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理解の学習の中に位置づけた作文指導 : 単元学習の発想を取り入れて

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理解の学習の中に位置づけた作文指導

- 

-入

-一 、 は じ め に 平成四年度から新学習指導要領が完全実施となる。新しい指 導要領がうちだした改善点の一つに、「書-こと」・作文の充 実がある。特に作文は、指導時数を増やし'これを明示するこ とになった。低学年・中学年では年間一〇五時間、高学年で七 〇時間の作文指導を行うというものである。この通りに作文の 指導が実施されたとすると、前者で週三時間、後者でも週二時 間は作文の時間が確保できることになる。行事作文や教科書の 作文単元だけに寄りかかった作文指導から脱却し、国語学力の 基礎としての書-力に培う授業を考え、実践するまたとない機 会である。 しかし、現場では、学習者にも指導者にも「作文は難しい」 という意識があるように感じられる。 平成三年度、徳島県小学校教育研究会国語部会では、「一人 一人に適切な表現力を育てる国語科学習指導」という研究主題 野   口   幸   司 を設定した。県事務局がこの主題の原案を提案した際、研究の 中心となる統一大会開催郡市からは、「表現力の指導となれば 作文が中心になるだろうが、作文でどのような授業ができるの かはなはだ不安である」という声が聞かれた。多-の研究者・ 実践家が作文の指導時数の増加を時宜を得たものと歓迎する一 方で、増えた時間で何をどう指導したらよいのか頭を悩ませて いる教師も多数いるのである。 現場の教師の多-が抱-もう一つの不安が、理解領域の指導 に充てていた時間が減るということである。生活科の導入で一 時間時数が増える低学年は別として、中学年・高学年ではより 少ない時間での指導を考えなければならな-なる。これまでも、 理解領域の指導の時間があり余っていたわけではないのであ る 。 では、これまで理解を中心になされてきた単元・題材の指導 の中に、作文を位置づけることはできないだろうか。文学作品 や説明文を読みながら、作文の学習はできないだろうか。作文

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67 に関して私自身が持つ悩みの一つの解決の方向として、表現と 理解の新たな関連指導を、第五学年の実践を通して考えてみた ヽ 一   〇 、 i > 二、説明文の学習に位置づけた作文指導 -  理 解 と 表 現 を 同 時 に 展 開 す る これまで、説明文を使った理解と表現の関連的指導といえば、 読み取った内容を表現させたり、書き手の表現の仕方に学んで 表現させたりすることが多かったように思う。しかし、このよ うな理解したことを表現する学習では、表現活動(主として作文) が付け足しのような形とな-、児童の意欲を持続させることが 難しかった。 そこで、書-必然性のある状況を設定し、書-材料を集めた り書き方を学んだ-するために説明文を読むという単元を設定 してみた。 2   題 材 に つ い て 理解と表現を同時に展開する学習を試行したのは、「大陸は 動-」(光村図書五年上)の指導である。この説明文は、一度忘れ 去られたウエゲナ-の大陸移動説が最新のプレートテクトニク ス理論によって復活したという内容を説明したもので、筆者は 地震予知の研究者大竹政和氏である。 3   フ ィ ク シ ョ ン を 取 -入 れ た 単 元 設 定 本題材の指導では'目的意識や必要感を持って読み、文章の 内容を要約したり説明文を害いたりする活動を行わせたいと考 え、次のようなストーリーを設定した。 ① 二十四年前の世界にタイムスリップした児童は、理学博 士藤田至則氏に出会いへ 大陸移動説のその後について尋ね られる。 ②一度現在の世界に帰った児童は、二十四年前の百科事典 の記事と「大陸は動-」とを読み比べ、二十四年前には何 がどこまで明らかになっていたのかを調べ、大陸を動かす 原動力について説明するためのメモを作る。 ③ 再び過去へタイムスリップした児童は、藤田博士に大陸 を動かす原動力について説明するが、それがどのような事 実によって証明されたのかと質問される。 ④ 現在に帰った児童は、資料をもとに海底の岩盤の移動が どのような事実によって証明されたのかを説明する文章を 書 -。 二十四年前の百科事典とは﹃玉川児童百科大辞典 6 地球﹄ (小原国芳監修、根本順吉他編へ誠文堂新光社、一九六七) のことで、 小学校高学年向に書かれた分類別・体系式の事典である。それ には、当時まだ完全には証明されていなかった大陸移動説につ いて、次のように記述されている。 大 陸 は 移 動 す る だ ろ う か   一 九 三 〇 年 に グ リ ー ン ラ ン ド の探検で死んだドイツの気象学者ヴエーゲナ-(AトWegeつe「

