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実験・観察へのコンピュータ利用について : (1) 理科教育とコンピュータ技術

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Academic year: 2021

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(1)Title. 実験・観察へのコンピュータ利用について : (1) 理科教育とコンピュー タ技術. Author(s). 矢作, 裕. Citation. 僻地教育研究, 47: 133-140. Issue Date. 1993-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/1451. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである. Hokkaido University of Education.

(2) No.47.. 1993.3. 実験・観察へのコンピュータ利用について. (1)理科教育とコンピュータ技術 矢作 裕(北海道教育大学). OntheComputerTechniquesforEducationalExperimentsandObservations. (1)ScienceEducationandComputerTechniques HiroshiYahagl. まるで実験室のような形で利用しているようなケ. 目 次. スはみあたらない。学校教育に本格的にコンビュ 1.はじめに. 夕が導入されようとしているこの時期に,どの教科. 2.コンビュー1−・・・夕という機械. のどの教師もコンピュータを利用した教育に関す. 3.実験・観察とコンビュー・夕. る,基本的で貝体的な指針をもっ必要があろう。こ. 4.入出力装置について. の小論は,コンビュ夕の教育について概観して,. 5.おわりに. とくに自然科学の実験や観察などの教育的実験に用 いるさいの指針と貝体例について示そうとの試みで ある。コンビュん夕が「道具jであるからには,仕. 1.はじめに. 様にもとずく,基本的な操作のトレ・ニングとして,. コンピュータが計算機という言糞で,数理科学の. キイ操作の一・一斉的な教育が必要である。しかし,そ. 有力な道具として表現された時代は,とうに去った。. れは化学実験において,バーーナ・の使用法の基本操. 今日では,それとわからないかたちで多くの工業製. 作が必要であるのと同様な意味において必要なので. 品にくみこまれたり,まだ高価ではあるが電器店で. あって,ワーープロのキイ操作や市販のソフトウエア. 家電製品のようにそれらが販売されている。学校教. の利用の熟達を目指してコンビュ夕の教育のおお. 育でも中学校ではクラス単位で利用できる台数のコ. きな部分とするのは,おおきな誤りであろう。いか. ンビュー一夕が導入されはじめ,−一一応は本格的な利用. なる機械もそうであるように,やがては,この機械. の前夜の様相をみせている。コンビュー・夕は,通信. もソフトウエア技術とともに進展し,高度な技術を. 機能を用いて遠隔地や,隣接した施設,また個別の. なんの抵抗もなくだれもが利用できるようになり,. コンビュ∬一夕との教育上の情報交換などおおきな可. 機械が人間に近づく時期が必ずやってくるであろ. 能性をはらんだ機器でもある(1)。教育へのコン. う。どのような時期にあっても学校教育で必要なこ. ビュ【夕の教室での利用の傾向としては,教師むけ. とは,器械の操作や利用技術そのものよりも,教師. の教育番組の特集など見聞するかぎりでは,教師が. がそれにかけるべき内容を生産することであり,そ. 市販のソフトウエアを利用して,LL教室の形態を. の装置の概念的な理解にむすびっく直接的でシンプ. とって授業をすすめていくのが一般である。また,. ルな形態の内容の創造に重点をおくことが重要であ. 実験に利用されている例も散見されるが,コンピュ. る。最終的な目標は,使用するものが自らコンビュ. ータや電子回路に詳しい教師が手製の変換装置など. ー【夕を必須の遺貝として,それにかけるべき,知的. を用いて,実験室の−一台をつかって例示的に用いる. 生産物を生み出すことにある。 実験や観測にかかわる理科教育への利用にさいし. ような場合がおおく,導入期であることもあって, 理科の授業でコンピュータ全体が測定器と化して,. て, 【133−.

