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2019 年営農改善資料 基礎から見直す繁殖管理 発行 作成 根室生産農業協同組合連合会根室農業改良普及センター

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2019年 営農改善資料

基礎から見直す繁殖管理

発行・作成

根室生産農業協同組合連合会

(2)

発刊のご挨拶 平成 30 年は「記憶」と「心」に残る1年でした。 作物の作柄は、6月中旬からの天候不順で牧草、飼料用とうもろこし等の品質・収穫量 ともに期待したものになりませんでした。また、9月には胆振東部地震が発生し尊い命が 奪われました。その後、全道一斉停電となり搾乳や飼料給与などが停止し、乳牛への苦痛、 酪農家の肉体的・精神的苦痛は極限に達しました。心からお見舞い申し上げます。 国際情勢では、12 月に TPP11 の発効、日 EU-EPAの妥結、米国との二国間協議な どから自由貿易、関税の引下げや撤廃に対する将来の畜産酪農経営への不安が増しており ます。あわせて国内では、4月に改正畜産経営安定法が施行、流通の大きな政策転換とな りました。こうした動きに的確に対応し地域の実情に合わせて、農業振興・活性化につな がる取組が求められています。 牛は、子牛を産まないと乳はでません。繁殖成績の善し悪しは、営農活動に大きな影響 を及ぼします。乳牛が健康になると繁殖成績が良好となり経営も健全化され、家庭も円満 になります。今回は経験の少ない人にも分かりやすく解説しています。 この営農改善資料は、普及指導員が日頃から、農業者、酪農試験場、農協など関係機関 の皆様から得た情報を基に、実践可能な事項として作成しています。 是非、農業者の皆様には、この冊子を手に取り、繁殖管理の改善に活用いただくよう願 っています。 結びになりますが、本冊子の作成にあたり情報提供をいただいた農業者、農協、北海道 ひがし農業共済組合、根室生産農業協同組合連合会の皆様に心からお礼申し上げます。 根室農業改良普及センター 所長 嶋野 幹夫

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目次

発刊のご挨拶

はじめに

第Ⅰ章 根室管内の繁殖状況・・・・・・・・1

第Ⅱ章 繁殖の基本・・・・・・・・・・・・2

第Ⅲ章 繁殖データ管理の事例・・・・・・12

第Ⅳ章 繁殖に関わる疾病と対策・・・・・18

第Ⅴ章 後継牛確保のための繁殖戦略・・・23

第Ⅵ章 優良事例・・・・・・・・・・・・25

第Ⅶ章 用語・・・・・・・・・・・・・・33

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はじめに(序論) 酪農において、繁殖は経営に最も影響を及ぼす要因の一つです。妊娠すべき牛をちゃん と妊娠させる(妊娠率を高める)ことは、将来の生産乳量の増加、後継牛の確保、個体販 売収入の増加など大きな効果をもたらすからです。そのためには、①いかに発情を発見し て、適期に授精するか(発情発見率)、②授精した牛がどのくらい受胎するか(受胎率)、 が重要です。 近年、乳価や個体販売価格の上昇、畜産クラスター事業や楽酪事業といった設備投資に 対する国の支援が充実し、酪農経営は好調です。しかし、好調であるが故に、多少のロス を生じても大きな打撃にはなりにくい状況と考えられます。しかし、この状況がこの先も 続くかどうかは不透明です。また、資材や人件費は高騰しており、施設改善等の実施には 費用がかさむのも事実です。そのため、経営が好調な時こそ、低投入で効果が期待できる 繁殖改善に目を向ける必要があるのではないでしょうか。 乳牛の高泌乳化に伴い、繁殖能力の低下(発情が弱い、なかなか受胎しない、暑熱スト レスに弱いなど)につながる問題が多く見られるようになりました。しかし、単純に高泌 乳化が繁殖成績を低下させたとはいえないことは多くの関係者が指摘している通りです。 実際、高泌乳と良好な繁殖成績を両立させている酪農家も少なからず存在しています。彼 らの持つ技術を参考にできれば、繁殖改善の近道が見えてくると思います。 最近では、より効率的な作業体系の構築をめざして繁殖ソフトなどのデータ管理技術を 導入する酪農家が増えています。また、それ以外の農場でも繁殖管理を再確認することは 有益なことと思います。 そこで、平成31年の営農改善資料は、「繁殖」をテーマに、繁殖の基本、データ管理、 繁殖にかかる疾病と対策について、事例を織り込み、農場の生産基盤をしっかりかためる ために活用してもらうことをねらいとして発行します。 なお、繁殖成績は、栄養管理や施設環境など多くの要因が絡み合って得られる結果です が、全てを含めると内容が膨大となってしまうため、本書では範囲を絞って編集しました。 ご留意いただきたいと思います。

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Ⅰ 根室管内の繁殖状況 根室管内の繁殖成績の現状を過去の動向と併せてまとめて、問題点を整理しました。 1 根室管内における繁殖成績 2 繁殖成績の実態と問題点 <実態> (1) 主なポイント (2) 授精目標との関係について 〈根室管内の問題点〉 遅い牛が いるので牛群 成績を下げています 表1 年次別成績 表2 乳量階層別成績 図1 平成 29 年度個体別分娩間隔の分布 (北海道酪農検定検査協会調べ) 中央値 : 400 平均値 : 424 最頻値 : 355 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 200 250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 750 800 850 900 950 1000 頭 数 ( ( 頭 ) 分娩間隔(日) 遅い牛が牛群 成績を下げる ・乳量は 10 年間で1頭あたり 700 ㎏向上し、9,000 ㎏台となった。 ・分娩間隔は 425 日前後で変化なし。乳量が高いほど分娩間隔が短い傾向にあった。 ・初回授精日数は全道平均に比べて 4 日短いが、7,000 ㎏未満では 92 日を超えている。 ・平均授精回数は全道平均と同様 2.3 回となっている。 ・発情発見率は 60%が平均であったが、乳量が高いほど高い傾向にあった。 ・乾乳日数は 67 日から 64 日となり、若干短くなっている。 ・判別精液が普及してきており、判別精液授精割合は 12.8%となっている。 ・肉用牛の交配(F1・ET)率は 24.8%となっていて 10 年前に比べて約 10%向上。 ・初回授精目標 75 日 ・分娩間隔の目標 400 日 ・和牛の授精 後継牛を確保した上での交配が必要(経営状況や目標に応じた対応) Ⅴ章へ ①分娩間隔(中央値 400 日)、平均日数は 10 年前と変わらず経済的影響あり。Ⅱ章へ ②平均授精回数が 2 回を超えている。発情が見つけられない等の課題あり。 Ⅲ章へ ③乳量階層によって発情発見率に大きな差がある。(最新ツールの活用有無など) Ⅲ章へ ④分娩間隔の平均が 424 日であるが、乳量階層によって差がある。 Ⅳ章へ ⑤乳量階層が低いほど、長期未受胎牛の割合は増加している傾向にある。 Ⅴ章へ 平成20年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 分娩間隔(日) 428 429 426 429 427 425 424 乾乳日数(日) 67 65 64 64 64 63 64 乳量(kg) 8,342 8,635 8,657 8,587 8,793 9,027 9,042 和牛交配率(%) 14.2 16.2 18.3 20.8 21.5 22.7 24.8 判別精液使用率(%) 1.4 6.4 6.7 7.4 10.4 12.9 12.6 分娩間隔 初回 授精 空胎 空胎 発情 授精 120日 発見率 平均値 日数 回数 日数 以上 (日) (日) (回) (日) (%) (%) 根室平均 424 84 2.3 150 52 60 11,000以上 411 81 2.3 137 48 67 10,000~10,999 413 77 2.3 136 46 66 9,000~9,999 422 83 2.4 147 52 62 8,000~8,999 429 86 2.3 157 55 58 7,000~7,999 431 87 2.3 155 54 58 6,000~6,999 442 98 2.4 178 62 52 5,999以下 442 92 2.3 178 61 51 全道平均 426 88 2.3 153 54 60 乳量階層(kg)

