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〈巻頭言〉救急医療の変遷“20世紀から21世紀へ”

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Academic year: 2021

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(1)近畿大医誌(M ed J Kinki Univ)第35巻2号. 2010. 救急医療の変遷 “20世紀から21世紀へ” 近畿大学医学部救急医学部門教授 救命救急センター長 坂 田 育 弘. テレビドラマやドキュメントで「救命救急センター」を主題にした 番組が近年著しく増加した.救命医療最前線や現場における救急蘇 生,さらに事故や災害現場での救命医療は感動的な場面が多い.しか し,救急医療現場とその現実はきわめて厳しく医師不足の現実に最 も直面している 要求される. 野である.一方では,救命救急医療ほど. 合医療を. 野はない.さらに,救急救命士や医療機関との連携,消. 防機関を中心とした行政との連携,地域救急医療体制の中核として の医療活動,医学部学生や研修医教育のみならず市民から救急救命 士に及ぶ広範囲を対象とした救急処置や蘇生教育など救命救急セン ター医療を担う救急科専門医の肩にかかる重責ははかり知れない. 20世紀の後半救急患者のたらい回しが目立ち,国の施策として救急医療機関を初期・二次・三 次に. 類した.救命救急センターは重症傷病者のあらゆる病態に対応できる三次救急医療機関. として人口百万人に一ケ所設置された.当初は重度外傷治療を主体に診療が行なわれたが,21世 紀にかけて高齢化やメタボリックシンドロームなど生活習慣に関わる重症患者の診療も救命救 急センターの役割となり,脳卒中や心筋梗塞など重症疾病の集中治療や集学的診療が加わった. さらに,21世紀に入り社会的現象の犠牲となった重症傷病者の診療も救命救急センターの役割 となり,自殺企図,中毒によるあらゆる傷病者や切断四肢,熱傷など重度外傷の高度先端治療が 加わった. 救急医療ではプレホスピタルケアとの医療連携も重要な課題であり,救命救急センターは中 核的存在としての役割を担うことになった.救急患者のプレホスピタルケアは消防本部救急隊 に依存されていたが,救急医療の根幹である現場からの医療による蘇生や社会復帰を目指して, 20世紀から21世紀にかけて救命救急センターにドクターカーが配備された.しかし,阪神淡路大 震災をきっかけとして,国家政策として大災害時の救急医療体制や広域救急医療の必要性の認 識の基にドクターヘリが導入され,医師を中心とするチームが救急現場に出動して医療を展開 するようになり,救命救急センターにおける診療の中心となって担当している救急科専門医の.

(2) 坂 田. 育. 弘. 重要な任務となった.また,現場から医療機関への搬送が主な任務であった救急隊は救急救命士 制度施行による国家資格の取得により,現場から搬送中の特定医療行為の実施が認められた.救 命救急センターはこれらの救急救命士が行なう特定医療行為に対する指示やその教育を通じて メディカルコントロール体制の中核として救急現場や搬送活動を医学的な立場で管理する任務 を担うこととなった. 2010年度からは救急. 合診療の重要性が認識され,卒後初期臨床研修医の救急研修が必修化. され,救急医療が内科系・外科系を含む全ての基本的研修における重要な医療であることが認識 された.救急科専門医は救急医療に携わる専門医師であり,その専門性が医学的にも社会的にも 広く認知されるようになったことより,その重要な立場にあることを自覚し救急医療の知識と 技能を十 に発揮して社会に貢献する義務を負っている. 医療界全体に向けられている目は厳しいものがあり,医療の質の評価,医療倫理,生命倫理や 安全管理など多くの問題が指摘されている.しかし,あらゆる医療の根源は「命を守る・救う」 の一言に込められており,その目的を達成するために医師を中心とした医療従事者は大いに活 動し,国民の生命を守るために国や地方の行政機関とその関係組織が改革を進めてもらいたい..

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