(3) 裕. 矢作. いたようなまことに魅力ある不思議な道具である。. (1)コンピュータの出発点と道具としての特徴の. さらに,コンピュータはそれが社会のしくみや生活. 理解をうながす。. 様式まで大きく変えつつあるようなものでありなが. (2)測定装置(電子装置)としてコンピュータの. ら,使用目的が定まっていない状態で,いわば未完. 利用をはかる。. 成品でありながら完成品として,出荷される妙な商. (3)情報処理装置として見通しのよいかたちで利. 品であるともいえる。蒸気汽関車,それは自らの後. 用する。 などの観点が必要であろう。すなわち,コンビュ【. 部に石炭をつみ,それを燃やしてお湯をわかし蒸気. 夕という機械の特徴と知的生産を援助するための,. をつくり,ピストンを動かし車をひく。道具として,. きわめて特色ある電子装置についての意識をまず喚. 目的もしくみも働きも,きわめて明快である。およ. 起する点に重点がおかれた教育内容とすべきであ. そ道具と名の付くものは,包丁で鉛筆をけずるなど. る。とくに,(1)について十分に考えをめぐらせ,. ということがあったとしても,これは刃物としてそ. 理解を深めることは,コンピュータを過大に評価し. の日的がはっきりとしている。人類が獲得した世紀. たり,逆に過少に評価したりすることをさける意味. 的な道具,原子炉であってさえも,エネルギー獲得. で,ことのほか大切な点である。ここでは,以上の. というはっきりとした,目的と使命をもっている。. 基本的な立場のもとで,この装置の実験観察への利. そして核兵器は大量殺りくと大規模破壊を目的とし. 用について考えるところをのべることにする。. た悪魔さえ恐れると表現されるような道具である。 このようにみてみると,それが情報処理装置として くくられたとしても,莫然とした使用目的の状態で. 2.コンピュータという機械. 完製品とされるコンピュータが,いかにこれまでの. ここに一つの箱がある。それが,はがきのような. r 道具や機械という概念からはずれた「道具」かとい. 黒いカード(フロッピーディスク)によって,楽器. うことがわかるであろう。この特徴が,それを道具. に変わったり,タイプライタ仙や時計になったりし. として意識させることを阻み,利用目的を曖昧にさ. たら,一時代まえなら魔法である。半導体の素材の. せている。そしてこれが人類史上特筆されるはどの. シリコンを「魔法の砂」とよぶのにならえば,コン. 大きな可能性を担った発明の成果であることから,. ビュ〝夕は「魔法の箱」である。これほどのものに,. それを操ること自体が,あたかも大きな仕事にとり. なんの驚きもなく接するとすれば,これこそ不思議. くんだかのように人を錯覚させ,使用者をある種の. そのものであり,この驚きを意識化するような内容. 「とりつかれた」かのような状態にさせるもととな. をまず用意することがコンピュータの教育的利用の. るのであろう。そしてまた,この錯覚によって,知. 出発点である。現在のわれわれが手にしている「不. 的生産をなし得るはずの人々の多くの能力と時間と. 思議の箱」は,それがどんなに複雑であっても,そ. 費用とを奪いっづけているということも指摘しなけ. の物質的な動作の基礎をトランジスタ√の原点とい. ればならない。原子炉であれ,コンピュータであれ,. える「−pN接合」によって,ささえられている。そ. ガリレオが「レ・メカニケ」で数百年前にすでに明. して,理論的な動作の基礎を「基本論理回路」とよ. 確に指摘しているように,道具はそれ白身絶対的な. ばれる無数の三種の単位回路の群によって構成され. 有用さを担っているのではなく,どのように使用さ. ている。よく知られているように,人が体験する巨. れるかによって有用性がきまる。すなわち,コンピュ. 視的物体の複雑きわまりない運動は,わずか三つの. ータについてはとくに,使用者個々人に目的の明確. 運動の法則に凝縮されている。ちょうど,それらに. 化がもとめられている。原子炉とコンピュータは20. よって具体的な運動が理解され予測されるように,. 世紀の2大発明といえようが,原子炉が限られた専. コンビュ¶夕の複雑で多様な働きの理解も,「PN. 門家によって操作されて,そのエネルギーを介して. 接合」と,この†基本論理回路」がコンピュータの. 間接的に生活と関わるのにたいして,コンピュータ. 理解の出発点といってよいであろう。このように具. はその装置を一般人がごく普通に操作し,直接生活. 体的な半導体技術にささえられて,抽象的な論理が. に関わるという特徴をもっている。エネルギーを生. それをはたらかせ見事な調和をみせている。コン. み出す装置と情報を生成する装置とが,このように. ビュータは理解可能であるが,具体と抽象を絵に画. 対比されうることは大変興味あることである。 134.