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Ⅱ 繁殖の基本 1 繁殖の良否は収益に直結する 酪農経営の収益性を決定付けるのは“繁殖”です。 具体的には、より多くの発情を見つけて授精・移植を行い、受胎頭数を増やし、有益に分 娩を繰り返すことが経営の根幹とも言えます。それは、産乳して生乳を出荷するためにも、 子牛という生産物を得るためにも分娩が不可欠だからです。 繁殖成績向上の影響は、産子数や1頭当たり産乳量の増加に強く現れます。さらに、飼料 効率や労働生産性の向上、過肥の割合や周産期疾病の減少、育成牛なら発育効率の向上や個 体販売単価の上昇など、経営に大きな違いを生み出します。 乳価や個体販売価格が高い今こそ、経営の軸となる繁殖の基礎固めと、繁殖成績が向上す るような農場の仕組づくりが必要です。 2 繁殖改善の経済効果は相当大きい 繁殖成績の向上に伴う経済的な影響を、最も影響が大きい①子牛販売収入と②生乳販売収 入の2つで試算してみます。 ここでは、経産牛頭数 100 頭規模の農場で、分娩間隔 420 日を 20 日間短縮できた場合 を想定します。 (1)子牛販売収入の増加額(例) ・販売増加頭数=目標分娩間隔での子牛産出数(表3)-現状分娩間隔での子牛産出数(表3) = - = 表3 分娩間隔と頭数規模別子牛産出数 (頭) 目標分娩間隔 400 日 91 頭 現状分娩間隔 420 日 87 頭 販売増加頭数 4頭 分娩間隔(日) 365 380 390 400 410 420 430 440 450 経 産 牛 頭 数 規 模 ( 頭 ) 50 50 48 47 46 45 43 42 41 41 60 60 58 56 55 53 52 51 50 49 70 70 67 66 64 62 61 59 58 57 80 80 77 75 73 71 70 68 66 65 90 90 86 84 82 80 78 76 75 73 100 100 96 94 91 89 87 85 83 81 200 200 192 187 183 178 174 170 166 162 300 300 288 281 274 267 261 255 249 243 400 400 384 374 365 356 348 340 332 324 500 500 480 468 456 445 435 424 415 406

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・子牛販売収入増加額 =(雄子牛の頭数※1×販売単価)+(雌子牛の頭数※1×販売単価) =( × )+( × ) = ※1 雌雄の出生割合を 50%、50%とした場合 (2)生乳販売収入の増加額(例) ・乳量増加量(kg/日・頭) =目標分娩間隔から推定される産乳量(表4)-現状分娩間隔から推定される産乳量 (表4) = - = 表4 分娩間隔と推定産乳量(北海道 2産 9000~9999kg) ・生乳販売額増加量 =日増加乳量×365 日×経産牛頭数×乳価 = × 365 日 × × = 雄子牛 2頭 雄子牛販売単価 100,000 円 雌子牛 2頭 雌子牛販売単価 250,000 円 子牛販売収入増加額 700,000 円 目標分娩間隔 400 日の推定産乳量 30.8 kg 現状分娩間隔 420 日の推定産乳量 30.3 kg 日増加乳量 0.5kg/日・頭 分娩間隔 平均搾乳日数 乳量 (日) (日) (kg/日) 360 150 31.7 380 160 31.2 400 170 30.7 420 180 30.2 440 190 29.6 460 200 29.0 日増加乳量 0.5kg/日・頭 経産牛頭数 100 頭 乳価 100 円 生乳販売額増加分 1,825,000 円 (北海道酪農検定検査協会 2011)

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分娩間隔が短縮されると、多くの場合、過肥の牛が減少することから、周産期疾病や乳房 炎、肢蹄病などの疾病発生リスクや廃用頭数の減少が期待できます。さらに、搾乳牛割合が 幾分増加することから、乾乳牛 1 頭当たりの有効面積も増加します。そのため安産の確率が 高まり、分娩後の調子もよくなることから・・・・、と試算が難しいけれども利益につなが る変化が期待できます。 一方で、平均乾物摂取量の向上などによる経費の増加もありますが、収支で考えると現有 資産から生まれる利益は莫大なものになります。 いずれにしても繁殖が経営に与える影響は非常に大きなものです。経営スタイルや乳量階 層、頭数規模に関わらず、経営の根幹をなす重要な項目です。 是非、以降のページを参考に農場の繁殖成績を見直してみましょう。

我が家の経営に当てはめてみよう!!

生乳販売収入の増加額 ・乳量増加量(kg/日・頭) =目標分娩間隔から推定される産乳量(表4)-現状分娩間隔から推定される産乳量 (表4) = - = ・生乳販売額増加量 =日増加乳量×365 日×経産牛頭数×乳価 = × 365 日 × × = 目標分娩間隔 日の推定産乳量 kg 現状分娩間隔 日の推定産乳量 kg 日増加乳量 kg/日・頭 日増加乳量 kg/日・頭 乳価 円 経産牛頭数 頭 生乳販売額増加分 円

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3 繁殖サイクル ここでは、長期的な繁殖のサイクルと、各期間で繁殖に影響を与える項目について説明します。 (4)泌乳期における栄養配分 ①生命維持 (②妊娠していれば、胎子の成長) ②(初産の場合)自分の成長 ③泌乳 ④体脂肪蓄積 ⑤繁殖 (5)分娩間隔は、空胎日数+妊娠期間 妊娠期間は 280~290 日とほぼ決まっているため、分娩間隔を大きく左右するの は空胎日数です。空胎日数は分娩してから受胎するまでの日数です。 乾乳期の他、以下の項目が影響します。 ・分娩後の栄養充足(ボディコンディションの低下が大きいほど負の影響) ・発情観察(Ⅲ章参照) ・疾病状況(Ⅳ章参照) ・暑熱、痛み(不適切な施設)、床面の状況、他の牛との関係などの環境ストレス ・遺伝要因(体型や繁殖形質) (6)泌乳量が低下する泌乳後期の栄養 体脂肪が回復する時期です。エネルギー過剰による過肥に注意しましょう。この時 期の過肥は、戻すことが困難であり、乾物摂取量の低下、周産期疾病、リニアスコア、 肢蹄病などの疾病を誘発します。 過肥を押さえながらもタンパク質を充足させて筋肉の回復を図り、次の分娩に備え ましょう。 妊娠期間 ホルスタイン種:約 280 日 黒毛和種:約 290 日 空胎日数 乾乳期 乾乳 (1)乾乳期間 乾乳期間は多くの農場で 60 日前後に設定されていますが、2産以上乾乳時の乳量が高い 場合には、乾乳期間の短縮(40~45 日)を選択する農場もあります。 長くなると生産性の低下や過肥になりやすいなどの問題があり、短縮すると BCS の低下 や繁殖成績にプラスの効果が期待できる一方、2産ではピーク乳量が抑制されることも報告 されています。 (2)繁殖は乾乳期から始まっている 受胎させたい卵子は、乾乳期から成長を始めています。原始卵胞から排卵直前の成熟卵胞 へ成長するには 70~80 日かかり、この間の栄養状態が受精に影響します。乾乳後期や分娩 前後は生理的に乾物摂取量が下がりますが、胎子の発育や乳腺の再生などに栄養を必要とし、 図2のように栄養不足(マイナスのエネルギーバランス)となりやすい時期です。良質粗飼 料の給与や濃厚飼料の増給など、適切な飼料給与により栄養を充足させることが必要です。 ただし、乾乳期の過剰なエネルギー給与は過肥や内臓脂肪をつけることにつながり、脂肪肝 や周産期疾病の原因となるため、バランスには注意が必要です。 (3)着床には子宮の回復が必要 発熱などの症状がない場合でも、潜在性の子宮内膜炎を起こしている場合は、受胎に影響 します。特に分娩時には細菌感染を予防するためつぎのような注意が必要です。 ・分娩房を清掃、消毒し、新しい敷料を入れた清潔な分娩場所を用意する ・不必要な分娩介助をしない(子宮を傷つけない) ・どうしても介助を行う場合、手指や介助器具を殺菌する VWP:分娩後、子宮の回復などのため人工授精を行わない期間。 各農場や牛群ごとに設定され、空胎日数に影響する。 図2 分娩最初の6個の卵巣卵胞の理論的な成長と発育 (Britt,1995) 分娩間隔 乾乳期 分娩 繁殖は一番後回し ボディコンディション(BCS)の低下 の程度や速度が大きく影響します。産褥期 のBCSのモニタリングを行い、BCS低 下の要因を把握しましょう。 泌乳開始 泌乳最盛期 泌乳中期 泌乳後期 乾乳 分娩 VWP 授精・受胎 (妊娠) 図2の『排卵番号』について 1~2【分娩~60 日】:原始卵胞が エ ネ ル ギ ー バ ラ ン ス の プ ラ ス の 時 期 に 発 生 し 育 っ て い る の で 受 胎 し やすいが、やや早い。 3~5【分娩 50~100 日】:受胎 させたい卵だが、分娩前後のエネル ギ ー バ ラ ン ス が マ イ ナ ス の 時 期 に 発生し育っていて、受胎しにくい。 6【分娩 100 日~】:エネルギーバ ランスが回復する時期に育ち、受胎 しやすい卵だが、やや遅い。

