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『御伽草紙』の係助詞

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Academic year: 2021

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全文

(1)

『御伽草子』

ここでは、係り結びを下 につくる係助詞「ぞ」「なむ」「や」 「か」「こそ」について 味別、位相別、 男女別の使用状況を 謁べ、その結果と他の時代の作り物語との比較考察を述ぺる。テ キストは岩波書店の大系本であ ろ。 次のような要領で盟別をした。 (位相の諜別_ 1地の文にあっても、作者や屈者の感想、 意兄、感慨と思われる ところは心中のことばとする。 (例)ある野の中の四辻へ捨てられけるこそ あはれなれ ( P 62.111) 2会話文中の心話は心中思惟とする。 3絵詞は会話に入れる。 4会話、 心中思惟の歌は、 歌として扱う。 一男女の諜別) 会話、 心中思惟、 歌、文の主の磁別である。 猿、 描、 犬鬼、天 狗等が会話主になっている話(「のせ猿さうし」「猿のさうし」 「酒呑窟子」「秋夜長物語」等)ではオス、 メスの別で、また鬼

の係助詞

や天狗は男とみなして男女の諜別を した。 大勢の場合(「殿上人」、 「ある人々」など)も、 男性と判断されるものは男とした。 《結びの種類) 1完全:…法則どおりのもの。 2沌去(流れる)・・・・・・結びの部分が下に続いて、 流れている場合• 3省略・・・…結びになるはずの語が省略されている場合。 4沌滅・・・・・・結びになるはずの語が終 止形で、結び が消えている みなされ ろ場合。 5誤り・・・・・・結びが連体形になるはずが已然形(逆に結びが己然形 になるはずが迎体形)となっている湯合。 なお、 「ぞ」「なむ」「ゃ」「か」の結びが四段型活用をする 語で、終止形と連体形とが同一の形のため、終止形(つまり「消 滅」)とみるか辿体形(つまり「完全」)とみるかの区別がつ ないときは、係り結びが行なわれた」という前提で考えて、そこ は迎体形とみなし、 「完全」とした。同様 に、 「こそ」の結びの とき、 結びは己然形となるが、結びとなる諾が 四段型活用をする

(2)

用例数を表ーに基づいてみていく。 .語で終止形か連体形かの区別ができない場合 も、 「係り結びが行 なわれた」として連体形とみなし「誤り」とした。 0調査対象から除外した係助詞》 後に結びをつくる係助詞のみを対象としたから、 結びをつくら ないもの、 閻投助詞、 終助詞的なものは除外した。 また、 「やら ん」が『御伽哀子』には頻出するが「にやあらん」の約であるの でとらない。 《調査の対象から除外した話》 .『御伽草子』 の中で、「二十四孝」と「猫のさうし」は除外した。 それは、 前者が二十四孝詩選の詩を掲げ、 それに基づいて二十四 の説話を述ぺており、一種の翻訳文学というぺきもので、後者が 『御伽草子』二十八綱中年号を明記(媛長七年八月中旬洛中の猫 の綱を解き放つようにという命令が下されろと)してあり、猫の 綱を解き放つ旨の布会は時疫卿記によれ ば、 実際に出されたもの であって、同年あるいはそ の後まもなく笞かれたらしく他の『御 伽草子』の諸作品よりずっと時代が下ろものとみなされる、 とい .う理由からである。 ー濁査の結果I わかっている範囲で古いも のから順に、 強意と疑問、 反語別に (表I)

〔御伽革子〕

位相

男女

なむ

こそ や やは か かは

26

l

2

1

i

11

3

3

1

1

8

12

3

1

野地

10

5

8

11

1

5

4

2

1

本う

6

1

1

21

1

6

3

1

2

1

2

1

3

2

2

5

1

4

1

(3)

-116-. 位相 男女

なむ

こそ やは かは

3

1

6

I

2

4

1

1

3

1

1

絵詞

1

2

1

1

l.