(4) No.47.. 実験・観察へのコンピュータ利捌こついて. 教具としてのコンピュータ. 3.実験・観察とコンピュータ. まず(1)コンビュ∼一夕の特徴についての基本的 な理解と知識がさきだって,(2)コンピュータに. 実験条件をできるだけととのえることは,自然科. かけるべき必須の内容を発掘し,(3)本来の複雑. 学の実験では必須のことである。たとえば温度を−−一一. で豊富な機能を「制限的」に利用することが必要で. 定にたもっばあいを念頭におけば,溶液の入った容. ある。コンピュータや電子装置の難が,「規格化,. 器とヒーターーとク嶋ラ【【があって,それに温度計が. 複雑化,小型化,高速化」に向かって進展している. くみあわされたシステムがあるとする。温度をよみ. 反面,利用される場面では「イ国別的で,単純明解に,. とり,設定温度との差をもとめ,結果によってと−. 拡大して,ゆっくりと」が求められていて対比的で. 夕ーかクーラーーをいれ,ふたたび温度をよみとり設. ある。コンビュ劇州夕は教具とよぶのが,はばかられ. 定温度にたもつための一連を手順をくりかえす。こ. るはどの発展的な機能が内包されていて,それが目. の内容で,コンビュ←一夕がきわめて効果的に利用可. の前にある。コンビェー一夕があらゆる教科に関わる. 能であるのは明白である。ところが実験の内容に. のは,情報を処理する装置という性格からすれば当. よっては,連続的な温度コンローールが不用で氷水で. 然であるが,おなじく情報を扱う「装置」黒板と同. 0度にたもつことで十分であるかもしれない,また. 様である。教科の内容について,テレビ番組で登場. 室温との温度差を利用してゆっくりと昇温あるいは. するような高度のシュミレ【−ションとグラフィック. 下降させることことですむかもしれないのである。. ス機能を用いて,教材化を目指すのは,支援のため. 「まず内容を▲」と強調しているのはこのような点を. の装置が一般的ではないいま,自動車の運転とジ. 指している。その上でどうしてもそこで温度設定が. ェット機の操縦に比較しうるような専門的な仕事で. 必要となった時に,コンビェ【一夕を導入し,時間経. ある。つまりこの装置の有用性が高いことから本来. 過の上で温度を上下させるなどさまざまな条件を加. 専門家に依拠すべきところにまで踏み迷うおそれが. 味することになる。コンビュ・・・−一夕は現に研究者がき. あるからである。教育活動に直接関わっている立場. わめて精密な実験に効果的に利用している道具であ. では,比喩的にはジェット機を操縦をめざすのでは. る。既成の入出力のための装置はこのようなばあい. なく,教育の分野に芽吹いている,「コンビュ∼夕. に有効であるのは当然である。しかし,教育的実験. 利用がふさわしい」と考えられる内容を日常の教室. のばあいは,これと同列にはあつかうことばできな. のなかにみつけだすことがまず第一…▲の仕事であり,. い。コンビューー・夕が,その特徴から,どのような役. 現在のコンピュータの環境では,その内容にそって. 割を担っているか,その特徴や機能,基本的な動作. 画像や操作性を高めるためには,どうしても専門家. を明示しうるかたちで実験をおこない,その経過を. の協力を必要とする。コンビュー■・・一夕のどの操作も働. 通じてコンビュ・・・【一・夕の概念的な理解を目指さなけれ. きも,単純明快で内容の本質をっくために利用され,. ばならない。このさい目的にかなった実験を用意し,. そのさい操作を意識させない,黒板のような存在が,. コンビュ】一▲夕との関連を単純化して変換やフィード. 理想の教具としての条件であろう。地道な実践のな. バックについて明瞭にしめす必要がある。すなわち. かから「 ̄黒板_.」上に表現すべき内容に関する提案が. コンビュⅣ【一夕の利f引こあたって,ものとその変化を. おこなわれ,コンビュー夕という,きわめて可能性. 対象に手や目といった感覚器官をっうじて,生きて. に富む教育機械=教具によって実現されていくとい. いる知識をコンビューー一夕にかけること,すなわち知. う図式である。実際的に個別の入出力に必要な,色. 識の現実性が際だって重要である。理科教育では,. チョ・・−クのような副次的な道具に相当するものを含. 急激な技術の進展を意識して現代感覚をつねにとり. めて,それがどんなに素朴であっても,その芽は教. こみながら内容を推進していく必要がある。だが,. 室とその周辺から誕生するはずのものである。この. コンビュー1一夕を用いるということが,かならずしこ. 点で,いまのところコンビュ【夕は教具という点で. れに沿ったこととはならない。教科書という言葉が,. 相当に未発達の段階にあるといえよう。. 正確でお手本という意味あいがこめられている・1−・・一方. で,融通性を欠いた無味乾燥の意味にも用いられる。 「現代の魔法_」のなかで,それをごくあたりまえの こととして育ってきた子どもから大学生まで,教育 ー135−【. 1993.3.

