Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№8:垂直性歯根破折に伴う骨欠損が歯根再接着歯の破
断荷重に及ぼす影響
Author(s)
京極, 啓; 染屋, 智子; 笠原, 正彰; 服部, 雅之
Journal
歯科学報, 120(2): 205-205
URL
http://hdl.handle.net/10130/5165
Right
Description
目的:近年,根面齲 が増加傾向になっており特に セルフケア困難な患者への対応が課題である。セル フケアはプラークコントロールとフッ化物応用が推 奨されているが,プロフェッショナルケアは明確な 指針が示されていないのが現状である。そこで,本 研究ではフッ化物歯面塗布剤による根面象牙質の脱 灰抑制効果について検討することを目的とした。 方法:抜去後凍結保存したウシ下顎切歯歯根を精密 低 速 切 断 機(Isomet,Buehler)に て3×5×3 mm に切り出し,歯根象牙質表面が露出するように エポキシ樹脂にて包埋した。次に象牙質表面を耐水 研磨紙#1500まで研削後,5分間超音波洗浄を行っ た。ネイルバーニッシュ(Revlon,USA)を用いて 処理面を2×4mm に規定した。実験群は ⑴対照 群;DW 群(n=6),⑵9000ppmF 配合リン酸酸性 フッ化ナトリウムゲル(Fluor Jelly,Bee Brand); FJ 群(n=6),⑶22600ppmF 配 合 フ ッ 化 物 バ ー ニッシュ(F Varnish,Bee Brand);FV 群(n= 6),⑷Tricalcium phosphate,22600ppmF 配 合 フッ化物バーニッシュ(Clinpro White Varnish, 3M);WV 群(n=6)とし た。FV 群 お よ び WV 群は業者指示通りに試料表面に塗布し,人工唾液 (pH7.0)に4時間浸漬後に綿棒にて除去した。FJ 群は試料表面に5分間塗布し,水洗後に人工唾液に 4時間浸漬した。いずれの群も脱灰液(pH5.0)に 5日 間 浸 漬 後 に マ イ ク ロ CT 装 置(SMX−100 CT,Shimadzu)で 撮 影 し た。3D 評 価 ソ フ ト (TRI/3DBON,Ratoc)を用いて,ミネラル密 度を測定し,ミネラル喪失量(ML)を算出した。 ML は一元配置分散分析および多重比較検定により 有意水準5%で統計処理を行った。また,一部の試 料 は 走 査 型 電 子 顕 微 鏡(SEM,SU−6600,Hi-tachi)で試料表面の微細構造を観察した。 結果および考察:脱灰後のマイクロ CT 像の結果よ り,DW 群は表層が喪失した脱灰を示したが,FJ 群,FV 群,WV 群は表層が残存した表層下脱灰を 示した。ML は高い方から順に DW 群,FJ 群,FV 群,WV 群 で あ っ た。FJ 群,FV 群,WV 群 の ML は DW 群と比較して有意に低かった(p<0.05)。 SEM 観察では,FV 群,WV 群は脱灰後に象牙細 管内の結晶沈着による細管の封鎖が観察され,FJ 群は象牙細管内の結晶沈着による細管の部分的な封 鎖が観察された。これらの結果から F イオンが歯 根象牙質表面へ浸透し,管周象牙質の耐酸性が向上 し,根面の脱灰抑制効果に寄与したものと考えられ た。 目的:歯根破折の治療には抜歯術が適応されてき た。しかし,接着システムの向上により歯根破折歯 を再接着した歯(再接着歯)を再植する方法も選択 されてきている。これまでに未破折歯と再接着歯の 破断荷重に差がなかったという報告がある一方で, 垂直性歯根破折症例ではたびたび骨欠損を伴うが, 骨欠損を想定した再接着歯の破断荷重に関する報告 は少ない。本研究では,垂直性骨欠損が再接着歯の 破断荷重に与える影響を調査することを目的とし た。 方法:歯髄腔直径3mm 以下の牛歯歯根を抽出し, 歯軸と垂直に破折させた垂直破折歯根を作製した。 破折歯根の破断面を4−META/MMATBB 系接 着性レジンセメントで接着し,再接着歯とした。根 管充塡後直径3.0mm 深さ8mm のポスト孔を形成 した後,ポスト&コアを直径1.6mm の FRC ポス トと支台築造用コンポジットレジンを用いて支台築 造した。また,半数の試料には高径2mm のフェ ルールを付与した。試料はサベイヤーを用いて,ア クリルリングにアクリルレジンでセメントエナメル ジャンクションから3mm 下まで包埋した。アクリ ルレジンにはジグを用いて骨欠損を模した逆三角形 状の欠損を付与した(骨欠損幅:3mm および5 mm,深さ:5mm)。対照群として欠損のない試料 も作製した。クラウン状のジグをコア部に装着し万 能材料試験機を用いてクロスヘッドスピード1mm /min で歯軸に対して30°の角度から圧縮荷重を負 荷した(n=8)。得られた最大荷重値を再接着歯 の破断荷重値とし,二元配置分散分析後に Tukey の多重比較検定を行った。 結果および考察:破断荷重値はそれぞれフェルール ありの骨欠損幅3mm で1140N,5mm で908N,骨 欠損なしで780N,フェルールなしの3mm で552N, 5mm で895N,骨欠損なしで595N を示した。二元 配置分散分析の結果,骨欠損幅の違いで破断荷重値 に有意な差は認められなかった。骨欠損幅が3mm のものでフェルールの有無による破断荷重値に有意 差が見られた。以上より,垂直性骨欠損は再接着歯 の破断荷重に影響しないが,フェルールの有無は破 断荷重に影響を及ぼす可能性があることが示唆され た。