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不妊治療にかかわる看護者のストレスと対処

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Academic year: 2021

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(1)J . J p n . Ac a d . Mi d . , Vo l . 1 6 ,No . 1 ,p p . 2 4 3 4 ,2 0 0 2 . 8. 原. 著. 不妊治療 にかかわる看護者の ス トレス と対処. St r e s s o r sa ndc o p i ngme c ha ni s ms ● o fnu r s e sc a r l ngf o rp a t i e nt s ● und e r go l ngt r e a t me ntf o ri nf e r t i l i t y 森. 明. 子 ( Aki koMORI ) * 1. 有. 森. 直. 子 ( NaokoARI MORI)*1. 村. 本. 淳. 子 ( J unkoMURAMOTO)*2. 要. 約. 本研究 は,不妊治療 にかかわ る看護者 のス トレス と対処 の実態 を明 らかにす ることを目的 とした。不 妊治療実施施設で不妊患者の看護 にかかわ っている看護者 を対象 とした。9 6 3 名 の看護者か ら有効 回答 を得た不妊看護 に関す る自記式質問紙2 4 項 目中, 2項 目の記述データの内容分析 を行 った。ス トレスに 関す る記述 を した者 は4 0 9 名,対処 に関する記述 をした者 はその うちの3 6 5 名であった。 うち, ス トレス. 1 名であった。看護者のス トレスは 5カテゴ リ ・1 9サ 状況 に対処 していない ・対処で きない とした者 は5 ブカテゴ リに分類 され,中で も 「 不妊治療の提供 システム と関連 す るス トレス」の頻度が最 も高かっ た。看護者のス トレスの多 くは生殖医療 の診療 システム上 の問題,不妊看護 の分野の未成熟 さ,そして 生殖医療の倫理的問題 な どと関連 していた。看護者の対処 は 6カテゴ リ ・2 8サブカテゴ リに分類 され, 中で も 「 不妊看護 の性質 と関連す る対処」の頻度が最 も高かった。看護者の対処の多 くは看護活動 ・行 為 その もので行われていた。 キーワー ド 生殖医療,生殖補助技術,不妊看護,看護職,ス トレス,対処. Abs t r ac t. Theai m oft hi sr es ear c hwast oi de nt i f yma j orS O ur C e SOfs t r e s sandcopl ngmeChani s ms ofnu r s e sc ar i ngf orpat i e nt sunde r goi ngt r ea t me ntf ori nf e r t i l i t y.Al l9 63nur s e s( r e gi s t e r e d nur s e s ,publ i che al t hnur s e s ,a ndnur s emi dwi ve s )wor ki ngi nc e nt e r spr ovi di ngt r eat mentf or i nf e r t i l i t yi nJ apanr e c e i ve dq ue s t i o nnai r e s; 4 0 9oft he9 6 3i de nt i f i e da ndde s cr i be ss our ce sof s t r e s s; o ft he s e,3 6 5de s c r i be dt he i rc o pi ngme c ha ni s ms . *1 聖路加看護大学 ( StLu ke ' sCo l l e g eo fNu r s i n g ) * 2三重県立看護大学 ( Mi ePr e f e c t u r a lCo l l e g eo fNu r s i n g). 2 0 0 2 年 2月1 4日受付 2 0 0 2 年 6月1 0日採用 2 4. 日本助産学会誌. 第1 6 巻第. 1号 ( 2 0 0 2. 8 ).

(2) 不妊治療にかかわる看護者のストレスと対処. S o u r c e so fs t r e s swe r ec l a s s i f i e di nt of i veca t e gor i e sand19s u bC at e gor i e s .Themos tf r e q u e n t l yi d e nt i f i e ds t r e s s orwast hes ys t e mf o rpr o vi di ngi nf e r t i l i t yt r e at me nt .Ot he rf r eque nt l y me n t i o ne ds t r e s s o r swe r epr o bl e msi nt hei mmat u r i t yo ft hef i e l d,ande t hi c alp r obl e ms . S i xc o pi ngs t r a t e gi e swi t h2 8s u bc a t e go r i e swe r ei de nt i f i e d.Fi f t yO nenur s ess ai dt ha tt he y s i mpl yde ni e dt he i rs t r e s so rwe r eunabl et ocopewi t hi t .Fr o mt her e s pons esi ts e e mst hat n u r s e sa p pe a rt oco pebe s twi t hnat ur alt r e a t me nt sf ori nf er t i l i t y.Manyi ndi cat e dt hatt hei r c o p i n gwa ss uppo r t e dbybe i ngabl et oe nga gei nnu r s i n gac t i vi t i e sa ndbe ha vi o r . Ke yWor ds Re pr od uc t i veMe di c i ne,Re pr oduc t i veTe c hnol o ie g s ,I nf e r t i l i t yNur s i ng, Nur s i ngPr o f e s s i o na l ,St r e s s ,Co pi ng 2.データ収集方法. Ⅰ は じめ に. 不妊 の患者の看護 に関連 す るス トレス とその対 処 について自由記述 して もらったデータを分析の 対象 とした。. 生殖補助技術 の開発 ・普及 とともに, これ らに よる不妊治療 を実施 す る医療施 設 は漸増 してい. 0' Mar a( 1 9 9 5 )の看護専門職 の 4つの役割機. る。不妊治療 を受 ける患者 ・家族 に対 し,施設内. Advoc ac y) 「共 同 ・協 調 能 「 代 弁 ・代 理 (. 」. 先行研究 において,看護役割機能の因子の一部. ( Col l a bor a t i on) 」「調整 (Coordination)」「ネ ッ トワー キ ング ( Ne t wor ki ng) 」 を参 考 に作 成 し. 「 他職種 との共同」や 「患者 の相談 にの る」な ど. た不妊の看護 にお ける役割機能,看護上のス トレ. と,不妊治療 にかかわ る看護者の もつス トレスの. スおよび対処 を含 む看護,患者 ・看護者 自身の価. 程度は相関関係がみ られ, これ らの役割 を果た し. 値観等 に対する意識, そして看護者 の属性 な ど計. ていると評 価 した者 は どス トレスが 高 か った. 2 4 項 目で構成 された無記名 ・自記式 質 問紙 中,. ( 蘇,1 9 9 8 ) 。すなわち,看護者のス トレスは不妊. ` ` 不妊 の患者 の看護 と関連 す るス トレスや ジ レン. 看護におけるケアの質 と関連性 のある重要 な視点. マ"がある と回答 した者 に対 し 「それ は どの よ. であると思われた。. うな ものか」お よび 「それ に対 して どの ように対. で行われている看護の現状 ・ 課題 は何であろうか。. ,. 本研究の目的 は,不妊治療 にかかわ る看護者の. 処 しているか」の 2項 目の 自由記述 をデータ とし た。. 意識するス トレスに焦点 を当て,看護者のス トレ スとこれに対す る対処の実態 を明 らかにす ること. 3.調査の手順. である。 ここでい うス トレス とは,不妊の患者の. 8 巻 生殖医学登録参加実施施設一覧 (日産婦誌 4. 看護上,看護者 によってス トレス とみなされた事 柄をさし,そのス トt /スはジレンマを含む もの と. 1 2 号,1 9 9 6 年1 2月,pp. 1 1 9 5 1 1 9 6 )お よ び 出 産. 定義する。不妊治療 には生殖補助技術 による治療. 情報誌 に掲載 された不妊治療施設 の リス トを参照. も含まれ,看護者が 自覚す るス トレスのなかには. し,全国都道府県を網羅す るように して,病院お. さまざまなジレンマによって引 き起 こされ るもの. 6 4 か所 に依頼 した。調査 に関す よび診療所 の計 2. が含まれることが予測 されたため, ジレンマ をス. る説明 を文書で依頼 し,承諾の得 られた施設 に質. トレスの くくりの中で とらえるもの とした。. 問紙 を郵送 した。 データは匿名性 を厳守す ること を約束 した。研究の遂行 にあたっては倫理的原則. Ⅰ Ⅰ 方. 法. を遵守 した。調査期間 は1 9 9 7 年1 0月か ら同年11月 までであった。. 1.対 象 不妊治療実施施設で不妊 の患者の看護 にかかわ っている看護者 を対象 とした。. 4.データ分析方法 不妊の患者の看護 に関連 するス トレスお よび対 処 について,それぞれ 自由記述 された文章 の内容. 日本助産学会誌. 第1 6 巻第. 1号 ( 2 0 0 2. 8 ). 2 5.