(5) 矢作. 裕. 内容のなかに現代科学の刺激的な内容や技術の成果. 容をますます豊かにしていくであろうし,そのこと. を期待しているにちがいない。その意味で教科書の. が一方ではもっともすぐれたコンピュータ教育につ. 内容のすくなくとも「とりあげかた」による実験の. ながる道であると思う。. みなおしがまず必要であろう。. 現在でも,小学校から高校まで,物理や化学の実. コンピュータは理科教育の領域で,現在の環境で. 験で「記録タイマー」ぐらいしか時間経過を記録す. もまた将来にわたっても,魅力ある実験を組み立て. る用具が用いられなかったのは,それを必要としな. ることができ,その威力をみせつけるであろうこと. かったからではなく,そういう器械が高価で得難. は,間違いないことであるが,コンピュータに依存. かったからである。つい10年はど前までは,多くの. しすぎないようにすることをはじめとして,注意深. 大学の実験系の教室でも,記録計の入手は容易では. い導入が必要である。本稿では,物理,化学の分野. なかった。ところが,コンピュータの普及によって,. の実験や観察をおもな対象として考察しているが,. それが小学校から大学ばかりか家庭にまでも,いっ. 実験,計測という点に限ってみても,コンピュータ. きに普及してきたとみることができる。しかし,記. は,かっての生物学の発展に果たした顕微鎧の役割. 録計を用いるべき実験や観察のための実践が蓄積さ. をしのぐような重要な位置をしめる装置である。す. れていないことと,コンビュ「夕と人間との接点で. なわち,短時間に単発的におこる現象を時間的に拡. ある「入出力」装置に関する教育への利用法の研究. 大するばかりでなく,分析,記録を可能にし,「こ. が不十分であるために,十分すぎる記録機能を器械. れまで見ることができなかったものを視ることがで. の働きのはんの一部として内包された装置「コン. きるJ装置と位置づけられるからである。学校教育. ビュ¶夕」が身近にあるにも関わらず,結局はコン. に顕微鏡が当然のごとく導入されたように,情報教. ピュタにさらに附属品を重装備した状態での利用. 育の装置として導入されたかにみえても,実験の立. に走ることになる。全体としては高価となることに. 場からみれば,顕微鏡の導入に匹敵するようにみえ. 加えて,複雑さを背負いこみ,教育内容を豊にする. る。実験では文字どうり姿を変える計測器としても,. ことを阻んでいるいるとさえといえる。. 中味の教育の援助にももちろん有効である。それも, ほとんど経済的にもさしたる問題もなく,ときとし. コンピュータの種類. て数十台を自由に利用できる状況にむかっている状. コンピュータの利用にあたってはポケット型,. 況ではなおさらである。この有利な現状に手をこま. ラップトップ型,デスクトップ型の3種のものを想. ねいている法は全くないであろう。そのさい問題と. 定している。本来,コンピュータと称していれば機. なるのは導入それ白身ではなく,利用のしかたであ. 種の古さや種類を問わないのが原則である。昨今で. る。教育的によい結果が得られる場合は,意識的に. はポケットコンビュ¶夕でさえ,16ビットのものさ. コンビュ一夕が正面きって登場せず,実際の実験の. えではじめている。どのような型であれ,コンピュ. 内容のなかから問題とする点がしぼられ,その点を. ータならば入出力の端子は基本的に備わっている。. コンビュ夕が,→定の役割を担うような場合が最. ここではいわば本体のみを用いるので簡単な電子回. 良であろう。コンビュ冊【N夕のそばには,おそらくた. 路のほかは外部装置は原則的に使用しない。コン. どたどしい手作りの部分が付加されていることであ. ビュ→夕には通常,. ろうし,コンビュ・・・・一夕が,実験の内容のどこで意味. (1)デジタル的な電気的入出力端子(バス). をもっているかという役割も操作も,きわめて単純. (2)触覚的な多端子の入力端子(キイボード). 化されて提示されていることであろう。そして,こ. (3)視覚的な出力機能(ディスプレイ). の点が重要なのだが,実験をつうじて導きだされる. (4)印刷用の出力端子(プリンタ). ものに加えて,その経過で蓄積されるノウ・ハウが. (5)聴覚的な出力端子(ブザー). 貴重な財産となるにちがいない。別ないいかたをす. (6)通信用の標準的な入出力端子(RS232¶C). れば,物質とその変化に関する問題に端を発して,. (7)押しボタンの入力接続端子(マウス). それを明示するための道具として,コンビュ→夕の. (8)連続的な量の入力端子(マウスボール). 機能の一部をすなおに用いることである。その経過. などの端子が,はじめからそなわっている。 このように,どのようなコンピュータであれ少な. と結果を持続的に積み上げていくことが,実験の内 ・136−.

