• 検索結果がありません。

芳香族炭化水素の光化学反応に関する研究 : NO+O₂+hν系における高沸点生成物質の同定

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "芳香族炭化水素の光化学反応に関する研究 : NO+O₂+hν系における高沸点生成物質の同定"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)1. 報  文 1111湘聾H巨Ii鎚聾IIl11. 芳香族炭化水素の光化学反応に関する研究 NO+02+hリ系における高沸点生成物質の同定 横浜国立大学環境科学研究センター環境基礎工学研究室                     加藤 龍夫・花井 義道. Study of the Photochemical Reaction of Aromatics Analysis of Photochemical Products in the N.0陸・..・02十hりSystem. Tatsuo Katou, Yoshimichi Hanai.    S1nce the Sumnler in 1970, when the photochemical slnog took place in Japan, a number of persons concerned have been studying to explain this phenomenon. But it ls stiU the most important. proble狙that the cause of the heavy damage, such as dizziness、 numb, spasm, was not solved by. aformal smog theory. The au£hers thougl}t that a new phenomenon would be caused by a new cond玉tion, wh二ch was probably caused by the high concentrated ex1stence ol aromatics in exhaust gas and in the environment. Then besides the study to discover enviromental toxicants,.tbe photo− chemical reacしions of aromatics were mainly examined. This pape為colltains tlユe results until now. SQme. new results are as follows:most aro鶏atics react as fast as olefines do and concern tbe ozone for一.                                                   ,. mations. Xylenes and Toluene are important, These reactions are tl}e cleavage of aromatic ring, the oxidation of side chain, the n三tration and hydroxidation of ben2e!、e ring and the dlsplacement of these functional groups. The remarkab}e compounds due to photochemical reaction were acrole圭n, ace亡one, rnethyl nitrate, nitrophends, nitrocresols d玉nitrocresols, etc,  It seems interesting that these. nitroaromatics have the same physiological effect.. 1.緒. 言. リンが使用されており,その結果大気.中での芳番族の 警唖舎も嵐いP。.  光化学スモッグは,これを要約すれば,主に自動車.  1970年以来顕在化した,しびれ,けいれん等重症被. から排田される窒素酸化物,炭化水素等一次汚染質が. 害をふくむ吾国特有の光化学スモッグを解明していく. 太陽光の照射を受けて,オゾン,アルデヒド等二次汚. 上で,芳番族炭化水素の果たす役割,とくに二次的に生. 染質を生成する反応が活発に進行している大気の状態. 成する物質を明らかにすることは重要な課題である。. と雷える。その反応は多数の素反応からなり,1940年.  Heussらはスモッグチャンバーで各種の炭化承素を. 代ロスアンゼルスで被審が起って以来,多くの研究者. 一定条件のもとに光反応させた結果,ベンジル基を持. によって汚染質の分析,反応機構の追求が続けられて. つ芳香族,および不飽和芳香族から非常に眼刺激圏三の. いる。反応が複雑となる一悶は,大気中の炭化水素の. 強い物質が生成されることを指摘し,PBzNを同定し. 構成が,ガソリン成分にその分解成分を加え数十種以. 上に及んでいることである。炭化水素はNOからNO2. ている2}。    ’.  筆者らは芳播族とNO系の光化学反応において,キ. への酸化,オゾン生成を促進するとともに,それ自身. シレンとトルエンがかなりの速度で反応減少すること. より有毒な二次汚染質に変化する。これまでの研究. を示した。またこの時,トルエンからアクロレイン,. は,とくに活性であるプロピレン,ブテン等オレフィ. アセトンが生成されることを認め,ベンゼン環の光化. ン類を中心に研究されてきた。しかし吾幽では米国と. 学:開裂を明らかにしたP。. 異なりオレフィンは少なく,芳香族分の多い改質ガソ.  その後引続いて神奈川県公害センターはベンゼン環. 昭和50年12月24El受理. 開裂生成物質としてメチルグリオキサル,ビアセル等.

