Title
米軍上陸前後の日本軍−第二十四師団山第八十九連隊陣
中日誌にみる日本軍の対応−
Author(s)
吉浜, 忍
Citation
史料編集室紀要(27): 317-329
Issue Date
2002-03-26
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/7722
Rights
沖縄県教育委員会
米
軍
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本
軍
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対
応
-は じ め に 沖 縄 戦 に お け る 米 軍 上 陸 前 後 の 記 述 は 詳 し く な い 。 逆 に 、 詳 細 な 記 述 が 散 見 さ れ る の は 中 南 部 戦 線 で の 地 獄 の 戦 場 体 験 が 多 い 。 こ の こ と は 戦 争 の 「記 憶 」 に つ な が る 。 し か し 、 砲 煙 弾 雨 や 悲 惨 さ の 「記 憶 」 だ け が 沖 縄 戦 で は な い 。 こ の よ う な 「記 憶 」 の 記 録 だ け で は 、 沖 縄 戦 は 「戦 場 の 物 語 り 」 に な る 恐 れ が あ る 。 筆 者 は ' 沖 縄 戦 を 「戦 場 の 物 語 り 」 か ら ' 史 実 化 を は か る こ と が 肝 要 で あ る と 考 え る 。 沖 縄 戦 の 史 実 化 に と っ て 不 可 欠 な 史 料 は 陣 中 日 誌 で あ る 。 筆 者 は ﹃ 史 料 編 集 室 紀 要 第 26 号 ﹄ に お い て 陣 中 日 誌 を 分 析 し た 拙 論 「陣 中 日 誌 に み る 兵 営 生 活 -玉 城 村 に 駐 屯 し た 独 立 歩 兵 第 十 五 大 隊 を 例 に -」 を 発 表 し た 。 こ の 拙 論 で は 、 米 軍 の 沖 縄 上 陸 前 の 1 九 四 四 年 十 二 月 か ら 四 五 年 二 月 ま で の 独 立 歩 兵 第 十 五 大 隊 第 三 中 隊 の 動 き を 中 心 に 論 述 し た 。 も ち ろ ん 現 存 す る 陣 中 日 誌 に 典 拠 し た 。 本 稿 で は 、 米 軍 の 沖 縄 進 攻 が 開 始 さ れ た 四 五 年 三 月 二 十 三 日吉
浜
忍 か ら 上 陸 後 の 四 月 ま で の 期 間 、 戦 況 全 般 と 南 部 地 域 に 限 定 し 、 と く に 上 陸 前 後 の 日 本 軍 の 動 向 に つ い て 論 述 す る 。 幸 い に も こ の 期 間 を 記 録 し た 「第 二 十 四 師 団 (山 部 隊 ) 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 第 五 中 隊 陣 中 日 誌 。 」 が 現 存 し て い る 。 陣 中 日 誌 は 軍 の 記 録 で は あ る が 、 沖 縄 戦 の 具 体 的 な 実 相 を 垣 間 見 る こ と が で き る 。 本 稿 で は 、 こ の 陣 中 日 誌 の な か か ら 、 米 軍 の 陽 動 作 戦 に 翻 弄 さ れ た 日 本 軍 の 対 応 を 論 述 す る 。 「 第 二 十 四 師 団 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 の 軍 歴 ( こ 歴 史 満 州 (中 国 東 北 地 方 ) に 駐 屯 し て い た 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 は 動 員 下 命 を 受 け 、 1 九 四 四 年 (昭 和 十 九 ) 八 月 五 日 、 那 覇 に 上 陸 し た 。 上 陸 後 は 中 頭 郡 具 志 川 村 方 面 の 防 衛 に あ た っ た が 、 第 九 師 団 の 台 湾 抽 出 に よ り 配 備 変 更 と な り 、 同 年 十 二 月 十 日 に は 島 尻 郡 の 防 衛 を 担 当 す る こ と に な っ た 。 島 尻 郡 の 大 半 の 地 域 は 中 頭 郡 か ら 移 動 し た 第 二 十 四 師 団 (山 部 隊 ) が 防 衛 を 担 当 し 、 そ の 魔 下 の 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 は 東 風 平 村 。 具 志 頭 村 方 面 、 そ し て 317史 料 編集 室 紀 要 第 27号 (2002) 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 第 五 中 隊 は 具 志 頭 村 新 城 を 防 衛 担 当 と し た 。 こ の 地 域 の 陣 地 は 第 九 師 団 か ら 委 譲 さ れ た が 、 米 軍 上 陸 を 想 定 し て い た 地 点 で あ る だ け に 、 さ ら に 陣 地 構 築 が 強 化 さ れ 、 各 隊 と も 陣 地 構 築 や 教 育 訓 練 に 明 け 暮 れ る 日 々 で あ っ た 。 四 五 年 三 月 二 十 三 日 か ら は 米 軍 機 に よ る 空 襲 が 激 化 し 、 二 十 四 日 か ら は 具 志 頭 村 海 岸 沖 か ら の 艦 砲 射 撃 が 俄 烈 を 極 め た 。 米 軍 に よ る 陽 動 作 戦 も 展 開 さ れ 、 各 隊 は 戦 闘 配 備 に つ い た 。 四 月 1 日 に は 米 軍 が 沖 縄 本 島 西 海 岸 に 上 陸 し た が 、 各 隊 が 上 陸 を 警 戒 す る 状 況 に 変 化 は な か っ た 。 米 軍 上 陸 後 、 進 攻 す る 米 軍 と の 戦 闘 で 戦 力 を 消 耗 し た 第 六 十 二 師 団 (石 部 隊 ) を 補 完 す る た め に 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 も 前 線 に 移 動 す る こ と と な っ た 。 四 月 二 十 二 日 に は 第 三 大 隊 (和 田 隊 ) が 最 前 線 の 運 玉 森 方 面 に 、 四 月 二 十 七 日 に は 連 隊 本 部 を 南 風 原 村 新 川 に 、 第 一 大 隊 (丸 地 隊 ) を 南 風 原 村 津 嘉 山 に 、 第 二 大 隊 (深 見 隊 ) を 南 風 原 村 宮 平 に 移 動 し た 。 さ ら に 四 月 二 十 八 日 、 第 二 大 隊 は 歩 兵 第 三 十 二 連 隊 に 配 属 さ れ た 。 第 一 、 第 三 大 隊 も 運 玉 森 方 面 の 前 線 に 派 遣 さ れ 、 五 月 四 日 の 第 三 十 二 軍 総 攻 撃 の 戦 闘 に 参 戦 し た が 、 米 軍 の 攻 勢 に 圧 倒 さ れ 敗 退 し た 。 南 に 敗 走 し た 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 は 残 存 兵 力 を 集 め 与 座 岳 に 布 陣 し た が 、 六 月 九 日 の 与 座 岳 。 八 重 瀬 岳 攻 防 戦 で 壊 滅 し た ㌘ ( 二 ) 編 成 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 は 第 二 十 四 師 団 の 磨 下 に あ り 、 通 称 号 山 三 四 七 六 と 呼 ば れ 、 連 隊 長 は 金 山 均 大 佐 で あ る 。 連 隊 は 連 隊 本 部 、 歩 兵 大 隊 三 ㌧ 歩 兵 砲 中 隊 1 、 速 射 砲 中 隊 1 、 通 信 中 隊 l か ら な り 、 人 員 二 , 八 七 六 名 。 