わ れ な が ら 、 そ の 厳 密 な 定 義 が さ れ て い な い と い う こ と で あ る 。 そ こ で 、 研 究 会 は 、 各 種 辞 書 等 に み ら れ る 諸 概 念 を 次 の よ う に 整 理 し て い る 。 ま ず 、経 済 学 的 な 解 釈 と し て は 、「 技 術 的 外 部 性 」に 着 目 し た 定 義 が な さ れ て お り 、 さ ら に 計 測 論 的 な 視 点 か ら 、 現 象 面 に 着 目 し た も の と し て 「 土 地 ・ 住 宅 価 格 等 の 資 産 価 値 の 上 昇 」 と 定 義 さ れ て い る 。 ま た 、 石 田 ( 1990) に お い て 紹 介 さ れ て い る よ う に 、 戦 前 の 都 市 計 画 当 局 に お け る 解 釈 の よ う に 「 有 形 無 形 の 利 便 性 の 向 上 」 に ま で 広 義 に 捉 え る よ う な 、 「 開 発 行 為 に よ っ て 生 じ た す べ て の 便 益 」 と す る 定 義 も あ る 。

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9 以 上 を 整 理 す る と 、開 発 利 益 の 定 義 は 大 き く 、( イ )開 発 行 為 に よ っ て 生 じ る す べ て の 便 益 、( ロ )“ 技 術 的 外 部 経 済 効 果 ” と す る 定 義 、 さ ら に は 、そ れ ら の 中 で も 市 場 の な か に 具 現 化 さ れ た 、( ハ )土 地・住 宅 価 格 の 上 昇 と す る 定 義 、 の 3 つ に 大 別 さ れ る 。 技 術 的 外 部 効 果 は 施 設 の 意 図 と 関 係 な く 発 生 す る 副 産 物 的 な 効 果 の こ と で あ る 。 開 発 効 果 の 波 及 に つ い て は 、 図 - 1 の よ う に 分 類 さ れ て お り 、 本 論 文 で は 「 社 会 資 本 整 備 に 起 因 す る 技 術 的 外 部 効 果 に よ っ て 具 現 化 さ れ た 土 地 ( 住 宅 ) 価 格 の 上 昇 」 と 定 義 す る 。 な お 、 開 発 利 益 の 定 義 を 「 土 地 ( 住 宅 ) 価 格 」 と 土 地 価 格 を 基 本 と し た の は 、 住 宅 の 場 合 、 構 造 や 材 料 、 築 後 年 数 に よ り 評 価 が 異 な る た め 、 住 宅 価 格 の 変 動 を 比 較 す る 場 合 、 す べ て の 住 宅 が 同 質 で あ る と 仮 定 す る こ と が 必 要 と な り 、 そ の 結 果 、 住 宅 価 格 の 変 動 率 は 土 地 価 格 の そ れ に 従 属 す る と 考 え ら れ る か ら で あ る 。 (図1)開発効果の分類と波及 フロー効果 (事業効果) 帰属(例) 利用効果 存在効果 (技術的)外部効果 ストック効果 (施設効果) 直接効果 間 接 効 果 波及効果 (金銭的外部効果) 利用者 沿線住民 沿線地主 商店主 「不動産学事典」(2002 p.75) 市場 2 . 先 行 研 究 に つ い て 地 方 公 共 サ ー ビ ス や 地 方 税 率 が 地 代 や 固 定 資 産 価 値 に 反 映 さ れ る と い う 「 資 本 化 仮 説 (capitalization hypothesis)」 の 理 論 分 析 に お い て は 、 Oates(1969)に よ り 、 地 代 最 大 化 と 地 方 公 共 サ ー ビ ス の 効 率 性 が 関 連 付 け ら れ て き た 。特 に Brueckner(1982)に 始 ま る 研 究 で は 、地 代 の 最 大 化 と 地 方 公 共 サ ー ビ ス の 最 適 性 に 関 す る 理 論 命 題 を 応 用 し 、 地 方 公 共 サ ー ビ ス の 効 率 性 が 固 定 資 産 デ ー タ を 用 い て 実 証 的 に 検 証 さ れ て い る 。ま た 、 Roback(1982)は 、労 働 者 と 企 業 の 最 適 化 行 動 を 考 慮 し た 一 般 均 衡 モ デ ル を 構 築 し 、 都 市 の ア メ ニ テ ィ ( 気 候 、 治 安 、 大 気 汚 染 度 な ど ) に つ い て 実 証 分 析 を 行 な っ た 。 こ の モ デ ル は 、 限 界 的 な ア メ ニ テ ィ の 増 加 が 地 代

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10 を 引 き 上 げ る 効 果 と 賃 金 を 下 げ る 効 果 の 和 で ア メ ニ テ ィ の 価 値 を 測 る と い う も の で 、 こ の 資 本 化 仮 説 を 利 用 し た 手 法 を 地 方 財 政 や 地 域 政 策 の 評 価 に 応 用 し た 研 究 も 存 在 す る 。 わ が 国 の 資 本 化 仮 説 の ア プ ロ ー チ に よ る 実 証 研 究 の 分 野 で は 、 社 会 資 本 の 効 率 性 を 評 価 す る も の が 行 わ れ て い る 。 田 中 (1999)、 井 出 (1999)、 三 井 ・ 林 (2001)は 、 Roback(1982)の ア プ ロ ー チ を 応 用 し た 実 証 分 析 で 、 生 活 基 盤 関 連 の 社 会 資 本 の 効 率 性 が 高 い と い う 結 論 を 得 て い る 。 林 (2003)は 、Brueckner(1982)の ア プ ロ ー チ に 従 い 、 地 域 別 ・ 分 野 別 の 社 会 資 本 水 準 の 最 適 性 ( 過 少 か 過 大 か ) を 検 証 し 、 都 市 の 生 活 基 盤 社 会 資 本 が 過 小 で あ る の に 対 し 、 非 都 市 の 交 通 基 盤 社 会 資 本 が 過 大 で あ る と い う 結 論 を 得 て い る 。 ま た 、 生 活 基 盤 投 資 に 関 し て 分 析 し た 赤 木 (2002)で は 、3 大 都 市 圏 で 投 資 水 準 が 最 適 水 準 よ り 小 さ か っ た の に 比 べ 、 地 方 部 で は 大 き く な っ て い た こ と を 示 し た 。 本 論 文 で は 、 地 価 下 降 期 の 地 域 横 断 的 に 発 生 す る 開 発 利 益 の 確 認 を 一 つ の 目 的 と し て お り 、 そ の た め に は 資 本 化 仮 説 の 前 提 条 件 で あ る 小 地 域 ( 市 町 村 ) を 対 象 と し た 分 析 が 必 要 で あ る 。 基 礎 自 治 体 を 対 象 と し た 先 行 研 究 に 、近 藤・寺 井・高 間 (2007)が あ る 。近 藤・寺 井・高 間 (2007)は 、 「 わ が 国 の 資 本 化 仮 説 に 関 す る 実 証 分 析 は 、 社 会 資 本 の 効 率 性 へ の 評 価 に 集 中 し て お り 、 基 礎 的 な 自 治 体 が 供 給 す る 地 方 公 共 サ ー ビ ス の 資 本 化 に つ い て 扱 っ た も の は こ れ ま で に 筆 者 の 知 る 限 り 存 在 し な い 」 と し て 、 全 国 の 全 都 市 を 対 象 に し た 都 市 財 政 の 資 本 化 に つ い て 実 証 分 析 を 行 な っ て い る 。 近 藤 ・ 寺 井 ・ 高 間 (2007)は 、 都 市 歳 出 ( も し く は 公 共 サ ー ビ ス ) お よ び 都 市 の 租 税 負 担 の 資 本 化 の 確 認 と 政 府 間 財 政 移 転 や 租 税 輸 出 が 資 本 化 の 程 度 に 与 え る 影 響 を 定 量 的 に 把 握 す る こ と を 目 的 と し 、 資 本 化 仮 説 の 実 証 分 析 の 手 法 と し て は 、 先 行 研 究 で 標 準 的 に 用 い ら れ る ヘ ド ニ ッ ク ・ プ ラ イ ス ア プ ロ ー チ( 地 価 関 数 を 推 定 )を 採 用 し て い る 。1985 年 度 か ら 5 年 ご と に 2000 年 度 ま で 分 析 し た 結 果 の 概 要 は 次 の と お り で あ る 。 公 共 支 出 の 変 数 と し て 性 質 別 歳 出 を 用 い た モ デ ル A で は 、 固 定 資 産 実