(2) 2 の同定に成功した31。.  :機種:島津LKB9000型.  しかし反応の結果減少した量に比べて,その分解生.  カラム:Silicone OV−11%,撞体Chromosorb. 成墨:はその一部でしかなく,物質収支を明らかにする.   WAW 60/80 meshガラス製3mmφ×2m. まで至っていない。この間に未知の物質が含まれるこ.  漏度;カラム 昇温50。C→180。C,6。 C/min,. とが推定される。ここで報告するのは,芳香族炭化ズく.   インジェクション180。C,セパレーター200σC,. 一十NO十〇酵hり系の気相光化学反応によって生成.   イオン源270。C. される沸点!50∼300。C程度の物質を探索した結果で.  キャリアーガス:He 20 m♂/min. ある。同定はGC−MSにより,芳香族炭化水素の光.  イオン化電圧:20eV(TIC描出)一70 eV(走査時). 化学反応を解明する最初の段取りとして行ったもので.  加速電:圧13・5kV, トラップ電流:60μA. ある。.  フィルター1120Hz,スリット:出口 0.1mm.  2.実   験  2−1実験方法  光照射実験は,気相反応を静的方法で行なった。同 定を容易にするため,試料濃度はやや高い濃度に設定 した。.  コレクター0,2mm  2−3 同定および定量法.  一般にはえられたMSスペクトルから既知のデータ (Registry of Mass Spectral Data,」OHN WILE. &SONS等)にもとずいて分子式を求めるが, この ようにして判明しない多くの未知成分を含んでいた。.  α)試料および初期設定濃度. これらはスペクトルからいくつかの分子式を推即し,.  芳香族炭化水素=トルエン,エチルベンゼン,筑一. 標準試料のスペクトル,保持時間と比較の上で決定す. プロピルベンゼン,o, m, P一キシレン及びベンズ. ることにした。ただ入手できた標準試料は一部であっ. アルデヒド. たため,他は前の方法で分った朋裂様式等を基礎に類.  各1000ppm. 推して分子式を決めた。なお,本実験の範囲では定量.  一酸化窒素:. に関しては簡略な方法で生戒量を推冠することに止め.  定量用標準ガス(ガスクロ工業鞘町95%以上). た。すなわち各物質ごとに,反応容器から濃縮管への.  1000ppm. 捕剛率とT王C検出感度を求めるべきであるが,生成.  酸素:. 物質の同定とその大約の生成比を求めることに重点を.  高純度酸素ガス 1気圧. 置き,他は次報以下で扱うことにした。大体の濃度の.  (2)反応容器. 巨安については,凝集率はいずれも芳香族誘導で構造.  ∬ パイレックス製真空びん. が類似しているので同等とし,金て0.5と晃積り,.  (3)光源. TICに対する感度は。一目トロァニソールで求めた値.  ブラックライト(N£C製 FL20BL)20Wx8. を用いて算出した。. 本.  (4)照射装置.  立方体型容器(0.45mxO。451n×0.5m)の内に,. 3.実験結果 各試料からの生成物を示すTICクロマトグラム事. ブラックライトを4本づっ,両面に配置し,反応容器 をその中心につるした。照射室内の渦度は,30土2。C. ④. δ. である。. <. ①.  (5>照射時間. ⑥ δ 箋. さ. ⑨. ヨ. く. δ. ⑦.  1∼5時間照射する。ただしトルエンの唖蝉だけ8. ヨ. <. 時間の暗反応を行なった。.  2−2分析力法. 忌.  照射後の容器内生成物質を,容器を加熱,真空ポン. ②. プで吸引し,液体酸素で冷却したガラス製U呼野に濃. /⑤. ⑧. 縮した。U字管は一部ガラス繊維をつめ,まわりを電. 熱線で密に巻いたものである。GC−MSはキャリアー ガスHeを三方コックで流路を切り換えてこの濃縮管 へ通し,同時に200。C程に加熱して捕集成分を導入し. た。GC−MSの使用条件は以下の通りである。. ぎ く. 図1トルエン5hr照射.