24

5

3

1

1

4

3

2

1

1

1

11

4

16

8

4

2

1

1

その他女

3

1

1

2

l

2

3

1

3

3

3

2

1

3

3

2

1

男女

5

1

1

3

1

1

1

18

1

4

6

2

1

1

I

1

1

1

5

2

1

4

1

1

1

1

2

I

21

13

1

3

12

3

3

1

1

1

34

2

8

4

1

5

5

そ女の他

1

1

1

1

l

2

2

1

l

2

(4)

-117-話

位相

男女

なむ

こそ

やは

か かは

3

2

1

2

2

1

2

3

1

2

1

1

2

2

1

2

1

2

17

l

5

工X

1

2

2

l

子渡

1

4

41

1

5

3

l

1

6

5

5

l

1

1

l

1

4

1

l

6

1

2

2

その他

2

1

2

2

2

l

l

1

1

磨草草 紙

2

l

4

1

1

4

2

6

2

1

2

l

3

I

I

5

1

ヽコX

6

l

l

l

2

3

6

l

1

1

ゞし‘

3

2

l

1

れし

(5)

こt.-話

位相 男女 なむ

こそ

やは か かは

2 1 ュズ 1

3 1

4 4

l

t

ll

1 1 1

3

l

1

1

33 5 4 1 2

2

その他

1

12

l

l

4

2

1 せさ

t

4 2 1 1

魯出

5 2 1

魯泉部

1 2 1 1 2 3 2 2

一法 1

3

寸師

1 1

1 2 1 し‘ 3

l

1 347 33 361 156

74 14

(6)

一、強意 ①秋夜位物語(永和三年一三七七年写本のものを 底本 「なむ」は地の文に一例用いられているだけ。 「ぞ」は心中 思惟に一例で、 あとの二十六例はすぺて地の文。 「こそJは 男の会話に十一例、 女の会話に一例、 男の心中思惟に八例、 女の歌に一例がある。 ②熊野の御本地のさうし(以下はすぺて室町中期の作品) 「なむ」は地の文に五例で、 これはいずれも歌の直前の「 ... ・・・・かく篇、 歌:・[·:」という形。 「ぞ」は地の文に十例ある だけ。 「こそ」は地の文にはなく、 会話と心中思惟にあわせ て二十一例、 女の歌に一例みられる。 ③あきみら 「なむ」は地の文に一例、 「ぞ」は地の文に二十一例、 女の 歌に一例。 「こそ 」は地の 文には六例、 あとは男女の会話、 心中思惟に十四例みえる。 ④福宮長者物語 「なむ」の用例なし。 地の文に「ぞ」三例「こそ」一例、 の会話、 男女の心中思惟に「こそ」六例、 また地の文、 絵洞 に「こそ」各一例がある。 ⑤三人法師 「なむ」は男の会話に一例あるだけ ぞ」も地の文には一 例。 しかし、 男女の会話に各一例ずつ二例、男女の歌にも名 一例ずつ二例ある。 「こそ」は会話のみで、 男の会話に二十 四例、 女の会話に四例、 計二十八例も会話の中で用いられて いる ⑥鉢かづき(この作品から、 室町後期) 「なむ」は地の文にのみ用いられ、 四例みえる。 同じく地の 文に「ぞ」が十一例「こそ」が十六例あろ。 また「ぞ」はそ れ以外は歌に一例あるだけ。 「こそ」は、 男女その他(人々) の会話、 男女の心中思惟に各々十 二例、 四例と多くみえる。 会話、 心中思惟は「こそ」の 用例のみである。 ⑦浦鴫太郎 「なむ」は地の文に三例、 同じく地の文に「ぞ」三例、「 こそ」 二例、 歌には男のに「ぞ」一例のみで他の諾の用例なし。 男女の会話、 男女の心中思惟にはいずれも「こそ」の用例 が各六例ずつあるだけである。 ⑧横笛卒紙 「なむ」は地の文に一例、 同じく地の文に「ぞ」+八例、「こ そ」八例、 歌には男女あわせて「ぞ」三 例、 「こ そ」一例、 男女の会話、 男女の心中思惟には圧倒的 に「こそ 」が多く、 順に十三例、 九例となっており、「 こそ」 の用例はない。口‘」 は男女の心中思惟に各一例ずつ計二例あるだけである。 ⑨酒呑窟子 「なむ」の用例はない。 地の文に ぞ」が二十一例、 「こそ」

