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古期フランス語の副詞 munt の盛衰 : beaucoup および tresとの交替を巡って

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Academic year: 2021

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(1)43. フラ ンス語 の副詞 mOut の盛衰 一一 beaucoupお よび trё sと の交替 を巡 って一一. 森 0。. 本. 英. 夫. フラ ンス語 の歴 史 にお い て,古 期 フラ ンス 語 か ら中期 フラ ンス 語 を経 て. ルネサ ンス期 の フラ ンス語 に至 る過程 は,あ らゆる意味 で大 きな変動期 で あ った と言 える。俗 ラテ ン語 か ら継承 されて きた名詞お よび形容詞 にみ られ る. 2格 体 系 が崩 れ,形 態 素―sは 単 数 主格 の 意義 を失 い ,専 ら複 数 の 意義 を残 す のみ になる。語末子音 の黙音化 は,動 詞 の 人称活用体系 に も影響 を与 え. ,. これ まで動詞 の活用語尾 に託 されて い た人称 意義 を希薄 に し,代 名詞 主語 の 出現 を要請す る よ うになる。それ と同時 に これ まで比較 的 に 自由 であ つた語 順 も s+v+cと い う形 で安定化 に向 か う。 新 たな部分冠詞 の誕生 も含 めた冠詞 の発達 ,動 詞複合時称 の安定 ,新 しい 機能語 の誕生 な ど,決 して短 い期 間 で ない とは い え,フ ラ ンス語 は大 きな変 貌 を成 し遂 げ た。統辞 上 の 問題 だ け で はない 。新 しい社会 や文化 に則 した語 彙 が生 み出 され ,導 入 され ,次 第次 第 にフラ ンス語 を豊 か な もの に して い つ た。 この よ うな動 きの 中 で ,当 然失 われて い くもの も少 な くなか った。語 の誕 生 に もそれ な りの理 由があ る よ うに,語 の消失 に もそれ な りの理 由があ る筈 であ る。多 くの場合 ,同 じ機能 や意味 を もった語 との競合 が起 こ り,一 方が 生 き残 り,他 方が消滅す る とい う経緯 を辿 る。 そ の 際 ,使 用頻度が高 い とい う こ とが生 き残 りの条件 になる とは必ず しも言 えない よ うで あ る。古期 フラ ンス 語 で きわ め て 優 勢 を誇 っ て い た cuidier(<cogitare)が penser(<pen_ sare)に そ の 席 を 明 け渡 し,副 詞 的接 続 詞 と して頻 繁 に 出 現 して い た 豆. (<sic)は etの 陰 に隠 れ ,万 能 を誇 った前 置 詞 enは ,新 た な る dansの 出.

(2) 44. 現 にその生産性 を奪 われて しま った。古期 フラ ンス語 で ,頻 度 か らも,機 能 にお い て も他 の追随 を許 さなか った語が ,哀 れ に も近 代 フラ ンス語 の仲 間入 りをす る こ とが 出 来 なか っ た 副 詞 mOut(molt,moult,mon,etce<multum) も,こ の範疇 に加 え られ よ う。 この moutの 姉妹 た ちが ,い まなお ス ペ イ ン 語 で は muchO, イ タリア語 で は m01tO, ポ ル トガ ル語 で は muitOと して,舌 躍 して い るだ け に,フ ラ ンス語 で 消滅す る運 命 を辿 った こ とが謎 と して残 るの であ る。. 17世 紀 のモ ラ リス ト La. Brllyё reに. よって そ の廃用 を惜 しまれて い るいこの. moutに つ い て DJε ′ Jθ αj″ ご θgJ9夕 ヶ θ′. 乃Js′ θrJ9“ お は,16世 紀 ル ``′ `グ “ "fα “ “ に beaucoupに よって排 除 された と短 く記述 して い るだけで あ る〕。文法学者. Henri Estienne[1531-1598]が この moutの 使 用 を「古 い」 と糾 弾 して い る に しろ神,16世 紀 で は まだ余 命 を保 っていた よ うで あ る。 1530年 に ロ ン ドン で 出版 された イギ リスの 人文学者 Palsgrave[1480-1554]の 英仏対 照 文法書 ySθ を見 る と,副 詞 を修 飾す る moultは い θ `/ra“ まだ 健 在 で あ る こ とが 分 か る。例 え ば veryを 伴 う表 現 にお い て は,very. Lι sε Jα rε お s`“ θ ″ル. ′ α′ ακg“. gladly:Moult voulentiers,Very strongly:Moult formenの. よ うに mOultが 示 さ. れてい る し,MOche(=much)に 関 しては beaucOupと moultが 併記 されて い る。そ して trё sは ね11と 結 びつ く (full mё t)中 。. Huguctの 16世 紀. well=tres biё ,fullwisely=tres saige―. の 語 彙 集 DJε ′ fθ れ 4α Jrθ ル ′ αJα κg“. `/raκ. fα J∫. `α “. S`j―. θsJ′ ε ′ ιの moultの 項 には,古 期 フラ ンス語 の 辞書 に劣 らず 詳 し くそ の “ 用法 が 示 されて い る。 また Gougenheimは 16世 紀 を扱 った 文法 書 の 中 で. zJ′. ,. 近代 フラ ンス語 との主 要 な差異 は,形 容詞 を修 飾す る際 に moultを 用 い るか beaucoupを 用 い るかであ る と して い る5。 16世 紀 になって頻繁 に用 い られ る よ う に な った この beauと cOupの 合 成 語 で あ る beaucoupは 決 して 16世 紀 の 産物 で は な く,す で に 13世 紀 に Joinvilleの 用 い られて い る (Dubois)。. Lα. ⅥιグθSα ′ κ″Lθ. J∫. “. の 中で. しか し mOutの 競 争相手 は beaucOupだ けで は なか った。形 容 詞 を修 飾 す る機能 か ら言 えば trё sが 最 強 の 敵 で あ った し,他 の 機 能 で は tOutや bienも.

