セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ
セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ に よ る に よ る に よ る に よ る RNA
RNA RNA
RNA 干 渉 干 渉 を 干 渉 干 渉 を を を 利 用 利 用 利 用 利 用 し た し た し た 治 療 標 的 分 子 し た 治 療 標 的 分 子 治 療 標 的 分 子 治 療 標 的 分 子 の の の の 探 索 探 索 探 索 探 索
RNA RNA RNA
RNA iiiinterference nterference nterference----based s nterference based s based s based screening creening creening creening for m
for m for m
for molecular olecular olecular olecular ttttargets argets argets argets using a c
using a c using a c
using a cell ell ell ell ttttransfection ransfection ransfection a ransfection a array a rray rray rray
2009 2009 2009
2009 年 年 年 年 7 7 7 7 月 月 月 月
早 稲 田 大 学 大 学 院 早 稲 田 大 学 大 学 院 早 稲 田 大 学 大 学 院
早 稲 田 大 学 大 学 院 理 工 学 研 究 科 理 工 学 研 究 科 理 工 学 研 究 科 理 工 学 研 究 科
本 間 本 間 本 間
本 間 紀 美 紀 美 紀 美 紀 美
目 次 目 次 目 次 目 次
図 表 一 覧 4
略 語 表 6
[[[[
第第第第1 1 1 1
章章章章]]]]
序 論序 論序 論序 論8
1-1 ゲ ノ ム 創 薬 の 現 状 8
1-2 遺 伝 子 機 能 解 析 10
1-3 低 分 子 化 合 物 か らRNAi医 薬 へ の 展 開 11
1-4 本 研 究 の 取 り 組 み 18
[[[[
第第第第2 2 2 2
章章章章]]]]
治 療 標 的 分 子 探 索治 療 標 的 分 子 探 索治 療 標 的 分 子 探 索治 療 標 的 分 子 探 索 の た め のの た め のの た め のの た め の
セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ
セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ ののの 開 発の開 発開 発開 発
19
2-1 バ イ オ マ テ リ ア ル に よ る 核 酸 導 入 技 術 19
2-2 方 法 20
2-3 セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ の 開 発 22 2-4 セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ の 特 長 27 2-5 (解 析 例1) マ ウ ス 小 脳 形 成 期 発 現 遺 伝 子 の 機 能 解 析 31 2-6 (解 析 例2) 肝 が ん 発 現 上 昇 遺 伝 子 の 機 能 解 析 31
2-7 小 括 32
[[[[
第第第第3 3 3 3
章章章章]]]]
RNAi RNAi RNAi RNAi
に よ るに よ るに よ るに よ るin vitro in vitro in vitro in vitro
、、、、in vivo in vivo in vivo in vivo
遺 伝 子 機 能 解 析遺 伝 子 機 能 解 析遺 伝 子 機 能 解 析遺 伝 子 機 能 解 析 とととと標 的 分 子 探 索
標 的 分 子 探 索 標 的 分 子 探 索
標 的 分 子 探 索 のののの 戦 略戦 略戦 略戦 略
37
3-1 RNAiに よ る 遺 伝 子 機 能 解 析 37
3-2 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン に よ るsiRNAデ リ バ リ ー 40
3-3 方 法 41
3-4 RNAi- セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ 43
3-7 siRNAデ リ バ リ ー の 課 題 51 3-8 RNAiに よ るin vitro、in vivo遺 伝 子 機 能 解 析 と 標 的 分 子 探 索
の 戦 略
52
[[[[
第第第第4 4 4 4
章章章章]]]]
大 腸大 腸大 腸大 腸 が んが んが んが ん 治 療 標 的 分 子治 療 標 的 分 子治 療 標 的 分 子治 療 標 的 分 子 のののの 同 定同 定同 定同 定55
4-1 大 腸 が ん の 現 状 と 課 題 55
4-2 方 法 58
4-3 大 腸 が ん 組 織 の 遺 伝 子 発 現 プ ロ フ ァ イ ル 61 4-4 大 腸 が ん 治 療 標 的 分 子 の ス ク リ ー ニ ン グ 67 4-5 大 腸 が ん 細 胞 株 、 腫 瘍 組 織 に お け る 、PSMA7お よ びRANの
発 現
73
4-6 PSMA7お よ びRAN発 現 と 大 腸 が ん 転 移 の 関 連 76
4-7 PSMA7 siRNA、RAN siRNA投 与 に よ る ア ポ ト ー シ ス 誘 導 77
4-8 小 括 79
[[[[
第第第第5 5 5 5
章章章章]]]]
薬 剤 耐 性 乳薬 剤 耐 性 乳薬 剤 耐 性 乳薬 剤 耐 性 乳 が ん のが ん のが ん のが ん の 治 療 標 的 分 子治 療 標 的 分 子治 療 標 的 分 子治 療 標 的 分 子 ののの 同 定の同 定同 定同 定83
5-1 乳 が ん の 現 状 と 課 題 83
5-2 方 法 85
5-3 乳 が ん 組 織 の 遺 伝 子 発 現 プ ロ フ ァ イ ル 88 5-4 薬 剤 耐 性 関 連 分 子 の ス ク リ ー ニ ン グ 90 5-5 ド セ タ キ セ ル に よ るRPN2発 現 誘 導 94
5-6 RPN2 siRNAの 抗 腫 瘍 効 果 96
5-7 薬 剤 耐 性 化 に お け るRPN2の 機 能 98
5-8 臨 床 応 用 へ の 可 能 性 103
5-9 小 括 106
[[[[
第第第第6 6 6 6
章章章章]]]]
総 括総 括総 括総 括 とととと 展 望展 望展 望展 望110
6-1 総 括 110
6-2 展 望 114
謝 辞 120
参 考 文 献 121
研 究 業 績 一 覧 134
図 表 一 覧 図 表 一 覧 図 表 一 覧 図 表 一 覧
図 1-1 ゲノム創 薬 のプロセス 9
図 1-2 Druggable genomeの概 念 11
表 1-1 RNAi医 薬 と低 分 子 化 合 物, 抗 体 ・タンパク質 医 薬 の比 較 13
表 1-2 RNAi医 薬 品 の開 発 状 況 17
図 2-1 アテロコラーゲンと核 酸 複 合 体 の形 成 と核 酸 導 入 効 率 23
図 2-2 リバーストランスフェクション法 の開 発 25
図 2-3 セルトランスフェクションアレイによるハイスループット遺 伝 子 機
能 解 析
26
図 2-4 セルトランスフェクションアレイによる核 酸 導 入 29
図 2-5 セルトランスフェクションアレイの特 長 30
図 2-6 トランスフェクションアレイのシステム 33
図 2-7 セルトランスフェクションアレイによる遺 伝 子 機 能 解 析 と医 療 へ の応 用
36
図 3-1 RNAiのメカニズム 38
図 3-2 ルシフェラーゼ発 現MCF7-ADR細 胞 におけるルシフェラーゼの