(3) 不妊治療にかかわる看護者のストレスと対処 分析 を行 う。 まとま りのある意味の とれ る最小 の. ス」 と 「 不妊看護の性 質 と関連 するス トレス」が. 文 もし くは文節 を分析 の単位 として抽 出 し,分類. 2割 ずつで,合わせ る とお よそ 8割 に達 した。. し, カテゴ リ化 をはか る。 カテゴ リに分類 された. 1 )不妊治療 の提供 システム と関連 す るス トレス. 内容 の頻度 ( 件数) を出す。信頼性 の確保 のため. ①患者 とかかわ りを もつための時間 ・場所 ・人手. に,不妊看護 の研究歴が あ り, 内容分析 の経験 を. がない :" 相談 にのれ る時間 の余裕,部屋がない' '. もつ研究者 3名で意見 の一致 をみ るまで協議 を重. "コ ミュニ ケー シ ョンが取 れない うちに退院 して. ね,決定 した。. しまう""多数の患者 に対 し,看護職 が少 ないの で十分 なかかわ りがで きない" な ど,入院期間の. 果. Ⅰ Ⅰ Ⅰ 結. 短 さ,話 をす る場所 のな さ, マンパ ワー不足で多 忙であ るな どによ り,不妊 の患者 とのかかわ りが もてない とい うものであった。. 1.対象の背景. 1, 8 9 8 部配布 し,個別郵送 で9 6 3 名 ( 5 0. 7 %)よ. ( 塾妊産婦がい る こ とで気 を遣 う :" 周 りが妊婦 な. り有効 回答 を得た。 うち, ス トレスに関す る自由. ので気 を遣 う' '" 胎 児心音 を聴 いた り,赤 ちゃん. 記述 の回答者 は4 0 9 名 ( 4 2. 4%) ,対処 に関する回. を見た りして患者 が悲 しいのではないか とい う思. 答者 は3 6 5 名 ( 3 2. 6 %)で あ り, ス トレス 自由記. いが あ る""不妊 と産科 の どち らともケア しに く. 述 回答者 のなか に対処 自由記述 回答者 の占める割. い" な ど,不妊 の患者 を妊産婦のいる同 じ外来や. 合 は8 9. 2 %であった。対象の背景 を表 1に示 した。. 病棟 でケアす る ことは,看護者 に とって もス トレ. 対 象 は助産婦が多 く 6割 を占め,准看護婦 は最. スになっていた。. も少 な く 1割 であった。大学病院 と一般病 院の勤. ③ プライバ シー を保護 しに くいことで気 を遣 う . I. 務者 で 9割 を占め,診療所 の勤務者 は約 1割 に と. "プ ライバ シー保護 の点 か ら,言葉 か けや対応 に. どまった。外来勤務者が 6割 を占めていた。. 気 を遣 う"" 授精台が カーテ ン 1枚 で仕切 られて いるだけでプライバ シーが守 られ ない"" パー ト. 2.看護者が もつ ス トレス. ナーのプライバ シーの対応 を も考慮 した個別の場. 看護者 のス トレスに関す る自由記述 を表 2に示. 所がない" な ど,不妊治療 ゆえに, ことにプライ. した。出現率 は 「不妊治療 の提供 システム と関連. バ シー を保護 す る必要 を理解 してはいるものの,. す るス トレス」がお よそ 4割 を占めて最 も高 く,. 実際 は行 いに くい現状 を表 していた。. 次の 「 患者 ・家族 との対人関係 と関連 す るス トレ. ④不適切 な診療体 制 で対 応 が難 しい :" 医師が患 者 との間でのみ時間外診療 の予約 を取 り,病棟で. 表 1 対象者の概要 年 齢. 平均 3 4 , 7 歳 N-4 0 9 ( Re n g e 2 2 6 5 ,S D-8 . 7 ). 助産婦 現在働いて いる資格 看護婦 准看護婦. 勤務樋設. 行 うので,事務 当直,看護職,薬局 な ど振 り回さ. 病 大学病院 院. 2 5 3 人( 6 1 . 8 %) 1 1 6 人( 2 8 . 4 %) N-4 0 9 4 0 人(9 . 8 %) 2 1 6 0 2 5 人( 4 9 0 . 4 3 %) N-4 0 9. れ るよ うな印象が強 い""採精 室 が ない ことが問 題' '" 体外受精専用 の処置室が な く安 らいだ雰囲 気 が ない"" 設備面が不十分で患者 が辛 い思 いを している' 'な ど,時間外診療 を必要 とすることや 従来 の設備仕様 の ま まで不妊 治療 を提供 す るた め,対応 しに くい とい うものであった。 ( 参異 なる看護 ニーズをもつ患者間で優先度が括抗 す る :"重症 患者 がい る と不妊 患者 に手 をか ける 比重 が軽 くなって しまう""手術 患者や末期 患者. 勤務部署. 病 棟. 1 2 7 人( 3 1 . 1 %) N-4 0 9. 病棟 外 来 の両方 .外来 2 4 1 人( 5 1 8 0 . 9 0 %). に比 べ重症感 が少 な いた め にか かわ りが薄 くな る"な ど看護の重要性 は意識 しなが らも現実 には 優先度が低 くな りがちであること, その一方で, " 不妊 の患者 か らの電話 に応対 す るの に他 の患者 への看護 を中断 しなけれ ばな らない"" 急 な体外. 2 6. 6 巻第 1号 ( 2 0 0 2 . 8 ) 日本助産学会誌 第1.