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4 発情 繁殖で重要なのは、①適期授精で受胎させること、②受胎しなかった牛の早期発見です。 そのために、発情について理解を深めましょう。 (1)発情を見つける 効率的に適期授精を行うためには、①発情周期を理解し、②発情兆候を見逃さないこと が重要です。ここでは、発情周期と発情兆候について紹介します。 ①発情周期 黄体と卵胞の発育にともなってホルモンが分泌され、牛の体や行動は変化します。牛の 発情周期は平均すると 21 日で、受胎するまで図3のサイクルを繰り返します。 ②発情を見逃さない 発情発見率は観察回数が多く、観察時間が長いほど、高まることがわかっています(表 5)。また、発情兆候は夜中から早朝にかけて示す傾向があります(表6)。農場の作業性 を考慮しながら、発情観察の「回数・時間・タイミング」を検討しましょう。 0日 21日

排卵

黄体形成

黄体最盛期

黄体退行

卵胞発育

発情

排血

卵胞成熟

図3 発情周期 卵胞(発情)ホルモン (エストロジェン) 分泌 黄体(妊娠)ホルモン (プロジェステロン) 分泌 表5 観察回数、観察時間と発情発見率(%) (オルデス,1980) 表6 24 時間中の発情の分布

(Dairy Science Update,2000) 時間 発情兆候を示す牛 AM6:00~正午 22% 正午~PM6:00 10% PM6:00~真夜中 25% 夜中~AM6:00 43% 5 10 20 1 26 52 63 2 36 72 86 3 39 79 95 4 49 82 98 観 察 回 数 観察時間(分)

排血は発情終了

のサイン!!

発情開始から2~3日後に血 様粘液が見られます。排血は発 情周期を把握するための有効な 兆候です!!

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(2)発情兆候と授精適期 少ない授精回数で受胎させるためには、牛の栄養状態はもちろんですが、授精のタイミ ングも重要です。発情兆候のポイントを押さえ、適期授精を実施しましょう! 飼養形態に合った発情兆候のポイントを押さえましょう(例 フリーストールではスタ ンディング行動や活動計による発情発見が主流となっていますが、つなぎ飼いでは 外陰部 の変化や牛の落ち着きがなくなるなどの行動変化から発情発見する場合が主流です)。 一般的な種付けタイミングの方法として AM・PM 法があります(表7)。 近年、発情持続時間の短縮にともなって授精適期の期間も短くなっています。そのため、 発情発見や適期授精のタイミングはとても重要となるので、授精師に相談しましょう。 発情発見がうまくいかない?!いろいろなサインを見逃していませんか?

明確な発情兆候がなくても「いつもと違うな?」と思ったらサインかもしれません

・搾乳時に人を舐めてきた ・汗をかいている(興奮しているため) ・牛の気迫がいつもと違う ・パーラーに入る順番、左右の位置がいつもと違う 発情前期 発情後期 10時間 発 情 兆 候 ○隣の牛に近づく  (マウンティング) ○咆哮 ○乗駕を許容する ○後躯にふれても嫌がらない ○透明な粘液がでる ○外陰部が赤く膨張し、湿潤  (スタンディング) ○他の牛に乗駕する ○後躯にふれると嫌がる ○人にすり寄る ○乗駕を嫌う ○透明な粘液がでる 6~10時間 発情期 18時間 授精適期 授精師へ連絡 排 卵 マウンティング スタンディング

発情発見

種付けタイミング

午前 9 時以前

その日の午後

午前 9 時~12 時まで

その日の夕方から翌朝

午後 1 時以降

翌日の午前中

・何度も後ろを振り返る ・人間の臭いをかいでくる ・急に乳量が減る ・体細胞が上がる しっぽに粘液が絡まっている・・・ バーンク リーナ ー付近 に 排血 した血が落ちている・・・ 背 中 に ス タ ン デ ィ ン グ の傷がある・・・ 表7 AM・PM法 図4 発情兆候の変化と授精適期

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(3)妊娠鑑定の重要性 妊娠鑑定は、①受胎の確認、②早期胚死滅の発見を目的としています。受胎 牛と不受胎 牛を明確にすることで、繁殖管理を効率的に行うことができます。 ①妊娠 妊娠すると黄体は退行せずに妊娠黄体となり、高濃度の黄体(妊娠)ホルモン(プロジ ェステロン)を分泌し続け、受精卵→胚→胎子へと発育します。母体の健康と卵の発育 を維持できなければ、受精後に早期胚死滅が起こる可能性があります。 ②妊娠診断法 妊娠鑑定を活用することで、より早く、より正確に受胎を確認することができます。 とまらなかった場合はすぐに授精しましょう。(※妊娠診断の日数は検査機関によって 異なるので、担当の授精師や獣医師にご確認ください。) a 超音波画像診断法 超音波画像診断によってモニター上に胎水が貯留した子宮角が妊娠 24~26 日 前後から明瞭に認められ、その後胎子の心臓の拍動がリアルタイムに認められる ようになります。 図5 受精卵から胎子への変化 獣医師 早期に受胎が確認できても早期胚死滅の可能性が あるので、再度妊娠の確認が必要!!

授精 受精

35日

以降

45日

以降

3ヶ月

受精卵は細胞分裂を繰り 返しながら卵管を移動し、 子宮壁で着床する 受精後の早期胚死滅の 可能性あり(11~42日) 60~70日頃 安定期に入る

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b 妊娠関連糖タンパク検査(PAGs検査) 乳汁サンプルを用いて、妊娠牛の胎盤から分泌される糖タンパクを測定すること で、効率的に素早く空胎牛を確認するための検査方法です。 対象牛 分娩後 60 日目以降で人工授精後28日目以降の牛 方法 乳汁を採取し、ラベルの半券をチューブに貼って、送付。札 幌事業所に到着後3営業日以内に検査結果が届く。 サンプル ・前搾り、後搾りの乳汁も使用できる ・乳房炎治療牛の分房からの採取は NG 通常料金 1 検体 600 円(税抜) 乳検加入農家は半額助成(平成 31 年度以降は未定) c 直腸検査法 直腸検査による胎膜スリップ法での診断は妊娠 30 日以降に可能であり、精度は高 い傾向にあります。45 日以降には胎子の触知が可能となり、4 ヶ月前後には妊娠子 宮角側の子宮動脈の対照的な肥大と振動が感じられるようになります。 その他、乳中のプロジェステロン濃度を測定して、妊娠を確認する方法があります。 ③人工授精・繁殖検診の立ち会い 受胎しなかった場合は原因を確認しましょう。人工授精や繁殖検診では様々な情 報を詳しく得ることができます。疾病が原因の場合は早期治療を行いましょう。 北海道酪農検定検査 協会 獣医師 ~立ち会いのメリット~ ・子宮や卵巣の状態がわかる ・発情兆候と直腸検査の情報を合わせることでより 正確な判断ができる ・牛の状態にあわせて精液を選定できる (例 良い発情なので、価格の高い精液をつける) ・子宮に異常が見られる場合は、薬剤注入するなど早 期対処が可能 ① PAGs 検査で早い時期に妊娠を確認 ② 早期胚死滅の可能性があるので、胎子が 十分に発育し、流産の可能性が低くなっ た時期に直腸検査でしっかり確認 ★繁殖効率 UP! JA 気性の荒い 牛がいても 安心できる! 牛の状況を把握 できるし、情報 交換もできる

