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表現の自由(東京高判二〇〇五年一二月九日、東京地八王子支判二〇〇四年一二月一六日判例時報一八九二号一五〇頁)

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判例研究

表現の自由

︵東京高判二〇〇五年一二月九日、東京地八王子支判二〇〇四年

一二月一六日判例時報一八九二号一五〇頁︶

清水晴生

一相対性 二自己決定としてのプライバシー、自由としてのセキュリティ 三実態との乖離、刑法の過剰、刑法の補充性

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)134 木目 玄寸 性: ﹁法律の規定は、元来、可能な限り、憲法の精神に即し、これと調和し得るように合理的に解釈されるべきものであ つて、この見地からすれば、刑法一七五条の狸褻罪に関する規定は、憲法の保障する表現の自由や学問の自由に内在す る制約の一つの具体的表現にすぎないものとして、憲法の諸規定と調和し得るように解釈されなければならない。そう とすれば、刑法一七五条にいう狸褻の概念も、おのずから厳格に限定的に解釈されるべきものであり、その規定の具体 的適用にあたつても、言論表現の自由や学問の自由を保障する憲法の精神に背馳することのないように配慮されなけれ ばならないのである﹂。 こうした観点の下で理解されるべき狸褻概念は なわち、 ﹁強弱さまざまの﹂、﹁相対的可変的なもの﹂とならざるをえない。す ﹁狸褻文書として処罰の対象とされるべきものかどうかは、当該文書等に客観的に現われている作者の姿勢・態度や、 その販売・頒布等にあたつての宣伝・広告の方法等との関係においても、相対的に判断されなければならない。若し、 その作品が、狸褻の要素にもつぱら焦点をあわせ、人間の好色心をそそることに中心を置いたような場合であれば、仮 りに文書等そのものとしては科学性・思想性・芸術性が認められ、これらの点において相当の価値のあるものであつて

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も、刑法一七五条にいう狸褻文書に該当するものといわなければならないことが多いであろうし、文書等の販売・頒布 等にあたる者が、狸褻性の要素を特に抽出し、そこに焦点をあわせて宣伝・広告・陳列し、ために、当該文書等が低俗 な興味の対象としてのみ受け取られるような場合には、そのことの故に、元来、科学性・思想性・芸術性をもつた、相 当に価値のある作品の販売・頒布等であつても、刑法にいう狸褻文書の販売・頒布等として処罰を免れないこととなる であろう。したがつて、刑法一七五条にいう狸褻文書に該当するかどうかは、右の諸点との関連において、相対的に判 断されなければならないのである。 これを要するに、刑法一七五条にいう狸褻文書として処罰の対象とされるべきかどうかの問題は、狸褻の概念を絶対 普遍のものとして、一律的に判断すべきではなく、右に述べたように、種々の意味におけるその概念の相対性を承認し、 そのような観点を総合的に考察して、なおかつ、狸褻文書に該当するといえるかどうかについて、慎重に判断されなけ ればならないと考える﹂。 ﹁狸褻﹂が表現の自由の内在的制約となりうるとき、それは多様に在りうる表現活動の個々の在り様に即したもので なければならない。 畢寛﹁狸褻﹂概念の相対性とは、通じ合うという社会の意味それじたいであるがゆえにとくに侵されてはならない表 現の自由が本質的・内在的にもっている相対化効力とでもいうべきものの発現である。

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)136 表現の﹁送り手﹂と﹁受け手﹂の関係という基本範疇において成立するこうした相対化効力もおよばない境位を仮に ﹁自己決定﹂と呼ぶ。 ﹁強弱さまざまの﹂、﹁相対的可変的な﹂在り様をまさにその意味で仮に﹁自由﹂と呼んで区別しうるならば、この区 別されたそれぞれの意味において両者に妥当すべき法的保障の内容は異なったものとなる。

二自己決定としてのプライバシー、自由としてのセキュリティ

たとえば憲法二一条が保障する表現活動の一態様として、集合住宅の各戸のドアポストに政治ビラを投函するために その敷地内に立ち入るという場合を想定する。 このとき集合住宅の住人が、上述のように表現の自由の相対化効力を一切遮断して他人の立入りの可否を﹁自己決定﹂ できる真の意味でのプライバシー領域といえるのは、各居室であると考えることができる。この境位こそ刑法二二〇条 前段のいわば絶対的な保護を享受しうるものである。 一方で、表現の自由との関係において相対的には内在的制約たりうる﹁自由﹂とは、懸念をとり除く︵ωΦ−o霞①︶べ くセキュリティを施すという任意の在り様のことである。