歩 兵 大 隊 は 大 隊 本 部 、 本 部 中 隊 三 、 機 関 銃 中 隊 一 、 歩 兵 砲 小 隊 1 か ら な り 、 人 員 は 七 九 九 名 O 大 隊 は 以 下 の よ う な 兵 器 を 装 備 し て い た 。 歩 兵 中 隊 は 軽 機 関 銃 九 ・ 重 榔 弾 筒 九 ・ 小 銃 1 四 1 、 機 関 銃 中 隊 は 重 機 関 銃 八 、 歩 兵 砲 中 隊 は 九 二 式 歩 兵 砲 二 門 ・ 四 一 式 山 砲 四 門 、 速 射 砲 中 隊 は 九 四 式 三 十 七 粍 砲 四 門 ど こ 、 第 三 十 二 軍 と 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 の 動 き ( こ 米 軍 上 陸 前 戦 況 全 般 三 月 二 十 三 日 早 朝 か ら 米 軍 艦 載 機 に よ る 空 襲 が 、 翌 二 十 四 日 か ら は 沖 縄 本 島 南 部 に 艦 砲 射 撃 が 開 始 さ れ た 。 三 月 二 十 六 日 、 米 軍 は 艦 隊 の 錨 地 確 保 の た め 慶 良 問 諸 島 に 上 陸 。 第 三 十 二 軍 は 米 軍 が 慶 良 問 諸 島 に 上 陸 す る こ と は 想 定 し て お ら ず 、 秘 匿 名 を マ ル レ と 呼 ば れ た 特 攻 艇 約 三
〇
〇
隻 を 有 す る 海 上 挺 身 隊 第 二 第 二 、 第 三 戦 隊 を 配 備 し て い た。
米 軍 の 上 陸 前 の 焼 烈 な 艦 砲 射 撃 と 空 襲 に よ っ て 、 特 攻 艇 は 破 壊 さ れ た 。 米 軍 が 上 陸 し た た め 、 海 上 特 攻 作 戦 は 放 棄 さ れ 、 残 っ て い た 特 攻 艇 も 軍 自 ら が 破 壊 し 、 陸 戦 隊 と し て 戦 っ た が 圧 倒 的 な 米 軍 の 物 量 作 戦 の 前 に 壊 滅 し た 。 日 本 軍 は 米 軍 の 慶 良 問 諸 島 進 攻 を 想 定 し て い な か っ た た め 、 地 上 戦 闘 部 隊 を 配 置 せ ず 、 近 接 す る 米 軍 艦 船 に 特 攻 す る 陸 軍 の 特 攻 艇 部 隊 を 配 置 し た が 、 日 本 軍 の 予 想 に 反 し て 米 軍 が 上 陸 し た た め 、 特 攻 艇 を 自 ら 破 壊 し 、 当 初 の 戦 術 を 放 棄 し た の で あ っ た 。慶 良 問 諸 島 を 占 領 し た 米 軍 は 、 三 十 1 日 、 神 山 島 に 重 砲 陣 地 を 築 き 、 本 島 に 向 け て 射 撃 を 開 始 し た 。 三 月 二 十 四 日 ' 長 参 謀 長 に よ っ て 、 司 令 部 壕 の 入 口 に 「天 の 岩 戸 戦 闘 指 令 所 」 の 表 札 が 掲 げ ら れ た 。 軍 首 脳 部 は 司 令 部 壕 で 敵 の 上 陸 企 図 を 検 討 す る こ と に な っ た 。 そ こ に 、 「午 前 七 時 頃 、 混 成 旅 団 長 鈴 木 少 将 か ら ' ﹃ 知 念 半 島 沖 に 、 敵 艦 隊 発 見 す ﹄ と の 電 話 報 告 が あ る 。 ほ と ん ど 時 を 同 じ く し て 、 第 二 十 四 師 団 長 雨 宮 中 将 か ら も ﹃ 喜 屋 武 半 島 南 方 海 上 に 、 戦 艦 を 混 え る 敵 の 大 艦 隊 出 現 、 徐 々 に 西 進 中 ﹄ と の 報 告 が き た " 。 」 そ こ で 八 原 高 級 参 謀 ら は 首 里 高 台 に 上 が り ' 双 眼 鏡 で 南 部 方 面 を 見 た 。 そ の 模 様 を 八 原 高 級 参 謀 は 「南 部 方 面 を 展 望 す れ ば 、 糸 数 高 地 、 八 重 瀬 岳 、 与 座 岳 、 特 に 混 成 旅 団 の 陣 す る 糸 数 高 地 付 近 は 、 敵 主 力 鑑 の 射 ち 出 す 巨 弾 が 、 盛 ん に 蜂 裂 し 、 男 性 的 に し て 壮 快 な 強 い 轟 音 と と も に 、 岩 石 、 土 砂 を 飛 散 し 、 爆 煙 は 、 広 く 、 高 く 拡 が り 、 か つ 濃 化 す る 。 港 川 方 向 糸 数 高 地 と 八 重 瀬 岳 の 間 、 山 低 く 南 海 の 展 け る あ た り 、 岸 を へ だ て る こ と 1 万 メ ー ト ル な い し 二 万 メ ー ト ル の 沖 合 い 、 煙 霧 に 薄 れ つ つ 、 大 型 鑑 が 一 、 二 、 三 ・ ・ ・ 凡 そ 目 視 し 得 る も の 十 余 隻 、 二 線 と な り 、 射 光 関 々 、 臓 に 火 蓋 を 切 っ て い る tS」 と 語 っ て い る 。 そ の 日 の 午 後 ' 八 原 高 級 参 謀 は 、 米 軍 の 上 陸 方 面 と 時 期 、 さ ら に 艦 砲 の 威 力 を 自 分 の 目 で 確 か め る た め 、 糸 数 方 面 を 偵 察 す る こ と に し た 。 ま ず 高 平 の 旅 団 司 令 部 を 訪 ね 、 鈴 木 少 将 と 面 会 し 、 そ の 足 で 糸 数 高 地 に い る 美 田 連 隊 長 の も と に 向 か っ た 。 恐 ら く 糸 数 壕 と 思 わ れ る 戦 闘 指 揮 所 で 連 隊 長 か ら 戦 況 の 報 告 を 受 け た 八 原 高 級 参 謀 は 、 「﹃ 本 日 連 隊 正 面 の 被 弾 数 大 型 砲 弾 約 六 百 発 ' 戦 死 者 五 名 、 陣 地 設 備 お よ び 軍 需 品 の 損 害 ほ と ん ど 皆 無 。 敵 は わ が 防 御 配 備 を 察 知 せ ず ' 乱 射 に 終 始 せ る も の の 如 し 。 ﹄ ア メ リ カ 艦 隊 の 射 弾 数 が 少 な か っ た 故 も あ る が 、 わ が 損 害 は 軽 微 で 、 し か も わ が 陣 地 を 知 ら な い と い う 事 実 は 、 私 を 狂 喜 さ せ た " 」 と 感 想 す る 。 八 原 高 級 参 謀 を 「狂 喜 」 さ せ た の は 、 米 軍 の 圧 倒 的 な 火 力 攻 撃 に 備 え て 地 下 に 構 築 し た 陣 地 の 健 在 ぶ り で あ っ た 。 な に し ろ 米 軍 1 ト ン 爆 弾 に も 耐 え る 地 下 陣 地 を 策 定 し 指 示 し た の は 外 な ら ぬ 八 原 本 人 で あ っ た 。 糸 数 を あ と に し た 八 原 高 級 参 謀 は 具 志 頭 村 に 陣 地 を 構 え て い る 第 二 十 四 師 団 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 を 視 察 し た 。 そ こ で 、 八 原 高 級 参 謀 は 「具 志 頭 部 落 に 近 づ く に 従 い 、 艦 砲 弾 の 弾 痕 が 多 く な る 。 予 想 に 反 し て 、 そ の 弾 痕 は 小 さ く 、 五 百 キ ロ 爆 弾 の そ れ と は 比 較 に な ら ず 小 さ い 。 浸 透 力 は 大 き い が 、 爆 破 力 は 弱 い の だ 。 所 在 の 将 兵 や 、 住 民 を と ら え て 感 想 を 聞 く 。 強 が り が あ る の で 、 そ の ま ま に は 受 け 取 れ ぬ が 、 今 ま で 予 想 し 、 か つ 脅 か さ れ て き た ほ ど で は な い の は 明 瞭 だ け 」 と の 情 報 と 直 に 見 聞 し た 結 果 、 「艦 砲 弾 に 対 し て も 、 爆 弾 と 同 様 、 わ が 築 城 陣 地 は 希 望 の 通 り ' こ れ を 棚 笑 か る に 足 る 固 堅 さ を 誇 っ て い る は 」 と 認 識 し て い る . 八 原 高 級 参 謀 は 、 こ こ で は 米 軍 の 艦 砲 弾 の 威 力 を 過 小 評 価 し 、 逆 に 自 軍 陣 地 の 耐 爆 力 を 過 大 評 価 し て い た 。 な お 二 十 四 日 、 八 原 高 級 参 謀 が 偵 察 目 的 で 美 田 部 隊 に 来 隊 し た こ と は 、 「独 立 混 成 第 十 五 連 隊 本 部 陣 中 日 誌 」 の 中 に 「 1 五 三