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卵胞の発育とホルモンの変化によって外陰部の様子も変化します。授精タイミングの 重要な判断材料となるのでポイントを押さえましょう。

発情前

発情期

発情後

赤く充血する 外 陰 部 の 膨 ら み が 落 ち着き、シワが見える 粘膜が比較的白い 外陰部が膨らむ う っ す ら 血 の 混 じ っ た 粘 液が見られる場合がある 透明で、柔らかく、よく伸 びる シワ 外陰部がしぼんでいる 充血が落ち着く (色が薄くなる)

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Ⅲ 繁殖データ管理の事例 1 発情発見の重要性について 繁殖成績を高めるためには、発情発見率と受胎率が重要となります。発情発見率は理論 上の発情回数に対して授精した回数の割合です(図6)。発情発見率が低い場合は、発情 の見逃しが多いと言えます。図7は根室管内の発情発見率と分娩間隔の関係を見たグラ フです。発情発見率が低い牧場ほど分娩間隔が長期化していることが分かります。 受胎率を高めるには、栄養管理や疾病対策、快適性の高い施設整備など多くの技術対策 が必要となり、改善には時間やお金がかかります。しかし、発情発見率を高めることは、 酪農家がコストをかけず、直ぐにできることです。 2 データ管理の重要性 発情発見率を高めるには、繁殖データを活用した対象牛の絞り込みと発情予測が重要 となります。また、問題牛(長期の未授精、未受胎など)の見逃しや対応の遅れは、繁殖 成績の悪化につながります。繁殖に関わるデータ整理は、「記録を残す」、「予定牛と問題 牛の明確化」、「誰もが見て分かる情報」を目的に行いましょう。 (1)繁殖データ管理の方法と特徴 データ管理の方法はそれぞれ特徴があります。牧場の頭数規模や経営主の好み、家族や 従業員への周知の方法によっても変わります。 表8に繁殖データ管理別の特徴をまとめてみました。それぞれの利点欠点を補うため に、2つ以上の方法で管理すると良いでしょう。 繁殖管理 台帳 繁殖 管理盤 ホワイト ボード 繁殖専用 カレンダー 繁殖管理 一覧表 パソコン 乳検データ (DL) 備考 過去 発情、授精状況分娩月日 ○ ○ ○ ○ 特定の牛の分娩月日、授精経過等が容易に分かる 現在 発情、授精状況 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 特定の牛の現在の授精状況が容易に分かる 未来 発情、乾乳、分娩の予定 ○ ○ ○ ○ ○ 特定の牛の発情、乾乳、分娩予定日が容易に分かる  個体情報の記入 ○ ○ ○ ○ 発情兆候等がメモできる  発情等の予定牛の抽出 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 本日の発情・妊鑑・乾乳・分娩牛が容易に分かる  未授精牛の抽出 ○ ○ ○ ○ ○ 未授精牛を一覧で確認できる  未受胎牛の抽出 ○ ○ ○ ○ ○ 未受胎牛を一覧で確認できる ○ ○ 牛群の発情発見率、受胎率等が確認できる  見やすさ ○ ○ ○ 誰もが視覚的に見やすい ○ ○ ○ 記入、整理の手間が少な ○ ○ ○ ○ ○ 農場内作業者間での情報が共有しやすい データ の記録 管理の方法 特徴  情報共有のしやすさ  管理のしやすさ 牛群全体の状況確認 350 400 450 500 550 600 0 20 40 60 80 100 分 娩 間 隔 ( 日 ) 発情発見率(%) 表8 繁殖データ管理の方法と特徴 ○印は利点 図6 発情発見率の考え方 図7 発情発見率と分娩間隔(2016 乳検成績) VWP 21日間 発 情 発 情 発 情 初 回 授 精 最 終 授 精 分 娩 発情発見率= 授精回数 理論上発情回数 VWP:任意に決める授精待機日数 経産牛60日間 初産牛80日間 21日間 (例)

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(2)繁殖管理台帳 発情兆候、授精、検診記録等を牛1頭毎にファイリングする方法(写真1)です。この ファイル化は基本データの保存方法として有効です。クリアフォルダーやインデックス 等を利用し、検索しやすくファイリングします。1頭毎に受胎までの詳細な経過(発情兆 候のメモ等)を記録できることが最大の特徴です。 また、妊娠牛ファイルも作成し、妊娠確定牛は妊娠牛ファイルへ移し替えておくと授精 すべき牛がより明確になります。 (3)繁殖管理盤 365 日の目盛りが記された内側の回転盤に牛コードを貼り付け、それを毎日回転させ ることにより、発情予定、授精適期、妊娠鑑定等の時期にある牛を見やすく管理できます。 未授精・未受胎の要注意牛の抽出や発情・乾乳予定牛の状況を把握しやすい方法ですが、 過去の経過や個体の状況を詳細に記録できないことが欠点です。 写真1 インデックスを利用した繁殖管理台帳 図8 繁殖管理盤の利用方法 (JA道東あさひ 坪内氏作成図利用) 下1桁の数字の 順に段を変えて インデックスを 張ります。

拡大

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(4)ホワイトボードの利用 ホワイトボードとマグネットシートを利用し、繁殖データを管理する方法です。横長の マグネットシート1枚に牛 No.、分娩年月日、授精月日、発情予定日等を記入し、授精牛 の一覧で整理します。妊娠鑑定待ちの牛は妊娠鑑定牛、受胎後、乾乳になったら乾乳牛の 一覧へ移動します。授精や妊娠鑑定すべき牛が一覧で整理され見やすくなります。また、 繁殖専用カレンダー等の併用により、自分なりに使いやすい工夫が可能となります。難点 は、常に授精月日の修正やマグネットシートを移動する手間がかかるところです。 (5)繁殖専用カレンダー ジェネティクス北海道等で作成している繁殖専用カレンダーです。このカレンダーの 特徴は、横一列が 21 日間毎になっていますので、次の発情周期を想定した管理がしやす くなっています。また、妊娠牛の分娩予定日を左側の縦1列に整理できます。 カレンダー方式は、様々なデータをメモしやすい方法ですが、記入方法を決めておかな いと雑然とした日記帳の様になります。記入するデータ毎(授精回数、発情兆候等)にペ ンの色を変えて記入すると管理しやすくなります。 図9 ホワイトボードを利用した繁殖管理の例 図 10 繁殖専用カレンダー

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(6)繁殖管理一覧表の作成 自作できる繁殖管理一覧表です。年初に作成し、 妊娠牛を1月1日から分娩予定順に並べて書き込み ます。税金の申告準備に合わせ、乳牛台帳を整理す る際に作成すると良いでしょう。 分娩予定順から並べているので、上段から順に授 精月日や次回分娩予定日が記入されていきます。未 授精牛や未受胎牛などは空欄になるため、問題牛を 抽出しやすくなります。 最終的に1年間に分娩する牛全てが一覧表に書き 込まれるため、表自体が大きくなることが難点です。 また、紙にペンで書き込むため、記入を間違えた場 合の修正が面倒です。 (7)パソコンの利用 表計算ソフトや市販のソフトを利用し、繁殖データを電子化して整理する方法があり ます。 表計算ソフトを利用する場合は、発情予定牛や未受胎牛など注意牛の抽出、牛群全体の 繁殖成績のグラフ化など自分で使いやすいように自在にデータ加工できます。欠点とし ては、繁殖管理者のみがパソコン操作する場合が多いため、情報を共有できるよう工夫が 必要です。本日の予定牛一覧を毎日印刷して専用のボードに張り出すなど、家族や従業員 に周知する必要があります。 近年の市販ソフトはインタ ーネットを利用したモバイル 機能が強化され、いつでもど こでもデータを確認すること ができるようになりました。 また、カレンダー機能によ る注意牛の通知や牛群成績の グラフ化等の機能が充実して います。 図 11 繁殖管理一覧表の様式のイメージ 写真2 繁殖管理一覧表 図 12 根室生産連 繁殖 WEB システム(無料) 1回 2回 3回 4回 5回 1 2 3 4 5 次回分娩 予定日 備考 授 精 月 日 NO 牛NO 生年月日 最終分娩 年月日 分娩予定日 (1月1日現在妊娠牛) 子牛 性別