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立入りの実際の意味や態様とセキュリティの実際の在り様とを比較衡量することによって、当該住居・建造物等とし ての機能を果たしうるがために一定程度他人の立入りを限定した状態という刑法一三〇条上の法益の実質的H可罰的な 侵害があったかどうかを判断することができる。 憲法を頂点とする全法秩序の﹁綜合的﹂な見地からこうした積極的な違法判断がなされて初めて、わずかに内在的制 約によってのみ制限されうる表現の自由の十全の保障を期すことが可能となる以上、そうした判断に資するであろう上 述のような区別も有効なものだと考える。 上述のような区別をせず、後者の領域においても抽象的に﹁表現の自由が尊重されるとしても、そのために他人の権 利を侵害してよいことにはならない﹂などとするのは、もはや日本国憲法の原理に反したパターナリズムとでもいうほ かない。 立入りのいかなる実際の意味・態様において、またセキュすティのいかなる実際の在り様において、﹁当該住居・建 造物等としての機能を果たしうるがために一定程度他人の立入りを限定した状態﹂という刑法一三〇条上の法益が実質 的H可罰的に侵害されたといえるのかあるいはいえないのかが判断されなければならないのだとすれば、立入りに対す る﹁不快感﹂のようなものが行為の実質的H可罰的違法性を基礎づけるなどということは原理的にありえない。

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白鴫法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)138 したがってまた上述のような区別をせず、﹁居住者は、いかに平穏な態様のものであろうと、自己の住居に入ること を許さない自由を持つ。したがって、平穏公然であっても、居住者の意思に反する場合は、住居侵入罪は成立する﹂な どとして一律に犯罪の成立を認める態度は、治安法と化した刑法に基づき形式的な違法判断によって表現の自由を大幅 に制限するものである。 そうした態度を相当として、立入りの実際の意味・態様やセキュリティの実際の在り様を一切考慮に入れないとしな がら、他方で﹁立ち入り拒絶の意思の強さには多様なものがあり、﹃意思侵害﹄の程度も多様で、ここに可罰的違法性 の考え方を入れる余地があり、それによって可罰的な程度の﹃意思侵害﹄を欠く事案については﹃侵入﹄にあたらない と解する余地がある﹂とする立場も説かれうる。 しかし意思侵害の程度を客観的に認定し評価しようとすれば行為態様・被害態様等を考慮に入れざるをえない。 逆に、本当にそうした一切を排除して被害者の主観のみから意思侵害の程度を認定し評価しようとするならば、実体 法的意味における実質的違法性としての可罰的違法性の考え方が機能する余地はもはやほとんどない。結論の具体的妥 当性に配慮しうるとしても、実際にはそれは形式的な違法性判断の運用上の配慮となんら変わらないものでしかありえ パクレ ない。 そこで意思侵害の判断に客観的事情の評価を取り入れようとする見解も主張されている。 立入りの許可ないし禁止は形式的権利であってその理由は重要でないから、それらの意思表示は形式化日標準化され て客観的に判断されるというのである。

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しかし意思表示の理由が問われないという形式性は、意思表示権者が権利行使においてもつ排他性・恣意性のコロラ リーであるから、ここで形式性から客観性をみちびくことはできない。 やはり意思侵害の判断に客観的事情の評価を取り入れることは困難であるといわざるをえない。 一二

パロ

実態との乖離、

刑法の過剰、刑法の補充性

憲法一二条が保障する表現活動の一態様として、集合住宅の各戸のドアポストに政治ビラを投函するためにその敷地 内に月に一度の頻度で無断で立ち入ったという判例上の事案をめぐり、裁判所は、立入りのいかなる実際の意味・態様 において、またセキュリティのいかなる実際の在り様において、﹁当該住居・建造物等としての機能を果たしうるがた めに一定程度他人の立入りを限定した状態﹂という刑法二二〇条上の法益が実質的ほ可罰的に侵害されたといえるある いはいえないと判断したか。あるいはしなかったか。 東京高裁第三刑事部による二〇〇五年一二月九日金曜日付判決ではどうであったか。 た判断の理由として、以下のような点がしめされている。 破棄自判して罰金刑を言い渡し

