校長のリーダーシップ行動と教員のモラールとの関係に関する研究 : 教員の個人的特性の観点から
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(2) 目. 問題. 次. ………………一一一一一…一一一一…. 1. 方法. 16. 結果. 19. 考察. 35. 引用・参考文献. 48. 付記. 一一一一一一一。一一一一一一一一一・一一一一一一・一一・一一一一一一一一一. 参考資料. 53. 54.
(3) 問 題 本研究の目的は,校長のリーダーシップ行動と教員のモラールとの関 係が教員の個人的特性(達成欲求,親和欲求)によってどのように規定 されるかを検討することである.. ここでいう「リーダーシップ行動」とは「集団の目標の設定を促進し,. その目標に向かって集団構成員を動機づけ,集団成員間の相互作用を強 化し,集団凝集性を高め,集団資源を有効に用いるようにする集団状況 的行動」(三隅,1964,ただし,「機能」を「行動」に置き換えた.)で あり, 「教員のモラール」とは,「ある学校の教員が,その学校の教員. であることに溝足と誇りをもって結束し,教育目標という共通の目標を 達成すべく,よりよい教育実践をめざして積極的に努力しようとしてい る感情ないしは態度」(二関・日比・河野,1960,ただし, 「教師」を「教. 員」と置き換えた.)である. 本研究で,「教員のモラール」という 表現で統一したのは,「教職員」という表現が,学校教育の場において は,教員と事務職員をあわせた場合に多く用いられ, 「教師」という言. 葉は,生徒との対比を意識するときに多く用いられるからである。. また,校長のリーダーシップ行動の効果を吟味する変数として教員の モラールを用いたのは,次の理由からである.組織集団の効果は,一般 に生産量・業績と従業員の満足(感)との2つの側面においてとらえら れる.それを学校経営にあてはめて考えると,教育効果と教師のモラー ルとに相当する.生産量等で測りやすい一般企業と異なり,教育効果は 何をもって教育効果とするかを含め,測りにくい側面をもっている.と ころがs’. ウ員のモラールは,先の定義の元に,職員会議に対する評価や. 教育に対する研究意欲,さらにはそれらを支える人間関係にいたるまで 一1一.
(4) 幅広い内容を含む.そのために,このような様々な領域に対する教員の 感情や意識・態度を測定することによって,教員の実態を浮き彫りにす ることが比較的に可能である.だから,校長のリーダーシップ行動の効 果を吟味する測度として教員のモラールを用いた. 個人的特性として用いた達成欲求,親和一欲求については,長田(1971). に見られる以下の定義を用いた.長田(1971)は,社会的動機を対人関. 係の面から包括的に2分している.すなわち,自分を他の人たちから際 だたせ,社会的に卓越しようとする「十全感」にむすびつくものと,自. 分を他の人たちの中に埋没させ,他の人たちと融和し,共にありたいと する「安定感」に結びつくものである.前者は達成動機(achievement motive),後者は親和動機(affiliation motive)に対応するものであ. る,としている.これら2つの動機は,Murray(1938)の社会的動機の リストにも含まれているものであり,実際の社会行動の発現にあたって は重要なものである.. さて,わが国におけるリーダーシップ行動とモラールに関する研究か ら諭を進める,そのためには日本の機能的リーダーシップ論の先駆者で あり,本研究の校長のリーダーシップ行動に関する考え方の基礎になっ. た三隅(1984)の提唱するPM論の説明から入っていく必要があると考 える.三隅(1984)は,PM論について,概略を以下のように説明して いる.PM指導類型の概念とは,伝統的指導類型概念の限界を考慮して 実験的・実証的解析によりょく適合した類型概念として選択したもので ある,すなわち,従来の指導類型概念,例えば,民主型,専制型,自由 放任型(Lippitt&White,1943)の類型概念より,もっと測定操作次元 が明確であり,より中立性が高い概念であると同時に,単一次元でなく,. 多次元的解析が可能な新しい指導類型概念を選択しようとした集団機能. 一2一.
(5) 概念である.集団機能は,2つの機能次:元に大別することができる.1 つは,集団における目標達成ないし課題解決を志向した機能で,名称と. してPerformanceの頭文字をとってP機能と略称し,もう1つは,集団の 自己保存ないし集団の過程それ自身を維持し強化しようとした機能で,. 漁intenanceの頭文字をとってM機能と略称している.そしてそれぞれの. 機能の強い場合をP,Mで,弱い場合をp, mで表現した.2っの機能 の強さの組み合わせからリーダーシップタイプをPM型, P(m)型,. (p)M型,pm型の4種類に分けた.この4種類がPM論におけるリ ーダーシ・ソプ4類型といわれるものである.. 学校の管理職以外のリーダーシップ行動については三隅の提唱するP M論によるものが多い.三隅らはリーダーシップ行動が生産性,モラー ル等に及ぼす効果に関する様々な,そして大規模な研究を行い,PM類 型の妥当性と信頼性の吟味をいろいろな集団場面で行った.企業におけ るリーダーシップ(例 操車係とバス運転手対象;三隅・篠原,1967),行 政におけるリーダーシップ(例 課長・係長と一般職員対象;三隅・篠原 ・杉万,1977),政治におけるリーダーシップ(政治的指導者と地区住民 対象;三隅・黒川,1972,1973),教育におけるリーダーシップ(担任教師 とその学級児童対象;三隅・吉崎・篠原,1977),家族におけるリーダーシ ・ソプ(例 10∼11歳の小学児童とその両親対象;古川・三wa ・篠原,1969),. スポーツ集団におけるリーダーシップ(例 大学の体育系サークルに所 属する学生対象く主将と一般部員〉;三隅,1984)等である.それらの調. 査を通して,リーーダーの影響は一貫してPM型が最優位であり, pm型. が最劣位である,また,P機能よりもM機能の方がモラールとの関連が 強く,P機能が効果的に機能するためにはM機能が必要であることが示 された.. 一3一.
(6) 次に,学校の管理職のリーダーシップ行動と教員のモラールの研究に ついて述べる.. 二関他(1962)は「教育経営における教師集団の人間関係の研究」と いうテーマのもとに教師集団の組織化と教職員のモラールとの関係を,. 教育社会学的側面より明らかにした.この研究の結果では,校長のリー ダーシップに関していえば,外部(教育委員会)に対して自主性を堅持 し,内部(各教師)に対しては民主的にふるまう校長のいる学校の教師. の満足度が高かった.また,分会(組合)活動に何らかの管理的手続き を求める校長の場合には,一般的な学校経営の準拠枠が教育委員会側に 向けられている,と教師は認知していた.. 辻・片岡(1967)は,小・申学校教員に「学校運営の適応に関する調 査」を行い,回収された8,498人のデータを学校別に教職員のモラール高 ・中・低に分け,その中から109校を抽出し,分析している.その結果,. 校長のリーダーシップ行動と学校別教職員のモラールはきわめて関係が 深いことが分かった,. 小学校の校長のリーダーシップ行動については吉崎(1979),筒井 (1981)等の研究がある。. 吉崎(1979)は校長のリーダーシップをPM4類型(PM型, P型, M型,pm型)に分け,リーダーシ・ソプ効果を教職員のモラールで測定 している.その結果,モラール8要因の内, 「職員間連帯性」「給与満 足」「校内研修評価」「職員会議評価」 「教育に対する研究意欲」 「学. 校への一体感」についてはPM型の校長の方が他の3類型より有意に優 れていた.しかし, 「仕事意欲」「仕事に対するストレス」については. 校長のリーダーシップ4類型問に有意な差は見いだされなかった,とし ている.. 一4一.