ノックダウン
45
図 3-3 HT-29細 胞 における内 在 性GAPDHのノックダウン 45
表 3-1 アテロコラーゲンによるsiRNAのin vivo デリバリー 47
図 3-4 B16F10メラノーマ皮 下 腫 瘍 へのsiRNA腫 瘍 内 投 与 48
図 3-5 FGF-4 siRNAの腫 瘍 内 投 与 による,NEC8精 巣 腫 瘍 の増 殖 抑 制
48
図 3-6 PC3前 立 腺 がん骨 転 移 巣 への尾 静 脈 投 与 によるsiRNAデリ バリー
50
図 3-7 RNAi による遺 伝 子 機 能 解 析 と標 的 分 子 探 索 の戦 略 54
図 4-1 大 腸 がん治 療 標 的 分 子 探 索 の戦 略 57
表 4-1 siRNA配 列 58
表 4-2 大 腸 がん組 織 で発 現 上 昇 していた97遺 伝 子 62-66
図 4-2 ヒト大 腸 がん組 織 発 現 上 昇 遺 伝 子 の機 能 スクリーニング 68-69
図 4-3 PSMA7 siRNA, RAN siRNAによる, HT-29細 胞 のアポトーシ ス誘 導
70
図 4-4 PSMA7 siRNA,RAN siRNAによるmRNA発 現 抑 制 72 図 4-5 大 腸 がん細 胞 株, 腫 瘍 組 織 における, PSMA7 mRNAおよび
RAN mRNAの発 現
74-75
表 4-3 PSMA7,RAN発 現 と大 腸 がん転 移 の関 連 76
図 4-6 HT-29腫 瘍 へのPSMA7 siRNA, RAN siRNAの投 与 による, アポトーシス誘 導
78
図 5-1 RNAiによる薬 剤 耐 性 乳 がんの新 規 標 的 分 子 同 定 の戦 略 84 表 5-1 ドセタキセル非 感 受 性 乳 がん患 者 組 織 で発 現 上 昇 していた 36
遺 伝 子
89
図 5-2 RNAiによる機 能 スクリーニング 91
図 5-3 RPN2 siRNAの導 入 による,MCF7-ADR細 胞 のアポトーシス 誘 導
92
図 5-4 MCF7-ADR細 胞 へのRPN2 siRNAの導 入 による, RPN2のノ ックダウン
93
図 5-5 ドセタキセル処 理 による, RPN2 mRNAとMDR1 mRNAの発 現 誘 導
95
図 5-6 乳 がんモデルへのRPN2 siRNA投 与 による抗 腫 瘍 効 果 97
図 5-7 RPN2 siRNAによるP-gpの糖 鎖 修 飾 阻 害 100-101
図 5-8 RPN2によるドセタキセル耐 性 化 のメカニズム 102
図 5-9 ヒト乳 がん組 織 における RPN2 発 現 と P-gp の分 布 104 表 5-2 ヒト乳 がん組 織 における RPN2 発 現 と P-gp の分 布 104 表 5-3 乳 がん組 織 と正 常 組 織 におけるRPN2タンパク質 の発 現 量 105
図 6-1 miRNA機 能 解 析 と創 薬 116
略 語 表 略 語 表 略 語 表 略 語 表
RNAi RNA interference (RNA干 渉) siRNA small interfering RNA RO5 rule of 5
PTGS post-transcriptional gene silencing (転 写 後 遺 伝 子 サ イ レ ン シ ン グ) VIGS viral-induced gene silencing (ウ ィ ル ス 誘 発 性 遺 伝 子 サ イ レ ン シ ン グ) wet AMD wet age-related macular degeneration (滲 出 型 加 齢 性 黄 斑 変 性 症) VEGF vascular endothelial growth factor (血 管 内 皮 増 殖 因 子)
RSV respiratory syncytial virus (呼 吸 器 多 核 体 ウ ィ ル ス) HBV hepatitis B virus (B型 肝 炎 ウ ィ ル ス)
PCSK9 proprotein convertase subtilisin/kexin 9
FGF-4 fibroblast growth factor-4 (線 維 芽 細 胞 増 殖 因 子-4) DDS drug delivery system (ド ラ ッ グ デ リ バ リ ー シ ス テ ム)
EGFP enhanced-green fluorescence protein (高 感 度 緑 色 蛍 光 タ ン パ ク 質) RISC RNA induced silencing complex
GAPDH glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase EPR効 果 enhanced permeation and retention effect
VEGFR vascular endothelial growth factor receptor (血 管 内 皮 増 殖 因 子 受 容 体) EGFR epidermal growth factor receptor (上 皮 増 殖 因 子 受 容 体)
TRAIL tumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand (腫 瘍 壊 死 因 子
関 連 ア ポ ト ー シ ス 誘 発 リ ガ ン ド) PSMA7 proteasome subunit α-type 7 RAN ras-related nuclear protein
HBX hepatitis B virus X protein (B型 肝 炎 ウ ィ ル スXタ ン パ ク 質) IRES internal ribosomal entry site
NF-kB nuclear factor-kB
GTP guanosine triphosphate (グ ア ノ シ ン 三 リ ン 酸) GDP guanosine diphosphate (グ ア ノ シ ン 二 リ ン 酸) Bax Bcl-2-associated X protein
WHO World Health Organization (世 界 保 健 機 関) CR complete response (完 全 寛 解)
PR partial response (部 分 寛 解) NC no change (不 変)
PD progressive disease (進 行) RPN2 ribophorin II
OST oligosaccharyl transferase (オ リ ゴ 糖 転 移 酵 素) P-gp P-glycoprotein (P-糖 タ ン パ ク 質)
PKC protein kinase C (プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼC) MRP1 multidrug resistance-associated protein 1 MRP2 multidrug resistance-associated protein 2 BCRP breast cancer resistance protein
miRNA microRNA
ヒ ト 遺 伝 子 は 、HUGO遺 伝 子 命 名 法 に 従 っ て 記 載 し て い る 。
1 1
1 1----1 1 1 1
ゲ ノ ムゲ ノ ム 創 薬ゲ ノ ムゲ ノ ム創 薬創 薬創 薬 のののの 現 状現 状現 状現 状2001
年 の ヒ ト ゲ ノ ム 解 読 以 降 、ゲ ノ ム 情 報 を も と に 、種 々 の 疾 患 に お ける 遺 伝 子 発 現 解 析 が 実 施 さ れ 、 疾 患 や 病 態 と 遺 伝 子 発 現 の 関 係 が 明 ら か に な り つ つ あ る 。 そ し て 、 遺 伝 子 発 現 プ ロ フ ァ イ ル を 利 用 し て 、 疾 患 ・ 病 態 の 原 因 と な る 分 子 、 治 療 標 的 分 子 を 探 索 し 、 薬 剤 を 創 出 す る 試 み が な さ れ て き た 。い わ ゆ る「 ゲ ノ ム 創 薬 」で あ る