(4) 亡二 二 二 二 二. 不妊治療にかかわる看護者のストレスと対処 表 2 不妊治療施設の看護者のス トレスの内容. ( 4 8 4 件 /4 0 9 人) 件数 .i. カ テ ゴ リ. %. 5 9 7 2 4 3 1 5 1 0 1 8 1. 1 4 . 4 1 5 8 . 0 6 3 . 6 2 . 4 4 4 . 2. 4 3 9 1 1 9 9 9. 1 0 9 . 0 5 4 . 6 2 4 . 2. 5 2. 1 2 . 7. 禁 讐 の性質と関連する 芋蔓冒貢芸≡冨喜喜軍芸蓋皇子…≡三三 じる 小 計. 三 日 9 3. … 2 2 . 7. 自分の学習 .力量の不足を感 じる 看護者個人の背景 と関連す 自分 と価値観の異なる患者を看護することが難 しい るストレス 結婚 .妊娠など同性としての経験が看護に影響することへの懸念 小 計. 3 3 4 9 7 6. 8 . 0 . 3 2 . 2 1 8 . 5. 1 5. 3 . 6. 4 9 6. 2 0 1 , . 4 2 9. 妊産婦がいることで気を遣 う 不妊治療の提供システムと 患者 プライバ とかかわりをも シーを保護つための時間 しにくいことで気を遣 .場所 .人手がない う 掲逮するストレス 不適切な診墳体制で対応が難 しい 異なる看護ニーズをもつ患者間で優先度が措抗する 小 計. 患者 . 家族との対人関係と 患者の苦悩 患者の気質に対する .負担を直に感 不快さじる 常連するストレス 家族関係に対応するのか難 しい 小 計 妊娠不成立時 .長期不妊の患者に対する看護か難 しい. 医師と患者の強い関係のために関わりにくい. チ-ム関係やメン と関連するス トレバ十ス. 不妊治樺 芸雷雲買芸完 .医師と患者の間の調整が難 憲 妄志 己; ■連携が不足 しい している. 受精の介助 を行 うこ とは,他 の入院患者 を受 け持. る ことの難 しさが あ る" な ど, 患者側 の特性 ゆえ. ってい る上 に仕事量が増 えて ス トレスだ' 'な ど,. に不快 な思 い,対応 の難 しさを感 じる と表明 して. 優先 して行 わな けれ ばな らない こともあ る ことを. いた。. 示 していた。. ( 卦家族 関係 に対 応 す るのが難 しい :"夫婦 ・家族. 2 )患者 ・家族 との対人 関係 と関連 す るス トレス. 間 の ことを聞 くこ とで これ らの関係 が うま くいか. ①患者 の苦悩 ・ 負担 を直 に感 じる :` ` 通 院 と仕事 の. な くな らな い か が 心 配 で十 分相 談 に の れ な い". 狭間で苦 しむ人 を見 て い る こ と' '"世 間 はなぜ 不. "夫が治療 に消極 的 な とき, どの よ うに指 導 して. 妊の人 を傷 つ ける言動 をす るの か と思 う" "治 療. い けば よいのか""患者 は子 が い な くて もよい と. 費が高 いので何 とかな らないか" な ど,患者 の苦. 考 えて い るの に周 囲 の人 が 望 ん で い る と き" な. 悩や負担 を目の当た りに してい るこ と, いたた ま. ど, 患者 と家族 へのかかわ りの難 しさを示 してい. れない気持 ち にな る こ とな どを示 していた。. た。. ②患者 の気質 に対 す る不快 さ :" 体 外 受精 の回数. 3)不妊 看護 の性質 と関連 す るス トレス. を重 ね る うちに, だんだんわが ままにな る患者へ. Q) 妊娠不成立 時 ・長期 不妊 の患者 に対 す る看護 が. の対 応 に不快 な思 い をす る""あ ま り神 経 質 だ と. 難 しい :" 体 外 受精 が うま くい か なか った ときの. 接 していて疲 れ る' ‥` 独特 の気 質 が あ り,対 応 す. 看護 が課題 で あ る' '"妊 娠 につ なが らな い ケー ス. 日本助産学会誌. 第1 6 巻第. 1号 ( 2 0 0 2. 8 ).

(5) 不妊治療にかかわる看護者のストレスと対処 の精神状態 をフォローす るタイ ミングの はか り方. ことがな く十分 に思いを汲んであげられているか. が難 しい' '"少 しの可能性 に も賭 けたい思 いや あ. 不安"な ど,個人の経験が患者理解や患者の心理. きらめたい とい う思い をもつ患者 にどのような対. に影響す ることを気 にか けていた。. 応が よいのか考 えさせ られる' 'など,不妊の患者の. 5 )チーム関係やメンバー役割 と関連するス トレス. 悩みに対する具体的な看護の難 しさを表 していた。. ( ∋医師 と患者 の強 い関係 のためにかかわ りに く. ( 参精神面 を個別的に看護 す る ことが難 しい :` ` 患. い :"患者 と医師 との間だけで診療 ・治療が進み,. 者が求めるケアは個々 に違 うような気が して難 し. あ ま り看護者が入 り込 めない"…医師 と密接 な結. い' '" 他人 に相談 しに くい ことなので精神面 の看. び付 きがあ り,看護者 に何 を期待 しているのか把. 護が大切 であるが対応 の兼 しさを感 じる"な ど,. 握 しに くい"な ど,患者 一医師関係 ゆえにかかわ. 精神的な支援 に対する患者個々のニーズが高いに. りに くい とい うものであった。. もかかわ らず応 えきれない現状 を示 していた。. ( 参医療者間のコ ミュニケーション ・連携が不足 し. ③看護 の方法 ・ 範囲がわか らない :"不妊の患者の. ている :"医師 一看護者の連携が少ない"" 外来-. ケ アが はっ き りつか めず,何 をすべ きか 日々悩. 病棟の連絡が うま くいかず患者 に迷惑がかかる". む""どの ように声 をか けた らよいのかわか らな. "医師間の コ ミュニケーシ ョンが不足 している". い"" 訴 えの少 ない患者 に どこまで踏 み込 んで よ. "医師 を含 めたカンファレンスがな く患者 の背景. いのかわか らない"な どであ り,不妊看護 の実践. や治療方針が把握 しに くい"な どがあった。. がわか らないために踏 み とどまっているというも. ③医師の治療 方針 に疑問 を感 じる :" 医師 の中に. のであった。. は妊娠すればよく, その後のフォローをしない人. ④ リスク ・倫理的問題への懸念 ・責任 を感 じる :. が い る"" 治 療 や検 査 の適 応 に疑 問 を感 じる". …重症 の卵巣過剰刺激症候群患者の看護 に不安 を. " 患者のニーズ と治療 方針が合致 していない"な. 