(3) 森. 本 英. 夫. 敵 方 に 数 え られ る副 詞 で あ る。TOgebyは 16世 紀 以 来. trё. sと beaucoupが. moltに 取 って代 わ った と記 して い るが ,こ の 方 が 幾分 正 確 で あ る。 この デ ンマ ー クの 言語 学 者 は他 方 で mOu(1)t[mu]の 消 滅 を形 容 詞. mOu[mu]と の θ. confusionに そ の 原 因 を考 えて い るが ,こ の 仮 説 は 認 め られ な い 。そ れ は. mOutと mOuの 文 法 範 疇 が異 な るの で ,confusionが 生 じる可 能性 は皆 無 に 近 い こ と,さ らに mOuは か な り意味 が限 定 された ,機 能領 域 の狭 い 形 容 詞 であ るこ とを理 由 として挙 げ るこ とがで きるか らであ る。. 1.で は古期 フラ ンス語 で mOutは どの よ う に機 能 して い たの で あ ろ うか。 辞書 や文法書 か ら概 観 してみ る ことに した い 。 まず辞 書 の 説 明 で あ るが ,Greimasの. Moyen Age(1992)は. jθ ん 4α 姥 DJε ′. ほ とん ど Godefroyの. ル. J'α. jθ κ んαJ″ DJε ″. κθ Jι ん /raん fα JS,Le J'α. j`ん κ ιJα κg“ ι κθ. ルmfα JSι (10 vols,1937-1938)の 縮小 版 にす ぎな い。分 類 も Gode■ oyに 従 い ,例 文 も彼 か らの孫 引 きであ る。従 って この両者 は まとめ て説明す るこ と に した い 。 まず形容詞 としての moutの 用例 が 示 されて い るが ,文 意 か ら考 えて nOmbreux,en grand nombreの 意味 を与 えて い るの は可 算 名 詞 を修 飾 す る場合 で ある 三 Remist iloches z“ Jz jurs.Rθ. js,p.24,Ler.de Lincy. 非可算名詞 に関 わ る場合 の意味 は grand,cOnsid6rableで あ る Enguarder els“. J′. “. θretribution.Ljb.Psα. J“. :. .Oxf.,XVⅡ I,12.. 実 際 問題 と して ,mOutの この 形 容 詞 と して の 機 能 は全 体 か らみ る と決 し て 多 く見 られ る もの で は な い 。例 え ば. LCん ακsθ κル Rθ. Jα. κグ で は mOutの 出. 現 数 188に 対 して ,こ の 形 容 詞 と しての例 は僅 か 1例 しか見 られ な い Jα κ グ 3090 “ `s cunoisanceso Rθ 序 で に 手 元 にあ る テ クス トか ら例 を探 す と,助 Ⅵしル. Escuz unt genz,de“. J″. Jsと Sα j″ AJθχ. de Franceの νJJ“ れ に見 い だ され る 三 Par′ η J′ ι s terres fait querre sun amfant;Sα. “. E de“ てprices “. :. honurez。. ハ イJJ“ 4,20. J4′. AJιχ ,s, 112. Marie.

(4) 46. 古期 フランス語 の副詞 mOutの 盛衰 Gode■ oyお よ び. Grdmasが. 第 2番 目 に 採 り上 げ て い る の は 男 性 複 数 形. の 名 詞 と して 定 冠 詞 liを 伴 う場 合 で ,そ の 意 味 は る. trё. s grand nombreと あ. :. Par les cans gisent Jj′. ηθ4r. et li lnilier.ハ. ηsθ Js,Richel.793. この 用 法 も,現 実 に は さ らに 稀 で あ る。 因 み に Godefroyも 上 に 挙 げ た 1例 しか示 してお らず ,Greimasで は例 が 示 され て い な い 。. M01tの ご く一 般 的 な機 能 は 副 詞 の そ れ で あ る。 辞 書 と い う関係 もあ っ て か ,両 者 と もに意味 に基 づ い て 分 類 して い る にす ぎな い 。まず en grand nOm―. breの 意 味 で用 い られ る場 合 ,m01t de,そ して. trё. s,grandement,nombreuxと. い う意 味 で 現 れ る 場 合 が 示 され る (た だ し Greimasで は c'est m01t=c'en est. tropが 加 え られ て い るが )。 そ して Gode■ oyに お い て は ,ま さに雑 然 と用 例 が並 べ た て られ て い る 。 1)Bestes Orent“ θ′amassees Qu'Orent de par tot amenees.Bθ 2)Il encort“ θ4′ グ'autres pechiez.И. `ご. θSα J4′. 4.. AJθχ Js,227. .F″ g“ 。ル 1/a′ θκεJθ れκ .Koschwitz `∫ “ αssJ″ ′МεθJ`′ た,p.19 Suchier 3b)Li gaite fu“ θ ′vaillanz.A“ θ “ 4)E veit les contes brochier“ ″ fieremento θJJκ θ J,805A.P。 3a)Tu douls“. J′. 同 じ辞 書 で も 16世 紀 の 語 彙 を扱 っ た Huguetの 分 類 は 遥 か に 説 得 的 で あ る まず 文 を修 飾 す る moult(=beaucoup)を 挙 げ ,次 ぎに moult deを. ,そ. して trё sの 意 味 を持 つ 場 合 を ,形 容 詞 の 前 と副 詞 の 前 とに 分 け て 示 し,最 後 に 名 詞 と しての. mouhを 説 明 して い る 。 こ れ は古 期 フ ラ ンス 語 にお い て. も十 分 適 用 され得 る 分 類 法 で あ る 。 上 記 の 1)と. 3a)は 文 を修 飾 す る 場 合. で あ り,3b)は 形 容 詞 を修 飾 す る場 合 ,そ して 4)は 副 詞 を修 飾 す る例 で あ る。. 辞書 か らは以上の よ うな mOutの 用法 を抽 出す ることが出来 るので あ る が, どの用法がいつ頃か ら現 れ,ど んな競争相手 と巡 り会 い,い つ頃その座 を明け渡 したかについては語 って くれない。勿論辞書 にそこまで要求す るの は酷 であろう。.

