市 場 経 済 へ の 移 行 期 に伴 う
モ ン ゴ ル 女 性 の 開発 と 変 化
槇 村 久 子
要 約 モ ンゴ ル は1990年 か ら 市 場 経 済 へ の 移 行 期 にあ り 、女 性 、子 ども 、 高齢 者 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ し て い る。 男性 も ス ト レ ス 状 況 か ら 暴 力 や 、ま た 社 会 サ ービ ス の低 下 に よ り 、 共働 き 体 制 が 困難 にな りつ つ あ る 。 モ ン ゴ ル 政 府 ぱ モ ン ゴ ル 女性 の 地位 向 上 国 家プ ログ ラ ム 」を 策 定 し て い る が 、 国連 婦 人 開 発 基 金 は 日本 国 内 委 員 会 の 資 金 提 供 で 、こ の 「国家 プ ログ ラ ム 実施 能 力 強 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト を 支 援 し て い る 。 政 府 男 女 平 等 全 国評 議 会 、女 性 国会 議 員 、 ジェ ンダ ー 専 門 家 中核 グ ル ー プ 、NGO、 女性 企 業経 営者 、遊 牧 民 家族 、母 子 家 庭 等 を 現 地 訪 問し 女 性 の 現 況 を 調 査 し た 。 移 行 期 に伴 い 、 出 生 率 の 低 下 や 女 性 世 帯 主 、 女 性 へ の 暴 力 、妊 産 婦 死 亡 率 の増 加 な ど マイ ナ ス 面 が 出 て い る。 一 方 、 特 徴 的 な の は 女 性 の 高 学 歴 化 で あ り 、 専 門職 によ る 職 場 進 出 や ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス に よ り 起 業 す る 女 性 が 増 え て い る 。 マ イ ナ ス を反 転 し て 女 性 の 自立 志 向 が あ る 。NGOは 海 外 か ら の 支援 プ ロ ジ ェ ク ト の 受 け 皿 と し て 重 要 な 機 能 を 持 っ て いる 。 ま た 開発 に お け る ジ ェ ン ダ ー 分 析 の重 要 性 が確 認 さ れ た 。 キ ー ワー ド モ ン ゴ ル 、 女 性 、 開 発 、 ジ ェ ン ダ ー 、移 行 経 済 、NGOは じ め に
モ ン ゴ ル は1990年 か ら 社 会 主 義 体 制 か ら 市 場 経 済 へ の 移 行 期 に あ り 、 多 く の 問 題 が 噴 出 し て い る 。 移 行 期 は 男 女 の 関 係 性 にも 大 き な 影 響 を 及 ぼ し て い る 。 特 に 女 性 、 子 ど も 、 高 齢 者 は 大 き な 影 響 を 受 ける 。 し か し 男 性 も 生 産 性 、 効 率性 の 面 か ら 職 場 が 閉 鎖 さ れ 、 失 業 率 は 高 く な り 、 こ れ ま で 以 上 に 働 か ね ば な ら な い 等 で ス ト レ ス 状 況 に あ り 、 女 性 へ の 暴 力 が 出 て き て い る 。 ま た 保 育 サ ー ビ ス の 削 減 な ど で 共 働 き 体 制 が 崩 れ て き て い る 。 一 方 モ ン ゴ ル 政 府 は 、「モ ン ゴ ル 女 性 の 地 位 向 上 国 家 プ ロ グ ラ ム 」(NPAW)を 策 定 し 、 課 題 を め ぐ る 組 織 化 に 取 り 組 ん で い る 。 こ う し た 動 き の 中で 、 国 連 婦 人 開発 基 金(ユ ニ フ ェ ム)と モ ン ゴ ル 政 府 と の 問 で 了 解 事 項 の 覚 書 が 調 印 さ れ 、1999年9月 、 ユ ニ フ ェ ム の パ ー ト ナ ー シ ッ プ によ っ て モ ン ゴ ル 政 府 を 支 援 し 、NPAWの 効 果 的 な 履 行 を 確 実 に す る こ と を 目指 し て い る 。 ユ ニ フ ェ ム 日 本 国 内 委 員 会 は こ の 「モ ン ゴ ル 女 性 の 地位 向 上 国 家 プ ロ グ ラ ム 実 施 能 力 の 強 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト に 資 金 提 供 を し て い る 。 本 稿 で は 、 市 場 経 済 へ の 移 行 期 に伴 う モ ン ゴ ル 女 性 の 開 発 と 状 況 変 化 と 、 現 在の 政 府 、NGO、 ユ ニ フ ェ ム の 取 り 組 み に つ い て 調 査 分 析 し た 。 1.調 査 の 概 要 モ ン ゴ ル で の 調 査 期 間 は 、2002年6月22日 か ら6 ・日。 