(7) 筒井(1981)も校長のリーダーシップ行動をPM4類型に分け,吉崎 と同じく教職員のモラール,職場雰囲気の測度を用いて,校長のリーダ ーシップ効果を測定している.その結果,教職員のモラール(「コミュ ニケーション」「チーム・ワ…ク」「学校への一体感」「職員会議の評. 価」「メンタル・ハイジーン」),職場雰囲気ともにPM型, M型がP 型,pm型より優れていた.しかし, PM型とM型の問において,また,. P型とpm型との間においては類型間の効果性の相違が明らかでなかっ た,としている.なお, 「モチベーター・モラール」要因については,. PM型はP型,pm型よりもJM型はP型よりも有意に優れていたが, M型とpm型との間には有意な差は見いだされなかった.また, 「校内. 研修の評価」要因について,M型はP型,pm型よりも肩意に優れてい たが,PM型は他の型との間には有意な差が見いだされなかった.筒井 (1981)は考察の中で校長がM機能を強く発揮するとき,教職員のモラ ール,職場雰囲気において優れている,としている.. 続いて,状況変数(媒介変数)をとり入れた研究の流れについて述べ る,. 監督者のリーダーシップ行動と部下の満足感や業績との関係は,必ず しも一義的でない結果もあり,従来の研究と平行して状況変数(媒介変 数)を含んだ理論的枠組みを考えることも必要になってきた.そのよう な状況の中で,Fiedler(1967)によってCoRtingency理論(状況即応理 論)が提出されたのである,この理論の特徴は,集団の効果性がリーダ ーの特性とリーダーに対する集団状況の有利性との適合関係によってき まるという点にある.リーダー特性とは,リーダーが最も好ましくない と思う共働者(least preferred coworker;LPC)に対するに認知的態度. を示すもので,LPC尺度を用いた態度得点によって高得点のLPCリーダー. 一5一.
(8) と低得点のLPCリーダーとに分類される。 Fiedler(1967)はLPC得点につ. いて次のように解釈している.LPC得点は,ある個人の動機の階層を示す 指標であり,高しPCの人は,他人との関係維持に第1に動機づけられ,そ れが満足すると自己の昇進や自尊に動機づけられる.それに対して,低 しPCの人は,課業の達成に第1に動機づけられ,それが満足すると対人関 係づくりに動機づけられる,としている,. 集団状況の有利性とは,リーダーが集団状況を統制しやすいか,ある いは影響を与えやすいかどうかの程度を意味し,その度合いによって有 利性を分類している.それは主として3っの状況的要素すなわち,リー ダーと成員との情緒的関係,課題の構造度,リーダーの地位勢力の組み 合わせに基づくものであり,最も有利な状況から最も不利な状況まで8 段階の事態(オクタント)に分類される.このように分類されたリーダ ー特性と状況の有利性との適合関係において,非常に有利な事態あるい は非常に不利な事態では,低しPCリーダーが効果を上げ,状況が中程度の 事態では,高しPCリーダーが効果をあげることを明らかにしている。. 次に大きな枠組みの中では,同じContingency理論のジャンルに入り, 本研究で仮説を組み立てるにあたって考え方の参考に用いたIlouse(197 1)のPath−Goa1理論について述べる,. 古川(1979),松原(1986)によるとPath−Goal理論は次のような幕本 的仮説に立つ.すなわち,. 基本仮説1.リーダーの最も重要な役割の1っは,部下の仕事をしよう とずる動機づけ,仕事への満足感を高めることである.. 基本仮説2.リーダーシップ行動は,それが部下によって満足の直接的 な源泉,もしくは将来の満足にとって道具的であるとみなされる程 度に応じて部下に受容され,満足なものとして受けとられるであろ 一6一.
(9) う.. 基本仮説3.部下の満足度あるいは動機づけを向上させるのに最も適し たリーダーシップ行動は,集団の状況(部下の個人的特性,環境的 圧力や課題の要請)に依存しているであろう. これらの基本的な仮説に基づいて,リーダーシップ機能(構造づくり,. 配慮)と部下の期待認知,道具性認知,役割明瞭性,業績,そして満足 度との関係のあり方について,集団状況がいかなる媒介的効果をはたす かの研究が進められてきた.最近の研究では,,Houseが最初に考えていた 職務遂行上の自律性(task autonomy)や職務の広がり(job scope)よ. りもより広い概念である課題構造(task structure)の媒介効果がとり. 上げられるようになった.その課題構造とリーダーシップ機能(構造づ くり,配慮)それぞれに関して,次のような主要な2つの仮説が設定さ れている.. 仮説1,課題構造は,リーダーの構造づくり機能と,従属変数(部下の 内的及び外的満足度,役割明瞭性,努力が業績に結びつくという期 待認知,そして業績が報酬に結びつくという道具性認知)との関係 性に対して,ネガティブな媒介的効果をもつであろう.すなわち,. 課題の構造化の程度が高ければ高いほど,構造づくり的なリーダー シップ行動と従属変数との関係性は,より弱くなるであろう.. 仮説2.課題構造は,リーダーの配慮機能と従属変数との関係性に対し て,ポジティブな媒介的効果をもつであろう.すなわち,課題の構 造化の程度が高ければ高いほど,配慮的(支持的)なり・・一一・ダーシッ. プ行動と従属変数との関係性は,より高くなるであろう.. これら2つの仮説の検証を試みた研究について,松原(1986)は文献 研究の結果,次のようなまとめを出した.. 一7一.
(10) 1.従属変数を職務満足感とした場合には,仮説はほぼ支持される.. 2.従属変数をパーフォーマンスにした場合には,構造づくりの仮説に 関しては支持されるが,配慮の仮説は支持されない.. 3.従属変数を期待認知,道具性認知とした場合には仮説は支持された とはいいがたく理論の妥当性は疑わしい.しかし,研究数が少ないの で結論を出す段階ではない.. 4.媒介変数の種類という視点より検討してみると比較的研究数の多い 課題の構造化,職務の多様性,職務の自律性の中では,課題の構造化 を用いた場合が最も妥当性が高く,以下自律性,多様性の順になる. ここでまとめも兼ねてFiedlerのContingency理論とHouseのPath−Goal. 理論との類似点と相違点に触れておく.類似点としては,両理論とも基 本的立場を「リーダーシップ行動が集団成員の満足度や業績に与える効 果は,その集団の状況によって異なる.」に置くという点にある。ここ でいう「集団の状況」については,以下の研究がある. Kerr,et a1(1974)によると,リーーダーシップ行動と部下の満足感や. 業績との関係に影響を与える状況的要因について網羅的に検討を加えた 結果,状況的要素(=「集団の状況」)は,部下の持つ特性(技術,知 識,経験,職務階層,リーダーシップ行動に閲する期待,組織からの独 立性,心理的側面),上司の持つ特性(より上位の管理者層の態度や行 動とその上司の態度や行動との類似性,上方への影響力),課題のもつ 特性(緊急性,物理的危険度,許容される誤りの量,外圧の有無,自律 性,職務の範囲,作業の重要性や有意味性,曖昧性)に大別できる,と いう.. FiedlerとHouseの相違点としては, Fiedlerはその分析の焦点がリーダ. ーにあり,集団状況はリーダーの集団への統制のしゃすさ,ないしは影 一一 8一.
(11) 響力のあたえやすさという点から検討されている.そのためにリーダー とメンバーとの情緒的関係,課題の構造化の程度(リーダーにとって)J リーダーの地位勢力が重視される.従属変数としてはグループのパーフ. ォーマンスがとり上げられることが多い.一方,Houseはその焦点が部下 にあり,リーダーシップ行動が部下の欲求満足にとってどの程度手段と なりうるかが問題になっている,そのために集団状況は部下の職務特性,. 部下のパーソナリティが重視される.従属変数としては部下の職務満足 が好んで用いられる。. ’次に,状況変数(媒介変数)として,欲求次元をとり上げた研究につ. いて述べる.状況要因の中で部下の持つ個人的特性に関してとり上げた 研究には,在職歴(Badin,1974),独立への欲求(Herold,1974),独断 主義的態度(Weed,Mitchell,&Moffitt,1976),高次欲求(O’Reilly& Roberts,1978),職務関与度(Jones,Lawrence,&John,1975),成長欲. 求(蜂屋,1978,1981;松原,1984)などがある.その内,欲求次元をと り上げた研究は,以下の通りである.. Herold(1974)は産業労働者91名のデータを分析して以下の結果を 得ている.監督者の配慮的リーダーシップ行動と部下の満足感との関係 は明らかに正の相関関係がある.媒介変数を介在させたときに,配慮的 リーダーシップ行動と部下の満足感との間により高い相関が認められる. 場合というのは,そこに介在する変数が,部下の監督者の影響力に対す る低い認知と部下の低い独立への欲求の組み合わせのときと,部下の監 督者の影響力に対する高い認知と部下の高い独立への欲求の組み合わせ のときである,また,配慮的リーダーシップ行動と部下の満足感との問 により低い相関が認められる場合というのは,そこに介在する変数が,. 部下の監督者の影響力に対する低い認知と部下の高い独立への欲求の組 一9 ...