(7)

-120-が十三例ある。 男女の会話に、「ぞ」が各 三例ずつ六例、 「こ そ」は男の会話と男の心中思惟に各十 例、 一例と用いられて いる。 ⑩文正さうし 「なむ」は地の文に二例あるだけで他の位相にはない。同じ く地の文に「ぞ」三十四例、'「こそ」八例 、 男 女その他(人 々)の会話は「こそ」が圧 倒的に多く、碩に 五、 四、 一の計 十例、 「ぞ」は各一、一の計二例、心中思惟も男女共「こそ」 が各一例ずつあろ のに対して、 「ぞ」は男のに一例あるだけ である。 ⑪小町草紙 地の文に「なむ」は二例あるだけ。 同じく地の文に「ぞ」三 例、「こそ」一例、 歌では「ぞ」が男二例女一例の三例、「こ そ」が男の に一例のみ。 会話、 心中思惟ともに「こそ」の用 例だ けで、 男の会話に一例、 女のに三例、男の心中思惟に一 例みえる。 ⑫御曹子島渡 「なむ」は地の文に一例 あるだけ。 「ぞ」「こそ」が地の文 に各々十七例、五例とみえ ろ。 会話、 心中思惟では「こそ」 の用例が、各々三 例、 一例とあるだけ で、他の 話の用例はな 、 。

⑬店糸さうし 「なむ」の用例はない。 地の文に「ぞ」四十一例、 「こ そ」 九例ある。 男の心中思惟に「ぞ」が一例あるほかは、男女の 会話、 男女の心中思惟、 歌、 文の用例はすべて「こそ」で、頑 に十一例、 六例、 一例、一例とみられる。 ⑭木幡狐 「なむ」は地の文に一例用例があるだけで他のか所にはない。 同じく地の文には「ぞ」が六例、 「こそ」が二例ある。 会話 心中思惟では、 「こそ」が順に五例、三例と多くを占めてい る が、「ぞ」は会話に なく、 心中思惟に三例あるにすぎない。 ⑮七ば卒紙 地の文に「ぞ」二例、 「こそ」一例あるだけである。「なむ」 はなし。 ⑯猿源氏草紙 「なむ」は地の文一例、 会話に二例 あろだけ。地の文では字」 四例、 「こそ」一例、 会話にはめずらしく三梧ともみえる。 「ぞ」「なむ」「こそ」は各々四例、 二例、九例で、 やはり 「こそ」が圧倒的に多い。 心中思惟も「こそ」の用例のみで、 男女各一例ずつある。 歌は男のに「ぞ」が三例ある。 鷹<さ太郎 「なむ」は地の文に五例あるだけで他のか所には皆無である。 同じく地の文には「ぞ」九例、「こそ」一例あ る。 会話文で は、 刃のには「こそ」が六例あるだけ、 女のには「ぞ」一例、

(8)