訪 問 調 査 先 は 、 首 都 ウ ラ ン バ ー ト ル 市 内 の 各 施 設 と周 辺 地 域 の 農 村 、 遊 牧 民 の ゲ ル 。 聞 き 取 り 調 査 の 対 象 は 、 ① 全 国 組 織 で は 、 ユ ニ フ ェ ム ・ モ ン ゴ ル 国 内 委 員 会 、 政 府 ジ ェ ン ダ ー 専 門 家 中核 グ ル ー プ 、 政 府 男 女 平 等 全 国 評 議 会 、 女 性 国会 議 員 、 最 高 裁 顧 問 、 女 性NGOリ ー ダ ー 、 女 性 中小 企 業 経 営 者 、 商 工 会 議 所 優 良 企 業 婦 人 部 。 ② 農 村 地 域 で は 、 遊 牧 民3家 族 、 炭 鉱 閉 山後 の 家 族 、 エ コ ツ ー リ ズ ム の ゲ ル 。 ③ ウ ラ ン バ ー トル 市 内 の 子 ども と 母 子 家 庭 で は 、 ウ ラ ン バ ー トル 幼 稚 園 、 チ ル ド レ ン ・ セ ン タ ー 、 母 子 家 庭 自立 支 援 プ ロ ジ ェ ク ト 「希 望 の 家 」「希 望 の 森 」。 2.モ ン ゴ ル の 女 性 の 地 位 向 上 の 経 緯 に つ い て (1)第4回 世 界 女 性 会 議 以 降 の 経 過 1996年3.月 に 採 択 さ れ た 決 議No.145に よ っ て 、 モ ン ゴ ル 政 府 は 「モ ン ゴ ル 女 性 の 地 位 向 上 国 家 プ ロ グ ラ ム 」(以 下NPAWと 呼 ぶ)に 正 式 に 取 り 組 み は じ め た 。 こ れ は1995年 の 第4回 世 界 女 性 会 議(北 京)以 降 、 モ ン ゴ ル で の 女 性 のNGOの 設 立 や ネ ッ ト ワ ー ク な ど 女 性 運 動 の グ ロ ー バ ル な 課 題 に 関 連 し た モ ン ゴ ル の 女 性 の 主 張 に応 え た も の だ っ た 。 モ ン ゴ ル の 女 性 は 、NPAWを 取 り 巻 く 国 内 の 弾 み を 制 度 化 す る 必 要 性 を 認 識 し 、組 織 化 に 取 り 組 ん だ の で あ る 。NPAWは11の 重 要 問 題 領 域 と1996年 一2020年 に お け る 戦 略 目標 と 行 動 を 明 ら か に し て い る 。 ま た3段 階 に わ た る 計 画 を 立 て た 。 11の 重 要 問題 領 域 は 、 女 性 と 経 済 発 展 、 女 性 と 貧 困 、 農 村 女 性 の 地 位 、 女 性 と 教 育 、 女 性 と 出 産 、 女 性 と 家 族 、 女 性 と 権 力 と 意 思 決 定 、 女 性 に 対 す る 暴 力 と 人 権 、 女 性 の 進 歩 に 関 す る 国 家 機 関 、 女 性 と マ ス メ デ ィ ア 、 そ し て 女 性 と 環 境 で あ る 。 1996年 に は こ のNPAWの 実 施 状 況 を 監 視 す る 機 関 と し て 、「女 性 問 題 に 関 す る 国 家 評 議 会 」 が 設 立 さ れ た 。 1999年 に は 第 二 次 国 家 行 動 計 画 が 採 択 さ れ 、 中 間 見 直 し を 経 て 、「女 性 と 環 境 」 が 追 加 さ れ て い る 。 し か し 、1999年 同 時 に 開 か れ たNPAWの 実 施 に 関 す る 国 内 シ ン ポ ジ ウ ム で 、 国 家 機 構 の 機 能 不 全 と財 政 的 な 制 約 に よ っ て 、NPAWの 第 一 段 階(今 年2002年 で 終 了)の 目的 が 完 全 に 実 現 さ れ て い な い こ と が 指 摘 さ れ た 。 ま たNPAWの 実 施 の 進 捗 が 統 一 性 を 欠 い て い た 。 (2)国 連 婦 人 開 発 基 金 と の パ ー ト ナ ー シ ッ プ 後 の 経 過 そ の た め1999年9月 に 、 ユ ニ フ ェ ム と の パ ー ト ナ ー シ ッ プ に よ っ て 、NPAWを 効 果 的 に 進 め て い く こ と を 目指 し た 。 ユ ニ フ ェ ム の モ ン ゴ ル プ ロ ジ ェ ク ト の 直 接 目 的 は4つ あ る 。