(12) み合わせのときと,部下の監督者の影響力に対する高い認知と部下の低 い独立への欲求の組み合わせのときである.. O’Reilly&Roberts(1978)は海軍の軍人562名のデータを分析して以 下の結果を得ている.2つの状況変数(監督者の影響力に対する部下の 認知と部下の高次欲求〈=熱意〉)は部下に認知されたりーーダーシ・ソプ. 行動(配慮:と課題達成)と,3っの従属変数(仕事に対する満足感,組. 織に対する接触程度,パーフォーマンス)間の関係を仲介している.つ まり,より高い配慮やより高い課題達成的リーダーシ・ソプ行動と,仕事. に対するより積極的な姿勢やパーフォーマンスとは正の相関関係にある.. この関係は,部下が低い高次欲求しかもっていなかったときと,部下が 監督者の影響力に対する低い認知しかもっていなかったときに顕著であ る.この調査結果は,部下の態度と行動に与えるリーダーシップ行動の 効果を理解する上で,媒介変数の重要性を示唆する.. 蜂屋(1978)は百貨店従業員を対象に調査し,以下のような結果を得 ている.リーダーシ・ソプ行動と上司への満足感との関係に対しては,職. 務特性や個人の成長欲求の強さが影響を与えていた.課題遂行の強調的 リーダーシップ行動と上司への満足感との関係は,自律性の低い職務,. 多様性の低い職務,見通しの低い職務において,また,成長欲求の弱い 個人において負の相関を示したが,自律性の高い職務,多様性の高い職 務,見通しの高い職務,及び成長欲求の強い個人においては,このよう な関係はみられなかった.. 集団維持的配慮リーダーシップ行動と上司への満足感との関係は,一・. 般に正の相関がみられたが,フィードバックの多い職務や見通しの高い 職務では,それを欠く職務にくらべ,正の相関は低下した.又,協力の 必要性の大きい職務ではそれの小さい職務にくらべ,あるいは,弱い成. 一10一.
(13) 長欲求を持つ個人では,それの強い個人とくらべ,集団維持的配慮リー ダーシップ行動と上司への満足感との関係の正の相関は一層高くなる傾 向が認められた.. 蜂屋(1981)は1978年と同じデータを使って,以下のような結果を得 た.協力の必要性の高い職務についている成長欲求の強い部下に関して. は,集団維持的配慮リーダーシップ行動と上司への満足感との問に有意 な正の相関が見られたのに対し,協力の必要性の低い職務についている. 成長欲求の強い部下に関しては,この傾向は見られなかった.これに対 し,成長欲求の弱い部下に関しては,職務の協力の有無に関係なくつね に有意な正の相関がみられた.この結果は,成長欲求の強い部下は,上. 司の集団維持的配慮リーダーシップ行動を自己の欲求充足のための手段 と見なしやすいのに対し,成長欲求の弱い部下は,この種のリーダーシ ップ行動を自己の欲求充足の直接的源泉と見なしやすい,と解釈された. 以上の従来の研究の紹介でも分かるとおり,上司のリー一一一ダーーシップ行. 動と部下のモラールとの関係は一律ではなく,また,単純に一一義的であ. るとして解釈できるものでもない.学校経営の観点からいっても,校長 のリーダーシップ行動と教員のモラールとの関係は,教員にもそれぞれ の個人的特性があり同じではない.たとえば,ある教員については,校 長の目標達成的なリーダーシップ行動とその教員のモラールとの関係性 が高く,別の教員については,校長の集団維持的なリーダーシップ行動 とその教員のモラールとの関係性が高いと考えられる.その理由を説明 するものとして本研究ではHouse(1971)のPath−Goal理論をとり入れた.. さて,本研究は冒頭でも述べたように,Path−Goa1理論を参考にしなが ら,校長のリーダーシップ行動と教員のモラール(「職員会議への評価」 「教員間の連帯性」「仕事への意欲」「学校への一体感」等)との関係. 一11一.
(14) が,教員の個人的特性(達成欲求,親和欲求)によってどのように規定 されるかを研究するものである. (Fig.1参照). ( 独立変数 ). ( 従属変数 ). 教員のモラーール. 校長のリーダーシップ行動. ・職員会議への評価 ・教員間の連帯性. ・目標達成. ・仕事への意欲. ・学校への一体感等. ・集団維持. 条件変数. 教員の個人的特性. ・達成欲求. ・親和欲求. Fig.1 研究模式図. ところで本研究を実施するに当たり,従来の研究で不十分あるいは不 明瞭であったいくつかの点を是正するように配慮した.そこで,従来の 研究の問題点を特に,蜂屋(1978,1981),松原(1984)の研究からとり 出してみた.. 一12一.
(15) まず,校長のリーダーシ・ソプ行動測定尺度については,以下の問題点 がある.. リーダーシップ行動は冒頭の定義にあるように「集団の目標の設定を 促進し,その目標に向かって集団構成員を動機づけ,集団成員間の相互 作用を強化し,集団凝集性を高め,集団資源を有効に用いるようにする 集団状況的行動」である.つまり,リーダーシップ行動とは,集団が効 果的に目標を達成できるために,組織を円滑に動くようにしていくのが 前提である.であるにも関わらず,蜂屋(1978)の質問項目には,「や かましく注意する」, 「厳しく批判する」等の項目が含まれていた,そ れらは否定的な行動項目であり,この質問項目ではリーダ…一・シ・ソプ行動. とレての「課題遂行の強調」を適切に測ったことにはならないと判断さ れる.本研究ではり一ダーシップ行動を測るにふさわしい内容・表現に した.. 次に,媒介変数測定尺度については,以下の問題点がある,. 1点目は,従来の研究では独立変数との関係が明瞭でない媒介変数 (職務特性,性格特性,職位水準等)が多くとり上げられている(蜂屋,. 1981;松原,1984)ことである.なぜ明瞭でないかというと,上記の媒介. 変数が,両者の関係を規定していることは研究結果から分かっても,な ぜ規定しているのかが説明しがたいからである.本研究では教員の個人 的特性としての達成欲求,親和欲求をとり上げた・そあ理由は,教員の 達成欲求,親和欲求がPath−Goal理論によって,校長のリーダーシップ行. 動と教員のモラールとの関係をどのように規定するかがほぼ仮説的に読 渉取れるからである.Path−goal理論の基本仮説2から解釈していくと, 校長のリー一・・一ダーシップ行動(目標達成,集団維持)が教員の満足にとっ. て道具的,手段的と見なされる程度に応じて教員に受容され,満足なも. 一13一.
(16) のとして受け取られるのである.. 2点目は,蜂屋(1978)が職務特性の媒介変数としてとり上げている 「親しくなる機会」は職務特性といえないことである.その他の項目 (例 自律性,多様性,協力の必要性)は職務としての内容に間わるが 「親しくなる機会」はどんな職務特性を現しているのか明確でない.明 確でないものは独自の定義をするなり,必要性を説明する必要がある.. 本研究でとり上げた達成欲求,親和欲求については,長田(1971)の定 義を用いた.. 3点目は,蜂屋(1978)の成長欲求に関する媒介変数測定尺度項目数 が少なすぎることである.成長欲求の測定尺度は蜂屋の場合,以下の5 項目である. 「仕事上の新しい知識や技術がえられるような本や情報に は進んで接したい.」, 「いつも他の同僚よりも優れた知識や技術を身. につけておきたい.」,「たとえ苦しくとも私の素質や能力を生かすよ うな仕事をしてみたい,」, 「私には簡単にできるような仕事の方がむ いている.」, 「骨の折れそうな仕事でも自分の勉強になりそうであれ. ば進んで引き受けたい.」.たったこれだけの項目と内容で独立変数の 影響によって揺れ動かない媒介変数としての個人的特性を正確に測定で きたか疑問である.. 本研究で個人的特性として導入した達成欲求,親和欲求については前 原(1979,1980)によって,既に日本人にも適用できることがほぼ検証さ. れているMehrabian尺度(達成傾向,親和傾向)を用いた.使用するにあ たって各測定尺度項目が教員に合うかどうかを検討し,日本入にあった. 正確で適切な表現にするために細かく修正を加え,最終的に42項目で 構成した。. 4丁目は,蜂屋(1978),松原(1984)は媒介変数「成長欲求」とし. 一14一.