(
図図図図1 1 1 1----1 1 1 1)
。新 薬 の 開 発 プ ロ セ ス は ゲ ノ ム 創 薬 へ と シ フ ト し た も の の 、 し か し な が ら 、 当 初 期 待 さ れ た よ う な 迅 速 か つ 高 効 率 の 新 薬 開 発 に は つ な が ら ず 、 現 在 ま で に 有 望 な 新 薬 と し て 認 知 さ れ た も の は 少 な い 。 ゲ ノ ム 創 薬 に は 多 く の 課 題 が 残 さ れ て い る が 、 本 研 究 で は 、そ の 課 題 の1
つ 、遺 伝 子 発 現 プ ロ フ ァ イ ル で 抽 出 さ れ る 遺 伝 子 の ハ イ ス ル ー プ ッ ト 機 能 解 析 法 の 確 立 を 目 指 し た 。 ま た 、 従 来 型 低 分 子 化 合 物 医 薬 に よ る 制 御 が 可 能 な 治 療 標 的 遺 伝 子 産 物 は 、 極 め て 少 な い と 推 定 さ れ お り 、RNA
干 渉(RNA interference
:RNAi)
を 利 用 し た 、 新 し い 創 薬 概 念 に よ る 薬 剤 の 創 出 が 期 待 さ れ て い る 。siRNA (small interfering RNA)
の 発 明 は 、Loss-of-function
の 画 期 的 な 遺 伝 子 機 能 解 析 手 法 を も たら し た と 同 時 に 、遺 伝 子 発 現 レ ベ ル で 治 療 標 的 分 子 を 制 御 す る
RNAi
医 薬 の 開 発 に つ な が っ た 。 本 研 究 で は 、RNAi
に よ るin vivo
、in vitro
の 遺 伝 子 機 能 解 析 技 術 を 確 立 し 、 さ ら に 、 が ん 治 療 標 的 分 子 の 探 索 を 実 践 し て 、RNAi
医 薬 の 新 規 標 的 分 子 を 同 定 し た 。[[[[
第第第第1 1 1 1
章章章章]]]]
序 論序 論序 論序 論図 図 図
図 1-1 ゲノムゲノムゲノムゲノム 創 薬創 薬創 薬創 薬 のののの プロセスプロセスプロセスプロセス
ゲノム情 報 をもとに,バイオインフォマティクス,mRNA 発 現 プロファイル,タンパク質 発 現 プ ロ フ ァ イ ル な ど の 手 法 で , 疾 患 ・ 病 態 に 関 与 す る 遺 伝 子 候 補 を 抽 出 す る . 抽 出 し た 遺 伝 子 に つ い て 、 セ ル ベ ー ス ア ッ セ イ で 機 能 解 析 し て , 標 的 分 子 候 補 を 選 抜 し , さ ら に 疾 患 モ デ ル 動 物 で 検 証 す る . 治 療 標 的 分 子 と 判 断 さ れ た ら , そ の 分 子 を 制 御 す る 薬 剤 の リ ー ド 化 合 物 を ス ク リ ー ニ ン グ す る . リ ー ド 化 合 物 の 最 適 化 , 安 全 性 薬 理 試 験 , 臨 床 試 験 を 経 て , 分 子 標
臨床試験 安全性薬 理
試験
分子標的 薬 上市 化合物
最適化
バイオ イン フ ォマテ ィ クス mRNA発現 プロ フ ィル タンパ ク質発 現プ ロ フィ ル ゲノム 情報
標的分子 候補の 選抜
疾患モ デ ル動物
スクリー ニン グ 標的分子 の検証
化合物 セルベ ースア ッ セ イ
遺伝子機 能解析 遺伝子の 抽出
臨床試験 安全性薬 理
試験
分子標的 薬 上市 化合物
最適化
臨床試験 安全性薬 理
試験
分子標的 薬 上市 化合物
最適化
バイオ イン フ ォマテ ィ クス mRNA発現 プロ フ ィル タンパ ク質発 現プ ロ フィ ル ゲノム 情報
標的分子 候補の 選抜
疾患モ デ ル動物
スクリー ニン グ 標的分子 の検証
化合物 セルベ ースア ッ セ イ
遺伝子機 能解析 遺伝子の 抽出
バイオ イン フ ォマテ ィ クス mRNA発現 プロ フ ィル タンパ ク質発 現プ ロ フィ ル ゲノム 情報
標的分子 候補の 選抜
疾患モ デ ル動物
スクリー ニン グ 標的分子 の検証
化合物 セルベ ースア ッ セ イ
遺伝子機 能解析 遺伝子の 抽出
1 1
1 1----2 2 2 2
遺 伝 子 機 能 解 析遺 伝 子 機 能 解 析遺 伝 子 機 能 解 析遺 伝 子 機 能 解 析遺 伝 子 の 機 能 解 析 で は 、 培 養 細 胞 や 疾 患 モ デ ル 動 物 に お い て 、 対 象 遺 伝 子 を 発 現
(Gain-of-function)
、あ る い は 発 現 抑 制(Loss-of-function)
さ せ 、 そ の 表 現 型 の 変 化 か ら 遺 伝 子 機 能 を 推 定 す る 。 ゲ ノ ム 創 薬 に お い て 、 遺 伝 子 機 能 解 析 は 、 疾 患 ・ 病 態 の 原 因 と な る 分 子 、 治 療 標 的 分 子 を 同 定 す る た め の 最 も 重 要 な ス テ ッ プ で あ る 。 し か し 、DNA
マ イ ク ロ ア レ イ や 超 高 速 シ ー ク エ ン サ ー の 出 現 な ど 、 遺 伝 子 発 現 解 析 技 術 が 急 速 な 進 歩 を 遂 げ た 反 面 、遺 伝 子 発 現 プ ロ フ ァ イ ル よ り 抽 出 さ れ る 個 々 の 遺 伝 子 の 機 能 に つ い て 、 正 確 か つ 高 効 率 に 解 析 す る 手 法 は 確 立 さ れ て お ら ず 、 ゲ ノ ム 創 薬 の 障 壁 と な っ て い る 。 遺 伝 子 機 能 の 網 羅 的 解 析 が 困 難 な た め 、 多 く は 、 発 現 解 析 に よ り 抽 出 さ れ た 多 数 の 遺 伝 子 を デ ー タ ベ ー ス 検 索 し 、 期 待 さ れ る 機 能 を 持 つ 少 数 の 遺 伝 子 に 選 抜 し た う え で 、 そ の 機 能 を 調 べ る と い う 、 あ る 種 の バ イ ア ス が か か っ た 遺 伝 子 機 能 解 析 が 行 わ れ て き た 。 だ が 、 こ の 方 法 で は 選 抜 さ れ な か っ た 他 大 多 数 の 遺 伝 子 に つ い て 、 機 能 を 解 明 す る こ と は で き な い 。 ま た 、 期 待 さ れ る 機 能 を 持 つ 遺 伝 子 に は じ め か ら 絞 り 込 ん で し ま っ て は 、他 の 遺 伝 子 の 持 つ 新 規 機 能 や 新 規 標 的 分 子 を 突 止 め る こ と は で き な い 。 よ っ て 、 網 羅 的 な 遺 伝 子 機 能 解 析 を 可 能 に す る シ ス テ ム の 開 発 が 急 務 で あ る 。本 研 究 で は 、 こ の 課 題 を 克 服 す べ く 、 細 胞 レ ベ ル で ハ イ ス ル ー プ ッ ト に 遺 伝 子 機 能 を 解 析 す る シ ス テ ム 「 セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ 」 を 開 発 し た 。
1 1
1 1----3 3 3 3
低 分 子 化 合 物低 分 子 化 合 物 か ら低 分 子 化 合 物低 分 子 化 合 物か らか らか らRNAi RNAi RNAi RNAi
医 薬医 薬 へ の医 薬医 薬へ のへ のへ の 展 開展 開展 開展 開Hopkins
ら が 提 唱 し た“druggable genome”
の 概 念 に よ る と 1)、従 来 型の 低 分 子 化 合 物 医 薬 で 制 御 可 能 な 遺 伝 子 産 物 は 極 め て 少 な い
(
図図図図1 1 1 1----2 2 2 2)
。“Druggable genome”
と は 、Lipinski