(3) 3. 表1 トルエン生成物 ピーク. ②. ③. ④. ベンズ. ひニトロ. o一ニトロ. m一ニトロ. @アルデヒド. @フェノール. @トルエン. @トルエン. CHO. OH ?NO2. ①. ヤ 号. ⑥. ⑦. P一二トロ. ひニトロー。一. 2一ニトローP一. @トルエン. Nレゾール. Nレゾール. ⑤. CH3. CH3 奄mO・. CH3. 冝B。、. OH. NO Q…. 走ッ02. キNO2.   9. Q. 0.2. 一. 3hr.. 6. 0.5. }. 5hr.. 6. 1. 一.  . 1hr.. 暗反応 @8hr.. ①. 77. CHO. 6. 2. 一. 1. ㎜. 一. 5. 1. 1. 2. 1. 105 106 100. 51. tェノール. OH. キNO2 z02. 50.    OH. mO2. PCH’. @ NO2. 5. 5. 5. 8. 8. 1. 7. 一. 一. 一. 一. 2. 一. 3.  . ⑥  OH c恥. 芽. 77. 153. 150. 100. 50. 150. 100. 139. ②.   OH   向NO2. 100. 65. ⑦ OH. 153.  ㊥Nα  CH3. 77 52. 107. 39. 0. 30. 150. 100. 50. 0. 100. 50. 123136 150. 1∼7に,同定結果と濃度(ppm単位)を表1∼7. 91. ④置,α. に,代表的成分のMSスペクトルをピーク番号で示. 137. す。ピーク番号はTICク・マトグラム上に①∼⑰ま. 65. で通して示す。. 39 o. 4,6一ジニトロ [。一クレゾーノ. 2. 0. 100. ⑨. 107. 0. 100. 2,4一ジニトロ. bH3. 光照射. 1000. ⑧.  1) トルエン(表1,図1,①②④⑥⑦⑧⑨)生戒 50. 150. 100.  物のうち側鎖のメチル基の酸化を示す ①ベンズア.   ⑧   Oli.      ◎NO2. 184. 100     NO2. 50. 10G. 150. 20Q.

