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して住宅を捉え 資金をはじめとしたライフプランを提案してきたが 今後は少子高齢化を見据えた対応も必要となる では 超高齢化社会における高齢者の住宅事情はどのようになっているのか (2) 高齢者向け住宅の多様化と課題 少子高齢化に伴い 一人暮らしの高齢者は急増している 前述の 住宅 土地統計調査 によ

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Academic year: 2021

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出典:国土交通省「平成 20 年度 住宅・土地統計調査」

特集

超高齢化社会における

住宅ローンアドバイザーの役割

超高齢化社会が叫ばれるわが国において、従来の住宅ローンの仕組みだけでは、住宅 取得のアドバイスに対応しきれなくなってきている。そこで今回は、高齢者を対象とし た住宅やリバースモーゲージをはじめとした資金計画を提案する事業者などを取り上 げ、住宅ローンアドバイザーとしては今後どのような提案をしていくべきか考察する。 特定非営利活動法人 金融検定協会

(1)少子高齢化を止められない現状

わが国では、人口減と少 子高齢化の勢いは止めら れない。人口減においては、 2005 年に1億 2,766.8 万 人と戦後初めて通年の減 少を記録、10 年 5 月 1 日 現在の概算値は 1 億 2,736 万人となっている(総務省 統計局『人口推計月報』)。 この結果は、住宅供給戸 数の過剰として市場に反 映されている。総務省統計 局「平成 20 年住宅・土地統 計調査」によれば、08 年 10 月 1 日現在における全国の総住宅数は 5,759 万戸だが、空 き家は 03 年から 97 万戸(14.6%)増加し 756 万戸。総住宅数に占める割合(空き家率) は 13.1%と過去最高を記録した。 一方の少子高齢化においては、65 歳以上の高齢者が全人口に占める割合が 20%を超 えていることは周知の事実であろう。今後この比率は増え続け、内閣府「高齢社会白書」 によれば、2050 年には 35.7%に達すると予想、14 歳以下の子どもの数も 00 年 1,847.2 万人が 05 年は 1,772.7 万人に減少、30 年には 1,323.3 万人へと減少が予想されている。 従来、住宅ローンアドバイザーは配偶者と子を持つ家族が生涯に得る最も大きな財と

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出典:国土交通省「平成 20 年度 住宅・土地統計調査」 して住宅を捉え、資金をはじめとしたライフプランを提案してきたが、今後は少子高齢 化を見据えた対応も必要となる。では、超高齢化社会における高齢者の住宅事情はどの ようになっているのか。

(2)高齢者向け住宅の多様化と課題

少子高齢化に伴い、一人暮らしの 高齢者は急増している。前述の「住 宅・土地統計調査」によれば、08 年 時点で高齢単身世帯は 414 万世帯と 過去最高となり、高齢者が住む世帯 全体に占める比率も 22.7%と過去 最高を記録した。「高齢者向けの住 宅の説明会では、子どもや孫など家 族に関する質問が多い。本当はみん な、家族に自宅で老後を世話しても らいたい」(住宅事業者)という一 方、「子どもに迷惑をかけたくな い」とも考えているようだ。高齢 者が単身、あるいは夫婦 2 人だけで暮らせるよう、それぞれの健康状態などにあわせ住 宅も多様化している。 自治体が普及に努めているのは、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)や適合高齢者専 用賃貸住宅(適合高専賃)。これらの住宅の中には、介護が必要になった場合は外部サ ービスを利用してそのまま暮らし続けることができ、また食事のサービスも受けられる ものもあり、一般的な有料老人ホームと変わらないものもあるが、有料老人ホームの多 くは入居時に一時金を支払い、一生住み続ける権利を得る終身利用権方式での契約にな っているのに対し、高優賃や適合高専賃は賃貸借契約方式での契約となっている点が異 なる。入居者は、70 歳代を中心とした健常者がほとんどで、若年世代が賃貸物件に入 居するのと同様に地縁の有無にこだわらない入居者も少なくない。東京都では、昨年、 猪瀬直樹副知事が陣頭指揮を執り、高齢者が安心して人生を過ごせるような「すまい」 のあり方を検討するため、住宅部局と福祉部局の枠組みを超えたプロジェクトチームを 発足させ、検討を行った。この報告を受け、住宅部局では高優賃等の推進、福祉部局で は高齢者が医療や介護が必要になっても安心して住み続けることができるよう、併設の 医療・介護事業所と連携の取れた高専賃の普及・促進に向けた施策を展開している。高 優賃は 09 年度末時点で 606 件認定されており、区市町村を主体に進められている。 終身利用権による住宅も、各種サービスに力を入れている。オリックス・リビングは 関東・関西を中心に住宅型有料老人ホームを主に展開。日中は看護師を常駐させ、提携