-121-「ぞ」が地の文、歌に各

⑲蛤の草紙

⑱さざれいし

「こそ」一例、

緊敦盛

そ」があるだけである。

⑪梵天国

「こそ」二例。心中思惟でも、

男のに「こそ」が六例あろだ

けで、

ここでも圧倒的に「こそ」が多い。

「なむ」の用例なし。

地の文に「ぞ」三例と「こそ」二例の

みである。

「なむ」の用例なし。地の文では「ぞ」二例

会話では男のに「ぞ」一

例、

女のに「こそ」三例、心中思惟

では、

男のに「こそ」四例、

女のに「ぞ」一例がみられ、こ

こでも「こそ」が圧倒的多数を占めている。

「なむ」は皆無。

地の文に「ぞ」十一

例、

「こそ」一例があ

る。

会話では、

男のに「こそ」=_例、

心中思惟にも、男のに

「こそ」が一例あるだけ。従って、

会話、

心中思惟とも「こ

「なむ」の用例はない。地の文に「ぞ」三十三例、

「こそ」

五例。会話、

心中思惟共に「こそ」の用例だけである。各々

六例、十例とみられる。

⑫のせ猿さうし

「なむ」「こそ」の用例はない

例ずつ四例あるだけ。

⑳浜出草紙

地の文だけで、

二例

「ぞ」五例、「こそ

魯泉式部

一寸法師

⑳さいき

「なむ」は地の文に二例だけで、他の位相にはない。地の文

では「なむ」以外、

「ぞ」が一例あるだけ。「こそ」はない

会話には「こそ」が一例あるだけ。歌では、女のに「ぞ」

二例、

「こそ」三例みられる。

「なむ」の用例はない。男の会話に「ぞ」一例、男の心中思

惟に「こそ」=一例あ

る。

「なむ」は地の文に一例の

みで、他の位相にはない。同じく

地の文に「ぞ」九例、

「こそ」一例がみられろ。

心中思惟に、

「こそ」=一例(男一例、

女二例)、男の歌「ぞ」三例、

女の

歌に「こそ」一例、

男の文に「こそ」一例ある。

賃問、反語

用例が「や」よりも少なく、文法上使用に限定のあろ「

か」

「か

は」を中心にみていく

①秋夜長物語(永和三年写本のものを底本)

地の文に「かは」一例、男の会話に「か」三例がそれぞれみ

られる。

(「や」は会話、

心中思惟、

歌、

地の文にあり)

「なむ」の用例はなく、

(9)

·"

②熊野の御本地のさうし(以下、 室町中期の作品) 地の文に「か」「かは」はなし。 男の会話に「か」五例、「 は」一例、 女の会話に「か」二例、 その他(虎)のことばに 「か」一例、 男の心中思惟に「かは」一例がある。 (「や」 は地の文、 男の会話にあり) ③あきみち の文に「かは 」一例、 男の会話に「か」二 例、 「かは」一 例、 女の会話に「か」二例がある。 (「や」は地の文、 会話、 心中思惟にあり) ④福富長者物語 地の文に「か」はない。 女の会話に「か」一例あろだけで、 「か」の用例は他に無し。 (「ゃ 」は地の文 心中思惟 詞に多数あり) ⑤三人法師 地の文に「か」「ゃ」共に無し。 男の会話に「か」三例、「か は」一例、 女の会話に「か」二例、 あとは「か」「かは」の 用例なし。 (「ゃ」は男女の会話、 男の歌にあり) 貿かづき(以下の話は室町後期に成立) 地の文に「か」二例、 男の会話に「か」「かは」が各一例ず っ、 男の心中思惟に「か」一例がある。 (「ゃ」は女の会話 女の心中思惟、 女の歌、 地の文に多数あり) ⑦浦蝸太郎 (「や」は、 会話、 心中思惟、 地の文に「か」なし。 女の会話に「か」二例、 「かは」一例、 男の心中思惟に「か」一例、 女の歌に「か」一例があろ。 (「ゃ」は、 男女の心中思惟、 地の文にあり) ⑧横笛草紙 地の文に「か」「かは」各一例ずつあろ。 女の会話に「か」 一例、 男の心中思惟に「かは」二例、 女の心中思惟に「か」 一例がある。 (「ゃ」は会話、 心中思惟、 地の文にあり) ⑨酒呑窟子 「か」「かは J の用例なし。 (「ゃ」は地の文、 会話、 心中 思惟、 歌にあり) ⑩正さうし 地の文に「か」「かは」なし。 男の会話に「か」一 例、 地の 文に「か」一例、 あと「か」「かは」の用例なり。 (「や」 は会話、 心中思惟、 歌、 文に多数あり)

⑭木帽狐

地の文に「か」「かは」「ゃ」「やは」の用例皆無。 女の心 中思惟に「か」一例のみあり。 ⑮七草草紙 「か」「かは」「や」「やは」いずれもない。 ⑯猿源氏草紙 男の歌に「か」一例あろだけ。 歌に多数あり)

(10)