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)140 ︵1︶刑法二二〇条前段にいう﹁侵入﹂とは、他人の看守する邸宅、建造物等に、管理権者の意思に反して立ち入るこ とをいうと解すべきである。 被告人らは月一回のぺースで、自衛隊のイラク派遣に反対しかつ自衛官に対しイラクヘの派兵に反対するよううなが し、自衛官のためのホットラインの存在をしらせる内容のビラを宿舎の一階集合郵便受けまたは各室玄関ドア新聞受け に投函していた。 これに対して、宿舎の管理者らは、関係者以外が地域内に立ち入ることを禁止する旨などを書いた禁止事項表示板な どを道路からの入り口わきフェンスや各号棟出入口に掲示し、警察に被害届を提出し、各居住者に対し自衛隊のイラク 復興支援について反自衛隊的な内容のビラを投入または配布している者を見かけたときはただちに二〇番通報すると ともに、駐屯地・分屯基地に連絡するようもとめる依頼文書を配布したりして対応していた。 これらに照らせば、被告人らがビラを投函する目的で宿舎敷地および建物共用部分の各室玄関前まで立ち入った行為 は、その﹁管理権者らの意思に反するもの﹂であったことが明らかである。 したがって被告人らの立入り行為は刑法一三〇条前段にいう人の看守する邸宅に﹁侵入﹂する行為にあたるといえる。 ︵2︶原判決はいわゆる可罰的違法性がないとの判断をしめした。 ・原判決は﹁動機﹂を正当なものとし、これを本件各犯行の違法性を否定する根拠とした。 れるべきものとしても、そのために他人の権利を侵害してよいことにはならない。 本件のビラ投函行為は、自衛官に対しイラク派遣命令を拒否するよううながす、いわゆる しかし表現の自由が尊重さ ﹁自衛官工作﹂の意味をも

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つものであることはビラの文面からも明らかである。ビラによる政治的意見の表明が言論の自由により保障されるとし ても、これを投函するために管理権者の意思に反して邸宅・建造物等に立ち入ってよいことにはならない。 ・原判決は、被告人らの各立入り行為の﹁態様﹂が相当性の範囲を逸脱していないとした。しかし、宿舎の管理者らが 様々の対策を取り、また居住者らからのビラ回収の指示およびビラ投函が禁止されていることの抗議などを受けながら も、ビラの投函を続行したこと。居住者からこのような抗議などを受けたことを被告人らは認識していたのに、さらに 同じ行為を繰り返したこと。これらに照らすと、原判決の判断は是認できない。 ・原判決は、被告人らが宿舎に立ち入ったことにより生じた法益の侵害はきわめて﹁軽微﹂なものというべきであると した。しかし本件立入り行為の﹁目的﹂・﹁態様﹂、これに対して居住者らがとった﹁対応﹂および受けた﹁不快感﹂、本 件までの同様の立入りの反復およびそれに対する管理権者らの措置などにも照らすと、本件各立入り行為によって生じ た法益侵害の程度が極めて軽微であったということはできない。 したがって、住居侵入罪の構成要件に該当する本件立入り行為について、原判決のいうように可罰的違法性が欠け、 違法性が阻却されるとはいえない。 東京地裁八王子支部・刑事三部合議係三名の担当裁判官による、 たか。無罪判決の理由として以下のような点がしめされている。 ニ○〇四年一二月一六日木曜日付判決ではどうであっ

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)142 ︵1︶宿舎の構造と管理状況とについて ・宿舎敷地への出入口には門扉の設備がなく、一部の出入口部分は敷地と外の公道が直結するような外観を呈している。 一部隣接する歩道は直進すると宿舎敷地内にいたり、一般の歩行者の中にはそのまま宿舎敷地内を通りぬけていく者 もいる。 ・各棟一階の出入口にも門扉の設備はなく、集合郵便受けが設置され、各室玄関ドアにも新聞受けがついている。 ・被告人らが所属する団体の本件までの文書投函行動に対しては、﹁STOP海外派兵﹂につき当該ビラに連絡先とし て記載された立川市議会議員宛に自衛隊員から個人的に抗議の連絡があったのをのぞいては、自衛隊ないし防衛庁関係 者からも警察からもまったく連絡がなかった。 ︵2︶本件ビラ投函行動の態様について ・ビラ配布は三名ないし四名程度のメンバーが午前一一時から一一時半ころに集合して配布を分担し、階段を昇降して 各室玄関ドア新聞受けに一枚ずつビラを投函するという方法でおこなわれた。ただし一階の集合郵便受けに投函された ものもあった。 一回のビラ配布に要する時間はおおむね三〇分くらいであった。 ・いずれのビラにも団体名が印字され、その連絡先住所、電話・FAX番号が明記されていた。 一部のビラにはさらにその電子メールアドレスも記載してあった。 ・これらのビラ投函行動についても、﹁個人的に宿舎の居住者から抗議されたことがある﹂以外、自衛隊ないし防衛庁

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関係者からも警察からも一切、接触・連絡はなかった。 それゆえ継続的に実施された。 ︵3︶宿舎側の対応について ・管理者の補佐として宿舎の維持管理等の業務に携わっていた者らにより、 ﹁宿舎地域内の禁止事項 一関係者以外、地域内に立ち入ること