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11 効 税 率 、 地 方 債 比 率 は マ イ ナ ス 、 課 税 対 象 所 得 は プ ラ ス に 強 く 有 意 に な っ て お り 、 理 論 的 に 予 測 さ れ る と お り の 結 果 と な っ て い る こ と が 確 認 さ れ て い る 。 こ れ は 目 的 別 歳 出 を 用 い た モ デ ル B 、 公 共 サ ー ビ ス の 代 理 変 数 を 用 い た モ デ ル C に つ い て も ほ ぼ 同 様 と な っ て い る 。 性 質 別 支 出 で は 、 普 通 建 設 事 業 費 が 各 年 度 、 安 定 的 に 地 価 に 対 し て 有 意 に 正 の 影 響 を 与 え て い る こ と が 確 認 で き る の に 対 し 、 経 常 的 経 費 は 地 価 に つ い て は プ ラ ス の 影 響 を も た ら し て い な い 。目 的 別 支 出 で み る と 、 土 木 費 、教 育 費 が 地 価 に 対 し て プ ラ ス の 影 響 を も た ら し て い る の に 対 し 、 民 生 費 、 教 育 費 に つ い て は 地 価 に 対 し て マ イ ナ ス の 符 号 か 統 計 的 に 有 意 な 係 数 が 得 ら れ て い な い 。 ほ ぼ 同 様 の 結 果 は 、 代 理 変 数 を 用 い た モ デ ル C の 推 定 結 果 か ら も 伺 え る 。 イ ン フ ラ 関 連 の 代 理 変 数 と し て 用 い た 、 道 路 総 延 長 、 都 市 公 園 面 積 が 地 価 に 対 し 、 い ず れ の 年 も プ ラ ス に 強 く 有 意 と な っ て い る ほ か 、 教 育 水 準 の 高 さ を 代 理 す る 変 数 と し て 用 い た 、 進 学 率 も 1990 年 度 を 除 い て プ ラ ス に 有 意 と な っ て い る 。 上 記 の 研 究 は 全 都 市 を 対 象 に 公 共 サ ー ビ ス や 都 市 の 租 税 負 担 の 資 本 化 の 確 認 を し た も の で あ る が 、 基 本 的 に 都 道 府 県 や 国 が 整 備 し た 社 会 資 本 が 算 定 さ れ て い な い が 、 代 理 変 数 と し て 採 用 さ れ た 道 路 総 延 長 に は 市 道 以 外 の 都 道 府 県 道 や 国 道 も 含 ま れ て お り 、 こ の 点 の み 国 と 都 道 府 県 が 整 備 し た 社 会 資 本 が 分 析 の 対 象 と な っ て い る 。 た だ し 、 社 会 資 本 投 資 を 分 析 す る 場 合 に は 、道 路 総 延 長 で は な く 道 路 総 面 積 を 対 象 と す べ き で あ る 。 実 際 、 地 価 下 降 期 の 1991 年 か ら 2005 年 ま で の 大 阪 府 の 道 路 総 延 長 の 増 加 は 8.6% で あ っ た の に 対 し 、 道 路 総 面 積 は 13.1% の 増 加 で あ っ た 。 ま た 、 都 市 施 設 の 整 備 が す す ん で い る 都 市 で は 、 地 価 下 降 期 以 前 に 都 市 公 園 の 整 備 が 完 了 し 、 本 論 文 の 分 析 の 対 象 と な る 期 間 で は 面 積 に 変 化 の な い 都 市 が い く つ か あ る た め 、 本 論 文 で は 代 理 変 数 と し て は 採 用 で き な か っ た 。 ま た 、 資 本 化 仮 説 で は 社 会 資 本 の 追 加 的 な 供 給 が 地 代 へ 及 ぼ す 影 響 が 議 論 の 基 礎 と な っ て い る が 、 上 記 研 究 で は 5 年 ご と の 地 価 関 数 を 推 定 し て い る も の の 、 社 会 資 本 の 変 数 は 5 年 間 の 追 加 的 な 供 給 量 で は な く 、 そ

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12 の 時 点 の 社 会 資 本 の ス ト ッ ク 量 と な っ て い る 。 そ こ で 、 本 論 文 で は 資 本 化 仮 説 に 基 づ い て 、 市 町 村 別 の 道 路 面 積 の 追 加 的 な 供 給 を 社 会 資 本 の 代 理 変 数 と し て 、 総 地 代 へ の 帰 着 度 を 計 測 す る 。 3 . ま と め 開 発 利 益 を 「 社 会 資 本 整 備 に 起 因 す る 技 術 的 外 部 効 果 に よ っ て 具 現 化 さ れ た 土 地 ( 住 宅 ) 価 格 の 上 昇 」 と 定 義 す る 。 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 の 存 在 は 、 地 方 公 共 財 ( 社 会 資 本 ) の 追 加 的 な 整 備 に よ る 便 益 が 地 代 に 帰 着 す る と い う 資 本 化 仮 説 に 基 づ い て 確 認 す る 。 デ ー タ の 制 約 に 起 因 す る と 考 え ら れ る が 、 基 礎 自 治 体 ( 市 町 村 ) を 単 位 と し た 資 本 化 仮 説 に 基 づ く 実 証 分 析 は 数 が 少 な い 。 市 町 村 単 位 の 先 行 研 究 に は 国 や 都 道 府 県 に よ る 社 会 資 本 整 備 効 果 が 反 映 さ れ て い な い 。 本 論 文 で は 市 町 村 別 の 国 道 、 府 道 と 市 町 道 を 合 わ せ た 単 位 自 治 体 ご と の 道 路 面 積 の 変 動 率 を 地 方 公 共 財 の 代 理 変 数 に 用 い て 資 本 化 仮 説 に 基 づ く 実 証 分 析 を 試 み る 。