の み ) ⑳小敦盛 地の文に「か」一例 、 男 の会話に「かは 」 一例、 女の会話に 「か」一例がある。 (「や」は地の文に一例あるだけ) ⑳梵天国 男の会話に「か」二 例、 その他の会話に「か 」 一例、 男の心 中思惟に「か 」 「かは」各一例ずつある。 (「ゃ 」 は男の会 話に一例あるだけ) ⑫のせ翔さう し 男の会話に「か 」 一例、 男の心中思惟に「か」四例、 男の歌 に「か」 ' ⑳ 浜出草子 「か 」 だけ) 一例ある。 (「ゃ 」 は男の歌に一例あるだけ) 「かは 」 の用例はな い。

⑳和泉式部

(「や 」 は地の文に一例ある (「ゃ」は男の心中思惟に一例あろ ⑰物くさ太郎 男の会話に「か 」 一例、 女の 会話に「か」三例、女の 歌に 「 か 」 一例がある。 (「や」は会話、 心中思惟にあり) ⑱さゞれいし 地の文に「か」一例。 (「や」 も地の文に一例のみ) ⑲蛤の草紙 女の会話に「か 」 一例。 女の歌に「か」二例。 ⑮一寸法師 「か」「かは 」 「ゃ」「やは 」 皆無。 ⑱さいき 女の心中思惟に「か」一例あるのみ。 (「ゃ」の用例なし)

曰魯

「ぞ」は会話、 心中思惟、 歌に少々みられるが、 用例数はほん の僅かであり、 主に地の文 で多く用いられており、 「ぞ 」 が客 観性の強い叙述の表現であることを物語る。 一方、 「なむ」は、 全体でもCく僅かで、 用例が全く無い話 は九話にものぼる。 そのCく佃かの用例のすぺてが「……かく

なむ(いふ、 よめる) J の次に歌がある場合に限られている。 「こそ 」 は、 地の文、 会話、 心中思惟、 歌、 文と広い位相で用 いられており、 とりわけ、 会話、 心中思惟での用例が圧倒的多 数を占めている。 「ざ「なむ」「こそ」の用例数の比は約十 一対一対十一であ る。らなみに、他の時代の作り物語と比ぺてみる 『竹取物語』の地の文では、 「ぞ 」 も「なむ」もかな と 、 痰 n) り用いられているのに対 し、 「こそ」は全くみられず、 会話で は「なむ 」 が主流、 続いて「こそ」が多く用いられ、 「ぞ」は

c

くわずかである。 「ぞ 」 「なむ 」 「こそ」の用例数の比は、 謂査結果からの考察 (「ゃ」も女の歌に二例だけ)

(11)

一対八対四で、

「なむ」が圧倒的に多い。

(表

ll )

『落窪物語』に

なると『竹取物語』で多くみられた「なむ」が心中思惟と欧に

ほとんど用いられていず、

「ぞ」と用例数に差がないのに幅広

くいろいろな位相でみられる「ぞ」より限定的である。「とそ

は会話で、

「なむ」や「ぞ」よりも多く用いられ、

しかも歪ヽ」

と同じく、各位相でみられる。

『落窪』での「ぞ」「なむ」「こそ」の用例比は、一対三対

三となり、

「なむ」が『竹取』より、激減していろa

〔表

3

『堤

中納言物語』をみろと、その用例比は、約一対一対二であり、

ざ落窪物話』よりさらに「なむ」の占める割合が減ってい

る。

「貝あはせ」には皆無であるし、全体を通し

て、

地の文、

会話、

心中思惟、文に僅かずつ散見する以外、歌には全く見ら

れず、使われないようになっていく傾向がわかる。一方、

「と

そ」の用例は多く、その九十五パーセントまでが、

会話と心中

思惟で使われている。

「ぞ」は、

地の文、会話`

心中思惟、歌

文とあらゆる位相で見えるが、

とりたててどこに多いとは召え

ないし、

「はいずみ」でのように、

全く無い話もあり、用例数

は、

「なむ」同様少ない。

(表JI)

〔竹取物臣〕

位相

男女

なむ

こそ

や やは

カ>

かは

13 10

2

1

2

21

8

14

7

7

2

3

1

25

8

2

2

1

l

1

1

3

l

....茫....