(5) 森 本. 47. 英 夫. ところが 文法書 にお い て も,こ の moltに 関 しては,あ ま りに も平凡 な副 詞 であ りす ぎるせ い か ,比 較 的 に冷淡 であ る。Moignetに は ま った く無視 さ れ て い るつ。Raynaud De Lageも ,形 容 詞 maintと 同 じ意 味 で 用 い られ る こ 帥 とが あ る こ とを注記 して い るにす ぎない 。Moutが 一 人前 に扱 われて い るの は M6nardと Togebyに お い てであ る。M6nardは 量 と強 めの副詞 を扱 った項. 目の 中で,「 m01tは 量 の副詞 として,と りわけ形容詞 ,副 詞それに動詞 の前 で強 めの副詞 adverbe d'intensit6と して頻繁 に用 い られる」 ことを示 し,注 記 として m01t par,molt tresと い う複合表現 の存在 に触 れ,m01tの 形容詞 と しての用法 ,m01t de+Nの 他 にも,m01tttNで beaucoup deの 意味 に用 い ら れる用法 の存在 を指摘 してい る": ハ イ i out esbanolment. Frι sκ ι,374 Marie de France “ 性 ・ 数 に照応 せ ず ,従 って 形 容 詞 と してで は な く中性 的 な副 詞 と して名 詞 と J′. 結 び つ く この よ うな例 は Godefroyの 中 に も見 る こ とが で きる. :. ソ .α s。 ■ ι Non porquant on vous i fera lイ θ ′honor.C力θ ψ .6400 “. TOgebyに よれ ば mOlt de+Nは 12世 紀 に な っ て初 め て 現 れ ,tantを モ デ ル 。 に作 られ た 表 現 で あ る と言 う 。. 以上 の よ うに,文 法書 もこの程度 の説明 で しかな く,m01tが 担 ってい た 機能が失われることと関連 のある記述 はほとんど見 られない。 結局 われわれ としては,古 期 フランス語 か ら 16世 紀 にいたる過程 にお い て,moltが どの ように用 い られ,ど の よ うな競争相手 と競合 し,そ の衰退 の道 を辿 ることになつたのか を知 るには,具 体 的 に時代別 にテクス トを選 び,こ れを分析 し,記 述することしかない とい う結論 を得 た。 分析 に際 してわれわれは次 の ような分類基準 を設定する ことに した。Mout の機能 か ら,1)形 容詞 を修飾す る場合,2)副 詞 を修飾する場合 ,3)動 詞 (な. い しは文)を 修飾す る場合 ,4)molt+N,. 5)molt de+N,そ して 6)副. 詞 的名詞 の molt,と い う 6つ の枠 を設定 した。なお この moltに つい ては H),そ の用法 を決めがたい場合 も少 な くない。従 B6dierも 述べ てい るように って抽出 された数値 は,す べ て同一の結果 となるとは限 らないであ ろ う。.

(6) 48. われわれが分析 の対象 としたテクス トは 12世 紀 か ら 16世 紀 にいたる次 の. 8作 品である。古期 フランス語 では韻文の作品が一般的であ り,散 文 は少 な い。他方 15世 紀 以 降では散文 が普通 である。 この よ うな表現形式 の違 い. ,. あるい はジャンルの違 い,そ して作品内容 の違 い も当然の こと,moutの 使 用 と無関係で はないであろう。そのことも十分配慮 した上で作品を選 んだ次 第である。 まず 12世 紀 か らは rrJs″ ′ (韻. 紀 か らは. Lα cttα 4sθ. 4ル. Rθ ′ α濯. Cθ れ ∫ ′ α″J“ ヴ θ. ル. ″ E夕 srα εttθ sα ′. Lι Rθ. α4ル “. ακル P`rθ θソ αJ(韻 文 ),13世 “ (韻 文 )と Villehardouinの L cθ κ9“ ´ ′ θル. 文 ),Chrestien de Troyesの レ. Lα yliθ. (韻 文 ),Bё roulの. Rθ. (散 文 ),15世 紀 の 韻 文 と し て coudretteの L`Rθ. α湾ル “. νど ′sJκ θ,散 文 と して Lι ∫ .xア ノθJθ ∫ル M″ Jα gθ ,16世 紀 か らは Philippe de Vi― “ gneullesの Lθ s cθ ″ Nθ ソ θJJθ s Nθ ソ θ′ ′ θ s(散 文 )を 選 ん だ 。 な お 最 初 の 3作 “ “ 品 に つ い て は cOncOrdanceが あ るの で ,こ れ を利 用 す る こ とに した 。 以 下 そ れ ぞ れ の 作 品 の moutの 出現 を調 べ る こ とに しよ う。. 2-1.助. Cた α ttθ. 1). ル Rθ ′ α 濯 『ローランの歌』 “. 2). 3). mult. l16(10)44. *tres. 6. 4). 5). 27. 6). Total. 1. 188 6. この 作 品 で は 188例 の moutが 出現 して い る。全体 (10音 綴 4002行 )か ら見 た出現頻度 は 4.7%と な ってい る。 そ の うち形容詞 を強 め る機 能 を有 し て い る例 が圧 伊1的 に 多 く H6例. 62%を 占 め る. (な. お mOlt parの 例 は 内数 と. して括弧 内 に示 してあ る)。 そ の うち grantと の結 びつ きが最 も多 く見 られ 44 伊1(40%),そ の他 は prOz,ier,bon,large,gentな どで あ る tute la noit′ η. J′. grant clartet lur donent.. :. 2644. “ ン タ′ ′′αr est proz 01iver,sis cumpainz,. 559. 副 詞 と結 び つ い て い る もの は 44例 23%。 中 で も ben(bien)を 強 め る場 合が 9例 と最 も多 く,そ の 他 ierement,hautement(haut),dulcementな どが.