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第 2 章 具 体 的 事 例 に み る 開 発 利 益 の 還 元

こ の 章 で は 、 大 阪 府 の 大 規 模 開 発 事 業 を 例 に 資 本 化 仮 説 に 照 ら し 、 社 会 資 本 整 備 と そ の 地 代 へ の 帰 着 度 に つ い て 述 べ る が 、 は じ め に 、 こ れ ら の 事 業 の 概 要 と 社 会 的 な 背 景 に つ い て 紹 介 す る 。 1 . 大 阪 府 の 大 規 模 開 発 事 業 (1) 事 業 の 概 要 大 阪 府 の 大 規 模 な 開 発 事 業 の 代 表 例 は 、 千 里 ニ ュ ー タ ウ ン と 堺 臨 海 コ ン ビ ナ ー ト の 造 成 で あ る 。1957 年 の 新 長 期 経 済 計 画 に よ り 高 度 経 済 成 長 が 促 進 さ れ た が 、 両 事 業 は 石 油 へ の エ ネ ル ギ ー 転 換 と 農 業 の 近 代 化 と い う 同 計 画 の 趣 旨 に 沿 う も の で あ っ た 。 す な わ ち 、 産 業 の 高 度 化 を す す め る た め の 工 業 用 地 が 臨 海 部 に 求 め ら れ 、 農 業 の 近 代 化 で 都 市 へ 移 動 し た 過 剰 人 口 に よ る 住 宅 ・ 宅 地 へ の 需 要 が 増 し て い た の で あ る 。 千 里 ニ ュ ー タ ウ ン と 堺 臨 海 コ ン ビ ナ ー ト の 造 成 の 事 業 は そ れ ぞ れ 建 築 部 、 土 木 部 の 事 業 と し て す す め ら れ て い た が 、 事 業 当 初 の 資 金 調 達 に お い て は 臨 海 開 発 と 宅 地 開 発 に 大 き な 差 が あ っ た 。 こ れ ら の 事 業 は 原 価 主 義 を 原 則 に 独 立 採 算 で 施 行 さ れ る 。 す な わ ち 、 事 業 初 期 の 資 金 は 起 債 や 他 会 計 か ら の 借 入 金 で 調 達 し 、 そ の 後 の 土 地 分 譲 収 入 で 償 還 す る 。 そ の た め 安 定 し た 資 金 の 調 達 が 重 要 で あ る が 、 臨 海 開 発 が 起 債 適 用 事 業 で 、 水 面 予 約 に よ る 予 納 金 の 収 入 が あ り 、 さ ら に 、 マ ル ク 債 発 行 が 確 実 に な っ た の に 対 し 、 宅 地 開 発 の そ れ は 難 を 抱 え て い た 。 そ こ で 、 宅 地 開 発 を 臨 海 開 発 と 合 わ せ て 、 新 た な 組 織 の も と で 行 う こ と に し 、 企 業 局 と い う 組 織 を 設 置 し た と 考 え ら れ る 。企 業 局 の 発 足 は 1960 年 で あ る が 、両 事 業 は 1967 年 の 「 大 阪 地 方 計 画 」 に 位 置 づ け ら れ 、 3 環 状 10 放 射 の 道 路 と と も に 大 阪 府 の 看 板 事 業 と し て 推 進 さ れ た 。 1973 年 の オ イ ル シ ョ ッ ク は 、 石 油 依 存 型 の 産 業 構 造 の 見 直 し を 迫 り 、 電 機 、自 動 車 な ど の 知 識・技 術 集 約 型 へ の 転 換 が 図 ら れ よ う と し て い た 。 1974 年 、航 空 審 議 会 が 新 空 港 の 泉 州 沖 設 置 を 答 申 し 、1979 年 に 新 空 港 推

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14 進 を 公 約 し た 知 事 が 当 選 す る と 、 関 西 財 界 と 自 治 体 は 国 際 化 に よ る 地 域 整 備 構 想 を 描 き 、 1982 年 に 大 阪 府 総 合 計 画 が 策 定 さ れ た 。 当 時 、 500 億 円 余 り の 剰 余 金 が あ っ た 企 業 局 は 、 新 空 港 の 地 元 負 担 金 及 び り ん く う タ ウ ン と 阪 南 ス カ イ タ ウ ン の 関 連 事 業 を 担 う こ と に な る 。 新 空 港 対 岸 部 の り ん く う タ ウ ン は そ の 中 核 に 位 置 付 け ら れ 、バ ブ ル 経 済 崩 壊 時 に は 2000 億 円 の 未 収 金 が 見 込 ま れ な が ら も 事 業 は 推 進 さ れ た 。こ の こ と が 約 2800 億 円 を も の 財 源 不 足 の 原 因 と な っ た の で あ る 。 事 業 名 造 成 面 積 事 業 費 事 業 期 間 備 考 1957~1966年度 堺地区 1961~1972年度 泉北地区 二色の浜環境整備事業 251.7ha 950億円 1976~1989年度 事業費は港湾局 所管事業を除く 千里ニュータウン 1,160ha 592億円 1960~1969年度 泉北ニュータウン 1,557ha 2,996億円 1965~1982年度 りんくうタウン 318.4ha 5,900億円 1986~2025年度 阪南スカイタウン 171ha 1,356億円 1988~2013年度 堺・泉北臨海工業地帯 1,711.4ha 918億円 (表1)  企業局事業の概要 「大阪府企業局事業概要」(2001年度)より作成 (2) 地 価 下 降 期 の 事 業 り ん く う タ ウ ン は 1985 年 6 月 に 新 空 港 の 補 完 基 地 と し て 計 画 さ れ 、当 初 の 事 業 費 は 1700 億 円 で あ っ た 。バ ブ ル 経 済 期 に「 交 流 と ハ イ ア メ ニ テ ィ に あ ふ れ る 臨 空 都 市 」 に 位 置 付 け ら れ る と 、 人 工 地 盤 な ど の 高 規 格 の 施 設 が 追 加 さ れ 、事 業 費 は 5500 億 円 と な る 。こ の よ う に 事 業 が 変 更 さ れ た 背 景 に は 、1985 年 の プ ラ ザ 合 意 で 、政 府 は 内 需 拡 大 政 策 を 公 約 し た こ と が あ げ ら れ る 。 プ ラ ザ 合 意 の 内 需 拡 大 の 具 体 的 な 政 策 と し て 、1986 年 に 第 四 次 全 国 総 合 計 画 を 閣 議 決 定 す る が 、官 民 合 わ せ て 国 土 基 盤 に 1000 兆 円 の 投 資 を す る と い う も の で あ っ た 。関 西 で は 、1987 年 に は 四 国 の 一 部 を 含 む 産 学 官 の 総 力 を あ げ て 、 す ば る プ ラ ン ( 近 畿 創 生 計 画 ) を 策 定 し て い る 。 こ の な か で 示 さ れ た 「 臨 空 都 市 圏 構 想 」 を 受 け 、 大 阪 府 は り ん く う タ ウ ン を