①NPAWの 実 施 状 況 を チ ェ ッ ク し 、 監 視 す る た め の 国 内 能 力 を 強 化 し 構 築 す る こ と ② ジ ェ ン ダ ー 分 析 能 力 お よ び ジ ェ ン ダ ー に対 応 す る 国 家 政 策 の 策 定 能 力 を 開発 す る こ と ③ 政 策 提 言 に 向 け た 農 村 部 門 の 見 直 し を 行 い 、 プ ロ グ ラ ム 策 定 の た め の 提 言 を 出す こ と。 2000年7月 に 、 そ の 第 一 段 階 と し て 状 況 分 析 が 行 わ れ 、 モ ン ゴ ル 女 性 の 現 況 が 明 ら か に さ れ て い る 。 状 況 分 析 ワ ー ク シ ョ ッ プ の フ ォ ロ ー ア ッ プ と し て2000年 中 に 組 織 化 さ れ た 一 連 の 会 議 の 結 果 、 男 女 平 等 に 関す る 全 国 評 議 会 の 設 立 が 促 さ れ た 。 2001年 に 政 府 決 議No.22に よ る 「男 女 平 等 に 関 す る 全 国 評 議 会 」 が 設 立 さ れ 、 委 員 長 を 内 閣 官 房 室 に お き 、 官 房 副 長 が 委 員 長 を 務 め て い る 。 計 画 さ れ た 活 動 を 実 行 す る た め に 、11人 か ら な る ジ ェ ン ダ ー 専 門 家 の 中 核 グ ル ー プ が 結 成 さ れ て い る 。 今 年 の2002年11.月 に 全 国 フ ォ ー ラ ム を 開い て 、 男 女 平 等 に 関す る 法 律 が 提 言 さ れ る 予 定 で あ る 。 こ の 全 国 フ ォ ー ラ ム を 実 施 す る た め に 、4回 の ワ ー ク シ ョ ッ プ が 行 わ れ た 。 第 一 回 は 、2002年5 月 に 世 界 家 族 デ ー に 行 わ れ 、社 会 保 障 な ど テ ー マ にNGOと と も に 実 施 。 第 二 回 は 同 年7月 に 国 家 統 計 局 、 社 会 福 祉 労働 省 が 参 加 。 第 三 回 は 同 年7.月 に 経 済 発 展 、 貧 困 削 減 を テ ー マ に 大 蔵 省 、 社 会 福 祉 労 働 省 、 世 界 銀 行 が 参 加 。 第 四 は 同 年9月 に 意 思 決 定 、 マ ネ ジ メ ン ト につ い て 国 会 議 員 、 政 府 代 表 者 、NGOが 参 加 。 こ れ ら の 会 議 で 関係 者 の 合 意 を 得 て 、 重 要 な 課 題4つ が 政 策 の 中 に取 り 入 れ ら れ る こ と を 目的 に し て い る 。 ジ ェ ン ダ ー 専 門家 中核 グ ル ー プ は 、 こ の 活 動 の 中で 、 提 言 力 、 フ ァ シ リ テ ー タ ー と し て 能 力 を 発 揮 す る 。 マ ク ロ レ ベ ル で は 、25人 の 国 会 議 員 を 対 象 に セ ミ ナ ー を す る 。 メ ゾ レ ベ ル で は 中央 ・地 方 自治 体 で ジ ェ ン ダ ー ト レ ー ニ ン グ を す る 。 ミ ク ロ レ ベ ル で は 、NGOが 小 さ い ト レ ー ニ ン グ を す る 。 ユ ニ フ ェ ム 関係 の プ ロ ジ ェ ク ト は 二 つ 進 行 し て い る 。 ひ と つ は こ の 日本 国 内 委 員 会 支 援 の 「モ ン ゴ ル 女 性 の 地 位 向 上 の た め の 国 家 行 動 計 画 実 施 能 力 の 強 化 」(2001年 か ら2003年)で あ り 、 も う ひ と つ はUNDP(国 連 開 発 計 画)と 共 同 支 援 の 「モ ン ゴ ル 農 村 地 域 の 課 題 と 選 択 一 貧 困 に 焦 点 を あ て る 」(2001年 か ら2002年 実 施)で あ る 。 3.市 場 経 済 へ の 移 行 と 家 族 の 状 況 変 化 (1)性 、 年 齢 、 所 得 、 居 住 地 域 に よ る 不 平 等 モ ン ゴ ル の 女 性 の 現 況 を 考 え る 場 合 、 社 会 主 義 体 制 か ら 市 場 経 済 に 移 行 し た と い う 特 徴 的 な 問 題 が あ る 。 モ ン ゴ ル は1921年 ア ジ ア で 最 初 の 社 会 主 義 国 家 と な っ た 。 そ の 後70年 間 で 、 遊 牧 民 の 牧 畜 に 基 づ く 経 済 と 封 建 的 な 神 権 政 治 の 国 か ら 、 一 党 制 の 都 会 的 な 工 業 国 に 変 化 し た 。 し か し 、 前 ソ ビ エ ト 連 邦 か ら の 財 政 ・ 技 術 的 援 助 の 終 結 と 、 コメ コ ン(共 産 圏 経 済 相 互 援 助 会 議)の 崩 壊 に よ り 、1990年 に 急 激 な 政 策 転 換 を し た 。 計 画 経 済 を 廃 止 し 、 国 家 資 産 の 私 有 化 、 価 格 と 貿 易 の 自 由化 な ど に よ っ て 、急 速 に 市 場 経 済 と 私 有 財 産 権 の 確 立 を 行 っ た 。 し か し 、 こ の よ う な 市 場 経 済 へ の 移 行 の 結 果 、 国 の 基 盤 は 縮 小 し 、 国 民 の 暮 ら し と 福 利 に被 害 がも た ら さ れ た 。 政 権 の 移 行 に よ り 、 こ れ ま で 比 較