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軍 高 級 参 謀 来 隊 ♪ の 記 録 が あ る こ と か ら し て 事 実 で あ る 。 - 319-史 料 編集 室 紀 要 第27号 (2002) 三 月 二 十 六 日 、 米 軍 は 慶 良 問 諸 島 に 上 陸 し ' 占 領 す る 。 三 月 二 十 七 日 ' 第 三 十 二 軍 司 令 部 は こ の 日 の 敵 情 判 断 で 、 米 軍 の 本 島 西 海 岸 上 陸 を 正 確 に 判 断 し て い た が ' 港 川 方 面 に つ い て は 上 陸 も し く は 陽 動 作 戦 と 判 断 し か ね て い た 。 第 三 十 二 軍 の 防 衛 構 想 は ' 敵 上 陸 予 想 地 で あ る 本 島 西 海 岸 に は 一 個 大 隊 と 航 空 関 係 部 隊 で 緊 急 に 編 成 さ れ た 特 設 第 1 連 隊 が 配 置 さ れ て い る の み で あ っ た 。 こ れ は 、 米 軍 の 上 陸 を 容 易 に さ せ 主 力 を 配 置 し た 中 ・ 南 部 で 米 軍 を 叩 く と い う 、 い わ ゆ る 戦 略 持 久 作 戦 上 の 配 置 で あ っ た 。 そ の た め ' 主 陣 地 は 北 方 に 対 し て 正 面 攻 撃 の 構 築 を し て い た 。 も し 米 軍 が 港 川 方 面 か ら 上 陸 し た 場 合 に は こ の 戦 略 持 久 作 戦 が 崩 れ る こ と に な る 。 三 月 二 十 八 日 ' 第 三 十 二 軍 司 令 部 は 一 部 有 力 な 米 軍 の 港 川 方 面 上 陸 の 可 能 性 あ り と 判 断 し 、 軍 砲 兵 隊 。 迫 撃 砲 二 個 大 隊 ・ 臼 砲 第 一 連 隊 な ど を 港 川 正 面 配 置 に か え て い る O ま た 、 第 二 十 四 師 団 に 対 し て も 港 川 正 面 戦 闘 配 置 を 下 達 し た 。 溝 川 方 面 の 戦 況 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 第 五 中 隊 の 「陣 中 日 誌 」 よ り ' 米 軍 機 動 部 隊 が 接 近 し た 三 月 二 十 三 日 か ら 米 軍 沖 縄 本 島 上 陸 の 四 月 一 日 の 戦 況 を み る こ と に す る 。 二 十 三 日 、 「
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七〇
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編 隊 爆 音 を 聴 取 す る と 同 時 に 、 (中 略 ) 間 も な く 雲 上 に 約 五 十 機 の 編 隊 が 来 襲 、 那 覇 に 向 か う 、 約 二〇
分 後 編 隊 を 以 て 港 川 を 爆 撃 す ' 機 種 グ ラ マ ン = 」 と 、 中 隊 の 防 衛 地 で あ る 港 川 が 爆 撃 さ れ た 。 こ の 日 空 襲 警 報 が 発 令 さ れ る と と も に 甲 号 戦 備 。 も 下 合 さ れ 、 各 隊 は 戦 闘 配 備 に つ い た 。 二 十 四 日 、 朝 か ら 港 川 ' 志 堅 原 、 玉 城 方 面 が 爆 撃 さ れ ' さ ら に 「 二 二〇
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頃 よ り 艦 砲 射 撃 、 初 弾 港 川 、 江 口 、 続 い て 玉 城 、 2 志 堅 原 、 新 城 、 具 志 頭 に 集 中 的 = 」 に 攻 撃 さ れ た 。 午 後 六 時 三 十 分 に 艦 砲 射 撃 は 止 ん だ が 、 「具 志 頭 落 弾 三 七 発 、 民 家 々 屋 の 破 壊 1 八 、 道 路 破 壊 1 = 」 の 被 害 を 受 け た 。 午 後 三 時 五 十 五 分 、 大 隊 は 各 隊 に 「極 力 戦 力 を 温 存 し っ つ 出 撃 の 機 を 待 て あ り 」 ( 「山 七 六 深 作 命 第 言 方 中 小 地 区 隊 命 令 。 」 ) と の 命 令 。 各 隊 の 米 軍 に 対 す る 攻 撃 は 禁 止 さ れ 、 代 わ っ て 陣 地 の 補 修 や 交 通 壕 の 構 築 を 下 達 し た 。 二 十 五 日 、 こ の 日 、 朝 か ら 空 襲 と 艦 砲 射 撃 に み ま わ れ た 。 グ ラ マ ン 機 が 爆 撃 す る 間 は 艦 砲 射 撃 は な く 、 グ ラ マ ン が 去 っ た あ と に は 俄 烈 な 艦 砲 射 撃 が 開 始 さ れ た 。 午 後 四 時 三 十 分 に は 、 大 隊 は 「担 任 地 区 内 の 道 路 及 諸 施 設 を 墓 阻 絶 を 実 施 せ ん と す 」 a ( 「山 七 六 深 作 命 第 四 号 中 小 地 区 隊 命 令 。 」 ) を 各 隊 に 命 令 。 各 隊 は 上 陸 す る 敵 戦 車 を 阻 害 す る た め に 、 あ ら か じ め 指 定 し て い た 道 路 の 破 壊 や 井 戸 の 汚 毒 を 実 施 し た 。 ま た ' こ の 日 ' 各 隊 に 迫 撃 砲 二 門 と 弾 薬 二〇
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発 を 交 付 し て い る 。 二 十 六 日 、 午 前 中 の 空 襲 は な く 、 午 後 に 焼 夷 弾 攻 撃 を 受 け た 具 志 頭 部 落 が 大 火 災 を 起 こ し た 。 ま た 、 住 民 の 家 畜 や 砂 糖 の 処 置 と 運 搬 の 計 画 、 さ ら に 部 落 民 の 義 勇 隊 編 成 も 計 画 さ れ た 。 各 隊 で 死 傷 者 が 出 始 め た こ と に よ り 、 各 隊 に 衛 生 材 料 が 交 付 さ れ た 。 さ ら に 、 大 隊 は 各 隊 に 、 具 志 頭 、 港 川 に い た る 海 岸 線 に 障 碍 物 を 設 置 し 敵 の 進 入 路 を 阻 絶 す る た め 、 各 隊 と も 1 個 小 隊 を編 成 し 、 そ の 際 は 「服 装 は 軍 装 に し て 背 嚢 を 除 き 多 数 の 錠 、 鋸 ' 斧 、 土 工 器 具 ' 鉄 線 及 鉄 候 及 、 鉄 其 他 所 要 の 材 料 を 携 行 せ し む べ し 」 ( 「山 七 六 深 作 命 第 七 号 中 小 地 区 隊 命 令 ; 」 ) と 下 達 し た 。 二 十 七 日 、 大 隊 は 各 隊 に 、 こ の 日 の 未 明 ま で に 各 隊 は そ れ ぞ れ の 火 点 に 配 置 を 完 了 す べ L と 命 令 し た 。 米 軍 が 港 川 や 具 志 頭 南 海 岸 に 上 陸 し た 場 合 の 各 火 点 に お け る 射 撃 開 始 の 時 期 は ' す で に 計 画 さ れ 訓 練 し て い た 。 大 隊 の こ の 日 の 敵 情 判 断 ば 次 の と お り で あ る 。 島 嘆 戦 に お け る 日 本 軍 の 戦 闘 計 画 の 様 子 が わ か る 大 事 な 史 料 と 判 断 し 、 長 い が 紹 介 す る こ と に し た 。 。 山 七 六 深 作 命 第 八 号 中 小 地 区 隊 命 令 三 、 二 七 1