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15 「 交 流 と ハ イ ア メ ニ テ ィ に あ ふ れ る 臨 空 都 市 」 と 位 置 づ け た 。 民 間 の 投 資 も 拡 大 す る な か で 、 臨 空 都 市 圏 構 想 の 中 核 と さ れ た り ん く う タ ウ ン に は 企 業 が 殺 到 し た 。 し か し 、 バ ブ ル 経 済 が 崩 壊 す る と 企 業 は 相 次 い で 撤 退 を 表 明 し た た め 、 分 譲 対 象 企 業 を 海 外 に 求 め 、 そ れ を 名 目 に 高 規 格 の 施 設 整 備 は 続 け ら れ た 。 大 阪 府 が 1989 年 に 発 表 し た「 臨 空 都 市 圏 構 想 」で は 、り ん く う タ ウ ン の 「 開 発 利 益 の 還 元 」 に よ る ま ち づ く り が 示 さ れ て お り 、 バ ブ ル 経 済 期 に は 、 そ の 分 譲 利 益 と 進 出 企 業 の 開 発 利 益 を 還 元 す る こ と が 盛 ん に 論 じ ら れ て い た 。 関 西 国 際 空 港 の 二 期 事 業 や 全 体 構 想 に 大 き な 影 響 を も つ 六 空 整 の 航 空 審 議 会 で も 、 1991 年 11 月 の 答 申 で 「 開 発 利 益 の 還 元 」 に よ る 地 元 協 力 も 答 申 し た の で あ る 。 当 時 の 大 阪 府 幹 部 は 、 り ん く う タ ウ ン 事 業 の 開 発 利 益 の う ち 、1000 億 円 ~ 1500 億 円 を 地 元 負 担 金 と し て 充 当 す る こ と を 目 論 ん で い た 。 こ の よ う に 、 国 際 化 の 手 段 で あ っ た 関 西 国 際 空 港 建 設 が 目 的 化 さ れ 、 六 空 整 の 航 空 審 議 会 で「 二 期 事 業 着 工 」に つ い て の 答 申 の た め に は 、「 航 空 需 要 の 創 造 」 が 必 要 で あ っ た 。 そ の た め に 財 源 が 不 足 す る こ と が 予 測 さ れ な が ら も 事 業 は 推 進 さ れ た の で あ る 。1992 年 に 議 員 立 法 で ベ イ エ リ ア 法 が 成 立 さ れ 、 関 空 を 中 心 と す る 湾 岸 都 市 圏 構 想 の 実 現 を め ざ し た 。 り ん く う タ ウ ン は 、 そ の 構 想 の 中 核 で 、 完 成 が 必 要 条 件 と さ れ た の で あ る 。 そ の た め 、 企 業 局 事 業 の 収 束 が 明 ら か に な っ て も 、 り ん く う タ ウ ン は 2002 年 に 国 際 交 流 特 区 申 請 を し 、一 般 財 源 を 投 入 し て 事 業 を す す め ら れ て い る の で あ る 。 2 . 開 発 利 益 還 元 の 具 体 的 手 法 開 発 利 益 還 元 論 を 実 際 の 宅 地 開 発 事 業 に 適 用 す る と 、 次 の よ う に 説 明 さ れ る 。 事 業 者 は 用 地 買 収 に よ っ て 得 た 事 業 地 に 公 共 施 設 を 整 備 し 、 公 益 的 施 設 に つ い て は 整 備 費 の 一 部 を 負 担 す る 。 公 共 施 設 と は 道 路 、 上 水 道 、 下 水 道 、 公 園 な ど で 、 公 益 的 施 設 と は 教 育 、 鉄 道 、 ガ ス ・ 電 気 の 供 給 施 設 な ど で あ る 。 こ れ ら の 施 設 を 整 備 す る こ と に よ り 、 造 成 し た 宅 地

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16 や 業 務 用 地 の 付 加 価 値 を 高 め る の で あ る 。 つ ま り 、 開 発 事 業 者 が 内 部 化 し た 利 益 で 、 公 共 施 設 を 整 備 す る と と も に 公 益 的 施 設 整 備 の 費 用 を 負 担 し 、 公 益 的 事 業 者 と 土 地 購 入 者 が 受 益 者 と な る 。 ま た 、 間 接 的 に は こ れ ら の 施 設 整 備 に よ り 開 発 地 周 辺 の 住 民 ・ 事 業 者 も 受 益 を 受 け る 。 こ の よ う に 説 明 さ れ る 事 業 の 開 発 利 益 の 還 元 は 、 (1)内 部 化 、 (2)直 接 的 徴 収 、(3)間 接 的 徴 収 の 3 通 り に 分 類 で き る 。( 1)内 部 化 は 、開 発 事 業 者 に よ る 土 地 の 先 行 取 得 に よ り 生 ま れ 、 整 備 後 の 分 譲 代 金 と し て 回 収 さ れ る 。( 2) 直 接 的 徴 収 は 、 宅 地 開 発 指 導 要 綱 に 規 定 さ れ る 開 発 者 負 担 と し て 開 発 地 の 自 治 体 や 電 気・ガ ス・通 信 等 の 施 設 整 備 負 担 金 に 帰 着 す る 。 ( 3)間 接 的 徴 収 は 、最 終 的 に 地 代 に 帰 着 し た 便 益 が 固 定 資 産 税 な ど の 課 税 に よ っ て 回 収 さ れ る 。 宅 地 開 発 事 業 費 の 内 訳 は 用 地 買 収 費 、 宅 地 造 成 や 道 路 、 下 水 道 な ど の 工 事 費 と 事 務 費 及 び 借 入 金 利 息 で あ る 。 こ れ ら の 事 業 費 の 財 源 は 、 企 業 債 や 他 会 計 か ら の 借 入 金 で 事 業 当 初 の 用 地 買 収 費 や 造 成 事 業 費 が 賄 わ れ る 。 ま た 、 道 路 、 下 水 道 や 公 園 な ど の 公 共 施 設 を 国 庫 補 助 事 業 で 整 備 す る 場 合 は 補 助 金 が 事 業 収 入 と な り 、 企 業 債 や 他 会 計 か ら の 借 入 金 に つ い て は 、 造 成 さ れ た 土 地 の 分 譲 代 金 が そ れ ら の 償 還 や 返 済 に 充 て ら れ る 。 資 本 化 仮 説 で は 、 社 会 資 本 整 備 に よ る 便 益 は 最 終 的 に す べ て 地 代 ・ 地 価 に 帰 着 す る と さ れ る の で 、 地 代 の 増 分 = 社 会 資 本 整 備 の 限 界 便 益 = 社 会 資 本 整 備 の 限 界 費 用 と い う 関 係 が 成 立 し て い る 。 こ の 地 代 の 増 分 を 開 発 利 益 の 還 元 策 に よ っ て 税 収 等 で 回 収 す れ ば 、そ の 費 用 を 丁 度 賄 う こ と が で き る 。一 般 的 に は 、 地 代・地 価 へ の 帰 着 が 過 大 、完 全( 仮 説 成 立 )、過 小 、社 会 資 本 整 備 の 水 準 が 過 大 、最 適 、過 小 の 組 み 合 わ せ に な る の で 、9 通 り の 可 能 性 が あ る 。 次 に 、 大 阪 府 事 業 の 千 里 ニ ュ ー タ ウ ン と 泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン の 事 業 を 例 に 、そ の 事 業 費 の 内 訳 に つ い て 検 討 す る 。そ れ ぞ れ( 表 2 )、(表 3 )の と お り で あ る が 、用 地 買 収 費 は 千 里 ニ ュ ー タ ウ ン で 124 億 円( 16.4% )、泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン で 376 億 円( 12.5%)と な っ て い る の に 対 し 、剰 余 金 は 最