感 じる"` ` 治療や副作 用 に関す る質問や問い合せ. どが看護者のス トレスになっていた。. に対 し,的確 に答 えなければな らない ことに責任. ④不妊治療 ・医師 と患者 の間の調整 が難 しい :. を感 じる""多胎妊娠 への減数手術 が あ るが合法. …医師の患者 への説明が難 しす ぎて患者 は看護婦. 的 には認 め られていない こ とで ある"` ` 妊 娠 は喜. に聞いて くる""医師か ら説明 を聞いているはず. ばしいが,多胎妊娠の管理 と未熟児出産後 の管理. の患者 に質問され,同席 していないので医師に確. がたいへんである" とい うものであった。. 認 に行 くと, さっき説明 した と言われ,間を行 っ. 4)看護者個人の背景 と関連 す るス トレス. た り来た りして しまう""患者 の意見や要望が医. ( 彰自分 と価値観 の異なる患者 を看護す ることが難. 師に伝わ っていない様子で患者 に不満が残 ってい. しい :" 子 を熱望 す る気持 ちはわか るが治療 内容. る"な ど患者 と医師 との間 をつな ぐ調整の役割遂. がエ スカ レー トして しまって よいのだ ろ うか". 行上のス トレスがあった。. …子 をもっ こと以外 に生 き方があ る と考 えるので. 3.ス トレスに対 す る看護者の対処. その ことに必死 になるの は どうか と思 う"" 個人 的な価値観が違い看護 に限界 を感 じる"な ど,香. 看護者 の対処 に関する記述 を表 3に示 した。出. 護者個人の価値観 とのジレンマであった。. 現率 は 「 不妊看護 の性質 と関連する対処」が最 も. ② 自分の学習 ・力量の不足 を感 じる :" 不妊治療 に. 高 くおよそ 4割 を占め,次の 「 不妊治療の提供 シ. ついての知識が浅 く,患者 に聞かれて も答 えられ. ステム と関連す る対処」 を合わせ ると 6割 を超 え. ない"" 勉強不足で患者 の満足 のい く対応が で き. た。「 対処 していない ・で きない」 は 3番 目に多. ない"な どが看護者 自身のス トレスになっていた。. く,その回答者 は5 1 名 ( 1 3. 9%)いた。. ③結婚 ・妊娠な ど同性 としての経験が看護 に影響. 1 )不妊看護の性質 と関連する対処. す ることへの懸念 :" 未婚 のため不妊 か どうか も. ( ∋患者 の話 を聴 き, コ ミュニケー シ ョンをはか. わか らず ほん とうにわかってあげ られないのでは. る :患者相談の場 な どシステムの有無 にかかわ ら. と思 う' '" 妊婦 の身で対応す るのが患者 の気持 ち. ない通常の診療の場で対話 を もとうとする対処が. を考 えると申 し訳 ない気 がす る' '"不妊 で 悩んだ. み られた。. 28. 日本助産学会誌. 第1 6 巻第. 1号 ( 2 0 0 2. 8 ).

(6) 不妊治療にかかわる看護者のス トレスと対処. 表 3 ス トレスに対 する看護者の対処 の内容 カ テ ゴ. 件数. リ. 2 0 1 3 1 0. 5 . 4 3 . 5 2 . 7. 7 1 0 7 4 6 4 2 1 1 4 7. 2 1 . 7 9 2 0 . 2 1 . 6 1 . 0 0 . 5 0 _ 2 4 0 . 2. 1 3 1 0 9 4 5 7 3 8 7. 3 . 5 2 . 7 2 . 4 1 2 . 3 1 . 9 0 . 8 2 3 . 8. 5 1. 1 3 . 9. メンバーと共に学び合 う 医師と メンバ-間のコミュニケーション 患者間のコ ミュニケーションを円滑にするよう をはかる 介入する 他施設と連携 しながら対応する 医師に説明 してもらう 小 計. 1 0 2 3 8 4 2 4 7. 2 . 7 2 6 . 3 1 1 . 0 0 . 5 1 2 . 8. さまざまな価値観を患者 に伝える 患者の価値観を尊重する 自己研鎖を積む 価値観を区別 し,割 り切 る 不妊に関する啓発的行動をとる 小 計. 7 1 5 6 4 2 3 4. 1 . 9 4 1 . 6 1 1 . 0 0 . 5 9 . 3. 5 6. 1 . 3 I . 6. 患者の意向 .希望に添 う リラックスし,話 しやすい雰囲気を作る 初診時,入院時,出会 った時に情報収集する. 不 る対処 妊看護の性質と関連す. 不 と関連する対処 妊絹 の提供システム. 検査 患者のそばにいて,一緒に考える .治療について説明する 患者の話を聴き,コミュニケーションをはかる 希望をもつように励ます 診察 .治療の受け方,治療中の生活について助言する 処置に伴う苦痛の軽減をはかる 看護研究する 小 計. プライバシーを保護する 診療 .看護体制をつ くる 患者 とかかわりを もつ時間をつ くる 部屋 .場所を配慮する 患者にシステムについて予め説明 し,理解を求める 待ち時間を短縮する配慮をする 小 計. 対処していない.対処できない. チーム鴎係やメンバー 割と関連する対処. 看護者傭人の背景と関連 する対処. 患者 と綿藻する .家族対処 との対人関係. ( 3 7 7 件/ 3 6 5 人) %. 夫 .家族とコミュニケーションをとり,サポー トを強化する 深入 りしない,避ける. ②患者 の意 向 ・希 望 に添 う :患者 中心 の対応 を し. 配慮 す る とい う対 処 を して いた。. ようとす る対処 が み られた 。. ④ 初診 時 ,入院時 , 出会 った時 に情 報 収 集 す る :. ③ リラ ック ス し,話 しや す い雰 囲 気 をつ くる :. " 初 診 患者 の対 応 は問診 か ら次 回 の説 明 まで 同 じ. " 話 しか けて み る' ‥` 気持 ちの リラ ックスの しか た. 看 護 者 が行 うよ うにす る" "初 診 時 , 患 者 の気 持. を患者 と話 し合 う' '" 待 ち時 間 な どに こち らか ら. ち をで きるだ け引 き出す よ うに して い る' '"入 院. 挨拶 し, 治療以外 の話 を してみ る" な ど, 患者 の. 時 の アナ ムネ を綿 密 に とる' 'な ど,初 回 のか か わ. リラ ックス を促 し, 患者 が話 を しや す くな る よ う. りを大 切 に扱 お う とす る対 処 が み られた。. 日本助産学会誌. 第1 6 巻第. 1号 ( 2 0 0 2 . 8 ).