(4) 4. ⑨   OH.   Nα◎c臨 100. 198.     翼02. 5i. 105.   121. 168. 0. 100. 50. 150. 200. ルデヒド,ベンゼン環のユトロ化による③④⑤ o,. ただけで,ベンズァルデヒド,ニトワフェノール類は. m,p一ニトロトルエンは容易に購定できた。ニトロト. 検出されなかった。. ルエンはm,P一異性体が分子イオンM(m/e王37)M−.  2)エチルベンゼン(表2,図2⑩⑪⑬⑭⑮⑯⑱). 46(m/e9!)のピークが強いのに対し, o一異性体は・.  ⑩はエチル基のα位が酸化されたアセトフェノンで. これらは弱く,OHの離脱したM−17(m/e120),シ. ある。M−15(m/e 105)が強い。メチル基の離脱し. クロペンタジエニルイオン(m/e65)が顕著である。. たM級5はエチルベンゼン誘導体全般に特徴的に現わ. 他はいくつかの異性体が考えられ検討を要した。試薬. れる。β位が酸化されて出来るフェニアルセトアルデ. (爽京化成製)を入手し,スペクトル,GC保持時閲. ヒドは検出されなかった。⑪⑫は。,p一フエノールで. を比較したところ,②は。一ニトロフェノール,⑦は. 少量生成されている。⑬はニトμエチルベンゼン,⑯. 2一ニトロー1レクレゾール,⑧は2,をジニトロフェノ. はニトロァセトフェノンでいずれもm一(あるいはP一). ール,⑨は4,6一ジニトロ幻一クレゾールと完全に∼. 異性体である。生成量の多い⑭⑮は,6一ニト・一〇一エ. 致した。いずれも水酸墓とその。位にニトロ基が置. チルフニノール,2一ニトローP一エチルフェノールと考. 換されたニトロフェノール類であり,強い分子内水素. えられる。ニトロクレゾールと同様iのフラグメンテー. 結合を形成し,他の異性体より揮発性,保持時間が短. ションで,M(m/e 167), M−15(m/e 152)が強い. い。そのスペクトルは分子イオンを強く示している。 ⑩. 2,4一ジニトロフェノールは,o一ニトロフェノールが. 豪. さらにニトロ基に対しm一位にニトP化されたもので. く. ⑰. ⑭. ある。⑥は。一ニトロトルエンのすぐ後で分離してい. ⑬.. ⑮. ないが,スペクトルの強度から判断して。一ニトロト. ルエンよりずっと多量に生成されている。この物質は. 閃. 4,ぴジニトロー。一クレゾールの前身である6一ニトロ. ⑪ ⑫ ⑱. ー。汐レゾールと考えられる。スペクトルは2一ニト. ⑯. ローP一クレゾールと比較して分子イオン(m/e153). 1,. が弱く, フェニルカチオン(m/e77)が強い。なお 暗反応では,ニトロトルエン餐異性体が少量生成され. エチルベンゼン 5hr照射. 表2 エチルベンゼン生成物 ピーク. ヤ 号. ⑩. ⑪. ⑫. ⑬. アセト. 。一エチル. P一エチル. m一ニトロエチ. @7エノン. tェノール. tェノール. 泣xンゼン. CH3 PC需0. OH. ?。・H・. OH. ?C2H5. C2}{5. 冝C。,. ⑭. ⑯. 6一ニトロー。一. 2一ニトローP一. Gチルフェ/. Gチルフェノ. 黹. [ル. OH. NO. キNO2. ⑯ m一二トロア. Zトフェノン. CH3. @l. b讐0. 冝C。、. b2H5. 光照射. ⑰. ⑱. 4,6一ジニトロ. 2,ひジニトロ. [0一エチル7. [p一エチルフ. Gノール. Fノール.   OH mO.    OH. キαH5. ル命NO2  C2H5. @ NO2. 3hr.. 1.9. }. 一. LO. 4.3. 2.9. 一. 0.9. }. 5難r.. 3.6. 0.7. G.7. 2.4. 6.0. 5.0. G.3. 3.3. 0.7.

(5) 5. ⑩  CH3. ⑬ C2H5.    と皿o ユ00.   向,α. 105.   ㊨. ユ5ユ. 100 77 105. 7779. 120. 0.. u. 150. が,相対的に2一ニトローP一エチルフェノールの方が,. 向。・H・・. 107. この傾向が大きい。⑰⑱は⑭⑮がさらにニトロ化され た4,6一ジニトロー。一エチルフェノール,2,6一ジニト ローP一エチルフェノールであろう。. 122. 91. 77. 0. 100. 50. ⑪  QH 10 「. 136. 0. 150. 100. 50. 134.  3) プロピルベンゼン(表1,図3 ⑳㊧⑳)  プロピルベンゼンもエチルベンゼンと同様な生成物. 50. 150. }00. ⑭・ 100. であった。⑳はエチルフェユルケトンでプロピル基の. ??. 152.   167 91. 77. 0. 200. 150. 100. 50. ⑮  OH.   研. 100. 152.   C2H5 il;7. 0. 50. ⑯ 100. 100. 200. ユ5D. ぎ呈も. 150. 向,。,. 9ユ. 165 o. 50. 100. 150. ⑱   OH 100.   瞼¢α. 197. 212.    C2H5. 0. 50. 100. 150. 200.