的 平 等 で あ っ た モ ン ゴ ル 社 会 は 、性 、 年 齢 、 所 得 、 居 住 地 域 な ど によ る 不 平 等 が 増 加 し た 。 モ ン ゴ ル は 人 口262万 人 、 面 積156.7万 平 方km(日 本 の 約4.2倍)で 、 南 部 は ゴ ビ 砂 漠 、 北 部 は タ イ ガ 森 林 地 帯 、 東 部 か ら 中 央 部 に か け て 草 原 で 、 居 住 地 域 の 条 件 は 大 き く 異 な っ て い る 。 土 地 所 有 の 私 有 化 に つ い て は 、 調 査 時 点 で 、議 会 で 議 論 が 噴 出 し て お り 、未 定 で あ る 。 (2)家 族 の 状 況 変 化 の 事 例 ① 炭 鉱 閉 山後 の 一 家 族 ウ ラ ン バ ー ト ル か ら 約37kmの 地 点 、 ナ ラ イ ハ ン の 町 に住 む 一 家 族 。13歳 、15歳 、16歳 の 子 ど も 3人 と 夫 婦 。92年 に 同地 に 来 る ま で 、 石 炭 工 場 の 仕 事 で 暮 ら し て い た が 、 閉 山 に な り 失 業 。 炭 鉱 の 許 可 を 得 て マ イ ク ロ バ ス を 購 入 し 、 町 か ら ウ ラ ンバ ー ト ル の ナ ラ ン ド ー ル 市 場 ま で 人 を 運 ぶ 乗 り 合 い バ ス を 運 転 し て 生 計 を 立 て て い る 。1日 の 収 入 は 約20000ツ グ ル ク 。10000ツ グ ル ク はガ ソ リ ン と 税 に 支 払 う 。 水 道 が な い の で 給 水 車 が2日 に1回 来 る の で 、 男 の 子 が 水 汲 み に行 く 。 妻 は 専 門 学 校 で 伝 統 的 な モ ン ゴ ル 靴 の 製 作 を 習 い 、 注 文 を 受 け て 作 る が 、 材 料 が 高 い の で そ ん な に 儲 け に は な ら な い 。 子 ど も3人 とも 大 学 に進 学 さ せ た い の で が ん ば っ て い る よ う な も の だ と 言 う 。 か ろ う じ て 収 支 が 合 う く ら い で あ る が 、 移 行 期 に 仕 事 が 作 れ た 人 た ち は 良 い ほ う で あ る 。 ② 遊 牧 民 家 族 の 事 例 ウ ラ ン バ ー ト ル か ら 約70kmに テ レ ル ジ 国 立 公 園 が あ る 。 モ ン ゴ ル 人 や 外 国 人 の 団 体 が 訪 ね る 一 番 近 い 保 養 地 でも あ る 。 そ の 中 に 、 遊 牧 民 の 家 族 も 住 ん で い る 。 ナ ッ ツ ア グ さ ん は 教 師 を し な が ら 15人 の 子 ど も を 育 て た 。 夫 の シ ュ ー ビ ィ さ ん は 、 公 務 員 を し て 、 二 人 で 退 職 し て か ら 羊 、 ヤ ギ な ど 遊 牧 を し て い る 。 ゴ ン チ グ さ ん の 家 族 は 、 羊 、 ヤ ギ 、馬 な ど で や は り 遊 牧 を し て い る が 、 毛 皮 の 工 場 も 町 で 経 営 し て い る 。 シ ン グ ル マ ザ ー の 姪 も とも に暮 ら し て い る 。 ツ ェ ベ ッ ク マ さ ん は 、 司 馬 遼 太 郎 の 「 草 原 の 記 」 に 登 場 す る3つ の モ ン ゴ ル で 生 き た 人 物 で あ る 。 現 在 の モ ン ゴ ル 、 ロ シ ア 領 の 写 真1 炭 鉱 閉 山後 に 新 し い 仕 事 を 創 っ た 家 族(ナ ラ イ ハ ン)
写 真2 遊 牧 民 の農 村 女性 に よる 牧 畜(テ レル ジ) モ ン ゴ ル 、 中 国 の 内 モ ン ゴ ル 自治 区 に な っ て い る3つ の 地 域 で あ る 。 子 ども た ち の 教 育 や モ ン ゴ ル 農 村 女 性 の 地 位 向上 の リ ー ダ ー と し て も 活 動 し て き て 、 現 在 はコ ン ピ ュ ー タ ー 技 術 者 で あ る 娘 夫 婦 と 、 ツ ー リ ス ト キ ャ ン プ を 経 営 し て い る 。 4.市 場 経 済 へ の 移 行 期 に 伴 う 女 性 の 状 況 変 化 市 場 経 済 へ の 移 行 は 女 性 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ し て い る 。