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個性を生かす社会科の授業 : 北海道教育大学教育学部附属旭川中学校社会科での試み

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(1)Title. 個性を生かす社会科の授業 : 北海道教育大学教育学部附属旭川中学校社 会科での試み. Author(s). 亀畑, 義彦; 白井, 彰; 菊池, 安吉. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 43(2): 175-185. Issue Date. 1993-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5264. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成5年3月. 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第4 3巻 第2号 ionIC) VOL43 i i t tyofEducat lof Hokkaido Univers on(Sec jouma ‐2 , No. March ,1993. 個性を生かす社会科の授業 -- 北海道教育大学教育学部附属旭川中学校社会科での試み--. 亀. 畑. 義. 彦・ 白. 井. 彰・菊. 池. 安. 吉. 1. は じめ に. 今, 学校教育に求められているものは, 今後ますます進むと予測される情報化, 国際化, 高齢化 など, 社会の急激な変化に主体的に対応できる個性的で創 造性豊かな人間を育成することである. この新しい教育の具現 化にあたっ て, 新指導要領の総則 では次のように示されている‐ 即ち,「学 校の教育活動を進めるに当たっ ては, (中略) 基礎的・基本的な内容の指導を徹底し, 個性を生かす 教育の充実に努めなければならない.」 と. この 「個性を生かす教育」 を充実するためには, これまでのような教師の指導が先行するのでは なく, 教師の指導性をできるだけひかえ, 生徒の主体的な 油動のうちに, 自己発見, 自己形成, 自 己実現を図ることが大切 である. 即ち生徒は, 自分 のもっ ている質的な持ち味, 性格, 興味・関心, 意欲, 意志 、を生かして自立的に行動したり, 問題解決したりして, 自己ペースで学び, 活動し, 自 分 のよさに気づいたり, 自己実現を図っ たりすることである. また, 教師は, 生徒一人一人の 思 い や願いを理解するとともに, それを実現するための方法, 場の設定等の工夫に努めることが大切 で あ る.. こうしたことを踏まえながら, 我々は, ここ数年 「個性を生かす教科指導の具体的な方法」 の研 究に取り組んできた. 研究としてはまだまだ不十分 なものであるが, 一つの締めくく りとして, 今 回, それらの研究の概要を記し, 次回以降の研究実践考察の基礎としたい.. n. 社会科教育と個性化 社会科教育のねらいは, 生徒に正しい社会認識を育て, 公民としての資質の基礎を養うことであ る. しかも, その社会認識の仕方は, あくま で生徒自身が自分 の目や耳で確かめ, 自分 の頭で考え るということ, すなわち, 生徒一人一 人の社会事象に関しての見方・考え方・わかり方 (個性的で 主体的な社会認識) を大切にすることこそ意味がある‐ しかし, これま では, 教師主導の一斉学習がほとん どで, そのなかでは, ややもすると知識・理 解の習得に重点がおかれ, 生徒一人一人の見方や考え方・わかり方を大切にした指導とはなりえて い な か っ た き ら い が あ る‐. ますます変化が激しくなると予測されるこれからの社会では, 単に多くの知識を得るだけではな く, 社会の どこに問題があるか(課題意識) , その問題を どのように解決したらよいか(問題解決能 175.