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68 き そ う て ん が い 一 八 八 〇 ∼ 一 九 三 〇 ) は 、 一 九 一 二 年 に 、 奇 想 天 外 の 学 説 を 発 表した。 -  中 略   -しかし、この大陸漂移説も、地質学の研究がすすむにつれ て、ヴエーゲナ-がその説のよ-どころとしていた解釈がつ ぎ つ ぎ と -ず れ て し ま い 、 あ ま り 信 用 す る 人 が な -な っ て いった。 _ ) き し 人 ノ \ 磁恒は移動する  しかし、忘れ去られてしまおうとして いたヴエーゲナ-の大陸漂移説が、最近、地磁気の研究がきっ ふつかつ かけで、不死鳥のように復活してきた。地球上のいろいろな 地点で、毎年毎年、地磁気の方向や強さが計測されているが、 これをみると、どこでも年々その方向は西の方へうつってお -、それは二〇〇〇年で地球を一まわりするくらいの速さで けいこ・つ ある。またへ 地磁気の強さは毎年弱まっていて、この傾向が つづ-と二〇〇〇年もすると地磁気は消えてしまうほどであ る。このように、地磁気の変化は現在でもいちじるしいが、 地質時代にはどのていど変化をしていたのだろうか。 よ う が ん 火口からふきだす溶岩の温度は約一〇〇〇度になるが、そ ひ れがしだいに冷えて、約六〇〇度になると、岩石はしだいに じ ば 磁性をおびて-る。こうしてかたまった岩石は地球の磁場の えい養-よ,つ 影響をうけて、磁石の性質をおびることがある。そこで、 いろいろな時代の磁石の性質をしめす岩石の磁性をしらべれ ば、それぞれの時代の地球の磁気の方向がわかり'北極や南 極が時代ごとにどう変わったかがわかる。 このような考えによって、世界の各地で地質時代の地磁気 の変化をしらべたところ、おもしろいことがわかってきた。 それは、始原代から白亜紀にかけて北極の位置がだんだんと 移動したばか-でなく、北アメリカではかった北極の移動と、 ヨーロッパではかった北極の移動の道は経度にして約三〇度 ずれているが、白亜紀にはだいたい同じ位置にくるというこ とである。 こ の こ と は 、 北 ア メ リ カ と ヨ ー ロ ッ パ は 白 亜 紀 以 後 に は わ か れ て い た が 、 そ の 前 の 時 代 に は 一 つ に く っ つ い て い た こ と を示すものである。このようなことから、古いと考えられて いた大陸漂移説がみごとに復活したかのように思われたので あ る 。 なぞの大陸移動  復活したかのようにみえた大陸漂移説 も、地磁気の研究がすすむにつれて、かんたんには復活でき なくなった。 世界の各地で、いろいろな地質時代の磁気をはかってみる ふくざつ と'北極の動きがひじょうに複雑になってきて、大陸が動い たとしてもその動きが複雑になってうま-解釈ができな-な っ て し ま っ た 。 ま た 、 北 極 は 一 つ で な -て 、 二 つ 以 上 あ っ た の で は な い か うたが と い う 疑 い さ え で て -る あ り さ ま で 、 地 磁 気 の 動 き に よ っ し よ う が い て、大陸移動の説はまたも大きな障害にぶつかってしまっ た 。 はたして大陸漂移説はどんなことになるのか、しばらくは