(7) 森. 本 英. 49. 夫. 続 く。 ν ben i fiert Carlemagnes li reis,AC)I. 3543 “ 2597 Al'altre mot′ η haltement s'escriet: “ 動詞 を修飾す る moutは 27例 14%で あ るが ,特 定 の 動詞 と結 びつ く傾 向 J′. J′. は 認 め られ ず ,ば ら つ い て い る。強 い て 言 え ば seⅣ ir,aimer,angoisser,se merveillerな どを修飾 して い る. :. ンタ me merveill se ja verum Carlun." J′. 3179. この テクス トではまだ m01t de+Nと い う表現 は現 れず,mOut+Nが 1例 見 られる 三 J′. unt oud e peines e ahans.. 267. ““ こ こで 注 目 され るの は ,こ の 時期 にす で に moutの 形 容 詞 お よび 副 詞 を修 飾 す る機 能 に. trё. sが 介 入 して い る こ とで あ る。 この テ ク ス. トで は 副詞 の bien. と結 びついているものが 6夕 1見 いだされる。Bienと の関係 で言 うな ら,す でにこの時期 から m01tは とで あ る. trё. :. si li t」 uvez. “. 1). *tres. 781. ki′ r`s bien li aiut!. んde 2-2.L`Rθ α んグ ιルjs″α. molt. sと い う競争相手がお り,争 っていたとい うこ. 2). Bё roul『. トリスタン物語』. 3). 60(5) 35(1) 58(3). 4). 5). 4. 6). Total. 157 2. 2. 8音 綴 4485行 のこの作品での moltの 出現数 は 157例 (3.5%)で ,こ の頻 度 は 『ロー ラ ンの歌』 をやや下回る。形容詞 を修飾するものは 60例 (38%) 見 られるが,『 ロー ラ ンの歌』 ほ ど高 くはな く,そ の うち grantと 結 びつ く ものは 16例 (27%),そ の他 bel,bonと 結 びついてい る例 が比較的多い La roine out′ ηθJ′ grant esgart MoJ′ est fous qui croit tote gent.. 副 詞 を 修 飾 す る もの は 35伊 122%。. :. 3899 308 こ こ で もや は り bienと の 結 び つ き.

(8) の盛衰. 50. が 多 く9例 ,次 い で tostが 6例 。そ の 他 bonement,chtr,souvent,volentiers などを修飾 してい る. :. 639. Et il i est“ θJr tost venuz. Ogrins li dit“ θJ′. bonement. 1377. 動 詞 と結 び つ く例 は 58(37%)と 比 較 的 高 く,amer,cnembre,hair,se ど感情 に関わる意味 の動詞が多い. merveiller,se penerな. MoJ′ se penout de cel de9oivre. 329. Bien sai quc“ θ. 203. J′. Ime het li rois. :. この 作 品 で はい まだ m01t de+Nの 例 は 見 られず ,4例 す べ てが で現 れ て い る. molt+N. :. ハ イ θ′ r i out paines et ahans. 1638. νθ′ ′i ot gent de riche ator. 4101. rasが bien と結 び つ い て い る例 が 2件 あ る また この テ クス トで も ′ 3818. je vos di bien que rr`s bien sai. 2-3.レ. α れル Pθ θ ソ α ′『ペルスヴァル物語』 “. Rθ. rε. 156. *tres. 2). 3). 4). 79. 86. 1. 3. ω  2. 1) mout. :. 6). Total. 2. 326. 3. 6. この作品 は 8音 綴 で 8960行 のかな り長編 の物語 で ある。従 って mOutも. 326 例 と多 いが,全 体 の頻度 は 3.4%で 『 トリス タン物語』 とほぼ 同 じ値 となってい る。 ここで もやは り形容詞 を強める場合が多 く156例 (48%)を 占める。Grantと の結 びつ きがや は り最 も多 く38例 26%と なっている。そ の他 bel,bon,cou■ ois,1に などと比較的多 く結 びついて現 れてい る QuC je ai“ θ′grant joic euc. “. Li valet estoient,η θ′′bel,. :. 379 3204. 副詞 と結 びつ く場合 は79例 24%で 『ロー ラ ンの歌』や 『 トリス タン物 語』 とほぼ同じ割合である。やは りbienを 修飾する場合が多 く,27例 34%.

(9) 森 本. 英 夫. に達 す る 。また v01andersと も相 性 が 良 く(12例 ),そ の 他. mantな ど との 結 び つ きが高 くな って い る. fo■ ,tost,chier,dure―. :. 1178 Lc hiaume,qui′πθ ′bien li siet, “ θ ′v01antiers 990 Je le ferai′ η “ 動 詞 と結 び つ く m01tは 86例 26%。 中 で も 多 く見 られ る の は plaireで. ,. 以 下 amer,ennuyer,desirer,esmaier,grever,se mervelllerな ど,感 情 に 関 わ る 意 味 の 動 詞 との 結 合 が 多 い. :. Au vavasor,qui′ πθ ′li plot;. 5525. “ Sire,fet il,,7θ ′Ine inervoi1 “. 8412. この『ペルスヴァル物語』では m01t+Nと 並んで molt de+Nの 例 も現れ ている。またこれと連動 して副詞的名詞としての moltも 見 られる Encois i a“ θ″ joic. :. 2577. et brllit.. 544. De pucele a′ ηθ ′qui la beise;. “. Anlis,se le cuer i avez, Fet li prodonl,“ θ ′an Savroiz,. 1499 “ な お この テ ク ス トで は ,形 容 詞 お よび 副 詞 を修 飾 す る 伊l見 られ る. sが そ れ ぞ れ 3. :. Dont il li fist si′ trё. trё. rθ. 2695. ∫grant duel,. sを さ らに moltが 修 飾 して い る例 もあ る Veissiez“ θ ′tres volantiers,. :. 4525. “. 2-4.助 Ⅵ. `ル. ん θ『聖ウスタッシュ伝』 助jん ″E“ s″ ε. 1) 2) 3) 4) 5) mont 28(1) 40(2) 27(1). 6). Total 95. この作品 は,今 回の調査対象作品の 中では最 も短 い 8綴 2052行 の小品 で ある。従 って例 の数値 も95と 少 ないが,出 現頻度 は 4.6%で ,ほ ぼ『ロー ラ ンの歌』 の値 と等 しい。形容詞 に結 びつ く場合 は 28例 で 30%,そ の うち grant(greignor)と 関 わるものは 7例. (28%),そ の他 bel,crllelな どと結 び.