のrule of 5 (RO5)
注1-1), 2) に 基 づ く薬 剤 化 合 物 が 相 互 作 用 可 能 な 遺 伝 子 産 物 を 、そ の 高 次 構 造 お よ び 機 能 か ら 、 創 薬 タ ー ゲ ッ ト
“druggable targets”
と し て 同 定 ・ 分 類 し よ う と す る 概 念 で あ る 。こ れ に よ る と 、“druggable targets”
を コ ー ド す る 遺 伝 子 は 、多 く が 細 胞 膜 受 容 体 や 良 く 定 義 さ れ た 酵 素 で あ り 、 全 遺 伝 子中、3,000
遺 伝 子 余り で あ る 。そ し て 、そ の中で 病 態 に 大 き く影 響す る 創 薬 標 的 分 子“drug targets”
を コ ー ド す る 遺 伝 子 は 、1,500
遺 伝 子 に満た な い と 推 定 さ れ て いる 。 し た が っ て 、 遺 伝 子 の 発 現 を直 接制 御 で き る 、
RNA
干 渉 医 薬(RNAi
医 薬)
の よ う な 新 し い 創 薬 概 念 に よ る 薬 剤 が注目 さ れ て い る 。図 図 図
図 1-2 Druggable genomeのののの 概 念概 念概 念概 念
ヒトゲノム22,000 遺伝子
Druggable
~ 3,000 遺伝子
疾患関連
~ 3,000 遺伝子 Drug targets
~ 1,500 遺伝子
新しい創薬概念
RNAi医薬
低分子化合物の創薬標的は1,500 遺伝子に満たない ヒトゲノム22,000 遺伝子
Druggable
~ 3,000 遺伝子
疾患関連
~ 3,000 遺伝子 Drug targets
~ 1,500 遺伝子
新しい創薬概念
RNAi医薬
低分子化合物の創薬標的は1,500 遺伝子に満たない
RNA
干 渉(RNAi)
は 、植物 で見つ か っ た転 写 後遺 伝 子 サ イ レ ン シ ング(post-transcriptional gene silencing
:PTGS)
あ る い は 、ウ ィル ス誘発性遺 伝 子 サ イ レ ン シ ング
(viral-induced gene silencing
:VIGS)
と い う 現 象 を 手 が か り と し て 発見さ れ た 。RNAi
の 発見で 、2006
年 の ノ ー ベ ル 医学 生 理 学 賞を 受賞し たFire
とMello
が 、線 虫で 初 め てRNAi
の誘 導に成 功し た し た の は1998
年 の こ と で あ る 3)。 そ の後、ゼ ブラ フィッ シュ、 シ ョウ ジョウバ エ な ど さ まざま な 種 でRNAi
が 確 認 さ れ た 。2001
年 に は 、Tuschl
ら が 、siRNA (small interfering RNA)
に よ る配 列 特 異的mRNA
の 分 解 で 、 哺 乳動 物 細 胞 に お け るRNAi
に よ る 遺 伝 子 発 現 抑 制 法 を 確 立 し た 4)。Tuschl
ら の 発 明 は 、Loss-of-function
の 画 期 的 な 遺 伝 子 機 能 解 析 手 法 を もた ら し た と 同 時 に 、遺 伝 子 発 現 を人 為的 に直 接制 御 す る
RNAi
医 薬 の 開 発 に つ な が っ た 。RNAi
医 薬 の 出 現 は 、 化 合 物 に よ る 制 御 が 困 難 な 分 子“undruggable targets”
を も 治 療 標 的 と す る こ と を 可 能 と し 、 創 薬 の世 界を 大 き く広げ た 5)
(
表表表表1 1 1 1----1 1 1 1)
。こ のRNAi
に先行 し て 進 ん で い た の が 同 じ核 酸医 薬 と し て 開 発 さ れ て い た ア ンチセ ン ス 医 薬 で あ る 。 し か し 、副作 用 を 上 回るほど の 有 効性を示す臨 床 上の結 果が得ら れ ず 、 最終的 な承認 に届か な か っ た例が 多 い 。RNAi
医 薬 は 、 そ の 抑 制 の 確 か さ か ら 、 ア ンチセ ン ス 医 薬 に比べ 、 実 用 化 に お い て優 位で あ る と考え ら れ て い る 。一方 で 、 そ の 研 究 の歴 史が浅い故に 、メ カ ニ ズム を完全 に 解 明 で き た と は言え ず 、思わ ぬ 副作 用 を招く こ と が な い よ う 、臨 床 応用 に は慎重 さ が求め ら れ る の も事 実 で あ る 。表表
表表 1-1 RNAi医 薬医 薬医 薬医 薬 とととと 低 分 子 化 合 物低 分 子 化 合 物低 分 子 化 合 物低 分 子 化 合 物, 抗 体抗 体 ・抗 体抗 体・・ タンパク・タンパクタンパク 質タンパク質質 医 薬質医 薬医 薬医 薬 のののの 比 較比 較比 較比 較
RNAi 医 薬 は , 全 て の 遺 伝 子 産 物 を 標 的 と す る こ と が 可 能 で , 特 異 性 が 高 い . ま た 、 リ ー ド 化 合 物 の選 抜 、最 適 化 が迅 速 である
5)
.
低分子化合物 抗体, タンパク質 RNAi
○
アゴニズム, アンタゴニズム ○アゴニズム, アンタゴニズム ○アンタゴニズム
○細胞外標的, 細胞内標的 ○細胞外標的 ○全ての遺伝子産物
○
標的分子の種類によっては, 高特異性化合物の創出が困難
○高特異性 ○高特異性
○リード化合物の選抜, 最適化が 遅い
○リード化合物の選抜, 最適化が 遅い
○リード化合物の選抜, 最適化が 迅速
○合成が容易 ○作製が煩雑 ○合成が容易
表 表 表
表
1 1 1 1----2 2 2 2
は 、現 在 開 発中のRNAi
医 薬 を示し て い る 6)。滲出 型加 齢 性 黄 斑 変性 症(wet age-related macular degeneration
:wet AMD)
、臓 器機 能 障 害、ウ ィル ス感 染 症、 が ん 、 高 コ レ ス テ ロ ー ル血 症、神 経疾 患 な ど様々 な 疾 患 へ の適用 が 検討さ れ て い る 。最 初 に臨 床試験が 実 施 さ れ たRNAi
医 薬 は 、wet AMD
を 対 象 疾 患 と す る 、VEGF (vascular endothelial growth factor
:血 管 内 皮 増 殖因 子)
標 的siRNA (Bevasiranib
、OPKO Health
社)
で あ る 。
VEGF
は 、wet AMD
の 進 行 に 関与す る血 管新生の主要 な促進 因 子 で 、VEGF
経 路を介し た血 管新生の阻 害が 、wet AMD
治 療 薬 開 発 の中 心 戦 略と な っ て い る 。そ の後、VEGF
受 容 体(VEGFR)
を 標 的 と す るRNAi
医 薬(Sirna-027
、Merck-Sirna Therapeutics)
の臨 床開 発 も 開始さ れ た 。Bevasiranib
の 開 発 は 、安全性に は問題 が な か っ た も の の 、主要 エ ン ドポイ ン ト
(primary end point)
を達 成で き る 可 能性が 低 い と の判 断か ら フ ェ ーズIII
で中止 さ れ た(2009
年3
月)
。Sirna-027
は 、 現 在 、 フ ェ ーズII
試験が 進 行中で あ る 。こ れ らVEGF
経 路の阻 害剤 の よ う に 、既 存の抗体 医 薬 や 低 分 子 化 合 物 医 薬 が存在 す る 疾 患 に お け るRNAi
医 薬 の 開 発 は 、既 存 薬 に比べ て優 位 性を示す こ と が 重 要 に な る で あろう 。特に 多 く の 開 発 が 行 わ れ て い る の は 、抗 ウ ィル ス
RNAi