(3) . 亀 畑 義 彦・白 井. 彰・菊 池 安 吉. 力) , また, 問題解決に必要な情報をどう求め処理すればよいのか (情報処理能力) , さらには, 自 分がどう判断し行動したらよいか (社会的判断力) などの能力を身につけ, 自分らしさを発揮しな がら主体的に生きようとする意欲や態度が何より重要なことだと考える‐ そのためには, これまでの一斉面ー的で受動的な学習からの脱皮を図り, 生徒一人一人の関心や 能力等の特性が大切にされ, それらの特性に応じた指導のもとで生徒が自己の個性を発揮しながら 主体的に課題に取り組める学習の導入が必要となる‐ 以上のような考え方から, 本校では選択学習という型で, 生徒一人一人の興味・関心や能力等の 特性に応じて課題やコー スを選択または設定し, 教師等からの多少の援助を得ながらも自らの課題 解決に向け学習を進めていき, その過程において, 教科における基礎的・基本的な内容 (関心・態 度, 意欲, 思考・判断力, 資料活用能力, 知識・理解) の定着と個性の伸長を図るべく実践してい る.. m. 個性を生かす社会科授業の構成~選択学習を中心にして~ 1. 年間指導計画への位置づけ 個性を生かすための選択学習は, どの学年, どの単元でも可能であるが, 本校 では, 次のような 視点から各学年2~3単元に選択学習を位置づけ実践している (資料1) . 〈視 点〉. ・生徒の興味・関心の度合が高い内容を含む単元 ・生徒の興味・関心に応じて追究内容にいく つかの選択枝がつくれる単元 ・共通学習時に調べたことを比較し, 共通点や相違点を得やすい内容 ・調べるための資料が豊富である内容 資料1 社会科年間指導計画 めてきた人翼下巧打 ÷÷ 窮 刀や 不利な諸条件を克服しながら 生産活動を巡めている現状を 理解させる 。 0 新政府の諸改革によって国 く 家社会の体窓幼 整えられていっ たことや地租改正を背景に富 国強兵・ニ ニニ- o 7 L崇-+っ -J て近代工業が習成されたこと を理解させる 。また、謎会政 治開始の歴史的意裟を理解さ. 4 . 九州と中国・四国地方 0 促成栽培や砂丘の農業等新 しい動きに着目させろ 。北九 州工薬地帯が果たした歴史的 役割と新しく発展している瀬 戸内工楽地域の特色について 5 . 臼渚・6瓦徽;と三↓嘱掘 の発展 ○日清・日露戦争、条約改正な どによって困際的地位が向上 したこと、産業革命による近 代産業の発展のようすを理解. 176. 中でとらえさせろ ② 札幌の実態を把媛する。 。 臼本の謎地域の学習の最初として ⑨ 農薬・水産業の現状と問題 ・日 、 地域の特色をとらえる視点をもた 点をしらべる。 ④ 工菜の特色と苫東開発の現 せる。 状をとらえろ。 9 ① +武し‐水 ▼ ‘慨眺jo。 ② 版霜率道 、騒擾億県等の謎 おける歴史的な人物に視点を当て 、 改革の意図をまとめる 歴史における人物の役割について 。 ⑨ 四民平等・地租改正と農民 考える機会としたい。 の生活・文明開花のようすを まとめる。 ・北海道の開拓については選択学雷 選択宇宙①開拓と屯田兵 の中で行う。 ②開拓と囚人 ③諸政策と北海道等 ④ 自由民権運動の動き、帝園 ・歴史的地図や年表の活用をはかり 憲法と駿金政治の内容をとら 公民の学雷への関連がはかられる ようにする 。 l o ① 地図をながめて、地形や気 ・干拓、野菜の促成栽培、過疎化等 候等の特色をとらえる。 の共通した点に視点をあてた展開 ② シラス台地の畑作と溺四国 を考える 。 の促成戦精 、砂丘の農莱をま ・沖縄のあゆみや現状についても適 切な資料を通して理解させる。 とめる。 ③ 北九州と鼓戸内の工業の現 状をとらえる。 9 ① 年安く;ふ三貫霞ゾる。 ・仁:T t メ後におけiT T=と中国 ② 日済・日鍔戦争の原因・倦 を 、日本との開運のなかでとらえ 、 「 べ 後 不 孝 な 関 係 その 、 果について調 る 」が起きた 。 、 ③ 条約改正が行われるまでの ことを理解させたし 。 経緯について調べ、欧米諸国 ・第7師団にもふれる。 との対等の外交関係が成立し たことを理解する 。 ④ 産築革命の巡行を調べる。 1 2.