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「地球の七ふしぎ」 の一つとして将来の解決にゆだねるほか は な い 。                                       ︹ 藤 田 至 則 ︺ ( 第 六 章 四 節 ) いわゆるプレートテクトニクス理論が世界的に認知されたの が一九七一年頃であるというから、この文章は、大陸移動説(大 陸漂移説)が証明される前夜のものであったと言える。 古い百科事典を読んでいるうちに過去へタイムスリップし、 百科事典の記事の筆者に会うというストーリーに、児童は、意 外なほど違和感な-溶け込んだ。教科書の文章と古い百科事典 の記事によって科学の進歩をまのあた-にし、知的好奇心を喚 起 さ れ た の か 、 あ る い は 、 テ レ ビ ゲ ー ム 等 で 、 ロ ー ル プ レ イ ン グゲームに馴染んでいるからであろうか。いずれにせよ、児童 自身がストーリーの中の登場人物になることによって、大陸移 動説がどのように証明されたのかを調べて書-必然性が生ま れ、理解の活動と表現の活動両面への意欲が生まれた。 以後、次のような指導の目標と計画で単元の学習を進めた。 目     標 用 ウエゲナ-の大陸移動説の概要とそれがどのように証明さ れたのかを、文章の構成に注意しながら読み取ることができ るようにする。 ㈲ 海底の岩盤の移動を証明する事実を説明する文章を書-た めに、筆者の述べ方の工夫、表現の効果について理解し、そ れを生かすことができるようにする。 ぼ 文の中での言葉の係り方や文と文との接続の関係について 理解し、正し-文や文章を書き表すことができるようにする。 指導計画(8時間) 第一次 百科事典の記事と本文を読ませ、二十四年前にタイム ス リ ッ プ す る と い う ス ト ー リ ー を 知 ら せ る 。 ( ス ト ー リ ー ①、漢字・語句の学習を含む) 2時間 第二次 二十四年前の時点での大陸移動説について調べ、大陸 を動かす原動力について説明するためのメモを作らせ る 。 ( ス ト ー リ ー ② ) 2時間 第三次 本文や資料を参考に大陸移動説がどのような事実に ょって証明されたのかを説明する文章を書かせる。(ス ト-リー③④) 2時間 第四吹 科学研究の姿勢という観点から補助教材と読み比べさ せ る 。 1時間 第五吹 学習のまとめと評価のためのテストを行う。-1時間 藤田至則氏の文章(百科事典の記事)は∴王に地磁気の研究の 面から大陸移動説の謎を説明している。これに対して「大陸は 動-」では、「海底の岩石ができた年代を調べてみると、海底 山脈に近い所ではわか-、遠-はなれるにつれて、しだいに年 をとっている」と簡単に記されているだけである。児童がタイ ムスリップして、藤田至則氏と話をしたとしたならば、おそら く地磁気の研究の面からはどのように証明されたのかと尋ねら れたであろう。

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のい○きと○と心 岩る磁出けなに ここで書-活動を行わせようとすれば、教科書には書かれて いない地磁気の変化から証明された海底の岩盤の移動について の資料が必要になる。そこで、児童に与える資料として﹃別冊 サ イ エ ン ス   特 集   地 球 の 物 理   プ レ ー ト ・ テ ク ト ニ ク ス ﹄ ( 竹 内 均 編   日 経 サ イ エ ン ス 社 一 九 七 五 年 ) を 参 考 に し て 、 児 童 に も 理 解できるよう平易な表現で箇条書きにしたものを用意した。 *児童に与えた資料 地磁気の変化と海底の移動に関する発見(一九六〇年代後半) (このころまでに、溶岩は、冷えて固まるとき、地球の磁場の 影響を受けて磁石の性質をもつようになることが分かってい た 。 ) 4   実 際 の 授 業 第三次では、藤田博士に百科事典の記事の後半部分の書き直 しを依頼されたという設定で、参考資料「地磁気の変化と海底 の移動に関する発見」をもとに、大陸移動説がどのように証明 されたのかを説明する文章を書-ことにした。 第三次第二時の指導案の一部(本時の学習のみ)を次に掲げる。