医 薬 で あ る 。ウ ィル ス は 、 低 分 子 化 合 物 へ の 薬 剤耐 性を獲 得し や す く 、 遺 伝 子配 列が ヒ ト と 大 き く異な る た め 、ウ ィル ス の 遺 伝 子 を 標 的 と す るRNAi
医 薬 が 有 望 な 治 療 薬 と な る と考え ら れ て い る 。 現 在 、抗RSV (respiratory syncytial virus
: 呼 吸 器 多 核 体 ウ ィ ル ス)
薬(ALN-RSV01
、Alnylam Pharmaceuticals
社、フ ェ ーズII)
、抗HBV (hepatitis B virus
:B
型肝 炎ウ ィル ス
)
薬(NUC B1000
、Nucleonics
、 フ ェ ーズI)
な ど の 開 発 が 進 行中で あ る 。
RNAi
医 薬 のリー ディング カンパ ニー で あ るAlnylamPharmaceuticals
社は 、
“undruggable targets”
に着目 し た 創 薬 を 行 っ て い る 。PCSK9
(
proprotein convertase subtilisin/kexin 9
)は 、LDL
コ レ ス テ ロ ー ル の 代 謝に 関与し 、PCSK9
活 性の上 昇がLDL
コ レ ス テ ロ ー ル を増 加さ せ る こ と か ら 、高 コ レ ス テ ロ ー ル血 症を引き起こ す 分 子 で あ る と考え ら れ て い る 。PCSK9
は 、“undruggable targets”
と 考 え ら れ て い る が 、AlnylamPharmaceuticals
社は 、 そ のsiRNA
薬(ALN-PCS
、前 臨 床)
の開 発 を 実 施 し て い る 。 そ の 他 、 ハ ンチン ト ン 病 を 対 象 疾 患 と し 、
“undruggable targets”
の 変異ハ ンチン ト ン を 標 的 と す るRNAi
医 薬(ALN-HTT
、前 臨 床)
の 開 発 も 行 わ れ て い る 。一方 、独 自の 治 療 コ ン セ プ ト に 基 づ く 、
RNAi
医 薬 も 創 出 さ れ て い る 。Quark Pharmaceuticals
社は 、wet-AMD
の 治 療 薬 と し て 、抗RTP801 siRNA
薬(PF-4523655
、フ ェ ーズII)
を臨 床試験 中で あ る 。RTP801
は 、VEGF
経 路と は異な る経 路でwet-AMD
の 進 行 に 関与す る 分 子 で 、新 規 標的 分 子 で あ る 。 ま た 、 同社は 、今ま で に根本 的 治 療 薬 が存在 し な か っ た 、 急性 腎 臓 損 傷
(AKI)
、臓 器 移 植 後 臓 器機 能 障害(DGF)
のsiRNA
治 療 薬(QPI-1002
、 フ ェ ーズI/II)
の 治験を 行 っ て い る 。QPI-1002
は 、p53
を 標的 と す る
siRNA
で 、p53
の 発 現 を一時 的 に阻 害し て 、正常細 胞 を 急激な損 傷か ら保 護す る と い う 、 新 し い コ ン セ プ ト の 治 療 薬 で あ る 。RNAi
医 薬 は 、 ま だ 治験 段 階に あ る が 、 数 年 以内に上 市さ れ る と予 測さ迅 速 な こ と か ら 、今 後も
RNAi
医 薬 の 開 発 は増 加す る と考え ら れ る 。特に 、“undruggable targets”
を 標 的 と す る も の や 、 新 規 治 療 コ ン セ プ ト に 基 づく 治 療 薬 が 創 出 さ れ て 行 く で あろう 。
本 研 究 で は 、 疾 患 の 遺 伝 子 発 現 プ ロ フ ァ イ ル を も と に 、
RNAi
を 利 用 し たin vivo
、in vitro
の 遺 伝 子 機 能 解 析 に よ っ て 、 新 規 か つユ ニー ク な 治 療 標 的 分 子 の 探 索 を 行 い 、 さ ら にRNAi
医 薬 へ の応用 を 検討し た 。薬品薬品薬品薬品のののの開発状況開発状況開発状況開発状況 siRNA標的分子対象疾患開発ステージ BevasiranibVEGF滲出型加齢性黄斑変性症フェーズIIIで中 糖尿病性黄斑浮腫フェーズII herapeuticsSirna-027VEGFR1滲出型加齢性黄斑変性症フェーズII aceuticals, PF-4523655RTP801 (DDIT4)滲出型加齢性黄斑変性症フェーズII peutics糖尿病性黄斑浮腫フェーズII aceuticalsQPI-1002P53 (TP53)急性腎不全フェーズI/IIa 臓器移植後臓器機能障害フェーズI/II QPI-1007非公開非動脈炎性虚血性視神経症IND 緑内障IND aceuticalsALN-RSV01ヌクレオカプシド (N)RSウイルスフェーズII ALN-VSPKSP (KIF11), VEGF肝がんフェーズI ALN-PCSPCSK9高コレステロール血症2009年IND候 ALN-TTRトランスサイレチンTTRアミロイドーシス2009年IND候 ALN-HTT変異ハンチントンハンチントン病2009年IND候 NUC B1000HBVゲノムB型肝炎フェーズI aceuticalsCALAA-01RPM2固形腫瘍フェーズI TD101ケラチン6aのN171K変異先天性爪肥厚症フェーズI achyonychia Congenita Consortium ational New Drug, 治験許可申請.
1 1
1 1----4 4 4 4
本 研 究本 研 究 の本 研 究本 研 究ののの 取取取 り取りりり 組組組組 みみみみ本 研 究 で は 、 最 初 に 、 細 胞 レ ベ ル の 網 羅 的 か つ ハ イ ス ル ー プ ッ ト な 遺 伝 子 機 能 解 析 を 可 能 に す る 「 セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ 」 の 開 発 に取 り組ん だ 。 バ イオマ テリア ル の一種 で 、 個 体 に お け る核 酸 導 入 担体 と し て の 有 効性が 報告さ れ て い た ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン を使用 し 、リバ ー ス ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン に よ る 「 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ 」 を 作製し た 。
次 に 、大腸が ん や 薬 剤耐 性 乳が ん の 遺 伝 子 発 現 プ ロ フィル を も と に 、「 セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ 」 を 利 用 し て 、
RNAi
に よ る 遺 伝 子 機 能 解 析 お よ び 新 規 治 療 標 的 分 子 の ス クリーニングを 実 施 し た 。 そ の後、siRNA
のin vivo
デリバリー に よ っ て 、 標 的 分 子候 補の コ ン セ プ ト 検証を 行 う と 同 時 に 、RNAi
医 薬 と し て の 有 用性を 検討し た 。注 注 注
注 1-1 Lipinskiののののrule of 5 (RO5)
Lipinski らがフェーズ II 試 験 まで進 んだ化 合 物 のプロファイルを解 析 することにより,薬 剤 の多 くが以 下 の5つのルールを満 たすものであることを示 したもので
2)
,経 口 投 与 可 能 な薬 剤 を 開 発 す る 上 で の 指 標 と さ れ る .1. 分 子 量 < 500,2. cLogP ( 疎 水 性 の 指 標 ) < 5, 3. 水 素 結 合 ドナー < 5,4. 水 素 結 合 アクセプター (NおよびOの合 計 ) < 10,5. トラ ンスポーターや天然 由 来の化 合 物 は適 用外.
