Nagoya City University Academic Repository
学 位 の 種 類
博士 (薬学)
報 告 番 号
甲第1704号
学 位 記 番 号 第350号
氏 名
野木森 拓人
授 与 年 月 日
平成 31 年 3 月 25 日
学位論文の題名
外来性 RNA 分解機構の解明と RNA 医薬への臨床応用
論文審査担当者
主査: 林 秀敏
副査: 星野 真一, 松永 民秀, 白根 道子
のぎもり たくと 野木森 拓人 氏 名 学位の種類 博士(薬学) 学位の番号 薬博第 350 号 学位授与の日付 平成 31 年 3 月 25 日 学位授与の条件 学位規則第 4 条第 1 項該当 学位論文題目 外来性 RNA 分解機構の解明と RNA 医薬への臨床応用 論文審査委員 (主査)教授 林 秀敏 (副査)教授 星野 真一・ 教授 松永 民秀・ 教授 白根 道子 論文内容の要旨 ウイルス感染時には自然免疫系のひとつである OAS/RNase L システムが働くことが知られている。エンドヌクレアー ゼ RNase L が外来から侵入した RNA を分解することで感染を防ぐが、どのように外来性 RNA を特異的に分解しているのか、 その詳細な分子機構については不明な点が数多く残されていた。本研究においてウイルス RNA などの外来性 mRNA は翻訳 を介して翻訳因子 Dom34 によって認識された後、RNase L によって分解されるという分子機構を解明した。さらにウイル ス RNA と同様に生体にとって外来性である mRNA 医薬や miRNA 医薬についても OAS/RNase L システムにより分解されるこ とを明らかにした。また、OAS/RNase L システムを阻害する低分子化合物を用いることで mRNA 医薬及び miRNA 医薬の安 定化が可能となった。mRNA 医薬や miRNA 医薬は生体内で不安定であることが、臨床応用実現において最大の障壁となっ ていたが、本研究により見いだした安定化技術は RNA 医薬実現に大きく寄与しうる。 論文審査の結果の要旨 野木森拓人は、外来性 RNA 分解の分子機構の解明と RNA 医薬への臨床応用について解析を行い、以下の 2 点を明らかに した。(1)外来性ウイルス RNA が、細胞内において翻訳され翻訳因子 Dom34 によって外来性であると識別された後、自 然免疫にはたらく OAS3-RNase L システムによって分解される分解機構の全容を解明した。(2)同じく生体にとって外来 生である mRNA 医薬(人工 mRNA)や miRNA 医薬(人工 miRNA)についても OAS/RNase L システムによって分解されること を明らかにし、この分解系を阻害することでこれら RNA 医薬を安定化する技術を開発した。これまで不明であった「生体 がウイルス RNA を外来性として識別するしくみ」を世界に先駆けて解明するとともに、「mRNA 医薬(人工 mRNA)および miRNA 医薬(人工 miRNA)を安定化する技術」を開発することに成功した点において、本論文は極めて重要な研究成果で あると判断する。 平成 31 年 1 月 9 日の公開発表会、平成 31 年 3 月 5 日の最終審査会の双方において、質の高い口頭発表を行い、質疑応 答においても的確に返答した。これらの結果を総合し、野木森拓人の博士論文には、大学院博士課程の研究として十分な 研究成果が含まれていると認め、主査および副査全員一致で合格の判定を下した。なお、論文掲載の受理もってすべての 博士取得要件が満たされたことから、平成 31 年 3 月 7 日の薬学研究科論文審査会において合格が認定された。