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17 終 的 に 千 里 ニ ュ ー タ ウ ン で 237 億 円 、 泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン で 1,296 億 円 と な る 見 通 し で あ る 5)。 ま た 、( 表 1 )、 (表 2 )に 示 す と お り 、 負 担 金 は 千 里 ニ ュ ー タ ウ ン で 29 億 円( 3.9% )、泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン で 539 億 円 (18.0% ) と な っ て い る 。 こ の 剰 余 金 と 負 担 金 の 合 計 が 内 部 化 に よ る も の と 考 え る と 、千 里 ニ ュ ー タ ウ ン で は 収 入 の 21.8% 、泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン で は 収 入 の 42.2% に も な り 、 事 業 者 へ の 開 発 利 益 の 還 元 が 、 い か に 大 き い か が 分 か る 。 資 本 化 仮 説 に 照 ら せ ば 、 こ れ ら の 事 業 で は 、 社 会 資 本 整 備 に よ る 地 代 ・ 地 価 へ の 帰 着 度 合 い が 過 大 で あ る と 言 え る 。 資 本 化 仮 説 等 の 公 共 経 済 学 に 基 づ く 立 地 論 よ る と 、 土 地 購 入 者 が 支 払 っ て も よ い と 考 え る 最 大 の 地 代 で あ る 付 け 値 地 代 が 内 部 化 の 大 き さ を 決 定 付 け る 。 す な わ ち 、 造 成 原 価 を 上 回 る 付 け 値 地 代 で あ れ ば 事 業 に 剰 余 金 が 生 ま れ る の で あ る 。 そ の 実 態 に つ い て 次 項 で 泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン を 例 に 検 証 す る 。

(百万円)

12,421

16.4%

道路

4,530

6.0%

宅地造成

4,771

6.3%

公園緑地

1,104

1.5%

河川改修

2,210

2.9%

上水道

1,409

1.9%

下水道

4,011

5.3%

保安仮設

753

1.0%

その他

1,635

2.2%

20,423

27.0%

宅地整備工事費

1,563

2.1%

建物建設工事費

7,911

10.5%

事務費

2,880

3.8%

借入償還元金

19,196

25.4%

借入金利息

8,261

10.9%

負担金

2,924

3.9%

75,579

100.0%

出所:大阪府(1970)「千里ニュータウンの建設」

用 地 買 収 費

(表2) 千里ニュータウン事業資金計画 新住宅市街地開発事業法による法定事業最終計画変更 (1970年)の資金計画である。その後の任意開発事業に よって、最終的な収入は1,219億円、支出は982億円の見 通しが2001年に発表された。

(22)

18

用地買収費

37,580

12.5%

造成工事費

104,957

35.0%

宅地整備費

7,016

2.3%

建物建設費

26,350

8.8%

各種負担金

53,891

18.0%

借入金利息

37,772

12.6%

事務費

32,071

10.7%

299,637

100.0%

国庫補助金

10,925

3.6%

一般会計補助金

7,421

2.5%

地方債

114,714

38.3%

(交付公債)

17,443

5.8%

(上・下水道債)

8,758

2.9%

(住宅金融公庫)

88,513

29.5%

他会計借入金

14,700

4.9%

土地分譲代金等

151,877

50.7%

299,637

100.0%

 出所:大阪府(1986)「泉北ニュータウンの建設」

(表3) 泉北ニュータウン事業資金計画   (百万円) 新住宅市街地開発事業法による法定事業最終計画変更時 (1980年)の資金計画である。この時点では地方債と他会計 借入金が財源の一部となっているが、1982年度に法定事業 が完了した後の任意開発事業で収入された分譲代金を地方 債と他会計借入金の償還に充てた。その結果、最終的に収 入が4,356億円、支出が3,060億円となる見通しが2001年に 発表された。 3 . 地 価 上 昇 期 の 開 発 利 益 の 内 部 化 大 阪 府 の 宅 地 造 成 事 業 は 原 価 主 義 に 基 づ く 独 立 採 算 制 を 原 則 と す る が 、 泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン 事 業 で は 約 1,300 億 円 と い う 剰 余 金 が 生 ま れ 、 ま た 、 千 里 ニ ュ ー タ ウ ン や 堺 ・ 泉 北 臨 海 コ ン ビ ナ ー ト の 事 業 で も 多 額 の 剰 余 金 が 残 る こ と に な っ た 。 原 価 主 義 の 大 阪 府 宅 地 造 成 事 業 で 、 な ぜ 、 剰 余 金 が 生 ま れ る の か 、 そ の 過 程 に つ い て 述 べ る 。 泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン 事 業 は 、 新 住 宅 市 街 地 開 発 事 業 法 に 基 づ き 、 原 価 で 宅 地 を 分 譲 す る が 、 業 務 用 地 の よ う に 営 利 を 目 的 と す る 企 業 に は 時 価 で

(23)