(4) . 個性を生かす社会科の授業 2. 単元における選択学習の位置づけ 選択学習の単元への位置づけについては, およそ3つの パターンが考えられる‐ 一つは単元の初 めに置く場合, 一つは単元の途中に置く場合, 一つは単元の終わりにおく場合である. それは, 生 徒に何を課題として選択 (または設定) させるか, また, 課題の大きさがどのくらいであるかによ る.. 例1は, 古代文明の中のエジプト文明という比較的狭 い範囲の中での選択学習の例 であり, エジ プト文明の基礎的な学習を終えた後に, 生徒の興味・関心に応じて課題を選択 (設定) させる そ . の後, メソポタミヤ文明やインダス文明を共通に学習することになり, 選択学習は単元の途中に位 置づ、く こ と に な る.. 例2は, 一通り古代文明の基礎的なことを学習した後, エジ プト, メソボタミヤ等の文明につい てさらに詳しく追究するためにいくつかのコースを選択する場合で, この場合は選択学習が単元の 終わりに位置づいている. 本校では, 主に例1および例2のパター ンを多く取り入れ実践している.. (例1) 共通学習. 課題学習 ・ ピラミ ッ ド. エジ プト文明. 共有化 . … まとめ・発表 . . ツタンカ ーメ ン. ・ナイ ル河調査. ・象形文字 (例2) 共通学習. コース選択 .エジプト文明 ・エソポタミヤ文明 ・インダス文明 ・黄河文明 ・その他の文明. まとめ・発表. J - -. 3. 指導マニュ アルの開発 個性を生かす学習の一方法としての選択学習を単元の中でどのように行うのか, つまり, 指導目. 標や指導内容, 指導方法やその他, 指導の具体的な手立てを明確にした指導計画が必要である. 本 校ではこれらをひと目でわかりやすくするためにひとつの形式にまとめ 「指導マニュ アル」 として 実践している (資料2) . ここでは, 目標群を向上目標, 体験目標, 達成目標の三つの側面から捉え, また, 学習過程を個 の特性に応じて複線化を図り, 加えて, 個の特性を生かす視点を明確に位置づけながら, その学習 過程における生徒を形成的に評価する観点や方法を明らかにしたものである. その中には, 個に応 じる学習材としての 「学習の手引き」 「学習シート」 の工夫や生徒のニー ズに応える社会人専門家の 活用など, 生徒 の学習を想定した手立てが簡潔に述べられている‐ 特に, 自己教育力の育成を目指 し, 自己の目標に対しての情意面での評価をも 加えながら, 主体的に自ら学び続ける生徒の育成に 努めている. 177.

(5) . . 亀 畑 義 彦・白 井. 彰・菊 池 安 吉. 必”珍 〔社会〕 科. 資料2 教科指導マニュアル 生. 2名 )名 1 人々のくらしと環境 年 1 時期 1 6 月 1 指 時数 1 1 5時間 1 人数 14 単元(題材 ー 学年 l 達成目標(知識・理解・技能) 向上目標(考え方・関心・1 態度) 体験目標(体験) )世界の諸地域における人々の生活と 1 )自分なりに納得のいくまとめ方を ( 1 社会に興味を持っている { 1 )世界の人々の生活に関心を持 ( 生徒もいるが 事項暗記型 ち 誠まして ,自分で課題を選択設 , することによって, 学ぶ喜びを味 その変化の様子を自然及び社会的条 件と関連づけてとらえさせ, 世界の 欲教科というイメージをぬ 意欲的に粘り強く追究し続ける わわせる. 人々の生活や環境の多様性に着目さ ぐいさることができず, 嫌 態度を培う. 2 ) さまざまな資料を活用して, 社 ( 2 ) イラストやレポートの発表交流を せる. いで苦手という生徒も多 { 2 ) 自分で選択・説 誠…した課題を追究す 会的事象を多角的に考察する態 通して, 学び合うことの楽しさを { し 、 . るなかで 味わわせる. 社会科に関する自由研究 度を培う‐ , 適切な資料を活用しなが らまとめ 自分の考 えを表現する力 もあまり取り組んだことが , を身につける. ないという生徒も多い . 徒. の 実 態. 時 間 1. 個. 習. 内. 4. 2 . 教科内選択学習. Aコース…世界の衣服 Bコース…世界の食生活 Cコース…世界の住居 の. ( 1 )課題選択・設旋. ◇自分で課題を選択設錠 し , 意欲的に粘り強く ☆興味・関心に応じてテーマを選択させる 追究活動を進めること ができる《自己評価》 ◆学習ガイドシート. ☆自分の力で橡占り強く課題を追究させる. ◇計画的に学習を進める ことができる 夫 ☆イラストなどを活用し まとめ方を工 , ◇資料を活用し させる , わかり やすくまとめることが できる ☆TTによる指導と援助. 