2 2
2 2----1 1 1 1
バ イ オ マ テ リ ア ルバ イ オ マ テ リ ア ル に よ るバ イ オ マ テ リ ア ルバ イ オ マ テ リ ア ルに よ るに よ る 核 酸 導 入 技 術に よ る核 酸 導 入 技 術核 酸 導 入 技 術核 酸 導 入 技 術バ イオマ テリア ル を 利 用 し た核 酸 導 入法 は 、
1999
年 、落 谷ら が世 界で 初 め て 発 表 し た 7)。落 谷ら は 、バ イオマ テリア ル の一種 の ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン と 遺 伝 子 発 現 プ ラ スミドDNA
を混合 し 、ミ ニ ペレ ッ ト と呼 ばれ る 剤形に 加 工し て 、 ラ ッ ト に投 与し た 。 そ の結 果、FGF-4 (fibroblast growth factor-4
:繊 維 芽細 胞増 殖因 子-4)
遺 伝 子 の生体内デリバリー お よ び 、FGF-4
発 現 の量と 期間の コ ン ト ロ ー ル に成 功し た 。こ の 発見以 降 、ア テ ロコ ラ ー ゲ ン を導 入 担体 と す る こ と で 、 プ ラ スミド
DNA
、 ア デ ノウ ィル ス ベ ク タ ー 、ア ンチセ ン スオ リ ゴ ヌク レオ チド 、siRNA
な ど の核 酸が 、生体 に導 入で き る こ と が 報告さ れ て い る 8-15)。ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン
(Atelocollagen
、 高 研)
は 、ウシ真 皮のI
型 コ ラ ー ゲ ン を由来 と す る バ イオマ テリア ル で あ る 。コ ラ ー ゲ ン 分 子 は 、N-
、C-
両 末 端に コ ラ ー ゲ ン の主要抗原部 位で あ る テ ロペプチド を 有 す る が 、 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン は 、 そ の テ ロペプチド を 、ペプ シ ン処 理に よ り除 去し た 分 子 で あ る 。 し た が っ て 、 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン は 、免 疫原生が 極 め て 低 く 、生体適合 性が 高 い バ イオマ テリア ル で あ る 。 そ れ ゆ え 、 創傷 被 覆剤 や 止血剤 、人 工 臓 器の 基材な ど と し て 、長年 医 療 分野で使用 さ れ て い る 。 ま た 、再 生医 療 や ド ラ ッグデリバリー シ ス テ ム(drug delivery system
:DDS)
の 基材と[[[[
第第第第2 2 2 2
章章章章]]]]
治 療 標 的 分 子 探 索 治 療 標 的 分 子 探 索 治 療 標 的 分 子 探 索
治 療 標 的 分 子 探 索 の た め のの た め のの た め のの た め の
セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ
セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ のののの 開 発開 発開 発開 発
め 、 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン と核 酸の両 者は 、主に静 電 気的 に結合 し複合 体 を形 成す る 。 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン と複合 体 化 し た核 酸は 、ヌク レ ア ーゼに よ る 分 解 を まぬが れ 、組 織や 細 胞内に 効 率 よ く送 達さ れ る 。 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン と 核 酸の複合 体 は エ ン ド サ イ ト ー シ ス に よ り 、 細 胞内に取り 込 ま れ る と 推 定 さ れ て い る 。 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン に は 、核 酸 導 入 担体 と し て 、 次 の よ う な特 長が あ る 。
① 毒 性、抗原性が 低 い 。
② 生体適合性が 高 い 。
③ 生体内で線 維 形 成し 、局 所に留ま る 。
④ 正電 荷を 持ち、核 酸と安定 な複合 体 を形 成す る 。
⑤ 遺 伝 子 の 分 解 を防 ぎ、長期間発 現 す る 。
⑥ 生体内で徐々 に 分 解 さ れ る 。
⑦ 徐 放 性が あ る 。
本 研 究 で は 、生体 へ の核 酸 導 入 担体 と し て 、優れ た性 質を 有 す る ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン を 、 培 養 細 胞 へ の核 酸デリバリー に適用 す る こ と を 検討し た 。
2 2 2
2----2 2 2 2
方 法方 法方 法方 法ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン
ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン
////
核 酸 複 合 体核 酸 複 合 体 、核 酸 複 合 体核 酸 複 合 体、、、 セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イセ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イセ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イセ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ ::::ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン
(
最終 濃 度80 µg/ml
、D-PBS(-)
、pH 7.4)
と プ ラ スミドDNA
、オ リ ゴ ヌク レオ チド 、 ア デ ノウ ィル ス ベ ク タ ー な ど の溶 液(D-PBS(-)
、pH 7.4)
を1:1 (vol. : vol.)
の割合 で マ イ ク ロチ ューブに と り 、4
℃ で20
分間 転 倒 混 和し 、 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン/
核 酸の複合 体溶 液と し た 。複合 体溶 液
50 µl/well (96
穴プ レ ー ト 、BD)
をウェ ル に添 加し 、風 乾、ある い は
4
℃ に一晩静置後 上清を除 去し て 、ウェ ル底面 を ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン/
核 酸 複合 体 で コ ー ト し 、 ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ と し た 。細 胞 培 養 細 胞 培 養 細 胞 培 養
細 胞 培 養 ::::
293 (
ヒ ト胎 児腎 臓 由来形 質 転換細 胞株)
、NEC8 (
ヒ ト精 巣が ん 細 胞株)
、HepG2 (
ヒ ト肝 臓が ん 細 胞株)
は 、10%
牛 胎 児血清(FBS
、Gibco BRL)
含、DMEM
培地(Gibco BRL)
を 、PC12 (
ラ ッ ト副 腎褐 色細胞腫細 胞株
)
は 、5% FBS
、10%
ウマ血清(Gibco BRL)
含、DMEM
を使 用 し 、5% CO
2下、37
℃ で 培 養 し た 。EGFP EGFP EGFP
EGFP
発 現 解 析発 現 解 析発 現 解 析発 現 解 析 :::: プ ラ スミド ベ ク タ ーpCMV-EGFP
お よ び ア デ ノウ ィルス ベ ク タ ー
Adv-EGFP
に よ るEGFP (enhanced-green fluorescence protein)
の 発 現強度は 、 細 胞 機 能 解 析装 置ArrayScan II System (Cellomics)
で イメージングし 数値化 し た 。 ま た 、EGFP
の 発 現 を蛍 光 顕微 鏡 観 察し 、 遺 伝 子導 入効 率 を算出 し た 。
細 胞 増 殖 測 定 細 胞 増 殖 測 定 細 胞 増 殖 測 定
細 胞 増 殖 測 定 ::::
細 胞増 殖 測定 試 薬
TetraColor One reagent (
生化学 工業)
を 推奨プ ロ ト コ ー ル に 従 い使用 し た 。2 2
2 2----3 3 3 3
セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イセ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ のセ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イセ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イのの 開 発の開 発開 発開 発中 性 溶 液 中で ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン と核 酸の両 者は 、結合 し複合 体 を形 成す る 。ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン と核 酸
(
プ ラ スミドDNA)
の複合 体 の形状は 、主に ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン の濃 度に よ っ て 規 定 さ れ 、 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン の濃 度の上 昇と と も に 、粒子状か ら繊 維状に 変 化 し た(
図図図図2 2 2 2----1 1 1a 1 a a a)
16)。 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン/
プ ラ スミドDNA
複合 体 の形状は 、デリバリー の 効 率 に 大 き く影 響す る と予想し 、293
細 胞(
ヒ ト胎 児腎 臓 由来形 質 転換細 胞株)
へ の 遺 伝 子導 入 効 率 を 調 べ た(
図図図図2 2----1b 2 2 1b 1b) 1b
16)。そ の結 果、ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン濃 度80 µg/ml
と し た と き 、直径 数百nm
の粒子 が形 成さ れ 、 最 も 効 率 良 く 細 胞 に導 入さ れ る こ と が わ か っ た 。 ま た 、 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン濃 度を80 µg/ml
以下に設 定 す る と 、複合 体 が形 成さ れ に く く な り 、 培 養 細 胞 へ の導 入効 率 が 低下し た 。(a)
(b)
図図
図図 2-1 アテロコラーゲンアテロコラーゲンアテロコラーゲンアテロコラーゲン とととと 核 酸核 酸核 酸 複 合 体核 酸複 合 体複 合 体複 合 体 のののの 形 成形 成形 成形 成 とととと 核 酸 導 入 効 率核 酸 導 入 効 率核 酸 導 入 効 率核 酸 導 入 効 率
(a) アテロコラーゲン (80, 200, 300 µg/ml) とプラスミドDNA (pCMV-EGFP, 100 µg/ml) の混合 により形 成 された複 合 体 の形 状 (緑 色,PicoGreen染 色) 16). (b) 293細 胞 におけ るGFP発 現 の比 較 .(a) の複 合 体 を293細 胞 に添 加, 7 日 後にGFP蛍 光 強 度を測定 し た (means ± s.d.,n = 4) 16).