(6) No.47.. 実験・観察へのコンピュータ利用について. くとも一組の入出力端子があらかじめ用意されてい. がそなわっている。このときの画面は,機械として. る。くわえてコンビューーー一夕には,はじめからプログ. 一体化されていて岬一見,内部装置のように見えるけ. ラム言語が内蔵されていて,変換の機能やメモリ爪. れども心臓部であるCPUからみれば本来的に画像. や印字のかたちで,記録の機能をもっている。学校. の出力装置であり,膨大な数の記憶装置でもある。. 教育に採用されている一台ごとのコンビュ刑Ⅶ夕が十. その機能は点滅可能な微小な発光素子数十万にも相. 数年前の大学の共同利用のコンビュ・一夕以上の性能. 当する。カラー画面であれば工業的には生産が困難. をもっている状態にある。. な青色をふくむ多色の発光素子がならんでいて,そ. したがって可能性からすれば附属の装置がいっさ. れらを独立に点滅させたり輝度をかえたり,その発. いなく,机上型なら本体とディスプレイ装置,ノー. 光面積や形までもかえることができるのと同じであ. ト型やポケット型ならそれ自身で,あたかも実験室. る。また,これも言ってみればあたりまえなのだが,. のすべての装置が内包されたような装置として存在. まったく同様な意味で,キ【−ボ【【ドはまさしく外部. している。ここで,コンビュー▲一夕のこのような存在. からの入力装置である。こちらは,画面ほど華やか. を意識し,その扱いの基本を理解して簡単な入出力. ではないが,複合的な機能をもつ数十の端子は立派. 技術を身につけたうえで,これまでの実験項目や内. な入力のための装置である。それは機械的な接点を. 容を整理して見直し,さらに測定した物理量を自由. 入口としているが,ここを経由してコンビュー・−一夕の. に加工して,たとえばコンビュー一夕に記録させて,. 内部にたちいることができる。そのほかに,大抵の. 効果を発揮するような実験例を案出する必要があ. コンビュ・・・・一夕には音の出力機能がすでに用意されて. る。もちろんプログラミングは入出力装置の簡単さ. いる。8オクターブ,3東和青もの音が,かなり自. にみあった必要最小限にとどめる。コンビューーータに. 由に音楽的に色づけでき,加工でき自由に出力でき. みあった実験を用意するのではなく,その実験に必. る。これによってもまた,音の高低やその有無によっ. 要だから電圧計を用いて測定をするように,その実. て電気信号を出力し,外部の機械をあやつることが. 1993.3. 験や教育的な要請によってコンビュー一夕を「接続」. できる。そして,ポケット型のものや古い機種では,. するのである。. MOTORON,MOTOR OFFなどの数文字を綴り. さえすれば,カセットテープレコー【・−ダを制御する端 子から,必要な時に必要な時間だけモーターをまわ. 4.入出力装置について. したり,ランプをつけたりするための信号を出力す. 実験の結果を電気信号に変換してコンピュータに. ることができる。このほかに,ノート型や机上型な. 信号を伝えたり,それから信号を受け取るにはどう. らば,マウス端子という入力専用の端子も,テンキ. したらよいであろうか。このようなとき,コンビュ. ーの端子さえ付加されているものもある。これだけ. ー】夕の入出力端子に直接実験結果を入力するのは難. の入出力のための−一般的な装置があるのであるか. しいこととされている。一般的には,その構造と機. ら,それらを素直に使ってみてはどうであろうか。. 能についての,つまりコンビュー】一夕のハ脾∧ドゥエア,. このような見方にたてば,コンビュ・・・夕の古さなど. なおも進展しつつあるトランジスターーー・やICなどに. は問題にならない。まったく不揃いの機種が複数台. はじまる素子についての専門的な知識,それにまっ. あるときに,それらを多人数の−−一斉に行う教育で,. わる訓練された技術などが必要である。くわえて,. 不便を感ずるだけである。それぞれが,一一種の顧微. 利用技術も必要となる。電気的な入出力に便利なボ. 鏡や記録装置,制御装置などとして活きるのはもち. ードが製品となっているが,そのようなものを利用. ろんである。 コンビュ¶夕の内部ではほとんどの場合,5Vの. すれば結局装置全休は,さらに複雑化する。また価 格もそれだけで本体の数分の一にも達する。このブ. 電圧で動作し,出力の−・一部に正負の12Vが使用され. ロック化されたボードとソフトウエアを購入して,. ている。マウスなどは規格化されているから,たと. それをとりつけ,ふたたび分厚い説明書にしたがっ. えばマウスの端子を,5ボルトの電源とすることが. て動作させることになるであろう。. できる。コンビュ←一夕の台数だけの,個別の電源さ. ところで,コンビュ・一夕とよばれるからには,汎. えも用意されているのと同様である。もちろん入力. 用のものならば,前述のように,かならず表示装置. は5Vか0Vの二つの状態として,単純なかたちで −137−.