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四〇
破 竹 岳 一 本 日 十 時 に 於 け る 当 面 の 敵 は 海 上 艦 艇 、 巡 洋 艦 三 、 駆 逐 艦 七 、 歩 兵 上 陸 用 舟 艇 L C I 十 三 隻 又 別 に 戦 車 陸 揚 用 L C T 十 一 隻 、 駆 逐 艦 二 、 摩 文 仁 沖 合 よ り 東 北 進 中 な る も の の 如 し 二 敵 情 判 断 1 敵 兵 力 歩 兵 約 三 、〇
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戦 車 約 九〇
(
中'
重 水 陸 用 戦 車 を 含 む ) 2 上 陸 時 機 イ 本 日 上 陸 す る も の と せ ば 達 著 点 「リー
フ 」 形 況 に 依 り 干 潮 時 を 選 定 す る か (十 7 時 以 降 ) 或 は 又 戦 車 陸 揚 用 艇 団 の 到 着 と 同 時 に 実 施 す る か 其 の 何 れ か を 間 ず 十 二 時 前 後 と 判 断 せ ら る ロ 上 陸 準 備 の 完 成 を 侯 ち て 上 陸 す る と せ ば 明 天 明 以 降 な る べ し 3 敵 の 戦 車 使 用 の 重 点 は 予 定 の 如 く 湊 川 平 地 な る べ し 三 大 隊 長 企 図 大 隊 は 既 定 計 画 に 基 き 敵 戦 車 撃 滅 を 主 と し て 之 を 予 め 準 備 せ る 地 区 に 於 て 火 力 及 肉 攻 を 以 て 撃 滅 を 企 図 し 之 が 準 備 を 完 成 す 四 各 隊 は 対 戦 車 戦 斗 を 主 体 と す る 戦 斗 準 備 を 完 成 す 之 が 為 資 材 の 分 配 任 務 の 付 与 、 配 置 兵 力 (肉 攻 手 ) の 掌 握 、 支 援 火 力 の 明 示 等 に 関 し 遺 漏 あ る べ か ら ず 五 拘 束 拠 点 、 遊 撃 拠 点 及 主 陣 地 内 に あ る 重 火 器 以 上 の 射 撃 開 始 の 時 機 は 師 団 よ り 別 命 せ ら る 各 隊 は 今 日 迄 研 究 し た る 所 に 基 き 敵 を 腹 中 に 入 れ 堅 忍 自 重 命 令 一 下 端 切 闇 撃 を 射 撃 を 以 て 一 挙 に 敵 を 撃 滅 す べ し 此 際 内 攻 と の 連 繋 を 緊 密 な ら し む べ し 六 全 員 小 敵 た り と も 侮 ら ず 大 敵 た り と も 恐 れ ず 必 勝 必 成 誓 っ て 当 面 の 敵 の 撃 滅 準 備 に 万 遺 憾 な き を 期 す べ し 中 小 地 区 隊 長 こ の 戦 闘 計 画 を 要 約 す る と 、 上 陸 す る 米 軍 戦 車 に 対 し て 、 拘 束 拠 点 ・ 遊 撃 拠 点 ︰ 王 陣 地 に 重 火 器 を 設 定 し 、 こ れ に 肉 弾 攻 撃 と 連 携 し て 、 一 挙 に 敵 を 壊 滅 さ せ る と い う 戦 術 で あ る 。 321史料編集 室紀 要 第 27号 (2002) 二 十 八 日 、 第 五 中 隊 は 本 日 の 夜 、 白 水 川 の 河 口 付 近 に 鉄 条 網 を 設 置 す る こ と 、 こ の た め の 鉄 線 二 巻 を 配 当 さ れ た 。 ま た 各 隊 に 応 用 投 衡 器 ・ 弾 薬 、 そ れ に 遊 撃 戦 闘 爆 薬 と し て ダ イ ナ マ イ ト 四
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本 ・ 雷 管 10
本 ・ 導 火 索 若 干 を 交 付 し た . ま た 、 第 五 中 隊 に 対 し て は 、 「湊 川 平 地 よ り 具 志 頭 方 面 に 突 破 を 企 図 す る 敵 戦 車 及 具 志 頭 南 方 海 岸 よ り 上 陸 予 想 す る 敵 歩 兵 の 進 攻 を 該 地 に 於 て 之 を 撃 砕 す べ し 」 ( 「山 七 六 深 作 命 第 十 二 号 い 」 ) と 命 令 し て い る 。 二 十 九 日 、 大 隊 は 本 日 夜 、 陣 地 強 化 と 偽 り 陣 地 の 構 築 を す る 。 各 隊 に 対 し て は 、 支 給 さ れ た 鉄 線 を も っ て 蹄 型 や 低 鉄 条 網 な ど の 障 碍 物 設 置 を 命 令 し て い る 。 三 十 日 、 各 隊 に 発 煙 筒 を 支 給 し 、 「敵 上 陸 に 際 し て は 大 規 模 な る 発 煙 の 算 大 な る を 以 て 各 隊 長 は 煙 内 監 視 、 煙 内 射 撃 に 関 す る 準 備 を 周 到 に し 万 不 覚 を と ら ざ る 如 く 予 め 準 備 す べ し 」 ( 「山 七 六 深 作 命 第 十 五 号 。 」 ) と 下 達 し た . さ ら に 、 こ の 目 の 午 前 十 一 時 三 十 分 に は 山 第 三 四 七 六 部 隊 か ら 敵 情 判 断 の 情 報 が あ っ た . こ れ に よ れ ば 、 「敵 は 明 三 十 1 日 十 時 頃 奥 武 島 東 側 よ り 5 2 ・ 5 高 地 付 近 に 亘 る 間 に 上 陸 し 其 の 重 点 は 先 ず 志 堅 原 よ り 湊 川 に 亘 る 台 地 な ら ん ei」 と し 、 そ の 理 由 に 「昨 二 十 九 日 よ り 逐 次 上 陸 付 近 の 偵 察 、 湊 州 河 谷 舟 艇 根 拠 地 覆 滅 周 辺 陣 地 の 深 射 を 実 施 し 、 本 日 に 至 り 更 に 綿 密 な る ﹃ リー
フ ﹄ 線 の 偵 察 を 実 施 せ り . 特 に 本 日 は 1 時 間 半 に 亘 り 約 二 一〇
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発 及 若 干 の 煙 弾 を 以 て 偵 察 援 護 射 撃 を 行 い 且 つ 十 名 内 外 を 以 て 潜 水 偵 察 を 行 う 等 周 到 に し て 其 の 偵 察 地 域 の 重 点 は 奥 武 島 東 側 及 湊 川 河 口 な り 」 は と し て い る 。 三 十 丁 目 、 次 の よ う な 指 示 を 各 隊 に 下 達 し た 化。 山 七 六 深 作 命 第 十 六 号 別 紙 指 示 三 ㌧ 三 一 二 二〇
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中 小 地 区 隊 一 陣 地 構 築 (強 化 ) は 好 機 を 捉 え 地 区 時 端 切 に 行 う も の と す 二 新 に 構 築 す る 陣 地 に あ り て は 先 ず 各 火 器 ' 全 兵 器 に 対 す る ﹃ タ コ 壷 ﹄ 陣 地 、 (重 火 、 火 砲 等 に あ り て は 掩 護 並 肉 攻 の 為 ) を 分 散 構 築 し 乍 後 逐 次 陣 地 完 成 、 拡 張 す 作 業 問 の 企 図 秘 匿 就 中 偽 装 は 常 に 徹 底 し て 実 施 す る も の と す 三 各 掩 体 特 に 各 火 器 の 位 置 は 努 め て 付 近 の 岩 、 地 物 、 樹 木 等 を 利 用 し 位 置 秘 匿 の 強 化 に 努 る と 同 時 に 偽 装 を 完 全 に す 四 極 力 糧 株 の 格 納 位 置 並 給 水 源 の 確 保 に 努 む 五 為 を 得 る 限 り 偽 陣 地 を 構 築 す 但 し 之 が 為 企 図 を 暴 露 し 逆 に 陣 地 配 備 を 察 知 せ ざ ら れ る 如 く 細 心 の 注 意 を 要 す こ の 時 期 に 及 ん で も 兵 器 の 分 散 格 納 や 秘 匿 ・ 偽 装 、 さ ら に 偽 陣 地 の 工 事 を 指 示 し て い る 。 同 日 、 迫 撃 砲 三 門 ・ 弾 薬 1 五〇