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(8)乳検データ「牛群検定Web システムDL」の利用 乳検組合に加入している方は、北海道酪農検定検査協会で提供している「牛群検定Web システムDL」が利用できます。DLでは検定情報やバルク乳情報を検索することができ ますが、メイン画面には繁殖データを中心に表示しています。 ①繁殖カレンダー 週間、月間で繁殖カレンダーが表示されます。週間カレンダーでは、1週間、毎日の 発情・妊鑑・乾乳・分娩予定牛の頭数と個体番号が表示されます。また、月間カレンダ ーも同様に予定牛頭数が表示されます。また、カレンダーを印刷することも可能です。 ②現在の牛群情報 現在の牛群情報の未授精牛・授精牛・妊娠牛・乾乳牛の頭数をクリックすると該当す る牛の一覧が表示されます。 また、グラフで経産牛の分娩後日数別に未授精牛・妊娠未確定牛・妊娠牛頭数が表示 されます。牛群全体の繁殖状況が視覚的に確認できます。 繁殖指標をクリックすると発情発見率・受胎率・妊娠率などの牛群成績が月別に表示 されます。 ③本日の要確認牛 本日、確認すべき予定牛のリスト が表示されています。表示日は前後 3日間の幅を持たせています。この リストは印刷もできますので、牧場 内の作業者へ周知できます。

図 13 牛群検定Web システムDL 表9 要確認牛の内容 発情調査 分娩後40日を迎える牛(無発情の牛をチェック) 発情確認 発情、授精後21日、排血後19日を迎える牛 妊鑑予定 授精後、45日を迎える牛 乾乳予定 乾乳予定日(分娩60日前)を迎える牛 分娩予定 分娩予定日(受胎後280日)を迎える牛

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(9)発情発見補助具 ①ヒートマウントディテクター 牛体の十字部に貼り付け、牛の乗駕により圧力 が加わると赤く発色する仕組みです。 スタンディング発情を発見するアイテムとし て利用されています。自由行動が可能な牛で利用 ができます。育成牛の発情発見に有効です。 ②テールペイント 牛体の尾根部に塗布し、牛の乗駕によりペイン トが剥がれることでスタンディング発情を発見 できます。 数種の色があり、授精前・授精後等で色を変え ると初回発情と発情の再発を区別して確認でき ます。 ③活動量や乳中ホルモンから発情を検知 現在では、フリーストール牛舎における活動量 (歩行数、反芻回数等)の変化から、発情牛を検 知するシステムが使用されています。 また、近年は搾乳ロボットの付帯機能として、乳中のホルモン(プロジェステロン)濃 度を測定して発情や妊娠を予測するシステムも販売されています。 写真3 ヒートマウントディテクター 写真4 テールペイント 図 14 活動量の変化と発情検知(イメージ図) 図 15 乳中ホルモン濃度と発情・妊娠の予測(イメージ図) 0 5 10 15 20 25 14日 21日 7日 14日 21日 7日 14日 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン(n g /ml) 発情周期 日数 ホルモン濃度 の低下で発情 を検知 発 情 発 情 ・ 授 精 ホルモン濃度 の持続で妊娠 を検知 0 50 100 150 200 250 300 48 日 前 27 日 前 本 日 活 動 量 補 正 値 経過日数 授精 授精 発情 発情

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Ⅳ 繁殖に関わる疾病と対策 1 繁殖障害の原因と対策 根室管内(図:NOSAI 道東データ)に おいて、平成 29 年度の傷病事故3割弱は、 分娩後 30 日以内(図 16)に発生してお り、この期間の 3 割超が妊娠・分娩前後の 疾患となっており、その後の繁殖に影響を 与えています。 (1)繁殖障害の発生原因 表 10 では、根室管内における分娩後 30 日以内の主な傷病を表しています。 その中では乳熱・ダウナー、産褥熱、ケ トーシス、第四胃変位などに代表される、周 産期疾病が上位に位置しています。 その他にも子宮内膜炎により子宮の回復 が遅れたり、夏場の暑熱ストレスによる繁殖 成績の低下が多く見られます。 (2)繁殖障害の対策 ①周産期疾病を低減させる 乾乳期から分娩まで様々な環境の変化や 生理的な変化が急激に起こることにより周 産期疾病が発生します(図 17)。周産期疾病 の多くは、乾乳期の飼養管理が重要で、特に 乾物摂取量を最大になるように管理するこ とが大切です。 表 10 分娩後 30 日後以内の発生傷病(乳房炎除く) 図 16 NOSAI 道東の引受頭数と傷病事故 (平成 29 年度分娩後 30 日、根室管内) (傷病数) 妊娠・分娩期及び産後の疾患 乳熱・ダウナー 6,942 妊娠・分娩期及び産後の疾患 産褥熱 2,739 内分泌及び代謝疾患 ケトーシス 1,878 消化器病 第四胃変位 1,759 妊娠・分娩期及び産後の疾患 難産 1,494 運動器病 関節炎 1,186 呼吸器病 肺炎 細菌性 1,124 神経系病 神経麻痺 928 消化器病 腸炎  878 妊娠・分娩期及び産後の疾患 子宮捻転/子宮脱等 654 妊娠・分娩期及び産後の疾患 胎盤・悪露停滞 604 図 17 周産期疾病の発生要因(Goff、2006 一部加筆改変) 分娩前後の DMI減少 ビタミン・微量ミネラル・ 抗酸化物質の不足 高DCAD・ 低Mg飼料 負のエネルギー・タンパク質 バランス、NEFA増加 免疫機能低下 低Ca血症 筋収縮減退 ケトーシス・ 脂肪肝 跛行 ルーメン アシドーシス 乳房炎 胎盤停滞・ 子宮炎 乳熱 第四胃変位 飼料中の有効繊維 の不足 繁 殖 障 害 周 産 期 疾 病 の 発 生 (NOSAI 道東調べ) 泌乳器病 38% 生殖器病 1% 妊娠・分娩 期及び産 後の疾患 34% 運動器病 6% 消化器病 9% 呼吸器病 3% 内分泌及び 代謝疾患 5% その他 4% 乳用成牛 36,981頭

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主な周産期疾病の対策は以下のとおりです。 ②子宮内膜炎の予防 根室管内の傷病データではそれほど多く発生しているわけではありませんが、子宮内 膜炎という疾病があります。 酪農試験場では、根室管内の9農場 533 頭を調査(2014 年)した結果、40%の発 生率としています。この疾病は乳牛の繁殖成績を低下させる主原因の一つとされていま すが、効果的な治療方法は無く、予防が重要です。 子宮内膜炎の多発農場の特徴(表 12)として、「乾乳後期の過肥及び飼料摂取量の低 下、代謝病の発生」 、「分娩介助などの分娩時トラブルや胎盤停滞の発生」をあげていま す。特に多発農場の特徴で顕著だったのは、「パドック付きのフリーストールからタイス トールへの移動」、「高い分娩介助率と分娩時の拘束」が上げられています。 子宮内膜炎の予防方針として、図 18 で示されていますが、「分娩前 2 週間以内の牛群 変更をしない」、「周産期疾病対策をしっかり行うことと」、「適切な分娩介助の実施」、「分 娩時における行動の自由度」が子宮内膜炎の予防につながります。 表 12 子宮内膜炎多発農場の特徴 (酪農試験場 2014) 表 11 主な周産期疾病の原因と対策