(7) 裕. 矢作. としての応用も興味深く,つきないものがある。. 受付けられる。また出力は,音は高さを変えて,画. 以上のべたような考えにたてば,コンピュータと. 面は面積や輝度をかえて出力させうるし,連続的な (アナログ的)な出力をうることもできる。このよ. 名がつきさえすれば必ずそなわっていて,多様な働. うな方式によって,入出力をおこなわせるさいに,. きをする,一対になった付属装置に使用者が着目し. まずは利用の目的を先鋭にする必要がある。画面か. ないなど,ほとんど有り得ないことのように思える。. ら直接信号をとりだそうとすれば,画面の性質に起. これまで,このような使われ方がなされていないの. 因する制約がある。たとえば,画面を利用して1000. は,画面を視覚的な出力装置,キーボードを触覚的. 分の1秒のパルスを連続的にとりだすのは,原理的. な符号の入力装置という固定した観念に縛りつけら. にできないことである。しかし音としてなら1kHz. れてしまっているという事情からであろう。そして. の出力は簡単である。制御すべき対象はなにか。. その背後には,教育の内容として「∬コンピュータ」. そのさいに必要な信号が,連続的か,離散的か,単. の理解の不足と「かけるべきなかみ」の蓄積の不足,. 発的なデジタル信号のままでよいのか,アナログ的. そして簡単な半導体の知識と技術に欠けるなどがそ. な信号に変換する必要があるのか,などなどそれら. の理由であると思われる。技術の発達のスピードが. は具体的な実験がさきだってきめられる。ここでは,. あまりにも速く,つまりは「Hコンビュー▲h・・夕とはどん. 一一般的に述べている段階なので,いくつかの実例を. な機械か」ということを,実際に電気信号の流れと. 想定して,画面から出力をとりだすことを考えてみ. して,物質が引き起こす現象として,実践を通じ. よう。画面の】一角にたとえば白い点を写し出すとし. 余裕をもって,深く考えるいとまを,メーカーもユ. よう。目には白く無変化であるように見えていても,. ーーザーーも持ちえないほど,進展が激しいということ. 蛍光灯がそうであるように,一秒間に数十何の割合. でもあろう。このように,「入出力装置がはじめか. で点滅している。だから,r度,太さのきまった絵. ら準備されているではないか」ということについて. ふでによってそれより細い線を書くことができない. の貝体的な例は後にのべることにする。. ように,原理的にこの間隔より速い変化を画面を通. コンピューー一夕に外部装置を接続するといってもさ. じて外部にとりだすことはできない。しかし,豊富. まざまなレベルがある。研究や技術の最先端での機. な†入出力端子!を備えているのであるから,内容. 器の制御や計測の場面で,例えば超高速で使用され. に見合った1ルプを選べば,理科教育の実験の場. るようなばあいなどは,最初にのべたような困難さ. 面でコンビュ夕を使用するににあたって決定的に. が確かにあり,その場合はコンビュ劇夕の専門家の. 不都合になるようなことは,ほとんどないであろう。. 援助が必要である。さて,コンピュータには前述し. 画面のすみにスポットを点滅させて,たったひとつ. たような入出力装置が本来そなわっていると捉え. の【、LED一」(発光ダイオード)とみなして出力さ. て,実際にそれを利用しようとする際には相当の制. せ,それを光素子によって検出し,特別な装置を介. 約があるのも事実である。しかし,それが致命的な. さずに直接コンビュークーーから外部への信号をとり. 欠点であるかどうかは,具体的な対象がさだまって,. だすことができる。そしてこのような信号のとりだ. はじめて欠点といえるのであって,それもあるいは. しかたは,格別の不都合もなく,単純でわかりやす. 利用の仕方についての深い考察によって制約から逃. く,スポットをだしたり消したりするプログラムは. れることができるかもしれないし,簡素であること. きわめて簡単なものとなる。そして,このようなや. などを特徴として,かえって利点になるかもしれな. りかたで,のちに述べる入力方法とあわせてコン. い。