19 売 却 す る こ と に な る 。 時 価 が 原 価 を 上 回 れ ば 、 当 然 、 そ の 差 額 が 利 益 と な る 。 そ れ が 利 益 の 源 の 一 つ で あ る 。 利 益 の 源 泉 は 、 も う 一 つ あ り 、 そ れ は 原 価 主 義 と い い な が ら 、 原 価 は 事 業 の 会 計 を 閉 じ た 時 点 に な っ て 、 は じ め て 確 定 さ れ る と い う 事 業 の 性 格 か ら く る も の で あ る 。 事 業 期 間 中 は 災 害 や オ イ ル シ ョ ッ ク の よ う な 経 済 変 動 な ど 、 将 来 の 不 確 定 要 素 を 織 り 込 み 、 推 定 し た 原 価 で 事 業 を す す め ざ る を え な い こ と か ら 、 分 譲 価 格 は 原 価 よ り 高 く 設 定 す る の が 通 例 で あ る 。 図 1 に 示 し た 未 成 造 成 資 産 は 、 実 際 に 要 し た 用 地 費 、 工 事 費 等 の 累 計 で 、 こ れ と 分 譲 収 入 と 国 庫 補 助 金 と の 合 計 の 差 が 利 益 と な る 。 推 定 し た 原 価 を 未 決 算 原 価 と い い 、 こ れ に 法 定 積 立 金 等 の 利 益 剰 余 金 を 上 乗 せ し た 価 格 で 分 譲 す る こ と に な る 。 未 決 算 原 価 勘 定 は 表 4 の よ う に 未 成 造 成 資 産 を 上 回 っ て い る が 、 そ の 差 額 は 「 残 事 業 」 や 「 将 来 の 不 確 定 要 素 」 の 費 用 に 充 て ら れ る 。 こ れ ら の 費 用 が 想 定 以 下 に な れ ば 、 利 益 が 生 ま れ る こ と に な る 。 す な わ ち 、 利 益 剰 余 金 、 残 事 業 と 不 確 定 要 素 の 費 用 を 多 め に 見 積 も れ ば 、 精 算 時 の 収 支 差 ( 利 益 ) が 増 え る こ と に な る 。 そ の 関 係 は 、 分 譲 収 入 に 対 す る 未 決 算 原 価 勘 定 の 比 率 ( = 原 価 率 ) に 示 さ れ 、 1 か ら 原 価 率 を 引 い た 値 が 利 益 率 と な る 。関 空 特 別 会 計 が 設 け ら れ た 1984 年 度 ま で の 累 計 で は 、表 4 の よ う に 、そ れ は 93.4% で あ っ た が 、そ の 年 度 に 分 譲 さ れ た 宅 地 の 原 価 率 は 70% に 引 き 下 げ ら れ 6)、利 益 率 が 大 き く 膨 ら む 。さ ら に 、 分 譲 収 入 に 対 す る 未 成 造 成 資 産 の 比 率 ( = 支 出 ÷収 入 ) は 、 1984 年 度 ま で の 76% か ら 最 終 的 に は 70% に 減 少 す る 見 通 し で あ る ( 表 4 参 照 )。 な お 、 千 里 ニ ュ ー タ ウ ン の 場 合 は 80% と な っ て い る 。 こ れ ら の こ と は 、1984 度 の 決 算 特 別 委 員 会 で 議 論 さ れ 、企 業 局 の 土 地 売 買 に つ い て は 議 会 の 承 認 が 一 切 不 要 な た め 、 企 業 局 長 の 「 裁 量 」 で 利 益 の 操 作 が で き る こ と に な る こ と が 指 摘 さ れ た 。泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン 事 業 は 、 1982 年 度 に 法 定 事 業 は 終 わ り 、残 事 業 費 も わ ず か で 、不 確 定 要 素 も 考 え ら れ ず 、当 時 の 最 終 収 益 見 込 み は 表 4 の 1984 年 度 末 時 点 で は 415 億 円 で

(24)

20 あ っ た が 、 実 際 に は 表 4 の 2005 年 度 以 降 に お い て は 1296 億 円 に も 膨 ら む こ と に な る 。

出資金

貸付金

資本金

剰余金

国庫補助金

・未決算原価勘定:計画事業費に基づく 宅地売却原価。事業費を精算して原価が 確定するまでの間、経過的に整理するた めの勘定。未成造成資産に残事業費や不 確定要素の費用を加えたもの。 (1984年度大阪府議会決算特別委員会会議 録より作成) 利 益 ・未成造成資産:用地費、工事費等の実 際に要した費用の合計。

原価率=

分 譲 収 入

未決算原価勘定

分譲収入

(図2) 泉北ニュータウン事業:財務構成の概要

資 産 の 部 ( 貸 方 ) 負 債 の 部 資本 の部 ( 借 方 ) 支 出

現金預金

(25)

21 分譲収入合計(A) 2,606 億円 - 億円 収入(A) 4,250億円 未決算原価勘定(B) 2,435 億円 2,913 億円 支出(B) 3,017億円 未成造成資産(C) 1,970 億円 2,100 億円 収 支 差 1,233億円 (D)=(B)-(C) 465 億円 813 億円 B/A 71.0% 原価率=B/A(C/A) 今後の分譲収益(E) 250 億円 収入(A) 4,356億円 収益計(F)=(D)+(E) 715 億円 支出(B) 3,060億円 残事業費(H) 300 億円 収 支 差 1,296億円 収益見込み=(F)-(H) 415 億円 B/A 70.2% 2000年度末(3) 2005年度以降(3) (表4)泉北ニュータウン事業の原価率の推移 (3)「企業局事業の収支見通しと会計のあり方」(2001年8月)より作成 (2)「1999年度包括外部監査結果報告書」より作成 1984年度末(1) 1998年度末(2) (1) 1984年度決算特別委員会会議録」より作成 93.4%(75.6%) 4 . 地 価 下 降 期 の 開 発 事 業 の 財 源 に つ い て 通 常 の 事 業 で は 、 用 地 の 先 行 取 得 に 着 手 し た 時 点 で の 「 開 発 の ア ナ ウ ン ス 効 果 」 に よ り 地 価 が 上 昇 し 、 地 方 公 共 財 の 整 備 に よ る 便 益 の 一 部 が 織 り 込 ま れ た 価 格 で 用 地 を 取 得 す る こ と に な る 。 し か し 、 千 里 ニ ュ ー タ ウ ン と 泉 北 ニ ュ ー タ ウ ン で は 、 開 発 地 を 短 期 間 で 全 面 買 収 す る こ と を 目 指 し た た め 、 い わ ゆ る 「 開 発 の ア ナ ウ ン ス 効 果 」 に よ る 用 地 取 得 単 価 の 上 昇 を あ る 程 度 避 け る こ と が で き 、 開 発 利 益 の 還 元 論 に い う 「 内 部 化 」 さ れ た 金 額 は 膨 大 な も の と な っ た 。 一 方 、り ん く う タ ウ ン で は 当 初 計 画 で は 1400 億 円 で あ っ た 事 業 費 が 実 施 段 階 で 1,700 億 円 と さ れ 、 さ ら に バ ブ ル 経 済 期 に 施 設 の 整 備 水 準 が 高 規 格 の も の に 変 更 さ れ た た め 、そ の 3 倍 以 上 の 5,500 億 円 に 増 加 さ れ た 。 大 阪 府 が 1989 年 に 発 表 し た「 臨 空 都 市 圏 構 想 」で は 、り ん く う タ ウ ン