乾乳後期

分娩時

分娩直後~分娩最盛期

・分娩2週間前に牛群を変更している ・分娩時に拘束されている ・牛群全体が低Ca状態にある ・乾乳後期に過肥牛が多い ・分娩介助率が高い ・代謝病発生率が高い ・乾乳後期に飼料摂取量が不足している牛が多い ・難産率が高い ・子宮炎発生率が高い ・胎盤停滞発生率が高い ・削痩牛(痩せすぎの牛)が多い 病名 原因 対策(チェック事項) ・乾物摂取量不足 乾物摂取量を低下させない管理 ・Caの蓄積不足 泌乳期~乾乳前期のCa給与 ・乾乳後期のCa制限の失敗 乾乳後期のCa制限方法 ・乾乳期の過肥 乾物摂取量を低下させない管理 ・運動不足 繋がないで自由な行動の保証 ・栄養不足 乾物摂取量を低下させない管理 ・低Ca血症による子宮収縮不全 乳熱(低Ca血症)対策 ・難産による子宮筋無力化 難産対策 ・胎盤停滞 胎盤停滞対策 ・不適切な分娩介助 適切な分娩介助 ・乾物摂取量、エネルギーの不足 乾物摂取量を低下させない管理 ・乾乳時の過肥 乾乳前のボディコンディションの調整 ・過度の乾物摂取量減退 乾物摂取量を低下させない管理 ・低Ca血症による第四胃平滑筋緊張 低下 乳熱(低Ca血症)対策 ・胎子の巨大化 ・妊娠初期の低栄養 妊娠初期の栄養不足 ・初産牛の巨大胎子 乾乳期の濃厚飼料が多い ・初産牛(早すぎる人工授精) 体高127cm以上での初回授精実施 ・産道狭小(早すぎる分娩介助) 適切な分娩介助 ・胎児失位、子宮捻転 繋がないで自由な行動の保証 ・不適切な分娩介助 適切な分娩介助 乳熱(低Ca血症) 難産 第四胃変位 ケトーシス・脂肪肝 子宮内膜炎 胎盤停滞

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③フレッシュチェックや人工授精時の情報の活用 分娩後の子宮回復状態を確認するために、分娩後 20~40 日を目途に行いましょう。早 期に子宮や卵巣の状況を確認し、悪い場合は早期に手を打つことで、その後の繁殖成績に繋 がります。また、人工授精時に立ち会って発情や卵巣などの状態を確認し、農場の繁殖成績 の改善に役立てましょう。表 13 は、良く使われる用語の説明をまとめてみました。 ④暑熱時はさらに繁殖に影響する 乳牛は、22℃以上になってくると暑熱ストレスを受けるといわれています。根室管内で は 6 月中旬になると 22℃を超えてくることが多くなります。早めに暑熱対策の準備をし ておきましょう。 暑 熱 に よ り 乳 牛 の 体 感 温 度 が 高 ま る と、乾物摂取量(DMI)が減少します。 特に乳量が高い牛群ほど影響が大きくな ります。 繁 殖 も 同 様 に 体 感 温 度 が 高 ま る に 従 い、受胎頭数の減少と受胎率の低下を招 きます(図 19)。 乾物摂取量を落とさないように暑熱対 策を行い、良質な飼料の給与、ミネラル を補給することが重要です。 図 18 子宮内膜炎の予防方針 (酪農試験場 2014) 表 13 主な発情や卵巣などの状態を表す用語 図 19 体温と繁殖の関係

分娩時

適切な分娩介助を行う 行動の自由度を確保する ・泌乳中後期にBCSを  3.00~3.25に調整 ・乾乳期はそれを維持 重点項目 カルシウム製剤の適切な給与 (分娩前2週以内)

乾乳後期

牛群の変更を避ける

分娩直後~産褥期

残食が出る程度の飼料給与および飼料の掃き寄せ 主な症状や原因 発情が見えない (鈍性発情) 卵巣周期は営まれるが、卵胞が成熟して排卵する時期に発情が発現しない状態。 栄養不足、ホルモン分泌不良 発情が短い 通常より発情持続時間が短い 卵胞嚢腫 発情がだらだらと長い。卵胞が嚢腫化。太りすぎ、ビタミン不足 卵巣静止 栄養不足 卵巣が小さい 栄養不足 黄体遺残 黄体が残っている。過肥、栄養不足、脂肪肝、飼料の急激な変更、飼料のカビ 黄体形成不全 黄体の形成が無い。乾物摂取量不足、ビタミンE不足、ストレス 排卵遅延 発情終了後24時間過ぎても排卵しない。 栄養不足、ビタミンA不足、硝酸塩濃度過剰 着床障害 子宮内膜炎、タンパク質含量過剰 早期胚死滅 着床前・着床期に胚が死滅する現象 子宮内膜炎 分娩時には子宮に細菌が侵入するが、通常子宮は3~4週間でほとんど排出されるが、 この期間を過ぎても細菌が存在し膿汁や膿性粘液を排出する。難産や死産、胎盤停 滞、乳熱や産褥熱、ケトーシスなどの周産期疾病でリスクが高くなる 主な症状や原因 発情が見えない (鈍性発情) 卵巣周期は営まれるが、卵胞が成熟して排卵する時期に発情が発現しない状態。 栄養不足、ホルモン分泌不良 発情が短い 通常より発情持続時間が短い 卵胞嚢腫 発情がだらだらと長い。卵胞が嚢腫化。太りすぎ、ビタミン不足 卵巣静止 栄養不足 卵巣が小さい 栄養不足 黄体遺残 黄体が残っている。過肥、栄養不足、脂肪肝、飼料の急激な変更、飼料のカビ 黄体形成不全 黄体の形成が無い。乾物摂取量不足、ビタミンE不足、ストレス 排卵遅延 発情終了後24時間過ぎても排卵しない。 栄養不足、ビタミンA不足、硝酸塩濃度過剰 着床障害 子宮内膜炎、タンパク質含量過剰 早期胚死滅 着床前・着床期に胚が死滅する現象 子宮内膜炎 分娩時には子宮に細菌が侵入するが、通常子宮は3~4週間でほとんど排出されるが、 この期間を過ぎても細菌が存在し膿汁や膿性粘液を排出する。難産や死産、後産停 滞、乳熱や産褥熱、ケトーシスなどの周産期疾病でリスクが高くなる ✓ 体温が上がると繁殖は低下

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2 人工授精師や獣医師による繁殖の取り組み事例 乳牛の繁殖に関わっている人工授精師や獣医師などのサポートを受けるのも一つの方法 です。繁殖成績を改善させるための取り組みを行っていますので、活用しましょう。 ここでは管内の2つの団体の事例をご紹介します。 (1)例1 農業協同組合(以下 JA) 繁殖成績が好ましくない場合、農業者と相談しながら図 20 の様な対策をとります。1~ 2ヶ月に1回程度、未受胎牛の状態確認と授精牛の妊娠判断を行い、治療が必要な牛の把 握と獣医師への相談を促します。 図 20 JAの対応例 農業者とともに一連の流れを繰り返し行い、治療や対策が必要な牛の早期発見ができ るよう獣医師と連携しながらサポートしています。

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(2)例2 農業共済組合(以下 NOSAI) 農業者から獣医師へ治療の依頼があった時は、まず獣医師が黄体の状態を確認してか ら、どのような処置にするかを相談します。受胎の悪化が長期にわたった場合は、ホルモ ン剤によるプログラム授精を提案します。どのような治療内容にするかは、牛の状態を見 て判断します。 図 21 NOSAIの対応例 その他「群疾病事業」として、定期的な繁殖検診を実施しています。分娩後日数に応じ て、状態を確認する必要のある牛をピックアップし、プログラム授精を行います。状態確 認漏れの防止、リピートブリーダー牛や長期不受胎牛への早期対処によって、受胎の向上 が期待できます。

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Ⅴ 後継牛確保のための繁殖戦略 1 なぜ後継牛確保が必要か? 後継牛は農場にとっての資産です。後継牛を豊富に保有していると乳房炎や肢蹄が悪 いなどの牛を積極的に淘汰・更新ができ、作業の効率化につながります。また、新たに 牛舎を建設した農場では、搾乳牛を増頭しなければなりませんので、後継牛の確保が今 後の経営に影響します。 しかし、これらの後継牛の頭数が確保されていなければ乳房炎や3本乳、繁殖が悪い 牛などを積極的に淘汰できなかったり、出荷乳量が伸び悩んだりと作業性の悪化や経営 などに影響をおよぼします。 この章では後継牛確保のための繁殖戦略である、増殖計画と淘汰について説明します。 2 増殖・個体販売計画 現在、根室管内では雌雄判別精液(以下判別精液)や和牛精液の利用が増加していま す(Ⅰ章より)。判別精液や受精卵移植技術が向上するなど新しい技術を経営内に取り入 れている農場も増えてきています。それぞれに利点欠点がありますので、上手に使い分 けをして、生産していく必要があります。 今まで使われてきた通常精液では、雌雄の産み分けが 50%でした。しかし、判別精 液の登場で雌子牛の生まれを増やすことができます(図 22)。和牛精液や受精卵移植(E T)を活用すれば F1 種や和牛を生産でき、個体販売として利益を上げることができま す(写真5)。 闇雲に判別精液や和牛精液・受精卵を使用するのでなく、戦略的に増殖計画を立てて 適正頭数を確保する必要があります。例えば、規模拡大中であれば既存の施設で増頭分 を管理できるか、預託を利用するかを考える必要があります。また、和牛精液を活用す る場合は、和牛精液を付けすぎてしまい後継牛が残らないということも実際に起こって います。 図 23 では、根室の現況から判別精液と和牛精液を有効に活用している事例を紹介し ます。 A 農場は根室の現状から分娩間隔 400 日の場合に産まれるホルスタイン種の雌、雄、 F1 の頭数を算出しました。 規模拡大タイプの B 農場では、通常精液と判別精液を活用し育成牛の確保を行ってい ます。農場内で管理できない育成牛は町営育成牧場に預けています。 図 22 選択する精液や技術で増殖計画は立てやすい 写真5 個体販売で利益をあげる