例 の. ☆資料を自分で集められない生徒には ,積 極的に蜜料を提供し , 援助する. 3 { ) 発表交流. ◇発表方法を工夫し ☆グノ プ別に発表 ,相 ★プリントや0HPなどを利用してわかり 手にわかるように伝え ることができる やすい発表を考える. 3. 世界の食生活 ( 1 )いもととうもろこし 2 )肉と乳製品 (. ◆生徒の発表物を学習材として活用する ☆世界の人々の生活や環 境の多様性に着目する ◆学習材 参考文献「人間は何を食べてきたか」 「人間は何を食べてきたか」 ~アジア・太平洋縞~ シリーズ「世界の家とくらし」 シリーズ「世界の服装」 シリーズ「世界の食生活」 シリーズ「世界の宗教」 実物「世界の衣服」 VTR「NHK世界地理」より 写真・スライド. 5 . 世界の衣服 1 ( )日本の衣服・世界の衣服 ( } 世界の民族衣装 2 6 . 宗教とくらし ( 1 )ヒンズー教と仏教 ( 2 ) イスラム教とキリスト教 7 . 世界の生活と環境 ( ) 熱帯の生活 1 { 2 1 遊牧民の生活 { 3 ) イヌイットの生活 4 { ) インディオの生活 { 5 ) 朝鮮民族の生活 8. 単元のまとめ. 178. 等. { 2 )糞料収集・分析・整理・まとめ. 4 . 世界の住まい 1 } 世界の様々な住居 (. 6. 性. 容. ◇「世界のくらしの知恵を探る!」. 4. の. 特. に 応 じ る 指 導 個の特性等に応じる視点と具体的方策 評価の観点と方法 ・内容・計画 学校社会 科 学習との 関連 を図りなが ◇学習の目的 ☆ ] ら リ ーシ ン ′ 1 オ エ ンテ ョ . 学習の概要と教科内選択学習の進め方 中学校における地理学習への導入として について理解する 興味・関心を高めることに留意する 《ガイドシート》 ★特に , 苦手意識を持っている生徒に対し ては , 具体的な事鞠勿・事象を通して理解 させるよう配慮する 学. ☆世界の諸地域の導入として , 興味・関心 を高めるよう留意する ☆VTRなどの映像資料を積極的に活用し ☆世界の諸地域における 具体的なイメージが広がるように配慮す 人々の生活とその変化 の様子を自然及び社会 る 的条件と関連づけてと らえることができる ☆社会人講師による援助 海外青年協力隊員・日本人学校教師 留学生・外国人など. 生 徒 の 変 容.

(6) . . 個性を生かす社会科の授業 4‐ 個性を生かす学習の学習過程 個性を生かすことは, 生徒の主体的な活動のうちに, 自己発見, 自己形成, 自己実現を図るもの であ る. そ の た め に は, 学 習 の 中 で, 生 徒 一 人 一 人 が 「こ う あ り た い」 「こ う 生 き た い」 と い う 「願. い」 や 「望み」 を引き出し, 自ら課題を決め (選択・設定) , それぞれの持ち味や能力で解決を図る 中で自己実現し, 自分の成しえたことで自己価値観を形成し, 前向きに自己規定しながら自己を高 めていける指導・援助をしていかなければならない. それはとりもなおさず自己理解を深めること でもあり, 一 人一人の生徒の自己理解が深まるように, 自己理解のサイ クルを単元の指導に位置づ けることが必要である‐以上のことから単元の学習過程を下記のように考え実践している(資料3) .. 資料3生徒一人一人の個性を生かす学習過程. 単元の学習過程 (主な学習活動.指導等). オ リエ ンテー ショ ン 自. 屋己成 顕 欲の喚 基本的内容. 目. 標. 基礎・基. 本の学習. (一斉・. 個別指一噂. 理解. (ありのままの 自分). ) 自己決定 にうなりたい (こんなことを. 実. 基本的能力. 己. 転記. ・単元の 単元の学習の 学習の見通し 見通 興味・関心の喚起 単元の学習の意義. 践 モー r翻綻 111十111十 ← 1十十十11lilt十確蒙. (自己理解のサイクル). 、 ) やってみたし. の 実 践(駿葛総 個性を生かした多 左 様な学習活動. 共存化、 受容化. .. 教科、 領域を越え ての活動 (開かれ 甘 た社会科学習) . ま. (教え・. 記配. 相 互 啓発. 指. 導. 179.