(7) 不妊 治療 にかかわ る看護者 の ス トレス と対処. ( 亘検査 ・治療 について説明す る :" 説明書 を渡 し,. 治療 に関す る情報提供,仲間づ くりを目的 とした. 検査や注射 の説明 をす る' '"治療 内容 の説明 を十. 不妊教室の設置 を医師 に打診 してい る"` ` 不妊専. 分 にす る""質問 に誠意 をもって答 える"…患者の. 門 に診療の介助 にあた るナースが配置 され るよう. 知識が正 しくない ときは修正す る' 'な ど,説明 を. になった"な ど, システムづ くりによる対処であ. 充実 させ ようとする対処がみ られた。. った。. ⑥ 患者 のそばにいて,一緒 に考 える :"なぜ子 ど. ④患者 とかかわ りを もつ時間 をつ くる :"で きる. もが欲 しいか,子 どもは自分 に とって どれだけ必. だ け時間 をつ くる努力 をす る' '" 相談の時間をと. 要か,一緒 に考 えるように してい る""同性 とし. るようにしている"な ど,看護者個人のケアに患. ての立場でそれぞれの患者の問題 を共 に考 える姿. 者 とかかわ りをもつための時間枠 を設定すること. 勢でいたい" な ど,人 として寄 り添い,一緒 に考. による対処であった。. えようとする対処がみ られた。. 6) システムについてあ らか じめ説明 し,理解 を求. ( ∋希望 をもつ ように励 ます :" 焦 らず希 望 を捨 て. める :" 妊婦 と同 じ病棟 に入院 す ることについて. ない こと' '"次回 もがんば りま しょうと励 ます' '. 入院時 に説明 とおわびを入れている"" 検査 ・治. な ど,治療 とその成果 に関す る患者 の希望が失わ. 療前 に説明 し,明確 に伝 え,承諾 を得 る""医療. れないようにかかわ りをもつ対処がみ られた。. 者側 として, して ほ しい点 を話 す ように してい. ⑧診察 ・治療 の受 け方,治療中の生活 について助. る' '" 規則 を守 るよう指導する""約束 をした時間. 言す る :"質問 したい ことをメモ に書 いて くる と. を守 るよう注意す る"な ど,事前の説明でシステ. よい こと, ( 看護者 に答 え られ ない ことは)診察. ムの了承 を得 るか, または患者側 に治療や診療 シ. 時 に聞 いてみる とよい ことな ど伝 える' '"自分 自. ステム に合わせ るよう,求 めることで対処すると. 身の意思,夫 との話 し合 いを大切 にす るように伝. い うものであった。. える' '" 子宮内膜症 を発展 させ ない ような 日常生. ( 参待 ち時間 を短縮す る配慮 をす る :" 予約票 を作. 活 の指導 をす る' '"治療 において,患者 が生活設. 成 し,待 ち時間の短縮 に努 めている' '"医師 と相. 計 を立 て られ るよ うに と考 えて看護 す る"で あ. 談 して待 ち時間の短縮 に心が けている"な どであ. り,患者 ・家族の対処能力やセル フケアの強化 と. った。. い う視点での働 きかけによる対処 を認 めた。 ⑨処置 に伴 う苦痛 の軽減 をはか る :" 体外受精 な. 3)対処 していない ・対処で きない "何 もしていない"` ` 何 も努力 していない' '" 対. どの介助 で は痛 みに気遣 う"" 人工授精 時 に足袋. 処で きない"な どとす る対処であった。. を用 い,配慮す る"であ り,診療現場でみ られ る. 4)チーム関係やメンバー役割 と関連 する対処. 患者 の心身の苦痛 を軽減す る対処であった。. ( 丑メ ンバ ー間の コ ミュニケー シ ョンをはか る :. ⑩看護研究す る :"ア ンケー ト調査 を行 い,患者. "医師や外来 との連携 を密 にす るため定期 ミーテ. の苦悩や看護 に関す る意識 を知 り, ようや く正面. ィングをもつ"" 対応やケアについて医師 と相談. か ら患者 と向 き合 うことがで きるようになった". す る""医師に要望 を出す"" 診察の場面 に立ち会. であ り,研究活動 による対処であった。. い,医師か ら情報 を提供 して もらう""ヶ-スカ. 2 )不妊治療の提供 システム と関連 す る対処. ンファレンスを行い,意見交換す る"などの対処. ①部屋・ 場所 を配慮す る :"説明な どの場所の工夫. であった。. をしている"" 妊婦 と同室 にな らない ように配慮. ② メンバー と共 に学 び合 う :…先輩か らア ドバイ. す る"な どの対処であった。. スをもらう"…経験年数の多い主任,婦長 に相談. ② プライバ シー を保護 す る :"同室者 が い る とき. にのって もらってい る"" 仲間 と意見交換する". にプ ライバ シー に関す る ことは聞か ない""プラ. "医師 と勉強会 を開 く"などの対処であった。. イバ シーに触 れる話 になるときは必要時,席 をは. ③医師 と患者間のコ ミュニケーシ ョンを円滑にす. ずす ようにしている" な どの対処であった。. るよう介入す る :" 治療 に関 しては医師 との話 し. ③診療 ・ 看護体制 をつ くる :" 今後,診療体制 を改. 合 いの場が もてるよう配慮 す る' '"医師 との間に. 善す る検討 を重 ねてい こうと考 えている"" 不妊. 立 って対処する"な どの対処であった。. 3 0. 日本助産学会誌. 第1 6 巻第 1号 ( 2 0 0 2. 8 ).

(8) 不妊治療にかかわる看護者のストレスと対処 ④他施設 と連携 しなが ら対応す る :… 他院 との連. トを強化す る :` ` 夫や姑 の理解 を得 るた め,何度. 携をもちなが ら援助 す る""紹介先 の医師 との話. とな く説明,話 し合 い を もつ ようにす る""患者. し合いで解決す るように してい る' ' , あ るいは患. の精神 的 サ ポー トのた め,夫 に話 を聞 い て もら. 者のニーズ と治療方針が合致 していない場合,香. う"" 夫 と面接時 によ く話 をす る' 'な ど患者 ・カ. 護者 として感 じるジレンマ に対 し," 信頼 関係が. ップルを中心 に家族-の働 きかけによる対処であ. 成立している患者か ら相談 を受 けた ときで, その. った。. 方法しかない と判断で きる場合 には他施設 を紹介. Ⅰ Ⅴ 考. することがある' 'とい うもので,他機関 を念頭 に. 察. 入れたケアによる対処 であった。 ⑤医師に説明 して もらう :…電話 の対 応 はで きる. 1.生殖医療 の診療 システム上の問題. かぎり医師にまわ してい る""医師か らム ンテラ. 看護者のス トレスは 「 不妊治療 を提供す るシス. してもらっている"な ど医師依存 による対処であ. テム と関連するス トレス」が半数近 くを占め,義. った。. も多かった。 この背景 に日本 の生殖医療 の診療 シ. 5 )看護者個人の背景 と関連 す る対処. ステムの問題があげられ よう。 日本産科婦人科学. ①自己研鏡 を積 む :"本 を読 む' 'な どの "自己学. 会 は平成 1 2 年 4月に 「生殖補助医療の実施施設の. 習"や " 学会参加 な どによ り, よりよい看護 の提. 設備条件 と実施医師の要件 について」 を会員 に向. 供に心がけている""院外 の研修会 に参加 した". け通知 した (日本産科婦人科学会 ,2 0 0 0 ) 。 しか. などの自己開発 による対処であった。. し, これに示 された基準 は努力 目標 とされ,診療. ②さまざまな価値観 を患者 に伝 える :"自分 だ け. 機関の設備 ・体制 に関す る規制 として機能す るも. が不妊であ り,悩 んでいるわ けではない ことを話. のではない。診療の対象 とする患者の不妊状態の. す"" 他の生活,生 き方 もあ ることな どを指導す. レベル,治療法やそのプロ トコル,施設 ・設備等. る' 'など,看護者が さまざまな価値観が あること. のハー ド面,職種 ・人材 ・教育研修等の ソフ ト面. を伝えるような対処であった。. な どいずれ も現状 は不統一で,施設 により多様 で. ③患者の価値観 を尊重す る :" 本人 の気持 ちを尊. ある。