一ビラ貼り・配り等の宣伝活動

一露天︵土地の占有︶等による物品販売及び押し売り

一車両の駐車

一その他、人に迷惑をかける行為

管理者﹂ といった旨の貼り札が作成された。 A3版のものが各出入口の所にある金網フェンスに、A4版のものが各棟の一階階段出入口の掲示板に貼られた。 ・警察署に被害届が出された。 ・反自衛隊的内容のビラを投入・配布している者ないし不審者を見かけたら、ただちに連絡しあるいは一一〇番通報す るようにという内容の宿舎便りが作成・配布され、あるいは口頭で伝えられた。

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)144 ︵4︶本件立入り行為が﹁侵入﹂に該当するかについて ﹁宿舎の構造、敷地の利用状況及び管理形態に照らすと﹂、同宿舎への﹁侵入﹂とは、同宿舎の居住者﹁および管理 者﹂の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきである︵そのような行為が結局、宿舎居住者の住居権及び管理者の 管理権を侵害すると認められるからである︶。 ︵同宿舎では管理者が所管科を通じて同宿舎の維持管理にあたり、また宿舎の居住者の意思が通常管理者を通じて外部 に示されると考えられることに照らせば、﹁侵入﹂の意義につき居住者のみならず管理者の意思を考慮することも住居 侵入罪の趣旨に沿うものであると思料される︶ したがって郵便や宅配便の配達員、電気会社やガス会社の検針担当者等、いわば定型的に他人の住居への立ち入りが 許容されているとみられる者以外、宿舎と関係のない者が無断で宿舎敷地内に立ち入ること自体、居住者および管理者 の意思に反するというべきである。 被告人らは定型的に他人の住居への立ち入りが許容されている者にあたらず、また宿舎の関係者でもなく、同宿舎内 に立ち入ることにつき居住者および管理者いずれの承諾も得ていない。 したがって、被告人らの各立入り行為は、居住者および管理者の意思に反するというべきであり、﹁侵入﹂に該当す る。 ︵5︶違法性の有無について ・コ般に、社会通念上の違法有責行為類型たる構成要件に該当する行為は、 それ自体、違法性の存在が推定されると

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いうべきである。しかし、構成要件に該当する行為であっても、その行為に至る動機の正当性、行為態様の相当性、結 果として生じた被害の程度等諸般の事情を考慮し、法秩序全体の見地からして、刑事罰に処するに値する程度の違法性 を備えるに至っておらず、犯罪が成立しないものもあり得るというべきである﹂。 ・本件立入り行為の﹁動機﹂について ビラを届けることで自衛隊のイラク派遣に関する自分たちの見解を自衛官らに直接伝えるという動機自体は、その政 治的意見の表明という正当なものである。 ︵立川宿舎の管理にあたる関係者も、敷地の外でビラを配ること自体は問題はない旨証言している︶ 検察官は、被告人らが所属する団体のレジュメに、本件ビラ投函の目的は﹁自衛官工作﹂である旨記載されているこ とを指摘する。 しかし、ビラの内容やビラ投函にともなう立入り行為の態様にも照らせば、この記載をもって自衛官に自分たちの政 治的見解を伝えて理解や共感を得るという目的を超えて、過激な手段による洗脳など、不当な目的をもっていたとは認 めがたい。 ・本件立入り行為の﹁態様﹂について ①その頻度は毎月一回ずつと高くはない。 ②ビラの投函にあたっては、多数の威力を背景にすることなく、いつも三、四名程度で担当。 ③立ち入りは白昼におこなわれ、早朝や夜間に人目を盗んで立ち入ったことはない。 ④凶器や暴力を用いる、フェンスを乗り越えるなど手荒な手段を用いたり、あるいは居住者を追尾するなどしてオート