(26)

22 の 「 開 発 利 益 の 還 元 」 に よ る ま ち づ く り が 示 さ れ て お り 、 バ ブ ル 経 済 期 に は 、 そ の 分 譲 利 益 と 進 出 企 業 の 開 発 利 益 を 還 元 す る こ と が 盛 ん に 論 じ ら れ て い た 。 関 西 国 際 空 港 の 二 期 事 業 や 全 体 構 想 に 大 き な 影 響 を も つ 六 空 整 の 航 空 審 議 会 で も 、 1991 年 11 月 に 「 開 発 利 益 の 還 元 」 に よ る 地 元 協 力 も 答 申 し た の で あ る 。 当 時 の 大 阪 府 幹 部 は 、 り ん く う タ ウ ン 事 業 の 開 発 利 益 の う ち 、1,000 億 円 ~ 1,500 億 円 を 地 元 負 担 金 と し て 充 当 す る こ と を 目 論 ん で い た 7)。 し か し 、バ ブ ル 経 済 崩 壊 後 も 高 規 格 の 施 設 整 備 が 続 け ら れ た た め 、1995 年 2 月 の 事 業 収 支 の 見 直 し で は 借 金 の 返 済 に 当 た る 企 業 債 利 息 の 約 1,500 億 円 を 新 た に 見 込 ま ざ る を え な く な り 、 そ の 結 果 事 業 費 も (表 5 ) の よ う に 、 7,400 億 円 余 り に 膨 れ 上 が っ た 。 大 阪 府 の 大 規 模 宅 地 造 成 事 業 で は 、 り ん く う タ ウ ン の ほ か に 阪 南 ス カ イ タ ウ ン と 箕 面 北 部 丘 陵 開 発 事 業 の 水 と 緑 の 健 康 都 市 ( 箕 面 森 町 ) が バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 後 に 実 施 さ れ た が 、 こ れ ら の 事 業 は り ん く う タ ウ ン と と も に 財 源 不 足 が 懸 念 さ れ る と し て 、2001 年 8 月 に 大 阪 府 は「 企 業 局 事 業 の 収 支 見 通 し と 会 計 の あ り 方( 案 )」を 明 ら か に し た 。そ こ で 示 さ れ た「 収 支 見 通 し( 試 算 )」が( 図 2 )で 、企 業 局 事 業 は 2,079 億 円 の 財 源 不 足 が 見 込 ま れ る と の 内 容 で あ っ た 。 こ の 収 支 見 通 し で 、 り ん く う タ ウ ン の 事 業 費 は 6,408 億 円 と な っ た も の の 、 2,789 億 円 も の 巨 額 の 財 源 が 不 足 す る こ と に な っ た ( 図 2 の 「 全 体 収 支 見 通 し 」 参 照 )。 そ こ で 、「 最 終 の 全 体 収 支 見 通 し 」 で は 、 道 路 や 公 園 の 公 共 用 地 を 643 億 円 で 一 般 会 計 が 所 管 す る 公 共 事 業 部 署 に 売 却 す る こ と と し 、 ま た 、 埋 立 事 業 と し て 整 備 し た 道 路 や 公 園 の 一 部 を 埋 立 事 業 か ら 一 般 公 共 事 業 に 振 替 え る 措 置 を し た 。 そ の 費 用 は 205 億 円 で 、 こ れ と 公 共 用 地 の 売 却 収 入 の 643 億 円 と の 合 計 848 億 円 が 一 般 財 源 か ら り ん く う タ ウ ン 事 業 の 財 源 不 足 に 充 て ら れ る こ と に な り 、 財 源 不 足 金 額 は 1,941 億 円 に 縮 小 さ れ た 。 こ の よ う に 企 業 局 の 収 支 見 通 し 案 の な か で 、 独 立 採 算 制 の 事 業 の 財 源 不 足 に 一 般 財 源 が 充 て ら れ る こ と が 明 ら か に さ れ た 。 そ の 金 額 は 、 り ん く う タ ウ ン 事 業 の 848 億 円 、 阪 南 ス カ イ タ ウ ン

(27)

23 の 1 億 円 、水 と 緑 の 健 康 都 市 の 680 億 円 と 合 わ せ て 1,529 億 円 に の ぼ る 。 と こ ろ で 、 り ん く う タ ウ ン 事 業 で は 巨 額 の 財 源 不 足 を 生 む こ と に な っ た が 、 事 業 地 に 隣 接 す る 地 域 で は 農 地 転 用 が す す み 新 た な 宅 地 が 供 給 さ れ て い る 。 ま た 、 関 西 国 際 空 港 開 港 後 も 地 価 の 下 落 は 続 い た が 下 げ 幅 が 小 さ く な り 、さ ら に は 路 線 価 が 上 昇 し た 地 点 が 確 認 さ れ て い る 。当 時 は 、 り ん く う タ ウ ン が 所 在 す る 泉 佐 野 市 は も ち ろ ん 、 大 阪 府 全 域 で 地 価 が 下 落 し て い る 時 期 で あ っ た が 、 路 線 価 が 上 昇 し た 地 点 は 阪 神 高 速 道 路 湾 岸 線 の 出 入 路 付 近 で あ る 。 肥 田 野 (1992)が い う 公 共 施 設 の 整 備 が も た ら す 「 地 域 横 断 的 に 発 生 す る 」 開 発 利 益 な の で あ ろ う か 。 そ こ で 、 次 章 で は 資 本 化 仮 説 等 に 基 づ き 、 泉 佐 野 市 と そ の 周 辺 地 域 の 開 発 利 益 に つ い て 検 証 を 試 み る 。

事 業 名

1985年6月

1990年

1995年2月

工事費

1,210

4,060

3,973

 護岸

270

 埋立

440

 附帯工事 その他

500

2,860

2,802

事務費(含設計)

70

257

564

 小計

1,280

4,317

4,537

企業債利息

183

1,616

その他

1,000

1,250

港湾整備事業

岸壁、防波堤、埋立等

120

1,400

5,500

7,403

1,200

1,171

(表5)りんくうタウン事業費の見直しの推移

臨海土地造成

(28)