(7) . 亀 畑 義 彦・白 井. 彰・菊. 池 安 吉. I V . 個性を生かす学習の具体的な指導・援助 1. オリ エ ン テ ー シ ョ ン の 設 定. 生徒が興味・関心をもっ て意欲的に学習に取り組むためには, 学習の意義や活動の動機 づけ, 「 解決への見通し(イメージ) , 学び方についての自己の目標をもつことが大切になる. さらに, こ の 単 元 で は こ ん な こ と を や っ て み た い」 「こ ん な こ と の でき る 人 間 に な り た い」な どの 成 長 意 欲 を. 喚起させ, 学習や活動に対する意欲や関心を盛り上げることが重要となる. ここでは明確な目的 意識をもたせることと, 活動への意欲づけをすることが肝要である. なお, よい 「自己目標」 とは, 次の要件を満たすものとおさえている. ① 課題解決意欲があらわれている. ② ③. 学習の見通しが立っている. 自己改善意欲があらわれている. (前回の自己評価が生きている). 2. 基礎・基本の学習 ここでの学習は内容をできるだけ精選し, 細かいことがらにとらわれることなく, 事象の中核 となることをとらえさせるとともに, 資料集や関係の図書, また, OHP や VTR を使い, 生徒が 、調べ方の糸口を与えたり資 次の選択学習への足掛かりとなるよう興味・関心を喚起することや, 料収拾の方法等の指導に重点をおいた指導が必要である. 3. 選択学習 1 ( ) 個に応じた学習材 今まで, 教師が指導するために必要な材料や用具を教材として考えてきた. それは教師が学 習の価値を生徒に伝えるためのメディ アであり, 生徒自身がそれを使っ て学ぶものになってい なかっ た. そこで, いま必要なものは, 学習の主体 である 生徒自身が自分の考えで選択・決定, 活用しながら学習の価値を学びとっていく材料や用具である. これを 「学習材」 という. 生徒一人一人の学習状況は, 学習の一つの過程の中においても多様なニ ーズが存在する. ま た, 設定した課題や学習の仕方によって更に, そのニー ズが多様化され, それらのすべてに応 じることは難しいが, 出来るか ぎり設定することは, 主体的な学習活動を成立させるために必 要 で あ る.. 2 ) 追究意欲を促すための自己表現活動 ( 「個性を生かす学習」 においては 生徒一人一人のもつ可能性 能力に注目し それらを可 , , , 能なか ぎり引き伸 ばしていくことが大切である. このことから本校では以前から生徒の多様な 責極的に生かしていくことが, 追究意欲を高め 表現能力に着目しこれを追究やまとめの段階で洞 るとともに, 表現力の育成にも欠かせないことであるとおさえ学習 活動の中に自己表現活動を 導入した実践を図っ てきた. 特に, 表現力の育成は新指導要領でもうたわれているように新し い学力観として, 一層重視していかなくてはならない. また, 自己表現活動を通して, 仲間と 考えを出し合い教え合うなかから, 共同してつくりあげていく社会性が育ち, 望ましい社会集 団の育成も図られる (資料4, ①と②) . 自己表現活動として実践している主なものとしては, ① 180. 時代新聞づくり. ② イラスト吹き出し活用. ③. 机上旅行. ④. 4コマまんが.