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)146 ロックのドアを通り抜けたりして同宿舎敷地内に押し入ったわけではなく、門扉の設備のない出入口から普通に徒歩な いし自転車で入っている。 その後、各室玄関前へ向かう際も同様に、門扉の設備のない各棟1階階段出入口から徒歩で階段を昇降している。 ⑤居住者その他宿舎関係者に面会を求めることもチャイムを鳴らしたり声を出すなどしてコミュニケーションを図るこ ともせず、外から玄関ドア新聞受けにビラを投函するのみでその場を立ち去っている。 ⑥投函されたビラも一戸あたり一枚ずつにすぎない。 ⑦宿舎敷地内に滞在するのはせいぜいビラ投函に要する三〇分程度に過ぎず、それを超えて長時問居座ったことはない。 ⑧敷地内に滞留している間、ことさらに目立つ言動を見せるなどして周囲の静詮を害したことは皆無である。 以上の﹁事実﹂に照らせば、被告人らの立入り行為は、社会で一般にみられる、居室の玄関先まで訪れるのみならず インターホンを鳴らすなどして居住者を呼び出し、面談を求めるいわゆる訪問販売や各種勧誘行為、いきなり個々人に 架電して応答を促す電話による勧誘等に比して、居住者に被らせる迷惑は少ないといえる。 ⑨くわえて、メンバーらが暴行、破壊活動等危険性の高い行為におよんだことはなく、宿舎居住者も過去にメンバーら がかかる行動をしたという認識は抱いていないと認められること、ビラの内容に脅迫的言辞や応答の要求、個々の自衛 官に対する誹諺、中傷は見られないことをもあわせ考えれば、被告人らの立入り行為の態様自体は、宿舎の正常な管理 およびその居住者の日常生活に﹁ほとんど実害をもたらさない﹂、﹁穏当﹂なものといえる。 ・宿舎側の具体的管理状況における被害の﹁態様﹂について ①立入り行為の態様自体が穏当であるとしても、﹁住居﹂のどの部分まで侵入したかによって居住者のプライバシーが

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侵害される程度は大きく異なる。 駐輪場などの敷地に立ち入ったに過ぎない場合、各棟の階段や踊り場に立ち入った場合、さらに各室玄関前に至った 場合、室内にまで入ってきた場合を想定すると、順に居住者のプライバシー侵害の程度が増していくといえる。 この点を看過して一律に行為態様の相当性を論じることはできない。 被告人らが立ち入った敷地内から各室玄関前にいたるまでの部分はすべて、そもそも居住者・管理者だけでなく郵便 や宅配便の配達員といった外部の者も立ち入ることが予定されている共用部分である。 しかもこの部分については、これら定型的に立ち入りが許容されている者以外でも容易に立ち入ることが可能である。 現に敷地内には一般の歩行者が通行の便宜のために利用している箇所もある。 集合郵便受けには、禁止事項の貼り札がされた前後を通じて︵貼り札がされた後は数こそ少なくなったものの︶他の 商業的宣伝ビラも投函されていた。 各室玄関ドア新聞受けにも、少なくとも禁止事項の貼り札がされる以前には商業的宣伝ビラが投函されており、禁止 事項の貼り札がされた後ですら、宗教の勧誘を目的とする部外者が居室玄関ドア前まで来て居住者に面会を求めたこと もあった。 ︵貼り札がされたあと商業的宣伝ビラが各室玄関ドア新聞受けに投函された可能性も否定できない︶ それゆえ、居住者及び管理者においても、関係者以外の者が同宿舎敷地内に立ち入り、場合によっては各室玄関前ま で至ることは十分に予期していたはずである。 以上の点に照らせば、被告人らの本件立入り行為が居住者のプライバシーを侵害する程度は相当に低いものとみるべ

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)148 きである。 ②本件において被告人らがことさらに居住者・管理者からの反対を無視して各立ち入り行為におよんだとはいえない。 出入ロフェンスの貼り札は、高さ一・五メートルから一・六メートル程度のフェンスに貼られたA3版の大きさで、 さほど目に付きやすいものとはいい難い。 各棟一階階段出入口掲示板の貼り札にいたっては、同掲示板には催し物の案内や宿舎内の安全対策といった掲示物も あり、同掲示板は主として居住者への連絡用に用いられていることが一見して明らかといえ、通常、居住者等関係者以 外の者はあまり気に留めないと思料される。 禁止事項の貼り札が他の掲示物に紛れてかなり目につきにくいと思われる箇所も少なからず見受けられるところであ る。 さらに一部の貼り札はのちにはがれ落ちていた。 このように上記貼り札はそもそも注意を喚起し易いものではないが、のみならず、貼り札の内容には、禁止事項に反 した場合の処置や警告については一切書かれておらず、一般のマンションやアパート等の共同住宅出入口付近などに散 見される立ち入り禁止の表示ととくに変わったところはない。 そうした共同住宅においてもしばしば立入禁止の表示に反して、集合郵便受けや玄関ドア郵便受けに商業的宣伝ビラ、 ときにはいかがわしい内容が記載されたいわゆるピンクチラシが投函されていることもあるが、おおむね放置されてい るのが現状である。 以上の諸点に照らせば、禁止事項の貼り札は、外見上、立ち入り禁止につきさほど強い警告を与えるものとはいえず