24 (全体収支見通し) (最終の全体収支見通し) (単位:億円) 収入   4,262 (内、公共用地取得等 643) 公共事業負担  205 不足分 1,941 収入   980 収入   980 公共事業負担  1 △233億円 不足分  470 収入   186 収入   186 公共事業負担 680 不足分  70 概成事業等の利益   1,931 概成事業等の利益 長期貸付利息等 1,998 財源不足 2,079 出資法人財産活用 250 阪南スカイタウン  事業費 1,451   不足分  471 不足分  750 (図3)収支見通し(試算) 一般会計への 引継ぎ資産 233 「企業局事業の収支見通しと会計のあり方(案)」(2001年)より作成 水と緑の健康都市  事業費  936   収入  3,619 りんくうタウン  事業費 6,408   不足分 2,789 3 . ま と め 実 際 の 宅 地 開 発 事 業 で は 、 開 発 事 業 者 が 内 部 化 し た 利 益 で 、 公 共 施 設 を 整 備 す る と と も に 公 益 的 施 設 整 備 の 費 用 を 負 担 し 、 公 益 的 事 業 者 と 土 地 購 入 者 が 受 益 者 と な る 。 ま た 、 間 接 的 に は こ れ ら の 施 設 整 備 に よ り 開 発 地 周 辺 の 住 民 ・ 事 業 者 も 受 益 を 受 け る 。 開 発 利 益 の 還 元 に つ い て は 、(1)内 部 化 、(2)直 接 的 徴 収 、(3)間 接 的 徴 収 の 3 通 り に 分 類 で き る 。( 1) 内 部 化 は 、 開 発 事 業 者 に よ る 土 地 の 先 行

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25 取 得 に よ り 生 ま れ 、 整 備 後 の 分 譲 代 金 と し て 回 収 さ れ る 。( 2) 直 接 的 徴 収 は 、 宅 地 開 発 指 導 要 綱 に 規 定 さ れ る 開 発 者 負 担 と し て 開 発 地 の 自 治 体 や 電 気・ガ ス・通 信 等 の 施 設 整 備 負 担 金 に 帰 着 す る 。( 3)間 接 的 徴 収 は 、 最 終 的 に 地 代 に 帰 着 し た 便 益 が 固 定 資 産 税 な ど の 課 税 に よ っ て 回 収 さ れ る 。 資 本 化 仮 説 で は 、 社 会 資 本 整 備 に よ る 便 益 は 最 終 的 に す べ て 地 代 ・ 地 価 に 帰 着 す る と さ れ る の で 、 地 代 の 増 分 = 社 会 資 本 整 備 の 限 界 便 益 = 社 会 資 本 整 備 の 限 界 費 用 と い う 関 係 が 成 立 し て い る 。 こ の 地 代 の 増 分 を 開 発 利 益 の 還 元 策 に よ っ て 回 収 す れ ば 、 そ の 費 用 を 丁 度 賄 う こ と が で き る 。 一 般 的 に は 、 地 代 ・ 地 価 へ の 帰 着 が 過 大 、完 全( 仮 説 成 立 )、過 小 、社 会 資 本 整 備 の 水 準 が 過 大 、 最 適 、 過 小 の 組 み 合 わ せ に な る の で 、 9 通 り の 可 能 性 が あ る 。 大 阪 府 の 独 立 採 算 制 の 大 規 模 開 発 事 業 を 例 に す る と 、 地 価 上 昇 期 に は 事 業 費 を 上 回 る 内 部 化 が 可 能 で 剰 余 金 が 生 ま れ る 。 一 方 、 地 価 下 降 期 の 開 発 利 益 は 地 域 横 断 的 に 発 生 す る も の の 、 そ の 内 部 化 に よ る 事 業 費 の 回 収 は 困 難 で あ る 。

(30)

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第 3 章 宅 地 の 供 給 と 地 代 総 額 変 動

1 . 泉 佐 野 市 の 地 代 総 額 変 動 都 市 経 済 学 と 公 共 経 済 学 で 議 論 さ れ て い る 都 市 ( コ ミ ュ ニ テ ィ ) に つ い て は 面 積 が 一 定 と さ れ て い る が 、 実 際 に は 農 地 転 用 等 の 新 た な 宅 地 供 給 に よ り 、 地 代 ( 地 価 ) が 下 落 し て い る 期 間 で も 地 代 総 額 が 上 昇 す る 場 合 が 想 定 さ れ る 。 り ん く う タ ウ ン 周 辺 の 泉 南 地 域 各 市 町 の 農 地 転 用 面 積 の 推 移 を 図 4 に 示 し た が 、 宅 地 は 地 価 下 降 期 に お い て も 増 加 し て い た の で あ る 。そ こ で 、関 西 国 際 空 港 が 開 港 し た 1994 年 か ら り ん く う タ ウ ン が オ ー プ ン し た 1996 年 ま で の 地 価 と 宅 地 面 積 の 変 動 を も と に 、り ん く う タ ウ ン の 中 心 と な る 泉 佐 野 市 の 地 代 総 額 の 動 き を 時 系 列 的 に ま と め て み る 。 具 体 的 に は 、 地 価 の 変 動 率 と 宅 地 面 積 の 変 動 率 の 積 を 求 め 、 地 価 総 額 の 時 系 列 変 動 に つ い て 検 討 し た 。 地 代 総 額 = 地 代 ×宅 地 面 積 な の で 、 n 年 次 の 宅 地 面 積 をA、 地 代 をRと す れ ば 、 n 年 次 の 地 代 総 額 の 対 前 年 比Snは 、 1 -n 1 -n R R A An n = n S と 表 さ れ る 。 こ こ で 、 宅 地 面 積Anは 固 定 資 産 税 の 課 税 対 象 面 積 と な る 各 市 町 村 保 管 の 土 地 課 税 台 帳 ま た は 土 地 補 充 課 税 台 帳 に 登 録 さ れ た 土 地 に 関 す る も の ( 各 年 度 「 大 阪 府 統 計 年 鑑 」 に 記 載 ) を 採 用 し た 。 こ の 宅 地 に 対 応 す る 地 代 変 動 率 は 次 の よ う に 求 め た 。 公 表 さ れ て い る 各 市 町 村 の 住 宅 地 と 商 業 地 の 地 価 公 示 価 格 の 変 動 率 を 、 都 市 計 画 の 用 途 地 域 面 積 の 住 居 系 と 商 業 系 の 面 積 で 加 重 平 均 し た も の を 宅 地 の 地 代 変 動 率 と し て 用 い た 。 泉 佐 野 市 に つ い て 、 表 6 に 宅 地 と 用 途 地 域 の 面 積 の 推 移 を 示 し 、 表 7 に は 用 途 面 積 で 調 整 し た 地 価 対 前 年 比 と 地 代 総 額 対 前 年 比 Sn の 計 算 結 果 示 す 。 な お 、資 本 化 仮 説 で は 開 発 利 益 は 地 代 に 帰 着 す る の で あ っ て 、地 価 で は な い 。 こ こ で は 大 阪 府 地 価 公 示 価 格 を 用 い て 地 代 総 額 の 変 動 率 を 計 算 し て い る が 、 次 の と お り 、 地 代dと 地 価 Ptは 比 例 す る の で 、 地 代 総 額 の 変 動 率 を 検 証 す る に あ た っ て 地 価 の 変 動 率 を 用 い る こ と に 問 題 は な い 。

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