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(1)目  標 海底の岩盤の移動を証明する事実(地磁気の縞模様)について説明した文章を教材文と比 べながら書き直すことで.筆者の述べ方の工夫と表現の効果を理解することができる。 (2)展 開(☆は個人差をふまえた指導. ★ば一人一人を生かす指導に配慮することを示す。 ) 学   習   活   動 〉   指 _ _」___--_ 前時に書いた海底の岩盤の移動を証明す る事実(地磁気の極性が海底山脈を中心に 左右対称の縞模様になっている)を説明す る文章を発表し,本時学習課題を確認する ○自分の文章と「大陸は動く」を読み比当 筆者の工夫になちって書き直そう。 2 「大陸は動く」全文を交代で音読し,自 分の文章の書き直しに役立つ筆者の工夫を 探して,傍線を引いたり枠で囲んだりする ○問いかけの文 ○仮定-事実という前半の構成 ○事実-,仮説-事実という後半の構成 (⊃指示語,接続詞の使い方 o「やはり-」という結論の出し方 等 3 自分が取り入れようとしている筆者の工 夫を発表し,その効果について話し合う。 ○読者をひきつける工夫 ・l 導 l 数名の児童に前時に書いた文章を発表させ, どうすればよりよいものになるか考えさせる ことで,本時の学習課題に導く。 ○より分かりやすい文章にするために筆者の 工夫に倣うことを確認する。 ★発表した文章のそれぞれの良さを認め,よ りよいものにしだいという意欲を高める。 指名読みによって全文を読み通し,ピの都 分のどのような工夫が自分の文章の書き直し に使えるか考えさせる。 ○主として構成の工夫と言葉の使い方に着目 させ,その工夫が使われている部分に印を 付けさせる。 3 どのような筆者の工夫に倣って書き直そう としているのかを発表させ,その効果につい て話し合わせる。 ○分かりやすく説明する工夫! ゥvネ 慰姥h, (*(,IJルUネ+8.ィ. h*H ル4 i ,`○短く書き表す工夫等 育ykネ/ ラ8*H イ 4筆者の工夫を取り入れて,自分の文章を 滴 *ケ+ネ+X,ネ゙ネシh/ ,ィ+X,B餤リ ,ネヤ姥h,iUツ より分かりやすいものになるよう書き直す○ 侏ク,ネマ ィ/ yリ +8+ 薬 ○問いかけの文で始めてみる○ 鳧,傚 *(+ル[h ,ノZゥ リ* rネレ)> *ゥuノ 「 ○構成を変えて書いてみる○ 8.ィ.倬 h, メネ7 986x4ィ ク6 u h+リ. ○指示語や接続詞を使ってみる○ 侘)¥ィ轌; / ラ8, +リ. x. イ -71-2 °

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72 5   授 業 の 結 果 と そ の 考 察 先の指導案による第三次第二時の授業の結果、二十四年前の 百科事典の記事の後半部分の書き直しとして、児童は次のよう な文章を完成させた。 証明された大陸移動 五 年 一 組     S 女 児 どうやって大陸移動は証明されたのだろうか。 地磁気の研究は、海底にまでおよんだ。すると、奇妙な事 実が発見された。海底の岩盤の磁気がしま模様になっている のである。では、なぜこんなしま模様ができたのだろうか。 これまでに、地磁気の向きは、大昔から何度も変わっていた ことが分かっていた。このことから、海底の岩盤は同時にで きたのではな-、少しずつ時代をへて生まれたのだと考えら れ た 。 さらに、このしま模様は、海底山脈を中心に鏡を立てたよ うに、左右対称であることが分かった。これは、海底山脈の ところでわき上がったマグマが冷えて固まるときに左右に分 かれて広がったことを示している。 海底の岩盤は、大陸をのせて左右に動いているのである。 こうして大陸移動は、証明されたのだ。 参考資料に引きずられた書き方や段落分けの稚拙さ等も目に つ-が、大陸移動説が地磁気の研究からどのように証明された のかは、十分説明されている。また、「どうやって大陸移動は 証明されたのだろうか」「では、なぜこんなしま模様ができた のだろうか」という問いかけの文、「鏡を立てたように、左右 対称」という比喩表現、「すると」「さらに」という接続語、「こ のことから」「これは」 のような指示語が使われてお-、書き 直しの作業を通して筆者の工夫とその表現の効果を理解すると いう本時の目標は、ほぼ達成されたといえる。 単に理解だけの活動に終わるのではな-、自分自身が教材の 文章と関連のある内容の文章を書-場を設定することによっ て、内容の理解はもちろん、表現の工夫やその効果の理解もよ り深-できたと考えている。さらに、筆者の表現の工夫は、実 際 に 自 分 の 文 章 の 中 に 使 う こ と に よ っ て 、 よ り 確 か な も の に な っ て い -と 確 信 し て い る 。 ところで、この授業の参観者からは、「書-内容が高度すぎ るのではないか」という御指摘をいただいた。確かに「地磁気 の変化と海底の移動」は五年生にとってはむずかしい内容で、 理 解 を 容 易 に す る た め に は 、 コ ン ピ ュ ー タ ー グ ラ フ ィ ッ ク に ょって処理された地磁気の縞模様の図を見せるという補助的手 段が必要であった。今後、下学年向けの文章を使う等の工夫を していきたいと考えている。 三、文学の学習に位置づけた作文指導 -  「 大 道 じ い さ ん と ガ ン 」   の 実 践 I I   大 道 じ い さ ん の 日 記 を 書