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発 を も っ て 迫 撃 砲 小 隊 が 編 成 さ れ た 。 米 軍 沖 縄 本 島 上 陸 の 四 月 1 日 、 そ し て 二 目 の 記 録 は 陣 中 日 誌に は 記 載 さ れ て い な い 。 恐 ら く 情 報 が 入 り 乱 れ 、 隊 内 も 混 乱 し て い て 日 誌 を 書 く 時 間 的 か つ 精 神 的 余 裕 が な か っ た の で は 、 と 推 測 す る 。 ( ≡ ) 米 軍 上 陸 後 戦 況 全 般 四 月 1 日 五 時 三 十 分 、 米 軍 の 艦 艇 は 一 斉 に 砲 口 を 開 い た . 上 陸 援 護 射 撃 の 始 ま り で あ る 。 上 陸 地 点 に 対 し て 、 十 五 イ ン チ 以 上 の 砲 弾 五 四 、 八 二 五 発 、 ロ ケ ッ ト 弾 三 三 、
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発 、 曲 射 砲 弾 二 二 、 五〇
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発 を 集 中 砲 撃 し た 。 こ の 上 陸 支 援 射 撃 の 砲 弾 密 度 は 一〇
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ヤ ー ド (三〇
メ ー ト ル ) 平 方 当 た り 、 二 五 発 で あ っ た 。 さ ら に 艦 載 機 に よ る ナ パー
ム 弾 が 上 陸 地 点 に 被 弾 し た 。 こ の 上 陸 支 援 射 撃 は 三 時 間 に わ た っ た 。 八 時 二 十 分 、 十 三 キ ロ に お よ ぶ 長 さ で 横 1 線 に 並 ん だ 上 陸 用 舟 艇 が 上 陸 地 点 に 向 か っ て 進 ん だ 。 こ の 間 、 上 陸 支 援 射 撃 が 海 岸 線 に 集 中 す る . 八 時 三 十 分 、 第 1 波 が 上 陸 し た 。 上 陸 が 完 了 す る と 支 援 射 撃 は 上 陸 地 の 後 方 を 目 標 に 攻 撃 し た 。 そ の 後 ' 第 二 波 、 第 三 波 と 続 き 、 一 時 間 以 内 に 1 万 六 千 名 の 兵 が 上 陸 し た 。 兵 士 の あ と に は 戦 車 。 武 器 ・ 補 給 物 資 が 次 々 と 陸 揚 げ さ れ た 。 無 血 上 陸 で あ る 。 こ の 上 陸 模 様 を 従 軍 記 者 ア -ニー
㌧ ハ イ ル は 「わ れ わ れ は ぜ ん ぜ ん 攻 撃 を 受 け ず に 上 陸 し た の だ が 、 こ れ は 海 兵 隊 に と っ て 実 に 奇 異 千 商 な 経 験 だ っ た 。 信 じ ら れ な い こ と だ っ た 。 誰 ひ と り と し て 、 こ ん な こ と を 夢 想 だ に し た も の は い な か っ た 」 と し 、 「ピ ク ニ ッ ク 気 分 で あ っ た 」 と 記 し て い る 。 ま た 、 同 じ く 従 軍 記 者 ロ バー
ト 。 シ ヤー
ロ ッ ド は 「北 。 中 飛 行 場 に い た る 進 路 の 浜 辺 を 防 禦 す る た め に 、 一 個 大 隊 の 兵 力 を 犠 牲 に す れ ば ' 一 千 名 は お ろ か 五 千 名 の 米 軍 を 磯 城 す る こ と が で き た ろ う に 。 ﹃ な ん と い -す ぼ ら し い 光 景 で あ ろ う -浜 辺 一 帯 に は 誰 1 人 、 夢 中 に な っ て タ コ ツ ボ を 掘 っ て い る 者 は い な い 。 そ し て 皆 ん な 身 体 を 伏 せ た り せ ず に ' り つ ば に 直 立 し て い る の だ 。﹄」
と 記 し て い る 。 1 方 、 首 里 の 第 三 十 二 軍 司 令 部 に い た 八 原 高 級 参 謀 ら は 、 「未 明 司 令 部 洞 窟 を 出 て 記 念 運 動 場 に 登 る 。 軍 司 令 官 、 参 謀 長 を 始 め と し 、 軍 幕 僚 全 員 一 団 と な っ て 戦 場 を 大 観 す る 。 実 に 爽 快 き わ ま り な い 夜 明 け だ 。 (中 略 ) 海 岸 地 帯 や 、 谷 間 の 朝 霧 が 漸 次 薄 れ て 、 壮 麗 な 戦 場 の 全 景 が 鮮 明 と な り 、 戦 闘 の 主 役 者 た ち が 出 揃 う や 、 全 島 を 震 描 す る も の 凄 い 砲 爆 が 始 ま っ た ほ」
と 諦 観 し て い る 。 第 三 十 二 軍 は 、 水 際 決 戦 を と ら ず 、 敵 を 上 陸 さ せ 主 陣 地 で 出 血 を 強 要 す る 戦 略 持 久 作 戦 を と っ た た め 、 「わ が 軍 は 一 兵 、 一 馬 に 至 る ま で ' 地 下 に 潜 み 、 1 発 一 弾 も 応 射 せ ず 、 薄 気 味 悪 く 寂 然 と し て 静 ま り 返 っ て い る 。 巌 た る 軍 の 作 戦 方 針 に 従 い 、 確 信 に 満 ち た 反 撃 力 を 深 く 蔵 し 、 戦 機 の 熟 す る の を 、 全 軍 十 万 の 将 兵 は 、 息 を 殺 し て 待 っ て い る の だ は 」 と 、 こ の 作 戦 を 策 定 し た 八 原 高 級 参 謀 は 作 戦 通 り の 展 開 と こ れ か ら 始 ま る 作 戦 の 本 領 発 揮 の 時 機 の 心 境 を 語 っ て い る 。 上 陸 正 面 に は 特 設 第 1 連 隊 (飛 行 場 関 係 部 隊 で 編 成 ) が 配 置 さ れ て い た が 、 昼 は 米 軍 の 猛 烈 な 砲 爆 撃 の 前 に な す す べ が な く 、 夜 間 斬 り 込 み を 決 行 し 、 若 干 の 戦 果 を あ げ た の み で 、 陣 地 か ら 3 2 3史 料 編集 室 紀 要 第 27号 (2002) 退 却 を 余 儀 な く さ れ た 。 早 く も 二 日 に は 「国 頭 支 隊 の 指 揮 下 で 遊 撃 戦 を 実 施 せ よ は 」 と の 軍 命 令 が 出 さ れ 、 北 上 し た o i 方 、 独 立 第 十 二 大 隊 (賀 谷 支 隊 ) は 主 力 も 抗 戦 に 入 り ' ま た 指 揮 下 の 砲 台 が 射 撃 を 開 始 し た が 、 圧 倒 的 な 米 軍 の 攻 撃 に さ ら さ れ 後 退 し た 。 そ し て 、 南 下 途 中 の 戦 闘 で ほ ぼ 壊 滅 し た 。 一 日 の 午 後 二 時 頃 に は 北 。 中 飛 行 場 が 米 軍 に 占 領 さ れ た 。 破 竹 の 進 撃 を 展 開 し た 米 軍 は 、 早 く も 三 日 に は 本 島 東 海 岸 に 達 し 、 本 島 を 南 北 に 分 断 し た 。 十 二 日 に は 両 飛 行 場 は 補 修 整 備 さ れ 、 航 空 機 が 離 発 着 で き る よ う に な っ た 。 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 四 月 三 日 、 こ の 日 の 命 令 書 に 初 め て 陽 動 を 意 味 す る 文 字 が あ ら わ れ る 。 す な わ ち 「敵 は 執 物 に 偵 察 陽 攻 を 反 復 し 我 が 秘 策 の 看 破 に 焦 慮 し あ る も の の 如 し 」 ( 「山 七 六 深 作 命 第 十 九 号 紹 」 ) と し 、 米 軍 の 作 戦 が 陽 動 作 戦 で あ る と 判 断 し て い る 。 し か し ' そ の 理 由 に 日 本 軍 の 秘 策 の 結 果 と し て い る の は 誤 解 も は な は だ し い 。 こ こ に 至 っ て も 第 三 十 二 軍 の 米 軍 の 動 向 に 関 す る 情 報 が 伝 達 さ れ て い な か っ た の で は 。 同 じ 日 に は 次 の よ う な 指 示 も 出 さ れ て い る ㌘ 深 作 命 第 二 十 一 号 に 基 く 障 碍 強 化 に 関 す る 指 示 一 鹿 砦 の 施 設 1 重 要 な る 火 点 の 自 衛 (火 点 よ り 四