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︵現に前述のとおり、部外者が宗教の勧誘のために玄関ドアまで来たのは貼り札が貼られたあとのことである︶、この貼 り札の存在が被告人らに対してただちに、ビラ投函のための立ち入り行為が許されないとの認識を与えるものとはいえ ない。 また、被告人らが受けた注意はそれぞれ居住者の一名からの個人的なものであり、そのときも立ち入り行為が許され ない具体的な理由としては、政治的意見を異にするビラ投函のためであるからという程度の説明を受けたにすぎない。 自衛官らの中にもイラク派遣に関して多様な意見をもつ者がいる可能性は否定できないのであるから、被告人らが受 けた注意が居住者の総意にもとづくものとはいえない。 こうした事情に照らせば、直接の抗議があるまでは、様子を見ながらビラ投函を続けようと考えたのはあながち間違っ た判断とはいい切れない。 以上で検討してきたところによれば、本件立入り行為の﹁態様﹂について、﹁相当性﹂の範囲を逸脱したものとはい えない。 ・被告人らが宿舎に立ち入った結果について 本件で被告人らが投函しようとしたビラの見解自体は、当時自衛隊のイラク派遣に関して国論が二分していた状況に おいてメディア等で日々目にする種々の反対意見に比して、内容面のみならず表現面でもさして過激なものではなく、 それゆえ、本件ビラがこれら反対意見とさほど異なるような不安感を与えるとも考え難い。 ︵なお同宿舎関係者の中には、単に投函されたビラを廃棄し、被告人らの主張を無視するという行動をした者も少なか らずいる︶

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)150 ビラの記載内容は自衛隊そのものに対する批判ではなく、直接には自衛隊のイラク派遣という政府の政策を批判する ものであるから、被告人らの活動歴等を考慮してもなお、当該ビラが自衛官に対する嫌がらせ等、不当な意図を有して いると解することは根拠に乏しいというべきである。 また宿舎関係者には、日常生活を営むプライベートな領域に部外者が入り込んできたことにつき迷惑と感じて強い憤 りや不快感を訴える者、被告人らの活動を放置すればどんどんエスカレートしてゆき、宿舎内の施設の破損や居住者へ の攻撃といった行為にまでおよぶのではないかと危惧している者もいる。 だが、さきに述べたとおり、被告人らの立ち入り行為が居住者のプライバシーを侵害する程度は相当に低い。 また過去に被告人らの団体が暴力行為や破壊活動等周辺を害する違法行為におよんだことはなく、今回投函されたビ ラの内容も今後そのような行動に出ることをうかがわせるものではないことからすれば、そうした危惧についても根拠 に乏しいといわざるをえない。 以上で検討してきたところによれば、宿舎関係者の被害感情が強いことを考慮しても、被告人らが同宿舎に立ち入っ たことにより生じた居住者および管理者の法益の侵害は極めて軽微なものというべきである。 ・結論 ①被告人らが立川宿舎に立ち入った動機は正当なものといえ、その態様も相当性を逸脱したものとはいえない。 結果として生じた居住者および管理者の法益の侵害も極めて軽微なものにすぎない。 被告人らによるビラの投函自体は、憲法二一条一項の保障する政治的表現活動の一態様であり、民主主義社会の根幹 を成すものとして、同法二二条一項により保障されると解される営業活動の一類型である商業的宣伝ビラの投函に比し

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て、いわゆる優越的地位が認められている。 宿舎への商業的宣伝ビラの投函に伴う立ち入り行為が何ら刑事責任を問われずに放置されていることに照らすと、被 告人らの各立入り行為につき、従前長きにわたり同種の行為を不問に付してきた経緯がありながら、防衛庁ないし自衛 隊または警察から正式な抗議や警告といった事前連絡なしに、いきなり検挙して刑事責任を問うことは、憲法二一条一 項の趣旨に照らして疑問の余地なしとしない。 以上、諸般の事情に照らせば、被告人らが宿舎に立ち入った行為は、法秩序全体の見地からして、刑事罰に処するに 値する程度の違法性があるものとは認められない。 ②検察官は本件各立入り行為が処罰の対象とならないならば、居住者や管理者は、被告人らの立入りを受忍しなければ ならなくなり、またビラ投函を隠れ蓑とした不当な目的による立入りに対しても排除する手段を持ちえなくなり、かか る結論は不当だと主張する。 だが、被告人らが居住者や管理者の反対を押し切ってビラを投函する意図は有していなかったと思料されることから すれば、被告人らの所属する団体に対して正式に抗議の申し入れをすることによって、敷地内に立ち入ってビラを投函 することを止めさせることは可能であったと考えられる。そのような申し入れによって居住者や管理者が敷地内への 立入りを強く拒否していることが明らかになっても立入りを続けた場合、あるいはビラの内容が脅迫的なものになった り、投函の頻度が著しく増える、立入りの際に居住者との面会を求めるなど、立入りの態様が立川宿舎の正常な管理お よびその居住者の日常生活に悪影響をおよぼすようになった場合には、立入り行為の違法性が増し、刑事責任を問うべ き場合も出てくると思料される。