(6) 6. α位が酸化されている。⑲⑳は。一ニトロフェノ_ル,. ⑲. δ. δ. ヨ. ヨ. ;く. 2,礁ジニトロフェノールでトルエン,エチルベンゼ ンより生成量は多い。⑳はm一ニトロプロピルベンゼ. く⑳. c旨⑳. ン㊧は6一ニトロー。一プロピルフェノール,㊧は2一ニ. ⑳. トローP一プロピルフェノール,㊧は4,6一ジニトロー。. 1⑳. ⑳. 一プロピルフェノール,⑳は2,6一ジニトローP一プロピ. 1. i. ルフェノールと考えられる。  4)キシレン(ii隻4,5,6,図4,5,6⑳⑳⑳⑳⑳$⑳㊥. 1.   ⑭).  キシレンの。,m, P各異性体からトルアルデヒ. ㎝ 箋. ド,ジメチルニトロベンゼン,ニトロジメチルフェノ. 図3. 5hr照射. n一プPピルベンゼン. ール,ジメチルキノン等が生成された。⑳⑳⑳は。,. 表3n一プPピルベンゼン生成物 ピーク. ⑳. ⑳. ⑲. n番号. o一ニトロ. エチルフェ. m一ニトロプロ. tェノール. jルケトン. sルベンゼン. C2H5. OH. U。。. ?NO2. U. 光照射. C3H7 冝C。,. ⑳. ⑳. 6一ニトロー0一. 2一ニトローP一. vロピルフェ. vロピルフェ. mール. mール.   dHNO㊨c・H・. ⑳. ⑳ 2,4ザニトロ. 4、6一ジニトロ [O一フ’ロピル. tェノール. OH ノNO2C3H7. ⑳ 2,6一ジニトロ     F一ひプロピル. tェノール. tェノール. OH.   OH ・。.    OHNQ珍NO2. mO2. @ 渓02. @  C3H7. ー02. D。3H7. 3hr.. 0.7. 1.1. 1.2. 7.2. 4.8. 0.3. 1.8. 0.3. 5hr,. 2.3. 5.3. 1.3. 5.5. 3.6. 0.7. 2.8. 一. ⑳. ρ・臨 C瓢0                     105             77. 100. ㊨. 134 0. 100. 50. 100. ⑳  oH NO・. 200. 150. 152. 揩b・H・. 181. 0 50                100                150                200. IOO. ⑯   oH Nα 揩m(必.    C3H7. 197. 91. 226 o. 50. 100. 15⇔. 200.

(7) 7. 野. §. く. 史. ⑳. @. ⑳ ⑳. ⑳. ⑫⑱  1. ⑳ 冒 く. ぎ. 図6p一キシレン3hr照射. く. 図40一キシレン3hr照射. 従った。生成量が多かったのは, o一キシレンから⑳. 8. 2一ニトロー5,6一,⑳2一ニトロー4,5一,m一キシレンから. 毛. ⑲2一ニトロー4,6一,P一キシレンから喰2一ニトロー3,6一. ⑲. と推定されるニトロジメチルフェノール類であった。. ⑭. そのスペクトルは分子イオンと(m/e167)とトロピ. δ. 1斗. リウムイオン(m/e91)が強く示されているが,量 的には置換基の位置によって微妙に変化する。置換基. ⑯. がベンゼン環の片翫に集中すると,分子イオンは不安 定で,そのピークは弱くなると考えられる。その他ベ ⑳. ⑳ ⑯. ンゼン環の酸化を示す⑳㊧⑪ジメチルキノン類が少量 生成された。.  5) ベンズアルデヒド(表7,図7). ii.  ⑮o一ニトPフェノール,⑰2,4一ジニトロフェノ 罫. ール,及び⑳安息香酸が顕著に生成した。生成物は容. く. 器三瀬に茶かっ色に付着し,一部針状結晶となってい. 図5 m一キシレン 3hr照射. た。安息香酸は生成量が多く,テーリングが激しかっ. m,P一トルアルデヒドで芳香族アルデヒド特有のM,. M−1ピークを強く示している。⑪⑫頓⑳⑳のジメチ ルニトロベンゼンの同定は,メチル基の0位がニトロ. 化されたのはOHが離脱しM−17が強いという法則に. た。. 4. 反応機構に関する考察 本実験で明らかにされた生成物質を分類すると,側. 表40一キシレン生成物 ピーク. ヤ 号. ⑰. ⑱. ⑳. o一トルアル. 2,3一ジメチ. 2一ニトローP一. fヒド. 泣Lノン. Nレゾール. OH. CHO ?CH3. キNO2CH3. ⑳. ⑳. ⑫. ⑳. 2一ニトロ. 2,3一ジメチ. 3,をジメチ. 2一ニトロ. [5,6一ジメチ. 泣jトロベ. 泣tェノール. 塔[ン. 泣jトロベ 塔[ン. 泣tェノール. :渉. NO2. NO2 ?、。,CH3.. [師一ジメチ.   0}… bH庫NO2  CH3. 光照射 3hr。. 5.5. 0.6. 5.8. 6.7. 0.7. 2.8. 3.4.