(17) てまとめて研究しているが, 「成長欲求」と一言でいってもその中に,. 達成欲求J承認欲求,顕示欲求,支配欲求等,様々な種類の欲求が考え られる.また,その欲求の種類によって独立変数と従属変数との関係の あり方が異なる場合も考えられる.そこで,本研究では欲求次元を代表 していて,しかも,対比的な欲求と見なされている2つの欲求,達成欲 求と親和欲求とをとり上げた.. 以上の従来の研究成果や研究の問題点をふまえて,本研究でとり扱う 条件変数(達成欲求,親和欲求)をとり入れた仮説は,以下のように立 てることができる.. 仮説L 目標達成的リーダーシップ行動と教員のモラールとの関係は, 達成欲求の高い教員にとっては,正の関係をもつだろう.. 一方,達成欲求の低い教員にとっては,両者の正の関係は弱い だろう.. 仮説2.集団維持的リーダーシップ行動と教員のモラールとの関係は, 親和欲求の高い教員にとっては,正の関係をもつだろう.. 一方,親和欲求の低い教員にとっては,両者の正の関係は弱い だろう.. 一15一.
(18) 方 辛去 1.対象 兵庫県を中心にした普通科高校教員226名.. 2.手続き 郵送法で,質問紙(無記名方式)による調査を実施した.兵庫教育大. 学大学院修了生(12期目まで)の内,普通科高校に勤務する教員に郵 送し,職場の同僚にも回答を依頼してもらうように予備の調査票を同封 した.. 3。測定内容. (1) 校長のリーダーシップ行動に対する教員による評定 校長のリーダーシップ行動の測定は,校長が日ごろ学校で行っている. 学校経営に関わる種々の行動(教育委員会,PTA等の外部団体との交 渉を含む)の程度を教員の認知を通して測定した.具体的には, 「PT. Aや自治会などの外部団体に自分の学校運営方針を理解させる.」, 「教員の悩みごとの相談にのる.」, 「学校経営方針の中に教員の意見. を生かす.」等の28項目について,その実行の程度をそれぞれ4段階 (いつもそうする,わりとそうする,あまりそうしない,まったくそう しない)で評定させた.. 質問項目を作成するにあたって,まず,校長が日ごろ学校で行ってい る行動をできるだけ網羅するため,兵庫県内の普通科高等学校長3名に. 個人面接調査(約40分∼60分)を行って,日ごろ自分が行っている 行動を思いつく限りあげてもらい,あわせて,教員4名から,自分の勤 一16一.
(19) 務する学校の校長が日ごろ行っている行動を可能な限りあげてもらった.. こうして収集した行動に加えて,従来のリーダーシップ研究の文献で用 いられた行動項目等を参考にして約700の行動項目を得た.その際,参考. にした文献は,吉崎(1979),三隅他(1979),天根(1992),波平 (1990)J金子(1977),三隅(1984)である.そして,約700項目の行 動について,行動生起の多寡を勘案し,内容の重なりを整理し,表現を. 適切にするなどを基準に整理し,最終的には28の行動項目にまとめた. その際,高等学校長2名,教員4名の助言を得た.. (2) 教員の達成欲求・親和欲求の測定 教員の個人的特性はMehrabian尺度を修正した尺度を用い,達成欲求,. 親和欲求の両側面から測定するために,教員の自己評定を通して測定し た.具体的には,達成欲求については,「いくらか重要であるが,難し くない仕事よりも,重要で困難であり,しかも,失敗の危険性があるか もしれない仕事の方が好きだ,」, 「挑戦的で困難なことよりも,自信. を持って気軽なことをする方だ好きだ.」等の18項目,親和欲求につ いては,「友達と一緒に時を過ごすよりも,一入で面白い本を読む方が. 好きだ.」,「友達は非常に大切なものと考える方だ.」等の24項目 の計42項目を提示し,それぞれの質問項目に対し自分自身にどの程度 あてはまるかを4段階(非常によくあてはまる,わりとあてはまる,あ まりあてはまらない,まったくあてはまらない)で評定させた.. Mehrabian尺度を修正するにあたってJ教員の欲求を測るには不適切だ と考えられる質問項目を削除し,翻訳調の強い文章表現をできるだけス ムーズな日本語になるように改めた.また,通常項目(欲求の強い方向 から尋ねた項目)と逆転項目(欲求の弱い方向から尋ねた項目)がそれ 一一 17 一.
(20) それ同数になるように配慮した.Mehrabian尺度については,前原の研究 (1979,1980)で,日本人にもほぼ満足できる妥当性と信頼性をもつこと が明らかにされている,. (3) 教員のモラールの測定. 教員のモラールの測定は,教員が日ごろ学校で行っている教育実践活 動の程度や,学校に対して感じている満足感等を教員の自己評定を通し て測定した.具体的には, 「校内研修(研究)会は,活発である.」,. 「ふだんから新しい指導法を工夫している.」,「学校の教員仲間の一 員でいたい.」, 「仕事申,なんとなくゆううつで気がはれないことが. ある.」等の45項目を設け,どの程度それが教員自身にあてはまるか をそれぞれ4段階(いつもそうである,わりとそうである,あまりそう でない,まったくそうでない)で評定させた.. 質問項目を作成するために,教員が学校でどのような日常生活を送っ ているのかを知る必要があり,教員8名と話し合いながら具体的な項目 を収集した.また,自分の教員生活を振り返って独自に考え出した項目 もある.特に,生徒への教育的意欲(例 「生徒のためには,ある程度, 私生活を犠牲にすることはやむを得ない.」, 「生徒の個人的なことま. で面倒を見る,」等)に関する項目については,従来の研究にはほとん ど見あたらなかったが、教員のモラールにとって重要であると考えて導. 入した,参考にした文献は,吉崎(1979),筒井(1981),「リーダー シ・ソプ行動の科学(改訂版)」 (三隅.,1984)である.. 4.調査時期 1993(平成5)年5月. 一18一.
(21) 糸野. 臥. 1.測定尺度に闘する検討. (!) 校長のリーダーシ・ソブ行動次元について. 校長のリーダーシップ行動が教員からどのような次元でとらえられて いるかを特定するため,校長のリーダーシ・ソプ行動に閲する教員の評定. 結果に関して,28の項目ごとに,4つの段階に1点から4点までの智 恵を与え(高得点であるほど認知された行動の程度が高いことを示す),. 測定項目闘の相関行列を算出した後,主成分分析,バリマックス回転を. 行って,因子抽出を行った.その際,2因子解から4因子解までを検討 したが,固有値の変動状況や回転後の因子パターンの解釈可能性の観点 から最終的には3因子解を採択した(Table 1).. そして,特定の因子に.516以上の因子負荷量を示し,同時に他の因子 に,395未満の因子負荷量を示すことを基準にして因子の解釈を行った. 第1因子に高い因子負荷蚤を示した項目は, 「教員の悩みごとの相談 にのる.」,「学校経営方針の中に教員の意見を生かす.」, 「教員間. に個人的不和が生じないように配慮する.」等の5項目であった,そこ. で,第1囚子を人間的共感を基にした配慮という意味でr個人的配慮リ ーダーシップ行動」と命名した.. 第2因子に高い因子負荷量を示した項目は, 「PTAや自治会などの 外部団体に自分の学校迎営方針を理解させる.」, 「学校運営について 教頭と細かく打ち合わせをする,」, 「校務分掌決定に際して,本人の. 希烈を雨視する,」等の6項目であった,そこで,第2因子を組織運営 をスムーズにするための配慮という意味で「学校運當的配慮リーダーシ. 一19一.