2000年9月 の ユ ニ フ ェ ム 報 告 「モ ン ゴ ル 女 性 一 市 場 経 済 へ の 移 行 に 伴 う 変 化 を た ど る 」 は 、 次 の よ う な 変 化 を 記 し て い る 。 ① 女 性 の 社 会 的 地 位 出 生 率 の 変 化 、 女 性 世 帯 主 の 増 加 、 農 村 と 都 会 の 格 差 の 増 大 、 家 庭 暴 力 や 女 性 に 対 す る 暴 力 の 増 加 、妊 産 婦 死 亡 率 の 増 加 、 教 育 部 門 に お け る 女 性 、 識 字 率 、 就 学 率 、 女 性 と 教 育 、 市 場 経 済 へ の 移 行 が も た ら し た も の ② 女 性 の 経 済 的 地 位 失 業 率 の 上 昇 、 女 性 の 所 得 、 女 性 と 貧 困 、 女 性 と 民 間 部 門 、 女 性 と イ ン フ ォ ー マ ル 部 門 、 女 性 と 農 村 民 間部 門 、 女 性 と カ シ ミ ア 生 産 、 市 場 経 済 へ の 移 行 が も た ら し た も の ③ 女 性 の 政 治 参 加 女 性 と 民 主 化 、 女 性 と 政 治 ・意 思 決 定 、 民 主 化 へ の 移 行 と 女 性 、 女 性 の 進 歩 の た め の 国 家 計 画 (NPAW) 移 行 期 に 現 れ た マ イ ナ ス 面 と プ ラ ス 面 が あ る 。 移 行 期 に 現 れ た マ イ ナ ス 面 は 、 女 性 の 世 帯 主 の 増 加 、 暴 力 、 離 婚 、 社 会 ・ 医 療 サ ー ビ ス の 低 下 、 伝 統 的役 割 の 復 活 で あ る 。 ま た 、 プ ラ ス 面 は 、 女 性 の 高 学 歴 化 、 女 性 の ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス の 到 来 、 自立 促 進 で あ る 。 過 渡 期 の マ イ ナ ス 面 はそ れ に 対 抗 す る こ と に よ る 女 性 の エ ネ ル ギ ー と な っ て い る 半 面 、 プ ラ ス 面 は 、 男 女 間 、 女 性 間 格 差 を 生 み 始 め て い る 。 以 下 詳 し く 見 て み よ う 。
(1)女 性 の 社 会 的 地 位 の 変 化 ・女 性 の 世 帯 主 は 、現在 総世 帯数 の10%以 上 を 占める。1995年 か ら1998年 の 問に、 総世 帯数 の増加 は4%で あ っ た が 、 女 性 の 世 帯 主 は27%増 加 し て い る 。「女 性 情 報 研 究 セ ン タ ー 」(WIRC、 現 在 持 続 的 開 発 の た め の ジ ェ ン ダ ー セ ン タ ー)が1998年 に 行 っ た 調 査 に よ れ ば 、10.6%の 世 帯 主 が 女 性 で あ っ た 。 そ の 割 合 は 農 村 地 域 で 最 も 高 く 、 郡 の 中 心 地 で 最 も 低 か っ た 。 そ の 理 由 の ひ と つ は 、 家 庭 内 暴 力 や 女 性 に 対 す る 暴 力 の 増 加 や 、 女 性 の 自立 意 識 の 高 ま り 等 に よ り 、 離 婚 し 男 性 へ の 依 存 か ら 自分 自身 で 自立 を め ざ す 女 性 が 増 え て い る こ と で あ る 。 ま た 夫 の 死 亡 に よ る と 考 え ら れ る 。 ・家 庭 内暴 力 や 女 性 に 対 す る 暴 力 が 増 加 し て い る 。市 場経 済へ の移行 期 に、生 産性 や効 率の悪 い職 場 は 閉 鎖 さ れ 、 男 性 も 失 業 が 高 く な る 。 ま た 不 安 定 な 収 入 や 従 来 よ り 働 く 必 要 が あ る こ と か ら 、 ス ト レ ス 状 態 が 増 え 暴 力 を ふ る わ せ て い る 。 公 的 な 場 で 暴 力 が 検 討 さ れ る よ う に な っ て い る 背 景 に 、 こ う し た 市 場 経 済 の 移 行 に よ る ス ト レ ス が 、 ジ ェ ン ダ ー の 関 係 に 影 響 を 与 え て い る と い う 認 識 が あ る 。 ま た 女 性 や 女 性 グ ル ー プ の 意 識 の 高 ま り が あ る 。 ●出 生 率 の 低 下 が 起 き て い る 。 モ ンゴ ル の 人 口は 、1998年 で262万 人 。 人 口増 加 率 は1950年 か ら 1960年 台 は じ め に か け て 急 激 に 高 く な り 、1970年 代 後 半 に は3%近 く ま で に な っ た 。 