(8) 8. 表5 m一キシレン生成物 ピーク. ⑳. ⑭. ⑳. ⑳. ⑳. ⑱. 田ぜルアル. 2,6一ジメチル. 2,6一ジメチル. 2,4一ジメチル. 3,5一ジメチル. ヤ 号. jトロベンゼン. Lノン. fヒド 『. CHO. 劔  0  0.  NO2. 5.3. 1.1. 0.6. キ。恥. jトロベンゼン. NO2 ョCH3. jトロベンゼン.  NO2. f㎝. 2一二トロ [4,6一ジメチ. 汲Vエノール.  OH チ瞼 CH3. 光照射 3kr.. 0.8. 17. 0.7. 表6P一キシレン生成物 ピーク. ヤ 号. ⑳ 野トルアル. 2,5一ジメチル. fヒド. Lノン. CHO. ¥CH」.   O. 2一ニトロ. 2,4一ジニトロ. 4,6一ジニトロ. [3、6一ジメチ. [3,6一ジメチ. [0一クレゾー. 泣tェノール. 泣tェノール. cH. CH. bH黛α{3. ⑳. ⑳. ⑫. ⑳. NO. Q   NO2. ⑳        CHO                       91. 100.    120119. ン   NO2. @ 0. 光照射. @       向。}{3. 0.                」. T0        100 3hr.. 14. 0.8. 1.8.   OH. 91. ll:◎Nα. 100、. 150. L8. 0.6.  l 167.  i. 。LL」一 5.. 100. @ 餐02          77. 105. 普@  CH3   CH3. 10G. O. 134. 一 200. 150. ゆ0. 151. ⑫  饗0・. 105. 。、陣〕. 79. 77.    C赫3. o. 0. 100. 5G. !50. ⊥. 79. 1.. 160. 50.   oH. cH、◎ぬ. 門. 167.  cH3 91. 0. 50. 100. 150. 200. 150.

(9) 9. 鎖のα位の酸化によるべンズァルデヒド,アセトフェ.   o Clh 揩bH・ 100. ノン等芳香族アルデヒド,ケトン類,ベンゼン環のニ. 136. お  6s. トロ化によるニトロトルエン,ニトロキシレン等,ニ. 108. トロベンゼン類,とくに生成量が多かった水酸基,ニ トロ基に置換されたニトロクレゾール,ジニトロクレ. ゾール等ニトロフェノール類に分けられる。少量生成. o. 50. 100. ⑳. 150. 物としてエチルベンゼンからエチルフェノール,キシ.   OH c出 艪mα. roO.  α{3. 0. 167. 91. 100. 50. 200. ユ50. ⑫  0薮. 。喧留1. 100. 91. 167 0. ⑲. 150. 100. 50. olI. CH. 100. D曾1. 212. 177. 195. NO2. 149. i 0. 50. 100. 2GO. 150. 表7ベンズアルデヒド生成物 吋. o. 三⑰. ヨ. …く. ピーク番号. ⑰. ⑯. ⑮. 一 oヨ. 駅. O∋<. ⑮. <. o一ニトロ. ⑯. 安息香酸. tェノール. 2,4一ン.一ロ u ・ ノー.、ン 」T. COOH. OH. キNα. OH. スNαNO2. 光照射 『i. *.  響冥  く. 3hr.. 13. 図7 ベンズアルデヒド 3hr照射 *テーリングが激しい.. 4.