(22) ップ行動」と命名した.. 第3因子に高い因子負荷鼠を示した項目は, 「勤務状態の珊三1い教員に. 対して油意する,」,「教員の派手な服装・髪型について寸意する・」, 「校内を巡回し気づいたこ.とを担当・係に言う.」の3項目が認められ たが,項目数も少なく命名不能として処理した. Tれh1{11 擾爬のリー.ダーシップ行動の囚子分析皐1㌧果 1利「s:パター・ン. 潟lrJ 気i二ζ 工し’i. にヨ. (ア). }ノー,J でぎ辛. El 1“2 F3 1. 2 :]. 4 r). a. 7 8 D. !0 1’ ’t. 教卜1の悩みごとの棚鞍にのる.. .7ζ事4. 拠点軽営方針の中に救L・1の意見を生ノ)、す門. .713 .30,5 一,Olf). 虚貝lillにf仁人riリイく和が生じない,1:うに配慮する。. .707 ,27fi ,102. ・政育委H会の方釧’にお[1得でぎないときには反対するe PTA一や欝病会などの外部E;Jl体に1’iク》の学汝運営方釧・. ・枚貝のはでな服穂・髪∫刷について注意する。 按1人}を巡1切し気づいたことを拠当・係に言う。. .1. ・r). ,1 6. .17n .755 ,1,IC, ,Oa’1 .7ia ,1,15. .281 .a33 一,002. 各部、各字tl’;の代目若を選ぶ陪1、・転々の軸得でさる 方法で決める。 教貝に、研修の㍑会を・与える。 保看者から教Hについての1比判力{出た∼二き、教日の立. /3 !4. .51e , j 8 fi ,2,4e. をJ!u解させるe 学狡巡営について・放tifi∼.二卸1かく召’ち合わせをする。 檀国分常決定に際して、本人σ)希望!t.:爪規する.. 勤鞍状旭iの珊iい教貝に対して才.[i,C4する.. 教員の有望をよくみる。. .1イ{}. .fi fi 8 ,200 .1時置. 職レ1ゴ∼#為そ:壽1「ilノ・ヤ,’i,一し、露リll蒙tCこ.i)’(}ゆ. 1, 2. .2〔㍉f). ,3?C) .SfiZ 一.n29 ,ro s r). .3 c,a. . f; a{. .薦2. .or, :s. ,0fio. 一.02,1. 、. 佼内研春日がスムt一ズに開ける」:うにi.目痔を調整す. .1ait. .328. ,080. 一,23a. .oz霧. .:t16. .533. .G5コ. .070 .4例. .fia2. .届5. .117. ..田R. る。. !7. 校内研修会のP・1客bl効串的に遊むようにJVJ.爵する。. .571 .igl .il:li. .i. 8. 学校運営において、職N会議での新し合いの結果を. .r)c,?, .r)14 一.ogr). 鰺「再する。 .1. 9. 職務一1;. o)暗示を与えイ)場合、個々の敦員の個人tltj l}1梢. ・.r)?x . r);:,1 一.04D,. ぴで.考慮するv 2.0 2 .1. Z2.. ・放育に関する知瓢tt求めて実親に役立’Cるように・改貝. .4a8 .laa .371. に激う。 職.同会講で・改回の.磁見が分かれ,たとさ、校Jkeの椒ll艮で. 一.461 .Za3 .45fi. 結論を出す。 各学ll{・各部・名孜事’1が新探・改blを育てるためにrM’ 両的取り皐llむよう1こ働さかける。. .4:IO ,・108 .2D,1. 2 ;3. 教員の{堕康状fUi−VJ 1:’1ラKについて気を配るn. 2 ri. ,511 .593 .201. 孜職将験のi.Qい・枚「kliの,tF.!ll.も娑7.爪するり. . “) c} . li :1 1 , fi a A. 2r). 26 27 28. LB徒の安全m)尊に一⊃いての予防↑肖や41f後の1凸IP「cにつ いて討卜両を立てさせる。. .・. ・孜輯に気軽に謂しかけるe. P05 .410 .2?ii. .363 .408 .16D,. 佼長としての独1’}σ)学瞭罧営プ∫針li:職Lξ1会楢等で.n. tb. .074 .424 .52El. 出すり. 佼舎内外の環境驚備について係にi皮綿を塑求するり 分散寄与串(x). 一一. @20 一. .3 38 .lal .a CM 21.73 1fi,03 O, .2G.
(23) ところで,本研究を始めるにあたって研究仮説を設定したが,その仮 説で想定した校長のリーダーシ・ソプ行動の2次元は,従来の研究結果か. ら,集団における目標達成ないし課題解決を志向する行動である目標達 成的リーダーシ・ソプ行動と集団の自己保存ないし集団の過程それ自身を 維持し強化しようとする行動である集団維持的リーダーシ・ソプ行動とで. あった.ところが,Table 1の分析結果より,抽出された2因子は,測定 項目作成にあたって集団維持的リーダーシ・ソプ行動と想定した項目にま ず高い因子負荷量を示し,それに目標達成的リーダーシ・ソプ行動と想定 した項目が続いている個人的配慮リーダーシ・ソプ行動と,目標達成的リ ーダーシ・ソプ行動と想定した項目にまず高い因子負荷量を示し,それに 集団維持的リーダーシ・ソプ行動と想定した項目が続いている学校運営的. 配慮リーダーシップ行動と呼ぶのが適当だと考えられる2因子であった. そのために,仮説で予め想定していたリーダーシップ行動次元とデータ 分析結果から導き出されたリーダーシップ行動次元とが一致しないこと になってしまった.そこで,従来の研究結果から想定した行動次元あ内. 容と実際のデータ分析結果による行動次元の内容とはそのまま1対1の 対応にはなっていないものの,仮説で想定した集団維持的リーダーシッ プ行動がTable 1の個人的配慮リーダーシップ行動と,仮説で想定した目 標達成的リーダーシップ行動がTable 1の学校運営的配慮リーダーシップ 行動とに対応すると見なして,差異を意識しながら以後の分析をした.. (2) 教員の達成欲求・親和欲求次元について. 教員の欲求次元を特定するため,測定に用いた各42項目への回答に 対し,欲求の強い側に4点,欲求の弱い側に1点を与えることによって 採点した.測定項目間の相関行列を算出した後,主成分分析,バリマッ. 一21一.
(24) クス回転を行って因子抽出を行った.その際,2因子解から5因子解を 検討し,固有値の変動状況や因子の解釈可能性の観点から,最終的には 2因子解を採択した(Table 2).. そして特定の因子に.462以上の因子:負荷量を示し,同時に他の因子に .224未満の因子負荷量を示すことを基準にして因子の解釈を行った.. 第1因子に高い因子負荷量を示した項目は, 「友達と一緒に時を過ご すよりもJ一人で面白い本を読む方が好きだ, (逆転項目)」, 「親密. な関係からくる快適で温かい感情よりも,かかわりあいから解放された 独立の感情の方が好きだb (逆転項目)」, 「友達は非常に大切なもの. と考える方だ.」, 「できるだけたくさんの友達をつくりたいと思う方 だ.」, 「他の人と協力して行う仕事よりも,一人でする仕事の方が好. きだ, (逆転項目)」等の13項目であった.そこで,第1因子を「親 和欲求」と命名した.. 第2因子に高い因子負荷量を示した項目は, 「いくらか重要であるが,. 難しくない仕事よりも,重要で困難であり,しかも,失敗の危険性があ るかもしれない仕事の方が好きだ.」, 「易しい課題よりも,できるか どうか不安な難しい課題に取り組む方が好きだ.」, 「挑戦的で困難な ことよりも,自信を持って気軽なことをする方が好きだ. (逆転項目)」,. 「たくさん集まって何かをしょうと決まった場合,誰か他の人に計画さ. せるよりは自分で計画する方が好きだ.」,「もし,2つの未完成の課 題のうちの1つに戻ることができるとしたら,易しい課題よりも難しい. 課題に戻る方だ.」等の7項目であった.そこで,第2因子を「達成欲 求」と命名した.. 一 22 一一.