〇
粁 位 ) 樹 幹 、 竹 、 樹 皮 2 敵 歩 兵 前 進 路 の 阻 絶 3 前 縁 に は 木 、 鉄 線 、 縄 等 を 張 り て 敵 の 転 倒 を 誘 導 す 二 拒 馬 (第 1 項 に 準 じ 構 築 す ) 特 に 交 通 路 障 碍 物 の 間 隙 利 用 三 植 林 竹 、 釘 、 細 木 等 を (尋 常 土 よ り 一〇
、 五 糎 程 度 ) 敵 の 通 過 障 碍 に 用 う 第 1 項 と 同 様 障 碍 前 縁 に 於 て 敵 を 転 倒 せ し め 得 ば 効 果 大 な り 構 築 上 の 注 意 通 路 の 選 定 を 適 切 に す る こ と 位 置 の 秘 匿 (偽 装 の 徹 底 ) 転 倒 陣 地 面 式 に 植 立 す る 深 さ 四 米 以 上 、 間 隙 1 米 以 下 、 火 力 と 平 行 せ し む 材 料 は 部 落 内 よ り 蒐 集 す る を 利 と す (但 し 碍 内 を 除 く ) こ の 中 で 敵 兵 を 転 倒 さ せ る 障 害 物 の 構 築 に 注 目 し た い 。 敵 歩 兵 の 進 路 前 方 に 木 を 植 え 鉄 条 網 や 縄 を 張 っ て 、 敵 歩 兵 の 転 倒 を 誘 導 し 、 さ ら に 竹 ・ 釘 ・ 細 木 な ど を 地 面 に 植 え 込 み 敵 歩 兵 を 転 倒 さ せ る と い う 障 害 物 の 構 築 で あ る 。 一 種 の ゲ リ ラ 戦 術 で あ る が 、 果 た し て こ う し た 原 始 的 な 障 害 物 で 本 当 に 敵 兵 を 転 倒 さ せる と 思 っ て い た の だ ろ う か 。 四 日 、 深 見 隊 長 よ り 「機 密 秘 密 書 類 非 常 処 理 に 関 す る 指 示 」 が 出 さ れ た 。 こ れ に よ る と 、 機 密 度 に 応 じ て 三 回 に 分 け て 処 理 、 処 理 方 法 も 将 校 立 ち 会 い で の 焼 却 を 原 則 と し て い る 。 現 在 残 存 し て い る 陣 中 日 誌 は 何 ら か の 事 情 で 焼 却 を 免 れ た の だ ろ う 。 ま さ に 奇 跡 で る 。 五 日 、 こ の 日 は 部 隊 長 注 意 が 下 達 さ れ て い る 。 そ の な か で 、 「数 日 来 煙 あ り 、 海 面 の 目 視 困 難 な る に 乗 じ 過 般 摩 文 仁 海 岸 の 如 く 敵 は 隠 密 潜 入 を 企 図 し 或 は 間 諜 者 の 信 号 等 行 わ る べ き を 以 て 各 隊 は 巡 察 潜 伏 、 斥 候 等 を 以 て 警 戒 を 巌 に し 虚 に 乗 ぜ ら れ ざ 8 る を 要 す 」 ( 「部 隊 長 注 意 昭 二
〇
、 四 、 五 山 三 四 七 六 e'」 ) が あ り 、 こ の こ と が 翌 六 日 の 斥 候 兵 編 成 と 十 五 日 の 諜 報 網 強 化 に つ な が っ て い く 。 八 日 、 大 隊 は 各 隊 に 、 挺 身 奇 襲 と 肉 弾 攻 撃 な ど を 内 容 と す る 「戦 備 強 化 並 戦 闘 指 針 」 を 下 達 。 こ れ を 具 体 化 す る た め 、 対 戦 車 肉 弾 攻 撃 拠 点 を 内 容 と す る 「対 戦 車 拠 点 強 化 に 関 す る 指 示 」 や 米 軍 戦 車 進 路 予 想 地 点 の 道 路 破 壊 区 分 を 内 容 と す る 「右 拠 点 に 連 繋 す る 道 路 の 破 壊 阻 絶 担 任 区 分 」 も 下 達 さ れ た 。 さ ら に 深 見 隊 医 務 室 か ら は 長 期 間 に 及 ぶ 壕 生 活 の 環 境 衛 生 管 理 を 内 容 と す る 「坑 道 内 棲 息 に 伴 う 保 険 対 策 」 も 指 示 さ れ て い る 。 十 日 、 米 軍 が 占 領 し た 飛 行 場 に 対 す る 挺 身 斬 り 込 み 隊 が 編 成 さ れ る 。 こ の 目 以 後 、 実 際 に 米 軍 と の 戦 闘 を 経 験 し た 部 隊 の 戦 訓 が 綴 じ ら れ て い る 。 戦 訓 に は 「 石 部 隊 挺 身 斬 込 戦 訓 昭 和 二〇
、 四 、 二 山 第 三 四 七 六 部 隊 写 」 「山 情 戦 第 六 号 砲 兵 戦 訓 第 1 号 昭 二〇
、 四 、 1 一 山 第 三 四 七 六 部 隊 写 」 「山 情 戦 第 七 号 砲 兵 戦 訓 及 指 針 第 二 号 四 月 十 一 日 山 第 三 四 七 六 部 隊 写 」 、 そ し て い ず れ も 四 月 十 1 日 付 「山 情 戦 第 10
号 」 「山 情 戦 第 一 1 号 」 「山 情 戦 第 二 一号 」 が あ る 。 戦 訓 の 内 容 は 、 砲 兵 隊 が い つ 、 ど の よ う に し て 敵 に 砲 撃 し 戦 果 を あ げ た 戦 闘 、 ま た い つ 、 ど の よ う に し て 敵 に 斬 り 込 み を し 成 功 し た 戦 闘 な ど に つ い て 具 体 的 に 示 し て い る 。 こ れ ら の 戦 訓 の 中 の 一 つ で 斬 り 込 み に つ い て ま と め た 戦 訓 を 紹 介 す る 伽 ・ 山 情 戦 第 二 1号 戦 訓 昭 和 二〇
、 1 四 山 部 隊 山 三 四 七 六 部 隊 写 挺 身 斬 込 は 徹 底 せ る 奇 襲 に よ り て 其 の 成 功 を 期 し 得 る も の な り 故 に 好 目 標 を 捕 ら 得 る 迄 は 徹 底 し て 其 の 行 動 を 秘 匿 す る を 要 す 途 中 に 於 て 敵 と 遭 遇 し 交 戦 す る が 如 き は 絶 対 に 不 可 な り 、 斯 く の 如 き 場 合 は 其 の 敵 を 避 け て 進 む べ し 奇 襲 の 好 機 な き 場 合 は 1 時 迅 速 に 離 脱 せ よ 而 し て 蛇 の 如 き 執 掬 さ を 以 て 更 に 好 機 の 捕 捉 に 隠 忍 努 力 す べ し 徹 底 せ る 奇 襲 唯 是 の み 十 五 日 、 空 挺 部 隊 編 成 が 下 命 さ れ た 。 こ の 空 挺 部 隊 は 十 七 日 、 3 2 5史 料 編 集 室 紀 要 第27号 (2002) 敵 の 空 挺 部 隊 を 奇 襲 封 殺 し 撃 滅 す る た め に 空 挺 奇 襲 班 と し て 編 制 さ れ 、 所 定 の 位 置 に つ い た 。 ま た 、 こ の 日 に は 南 部 地 域 に 潜 入 し て い る ス パ イ に 対 す る 警 戒 を 内 容 と す る 「対 防 諜 網 に 関 す る 件 」 が 各 隊 に 下 達 さ れ た 曽 三 、 米 軍 の 陽 動 作 戦 「歩 兵 第 八 十 九 連 隊 第 二 大 隊 監 視 哨 記 録 」 に は 、 三 月 三 十 日 か ら 四 月 八 日 に わ た っ て 、 港 州 ・ 具 志 頭 南 沖 に 遊 4) す る 米 軍 艦 艇 の 動 向 や 米 軍 艦 載 機 の 飛 来 が 逐 次 記 録 さ れ て い る 。 三 月 三 十 日 九 時 十 五 分 の 記 録 に は 「戦 艦 二 巡 洋 艦 二 ㌧ 駆 逐 艦 七 、 舟 艇 二