(10) 10. レンからベンゼン環の酸化を示すジメチルキノン類が. ドから生成された0一ニトロフェノールは,側鎖の離. 認められた。. 胞伴う・・ニルラジ・・レ(◎)・・ら購の罷.  以上の生成物を反応機構を通して説明するには,. で説瞬される。. 0,0H等反応性ラジカルの芳香族に対する役割,お.  生成量の多かったのは,m一キシレンからの2一ニト. よび中闘体の構造を明らかにしなければならない。さ. ロ畷,6一ジメチルフェノールであった。これは矢印の. しあたっては,0,0Hラジカルが芳香族に対して付. 位置が2つのメチル基に対し,o一, P一位に絹拙し,. 加反応となるか,水素引き抜きとなるかが問題とな. この位置が水肥引き抜きに対し。一,P一配向性によっ. る。. て活性化されていると考えられる。.  BonannoらはO(3P)原子とベンゼンの反応を 詳細に研究し4),0原子のベンゼン環への付加,フェ.           CH3.          軌.. ノールの生成を報告している。しかし今回の実験で は,フェノール類はエチルベンゼンから少量生成され.           量. たのが認められただけで,ほとんどの生成物は水素を.  ニトロフェノール類はさらにニトロ化されやすく,. 引き抜かれている。ここでは,Hechtらによって最近. 照射5時間では,4,6一ジニトロー。一クレゾール等,ジ. まとめられた反応機構5}を参考に,水素引き抜きを開. ニトロ化念物がかなり生成されている。. 始とするラジカル反応機構を推定してみた。トルエン.  以上芳香族炭化水素の光化学生成物について,その. を例に,ベンズアルデヒド,2一ニトP−P一クレゾール. 反応機構を考察したが,芳香族系の光化学上の駐質は. について示す。. 光化学スモッグ発生以来追求してきたことであるか ら,上記に加えて今まで,明らかにして来た反応機構. (i)ベンズアルデヒド. ◎・隅. 一H. @・距. ◎一。胆α. ・◎一・瞭. @・晒・・N・. σ・比・…α. ◎・磁…α. ◎・…Hα. を整理して示すと,つぎの四通りとされる6’。 トルエ ンを例に列記しておく。.  ①ベンゼン北開裂反応:アルキルベンゼン自体は 300μm以上の光を吸収しない。したがって一次光分解. でなく,NO2光分解によって生ずる0原子,または 03とベンゼン環の反応に伴う開裂であると考えられ る。生成物質として低分子のアルデヒド,ケトンが認 められる。. 〔ii>2一ニトローP一クレゾール. ・掘《》  」・臨《i>・ ・翫. si>・+軌 一画匝ンα・. ・翫. 翼ソ・…一・比《〉・・徽. CH3. 向一CrH・ 1一鴛職IC臨 ②側鎖の開裂反応=生成物質として硝酸メチル,2一. ・蝋至〉一・…伍一・臨《i>嚥. ・ @・ 塾 《翻  ニトロクレゾールの生成については,他にニトP三. 一→フェノール化,あるいはフェノール化→斗トロ 化 と二段階をへて生戒する過程も考えられる。しか しクレゾールは検出限界以下,ニトロトルエンもニト. ニトロフェノールをあげることができる。これらは, メチルラジカル,フェニルラジカルを経由し,硝酸エ ステル化する。2一ニトロフェノールは中閾体礪酸フェ ニルが転移し生成されたと推定できる。2,4一ジニト ロフェノールはさらにニトロ化されるとされる。. δぐち=諜畿畿                    鐸02. ロクレゾールよりずっと少量しか生成されず,二段階. ③側鎖の酸化反応:トルエンからは,ベンズァルデ. の過程は認めがたい。上に示した転移を含む過程は,. ヒドを生ずる。酸化反臨では,0原子による酸化,O. 硝酸フェニルが不安定であるとすれば,十分可能であ. Hラジカルによる水素引き抜きの過程が考えられる。. ろう。. ベンズアルデヒドは安息香酸へ進み,また㍗ニトロ.  またトルエン,プPピルベンゼン,ベンズアルデヒ. フェノールを生成する。.