アテロコラーゲン プラスミドDNA
300 µg/ml 200 µg/ml
100 µg/ml 100 µg/ml 100 µg/ml
80 µg/ml アテロコラーゲン
プラスミドDNA
300 µg/ml 200 µg/ml
100 µg/ml 100 µg/ml 100 µg/ml
80 µg/ml
アテロコラーゲン pCMV-EGFP
300 µg/ml 200 µg/ml
100 µg/ml 100 µg/ml 100 µg/ml
80 µg/ml
相対GFP蛍光強度
0 20 40 60 80
Fibrous Particle
アテロコラーゲン pCMV-EGFP
300 µg/ml 200 µg/ml
100 µg/ml 100 µg/ml 100 µg/ml
80 µg/ml
相対GFP蛍光強度
0 20 40 60 80
相対GFP蛍光強度
0 20 40 60 80
0 20 40 60 80
Fibrous Particle
Fibrous Particle
次 に 、ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン
/
核 酸の複合 体 を 、よ り簡 便に 効 率 よ く 培 養 細 胞 に導 入し 、核 酸の ハ イ ス ル ー プ ッ ト ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン を 可 能 に す る 方 法 を 検討し た 16,17)。従 来 、核 酸 導 入は 、あ ら か じ め 培 養 し た 細 胞 に 、核 酸 と 遺 伝 子導 入試 薬 の混合 物 を 用事調製し添 加す る 、 あ る い はウ ィル ス ベ ク タ ー を 作製し感 染さ せ る こ と で 行 わ れ て き た 。 し か し 、 こ の 方 法 で 、 多 検 体 の核 酸を導 入す る に は 、 多 大 な 時間と労 力を 要 す る 。 こ の煩 雑さ を 解消 す る た め 、 わ れ わ れ は 、 画 期 的 な核 酸 導 入方 法 を考案し た 。 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン と核 酸の複合 体 を マ ルチ ウェ ル プ レ ー ト のウェ ル に コ ー ティングし 、 そ こ に 細 胞 を播種 、 培 養 す る だ け で核 酸を導 入す る い わ ゆ るリバ ー ス ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 法 で あ る 。ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン/
プ ラ スミドDNA
複合 体 を 、 一般的 な あ ら か じ め 培 養 し た 細 胞 に滴 下す る 方 法(
滴 下法)
と 、 培 養 容器 の 細 胞接 着面 に コ ー ト し 、 そ こ に 細 胞 を播種 す る 方 法(
プ レ コ ー ト 法)
の 遺 伝 子導 入効 率 を比較し た と ころ、 プ レ コ ー ト 法(
リバ ー ス ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 法)
の 方 が 、 遺 伝 子導 入効 率 が 高 く(
図図図図2 2----2 2 2 2 2) 2
、 良 い再現性を示し た 。 こ のリバ ー ス ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 法 に 基 づ き 、 あ ら か じ め ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン と 個 々 の核 酸と の複合 体 を 、96
穴な ど の マ ルチ ウェ ル プ レ ー ト の 各ウェ ル に ア レ イ 化 し て お けば、 細 胞 を播く だ け で 、 多 検 体 の核 酸を短時 間で 同 時 に ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン す る こ と が 可 能 で あ る 。わ れ わ れ は 、ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン/
核 酸の複合 体 を ア レ イ 化 し た プ レ ー ト を 、「 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ 」と名 付け た 。「 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ 」 の 培 養終了後に は 、核 酸 導 入に伴う 細 胞 機 能 の 変 化 を 、既 存の 解 析装 置や各種測定 試 薬 を使用 し 解 析 す る こ と で 、 ハ イ ス ル ー プ ッ ト な 遺 伝 子 機 能 解 析 を 行 う こ と が で き る(
図図図図2 2 2 2----3 3 3)))) 3
。図 図 図
図 2-2 リ バーストランスフェクションリ バーストランスフェクションリ バーストランスフェクションリ バーストランスフェクション 法法法法 ののの 開 発の開 発開 発開 発
(a) 培 養中 の 細 胞 に ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン/核 酸 の 複 合 体 を滴下 す る滴下 法 と , ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン/核 酸 の 複 合 体 を 細 胞培 養ウ ェ ル底 面に プ レ コ ー ト し , そ こ に 細 胞 を播 種す る プ レ コ ー ト 法 によるトランスフェクション.(b) 293細 胞 のトランスフェクションにおける,滴下 法 とプレコート 法 の 比 較 . ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン/核 酸 の 複 合 体 (ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン 80 µg/ml,pCMV-EGFP 100 µg/ml) によるトランスフェクション 7 日 後のGFP発 現 (means ± s.d.,n = 4,*P
< 0.05).
GFP発現(cells/well of 6-well plate)
0 1,000 2,000 3,000 4,000
滴下法 プレコート法
*
GFP発現(cells/well of 6-well plate)
0 1,000 2,000 3,000 4,000
滴下法 プレコート法
GFP発現(cells/well of 6-well plate)
0 1,000 2,000 3,000 4,000
滴下法 プレコート法 0
1,000 2,000 3,000 4,000
滴下法 プレコート法 滴下法 プレコート法 滴下法 プレコート法
*
(a) (b)
トラ ンス フェ クショ ン 滴下法
プレ コ ート 法
細胞 を添 加 ア テ ロコ ラ ーゲ ン/核酸 複合体
培養中の 細胞
遺伝子発 現
リバース ト ランス フ ェクシ ョン
遺伝子発 現 トラ ンス フェ クショ ン
滴下法
プレ コ ート 法
細胞 を添 加 ア テ ロコ ラ ーゲ ン/核酸 複合体
培養中の 細胞
遺伝子発 現
リバース ト ランス フ ェクシ ョン
遺伝子発 現
図 図 図
図 2-3 セ ルトランスフェクションアレイセ ルトランスフェクションアレイセ ルトランスフェクションアレイセ ルトランスフェクションアレイ によるによるによるによる ハイスループットハイスループットハイスループット 遺 伝 子 機 能 解 析ハイスループット遺 伝 子 機 能 解 析遺 伝 子 機 能 解 析遺 伝 子 機 能 解 析
ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン と 核 酸 の 複 合 体 を マ ルチウ ェ ル プ レ ー ト に プ レ コ ー ト し て お けば, そ こ に 細 胞 を播 種す るだ けで リ バー ストラ ンスフ ェク シ ョン が 成 立 す るため, 多 検 体 の 核 酸 を 同時に ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン できる . 細 胞培 養 終 了 後,自動 化 細 胞 機 能 解 析装 置を使用 し , ハ イ ス ル ー プ ッ ト セ ル ベ ー ス ア ッ セ イ , マ ルチプ レ ッ ク ス セ ル ベ ー ス ア ッ セ イ を行い , 形 態 , ア ポ ト ー シ ス,増 殖 ,シグナル伝達などを指 標 に,遺 伝 子 機 能 を評 価する.
