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症例報告部門 受賞者 宮崎 紘平 《受賞演題》 トリプレットリピート病によるFSGS 発症分子メカニズムの考察

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Academic year: 2021

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第 55 回日本小児腎臓病学会学術集会 優秀演題奨励賞

《症例報告部門》

トリプレットリピート病による FSGS 発症分子メカニズムの考察

1近畿大学医学部小児・思春期科 2関西医科大学腎臓内科

宮崎 紘平

1

・塩谷 拓嗣

1

・森本 優一

1

・大島 理奈

1

・宮沢 朋生

1

井庭 慶典

1

・岡田

1

・塚口 裕康

2

・杉本 圭相

1 【背景】若年発症の FSGS の多くはポドサイト傷害に起因し,30~50 種類の既知遺伝子検査で約 30%を診断できる. TRPC6(Transient receptor potential cation channel 6)は代表的な FSGS 遺伝子の一つであるが,TRPC6 変異の臨床重症度 は幅広く,症例ごとに浸透率が異なっている.今回,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)の原因遺伝子 Atrophin1(ATN1)のトリプレットリピート伸長と,TRPC6 変異とを合併した FSGS 例を経験し,ポドサイト傷害を生 じる分子機序を考察した. 【症例】24 歳女性.父は健常,母は DRPLA と診断されている.10 歳時に学校検尿で持続的蛋白尿を指摘.11 歳時の 腎組織は,軽度メサンギウム細胞増殖のみであり,ACE 阻害薬を開始した.その後蛋白尿増加に伴い,ステロイドと シクロスポリンを導入したが寛解に至らず,13 歳時の再生検で,FSGS と診断した.その後 18 歳で末期腎不全,24 歳 で血液透析導入となった.また幼少期より学習困難を認め,歩行障害や複雑部分発作が出現していた.DRPLA の原 因遺伝子 ATN1 の PCR 多型解析で,母親と患児に CAG リピート異常伸長(70~73 回)を認めた.さらに患児のみに TRPC6 の de novo ヘテロ接合ミスセンス変異(c.523C>T,p.Arg175Trp,20%モザイク)を検出した. 【考察】TRPC6 変異を合併する DRPLA は本例が第一例である.DRPLA は,脊髄小脳変性を主徴とする稀な優性遺伝 型トリプレットリピート神経病の一つで,一般的に腎障害の合併は知られていない.文献で国内の 11 例に FSGS 病 変が報告(孤発性 6 例,家族性 5 例)されている.ATN1 は腎ポドサイト,尿細管上皮に発現しており,misfolded ポリ グルタミン変性蛋白が核内に蓄積し,細胞傷害を来すと考えられる.TRPC6 p.Arg175Trp は低頻度モザイク de novo 変異であるが,ATN1 によるポドサイト毒性を増強する因子として作用したと考える.今後 FSGS 症例では,点変異の みならずトリプレットリピートを含めた,病因因子の探索が重要と思われる. 95 (95) 日児腎誌 Vol. 34 No. 1

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