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-73 この作品は主に大道じいさんの視点を通して描かれている。 このことから、「大道じいさんになって日記を書けば、登場人 物になりきって、その気持ちを想像することができるのではな いか」という発想が生まれる。 平成三年十一月二十一日に板野郡北島北小学校で開催された 徳島県小学校国語教育研究大会板野都大会では、同校五年一組 担任の山本和子先生が、「狩猟日記を書-」という授業を展開 されている。残雪の気持ちよりも大道じいさんの気持ちに重点 を置いて書かせるという指導は、この作品の表現方法の特色に 照らして考えても理にかなったものである。 この授業は、一過-の読解を終えた後のまとめ、あるいは発 展としての学習として位置づけられていたが、単元のもっと早 い段階に位置づけ、理解と表現が一体となった活動にすること も考えられる。 附属小学校第五学年一組・二組・三組で平成三年九月に実施 した「大道じいさんとガン」 の学習では、難語句・主要語句の 意味を考えながら粗筋を読んだ後、すぐに「大造じいさんになっ て日記を書-」という活動を行った。基本的な授業の展開は、 ①本時学習場面を音読する。(五分) ②本時学習場面について、 大道じいさんになったつも-で日記を書-。(十五分)③各自の 書いた日記を発表し、大道じいさんの心の動きについて話し合 い、板書係が黒板にまとめる。(二十分) ④前の場面や次の場 面との関係(違い)を話し合う。(五分)というものであった。 場面-と2、および場面3の前半までは、この方法で非常に うま-いった。大道じいさんがガンを捕えるためにどのような 計略をめぐらせたのか、その計略が残雪によってどう破られて いったのかが日記として書き出され、物語の内容を正確に読み 取ってい-と同時に、大道じいさんの気持ちも生き生きとした 言葉で表現することができた。 ところが、場面3の後半に来て、具合が悪-なった。ここは、 残雪がハヤブサと戦う場面、いわば物語のクライマックスであ る 。 と こ ろ が 、 児 童 が 書 い た も の は 、 日 記 と い う 形 を と っ た た めに、結果として残った事柄を中心に書いたものが多くなり、 過程を描写した部分の少ない臨場感に欠けるものになってし まったのである。そんな中で、一人の児童が次のような日記を ノートに書いた。 残雪に心をうたれた日の日記 十一月十九日 さ あ 、 い よ い よ 戦 と う 開 始 だ 。 残 雪 は 、 い つ も の よ う に 群 れの戦闘に立っとった。 早-うちたい二心に、冷え冷えするじゅうしんをぎゅっと にぎりしめた。 と 、 口 ぶ え を ふ こ う と し た と き 、 ガ ン の 群 れ が 飛 び 立 っ た 。 ハ ヤ ブ サ だ っ た 。 わ し の ガ ン は 飛 び お く れ 、 ハ ヤ ブ サ に け ら れていた。 もう一ばつハヤブサがけろうとしたとき、空に大きなかげ が横切った。それは残雪だった。残雪は、頭領として'仲間