(8) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 加 を- 卑 ・ 弦. り. . 離. 一 七 セ 熱 ’ 決 てし ; 七 モ す 今 的 に差 四 年 キ \で てぃ 別 教 は、 ると さ ぃ 澱 辻 小 れ 蟹 者 国 てえ 飲E ヱ キ 「い寸 ﹇厘 扇 た い ま に生 れ ま 4 ろ . 今 キ 、 空 ‐浄 ば ・ ゑ 氏 も 入 “. t. . . . . サ. よラ. . も 不, 巧 の. 茨. う 晴 引 - で .た あ か 択, 雫 る け ヤd ガ; 。. よい 担 う 天た 穿. & 覇. “ れ い ( ろ 辱 { 宇 寿敏 弘 き v v で き 汁 熱ミ 、 :』 ろ〜 ′ 鏡ハ 餅 脚 醐 瀬 棚 郡 艶 輩 餅 れ ‐ ′ 商 も ろ 難 母 γ中 の 、 『 雲 助ヘ あー にみ な な い 国 司 然 ろ ー な に 十右. 鱒 経 ぃ く 稀 ・ のご カ 妙 性藷 ら 鱈 剃 ’ 殺 人 な人 ′ り 一 斗 口 且 掛 聴卦 鰹縦 今 鴇 ←の が ? 認 政 煉治 1 に 土地 い# に の ′ 2や 腕 懲 文再 葛 し 響有 力 な 藷 作 “ も や 寺 社 ’て て い 鰭 溌 襲 ま かm き き7 農 民 ぜ た ” 爵 無 競 戦 “ ” 鮫 れ のど ” の キ ド 瞳 く7し ・ も る よょ 在 う 国 洲 鰯 ぃ 魂 ふ , 射 漕 帆竣 朝 柔船 ”ゑ 豆 と堅負む 謹い 聴 鰍 釧 . . “. 凄 艶 髪 J し瀞〜 熱 嫌 鰯 繊 曾 が . ‐鰯愛 蒲 錆 隣 歯 雑 総 潮 岬 . . mo tれし 十 0貧 斗私九0 有 0 人 士 い 冷糟 、 に拝 み怯 参 坪 十し の ーも せじ る 1 冬. 1」 ′一 現里 況雪 驚轡 熱け . ハ ′ o たぃ 年ニ ? 度 ← 沢 反 乱 爽 E は ★ 謝 業 ’ て た 鎮 , 守 屑 き 亨. . 聞. . . . . 柵. . 闘. . ー r . . . 醐. 圏 副. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ※. め 葦 S 難. 階 夢 斗 弾. 高 酵、 孫.

(9) . 亀 畑 義 彦・白 井. ⑤. 紙芝居. ⑨. 役割演技. ⑥ ⑩. ドラマ化. ⑦. VTR作成. 彰・菊 池 安 吉. ⑧. 戦争体験の聞き書き. 毎日のニュース発表. などである.. 4. 学習の共有化 選択学習は生徒一人一人の興味・関心がベースである. したがっ て, 追究する内容が多様である ばかりではなく, 時には認識のしかたが, 自己中心的である場合もありえる. 個性を生かすと同時 に社会認識は, より客観的, 科学的でなければならない. そのためには, 様々な資料や情報を用い るとともに, 多くの人々と話し合い, 意見交換をし, 論争するなどの活動を重視する必要がある. また, このことは, 友達と学び合いながら自己啓発を図る, ということでもある. 他人と学び合い ながら, 他人のよさを知り, 自分 を知ることであり, 他人の意見や信念に対する寛容な態度を育て ることである. これは, 同時に, 自己の態度変容にも通じることである. 共有化の方法としては前述の自己表現活動と関わっ て様々なものが考えられるが, ここでは, 講 座形式を取り入れた実践を一つあげてみることにする. 実践は, 1年歴史 「古代日本のなりたち」 の中で, それぞれが調べたことや体験したことを持ち 寄っ て, 発表したり, 考えを論じ合う場を設けた. はじめは, 似たような内容を調べたもの同志が 集まっ てそれぞれ交流した後, それらの中から代表を選び, その代表が講師となっ て講座を開くと いう形式をとっ た (資料5) . 資料5 共有化の実際 本時の学習 1. 目 標 友達との交流を通 して, 自らの学習 の取り組み を積極的に 述べ るとともに, 他の八の 取り 組みにも関心 を向け, 進んでそのよさ を学 び, こ れか らの学習に生かそう とする意欲 をもたせる. 2. 準 備 OHP, 学習 プリ ン ト 3‐ 展 開. 段階. 留. 学 習 活 動 と 指 導. 意. ,点. 】1 1. ・学習めあてを明確にする. (OHP使 1‐ 本時の学習のめあてや内容を知る‐ 用) ( 1 ) 交流を通して, それぞれが取り組んできた学習 内容を教え合ったり, 学んだりする. ( 2 ) 他の人の取り組みを聞いて, その人のよさを見 つけ, 今後の自分の学習に取り入れる‐ 2‐ 学習の取り組みについて, 簡単に発表する‐ ( 1 ) そこを詳しく調べようとした理由 ( 2 ) そのために行った学習活動など. ・数人の生徒に発表させる‐ 発表させ ることにより, 他との交流への意欲 を高める. ・発表は簡単に行い, 深い入りはさけ る‐. 3. 詳しく調べた時代や内容が同じもの同士が交流す ・交流する時の人間関係に配慮する. る. 1 1. 182. 1 ( ) 具体物を示したり, 体験的な活動を交えながら ・話し合いがスムー ズに行われるよう に机間巡視し援助する‐ 話し合う‐ ・他の人のよさを学習プリントに書か ( 2 ) 他の人のよいところを学び合う‐ せる‐ 3 ( ) 交流した人の中から講座の講師を選ぶ..