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個体販売有利タイプの C 農場では、通常精液と判別精液、和牛精液の3種類をうまく 活用されています。経産牛には通常精液と判別精液を使い、初産牛に判別精液と和牛精 液を使い、雌子牛を確保しつつ、F1・ET を生産し個体販売で利益を上げています。 3 淘汰の基準 繁殖戦略を考えると、牛群に残す牛をどこで決めるかが重要になってきます。そこで、 管内の農場から聞き取った淘汰基準を紹介します(表 14)。農場内で優れた乳牛を残し て、牛群の底上げをしていきましょう。 表 14 淘汰基準(根室管内の農家聞き取り) 表 14 のとおり、農場の淘汰基準は様々です。繁殖では授精回数 5 回以上と、受胎が 遅れた牛を長く農場に残しがちですが、過肥や周産期のトラブルにつながり経営に悪影 響をあたえます。 図 23 のように計画的な授精の実施により、十分な後継牛の確保が実現できれば繁殖 淘汰の基準を高め、更なる生産効率の改善が期待できます。分娩間隔 400 日を目指し、 本資料を積極的にご活用ください。 図 23 判別精液や和牛精液を活用した事例 A 382 〇 B 406 〇 〇 〇 〇 〇 C 392 〇 〇 〇 D 398 〇 E 386 〇 〇 〇 F 396 〇 〇 〇 G 397 〇 太り やすい 高齢牛 分娩間隔 不要な 血統 乳房炎 の常連 気性が 荒い 項目 授精回数5回以上 低乳量 ライナー スリップ しやすい 乳房に 問題 蹄に 問題 農場 繁殖成績 淘汰基準 繁殖 乳量・乳質 作業性・個体の問題

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牛にやさしい管理が結果を生む!

養形態 繋ぎ飼い(ニューヨークタイストール)と放牧管理

産牛頭数 56頭

殖成績

経産牛1頭あたり乳量 11,721kg 分娩間隔 382日

繁殖のポイントと取り組み

発情観察

・発情の確認は基本的に牛舎の中で作業中に行い、分娩後の1回目(20日~30日)の発情を必 ず確認する。その後、発情周期を確認し、60日以降の発情で授精する。 ・発情兆候は、外陰部の状態(腫脹や粘液)、咆哮、目つきなどを確認する。 ・発情予定牛にはテールチョークを塗布し、放牧地、パドックで乗り合いがあれば確認する。冬 期間も発情観察は同じ方法であり、日中はパドックに出す。

繁殖データ管理

・管理ツールは繁殖管理盤とホワイトボードを利用している。発情予定牛は記憶しているが、頭 数が多くなった際はホワイトボードを使用する。ホワイトボードには牛番号、発情月日、授精 月日を記入する。

飼養管理

・濃厚飼料の給餌量 エネルギー不足による発情鈍化を防ぐため、泌乳ピークが過ぎても配合の給餌量は急に下げず に授精時まではその量を維持する。個体により体脂肪の付き方を見ながら給餌量をコントロー ルしている。 ・乾乳牛管理について 分娩後の疾病を防止するため、乾乳牛は前期と後期に分け、良質粗飼料の飽食とカルシウム飼 料のコントロールを実施している。分娩後の疾病防止が、卵巣機能の早期回復と明瞭な発情に 繋がると考えている。

淘汰基準

・分娩後1年間受胎しない牛や連続10回授精しても受胎しない牛は、淘汰対象として考える。 繁殖管理盤 牛群全体の未授精 授精・受胎状況を 確認 基本的な発情兆候 は牛舎内で確認 外陰部の状態、咆 哮、目つきを確認 ホワイトボード 牛番号・発情日・ 授精日を記録 パドック パドックを1年中 利用し、乗駕行動 を確認 Ⅵ 優良事例

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ホワイトボードを活用して見たい牛を搾り込む

養形態 繋ぎ飼い(ニューヨークタイストール)

産牛頭数 61頭

殖成績

経産牛1頭あたり乳量 10,470kg 分娩間隔 412日

繁殖のポイントと取り組み

繁殖データ管理

・就農当初よりホワイトボード(写真1)をうまく活用し、繁殖管理を行っている。 ・ホワイトボードには、牛1頭毎に牛番号、分娩日、最終授精日、分娩予定日等を記入できるラ ベルをマグネットシートで作成したものを貼り付け、自由に貼り付け移動ができるようになっ ている。 ・牛1頭毎のシートは「分娩後未授精」、「授精後妊鑑待ち」、「妊鑑プラス」「乾乳」等のカ テゴリーを移動していき、一目で牛全体の様子が見分けられるようになっている。(写真2) また、「21日カレンダー」を活用し、発情、授精の記録を行い、毎日の観察、発情発見牛の 絞り込みに役立てている。(写真3) 写真1 ホワイトボードによる繁殖管理 写真3 21日カレンダー 写真2 牛の分類説明

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発情注意牛を固めて効率的に発情発見!!

養形態 繋ぎ飼い(ニューヨークタイストール)

産牛頭数 86頭

殖成績

経産牛1頭あたり乳量 10,994kg 分娩間隔 386日

繁殖のポイントと取り組み

発情観察

・繁殖管理担当は経営主の妻。 ・繋ぎ牛舎で未受胎牛と妊娠牛(授精しない牛)に固め、効率的な発情発見を実践!! ・対尻式牛舎で通路作業の合間(除ふん作業など)で、「常に意識して」発情観察をしている (排血や流産の胎子も見逃さない意識)。 ・発情発見のポイントは、「個々の牛のいつもと違う行動を見逃さない」(いつも鳴かない牛が 鳴いたり、落ち着かない、発情前に乳の出が良くなる牛もいる)。 ・初回授精は60日以内に実施。60日を過ぎたら授精師に見せて処置する。 ・対象牛は全てPAGs検査を実施し、妊娠を確認している。

繁殖データ管理

・繁殖管理盤と乳検データを活用。

淘汰基準

・淘汰の対象は繁殖と言うより「気に入らない牛」を積極的に淘汰(乳房炎の常連、蹄が悪い、 ライナースリップしやすい牛など受胎しても除籍する)。

こまめな除ふん作業は発

情発見のチャンスが多く

なり、牛もキレイに

牛舎のレイアウト

(イメージ)

乾乳前期(一部)

乾乳後期

未授精牛

(このエリアを注意して観察!!)