(25) Tnble 2. 「教婦の遠成欲求’親和欲求」の囚子分折結果 因子パターン. 測定項園の内容. F2. Fl. 1 友達と一緒に時を過ごすよりも、一人で面白い本を読. .738 一.171. む方が好きだ。. 2 親降な関係からくる快適で暖かい感情よりも、かかわ. .731 .055. りあいから解放された独立の感情の方が好きだ。 ’3 友達は非常に大切なものと考える方だ。. .693. 4 できるだけたくさんの勃々をつくりたいと思う方だ。. .687 .i90. 5 他の人と協力して行う仕事よりも、一人でする仕事の. .621 .095. 響123. 方が好きだ。. 6 どんな経験でも友達と分かちあったときに、意義がよ. .588 .151. り高まると考える方だ。. 7 大勢と騒ぐよりも良い映画を見る方が好きだ。. .5B8 一.056. 8 友情よりも名声の方がありがたいと思う方だ。. .566 一.074. 9 親しい友人はほとんどいない方だ。. .565 .161. 10 クラブに入るのは、友達をつくるいい方法だと思うか. .515 一.022. らだ。. 11 どちらかといえば、親しみやすい人だと忠われるより. .507 一.1ti 7. も、知的な人だと思われる方が好きだ。 .12 旅行するときは、友迫と一緒に行くより、自分一入で. .497 一・,tOO. 行く方が好きだ。 .1』. R 皆から尊敬されているが近づきにくいリーダーよりも、 親しみやすく、平気で話しかけられるリーダーの方が好. .462 .OD9. きだ。. 14 いくらか重要であるが、難しくない仕$よりも、敵要 で困難であり、しかも、失敗の危険性があるかもしれな. ,046 .738. い仕躯の方が好きだ。.. 15 易しい課題よりも、できるかどうか不安な難かしい課. .0工7. ,705. 題に1収り組む方が好きだ。. 16 挑戦的で困難なことよりも、自侶を持って気軽なこと. .006 .631. をする方が好きだ。. 17 たくさん築まって何かをしょうと決まった場合、誰か. 一一. D003 .579. 他の人に計画させるよりは自分で計画する方が好きだ。. 1.8 もし、2っの未完成の課題のうちの1つに戻ることが できるとしたら、易しい課題よりも難しい課題に戻る方. 一陰OJ5. 響542. だ。. 19 ・bし不得意なものがあった煽合、何か得意なものに移 っていくよりは、それを克服しようと努力を続ける方が 好きだ。 20 最纏結果に対して、自分で単独で責任を負うような仕 事よりも、多くの人によって資任を角う仕事の方が好き. . z z4 . .r, 27. 一.162 .477. だ。. 21 もしどちらかを選ばないといけないなら、友達にユー. .(s3c, .egz. 22 旅行するとき、一人で名解旧跡をまわるよりは、その. .4i8 .Z71. モアに富んで賢いと思われるよりは、彼らと勇iい結びつ きを持つ方が好きだ。 土地の人々との出会いを楽しみにする方だ。. 23 はじめて紹介された相手に好かれようとは思わない方. .403 .07i. だ.。. 24 他人への感謝の気持ちは、特別の場合だけでなく、い. .3gl .108. 25 街で顔見知りの人に会ったときには、たいてい自分か. .37tl . Z 57. つでも累恵に表現する方だ。 ら先に検拶する方だ。. 26 誰かに会って折り合いがうまくいかなかった場合、も. .365 .236. う一度より「楽しく会えるようにしょうと後で考える方だ。. 27 友達に対して.枳愛の惜をあからさまに爽現すべきだ とは思わない方だ。. 一23一. .338 .162.
(26) 28 気分がすぐれない時には、一人でいるよりも誰かと一. .2gs 一・.or)o. 緒にいる方が好きだ。. 29 夜には、その日の出来事について誰かと話すよりはさ. .272 .270. っさと寝てしまう方が好きだ。. 30 知らない入たちと一緒にいるとさ、彼らが臼分に好意. .239 .020. 31 あまり面白くない価値のあると思われることをするよ. 一.231 .167. をよせているかとうかはそれほど気にならない方だ。 りは、楽しめることをする方が好きだ。. 32 仲間とうまくいかないようであれば、自分の仕i9を展. 一.M5 .067. 高の形で仕上げることは差し控える方だ。. 33 肪っことを好むよりは、負けることを嫌う方だe. .064 一.022. 34 グループ活動の全責任者になるよりは、グループの意. ,Ofi3 .4i3. 志決定に参加するだけの方が好きだ。. 35 感情が高まるのは成功への希望ではなく、失敗の恐れ. .168 .375. があるときの方だ。. 36 良い映画を見るよりも、内答のりっぱな本を読む方が. 一.333 .362. 好きだ。. 37 1つのことをするのに時間を全部使うよりは、簡単に できる2つ3っのことをする方が好きだ。 38 現在や過去よりも未来のことをよく考える方だe 39 自分の仕事が人に非認されるか.どうかよりは、賞貧さ れるかどうかがもっと気になる方だ。 40 病気で家に留まらないといけない場合、家の仕事を片 くつろいで静目するために山開を使う方 づけるよりも、 が好きだ。 41 遠く麟れた紐蹴の高い役礒につくよりは、地元の組織 のあまり高くない役職につぐ方が好さだ。 42 悪い成績をとることを心配するよりも、良い成紹をと. 一.138 .Z62 . 167 . 2 5, 4. .Oi9 .236 一.066 .148. 一一. @. oa c) 一. lo 1. .073 .333. ることを考える方1一 e. 分散寄与串偶). 15.18 [.Z5. 教員の達成欲求・親和欲求次元については,確認のために行った因子 分析である.. (3) 教員のモラール次元について. 教員のモラール次元を特定するため,測定に用いた各45項目への回 答について,肯定的に回答した側に4点,否定的に回答した側に1点を 与えることによって採点した.測定項目作成のとき,仕事へのストレス を想定して立てた項目は,逆転項目として点数を読み変えて採点した,. 測定項目間の相関行列を算出した後,主成分分析,バリマックヌ回転を. 行って因子抽出を行った.その際,2囚子解から8因子解までを検討し 一24一.
(27) たが,岡有値の変動状況や回転後の因子パターンの解釈可能性の観点か ら事終的には4因子解を採択した(Table 3).. そして,特定の因子に.46⊥以上の因子負荷量を示し,同時に他の因子 に.395未満の因子負荷量を示すことを基準にして因子の解釈を行った. 第1因子に高い因子負荷量を示した項目は, 「校内研修(研究)会は, 活発である.」, 「職員会議での話し合いに満足している.」, 「校内. 研修(研究)会に満足している.」,「この学校の運営の仕方に満足し. ている.」算の14項目であった,そこで,第1因子を「学校運當に対 する満足感」と命名した.. 第2因子に高い因子負荷:騰を示した項目は,「ふだんから新しい指導 法を工夫している.」, 「生徒のために工夫を凝らした授業をする.」, 「ふだんから教育に関する書物を読み,それを実践に生かしている.」,. 「校外での研修会や研究会などに積極的に参加している.」等の9項目 であった.そこで,第2因子を「教育への意欲」と命名した. 蛸3因子に高い因子負荷量を示した項目は, 「学校の教員仲問の一畏 でいたい.」, 「困っているとき,学校の教員仲間は助けてくれる.」, 「学校の教員仲間とうまくいっている,」, 「さらに高度な専門職とし. ての知織・技術を身につけたい.」箏の6項目であった.そこで,第3 因子を「教員間の辿帯性」と命名した,. 第4因子に高い因子負荷量を示した項目は, 「仕事中,何となくゆう うつで気がはれないことがある.」, 「朝起きたとき,その日の仕購の ことを考えて,うんざりすることがある.」, 「毎日の勤務で,圧迫感. を受ける,」, 「仕事のことで将来の不安を感じる.」箏の6項目であ. った.そこで,第4因子を「仕購へのストレス」と命名した,. 一25一.