(10) 52. つ いてい る. :. Avras′ πθη′greignor guerredon,. 一 方副詞 との 結 び付 きは 40例. 1166. 42%と 最 も高 い が ,humblement,volentiers,. bien,tendrementの 順 で ,bienと の 関係 は それ ほ ど高 くはない C〕. il li respont′. ηθκr humblement. :. 807. 動 詞 に 関 わ る 場 合 は 27例 28%,pl五 re,se pdner,peserな. ど多 様 で あ. る三 Qui“ θκ′1'enseignout de bienた re,. 97. な お この 聖 ウ ス タ ー シ ュ を扱 っ た 散 文 作 品 が 同 じ 13世 紀 に 作 られ て い る 。 8音 綴 の 韻 文 に 直 して 計 算 す る と,韻 文 作 品 の ほ ぼ 半 分 の. H00行 程 度. で あ るが ,こ こで は mOutの 出現 は 目立 っ て 少 な い 。形 容 詞 に か か る 例 が. 5,副 詞 にか か る例 が 3,動 詞 を修 飾 す る もの 6例 ,合 計 14例 の み で あ る。 L Cθ κ9“ ´′ θCθ 肩協κ′ Jκ 9′ J`『 コ ンス タテ ィノ ー プ ル 征 服 』. 2-5。. `グ. mult *tres. 1). 2). 275(1). 107. 3). 4). 5). 6). Total. 75. 3. 20. 7. 489. l. l. この作品は散文 で書かれたかな り長大 な作品である。仮 にこれを 8音 綴 の 韻文 に換算 してみると,ほ ぼ 7500行 になる。従 って全体で 489と い う数値 はかな り高 い価 (6.5%)で ある と言える。 まず形容詞 に結 びつ く場合 は 275例 あ り,そ の比率 は 56%と な り,Fロ ー ラ ンの歌』 に次 ぐ高 さである。そ して他の作品 よ りも,あ る特定の形容詞 と 集中的 に関係す る傾向が強 い ようである。その内 grant 101(39%),bon 32 (13%),fo■ 19,riche 17,bel 15,lie 14,sage,destroit,dolent,halt,proz,vaillant な どと結 びつ く例 が 多 く,人 物 や行 為 の描 写 が 中心 となる伝記文学 ,歴 史物 とい う この作 品 の 内容が反映 して い る と言 える。 Dedenz celjor a宙 nt un“. J″. “. granz damages en l'ost:388. 副詞 に結 びつ く場合は 107例 (22%)あ るが,bienが 圧倒的に多 く34例.

(11) 森 本. 英 夫. 53. (32%),次 い で volentiers 24,durement 13,poi(pou),soventな Et li cuens〕 Loeys, . . . ,fu navrez en.II。. 動 詞 と結 び つ く例 は 75(15%)と. los′ η J′. どが 続 く。. durement.359. “ か な り少 な い の も特 徴 的 で あ る。 そ の. 中 で も honOrer,plorer,se merveiller,blasmerな ど との 結 び 付 きが 好 まれ て い る。 Et quant il vit les lnessaiges,si les honora“. J′. “ Et li Hernlin de la terre, r2И. 。. . 284. 。. 。se comencierent a torner devers lui,qui haoient. 310. ι `les Grex。. この 作 品 で は. m01t+Nも. 見 られ るが ,molt. de+Nの. 方 が 多 く出現 して い. る 。 また独 立 した副 詞 的名 詞 も若 干 見 られ る 。 z“ .. .quc η. J′. i avoit bon chevalier de cors,. . 。245. 几 イ タ i otグ ιcels del conseil de l'empereor. . 。 294 J′. η 。203 “ なお この テ ク ス トで は trё sの 使 用 例 は 1回 の み で あ る 。 .. .,dont il en i avoit′. la refu li tresors si′. 2… 6. Lι Rθ. ;α. “ 1). moult *tres. 184 26. rι. J′. ∫granz trovez que. .。. 250. 4グιMaJ“ sjκ ι『メリュジーヌ物語』. 3). 2). 77. 4). 5). 6). 89. 3. Total. 34. 19. 403 29. 15世 紀 に書 かれた COudretteの 『メ リュジーヌ物語』 は,8音 綴 の韻文 の 物語 で,最 後 の頌歌 も含 めて 7125行 の作 品 で ある。403(5。 6%)と い う出 現率 は,上 記 の他 の ロマ ンの値 を上回つてい る。 ロマ ンとは言 うものの,こ の作品は内容的には妖精 メ リュジーヌにまつ わる建国物語 であ り,そ れだけ に武勲詩的な描写 の場面 の多 い作品である。 形容詞 と関わるものは 184(46%)と 比較的多 く,形 容詞 としては grant. 45. (25%)に 続 い て beauが 30例 あ り,そ の他 nOble,bon,fo■ ,haut,merveilleux, sageな どと結 びついてい る. :.