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医療機関とは 24 時間連絡が取れる体制を整えており、要支援・要介護状態にあっても 入居できる。単身、夫婦だけでなく 60 歳以上の親子による入居も見られるという。ま た、マンション(運営)管理会社のインディペンデンスキングダムは、平均年齢約 77 歳のマンション管理組合のサポートをしている。同マンションは、厚生労働省管轄の有 料老人ホーム等ではなく、また、国土交通省および厚生労働省管轄の高齢者専用賃貸住 宅等でもない。区分所有法に定義された住宅(国土交通省管轄)である。住民自治(管 理組合)にて、管理組合(高齢者)が求めるサポートを専門的な運営と管理を同社に委 託しているのが特徴である。老齢期の多様な課題に対して、「本人の課題をサポートす るには、高齢者本人のみならず、親族等をサポートすることも重要。また、高齢者の課 題は多岐に亘るため種々のソーシャルワーク機能が重要」(同社取締役 春藤康仁氏)と いう。このような住宅への入居希望者はおおむね 80 歳代が中心で、10~20 年計画での 生活を考えている。家族などとの定期的に会うことが多いため、自宅もしくは家族が住 む家から車で 30 分~1時間程度の距離に住む高齢者の入居が多い。 ただ、このように最期まで自分で管理している高齢者は、資産に余裕を持つ一部の者 に過ぎない。多くの高齢者は、住宅の多様化に伴いさらなる住み替えを強いられかねな いこともある。「高齢者が一度住み替えても、最期まで一貫してケアできる住宅は意外 と少ない。要介護2以上になると『もうお世話できない』というところもあれば、要介 護4以上にならないと入れないところもあり、実態は難しい」(シニアライフ情報セン ター代表理事 池田敏史子氏)との指摘も聞かれる。 また、住み替えを行う以外に「最期までできるだけ自宅で過ごしたい」という高齢者は 子どもが独立した後の家を年老いた夫婦だけで住みやすくなるようにリフォームを施 す、あるいは自宅の一部を賃貸に出すといったプランも考えられる。不動産会社のエイ ムでは、中古住宅を売りたいという売主に、予め買主を紹介し、買主の希望するリフォ ームを行なった上で、引き渡すリニューアル仲介事業を行っている。この場合、リフォ ームした状態で既存住宅を購入できるため、新築住宅を建築・あるいは購入した場合と 比べて予算を抑えることができるうえ、住宅ローン減税が適用されるというメリットが ある。

(3)住宅取得のための資金計画と課題

高齢者は、新たな住まいを取得するために、どのように資金を捻出するのか。ほとんど が一線から退き、年金収入や不動産、金融資産以外の財産も見込めないため、シニア住宅 の一時金などは預金など手持ちの現金から捻出されている。 それ以外にも、いくつか方法があげられる。自宅を所有しているが現金収入が少ないと いう高齢者世帯が、住居を手放すことなく収入を確保するための手段として注目されてい るのが、リバースモーゲージである。自宅を担保として自治体や金融機関から生活資金 の融資を受け、死亡時に売却して融資を返済するが、通常の住宅ローンは返済とともに