(10) . 個性を生かす社会科の授業. m 皿. IV. 4. 講師を中心にいくつかのグループに分かれ講習会 ・講師以外の生徒は自分が詳しく調べ て い な いこ と で興 味 関 心 のあ る とこ ていないことで興味関心のあるとこ を行う‐ ろを, 教えてもらいたい講師につい 1 ) 講師は詳しく調べた内容について教える. ( て教えてもらうようにする. 2 ( ) 受講生は質問しながら学ぶ. ・要点をおさえた発表をさせる‐ 5‐ 交流によって得たことを発表する‐ 1 ) 他の人の取り組みから学んだ点 ( ・学習内容面だけのよさではなく, 学 ( 2 ) これからの自分の学習にぜひ生かしたい点 習への構えな どにも目を向けさせ る.. V. 6‐ 今日の学習の反省をする‐ 7‐ 次時の学習内容を知る. (地理分野の東アジア). ・次時の意欲につながる評価をする.. V. 個性を生かす学習と評価 個性を生かすための評価ということで次のような点を重視し進めている‐ ・結果を重視するのではなく過程を重視する ・情意面の評価を重視する ・肯定的な評価をする 具体的な評価活動としては, ( 1 ) 診断的評価 これは, 選択学習を進めるうえで, 生徒が単元の どんなところに興味・関心をもっているの かまた, この単元に対しての学習意欲はどのくらいあるのかを診断するために行うもので, こ の診断結果が基礎・基本の学習をどう展開したらよいかの資料となる‐ 2 ) 形成的評価 ( これは, 単元の学習の途中途中において, 学習状況を評価するもので, その評価の結果をも とにその後の学習および指導の手立てを講じる資料となる. これまでは, 知識・理解や技能の 到達状況を測るための使われたものであるが, 個を生かす学習の中では, 生徒の興味・関心や 意欲がどう変容するかが大切なことであり, 情意面の形成的評価が必要になる (資料6) . ( 3 ) 自己評価 選択学習は自分で課題を選択 (設定) し, 教師の指導・援助を得ながらも自分の学習計画に 従いながら課題を追究していく, いわば自分 で学習を進めていく学習であるから, 当然そこに は計画・実践・評価というサイクルが必要である‐ 自分 の学習を自分 で自己目標に照らしあわ せて評価する‐ その結果を次の学習の自己目標や計画に生かしていくということができるよう になることが自分で自分の学習を進めていけることであり, 自己評価はそのための重要な要素 と考える. また, 評価の評価の基準は, 他との比較ではなく, あくま で自分 のそれまでの成果 や取り組みに対しておこなうことが大切 である (資料7) .. 183.

(11) . . 亀 畑 義 彦・白 井. 彰・菊 池 安 吉. 資料 個性を生かす学習. 1 i土器 ぜ撒茅サデ). 古代 人の 丈 ′B. 灘灘. 40 r “.A. 星壕 れ火 器 ぬ 梓. ≦r)2に. 磯. に≠スキえ@<?;?) の墨 こミリえ. ラドユルく工入tt - ). ラギ マ. ℃乾 、違 ‐@. 言ig 0へ z愛 に. 人詑モー スじれα1 Qのゎ“z同じように 、た ‐8岱ムスモただ希九て・ h泥のもせにつれ .スル・↓えろ・雪なでの1嫌えE打月す;;【e ・ 、はぐりたず 、 ・ゥrラガ~r人姿私 PT大f仮( 汁店入た “ I . 人馳 , 一ぅガて豚なぃゲ .スE仏‐たまとろい”姿な.犬1ゑんrる値して 日べすう妃九!れ 右胡 いたゃ熔の‘ l gる雲壁 t d 1舷千乙:トう. ー のぁZずのラれ ?陶駈三行代の&“にU’ ,ぺのれRr-峻tLた. 1社会 櫓 盟ノート1 1年B組名 前 Y ,N 「- -々・ら学 ん だこ とを 薪 こう. 1‐ 〃--” 友だちのろ. えぐちのゐ S H .. 汲め ・汀 凄. 共々 ・ ;烹 ・「 ‐ ・憲炎4 4 BO質婁 てひ拳 う H q吟じ - h正 i メ. 