...

5

39

23

15

5

36

l

〔堤中納言物臣)

位相

男女

なむ

こそ

や やは か かは1

慕』;

g

2

2

�I

3

4

3

1

1

;...

l

1

l

3

1

1

l

1

(12)

-125-〔堤中納言物餡〕

位相 男女 なむ こそ や やは か かは

1

1

3

2

3

3

2

5

l

ー ・

1

1

5

会 男

1

1

2

,

1

2

1

ぷ 男誇)

4

1

2

1

2

る ふ 女

1

1

2

1

1

3

1

1

2

4

2

2

ど懸

g

の想

1

1

3

会 男

1

2

5

3

坂権 女

l

8

2

1

討;

1

1

2

4

1

ぬ言

1

2

1

1

g

1

2

会 男

1

3

1

は 女

1

6

1

1

4

万月

1

会 男

1

2

1

2

1

1

I

1

6

1

1

1

1

1

2

1

な 会 男

l

だ 女

12

2

1

』しヽ

1

3

2

2

1

1

― l

.•

(13)

-126-〔堤中納言物臣〕

•9

l

位相

男女

なむ

こそ

やは かは

1

1

ヽ工如

6

3

2

4

し‘

世の人々

1

2

3

1

l

1

1

2

1

l

1

1

1

しし

一骰

の人

1

1

c

1

・・..

......

1

3

1

.

5

50

40

90

61

6

24

6

一頁当たり割合(63頁

0.79

0.63

1.42

0.97

0.09 0.38

0.10

〔落窪物話〕

位相

男女

なむ

こそ

やは かは

6

10

l

1

8

17

35

12

l

5

2

7

22

34

13

2

11

l

3

4

15

1

l

6

11

13

10

2

1

14

5

1

2

1

4

3

1

.. ..女

...

3

1

...

小it

42

65

88

53

3

34

4

6

2

2

1

6

27

29

12

2

13

3

6

24

31

7

1

3

(人そ中納の伯話々)

2

1

1

1

8

2

l

3

1

3

8

2

1

3

2

2

1

1

8

1

4

3

...

小計

73

73

37

3

30

(14)

〔落窪物藍〕

位相 男女

なむ

こそ やは かは

3

20

l

2

1

46

15

21

17

13

3

1

3

11

3

3

2

2

4

2

l

2

1

4

l

1

7

1

6

l

3

...

小計

10

94

43

25

4

21

4

6

49

5

1

l

2

37

21

29

18

10

6

2

8

3

3

10

2

1

3

1

2

2

1

2

1

1

5

1

2

l

. ...

.. ..

2

.

2

..

··1·0·9···

...

1

.

9

...

..

10

....

小計

62

15

101

341

266

134

20

lM

25

一頁当たりの割合(四頁)

o.so

1. 67

1.30

0.66

0.10

0.49

0.12

©歌では、 も含めて表にした結果は次の通 『宇治拾過』『夜半の寝党』(大谷女子大、井上、辰己き氏の躙査) である。 い「ぞ」「なむ」「こそ」の使用の割合の状況(表圃)

s

「ぞ」は、『竹取物話』から『堤中納言』まではほぼ同割 合だが、 鎌倉の作品から多く なり 、『御伽草子』になろと 激増していろ。 これは『御伽草子』の頁数と、 「ぞ」が客 観的叙述表現にかなっていることが原因であろう。 ◎「なむ」は、『竹取』から極端に減少し、『御伽草子』に なると、 「ぞ」や「こそ」の上11と、 Cく価かしかなく、 しかも、 歌の導入のことばに限られる。 0「こそ」は、 「なむ」とは逆で、時代が下ろにつれ増加し、 『御伽草子』で激増する。 梢品を通し、 位相別の使用割合が最も高いものは何か。(表N) ①地の文では、『落窪』以外はすぺて「ぞ」が主流である。 @会話、 心中思惟では、 「なむ」から「こそ」へ、 主流が移 ていく。 0文では、 なむ」が主流であろ。 (.『竹取』と『御伽草子』 の「こそ」は、

i

二例と少ないので何とも言えない 「ぞ」がいずれの作品で も、 主流を占めている。

(15)