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)152 また不当な目的を秘した立入りを排除できないとの点については、必ずしもビラ投函を仮装する場合に限定される問 題ではない。 他方、ビラ投函を仮装したものであるか否かは、従前のものも含めた立入り行為の態様、立ち入った者が所属してい る組織の性格等から、ある程度合理的に推認することができると考えられる。 よって、検察官の主張には理由がない。 結局、本件各公訴事実のいずれについても犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法三三六条により被告人らに 対し無罪の言渡しをする。

審4

判 決 に 比 し 審 判 決 は 理屈はたしかに明確に述べるものの、﹁実態﹂からの距離はいちじるしく遠い。

二審の理屈の上での要は、侵害された意思を﹁管理権者の意思﹂に限ったことである。 それは本件ビラ投函行為を明確に﹁自衛官工作﹂として意味づけるという理屈の上での操作によっても補われている。 現実の﹁個々の居住者︵”個々の自衛官やその家族︶﹂の姿はその理屈の上には現れてこない。 したがってそこには、管理権者に代表される﹁イラク派兵に反対しない自衛官らたる居住者ら﹂の意思に反し、そう した居住者らに不快感を与えた本件立入り、という理屈のみが成り立つ。

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これが実態から遠ざかる第一歩である。

いったい、本罪において﹁意思侵害﹂ということを考えることができるとしても、それは意思そのものを侵害するも のではなく、意思が具現化されたところの﹁実態﹂に対する侵害をそのように呼び習わしたものと考えなければならな い。 さもなければ、居住者が寝ている部屋への立入りは﹁侵入﹂とならず︵推定的意思侵害はむしろ平穏侵害と呼ぶべき である︶、まただまされてまねき入れたことに気づいた時点で﹁侵入﹂となってしまう。 このとき各居室の在り様とはいかなるものか。 通常少なくとも就寝前には鍵をかけて扉を閉ざす。 日中も呼び鈴が鳴るのを受けてインターホンないしのぞき穴で来訪者を確認の上、招き入れあるいは入室を拒む。 プライベートな情報を自由に話し合ったり、書き留めて壁に貼るなどする。 入浴後も必ずしも服などを完全にまとうことも要しない。 財産を保管し、起臥寝食し、生活の基本的単位として、まさに﹁ソト﹂と区別される﹁ウチ︵内11家︶﹂をなすとこ ろのリラックスすることが可能な場である。 このリラックスはおこなわれているセキュリティの裏面である。 これに対して宿舎の﹁敷地内﹂というのは、いま述べたようなプライバシー領域たる﹁ウチ﹂として画された場では

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)154 決してない。 したがって意思に反したからといってただちに侵害されるプライバシーというものは、各居室内と同じ意味では決し て認められない。 そこで侵害されうるプライバシーがあるとすれば、それはたとえば暴力的・威圧的など、一般的にも立入りが許容さ れないような不穏な態様での立入りがなされた場合のそれであるか、あるいはまた、セキュリティがとくに実施されて 確保されたものがあえて﹁そのセキュリティを無効化すること﹂により侵害されたという場合のそれ︵オートロックの ドアを配達員を装い通過するなど︶に限られる。 畢寛、本件において、セキュリティに向けた意思が具現化されたところの実態すなわち確保されたプライバシーとは、 ﹁関係者以外立入り禁止の貼り札が貼られたフェンス横の開け放たれたままの出入口は公道と直結していて、関係者で ない者の立入り・通過も必ずしも厳密に禁じられていたわけでもなく、またそのような状態は被告人らにとっても変わ りはなかった﹂との意味において、﹁暴力的・威圧的など一般的にも立入りが許容されないような不穏な態様での立入 り﹂でない限り、はじめからほとんど侵害されがたいものであったといわなければならない。 この点でも二審は実態から距離を置いた。

そしてさらに二審は、

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﹁ビラによる政治的意見の表明が言論の自由により保障されるとしても、 して邸宅・建造物等に立ち入ってよいことにはならないのである。﹂ これを投函するために、管理権者の意思に反 といったが、一審は注視した﹁ビラの投函による﹂ということの実態としての意味をなんら顧みることをしなかった。 むしろ視界から消えるほど距離を置いた。 それは確実に読んでもらえるというだけでなく、費用があまりかからなくて済むというだけでもない。 セキュリティに対する侵害的性質の程度が最低限のものであるという意味において﹁最善﹂といえる。 それは一審の認定からも読めるとおり、ごく少人数により短時間のうちにおこわれうる。 居住者をひきとめて対話を強要することも要しない。 さらには実際上もことさら目立つ言動を見せたり、逆に闇夜に乗じておこなわれたり、︵個別的な抗議を避けること はしても︶人目を盗んでおこなわれたということもなかったとされている。 すなわち、ごく平穏な態様においておこなわれることが可能である。