ア テ ロコ ラ ーゲ ン
複合体
プレ コ ート
マルチウ ェル プレ ー ト
細胞
ArrayScan (Cellomics) リバース ト ランス フ ェクシ ョン
自動化細胞機能解析装置 ハイス ルー プッ ト
セルベ ースア ッ セ イ マルチプ レッ クス セルベ ースア ッ セ イ
核酸
形態, ア ポト ーシ ス, 増殖, シ グナ ル伝達…
遺伝子機 能の評 価 ア テ ロコ ラ ーゲ ン
複合体
プレ コ ート
マルチウ ェル プレ ー ト
細胞
ArrayScan (Cellomics) リバース ト ランス フ ェクシ ョン
自動化細胞機能解析装置 ハイス ルー プッ ト
セルベ ースア ッ セ イ マルチプ レッ クス セルベ ースア ッ セ イ
核酸
形態, ア ポト ーシ ス, 増殖, シ グナ ル伝達…
遺伝子機 能の評 価
2 2
2 2----4 4 4 4
セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イセ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ のセ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イセ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イのの 特 長の特 長特 長特 長ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ に お い て 、 プ ラ スミド
DNA
量依存的 な 遺 伝 子 発 現 を 認 め た(
図図図図2 2 2 2----4a 4a 4a 4a)
16,17)。ま た 、本 セ ル ト ラ ンス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ に よ り 、 ア ンチセ ン スオ リ ゴ ヌク レオ チド
(
図図図図2 2
2 2----4b 4b 4b 4b)
やsiRNA (
第3
章で詳 述)
の ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 、 ア デ ノウ ィルス ベ ク タ ー
(
図図図図2 2 2 2----4c 4c 4c 4c)
の イ ン フ ェ ク シ ョ ン が 可 能 で あ っ た 16,17)。ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ と 、カ チ オン性 リ ポ ソー ム に よ る ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン を比較し た と ころ、カ チ オン性 リ ポソ ー ム に よ る 遺 伝 子 発 現 は
1-2
週間程度し か 持続し な い の に 対 し 、ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン に よ っ て導 入さ れ た 遺 伝 子 の 発 現 は50
日間以上継 続し た(
図図図図2
2 2
2----5a 5a 5a 5a)
16)。ま た 、PC12
細 胞 へ の 遺 伝 子導 入で は 、遺 伝 子導 入効 率 は 同程度で あ っ た が 、カ チ オン性 リ ポソー ム が強い 細 胞毒 性を示し た の に 対 し 、 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン は何ら毒 性を 持 た な か っ た
(
図図図図2 2 2 2----5b 5b 5b) 5b
。さ ら に 、 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ の保 存 安定 性を 調 べ た と ころ、 作製
8
週間 後ま で 、一定 の核 酸 導 入効 率 を保持 し 、 長期間 保 存で き る こ と を 確 認 し た(
図図図図2 2----5 2 2 5 5cccc) 5
。ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ の 培 養終了後、既 存 の 細 胞 機 能 解 析装 置、測定 試 薬 に よ る
96
穴、384
穴フォー マ ッ ト の 解 析 を 行 い 、核 酸 導 入に よ る 細 胞 機 能 の 変 化 か ら 、 遺 伝 子 機 能 を 解 析 す る こ と が 可 能 で あ っ た 。2-4
、2-5
に 、 遺 伝 子 機 能 解 析 実 施例を述べ る 。以下、 ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン セ ル ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン ア レ イ の特 長を ま と
解 析 が 可 能 で あ る 。
② 安定 な核 酸 導 入が で き 、再現性が 高 い 。
③ 遺 伝 子 を長期 発 現 さ せ ら れ る 。
④ 細 胞毒 性が 低 い た め 、 アポト ー シ ス な ど を誘発 さ せ る こ と な く 、 ノ イ ズの 少 な い 正 確 な 解 析 が で き る 。
⑤ 核 酸を導 入可 能 な状態 で ア レ イ上に長期間 保持 す る た め 、保 存に適す る 。
⑥ 既 存の 細 胞 機 能 解 析装 置、測定 試 薬 が使用 で き 、様々 な 解 析 のニーズ に 対応で き る 。
図 図 図
図 2-4 セ ルトランスフェクションアレイセ ルトランスフェクションアレイセ ルトランスフェクションアレイセ ルトランスフェクションアレイ によるによるによるによる 核 酸 導 入核 酸 導 入核 酸 導 入核 酸 導 入
(a) プラスミドDNA量依 存的 遺 伝 子 発 現 .pCMV-EGFP (最終 濃 度,0-100 µg/ml) と アテ ロ コ ラ ー ゲ ン の 複 合 体 を調 製し て ア レ イ を作 製し た .293 細 胞 に お け る ト ラ ン ス フ ェ ク シ ョ ン 7 日 後のGFP発 現 を測定 した
16)
. (b) アンチセンスオリゴヌクレオチド. FGF-4に対す る セ ン ス (1), ス ク ラ ンブル (2), ラ ン ダ ム (3, 4, 6), ア ンチセ ン ス (5) オ リゴ ヌク レ オチド (10 µM) と ア テ ロ コ ラ ー ゲ ン の 複 合 体 を調 製, ア レ イ を作 製し , 細 胞播 種 4 日 後の 細 胞 増 殖 を測定 した
16)
.FGF-4依 存的 に増 殖 するヒト精 巣 がん細 胞NEC8は、アンチセンスオ リゴ ヌク レ オチド で 増 殖 が 阻 害 さ れ た .一 方、FGF-4 と無関係に 増 殖 す る ヒ ト肝が ん 細 胞 HepG2 の 増 殖 阻 害 はみら れ な かった . (c) ア デ ノ ウ ィ ル ス ベ ク タ ー . ア デ ノ ウ ィ ル ス ベ ク タ ー (最終 濃 度,0-2 x 107 pfu/ml) とアテロコラーゲンの複 合 体 を調 製,アレイを作 製し,マ
相対GFP蛍光強度
20 40 60 100
プラスミドDNA (µg/ml)
0 0 20 40 60 80
相対GFP蛍光強度
20 40 60 100
プラスミドDNA (µg/ml)
0 0 20 40 60 80
1 2 3 4 5 6
NEC8 HepG2
0 50 100
細胞増殖阻害率(%)
ODN NEC8 HepG2
1 2 3 4 5 6
NEC8 HepG2
0 50 100
細胞増殖阻害率(%)
ODN NEC8 HepG2
2x104 2x105 2x106 2x107 0
アデノウイルス (pfu/ml)
0 20 40 60 80
相対GFP蛍光強度
2x104 2x105 2x106 2x107 0
アデノウイルス (pfu/ml)
0 20 40 60 80
相対GFP蛍光強度
(c)