医療機関での ヒア リングを行 い,医師の診. 重する' 'など患者の価値観 を尊重 しようとす る対. 断や治療方針の標準化 の欠如 を指摘 した調査があ. 処であった。. る ( 江原,長 沖,市野 川 ,2 0 0 0 ) 。 これ は,治療. ④価値観 を区別 し,割 り切 る :" 個人個人 の考 え. 法の選択やステ ップア ップが行 われ る基準な どが. 方があると, 自分 に言 い聞かせてい る"` ` 見守 る. 医師 によりば らばらであること, また,患者 に明. しかない とわ りきった"…自分 の価値観 で物事 を. 確 に示 されていない ことも多 く,患者の苦痛 を増. とらえないようにしているが, 自分 な りの考 えは. 大 させている重要な問題の 1つであることを指摘. しっかりもつ"な ど,看護者 自身の価値観の とら. している。研究者 らのわずか 7か所の聞 き取 り調. えかたに関する対処であった。. 査 において も体外受精 ・歴移植 を受 けるのに入院. ⑤不妊に関す る啓発的行動 を とる :"一般 の人 に. を必要 とす る ・しない,入院 した場合 に どの病棟. も正しい不妊知識 を知 らせ る""よ り多 くの人 に. に入 るか,採卵や姪移植 をどの場所 ( 部屋)で受. 不妊の当事者の辛い気持 ちを理解 して もらえるよ. けるか,採卵 や腔移植 の際 にどの部署の看護者が. う情報を広げたい"な ど,不妊看護の立場か らの. 直接 ケアにあた るかな ど幾通 りもみ られた ( 森,. 対社会的な対処であった0. 1 9 9 9 ) 。多 くの施設で不妊だ けで な く一般婦人科. 6 )患者 ・家族 との対人関係 と関連 する対処. や産科の診療 も同 じ場所で同 じ医療者 によって,. ①深入 りしない,避 け る :"で きるだ けかかわ り. 同 じ時間に行 われてい ることが珍 しくない。医師. をもたない"" 表面的なかかわ りに とどまってい. は比較的 「 不妊治療担 当」 とい うような形で固定. る""あまりかかわ らない よ う逃 げてい る"な ど. 化 されていることが少 な くないが,看護者 はその. であった。. ような分業性 をとらない ことが多い。不妊 の患者. ②天 ・家族 とコ ミュニケーションを とり,サボ-. が妊産婦や病気療養者 とは異 なるニー ドをもちな. 日本助産学会誌. 第1 6 巻第 1号 ( 2 0 0 2. 8 ). 31.

(9) 不妊治療 にかかわ る看護者 のス トレス と対処. 働 きかけてい く努力 も必要である。. が ら,同 じ空間 に時 を同 じくして存在 すると,香 護者の役割葛藤 を生 み, あい まいな ものにし,配. 2.看護者の対応 を難 しくさせている不妊看護の. 慮が行 き届かない ことで看護者 は苦 しむ ことにな. 分野の未成熟 さ. る。 先進国の生殖医療 システム をみると,例 えば英. 「 不妊看護 の性質 と関連 す るス トレス」はス ト. 国 の場 合 ,「ヒ トの受精 と歴 研 究 に関 す る法 律. レスのカテゴ リで 3番 目に多かった。その内容 は. ( Human Fer t i l i zat i on Embr yol ogy Act: 」 に基 づ い た実施 要 綱 ( Codeo fPr a cHFEA) t i c e ) によ り,施設 のスタ ッフ,設備,患者 に提. 不妊看護 それ 自体 の性質 と現状 を物語 っていると. 供 すべ き情報,同意 に必要な条件, カウンセ リン. を希望する女性 を当然 の ごとく診断 ・治療 にもち. 思われ る。 まず,医学モデル と看護モデルの違い である。医学モデルで は不妊 は疾患であ り,挙児. グ等 についての基準 を満た した場合 に認可 され,. こむ。 これ に対 し看護 モ デルで はその女性 の生. yal 年 1回査 察 を受 け,指 導 され る。 また,Ro. 活 ・一生の トータルな状況か ら心身の健康 をとら. Col l e geofObs t e t r i ci ansandGynae col ogi s t s ( RCOG) は,エ ビデ ンスに則 った不妊 の診断 ・. 役割 を期待 されつつ,患者 ・家族の尊厳 を守 り,. 治療 に関す るガイ ドライ ンを作成 し,医学的観点. 苦悩 を和 らげ, リラックスを導 くといった役割に. か らの患者管理の指針 を示 している。米国の場合. 価値 をおいて0る.限 られた時間 ・空間 ・マンパ. は, 日本 と同様,法 に よ る規 制 はな く,Ame r -. ワーのなかで この 2つの役割 を果たさなければな. i can Soci et y ofReproduct i ve Medi ci ne ( ASRM)が不妊 の患者 の診療 ・管理,生殖補助 技術の適用な どに関す る種々のガイ ドラインを作 成 している。 また,近年,不妊 ケアの質 を高め,. えようとする。看護者 は医師か ら診療 を補助する. らない。 この ような状況 もまた 「 役割のあいまい. ( Rol e Ambi gui t y)」 ,「多 大 な 仕 事 量 ( Hea vyWor kl oad) 」 を生 み,看 護 者 の ジ レン マやス トレスにつなが る ( Ra us c h,1 9 9 6 ) 0 さ. 患者のニーズ を満たすための看護職 のかかわ り方. 次 に,患者 の心理的ケアに対す るニーズが高い. としてプライマ リケアナ-シングの重要性が指摘. ことがある。 この点 は,「 患者 ・家族 との対人関. され て い る ( McCul l om,1 9 9 6:Nor bryhn,. 係 と関連するス トレス」がス トレスのカテゴリで. 200 0) 。不妊治療 は,専有 の診療設備 と適正 な診. 2番 目に高頻度 でみ られた ことか らも指摘 で き. 断 ・治療 の指針 をもって行 い,看護者 も専門的な. る。身体的ケアに対するニーズに比べ, 目に見え. トレーニ ングを受 けた特定の者が固定 して継続的. に くく,ニーズアセスメン トをするには生殖生理. にかかわ りをもつ ようなシステムがケア提供者 ・. や生殖補助医療 に関する知識だけでな く,不姪の. 消費者双方に とって望 ましい と考 える。. 患者 の心理 に関する知識 も学び,対象者 を全人的. 対 処 の面 で は, システム上 の制約 が あ る中で. に理解で きること, またケアするためには信頼関. ち,患者のために場所やプライバ シーの配慮,対. 係の確立 を必要 とし, コ ミュニケーションやカウ. 話のための時間づ くりな どを行 い,改善 に向けた. ンセ リングのスキルが求め られ る。患者の気質の. 努力 も認 め られた。 しか しなが ら 「 不妊治療 を提. とらえ方にみる看護者の反応の背景 には,やはり. 供す るシステム と関連 す るス トレス」の頻度が最. まだ患者の心理の理解 という点で教育的アプロー. も高か ったのに対 し,最 も頻度 の高かった対処が. チの余地があるのではないか と思われるし,同時. 「 不妊看護 の性質 と関連す る対処」であった こと. に患者の苦悩 を直 に感 じるス トレスにさらされる. を照 らし合わせ ると,診療 システム上の問題 を看. 看護者のメンタルヘルス も重要視 してい く必要が. 護活動 ・看護行為 によって対処 している可能性が. あるだ ろう。特 に不妊治療が長期 に及んでいると. うかがわれた。看護 だけ, あるいは看護者個人の. き,妊娠不成立周期 に帰 した ときなどの看護 はス. レベルでの取 り組 みではます ます看護者のス トレ. トレス とみなされ,難 しい とみ られることが明 ら. スや ジレンマ を増強 させかねない とも言 えよう。. か となった。. 診療 システム上の問題 は組織や社会の問題 として. また,看護者 は患者 とのかかわ り方やかかわる. とらえ, その枠組 みの レベルで改善 され るように. 範囲がわか らない とし, それゆえのかかわ りに く. 32. 日本助産学会誌. 第1 6 巻第. 1号 ( 2 0 0 2. 8 ).