(12) 古期 フランス語 の副詞 mOutの 盛衰. 54. Car il fiert coups“ θ J′ Imerveilleux:. “ 副 詞 に 結 び つ く場 合 は 77例. 19%で ,他 の 作 品 同 様 bienが 断 然 多. 例 , そ の 他 と し て doulcement,fo■ vent,volentiersな どが 見 られ る. 2462 く 20. (forment), grandement,noblement,sou―. :. 1836 Et“ θ noblement les festoye。 “ 動 詞 と結 び つ い て い る例 は 89(22%)で あ る 。 aimer,esbahir,se meⅣ J′. elller. (esmeⅣ elller)な ど と関 わ って い る 三 MO“ Jr ailnoit le deduit des chiens, もは や. mOult+Nは. 見 られ ず ,mOult. 164. de+Nが か な り多. く出 現 して い る. (34)の も この 作 品 の 特 徴 とな って い る。 また副 詞 的 名 詞 と して用 い られ て い る例 も少 な くな い (19)。 AInainent“θ グιPoitevins “ νθ ′ r en tuent,“ θ Jr en occrent. “ “. 2423. J′. 2349. さらに この作 品 では trё sが か な り多 く形容詞 と結 びつ い て い る (26例 )。 そ の うち grantと 結 びつ くもの は nobleな どで ,こ の. trё. H例 見 られ,他 は chier,dOux,merveilleux,. sと い う副詞 がか な り mOultの 領域 に介入 して きて い. るこ とが分 か る。 Et si′ rθ s. 3370. grant coup lui donna. ま た 副 詞 と結 び つ い た. 3例 中 2例 は bienを 修 飾. して い る. :. Vous estez sages et enseignez. 949. Et avez rrθ s bien labour6。. 2-7.Lι so. Xア. 1). カj`sル M″ jα g`『 結婚十五の愉 しみ』. 2). 3). moult. 10. 6. *tres. 14. 12. 4) 9. 5). 6) 8. Total 33 26. 散 文 で 書 か れ た この 作 品 で の moultの 出現 数 は き わ め て 少 な い (33例 )。 しか し作 品 が 短 い 訳 で は な い 。 8音 綴 で 計 算 す る と 3500行 程 度 の 長 さ に な.

(13) 森. 英. 本. 55. 夫. (30%),副 詞 と結 び つ くの も 6例 (18%),動 詞 に関 わる もの は 9夕 1(27%)。 また mOult de+Nは 8例 見 られ 体 の 24%を. る。形容詞 の 前 で は 10例. /_・. 占め る. :. dont el est′ η θ J′. “. courrocee.V-369. et les despent en“ θttJ′ グ. ` manieres VII-108. 他方 trё sの 出現 も mOultに 引けを取 らない。形容詞 を修飾するものが 14 例見 られるが,そ の うち 7夕 1が bonと 結 びついている。副詞 を修飾す る 12 例の うち bienと 結 びつ くものは 10例. :. qu'1l trouve une feⅡIIne qui est une rr`∫ bonne galloise VII-5. Ain対 n le fait etjouc′. rθ. s bien XI-244. なお この テ クス トには moultや. trё. sと は別 に,意 味 的 に中性 で あ る bien. が 多 く見 られ るが ,こ れ も mOultの 競争相 手 の一 つ で あ る。 この bienに つ いてはい ずれ後 の機会 に報告す るこ とに して ,本 論 では触 れ ない。 d.   > ;. 2-8. C"″ No“ ソιJた s No“ ソθJた 想 de Philippe de Vigneulles『 新百話』 2). moult. 8. 12. *tres. 29. 54. *beaucoup. 2. 3. 4).   3. 1). 5). 6). Total. 10. 4. 37 83. 19. 32. 3. 56. 16世 紀 の この 作 品 はか な り大 部 な もの で ,8音 綴 の 韻 文 に計 算 し直 す と約 19,000行 ほ どに な る。 しか し moultの 用 例 は き わ め て 少 な い 。全 体 で 37例 しか 見 い だ され ず ,そ の う ち 形 容 詞 と結 び つ く場 合 は 6例 ,副 詞 と は 12 例 ,動 詞 とは 5例 の み で あ る 。 ま た mOult de+Nは 10例 ,mOultの 副 詞 的 名 詞 と して は 4例 とな ってい る. :. Nous avons souppez ensembles et avons estez“ θ bons compains, comlne “ vous s9av6s・ ・・I-40 J″. Et“ θttJ″ d'aultres choses lnettoit avant ledit{Colair...LVIII-66. 他方 trё sの 出現 は mOutを 抜 き83例 見 られる。そのうち形容詞 と結 び.