他方で、敷地を一歩出たところにある、﹁侵入﹂することも要しない、意思に反する立入りもない﹁公道﹂に立って のビラ配布もまた、円滑な交通という実態をよりとらえがたい﹁公共の利益﹂にもとづいて広く制限されえている。 すなわち、他人の意思に反して立ち入らない限りは﹁ビラによる政治的意見の表明が言論の自由により保障される﹂

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白鴎法学第13巻2号(通巻第28号)(2006)156 と手放しにいえるわけではなんらない。 居室内、敷地内、公道というそれぞれの領域において、憲法が保障するがゆえに表現の自由が内在的に有する相対化 効力のその程度には異なるものがある。 それに反比例して﹁他人を黙らせる﹂という強力な制限が、居室内では﹁自己決定﹂の認められるプライバシー領域 として絶対的に、敷地内では他人を立ち入らせないことで黙らせるための任意のセキュリティを布くことのできる﹁自 由﹂な領域として相対的に認められ、公道では通じ合おうとすることに対して黙らせるためのセキュリティを布く﹁自 由﹂は認められない。 このように、実態における位相をとらえることなしに内在的制約をいうことはできない。 刑法適用の補充性をいうこともできない。 すなわち実態からの乖離とは、内在的制約という憲法上の原理的規範の喪失であり、同時に、補充性という刑法上の 原理的規範の喪失である。 ︵1︶﹁悪徳の栄え﹂事件最大判一九六九年一〇月一五日、田中二郎反対意見刑集二三巻一〇号二一七〇頁以下。 ︵2︶蟻川恒正﹁表現の自由﹂法律時報七二巻一一号九一頁、同﹁自己決定権﹂ジュリスト増刊﹃憲法の争点[第3版]﹄七四頁参照。 ︵3︶﹁立入り﹂について、最二小判一九八三年四月八日刑集三七巻三号二七八頁参照。 ︵4︶憲法を頂点とする全法秩序の﹁綜合的﹂な見地からの積極的な違法判断については、岡本勝﹁特別刑法犯と可罰的違法性﹂﹃注釈特別刑 法第一巻総論編﹄三〇八頁以下参照。 一方で、なんら正当な目的ももつことなく夜間に壁を乗り越えて他人の家の庭に入るであるとか、なんら正当な目的にもとづかずにナイ

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フを振り回しながら開店中のデパートの入口から入るといった場合には、通常、刑法一三〇条上の構成要件が一般的に予定している程度の 法益侵害があったといえる︵同三〇六頁以下参照︶。 また正当な目的にもとづかずにナイフを隠して店に入ったあるいは﹁お入り﹂といわれて入った場合でも、刑法二一一〇条後段の不退去罪 の範疇において、構成要件が一般的に予定している程度の法益侵害があったと通常認めることができる。 平野竜一﹁刑法各論の諸問題﹂法学セミナー二〇一号六八頁。 山口厚﹃問題探求刑法各論﹄六九頁。 では平穏侵害説においては実質的な違法判断がなされうるのかといえばそういうわけではない。形式的・恣意的な場合分けと抽象的な被 害評価を唱えるものとして、井田良﹁住居侵入罪﹂法学教室二一五号一〇頁以下、同﹁建造物侵入の意義﹂﹃刑法判例百選■各論[第五版]﹄ 三三頁。 松宮孝明﹁ポスティングと住居侵入罪﹂立命館法学二九七号一一〇八頁以下。 実態との乖離について、拙稿﹁時差式信号の未標示と信頼の原則﹂白鴎法学一二巻二号八五頁以下参照。 辟日\\≦馨“bo戸⇒ρむ\み①Pけ日自①涛Oq鋸旨Φ民①班F耳目一から読みとりうる範囲で。 判例時報一八九二号一五〇頁以下。 監禁罪などでも同様の問題があるが、法益侵害の発生は解放要求が通らなかった時点からである。 原理的規範の喪失について、拙稿﹁類推解釈と司法のアノミー﹂白鴎大学論集二〇巻二号五五頁以下参照。

参照

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Dies gilt nicht von Zahlungen, die auch 2 ) Die Geschäftsführer sind der Gesellschaft zum Ersatz von Zahlungen verpflichtet, die nach Eintritt der

〔追記〕  校正の段階で、山﨑俊恵「刑事訴訟法判例研究」

目について︑一九九四年︱二月二 0