(10) 不妊治療 にかかわ る看護者 のス トレス と対処. さがみられた。 このように不妊看護 に求 められ る. チーム関係やメンバー役割 におけるス トレスは. 能力の明確化 と教育 とが未整備であることも看護. 最 も少なかった。 これ はすでに何 らかの対処が行. 者のストレスに大 き く関与 しているであろう。 ま. われてい るためにチーム関係が保たれス トレスが. ず看護者が どのような責任範囲 ・レベルでかかわ. 少ない と考 えることもで きるだ ろう。 しか し,先. ることを 「 不妊看護」 とするかについて, もっ と. 行研究 ( 森 ,1 9 9 8 )によれば,他職種 との共同に. 議論されてい く必要がある。 それ を明確 にす るこ. おいて看護者 としての役割 を果 た してい ると評価. とで現在すでに行われている看護 に適正 な評価 を. した者 ほどス トレスが高 く, ス トレスや ジレンマ. 与えること,今後必要な教育 を検討す ることが可. は医療 チームの一員 として看護 を行 うか らこそ生. 能になると考 える。特 に,今回の結果 では,対象. じるのではないか との検討がなされた。 これに基. の多くが助産婦であった ことか ら,助産教育 にお. づ けばス トレスが少 ない とい うことは,チームに. ける不妊への支援のあ り方が重要な課題であろう。. おける共同 に対す る看護者の意識や行動 日休 まだ. 「 不妊看護の性質 と関連 す る対処」 は 4割 を占. あ ま り展開 されていない とい う こと も考 え られ. める最も多い対処カテゴ リだった。患者の話 を聴. る。「医師 と患者 の強い関係 のためにかかわ りに. ,「医. き,コミュニケーシ ョンをはかることや患者の意. くい」 とい うことがス トレスで あった一方. 向,希望に添 うとい う対処が上位 を占めてお り,. 師 に説明 して もらう」 という対処があった。 この. そこには患者中心の考 え方がみ られ る。 また,件. 対比か らは,かかわ りに くいので ます ます依存す. 数は少なくて も治療中の生活面の援助や治療 の受. る とい う悪循環, もし くはかかわ りたいが引 き受. け方のア ドバイス,処置 に伴 う苦痛 の軽減 な どの. けない とい う矛盾な ど推測 され る。実際,患者 に. ケアが対処 としてみ られた。 これ らは看護者 に適. 対 し医療者の関与や説明 を必要 とす る状況 には医. 任のケアであ り, よりいっそう,看護の機能 とし. 師が行 うのが妥当な場合のほかに,看護者 に も行. て意識し強化 してい く必要性がある。. える場合,看護者が よ り適切 である場合,あるい. 3.看護者のス トレスや対処 を左右 する背景. だろう。 この ようにチーム医療 としての生殖医療. は他の職種が行 うのが適切である場合 な どがある 生殖補助医療 には生命保護や人間の尊厳,大人. が まだ発展途上である状況 もまた看護者のス トレ. と子の利益などの倫理的問題が伴 う。ス トレスの. ス と対処 を左右する と思われた。チーム医療 のあ. 内容から,患者 を尊重 したかかわ りが もてない と. り方 と看護者の態度 を問 う必要がある と考 える。. き,患者の価値 ・選択 と自己の価値観が相容れな. さらに 「 対処 していない ・で きない」 とした者. いとき, また,女性の利益 を考 えた ときに技術 の. が 1割以上 もあった ことに対 しては,回答の状況. 適用は利益 を増すのか,不利益 とな るのか, ある. の中には真 に何 もで きない状況 もあったであろう. いは親の権利か子の権利か といった権利 ・利益 に. し,何 もで きない ことを認 めることが大切 な場合. おける判断の際な どにス トレスや ジレンマが引 き. もあることを踏 まえた うえで, これ も一つの対処. 起こされていたO生殖医療が抱 える倫理的問題 は. の形 とみなし, この背景 にある原因 と対処法 を探. 看護者のス トレスやジレンマをもた らしやすい と. ることが重要である と考 える。稲岡 ら ( 1 9 8 8 )は. 言えよう。患者 の治療 プロセスにおける支援,磨. 看護者 の無力体験 は医師 に比 べ て顕著 に多 い こ. 者の治療の中断や中止の意思決定 にかかわる とき. と,仕事上の相談者 による仕事生活 のサポー トが. の態度な どは微妙である。例 えば治療 を受 けるこ. 医師に比べ不足 していることを指摘 した。. とを決定 した とき,患者 に希望 は必要であるが非. 今回の調査ではサポー トの状況 を知 るには限界. 現実的で過度な期待 をもっ ことは避 けなければな. があ り,他の原因に関 して も検討 はで きない。 し. らない。今後 も治療 を受 けるか どうか迷 っている. か し,対処 の中にはチーム内コ ミュニケー シ ョン. ようなとき,希望 をもつ よう励 ます ことは患者の. をはか る,共 に学びあうな どがみ られ, この よう. ニーズに沿わない場合 もあるだろう。看護者 には. な対処 を強化す ることは仕事上のサポー トにつな. バランスの とれた人権感覚 と倫理教育が必要であ. が り,患者 との対人関係上のス トレスな どに関 し. る。. て も有効ではないか と考 える。 日本助産学会誌. 第1 6 巻第 1号 ( 2 0 0 2. 8 ). 3 3.