そ の 後 低 下 し 始 め 、 市 場 経 済 移 行 期 に お い て 、 よ り 急 激 に 低 下 し 、1998年 に は1.9%に な っ て い る 。(図1) 市 場 経 済 移 行 後 の 出生 率 低 下 の 要 因 と し て 、 次 の よ う に あ げ ら れ て い る 。 経 済 的 困 窮 、 副 収 入 を あ げ る た め に男 性 の 家 庭 へ の 貢 献 度 が 減 少 し 、 女 性 の 家 事 労 働 が 増 し た こ と 、 育 児 に か か る 費 用 の 高 ま り 、 子 ど も の い る 女 性 の 雇 用 の 見 通 し の 不 安 定 さ 、 保 育 サ ー ビ ス の 減 少 、 そ し て 、 教 育 や 若 い 女 性 の 結 婚 ・ 家 庭 に つ い て の 態 度 な ど の 社 会 的 要 因 で あ る 。 ●妊 産 婦 死 亡 率 が 増 加 し た 。1990年 に は100000の 正 常 な 出 産 に 対 し て119の 死 亡 の 割 合 で あ っ た が 、1998年 で は157ま で 高 ま っ て い る 。 全 体 の 死 亡 数 の49.3%が 牧 畜 民 の 女 性 で あ る 。 こ の よ う な 妊 産 婦 死 亡 率 の 高 ま り は 、 要 因 と し て2つ 挙 げ ら れ て い る 。 市 場 経 済 へ の 移 行 以 来 、 医療 費 へ の 公 的 支 出 が 縮 小 さ れ た こ と に よ り 、 医 療 サ ー ビ ス が 低 下 し た こ と 、 お よ び 医 療 セ ン タ ー へ の 距 離 が 遠 い こ と や 出 産 の た め の 到 着 が 遅 れ た こ と で あ る 。(図2) (出 所)NSOデ ー タ よ り 編集 図1 人 口増 加 率(%、 国勢 調 査 年)
・男 女 と 所 得 格 差 に よ る 就 学 率 の 不 均 衡 市 場 経 済 へ の 移 行 は 、 教 育 に お け る 女 性 の 状 況 を 大 き く 変 え て い る 。 特 に男 性 に 比 較 し て 女 性 の 高 学 歴 化 で あ る 。 ま た 親 の 経 済 力 に よ る 所 得 格 差 に よ っ て 就 学 率 の 不 均 衡 が 起 き て い る 。 ま ず 、 教 育 部 門で の 雇 用 は 、 男 女 と も に減 少 し た 。 教 師 に 占 め る 女 性 の 割 合 は 高 く 、 特 に 中等 教 育 の 段 階 で 高 い が 、 就 業 の 場 、 意 思 決 定 レ ベ ル で は 低 く 、 地 方 教 育 行 政 に お け る 管 理 職 や 校 長 の 過 半 数 が 男 性 で あ る 。 ・識 字 率 や 就 学 率 は 高 い 。 識 字 率 は80-90%で あ る 。 し か し 、 社 会 主 義 政 権 下 で は 、 男 性98%、 女 性95%で あ っ た が 、 移 行 後 、識 字 率 は87%ま で 落 ち て い る 。 し か し 、 就 学 率 は 男 女 で 不 均 衡 が あ る 。 初 等 教 育 の 就 学 率 は男 女 で 差 が 無 い が 、 年 齢 が 上 が る に 差 が 生 ま れ て い る 。(図3)女 子 の 就 学 率 は 、 男 子 よ り 高 く 、 牧 畜 民 で は さ ら に 全 国 の 平 均 値 よ り 高 い 。 ま た 、 中 産 階 級 や 高 所 得 者 の 家 庭 の 女 子 に お い て 高 い 。 就 学 率 は 教 育 の 段 階 が 高 く な る ほ ど 女 子 が 高 く な る 。 中 等 教 育 で は 女 子 の 方 が 高 い と は い え 、 市 図2 妊 産 婦 死 亡 率(100000の 出 産 に 対 し て 、1990-1998) (出 所)NSO年 鑑1998よ り 編 集 図3 初 等 教 育 の 就 学 率(性 別 、1985-1998)
場 経 済 以 降 後1985年 で は89.2%か ら1998年 に は64.2%へ 低 下 し て い る こ と が わ か る 。 ま た 男 子 は 1985年 で は77.3%、1998年 に は51.8%と 女 子 よ りも さ ら に 低 下 し て い る 。(図4) ・女 性 の 高 学 歴 化 そ の 中で 、 高 等 教 育 で は 移 行 期 の 前 半 で 低 下 し た が 、 現 在 で は 高 等 教 育 を 受 け る 学 生 の70%が 女 子 で あ る 。(図5) 高 等 教 育 に お い て 全 体 的 に50%の 増 加 が あ る が 、 こ れ は 市 場 経 済 の 中で 私 立 の 増 加 に よ る も の で あ る 。 