(28) Tabte 3. 敦掻のモラールの囚子分折結果 因子 因子パターン ’3{(1 定. 」了工 目. の. 容. F勺. F正. F2. F3 Fa. !. 校内研修(研究)会は、活発であるe. .740. .口6. 一,186 .158. 2. 職員会誌での話し合いに満足している,. .736. .070. .057 ,091. 3. 校内研修(研究)会に纐足しているt. .726. 一.042. 一.141 ,29tl. 4. この学校の運営の仕方に満足している。. .717. .002. .075 .16“. 5. 職員会議の話し合いは、役に立っている。. .708. 」34. .2ti 3 一.058. 6. いる。 校内研修(研究〉会は、成果があがっている。. .676. .084. .022 .260. 7. 職興会議は、聖書的に運営されている。. .655. 。001. .11tl .107. 取り報ん 校内研修(研究)テーマに教員みんなで取り報ん. .650. 159. H召える。 校内研修(研究)会では、気楽に意見が言える。. .632. .077. .184 .047. 10. 職賃会講で、気軽に発言できる。. .568. .16i. .iO7 .069. 1!. れている。 学校経営において、職艮会議が重要視されている。. .560. .03交. .376 一」.096. 12 13 14. れている。 職蹟会議では若手教員の意見も大西にされている。. .569. .016. .2tt,3 一.i54. ている。 学校の雰囲気が槽磧的な研究態度に満ちている。. .548. 一.075. .097 .lf15. いる。 校内研修(研究)会に日華的に参加している。. .52・1. .392. .tO3 .050. 1Jr. ふだんから新しい指導法を工夫している。. 、062. 。759. 一.008 .OtlO. 16 17 18 19 20 21 22 23. 生徒のために工夫を凝らした授業をする。. .O L5. .6a9. .027 .066. ふだんから教育に関する害物を読み、それを実践. .021. .675. .093 一.Oti2. .2t;7. .6Zft. ci2G .018. 生徒の個人的なことまで而倒をみる。. .108. .57B. .i52 一.026. できるだけいろいろな碓会を利用して、生徒と接. .034. .570. .352 .Ot13. 教育の専門家としての誇りを持っている。. .069. .5, 63. . LI O .3Bl. 現在の仕事にうちこんでいる。. ,0f)a.. ,5Zl. .39, 5 ,281. 校務分掌を選り好みせずにf自極的にこなしている。. ,]R9. ,488. ,lti5 .,Z74. 学校の教員仲間の一算でいたい。. ・oo,i. 一.121. .623 .g62. 困っているとき、学校の孜貫仲間は、酌けてくれ. ,.1 tl 5. 一.18,5. .57tl ,137. 8 9. 2 4,. 25 26 27 28. 弓. でいる。. o. に生かしている。. 校外での研修会や研究会などに殖衛的に参加して. いる。. している。. 一一. D093 .060. る。. 学校の致員仲閉とうまくいっている。. ,236. ,1tl 3. .573 ,055. さらに高度な導凹職としての知識・技能を身につ. .lg8. .292. .546 一一.05,6. , 2, tl tl. .273. .517 .i」15. けたい。. 学校の教口仲間と.自由に意見を交換している。. 一26一.
(29) 29 生徒のためには、ある程度、私生活を犠牲にする. 一.043 .179, .461 .197. ことはやむを得ない. 30 仕1黄中、なんとなくゆううつで気がはれないこと がある。. .069 .208 一・.Oi9 .767. 31 朝起きたとき、その日の仕事のことを考えて、う. .070 .101 .145 .69,9. んざりすることがある。. 32 毎日の勤務で、圧迫感を受ける。. .ZOI 一.19Z .ZO9 .667. 33 仕研のことで将来の不安を感じる。. .og4 .200 .032 .e)06. 34 仕事巾、落ち着かぬ心理状態に悩まされることが. .069 .049 .16e .597. ある。. 35 この学校にできることなら続けて勤務したい。. .326 一.108 .131 .496. 36 この学校の一員としての誇りを持っている。. .443 .338 .350 .294. 37 学校の優れた業績を二j, 一一スなどで知ると、自分 のことのようにうれしCl。. ,37G .26G .319, .271. 38 毎日の仕事に興味がもてる。. .168. .387. .37弓. .417. どんな生徒の意見にも積極的に耳を傾けている。. .GG6. .379. .290. .031. 40 職員室は雰囲気が良いので、できるだけ長くいた 、できるだけ長くいた. .439. .148. ,489. .138. すようにお互いに励ま 41 教擬仲間とはペストを尽くすようにお互いに励ま. .331. .305. .441. ,145. 続けたい。 42 できる限り、現在の職榮を続けたい。. .137. .171. .435. .329. じている。 43 毎1ヨの仕那にはりあいを感じている。. .211. .399. ,433. .414. 一,D23. .343. .371. 226. .348. 4窃7. .351. .160. 16.20. 1LO6. 9.40. 8.67. 39. o. 的に耳を傾けている。. 7 層. い。. し合っている。. とに責任を感じている。 44 現在の仕廓をやりとげることに責任を感じているe. い学校づくりに向かっ 45 学校の教艮仲問と、よりよい学校づくりに向かっ て、努力している。. 分散寄与串㈲. 2.校長のリーダーシ・ソプ行動と教員のモラrルとの三三. 個人的配慮次元あるいは学校運営的配億次元にそった校畏のリーダー シップ行動の二度と教員のモラーールとの関係を検討するにあたって,ま ず,個々の教員について次の得点を算出した.. 校長のリーダーシップ行動に対する認知に関してはJ個人的配慮次元 に高い因子負荷量を示した5項目,学校運営的配慮次元に高い二子負荷 箪を示した6項目に対する教員ごとの平均得点を求め,これを各教員が 校長に認知する各リーダーシップ行動次元に対する得点とした.したが 一 27 一一.
(30) って,得点が高いほど教員が各次元に対応する校長のリーダーシ・ソブ行 動の程度を高く認知していることを意味する.. 次に教員のモラールに関しても,リーダーシップ行動の場合と同様に. 学校運営に対する満足感次元に高い賊子負荷爺を示した14項目,教育 への意欲次元に高い因子負荷量を示した9項目,教員問の辿帯性に高い 因子負荷量を示した6項口,仕事へのストレスに高い因子負荷環を示し た6項目について,各モラール次元に関する教員ごとの平均点を求め, これを各教員による各モラール次元に対する値とした. こうして求めた得、点に関して学校運営的配慮リーダーシップ行動次元. を統制した個人的配慮リーダーシップ行動次元と各モラール得点との関 係,および個人的配慮リーダーシップ行動次元を統制した学校運営的配 慮リーダーシップ行動次元と各モラール得点との関係を示したのが Table 4である.数値は全て偏相関係数値である.. (!) 校長の個人的配慮リーダーシ・ソプ行動の輝度と教貝のモラール. との関係. 学校浬営的配慮リーダーシップ行動次元を統制した校長の個人的配慮 リーダーシ・ソブ行動次元の十度と教員のモラ・一ルとの関係を検肘した. Table 4の結果から,校長に対して個人的配慮次元にそったりーダーシ・ソ. プ行動の程度を高く認知する教員ほど,学校巡営に対する満足感が高く,. 仕事へのストレスが低いことが示された.しかし,教員闘の辿帯性つま り,教員の連帯感あるいは伸間との協力関係が肯定的であると認知する 程度は,逆に,校長に対して個人的配慮リーーダーシ・ソプ行動を高く認知. する教員ほど低かった.教育への意欲については,校長に対して個入的 配慮リーダーシップ行動を認知する程度と有意なll{の関係は示されなか 一 28 一一.
(31) つた,. (2) 校長の学校山窟的配慮リーダーシ・ソプ行動の種度と教員のモラ. ールとの関係 個人的配慮:次:元について検討した場合と同様に,個人的配慮リ・一一・一ダー. シップ行動次元を統制した校長の学校運営的配慮リーダーシップ行動次 元の程慶と1教員のモラールとの閲係;を検討したTable 4の結果から,校. 長に対して学校運営二二二次元にそったりーダーシ・ソプ行動の程度を高 Tnbln 4 ’ 校長のリーーダーシップ行動と教回のモラールとの関係(偏桐関). ダ,,く.Ofi. 一29一.
(32) く認知する教員ほど,学校運営に対する満足感が高く,教員問の迷帯性 を高く認知していた.しかし,こうした学校運営的配慮次元にそったリ. ーダーシップ行動の程度を認知する程度と,教育への意欲および仕事へ のストレスを感じない程度との閥には有意な正の関係は示されなかった,. 3 欲求の高低別にみた校長のリーダーシップ行動と教員のモラールと の関係. Table 4に示したような教員が校長に各リ・一ダーシップ次元にそった行 動;を認知する程度と各モラール次元との関係が,本研究で仮説したよう. に教員の達成欲求の高低あるいは親和欲求の高低によって異なるかどう. かを検討するため,次のような手順で個々の教員を達成欲求,親和欲求 に関してそれぞれ轟低2群に分類した. まず,達成欲求に関しては,Table 2に示した達成欲求に高く負荷した. 7項目の得点を教員ごとに単純加算し,その得点分布の様子がほぼ正規 に分布していることを確認した上で,中央値を基準に教員の高達成欲求 群(N・108)と低達成欲求群(N・118)とに分類した.. 次に同じような手順で,高親和欲求群(N=106)と低親和欲求群(N=. 120)とに分類した.こうして分類した達成欲求の高低群および親和欲求 の高低群別に,教員が校長のリーダーシップ行動を認知する程度とモラ ールとの関係を検討した結果が,Table 5である. Table 5で示した数値 はTab].e 4の場合と同様,あるリーダーシップ行動次元にそった行動程度. とモラールとの関係を求める時には,他のリーダーシップ行動次元によ る影響を統制した偏相関係数値である.. 一30一.