〇
、 上 陸 用 三 が 沖 二〇
〇
〇
∼
五〇
〇
〇
メ ー ト ル に 煙 幕 を は っ て 遊4
, し て い る 糾 」 、 さ ら に 同 日 九 時 三 十 七 分 の 記 録 に は 「舟 艇 は 二〇
〇
〇
よ り 近 づ か ず ' い ず れ も 東 進 、 兵 隊 が2
黒 山 の 様 に 乗 っ て い るは
」 と 記 さ れ て い る よ う に 、 米 軍 は 船 か ら 機 銃 掃 射 を し た り 、 艦 艇 を 岸 に 近 づ け た り 、 遠 ざ け た り ' 東 進 し た り 、 西 進 し た り の 動 き を し て い た 。 一 方 、 玉 城 村 糸 数 城 虻 に い た 独 立 混 成 第 四 十 四 旅 団 第 十 五 連 隊 は 、 三 月 二 十 七 日 の 米 軍 の 動 き を 「上 陸 企 図 近 く 、 艦 七 、 八 a 千 に 接 近 ' 援 護 射 撃 に 依 り 舟 艇 リー
フ 線 の 破 壊 作 業 を な す eB 」 と 判 断 、 二 十 九 日 に は 「舟 艇 八 一 隻 を 以 い て 海 岸 地 帯 の リー
フ を 破 壊 、 湊 川 方 面 の 上 陸 企 図 確 実 と あ れ り は 」 と 敵 情 判 断 し て お り 、 こ の 部 隊 も 米 軍 の 上 陸 に 備 え て 戦 闘 配 置 に つ い た 。 米 軍 は リ ー フ の 破 壊 の 他 に ' 煙 幕 を 張 っ て の 機 雷 掃 海 や 港 川 周 辺 に 対 す る 徹 底 的 な 艦 砲 射 撃 、 そ れ に 空 爆 な ど を 間 断 な く 実 施 し た 。 米 軍 の 陽 動 作 戦 は 、 ア イ ス バー
グ 作 戦 (沖 縄 進 攻 作 戦 計 画 ) の 沖 縄 攻 略 の シ ナ リ オ に も 「陸 軍 予 備 師 団 1 個 は 上 陸 目 及 び 上 陸 1 日 前 に 沖 縄 本 島 南 西 海 岸 に 上 陸 す る と 見 せ か け 敵 を 牽 制 す る E3 」 と 明 記 さ れ て い る 通 り 、 米 軍 の 沖 縄 作 戦 の 戦 術 で あ っ た 。 陽 動 作 戦 は 、 第 三 十 二 軍 を 授 乱 し 、 読 谷 ・ 北 谷 海 岸 上 陸 を 容 易 に す る た め に 「 で き る だ け 本 物 ら し く 行 う 絹 」 戦 術 で あ り 、 米 軍 は 計 画 的 に 実 施 し た 。 こ れ に 対 し 、 第 三 十 二 軍 司 令 部 は 三 月 二 十 七 日 の 敵 情 判 断 で 、 「敵 は 主 力 を も っ て 北 、 中 飛 行 場 に 上 陸 す る と と も に ' 一 部 を も っ て 、 港 川 正 面 に 上 陸 す る か 、 も し く は 陽 動 し 、 主 力 の 上 陸 作 戦 を 容 易 な ら し む ら ん ㍑ 」 と 判 断 し た 。 第 三 十 二 軍 司 令 部 は 米 軍 の 本 島 西 海 岸 上 陸 を 正 確 に 判 断 し て い る が 、 港 川 方 面 に つ い て は 上 陸 も し く は 陽 動 作 戦 と 判 断 し か ね て い た 。 こ の 結 果 、 第 三 十 二 軍 司 令 部 は 米 軍 が 港 川 方 面 か ら 上 陸 し た 場 合 、 「該 方 面 は 軍 防 禦 正 面 上 の 弱 点 で あ り 、 こ れ を 突 破 さ れ れ ば 、 直 ち に 軍 の 防 禦 態 勢 は 根 本 よ り 崩 壊 す る ほ 」 と 判 断 し 、 港 川 方 面 に 1 部 兵 力 を 投 入 し ' 戦 備 を 強 化 し た 。 す な わ ち 迫 撃 砲 大 隊 二 個 と 臼 砲 第 一 連 隊 の 1 個 中 隊 を 港 川 正 面 に 配 備 し 、 独 立 混 成 第 四 十 四 旅 団 と 第 二 十 四 師 団 も 港 川 正 面 に 対 す る 戦 闘 配 置 に つ か せ 、 米 軍 の 上 陸 に 備 え た 。 ま た 、 第 三 十 二 軍 司 令 部 は 、 米 軍 が 港 川 方 面 に 一 部 の 兵 を 上 陸 さ せ る こ と も 予 想 し ' そ の 場 合 に は 各 部 隊 が 各 個 撃 破 作 戦 を と る こ と を 下 達 し て い た 。 港 川 正 面 防 衛 を 任 務 と す る 山 第 八 十 九 連 隊 や 独 立 混 成 第 四 十四 旅 団 第 十 五 連 隊 は 、 米 軍 の 陽 動 作 戦 に 翻 弄 さ れ な が ら 、 上 陸 戦 に 対 す る 戦 闘 配 備 に つ い て い た 。 山 部 隊 が 米 軍 上 陸 地 を 確 認 し た の は 、 「歩 兵 第 八 十 九 連 隊 第 二 大 隊 監 視 哨 記 録 」 の 四 月 1 日 付 の 情 報 速 報 に 「六 十 二 師 団 の 情 報 に よ れ ば 敵 は サ ク 川 北 海 岸 に 上 陸 、 平 安 山 海 軍 第 十 1 砲 台 弾 薬 射 終 わ り 、 同 正 面 水 釜 部 隊 は 上 陸 せ ん 敵 部 隊 と 交 戦 中 は 」 と あ る こ と か ら ' 米 軍 が 読 谷 ・ 北 谷 海 岸 に 上 陸 し た 四 月 一 日 で あ っ た 。 そ の 四 月 一 日 に 米 軍 は 読 谷 ・ 北 谷 海 岸 に 上 陸 し た 。 第 三 十 二 軍 は か ね て か ら 策 定 し て い た 戦 略 持 久 作 戦 の 徹 底 を 各 部 隊 に 下 達 。 戦 略 持 久 作 戦 と は 、 米 軍 上 陸 時 に は 攻 撃 せ ず 、 上 陸 後 に 時 機 を 考 え て 攻 撃 し な が ら 、 巧 妙 に 構 築 し た 縦 深 複 廓 陣 地 で 敵 を 壊 滅 さ せ る 作 戦 で あ る 。 も し 攻 撃 の 時 機 を ま ち が え た な ら 、 米 軍 の 圧 倒 的 な 物 量 攻 撃 に よ り 陣 地 の 位 置 を 暴 露 さ れ 、 攻 撃 前 に 損 害 を 受 け る 恐 れ が あ る と い う こ と だ 。 そ れ で は 戦 略 持 久 作 戦 の 崩 壊 に つ な が っ て し ま う こ と に な る 。 一 方 、 南 部 地 域 に 布 陣 し て い た 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 は 三 月 二 十 四 日 、 各 隊 に 対 し て 、 戦 力 温 存 を し て 出 撃 の 時 機 を 待 て と 命 令 。 「第 二 大 隊 射 撃 開 始 計 画 」 に お い て も 米 軍 が 上 陸 し た 時 は 射 撃 せ ず 、 各 部 隊 の 前 進 陣 地 お よ び 主 陣 地 に 侵 入 し て き た 時 に 射 撃 を 開 始 す る こ と が 計 画 さ れ て い た 。 す な わ ち 、 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 も ま た 戦 略 持 久 作 戦 を と っ て い た こ と に な る 。 だ が 、 米 軍 の 陽 動 作 戦 は 執 掬 に 行 わ れ 、 そ の た め 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 は 米 軍 上 陸 日 を 最 初 に 三 月 二 十 七 日 と 判 断 し た が 、 結 局 こ の 目 は 上 陸 し な か っ た 。 次 に 三 月 三 十 日 と 判 断 し た が 、 こ の 目 も 上 陸 し な か っ た 。 結 局 、 歩 兵 第 八 十 九 連 隊 は 米 軍 の 陽 動 作 戦 に 完 全 に 翻 弄 さ れ 、 以 後 も 米 軍 上 陸 に 対 し て 戦 々 恐 々 の 日 々 が 続 く こ と に な