たとえば,専門家でない一般の人々のために,. ビュ夕の現実的な働きの多くをみることができよ. コンピュータの働きを理解させる目的で使おうとし. う。こういった形で,入出力が画面とキーボードを. たり,あるいは,温度制御のような応答の遅いばあ. 通じて簡単にできるとなれば,どんな機種のコン. いや,ランプをつけたりビデオカメラで微速度撮影. ビュ■・・・・夕問であっても相互に通信が可能となる。そ. をするなど実用的に,また教育用のための機器とし. の・一番なじみ深いのがモールス・コ【ドのようなか. て用いるばあいなどは,簡素,明快を特徴としてい. たちでの「会話」,連絡,データのやり取りであろ. るため,情報を与え過ぎないという特徴も加わって,. う。モールス・コードも,いまやその使命を終えた. まさしく上にのべたような見方のはうが有効性を具. が,簡単な2進コードによる通信の新しい「 ̄糸電話」. 体的に発揮する例が多いはずである。そしてまた, 一・138∬.

(8) No.47.. 実験・観察へのコンピュータ利用について. 主流ではなく製造年が数年前という理由だけで,見. の作業である。とくに低学年の子どもや,はじめて. 向きもされていない多くのコンビュー一夕は,そのよ. 電子回路工作に接する者にとっては,目標がはっき. うな使用に応ずる十分すぎる能力をもっていて,個. りしているのに,技術的な未熟さから,それに近づ. 別に活かされることになるのは確実である。くりか. きがたいということで,興味を失うことすらある。. えすが,考えている目的にたいして道具の適用の限. これから逃れることができれば,ひとつのハ山一ドル. 界をただしく捉えるということは,単にその道貝の. を越えたといってもよいであろう。この解決の手段. 機能だけによらない。あくまで対象にたいして十分. として,たとえばボール紙に部品をホッチキスで配. か密かで判断されるべきである。. 線していったり,結線を縁どうしをねじりあわせる. 1993.3. という簡素な方法も可能である。もちろんこの方法 入出力のための電子回路. によって作製可能な回路の限界はみえている。有用. さきに述べたような入出力のために用いられる附. で豊富なICを直接用いることはできないし,部品. 属的な電子回路を構成することば,半導体自身の進. の点数も制限される。トランジスタが3個ぐらい,. 歩によって高機能,低価格で,その取りあつかいも,. 部品は数点,完成時の大きさが最大でもはがき程度. きわめて容易である。もちろんここでの技術のレベ. の大きさというところである。にもかかわらず,ね. ルとしては,初歩的な内容で十分である。したがっ. らった回路が,ボール紙とホッチキスといういかに. て作業の内容としては,小学校高学年の工作程度と. も簡便な点,部品の再利用もでき,やりなおしがき. いってよい。この未完成の完成された機械を,一つ. き,安価で,−【一一定の応用に耐え,親しみやすい,な. の教材のなかで完成させる仕事の要も,ここからは. どの魅力はすてがたい面があり,これによってコン. じまるといってよいであろう。. ビュ√−一夕のハ¶ドゥエアをささえる基本中の基本の. 素子でもあるトランジスタの基礎を学ぶことができ. エレクトロニクスの実験は,予想したことと結果 がよく一致し,音がでるとかランプがつく,モーター. る。もちろん,このような簡易な回路とコンビュー・−・. がまわりだすなどといった変化に富んだ鮮やかな結. 夕との接続も十分に可能である。このようなことを. 果にむすびつく。また工作としても,それ自身が発. 意識して,たとえば「】ぺ−一パ】エレクトロニクス・. 展的で楽しい要素をたくさんもっている。この要素. シリ【ズ」といったタイトルで,精選された内容の. をコンビュ・→クーの入出力の端子と連結させること. ガイドブックができあがれば,それだけでも入門用. で,実験内容は一層期待感のある多様なものとする. として利用価値が高いであろう。そのようなものを. ことができる。このような技術や楽しみを,キット. 電圧,電流,抵抗などの基本的な概念や電子回路を. の組み立てのように,それだけの殻にとじこめてお. 