(11) 11.         H.  本実験では高濃度領域小容蚤容器条件を対象とし. 6一〔参. たので,さらに低濃度での量的評価を行うとともに,.  C}{3      C=0. 光化学スモッグ被害時の大気中存在量との対比によっ. て,スモッグ現象への寄与を明らかにする必要があ  ①ニトロ化,ニトPフェノール化:ベンゼン環のニ. る。ただこの実験濃度に関しては,都市大気中の低濃. トロ化生成物としてのニトロトルエンは生成量は少な. 度をもってすべきであるという単純な意見は賛同し難. い。ニトロフェノール類の方が生成量が多く,反応容. い。それは作用が認められ程度の光化学反応は不可能. 器壁面上に茶褐色に付着して認められる。. であり,実際濃い排気ガスが次第に薄って行く途中の 段階で反応の引金が引かれることが現実に近いと考え.  CH:{      CH3・. 向一軋・一. られるからである。なお,今までの実験の範囲では,. 生成物質の比率に濃度条件の差は出てないことを付記 する。.  確認された芳香族光化学生成物は種々の生理作用を  CH3       CH3            CH3. 有するものが多い。とくにニトロフェノール類は毒性 が強く7’, 口渇,発汗,体温上昇,脈博頻迫町の症状 があり,さらにジニトロクレゾールの最:高作業場濃度. が0.2mg/m3と低いのが特徴である。これらは重症. 5.問 題 点. 被害との関連で注目すべきであり,光化学実験結果と 大気中濃度の把握を平行して実験中である。.  芳香族炭化水素の光化学反応において生成する多数. 参考 文 献. の誘導体を同定することができた。本報では今までの 分について示したが,これによって芳香族光分解の幾. つかの方向がわかる。それらは,ベンゼン環開裂反 応,側鎖の開裂反応,側鎖の酸化反応およびニトロ 化,ニトpフェノール化反応である。しかし,本件の. 1)加藤竜夫,花井義道,堀本能之,加地浩成1横浜 国大環境科学研究センター紀要1,37(1974) 2)」.MHeuss, W. A.αasson=Environ. Scl,. TechnoL 12,1109(1968). 主要課題の一つである物質牧支については,依然とし. 3)神奈粗県大気汚染報告 第15報(1973). て未解決となった。すなわち,低沸点分解成分に続い. 4)R,A. Bonanno, P. Kim:」, Chem. Phys,57,. て,高沸点範囲の誘導体においても,生成物総量は原 芳香族減少量の10%を超える結果はえられなかった。. このことは前記の分析条件ではまだ全部の異性体を確 めてないこと,また光化学反応生成物の多くはさらに 重合等に進み,今まで測定された分はその途中の中間 生成物,あるいは技分かれ生成物を見ているに過ぎな いことも考えられる。いずれにしても・今後の課題とし て主反臨を確定する作業が残された。. 4(1972) 5)T.A。 Hecht, J. H. Seinteld:Environ. Sci.. Techno1,8,327(1974). 6)加藤竜夫,花弁義道:大気汚染全国協議会第15回 総会講演,昭和49年11月(千葉). 7)堀口博:公害と毒・危険物有機編,P666, 三共出版.

(12)

参照

関連したドキュメント

び3の光学活`性体を合成したところ,2は光学異`性体間でほとんど活'性差が認め

これらの定義でも分かるように, Impairment に関しては解剖学的または生理学的な異常 としてほぼ続一されているが, disability と

それゆえ、この条件下では光学的性質はもっぱら媒質の誘電率で決まる。ここではこのよ

図 21 のように 3 種類の立体異性体が存在する。まずジアステレオマー(幾何異 性体)である cis 体と trans 体があるが、上下の cis

Hoekstra, Hyams and Becker (1997) はこの現象を Number 素性の未指定の結果と 捉えている。彼らの分析によると (12a) のように時制辞などの T

条例第108条 知事は、放射性物質を除く元素及び化合物(以下「化学

定的に定まり具体化されたのは︑

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に