る
。 四 月 五 日 、 第 三 十 二 軍 司 令 部 は ' 港 川 方 面 に 対 す る 米 軍 の 動 き を 陽 動 作 戦 と 判 断 し 、 港 川 正 面 に 前 進 布 陣 し て い た 部 隊 に 対 し て 旧 陣 地 に 戻 る こ と を 下 達 し た 。 お わ り に 米 軍 は 上 陸 前 に ' 海 か ら は 「上 陸 前 七 日 間 で 米 海 軍 が 撃 ち 込 ん だ 艦 砲 は 、 大 型 砲 弾 (十 五 セ ン チ か ら 四 十 セ ン チ ) が 1 万 三 千 発 を こ え 、 そ れ に 十 二 セ ン チ 砲 弾 数 万 発 を 加 え る と 、 全 部 で 五 千 百 六 十 二 ト ン の 砲 弾 が 地 上 の 目 標 を ね ら っ て 撃 ち 込 ま れ た 」 " 、 空 か ら は 「沖 縄 上 陸 前 に ' 第 五 八 機 動 部 隊 や 護 衛 空 母 か ら 出 撃 し た 飛 行 機 は 、 延 べ 三 千 九 十 五 機 を か ぞ え た 帥 」 と い う よ う な 徹 底 的 な 砲 爆 撃 を 加 え た 。 こ れ は 米 軍 の 上 陸 前 の 常 套 戦 で あ る 。 港 川 方 面 は 米 軍 の 沖 縄 進 攻 の 最 初 か ら 終 結 ま で 沖 縄 戦 で 最 も 長 期 間 に わ た っ て 「鉄 の 暴 風 」 が 吹 き 荒 れ た 地 域 で あ る 。 こ の 地 域 の 沖 縄 戦 末 期 に お け る 軍 民 の 動 き は よ く 知 ら れ て い る が 、 沖 縄 戦 前 夜 の 日 米 両 軍 の 軍 事 的 な 動 き は あ ま り 知 ら れ て い な い 。 本 稿 で は 、 場 所 と 時 間 、 さ ら に 論 述 す る 対 象 を 限 定 し て 、 沖 縄 戦 の 局 面 を 描 い た 。 当 初 第 二 十 四 師 団 は 中 部 に 配 置 さ れ て い た 。 も し 第 二 十 四 師 団 が 南 部 に 移 動 せ ず 、 上 陸 し た 米 軍 と 戦 闘 3 2 7史 料 編 集 室 紀 要 第 27号 (2002) を し て い た な ら ば 沖 縄 戦 の 展 開 は 変 わ っ て い た で あ ろ う 。 し か し 、 米 軍 上 陸 地 に は 、 戦 闘 能 力 が 劣 る 特 設 第 1 連 隊 (航 空 関 連 部 隊 ) と 歩 兵 1 個 大 隊 が 配 置 さ れ て い た の み で あ っ た 。 第 三 十 二 軍 は 水 際 決 戦 を と ら ず 、 戦 略 持 久 作 戦 を と っ た の で あ る 。 そ の た め 、 米 軍 は 「無 血 上 陸 」 を し た 。 戦 備 の 薄 い 読 谷 。 北 谷 海 岸 に 米 軍 は 上 陸 し た 。 米 軍 は 読 谷 。 北 谷 に 比 べ て 戦 備 の 濃 い 南 部 地 域 に は 上 陸 せ ず 、 陽 動 作 戦 を と っ た 。 こ の あ ま り に も 対 照 的 な 両 地 域 の 戦 況 の 比 較 を 今 後 の 課 題 と し た い 。 注
Ⅲ
防 衛 庁 防 衛 研 究 所 図 書 館 所 蔵 「歩 兵 第 八 十 九 連 隊 第 五 中 隊 陣 中 日 誌 」。 こ の 陣 中 日 誌 は 現 存 す る 第 三 十 二 軍 関 係 陣 中 日 誌 の な か で 史 料 的 価 値 の 高 い も の の 一 つ で あ る 。 そ の 理 由 と し て 、 こ の 陣 中 日 誌 は ① 部 隊 が 沖 縄 上 陸 し た 四 四 年 七 月 ∼ 四 五 年 四 月 ま で あ る 。 し た が っ て 沖 縄 戦 期 間 中 の 中 隊 の 動 き が記
録 さ れ て い る 。 と く に 米 軍 沖 縄 上 陸 の 三 月 ∼ 四 月 の 期 間 の 陣 中 日 誌 は 他 に 現 存 し な い 。 ② 陣 中 日 誌 の な か に、
「命 令 書 」 や 「 球 情 報 」 「 山 情 報 」 、 「大 本 営 発 表 」 へ 連 隊 新 聞 「撃 滅 」 、 「沖 縄 新 報 」 (四 月 四 日 、 四 月 六 日 ) も 収 録 さ れ て い て 、 こ れ も 他 に 例 を み な い 。 な お 、 原 史 料 に は 泥 が 付 着 し た 痕 が あ り 、 米 軍 が 戦 場 で 押 収 し た 様 子 が 生 々 し く 残 っ て い る 。 そ れ か ら 、 陣 中 日 誌 の 引 用 に つ い て は 、 旧 漢 字 を 新 漢 字 に 変 え 、 カ タ カ ナ を ひ ら が な に 変 え 、 さ ら に 読 み や す く す る た め 適 当 に 句 読 点 を つ け た 。S
防 衛 庁 防 衛 研 究 所 図 書 館 所 蔵 ﹃ 沖 縄 作 戦 二 於 ル 歩 兵 第 八 十 九 聯 隊 (3
0
)
(
29)(28)(27)(26)(25)(2
4
)
(
2
3
)
(
22)(21)(20)(19)(18)(17)(16)(15)(1
4
)
(
1
3
)
(
12)(ll)(10)(
9
)
(
8)(7
)
(
6
)
(
5
)(
4
)
(
3
)
史 実 資 料 ﹄ 、 防 衛 庁 防 衛 研 究 所 戦 史 室 ﹃ 戦 史 叢 書 沖 縄 方 面 陸 軍 作 戦 ﹄ 、 朝 雲 新 聞 社 ' 昭 和 四 十 三 年 参 照 。 前 掲 ﹃ 戦 史 叢 書 沖 縄 方 面 陸 軍 作 戦 ﹄ ' 六 三 八 頁 。 八 原 博 通 ﹃ 沖 縄 決 戦 高 級 参 謀 の 手 記 ﹄ 読 売 新 聞 社 ' 昭 和 四 十 七 年 、 二 二 七 頁 。 同 右 、 二 二 七∼
二 二 八 頁 。 同 右 、 1 四 二頁
。 同 右 、 一 四 二-1
四 三 頁 。 同 右 、 l 四 三頁
o 防 衛 庁 防 衛 研 究 所 図 書 館 所 蔵 「独 立 混 成 第 四 十 四 旅 団 第 十 五 連 隊 本 部 陣 中 日 誌 」。 前 掲 「歩 兵 第 八 十 九 連 隊 第 五 中 隊 陣 中 日 誌 」。 敵 上 陸 攻 撃 の 場 合 ' 全 部 隊 戦 闘 配 備 に つ く と い う 意 味 。 前 掲 「歩 兵 第 八 十 九 連 隊 第 五 中 隊 陣 中 日 誌 」。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 前 掲 ﹃ 沖 縄 決 戦 高 級 参 謀 の 手 記 ﹄ 、 一 五 三 頁 。 同 右 、 一 四 五 頁 。 前 掲 ﹃ 戦 史 叢 書 沖 縄 方 面 陸 軍 作 戦 ﹄ 、 二 七 三 頁 。 前 掲 「歩 兵 第 八 十 九 連 隊 第 五 中 隊 陣 中 日 誌 」 。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 同 右 。 沖 縄 戦 に お け る 第 三 十 二 軍 の 防 諜 対 策 に つ い て は 、 地 主 園(35)(34)(33)(32) 亮 「沖 縄 県 民 の 戦 場 動 員 と 第 三 十 二 軍 の 防 諜 対 策 」 (﹃ 史 料 編 集 室 紀 要 第 26 号 ﹄ 、 二 〇 〇 一 年 ) に 詳 し く 論 じ ら れ て い る 。 防 衛 庁 防 衛 研 究 所