(14) 56. つ くものは 29例 を数 えるが,特 定 の形容詞 に集中す ることはない。 また直 接動詞 に関わる例 は見 られない。 Lc curё. ,...,en fut rr`s content...XIV-32. 副詞 に結 びつ く54例 の 中 で は bienが 最 も多 く27件 ,次 い で fonが. 19. と,特 定 の副詞 と結 びついて現 れているのが特徴 である。 le seigneur. . .et se courrou9a rrθ s fort encontre vous.. .XIX-83. また この テ ク ス トで は じめ て beaucoupに 出逢 う。形 容 詞 を修 飾 す る もの は 見 られ な い が ,副 詞 を修 飾 す る もの 2例 ,他 は 動 詞 に 関 わ る 場 合 22例 で あ る。 Lequel la print bien volentiers et en remercya bθ. VHI-25. α ε)p le pouvre horrline.. . “. さ らに moult de+Nと 並 んで beaucoup dett Nが 32例 出現 して い る 。 Et avoit cedit prebtre b`α. 3。. θbestial,..。 IV-23 夕θ 9ρ グ. 以 上必 ず しも詳 細 に 時代 を限 定 し,多 量 の テ ク ス トを調 査 した訳 で は な. い が ,分 析 結 果 か らあ る 程 度 mOutの 機 能 上 の 推 移 を予 測 す る こ とが 出 来 る。. 13世 紀 まで の 古 期 フ ラ ンス 語 の 作 品 で は ,韻 文 ・散 文 を問 わ ず ,ま た 作 品 内容 を問 わ ず ,形 容 詞 ,副 詞 ,動 詞 を修 飾 す る 副 詞 と して mOutは か な り 頻 繁 に出 現 して い た 。同時 に少 な い とは 言 え. trё. sも 出現 して い た 。 しか し 15. 世紀 の散文 『結婚十五の愉 しみ』 に至 ると mOutは , と りわけ形容詞 ,副 詞 を修飾す る機能 にお い て衰退 の兆 しを見せ,trё sが 優位 に立 つ。16世 紀 の F新 百話』 になると,こ. の傾向 は さらに際立 ち,beaucoupの 介入が見 られ. 形容詞 ・副詞 の修飾 には trё sが ,動 詞. ,. (文 )の. 修飾 お よび数量副詞 として. は beaucOupと い う機能分化が起 こ り始 めたことが分 かる。 ところで 15世 紀 の散文作品 としての F結 婚十五の愉 しみ』 と,同 じ15世 の韻文作品 『メ リュジーヌ物語』 との間 に moutの 出現 に関 して大 きな落差 が見 られる。つ まり『メ リュジーヌ物語』 では,ほ とん ど古期 フランス語 の.

(15) 森. 本. 英. 夫. 57. 作品 に見 られるの と同 じ傾向が現れてい る点 である。厳密 な制作年代 ,写 本 の年代 は専門家 に委ね るとして口,こ の 2つ の作品 には時間的な隔 た りは無 視す ることが出来 るであろ う。 となる と. (作. 者 の言語 上の慣習 を捨 象す れ. ば)作 品の形式 お よびその内容が問題 となろ う。『メリュジーヌ物語』が韻 文 の作品であ り,内 容的 に武勲詩的 な色合 いの濃 い建国物語 とい うことか ら,古 期 フランス語 の伝統 を引 きず っているとい うことに moutの 多用 の理 由を求 めることが出来 よ う。 しか し,特 に形容詞 と結 びつ く trё sの 例が か な り増 えてい る点 に新 しい時代へ の動 きを認める必要 もあるが。一方 『結婚 十五 の愉 しみ』 は,戦 争や騎士道 とはお よそ縁 のない町人階級 の 日常的な家 庭 での出来事 をとり上 げた世間話 であ る。 もはや韻文 とは馴染 まない世界 で ある。武勲詩的な,あ るいは宮廷文学的な表現手段 に代 わるものが求め られ ていた としても不思議 ではない。. Moutは 1音 綴 の小辞 であるので,韻 文 の作詩上 ,音 綴 の不足 を補 うの に きわめて有効 な道具 である。その意味 では trё sも 同様 であ る。 しか し mout はこれまで も見て きたように機能範囲が広 い。形容詞,副 詞 さらには動詞 と 結 び付 き得 る。その上 ,特 定の位置が定 まっている訳 ではな く,比 較的自由 を享受 していた。 このことが特 に韻文 の作詩上 きわめて重宝であ った大 きな 理由の一 つ で ある。 これに比 して trё sは ,同 じ 1音 綴 ではあ つて も形容詞 および副詞 としか結 びつかず,そ の上被修飾語 の直前 とい う定 まった位置が 要請 される。 この意味か らも mOutは まさに韻文 の道具 で あ った と言 うこと も出来 よう。2格 体系 の格 の消失 に伴 う語順 の固定化へ の動 きは,む しろ trё s に与 した と言 うことも出来 よう。. Moutは 語源的 に「量的な強 め」 の意義 を有す る副詞 である。他方 trё sは ラテ ン語 の transに 由来 してい るので,「 超過」 を本義 とす る「質的 な強め」 の副詞 である と言 うことが出来 よ う。古期 フランス語 のテクス トで moutが かな り頻繁 に grantと 結 びついて現 れてい るの も,こ の形容詞 の もつ「量的 な」意義 との照応が働 いてい ると判断出来 よう。 また 『ロー ラ ンの歌』以来 認 め られ る trё sの 多 くが bienと 結 び つい て い るの は,bienが 本 来 「質的.