(33) (!) 欲求の高低別にみた校長の個人的配慮リーダーシップ行動と教. 畏のモラールとの関係. a.達成欲求とのかかわり Tablo 5の結果から,教員が校長に対して個入的配慮次元にそったりー ダーシ・ソプ行動の程度が高いど認知する程度と学校運営に満足を感じる. 程度との問には,高達成欲求の教員の場合も低達成欲求の教員の場合も. Tnbln 5 孜日の欲求高・flt}Jilにみた校授のリーダーシップ行勅と温風のモラーールとの関係(偏lli関}. ・ }. リ ダ シッソ. 認轡 コへ R次\ 【改搬の’しツ. f固 人 r19 酉i:1ノ庶. 三壁成欲求. 卓汐 4=交 」乏∼⊆ 建;、F 白藍 翼ld 爪献. 親 {ll欲 求. 親和欲求. 達欺E欲 ,i之. 元. 次鴬 歌 学披響,:tに対する. 高ln・109). !氏〔n唄日). 轟’紬・m儒). 42・. 42駆. 00. OB. 一.07. 一.22㌢. 一,1后. 一,」2. 2‘,?. 12. 18. 30壷. 戚(図2の. 砺(n・10B}. 50サ. 34・. 29†. 4伊. 20Ψ. 18孕. 23争. 02. 22?. Q2. 40?. 1〕P. 3P. 379. 00. lo. 09. 07. 侮,{n・llB}. 占’石(n・1〔哺. {漁ド12q}. 脚i!感. Z8矯への酬欲. ;} 孕父闘1物の遡子旧1:. 4 tt:q(へのストレス. 一,1B. 20◎. @ 一 † Pく.05. 有意な正の相閲が示された.. 教育への意欲との闘には高達成欲求の教員の場合も低達成欲求の教員 の場合も有意な正の相関が示されなかった.. 一31一.
(34) 教員聞の連帯性が高いと認知す.る程度との間には高達成欲求の教員の 場合のみ有意な負の相関が示された.. 仕事へのストレスを感じない程度との悶には高達成欲求の教員の場合 のみ有意な正の相関が示された.. b,親和欲求とのかかわり. 教員に認知された校長のリーダーシップ行動2次元の内,個人的配慮 次元を仮説で想定した集団維持次元のリーダーシップ行動と見なしたと き,教員が校長に対して個人的配慮次元にそった行動の程度が高いと聴 知する程度と各モラール次元の程度との問には,親和欲求に関する仮説 2と全体的に逆の傾向が示された. Table 5の結果から,教員が校長に:対して個入的配慮次元にそったリー. ダーシップ行動の程度が高いと認知する程度と学校巡営に満足を感じる. 程度との闘には,高親和欲求の教員の場合も低親和欲求の教員の場合も 有意な正の相関が示された.. 教育への意欲との間には低親和欲求の教員の場介のみ有意な正の相関 が示された.. 教員問の墨堤性がMEいと感じる程度との圃には高親和欲求の1敗員の場 合も低親和欲求の教員の場合も有意な負の相関が示されなかった.. 仕事へのストレスを感じない程度との問には低親和欲>Rの教貝の場合 のみ有意な1Eの相関が示された.. (2) 校長の学校運営的配慮リーダーシップ行動と救員のモラールと. の関係. 一32一.
(35) a,達成欲求とのかかわり 教員に認知された校長のリーダーシ・ソプ行動2次元の内,学校運営的. 配慮次元を仮説で想定した目標達成次元のリーダーシップ行動と見なし たとき,教員が校長に対して学校運営的配慮次元にそった行動の程度が 高いと認知する程度と各モラール次元の程度どの問には,達成欲求に関 する仮説1を全体的に支持する傾向が示された. Table 5の結果から,教員が校長に対して学校運営的配慮次元にそった. リーダーシップ行動の程度が高いと認知する程度と学校運営に満足を感 じる程度との問には,高達成欲求の教員の場合も低達成欲求の教員の場 合も有意な正の相関が示された.. 教育への意欲との問には高達成欲求の教員の場合のみ有意な正の相関 が示された,. 教員間の連帯性が高いと感じる程度との間には高達成欲求の教員の場 合も低達成欲求の教員の場合も有意な正の相関が示された.. 仕事へのストレスを感じない程度との問には高達成欲求の教員の場合 も低達成欲求の教員の場合も有意な正の相関が示されなかった.. b,親和欲求とのかかわり Ta ble 5の結果から,教員が校長に対して学校運営的配慮次元にそっ. たリーダーシップ行動の程度が高いと認知する程度と学校運営に満足を 感じる程度との間には,高親和欲求の教員の場合も低親和欲求の教員の 場合も有意な正の相関が示された.. 教育への意欲との間には高親和欲求の教員の場合のみ有意な正の相関 が示された,. 教員間の連帯性が高いと感じる程度との間には高親和欲求の教員の場 一33一.
(36) 合も低親和欲求の教員の場合も有意な正の相関が示された.. 仕事へのストレスを感じない程度との間には高親和欲求の教員の場合 も低親和欲求の教員の場合も有意な正の相関が示されなかった.. 一34一.
(37) 考. 察. まず,教員が認知した校長のリーダーシップ行動次元から考察してい きたい. 「結果」のところでも触れたが,本研究を始めるにあたって研. 究仮説として想定した校長のリーダーーシップ行動の2次元は,従来の研 究結果から,目上達成的リーーダ・一.一シ・ソプ行動次元と集団維持的リーダー. シップ行動次元とであった.ところが,本研究の分析結果より抽出され た2因子は,従来の集団維持次元を基本にした個人的配慮リーダーシッ プ行動次元と学校運営的配慮リーダーシップ行動次元と呼ぶのが適当だ と考えられる2因子であった.このことを整理した図が下のFig.2である. 従来の研究. 本研究 ]es・. 目. P. 標. 圧 力 P. 第3因子. 達=機 学校運営的. 成. L 能. 計 画 P. z慮. 営. 集 M 団. ↑ 運. 配 的. M. 慮. 機. 配 慮. 維=機. 個 ↓ 人 ツ人的配慮. 持. L 能. 的 Fig.2. リーダーシ・ソプ行動次元模式図. 一35一. 能.
(38) 本研究におけるTable 1の分析結果について,従来の研究を参照しなが ら検討してみた.. 今までのPM論に基づく研究では目標達成(P)機能については圧力 因子と計画因子に分けられるものの(三隅,1984),集団維持(M)機能 には多くの内容を含むにもかかわらず,そのまま1つの因子として取り 扱っている研究が比較的多かった,. たとえば,筒井(1981)は従来のPM式監督方式に関する諸研究を参. 考にして校長のリーダーシ・ソプ行動測定尺度の20項目(M機能10項 目,P機能10項目)を作成したとしているが,調査後,測定項目を因 子分析した結果,M機能が14項目, P機能が4項目だけであった,な お,筒井(1981)の場合は,目標達成的リーダーシップ行動(圧力P,. 計画P)の内,計画Pに相当するものが,ほとんどM機能に含まれたた め,P機能に圧力Pに相当するもの(例 「服務規律(遅刻や外出など) をきびしくいう.」, 「校務分掌上やらなければならない仕事をやかま. しくいう。」等)だけが残った.それに対して,因子名を「目標達成」. と命名したことは,妥当性に欠けるが,M機能に多くの内容を含むこと には変わりがない.. しかし,本研究では,Fig.2で図示したように従来の集団維持(M)的 リーダーシップ行動次元が基本的に2つに分かれる個人的配慮リーダー シップ行動次元と学校運営的配慮リーダーシップ行動次元と呼ぶのが適 当と考えられる2因子が抽出されたので採択した. 次に,校長のリーダーシ・ソプ行動と教員の各モラールとの関係を考察 していきたい.. 校長に対して2次元(個人的配慮と学校運営的配慮)にそったリーダ ーシップ行動の程度を高く認知する教員ほど,学校運営に対する満足感 一36一.
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