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74 大「 造なを-残 じ〇、冬雪 い-わ越は さ冬LL" んたのた大 はておら造残 そばり放じ雪 う"のしい、 言そ中てさ飛 いのにゃんび なきずるの立 がずつかおっ らもとらり日 "き入なのま こつれ○中で れとておへ五 か治おま入年 らろくえれ二 先だこみら組 のろとたれ こうはいま と」でなしA をきえた女 考んら○児 えかぶ るらつ を守ろうとして、一生けんめいに戦った。わしが顔を出すと、 ハ ヤ ブ サ は に げ て い っ た 。 わ し は 、 そ の 間 、 残 雪 を う つ こ と ができなかった。 む ね の 辺 -を く れ な い に そ め て 、 ぐ っ た -と し な が ら も ぐっと長い首をもち上げた。 そのときも、わしはただの鳥に対している気がしな-て、 うつこともわすれかけていた。 こんな心のすぼらしいやさしいガンをひきょうなてでうと うとしていただなんて。 も し も あ い つ が い な か っ た ら 、 わ し の ガ ン は も う こ の 世 に いないかもしれない。 あんなえらぶっを、ひきょうなてでうつのはやめよう。 過去形中心の表現で、最後の場面の表現を借りた部分なども 混じってはいるが、仲間を助けようとして残雪が傷ついてい-過程が描かれてお-'日記というよりも大道じいさん自身が物 語を語るというスタイルを採っている。偶然生まれた書き方で はあるが、このように「大道じいさんになって物語を語る」と いう形で書けば、より生き生きとした表現の生まれる可能性が 兄い出せた。次の機会には、ぜひ取り入れてみたいと考えてい る 。 3 残雪がじいさんと過ごした一冬を書-平成三年八月三日、国立教育会館・虎ノ門ホールで開かれた 日本国語教育学会主催の第五十四回国語教育全国大会のシンポ ジュウムの席上、青木幹勇先生が、「残雪が大道じいさんのお りの中で過ごした一冬は、物語には描かれていない上、授業で 取-上げられることもほとんどなかったけれど、残雪とじいさ んの心の交流を考える場合、たいへん大事な部分ではないか」 と発言された。﹃第三の書-﹄ で 「読むために書-、書-ため に読む」ことを提唱された青木先生の言葉であっただけに、「残 雪が大道じいさんと過ごした一冬の物語を書かせたら、最後の 場面で残雪に呼びかける大道じいさんの気持ちがもっと豊かに 読めるのではないか」という考えが浮かんできた。 しかし、九月に実施した「大道じいさんとガン」の学習では、 大道じいさんの日記を書-という活動を中心に単元を構成した ため、この考えを実践する機会を失ってしまった。そこで、次 の単元「想像を広げて(作文)」 の中で題材の選択枝の一つとし て「残雪がじいさんと過ごした一冬を書-」を提示した。次に 掲げるのは、この題材を選んだ児童の作文である。