妊娠牛

SA感染牛群

乾乳後期と未授精牛 の間には仕切り板を 設置(盗食防止)

牛床の空き状況に応じて随時、牛をずらして移動させる

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牛の状況を常に把握し、高い発情発見率を維持

養形態 繋ぎ飼い(スタンチョン)と放牧管理

産牛頭数 70頭

殖成績

経産牛1頭あたり乳量 7,448kg 分娩間隔 406日

繁殖のポイントと取り組み

発情観察

・発情観察は1日に最低6回は必ず行う。観察のタイミングは、朝牛舎に行った直後、放牧に出 す時、放牧から牛舎に入れる時、朝夕の搾乳作業時、就寝前の牛の見回り時にそれぞれ行う。 ・授精は分娩後1回目の発情を発見し、子宮の状態が良ければ授精する。分娩後100日過ぎても 発情がこなければ子宮の状態を確認する。

繁殖データ管理

・繁殖台帳のみ使用しており、発情徴候を見つけてから繁殖台帳で牛の分娩後日数を確認して子 宮の状態が良ければ授精を行う。 ・人工授精師との情報の確認を行うために、伝言板(ホワイトボード)を牛舎の入り口付近に設 置して授精対象牛の情報など載せている。

飼養管理

・乾乳牛管理は1群管理とし、分娩の60~70日前及び乳量が10kg/日以下で乾乳にする。飼養 形態はフリーバーンで、粗飼料はロールベールサイレージを飽食させ、濃厚飼料は2.7kg/日給 与する。

淘汰基準

・淘汰牛は年間15~20頭程度であり、対象は6歳以上の牛である。優先順位は乳量が群の平均 以下、乳房炎が多い、気性が荒い、1年以上受胎してない等の条件である。

放牧地

0 2 4 6 8 10 12 14 16 ~ 360 361 ~ 370 371 ~ 380 381 ~ 390 391 ~ 400 401 ~ 410 411 ~ 420 421 ~ 430 431 ~ 440 441 ~ 450 451 ~ 460 461 ~ 470 471 ~ 480 481 ~ 500 501 ~ 頭 数 分娩間隔

56%が

400日未満

図1 分娩間隔の分布 伝言板 繁殖台帳 繁殖データ 管理方法は 2つ 0 20 40 60 80 100 4/9 ~ 5/1 ~ 5/23 ~ 6/12 ~ 7/2 ~ 7/23 ~ 8/14 ~ 9/3 ~ 9/25 ~ 10/1 6 ~ 11/6 ~ 11/2 7 ~ 12/1 7 ~ 1/8 ~ 1/29 ~ 発 情 発 見 率 % 調査期間 発情発見率の 目標は70% 図2 発情発見率の推移 年間の発情発見率 は97%と高い!

(32)

ツールを駆使し、繁殖情報を農場全体で共有!

養形態 フリーストール(ミルキングパーラー)

産牛頭数 130頭

殖成績

経産牛1頭あたり乳量 10,500 kg 分娩間隔

396日

繁殖のポイントと取り組み

発情観察

・繁殖管理の担当者は後継者。 ・搾乳牛舎の発情発見は、メイン3人(経営主、経営主の妻、従業員A)、サブ2人(後継者+ 従業員B)で対応する。朝夕の作業時に確認(2回/日以上×5人)して、担当の後継者に連 絡する。 ・育成牛舎の発情発見は、後継者が対応する。 ・朝夕の給餌前後、搾乳後のエサ押し時に確認(6回/日 以上)する。

繁殖データ管理

・経産牛は乳検DL、育成牛は繁殖カレンダー、黒板、乳検DL。

飼養管理

・生まれる子牛をもう少し大きくするため、乾乳中に増し飼い(配合2~3kg)している。 ・ゲノム検査(1万円/頭)を行い、精液の選定を行っている。

淘汰基準

・「10回以上止まらない牛」「乳期(乳量)、足」「交配計画」を見て判断する。

繁殖カレンダー

発情を見つ

けたら乳検

DLで確認

黒板での個体管理

搾乳牛舎

(33)

改良スピードを上げるためにゲノム評価を活用

養形態 フリーストール(アブレストパーラー)

産牛頭数 130頭

殖成績

経産牛1頭あたり乳量 11,250kg 分娩間隔 392日

繁殖のポイントと取り組み

発情観察

・分娩後38日をめやすにフレッシュチェックを行い、繁殖検診を2~3週間に1回実施。検診 結果に応じてオブシンク等で対応。 ・①ホルスタイン雌牛の出生数を毎月安定させること、②積極的に遺伝改良を図ること、さらに ③子牛販売単価の向上を目指し、授精に通常のホルスタイン精液を使用せず、図1の3つのパ ターンに集約。肉牛交配率を10%前後に管理。 ・牛群の改良スピードを上げるため、雌雄判別精液の授精を、ゲノム評価(HDR)で上位の経産 牛と育成牛にのみを行い、ゲノム評価が中・下位の経産牛には受精卵移植か肉牛を人工授精。 ・3回目以降の授精には、追い移植を実施。 ・授精後30日にエコーを使用した妊娠確認を依頼し、授精後2周期(42日)以内に不受胎牛を 発見。 ・繁殖と牛群改良の方針決定は、関係者(授精師、精液販売会社、獣医師、栄養コンサルタント JA、試験場、普及センター等)の協力を得ながら自らが決定し工夫を重ねる。

繁殖データ管理

・授精情報が自動的に入力されるため、繁殖管理に「乳検DL」を使用。 ・牛舎内では自作の確認表(写真1)でチェックを行い、発情発見の漏れを防ぐよう工夫。

飼養管理

・繁殖のため乾乳期の飼養管理を徹底。採食スペースに余裕があるワンローのフリーストールに パドックを併設し肢蹄のストレスも緩和。圧巻の採食量でこの左腹の張りを実現(写真2)。

淘汰基準

・淘汰の優先基準は、①太りやすい牛と②乳房や蹄に問題がある牛。 図1 授精・移植のパターン

受精卵

移植

ホル

♀精液

和牛精液

ゲノム評価

上位牛

未経産牛

経産牛

ゲノム評価

中・下位牛

写真1 繁殖確認表 写真2 乾乳牛の採食

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全ては食い込める粗飼料から

養形態 繋ぎ飼い(ニューヨークタイストール)

産牛頭数 62頭

繁殖のポイントと取り組み

発情観察

・搾乳終わりのミルカー運搬時や除糞の時などに作業しながら観察。

繁殖データ管理

・繁殖管理盤とホワイトボード

飼養管理

・乾いた粗飼料を牛にお腹いっぱい食わせることが基本。遅刈りで乾くのを待つのではなく、早 めに刈ってテッターの回数を増やして乾かしている。ロールカッターで切って給与している。 ・乾いた草とカルシウムの給与などに取り組み、以前より周産期疾病も減った。 ・1年程度繁殖検診を行い、治療の内容やタイミングからもコツを掴んだ。 ・敷料は麦稈を利用。乾乳前期はパドック付きフリーバーン牛舎へ移動し、土を踏ませる。分娩 2~3週間前に搾乳牛舎へ移動し、増給する。

淘汰基準

・蹄に問題があり寝起きが悪くなった牛から優先的に淘汰(5産ほどして蹄が悪くなると隣を空 けて係留するが、それでも寝起きが悪くなったら淘汰対象とする)。

殖成績

経産牛1頭あたり乳量 9,045kg 分娩間隔 397日

繁殖管理はほぼ繁殖管理盤のみを利用 補助的にホワイトボードに記入する

繁殖管理の道具

牛のナンバー、発情の兆候

授精師・獣医師の処置を記録

(35)

繁殖を「パソコン」と「蹄」で効率的に管理!!

養形態 フリーストール(搾乳ロボット)

産牛頭数 260頭

繁殖のポイントと取り組み

発情観察、繁殖データ管理

・搾乳ロボット導入に伴い、搾乳牛の首にタグ(活動量や反芻量などを計測する装置)を装着 し、パソコンに送信されたデータと乳検データを照らし合わせて、繁殖管理を行っている。 (発情だけでなく種付け適期もモニターで表示) ・従業員もパソコンのモニターを確認するだけで繁殖状況が確認できる。 ・タグを装着し、電波の届く範囲であれば、別飼いのパーラーでの搾乳牛も管理することがで きる(別飼いの牛はモニターでチェックする機会が少ないので、タグのバッテリーが切れる とデータが飛ばず、放置状態になることがあるので注意)。 ・交配計画一覧表を作成し、従業員でも授精対応が可能になった。

飼養管理

・繁殖と蹄との関係を重要視し、通路はゴムマットの設置、フットバスの活用、年4回の削蹄 を全頭実施。

淘汰基準

・淘汰の基準は分娩後400日で受胎しなければ、淘汰の対象となる。

殖成績

経産牛1頭あたり乳量 11,000kg 分娩間隔 398日

タグ

ゴムマットの通路

で蹄の負担軽減!!

パソコン画面のイメージ

受信

発情期は反芻

量が下がる

発情期は活動量

が上がる

導入前

乳量:9,048kg/頭/年

分娩間隔:450日

参照

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