落 竹

伽 窪 取 卒

i

ぞ ぞ

心会 こ こ こ

そ そ そ

ぞ ぞ こ そ そ

、ー‘

ぞ ぞ ぞ ぞ 歌 (表N)位相別の伎用酎合が最も高い係助詞 御 夜

i

落 竹

伽 半

11

2

2

l

1

1

1

1

1

1

3

8

11

4

3

2

3

4

(衰m)作 品別 係 助 詞 の 伎 用 割合

回一疑問、反語

『御伽紅子』では、 「か」「かは」は、 地の文ではあまり用い られていず、 全くない話が二十六話中、 十七話にも及んでいる。 逆に、 会話、 心中思惟での用例が多く、 他の位相の八十三パ ーセントにもなってい ろ。 とりわけ、 「かは」は男性の会話と 心中思惟に、 女の場合よりも多用されていろ。 「か」は、 男女 別の使用の割合が「かは」ほど開いていない。一方、 「ゃ」は 頻出するが「やは」は全くない。 「ゃ」は、 広い位相に使われ、 地の文にことに多く、 他のか所の二十四.ハーセントを占めてい る。 男女別の割合では、 女性に「ゃ」が多く用いられている。 他の時代の作品をみろと、 (表1)『竹取物語 』 で は 、 会話に 「か」が圧倒的に多く、 男女とも、 「ゃ 」の四倍もみられろ。 「かは」「やは」を比ぺろと、 「やは」が「かは」の五倍多く みえろ。(表n)『落窟物語』 では、 地の文に「か」「かは」が、 「ゃ」「やは」の七倍も多く用いられている。 歌では、 ほとん ど兄られず、 殊に「かは」は全く無い。 一方、 「ゃ」「やは」は地の文、 歌、 文にはほとんど無い。 「か」に対する「かは」、 「 や」に対する「やは」の比率をみ ろと、 「かは」の方が「やは」より断然高くその傾向は、早い 巻ほど強い。 これは、『竹取物語』で「やは」の方が「かは」 よりずっと多いのと対照的であろ。『堤中納言物語』では、『竹 取』や『落窪』のような「かは」「やは」間の開きが見られぬ

(16)

①「ゃ」「やは」「か」「かは」の、作品別使用状況(表>)

s

「や」は、 どの作品で もよく用 いられ、時代が下るにつれ て 減少する傾向は全くない。 御伽草子 夜半の寝党 宇治拾造物語 堤中納言物語 落窪物 語 竹 取 物語

156

61

15

6

134

20

5

や は

74

24

100

36

(表>)作品別の使用状況

や か

14

6

25

かは 代わりに、「か」が「や」の二分の一弱と少なくなって おり 、 会話や心中思惟で専ら使われていろ。 「や」は、 地の文、 会話、 心中思惟、 歌 、 文と、 広い位相で用 いられ ていろ。 ご月、 「や は」「かは」は用例のある話が限られ、 位相も狭い。 ①作品別の使用の状況と、⑨位相別の使用割合が最も高い係助 詞についてみる。 (用例数) や や @「やは」は減少の傾向にあろ。 0「か」「かは」は共に、時代が下っても、 よく用いられ、 該少の煩向はみえない。 ②位相別の使用割合が最も高い係助詞(表w ) ④地の文では、時代を通して「や」が主流。 ◎会話、 心中思惟では、『竹取』で「か」が主 流で あろが、 それ以降は『御伽草子』まで「や」が主流になる。 0文では、『落窪』までは「か」「か は」 がみら れるのに 『 堤中納宮物語』から「ゃ」が主流になっていろ. @歌では、 「ゃ」が主流で ある。 (昭和58年10月30日記) (昭和四十九年三月大学院修了、 岡山県立津山高等学校教諭) 御伽草子 夜半の寝党 宇治拾造物語 堤中納言物語 落窪物 語 竹取物 語 A 力 (かは)

やは や や や か や や か かや

や や

歌 (表>)位相別の使用割合が最も高い係助詞

参照

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