(11) 不妊治療にかかわる看護者のストレスと対処 結果全体 を鑑 みて,看護者 のス トレス を緩和 し. 不妊 治療 にか か わ る看護 者 の ス トレス を緩粛. 適切 な対処 を強化 してい くような管理 ・教育 の体. し,対 処 を強化 ・支援 してい くサ ポー トや不在. s t edt ( 2000) は生 制 づ くりが必 要 で あ る。M ahl. 看護 を行 う上で の管理 ・教育 の整備 の必要性力. 殖 医療 にか か わ るナ ー ス の た めの ス トレス対 策. 示唆 された。. 患者」の 3 ( ス キル) を 「 個 人」・「ス タ ッ フ」・「 つの柱 に よる枠組 みで提 供 す る。 「 個 人」 で は リ. 謝辞. フレー ミング,価値 を区別す る こと, ス トレス を. 本研究 にご協力 いただ きました看護者の皆 さまも t J L 、 より感謝いた します。. 自覚 す る こと,現実的 な期待 を もっ こと,バ ラン ス,精 神 集 中 を挙 げてい る。 「ス タ ッフ」 で はス タ ッフ間 の違 いや葛藤 は避 け られ ない と認 め るこ と とコ ミュニ ケ ー シ ョンの 2つ を挙 げて い るo 「 患者」 で は 「Hi gh Tec h/Hi gh Touch」 の概 念. なお,本研究 は平成10年度厚生科学研究費 ( 子∼ も家庭総合研究事業)補助金 を得て行 った研究の一 部であ り,第 1 3回 日本助産学会学術集会 においてヲ 表 したものである。. ( ハ イテ クノ ロ ジーであ るほ どハ イ タ ッチの ケ ア が必 要 で あ る とい う こ と),苦悩 の役割 ( 患者 の 苦悩 の経験 を前 向 きに肯定 的 に とらえ る こ と), 「 成功」の定義 ( 人生 の成功 は妊娠成立 ととらえな い) を挙 げている。看護者 のス トレス軽減 の ため の この ような系統的な考 え方 も役 に立 つで あろう。 今 回の調査 は,診療所 に勤務 す る看護者 か らの 回答 が 1割 と少 な く,施設 の もつ システムの特性 や対 象 となった看護職 の資格 な どの面 で偏 りが あ る こ とは否 めない。設備 ・環境 を含 む診療 システ ム とそ こで働 く看護者 の背景 との関連 をよ り明確 に しなが ら,看護 者 のス トレス を分析 す る こ とを 今後 の課題 とした い。. Ⅴ 結. 論. 1.不妊 治療 にかか わ る看護者 のス トレス は 5カ テ ゴ リ, 19サ ブカテ ゴ リに分類 され た。看護 者 のス トレスの多 くは生殖医療 の診療 システム上 の問題 と不妊看護 の分野 の未成熟 さ と関連 して. いた。. 2.不妊 治療 とかかわ る看護 者 のス トレスに対 す る対処 は 6カテ ゴ リ,28サ ブカテゴ リに分類 さ れた。看護者 の対 処 の多 くは不妊看護 の活動 ・ 行為 その もので な されていた。. 3.看護者 のス トレスや対処 を左右 す る背景 に生 殖 医療 の抱 える倫理 的問題 , チーム医療 として の生殖 医療 が まだ発展途上 で あ る状 況 が ある こ とが示唆 された。. 4.対 処 カ テ ゴ リの一 つ と して 「 対 処 して い な い ・で きない」 に回答 した者 が 1割 以上 あ り, 3 4. 引用 文 献. 江原由美子,長沖暁子,市野川容孝 ( 2 0 0 0 ) ,女性の視よ 8 0 2 0 2. からみた先端生殖技術,東京女性財団,1 土居健郎監修,宗像恒次,稲岡文昭,高橋徹,川野雅号 ( 1 9 8 8 ) ,燃えつき症候群-医師 ・看護婦 ・教師のメン二 9 5 ,東京,金剛出版. ル ・ヘルス一,85Mahl s t e dt ,p. p.( 20 0 0).St r es sr educt i ons ki l l sf c nur s e s.I nThi r t yt hi r dannualpos t gr aduat epr ( gr am: Cour s e7Upda t ei nREI N ke e pi ngupwi t c hangi ngt i me s( pp. 3 33 9).Ame r i cans oc i et yf c r e pr oduc t i veme di c i ne. Mc Cul l om,M. I .( 1 9 9 6) .Thenur s easpa t i e nta dv ( cat eandc ouns el or .I nf er t i l i t yandRe pr oduc t i v Me di c i neCl i ni c sofNor t hAme r i c a.7( 3 ) .4 8 3 4 9 3. 森明子,有森直子,村本淳子 ( 1 9 9 8 ) ,看護婦 ・助産婦実 の不妊治療を受ける患者 ・家族への関わりに関する調∃ 一看護の役割機能に焦点をあてて-,厚生省心身障害石 究 不妊治療の在 り方に関する研究 平成9年度研究報与 書,1 7 3 3. 森明子,有森直子,岸 田佐智,福井 トン子,村本淳二 ( 1 9 9 9 ) ,不妊治療を受けている患者 ・家族に対する看喜 支援ガイドラインの作成とネットワークの構築に関すj 研究-ガイドライン作成に向けた現状分析 :看護者のミ レンマ ・ストレスに関する内容分析および提供されても 0 年度厚生科± る看護 とその環境に関する分析-,平成1 /6 ) , 研究 ( 子 ども家庭総合研究事業)報告書 ( 第2 2 7 3 2 8 4. Nor br yhn,G.e tal .( 2 0 0 0) .Es t abl i s hme nto fap T mar yc ar enur s i ngt eam i n ar api dl yexpandi n mul t i S i t er epr oduc t i vee ndoc r i nec e nt e r .Fe r t i l i t a ndSt e r i l i t y.7 4( 3 S).8 . 日本産科婦人科学会 ht t p: 〟j s o g. o r . j p[ 2 0 01 l l 2 5 ] 0' Mar a,A.( 1 9 9 5 ) .Communi c at i ngWi t ho t he rhe a l t pr of es s i onal s .I nAr nol d,E. ,BoggsK.U.( e d. ; I nt e r pe r s o nalr e l a t i o ns hi ps pr o f e s s i onalc ommu n i c ; t i ons ki l l sf o rnur s e s( pp. 51 3 5 4 1 ).Phi l adel p hi a W. B.Saunde r sCompany. Raus c h,D. T.( 1 9 96).Pr ovi di ng car ef ort hec a e gl Ver .I nf er t Hi t y and Repr oduct i veMedi cj n Cl i ni c sofNo r t hAme r l Ca.7( 3 ) .6 2 3 6 3 6 .. 日本助産学会誌 第1 6 巻第 1号 ( 2 0 0 2. 8 ).

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