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融資残高が減っていくのに対し、リバースモーゲージは残高が増えていく。 リバースモーゲージは、1981 年に東京都武蔵野市で最初に導入されたが、その後地 価の下落によりすぐに普及せず、2002 年に厚生労働省が打ち出した「長期生活支援資 金貸付制度」として、主に生活困窮者を対象とした都道府県の社会福祉協議会を主体と して利用されているにとどまり、公的制度としては目立った実績をあげていない。一方、 民間金融機関では、対象物件に住まなくても資金が調達できる東京スター銀行や、高齢 者向けリフォームローンなど3種類の商品を揃えた中央三井信託銀行に加え、群馬銀行 がリバースモーゲージの取扱いに参入。信託や財務管理などを手がける朝日信託が信金 中央金庫との業務提携によりリバースモーゲージ信託を手がけている。中央三井信託銀 行は、同行の遺言信託とあわせて利用する仕組みとなっている。 リバースモーゲージにおいては、日本において中古市場が未発達であるため、物件の 評価の幅が限られてしまうことが課題である。これについては、「開始当初は自宅の土 地評価額を 1 億円以上に設定していたが、現在ではご利用いただきやすいよう 4,000 万 円としています。今後、対象物件や対象地域をいかに広げられるかが課題」とは、中央 三井トラスト・ホールディングス 業務部広報室課長 中村剛氏。さらに現状では、物 件の担保割れが生じた時点で融資が打ち切られ、利用者がリスクを負担しているが、今 後こうしたリスクを貸し手と借り手との双方で分担できるような仕組みの構築が必要 とされている。 そのほか、自宅をリフォームしてできるだけ長く住み続ける、子どもが親の介護のた 東京スター銀行 群馬銀行 中央三井信託銀行 社会福祉協議会 (不動産担保型生活資金) 東京都武蔵野市 (福祉資金貸付事業) 貸付対象 ・契約時年齢が55歳以 上80歳以下。配偶者の 年齢が50歳以上 ・年収が150万円以上 他 ・契約時年齢が満60歳 以上(配偶者55歳以 上) ・群馬県内に居住し収 入が安定している ・遺言信託利用 他 ・契約時年齢が満60歳 以上満79歳以下 ・自宅の土地評価額が 4,000万円以上 ・遺言信託利用 他 ・契約時の申込世帯の構 成員の年齢が満65歳以上 ・申込世帯の所得が、市 町村民税非課税対象 ・現住所に3年以上居住 ・自宅の土地評価額が 1,500万円以上 他 ・市内に1年以上居住 ・ 福祉公社と家事援助等 給付契約を締結している こと ・市内に不動産を保有し 償還が確実と認められる こと 使用用途 生活資金全般(ただし、 投機や事業の目的に は使用できない) 生活資金など自由 生活資金全般(ただし、 投機や事業の目的には 使用できない) 生活資金全般 福祉公社の在宅福祉 サービス、生活資金など 借入限度 額 ・500万円以上1億円以 内(10万円単位) ・担保物件の土地評価 額の80%以内(居住しな い場合、70%以内)。 1億円以内かつ担保土 地評価額の60%以内 自宅の土地評価額の 50%以内(10万円単位) 担保となる『土地』評価の 概ね70%相当額 土地の売買時価8割以内 担保措置 担保物件に、融資限度 額の110%の金額にて 第一順位の根抵当権を 設定 対象地域 同社の最寄の営業店 から2時間以内 取扱開始時点では前 橋・高崎地区のみ 東京都・神奈川県・千葉 県・埼玉県・大阪府・京 都府・兵庫県・愛知県 各協議会の管轄区域内 東京都武蔵野市 備考 ・元本は死亡時一括返 済だが、利息は毎月支 払う ・対象物件に居住しなく ても貸付対象となる 上記は枠内引出自由 型。通常型、用途をリ フォームに限定した商 品もあり。 要保護世帯向け商品あ り。 民間金融機関 公的融資 ・担保物件に第一順位の根抵当権を設定 ・代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全(仮 登記) 本人が居住する自宅の土地建物に第一順位の 根抵当権を設定

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めに自宅をリフォームするなどの手法が考えられるが、現状ではバリアフリーや省エネ リフォーム制度に加え、自治体によっては独自に運用する助成制度がある。しかし「こ れらの制度は使われないことが多く、一般的には要介護区分を問わず介護保険で適用さ れる 20 万円(1 割は自己負担となるため、実際は 18 万円)の範囲内での資金計画しか 認識されていない。これでは、手すりの設置や段差の解消といった消極的なリフォーム しか実施できない。また、リフォーム業界としても耐震や省エネと比べてバリアフリー リフォームはまだまだ下火で、介護事業者から見ると、リフォーム事業者が提案するバ リアフリーリフォームは『介護の現場が分かっていない』と判断されがちです」(エイ ム耐震事業部 稲瀬 稔氏)との課題が見られる。

(4)利用者の適合性を踏まえた提案を

住宅市場の動向は日々目まぐるしく、もはや従来の融資制度や手続がライフプランに 順応しなくなっている。高齢者においては、もはや一線からリタイアしていることから、 新たな融資は難しいかもしれない。だが、リバースモーゲージの項でも述べた通り地価 の下落により不動産の評価額が下がる、また経済状況の低迷により有価証券の評価額が 下落するなどこれまで「財産」として評価していたものが目減りしている昨今、住宅資 金のアドバイザーとしては、高齢者の限られた財源を有効に活用できるプランを提示す る必要がある。属性や意思能力、あるいは現役世代からのライフプランとその実行力を 反映させるなど顧客の一生を通じた適合性を視野に入れた幅広の提案が必要なのでは ないか。 (文責・在記者)

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