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後縦隔腫瘍が疑われ,胸腔鏡下に摘出された肺分画症の1例 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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後縦隔腫瘍が疑われ、胸腔鏡下に

摘出された肺分画症の1例

市立甲府病院・外科 西村秀紀 榎本勝彦 五十嵐淳 加藤邦隆 村松昭 小田島弘明 内科 川口哲男 はじめに  肺分画症は正常の気管・気管支系とは交通を持たず、体循環系の異常動脈よ り血液供給を受ける異常肺組織の”mass”と定義され⑪、比較的稀れな疾患であ る。われわれは、後縦隔腫瘍の診断で胸腔鏡下に摘出術を行い、流入動脈の存 在及び病理所見から肺葉外肺分画症と診断した1例を経験したので報告する。 症例  症例:49歳、女性。  主 訴:胸部X線写真上の異常陰影。  家族歴:父が大腸癌、腹部大動脈瘤で手術を受けている。  既往歴:特記すべきことなし。  現病歴:1994年3月に咳を主訴に近医を受診し、胸部X線写真上の異常陰影 を指摘され、当院内科を紹介された。胸部CT写真で後縦隔腫瘍と診断され、 4月25日に入院した。入院時に自覚症状は認めなかった。  入院時現症:身長155cm、体重64kg、栄養状態良好、血圧120/70、脈拍数 60/分・整、表在リンパ節触知せず、呼吸音・心音に異常なし。  血液検査所見:全て正常範囲内。  胸部単純X線像(図1):心陰影と重なって長径約3cm、楕円形、境界明瞭 の腫瘤陰影を認めた。なお、1年前、2年前の検診時のX線写真でも全く同様 の所見で、大きさにも変化は認められなかった。  胸部CT像(図2):下行大動脈の背側、後縦隔に、扁平な腫瘤を認め、僅

かにenhanceされた(CT値10→33)。

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 胸部MRI像(図3a・b):左(図3a)は腫瘤のT2像であるが、大部

分は高信号域を示し嚢胞性部分の存在が疑われた。一方、右(図3b)はそれ より1cm尾側のT1像であるが、下行大動脈背側に血管が存在し、最初は半奇 静脈と考えたが、腫瘤への流入血管であった可能性が高い。  後縦隔腫瘍、neurogenic tumorもしくはcongenitai cystを疑って、4月 27日に胸腔鏡下手術を行った。第7肋間・中腋窩線上、第5肋間・前腋窩線上、 第9肋間・後腋窩線上の計3カ所よりトラコポート⑧を挿入しapproachした。 腫瘤は横隔膜より僅かに頭側の下行大動脈の壁側胸膜より発生する、山田IV型 ポリープ様で、大部分は嚢胞状であった。鉗子を掛けた際、被膜が破れてゼラ チン様のものが流出した。根部を電気メスで切離すると、動脈性の出血を認め たため、エンドクリップ⑧を3重に掛けて切離し摘出した。なお、流出静脈 は確認できなかった。また、可視範囲内では横隔膜ヘルニア等の異常は認めら れなかった。  摘出標本の肉眼所見(図4a・b):約5 crnの腫瘤で、左約1/3が充実性、 残りは嚢胞性であった(図4a)。左端が切離部で、写真でははっきりしない が、径1∼2mmの血管が存在した。割面(図4b)で充実性の部分は軟骨様で あり、嚢胞性の部分は多房性で薄い被膜のみを認めた。  病理組織学的所見(図5a・b):嚢胞性の部分(図5a)は、拡張した細 気管支肺胞成分が主体であり、充実性の部分(図5b)は、気管支腔を中心に 気管支軟骨が形成され、気管支腺・平滑筋成分が認められた。  病理学的所見ならびに流入動脈の存在から、肺葉外肺分画症と診断した。  術後経過は良好で、術後5日目に退院した。 考察  肺分画症は、1)正常肺とは別の異常な肺組織の存在と、2)異常肺組織が 大循環系から血液供給を受けていることを特徴とする先天性疾患で、1946年に Pryce2)が命名した。肺葉内と肺葉i外とに分類されるが、石原ら3)の集計241 例中、肺葉内は203例、肺葉外は38例で、肺葉外肺分画症は比較的稀な疾患で ある。  肺葉外では合併奇形を伴うことが多いとされ、集計では45%に合併奇形を認 め、その多くは横隔膜ヘルニアであった。しかし、本症例では横隔膜ヘルニア 一2一

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や胸郭変形などは認められなかった。肺葉外の発生部位は左側が約85%と圧倒 的に多く、横隔膜上に多い傾向にあり、本症例の発生部位は典型的と言える。 発見動機は、肺葉内が呼吸器感染症によるものが大部分であるのに対し、肺葉 外では合併奇形によるものが37%、検診発見例が28%であった。分画肺に流入 する動脈は、大部分が大動脈から分枝しており、術前に確定診断を得るために は大動脈造影が必須であり、手術の安全のためにも必要であるとされる。本症 例ではMRIで流入動脈を疑わせる血管を認めており、大動脈造影を行うべき であったと反省している。流出静脈は、肺葉内では95%が肺静脈に還流するこ とが確認されているのに対し、肺葉外では本症例と同様に明らかでない症例が 半数以上を占め、確認された症例でも半奇静脈・奇静脈への還流例は2例のみ であった。治療は、ほとんどの症例で手術適応ありと判断されているが、非手 術例の予後報告がなく、本症例のような無症状例に対する手術については、今 後の検討が必要と考えられた。 結語  後縦隔腫瘍の診断で胸腔鏡下に摘出術を行い、流入動脈の存在及び病理所見 から肺葉外肺分画症と診断した1例を報告した。 文献  1)  Sade RM, Clouse 「寸 and El川s FH : The spectrum of pu lmonary seques七ra七ion. Ann Thorac Surg, 18 : 644−658. 1974  2)  Pryce DM : Lower accessory pulmonary ar七ery with int ralobar seques七ra七ion of lung: A repor七 〇f seven cases. J Path Bac七, 58 : 457− 467, 1946  3) 石原重樹,堤 正夫,富木経三,石川創二,斉木茂樹,山中 晃:肺葉 内肺分画症,肺葉外肺分画症の本邦報告例241例の分析とわれわれの経験した 4治験例.胸部外科,38:105−111,1985

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図1 ぷ ※ 図2

図3a・b

一4一

(5)

図4a

図4b

ぼ灘繋鱗iiξ1雛該ii…隷i灘i灘灘難該i聾

参照

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