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75 のでした。 -  中 略 1   -よく日の朝。大道じいさんは生きたドジョウを入れたどん ぶりを持って残雪のいるお-の中へ行きました。そして残雪 の前にそのどんぶ-をさし出しました。けれども、残雪は食 べる様子もな-'動こうともせず、ずっとその場にいるので した。大道じいさんは仕方な-、どんぶりを置いてその場を 去 り ま し た 。 あくる日、大道じいさんはそわそわしながらおりへ行きま し た 。 や っ ぱ り そ う で し た 。 ど ん ぶ り に 入 っ て い る ド ジ ョ ウ はそのままでした。このままでは残雪が死んでしまうと思い、 「 お い 、 残 雪 よ 、 食 べ な い と 死 ん で し ま う ぞ 。 そ う な っ た ら このわしと戦えな-なるじゃないか。お願いだから、強情 はらずに食べて-れよ、なあ」 1 -中 略 1 -その時じいさんは、残雪の前で初めてなみだをこぼしました。 その大道じいさんの姿は、残雪の瞳にも映っていました。 大造じいさんの必死の思いが通じたのか、残雪はいつごろ か ら か 、 ど ん ぶ り か ら 食 べ る よ う に な り ま し た 。 し か し 、 残 雪は大造じいさんが入れた半分も食べていないのでした。 こ の ま ま で は 残 雪 が 弱 っ て し ま う と 思 い 、 あ る 日 、 大 道 じ いさんはおりのふたを開けてや-ました。けれども、残雪は 飛び立とうとはしません。ずっと、広い空を見つめているば か り で す 。 今 、 飛 び 立 っ て も 仲 間 と 会 え な い こ と を 知 っ て い るからでしょうか。きず口が完全に治っていないので、仲間 と合う前にたおれてしまうかもしれないということを予想し ていたからでしょうか。大道じいさんは、残雪にまた感心さ せられたのでした。 何日かたったある日、大道じいさんは、家のような建物を 作り始めました。それは、残雪のためにおりを大き-したの でした。 そのお-が完成した日、大道じいさんは残雪に、 「 わ し は お 前 を に -た ら し -思 っ て い た 。 こ の お り の 中 で 何 度殺してやろうと思ったか。しかし、わしとおまえは敵で あり、友達だ。正々堂々と戦わにゃ、今までの苦労が水の あわだからのう」 と言いました。大道じいさんは、あの小さいおりの中では、 残雪がせま苦しかろうと思いへ 大きなお-にしてやったので した。この細かな心づかいに残雪も心をうたれました。 I I 1 -後 略 1 -稚拙ではあるが、この子なりの表現で、残雪が威厳を保ちつ つも、大道じいさんに少しずつ心を開いてい-姿や大道じいさ んの胸の内が描かれている。この一冬の物語を書いたことで、 この児童の読みは、よ-豊かなものになったと言える。 四 、 お わ り に 主に時間不足をいかに補うがという目的で出発した実践で

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76 あったがへ説明文や文学作品の読解の学習に作文を取-入れる ことは、それ以上の成果をもたらすことが実感できた。それは 正に青木幹勇先生が挙げられた「第三の書-」の効用であった。 すなわち、①児童の学習への参加を実現する。②児童を学習に 集中させ没入させる。③正確な読み、想像を広げる読みを保障 する。④学習の学力化を可能にする。⑤児童の独自な発想や表 現を生むの五点である。 また、フィクションによる設定で児童を学習の世界に引き入 れる等、単元学習の発想を取り入れて単元を構成してい-こと で理解と表現を有機的に関連づけられるということが分かった ことも成果の一つであった。 引用文献 ﹃玉川児童百科大辞典 6 地球」 小原国芳監修、根本順吉他編、誠文堂新光社、一九六七 参考文献 ﹃ 第 三 の 書 -」 青木幹男著、国土社へ一九八七 ﹃実践国語研究別冊「大道じいさんとガン」教材研究と全授業記録﹄ 明治図書、一九八七 ﹃別冊サイエンス 特集 地球の物理 プレート・テクトニクス﹄ 竹内均編、日経サイエンス社、一九七五 (のぐち・こうじ 鳴門教育大学附属小学校教諭) 平成三年度

総合科学部国語国文学教室

卒業論文題目

*国語学 香川式アクセントと徳島式アクセントの境 界 に つ い て                   奥 田   綾 子 高知県幡多郡西土佐村の方言アクセント体 系 外来語の研究 まんがの文体 *国文学 竹 本   有 希 川 村   美 紀 貞 近   和 広 中原中也論 - 魂の純粋性を求めて -伊槻やよい 高村光太郎研究 - 「暗愚小伝」 に至るま で   -                          片 田 一 宏 宮 沢 賢 治 研 究   -  家 と の 確 執   -平 岡   友 子 国 木 田 独 歩 論   -  教 師 時 代 の 独 歩   -湯 浅   和 子 *漢文学 枕 中 記   -  中 国 の 小 説 に あ ら わ れ た 夢   -内 田   裕 子 会員募集 徳島大学国語国文学会は、国語国文学・ 中国文学・国語教育の研究ならびに会員相 互の親睦をはかることを目的に、昭和六十 二年十月に発足しました。この趣旨に賛同 なさる方なら、どなたでも御入会になれま す。本学会では、一年に研究会二回、機関 誌 ﹃ 徳 島 大 学 国 語 国 文 学 ﹄ 発 行 一 回 、 ﹃ 会 報 ﹄ 発行二回を計画しています。会費は、三千 円 (年間)。このほかに入会金として二千 円をいただきます。

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