、詠歌覇 、 す 裏高鍋皇 さ 墨繁多徳望ゑ繁り琳. , , 1社会ネ粋 響ノート1 降 8 搬 前 A 1.. も の′. ただちのる. M‐5. か ら学 ん だこ とを 暮こ う, Y.N. 伎ぬ ・ こ愚 ・r ‐ .のよう1 ◎火も.℃ くっガラーL、. kのが よくわな た。. 。苔鑑ききもズもヒ ’た. 1. 亥′ ぐちのろ.H ^ 門‐O . 貧小,r ミニ 参 ペキン象人の座さ L大のっが. )角跡 くわLくかいて女,天 し ,. ′ て罰霊 喜ん鵠ぼ嬢鱒臨写学費. o x力・ら 声^し玄ごだ気 ‐ 2. 軽薄B市に〉9 ズ乞っけさのに 木ど本をこすり8ゎせて 鶴 や3うとた. てャ て , , -漆. ・河,さくさくとでも ゞ熱 」かなくtmを ,たが・ .それで.それだヮ ・舵つけ のは美佳 一 入た・ 参 ” 足ぶ李Lた・ut遅れき 去庭 の戸斥 IP・ 3・ 3工夫 t 人 ・“ 、. 184. 砕け t. ようにL ÷ t・ ・たので. 2‐ 橋8而の 発 表ヵ、参学ん だ点 L器の謙虚 〆 ねん±下 士器つく,ヤホたの で 況附ーする 時、『の上器1 乞っ力; 訴 え瑚E ‐狐くれてL モ・わかりrすく1よか. なCヰよ くわが ド 。 講 評 の人 ,た エ 器◎ 牝前 中 l L b ‐ i か H え鯛′ か 夫 訴 お の ..

(12) . 個性を生かす社会科の授業 資料7. 自 己評価カー ド (要点のみ) 自. 己 評 価 カー ド. 名前 (. ) はい. い いえ. 1. は じめ に, 興 味を も っ て 取り 組め ま したか. 3. 2. 1. 2‐ 考 え た り 調べ た り する の に 意 欲的 で した か. 3. 2. 1. 3‐ き ょ う の 学習 は 理解 できま した か. 3. 2. 1. 4‐ た がいに 協 力 しあ っ て 学習 が でき ま した か. 3. 2. 1. 5‐ お わ っ て みて なん とかや れた と か, お も し ろ か っ た と 感 じま したか.. 3. 2. 1. VI . おわ り に. 「個性を生かす社会科の授業」 ということで これま での研究の概要を記したが この研究を通 , , して次のような成果を得た. ①個性を生かすための選択学習等の学習は年度当初から年間指導計画 にきちんと位置づけ, 単元の どこで生徒の興味・関心を生かした主体 的な学習をさせていくか とい う見通しをもっ た展開が必要である‐ ②選択学習は単元の中に位置づけるだけ ではなく 自己理解 , , 自己決定実践, 自己確信, 自己認定という自己理解のサイ クルを通して展開することが大切である ‐. ③個性を生かす選択学習では, 選択学習への導入段階が大切であり, この段階でいかに生徒の選択. 学習への意欲を高めるかが選択学習が成功するかの大きなか ぎである ④選択学習を進めるうえ で . , ガイ ドシートや資料等の学習材を教師が どれだけ準備 できるかも重要である ⑤自己表現活動を組 . みこんだ展開を図ることによっ て生徒の課題追究への意欲は高められる. ⑥自己の学習に対しての 評価がきちんとできるように なっ てくると主体的な学習はかなり身についてきている ‐ 研究としてはまだまだ不十分 なところがかなりあるので, 今後さらに実践を重ね 研究を深めた , い と 考 え て い る‐. 〈参考文献〉 1‐ 加藤幸次 「個性を生かす先生」 図書文化 2‐ 日本教育評価研究会 「指導と評価」’ 8 8の6, 9,’ 89の1 1 9 2の7 図書文化 ,’ 3. 附属旭川中学校研究紀要 1 9 88~199 2. 185.

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参照

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