(16) 58. な」意義 を有 して い るか らで あ る と言 う こ とが 出来 よ う。 この 意味 で mOut か ら trё sへ の 移行 は,単 な る文 法 道具 の 交 替 とい う現 象 に と どま らず ,古 期 フラ ンス語 か ら中期 フラ ンス語 ・ ル ネ ッサ ンス期 フラ ンス語 へ の 移行 の過 程 で ,人 々の ものの 見方 ・判断 に 「量」 か ら「質」 へ の転換 が起 こった と言 うこ とも出来 るので はない だろ うか。. Moutが beaucoupと 交替す るの は 16世 紀 で あ るが ,そ の 交替 は動 詞 な い しは文 を強 め る機能 と,mOut. de+Nお よび副詞 的名詞 と しての 機 能 で あ. り,こ れは明 らか に量 的意義 に関与す る。動詞 (文 )を 強 め る際 に量 的強調 を避 け る場 合 に は,bienや tOutと い つた 別 の 副 詞 が用 い られ る こ とに な る。数 量表 示 と して の mout de+Nは ,Togebyの 指 摘 もあ る よ うに,古 期 フラ ンス語 の 当初 か ら存在 した もので は な い。 まず が あ り,や が て. mout+de+Nと. mOut+Nと の 共存状 態. い う表 現 が生 じる。 つ ま り mOut→ mout+N. → mout de+Nと moutが 分析 的発 展 を遂 げた段 階 で beaucoupと 入 れ 替 わ っ た こ とが 分 か る。 この交替 は単 なる語彙 の それであ る とも見 る ことが出来 る が ,2音 節 に な った こ とで 文 中 の 要素 と して音 的 に安 定 した こ とは 疑 え な い。従 って これ も韻文世界か らの脱皮 には不可欠 で あ つた と言 えよう。. 注 どθ′ ″εj`′. Cf.Godefroy:Djθ ′ れ″α. jrθ. jο. 378 et Darmesteter,A.:Lα. 'α. j`ど ソ. `s772(ガ. 2′. 2ピ. α4g′ ィ ′. `ノ. ira″ fα jSι. jο θgj9ι ″″αjr`ι ヶ777θ ′ Greimas et al.:DJε ′. `′. α ′″g′ `′. `frα. `ど “メ. ′fα j∫. E)idier 1925-1967. α,7g″ α″ εjsS`“ ι ″′グ α′ 4) Palsgrave:二′∫ε′ `′. 5) Gougenheim,G。 :G″ 56 j∫. `GrrJ“. αjr`グ ““. ″αjr`力 'α. `′. ″ε. j`″. S`jzj2“. j2θ. `∫. ル, Champion―. ys`,SIatkinc Reprints 1 972. j9“ ′グ α′ ″ α′ 2g“ 'srθ. `′. s,2ε た. `/rarfα. ,Picard,1974,p. JS`,p.87. ノカ4fα jS,Klincksieck,1973. 8) Hasenohr&Raynaud De Lage,G.:r77′ 1990,p. 100. rα 72fθ. `グ “. α4g“ ′ 6″ αjr`ノ α′ fα JS`グ `′ `/raκ “ ““. 6) Togeby,Kr.:Prι ε グ 7) Moignet,G.:G″. `ノ. ηれfα JS,Larousse,. 力jS′ θrJgι ι. ```′. 1992 jθ κ″αjr`グ 3) Cf.Huguct:Djσ ′. ,TOme V.Klauss,p.. S,Editions Champ Libre,1979,p.163. jθ あ ε′ r “. a l'α. ′εjι 4/rrJ4fα jS. S・. E.Do Eo S..

(17) 森. 英. 本. ル 24fα jSグ “`Jグ “. 9)M`nard,Ph。 :Mα κ. rι. SOBOD1 1973 pp.263-264. 59. 夫. んθj`κ θッι κ′g`,ノ .ヵ κ″χιグ `J'α “. /raん fα. jS,. 10)Togeby:jbjグ ι “. ″j″ s),Piazza 1968 p.428な お こ ““`れ の gloss江 reは FouLt,L.が 作 成 した もの で あ る の で ,こ の 見 解 も実 際 に は. 11)B6dier,J.:二αCλ ακSθ れル. Rθ ′ αれグ (Cθ. フ ー レの もの で あ ろ う。 なお この 」oss」 rCに は 随所 に脱 落 が あ り,こ の molt に 関 して も. v.1628が t友 け て い る 。. 12)Cf.Introduction des textes(Jean Rychner et Eleanor Roach). Textes B6dier,J。 :二a Cλ α れsθ κグ. ι ακど,Piazza 1932. `Rθ Moignet,G.:Lα Cλ αれsθ れど Jα れ グ,Bordas, 1989 `Rο θraaれ ει ′ ぁιC力 αれsθ れグιRθ Jα 4グ ,Ohio State University Press, Duggan,Jo J.:A Cθ れε `プ. 1969 αれε riレ j∫ ′ ″4 by B`rθ J,Oψ だ ノ9刀 `Rο “ `″ “ θ ρι θrdaκ θj`r ε κJι Bι rθ J, Cθ κε Andricu,Pione,&;Plouzeau:L`Rθ αんど `′ `rrJsIり “ “ “ ,r“ ttj9“ rr`れ グ ι s gr9ρ θε ε たs,Universit6 dc Provence,1974 `s `Sユ “ 2,Champlon,C.Fo M.A.N° S100 Lccoy,F。 :Lι Cθ れた グ G“ αι(P`κ αJ),ゎ `ソ “`sノ `′ “. Ewert,A.:η り. et 103, 1973, 1975. Andrieu&3 PioHc:Pι. rε `ソ. αJ θ ιιCθ れた グχ(3rα αJグ ιC力 r`′ Jι れどιrroyι s, cθ κεθrグ αん― “ ttj9況 θε θ r″ れたS,Universit6 dc Provence,1976 grOρ `s “ jれ Xfrr“ sj26J`,Champion, ん θ2“ ′E“ s″ ε fα JSグ `,ρ `/raん `Sα “. )r“ εjι r εθ ρJι ′グ `s■ `s “ Peterson,Holger:Lα Ⅵιグ. C.Fo M.A.N° 58,1928 Muray,J.:助. yjθ. グιSα jれ ′E“ s″ ε 力ιι れρrθ s`,Chalmpion C.Fo M.Ao N°. Faral,Ed.:La Cθ κg“ ごた グ. `Cθ. jん κsIり ′ 9ρ Jι グ. ` yjJJι. Lcttres,1961. Roach,E.:L`Rθ ακグιMをJ“ sjれ 1982. “. Rychner,J。 :Les.XVo Jθ. jι. sグ. `ル. jれ. “. ,. Sノ ′ θι “. 7t ρ αr sjgん α ″JS′θjrι グ `L“. `θ “. fα rjα. Cθ. 60,1929 2,Les BcHes―. `′. グr`″ `,Klincksieck, “. g`,Droz,T.L.F.N° 100,1963. Livingston,Ch.H.:L`sC`れ ′Nθ ソ 1972. 力αrdο. z`“ ι ι ッ s J`Pん ″ριご `s,Droz, `yjg′ “ `JJ`s Nθ “ `JJι j′.

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参照

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