学習するための組立教材として用い,コンビュー一夕. くのは,教材として実にもったいないことである。. との連携をはかれば,その量的限界は見えているに. このような手法を媒介として,たとえば温度測定な. もかかわらず,質的発展の可能性をもっている。こ. どによって自然を探求する手段として多用されるこ. れよりやや複雑な回路をくみたてるためには,ブ. とに目をむけ,コンピュータと関連させて,それを. レッドボードとよばれる,組替え自由な道具が利用. 楽しみながら原理を学び技術をみがいていくのが自. でき,いまでは教室でも半田づけの作業の困難もな. 然の流れであろう(2)(3)・(4)。近年の半導体を中. んなくのりこえることができる。. 心とする分野の著しい技術の進歩によって,さまざ まの素材や,わずかな電力で動作する安価な素子が. 5.おわりに. 容易に得られ,しかももちろん,それをコンピュー タと連携させうるという特徴をもっことから,なお. 以上にコンビュ仙夕という装置について,それが. のことこれに関する技術は重要な意味をもたらす。. きわめて特異な道具である−W一一方で,一般的な道具と. しかしながら,反面素子がマイクロ化された結果,. して,高機能化をともなっててひろく普及しつつあ. 小型化されすぎていて工作が難しい,固体回路内の. る点にふれた。ついで,それを理科教育の,とくに. 動作の経過や原理,内容がつかみにくく教材として. 実験や観察に利用するさいに,それ自体が本来的に. かえって扱いにくい,などということがある。とり. 豊富な入出力装置を備えていることを指摘し,その. 扱いの困難さという点で象徴的なのは,ハンダ付け. さい意識し留意すべきことがらについて,いくつか −139〟.

(9) 矢作 裕. の例をもとに紹介した。そして最後に,この装置を 具体的に利用するさいに必要な電子工作の現況につ いても触れた。 コンピュータを教室で利用するにあたって,その 対象となる子どもたちのおかれている物質的環境 は,ある意味で恵まれた状況にある。しかしながら, 皮肉にも情報から,隔離されていて彼らが,このま まではコンピュータの実像に接近することができな いという点で,また子どもたちがそれと気づいてい ないという点では悲劇的でさえある。教室でも家庭 でも,子どもたちは文房具をまるで湯水のように, 本来必要な量をはるかにこえて所有している。また 必要以上に飾りや機能を付加したものが氾濫してい て,もともとの機能などまるで忘れてしまっている かのようである。この傾向はけっして豊かとはいえ ない。コンビューー一夕は普及の一途をたどっているが, ひるがえって使用者の現況をみれば,その所有のし かたや,利用のしかたに,子どもたちのこうした傾 向とそっくりの状況がありはしないであろうか。そ こには,本来の字消しの役割どうりに,ちびた消し ゴムを大切につかっているような姿をほとんどみる ことはできないように思える。 今回は装置や実験の内容について具体的にはのべ なかったが,それらについては,稿をあらためて理 科の実際的な装置や回路をもとにした利用の例を紹 介することにする。. 参考文献. は(1)「北海道の自然と教育」日本雪氷学会北海道 支部シンポジウム 予稿(1992) 注(2)親子実験教室実験講座用テキスト(1987∬19 92),釧路市青少年科学館 この講座は毎年夏,冬に電子素子を材料にして おこなわれる実験講座で,12回目をむかえている。 このなかで,「ペパエレクトロニクス」の手 法が採用された。 柱(3)「一つくって楽しむ一『おもちゃの科学』」. テキスト(1991),平成3年度 北海道教育大学 公開講座(釧路) 注(4) トーコンビュ【夕制御入門一一一『気象ロボット. をつくる』」テキスト(1992),平成4年鹿 北海 道教育大学公開講座(釧路). 一一肌140膚【.

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参照

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