モ ン ゴ ル で は な ぜ 女 子 の 進 学 率 が 高 い の だ ろ う か 。 親 は 、 男 子 は 生 活 し て い く た め に ど の よ う な 種 類 の 仕 事 で も で き る が 、 女 子 は 経 済 上 の 安 定 と機 会 を 得 る に は 、 教 育 を 受 け る の が 唯 一 の 道 と 考 え て い る か ら で あ る 。 そ の 結 果 、 専 門職 に 占め る 女 性 の 割 合 が 高 い 。1996年 で は 博 士 号 を 持 つ 科 学 者 の43%、 経 済 学 者 の31%、 そ し て 内科 医 の80%、 弁 護 士 の70%が 女 性 で あ る 。 し か し 、 政 治 的 な 地 位 で は 、 女 性 の 国 会 議 員 の 割 合 は1割 程 度 で あ り(図6)、 中央 統 治 機 構 に お け る 女 性 行 政 官 は1997年 で は 課 長 級 は10.2%だ が 、 部 長 級 は4.5%、 局 長 級 は0%で あ る 。(図 7) (出 所)NSO年 鑑1998よ り 編 集 図4 中 等 教 育 の 就 学 率(性 別 、1985-1998) (出 所)NSO年 鑑1998よ り 編 集 図5 高 等 教 育 の 就 学 率(性 別 、1985-1998)
(出 所)GCSD 2000 bよ り編 集 図7 中央 統 治 機 構 に お け る 女 性 行 政 官(1997) ま た 、 私 立 大 学 で は 学 費 を 払 え る の は 高 所 得 層 に 限 ら れ 、 高 学 歴 化 の 一 方 、 女 性 の 貧 困 層 の 増 加 と 、 女 性 の 間 に 不 平 等 が 生 ま れ て い る 。 女 性 の 高 学 歴 化 は 一 方 で 、 結 婚 や 出 産 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る 。 そ れ は 女 性 の 進 学 率 の 高 さ は 、 同 年 代 の 男 性 の 進 学 率 が 低 く 、 同 じ よ う な 条 件 で の 結 婚 相 手 と な る 男 性 が 少 な す ぎ る こ と にな る 。 ま た 、 市 場 経 済 後 の 競 争 社 会 で 、 保 育 サ ー ビ ス の 低 下 な ど で 共 働 き の 条 件 が 悪 く な っ た た め に 、 高 学 歴 女 性 は 結 婚 や 出 産 が し 難 く な っ て い る 、 と 高 学 歴 の 女 性 た ち は 言 っ て い る 。 (2)女 性 の 経 済 的 地 位 の 変 化 そ こ で 、 経 済 的 な 地 位 の 変 化 を 見 る と 、 市 場 経 済 へ の 移 行 で 、 社 会 サ ー ビ ス の 低 下 や 男 性 の 失 業 率 の 増 加 な ど で 、「伝 統 的 な 男 女 間 の 関係 が 持 続 し 、 女 性 の 家 庭 的 仕 事 に 関 す る 規 範 や 男 性 の 家 庭 の 長 と し て の 地位 が よ り 明 確 に な っ た と 言 え る 」 と 分 析 し て い る 。 ① 女 性 自身 の 収 入 の 重 要 性 そ こ で 経 済 的 な 地 位 の 変 化 を 見 よ う 。 ま ず 、 社 会 主 義 の 政 権 下 で は 、 男 女 は と も に雇 用 は 国 に よ り保 証 さ れ 、 女 性 が 外 で 仕 事 を す る 条 件 、 つ ま り 共 働 き の 条 件 が 整 え ら れ て い た 。 し か し 、 当 時 に 比 べ 女 性 の 失 業 率 は 男 性 よ り 高 く1998 年 で は 男 性5.2%に 対 し て 、 女 性 は6.4%、(1999年 で は 男 性5.2%、 女 性5.3%と 男 女 が 近 づ い て い る が)移 行 後6-10%に あ る 。(図8)
(出 所)NSO年 鑑1998よ り 編 集 図8 失 業 率(性 別 、1992-1998) し か し 、 夫 の 失 業 な ど 家 庭 の 一 定 水 準 で の 生 活 の た め に 、 妻 の 収 入 は さ ら に 重 要 に な る 。 家 庭 の 所 得 に つ い て 、33.1%の 女 性 が そ の 大 半 を 稼 い で お り 、25.6%の 女 性 が 夫 と 同 等 の 割 合 を 稼 い で い る こ と が わ か っ た 。 っ ま り 、 モ ン ゴ ル の 女 性 は 女 性 自身 の 収 入 を 得 る こ と が 当 然 で あ り 、 自分 や 家 庭 の た め に も 非 常 に 重 要 な 位 置 を 占め て い る 。 ② 民 間部 門 で 大 き な ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス 市 場 経 済 は 一 方 で 、 女 性 の 高 学 歴 化 や 新 た な ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス を 生 み 出 し て い る 。 国 か ら 個 人 へ 社 会 的 資 産 が 譲 渡 さ れ た こ と で 、 公 共 、 民 間 の 両 部 門 で 市 民 権 、 資 産 権 、 女 性 の 権 利 に影 響 を 及 ぼ し た 。 し か し 、 民 営 化 に は 女 性 は ほ と ん ど 参 加 で き な か っ た 。 国 か ら 個 人 へ の 資 産 の 譲 渡 は 、 男 性 に有 利 な も の で 、 女 性 は 資 産 の 蓄 積 で 不 利 と な っ た 。 そ の た め 、 市 場 で 男 性 と 同等 に 競 争 す る こ と が 不 利 に な っ た 。 し か し 、 財 産 を 買 っ た り 、 民 間 ビ ジ ネ ス に 女 性 が 参 入 し つ つ あ る 。 モ ン ゴ ル 国 商 工 会 議 所 の 優 良 企 業 婦 人 部 会 に は 、1998年 か ら 始 ま っ た 女 性 企 業 家 年 度 賞 の 受 賞 者 が 並 ん で い る 。D.セ ル ゲ レ ン さ ん は モ ン ゴ ル 商 工 会 議 所 の 理 事 で あ り 、 優 良 企 業 婦 人 部 会 の 会 長 で あ る 。 セ ル ゲ レ ン さ ん は 、 鉱 山や 学 校 、 病 院 を 経 営 す るErel株 式 会 社 の 取 締 役 で あ る 。 N.ハ ジ ド ス レ ン さ ん は 外 国 語 大 学 を 経 営 し 、Orkhon大 学 の 学 長 、 Ts.ノ ロ ブ ビ ル さ ん は 、 Aronoデ ン タ ル 病 院 の 院 長 で あ り 、 歯 科 の 学 校 や 歯 科 の 薬 、 材 料 の 輸 入 を 経 営 し て い る 。 そ の 他Zoos銀 行 の 銀 長 、 カ シ ミ ア 生 産 、 国 際 運 送 サ ー ビ ス 、 ガ ソ リ ン 輸 入 、 じ ゅ う た ん の 生 産 ・販 売 ・輸 出 な ど 、 多 種 に わ た る 女 性 の 企 業 家 が 現 れ て い る 。 セ ル ゲ レ ン さ ん の 話 に よ れ ば 、600社 の う ち200社 が 女 性 の 企 業 家 で あ る 。 現 在 は 、 各 分 野 に こ れ か ら 発 展 す る5つ の 分 野 と し て 食 肉加 工 、 カ シ ミ ア 産 業 、 鉱 山 、観 光 、ITが あ げ ら れ 、 こ の 中 に 女 性 が 入 っ て 活 動 し て い る 。 女 性 の 成 功 例 も あ る が 、 差 別 さ れ て い る こ と も あ る 。 ビ ジ ネ ス 関係 の 法 律 が難 し い し 、 そ の と き の 政 権 によ っ て 変 わ る の で 困 る と い う 問 題 や 女 性 で 新 し い ビ ジ ネ ス を 始 め た い 人 に は 融 資 が 必 要 に な る が 、 利 息 は 高 く 、 女 性 の 企 業 家 に 対 し て 考 え て い る 法 律 は 一 つ も な い 。
③ 中小 企 業 を 起 こ し た 女 性 た ち こ う し た 条 件 の 下 で 、 女 性 が 起 業 す る 割 合 は 男 性 よ り ず っ と 少 な い 。 雇 用 者 協 会 が482の 中 小 企 業 に 対 し て 行 っ た 調 査 で は 、 女 性 の 起 業 家 は 全 体 の3分 の1で あ っ た 。 中 小 企 業 の38%を 占 め る 零 細 企 業 は女 性 の 割 合 が 高 く 、 大 き な 規 模 にな る ほ ど 女 性 の 割 合 は 減 る 。 分 野 で い え ば 、 中 小 企 業 で 女 性 の 企 業 家 が 占 め る 割 合 は 、 製 造 業 で20%、 小 売 業 で25%、 サ ー ビ ス 部 門 で35%で あ っ た 。 中 小 企 業 を 起 業 し た 女 性 た ち の 話 の 事 例 は 次 の と お り で あ る 。 ・印刷 会 社 を 経 営 す るGelegjio Toonotさ ん は 、 モ ス ク ワ で 印 刷 テ ク ノ ロ ジ ー 学 部 を 卒 業 し 、 帰 国 後 国 営 印 刷 会 社 に勤 め て い た 。1990年 に 民 主 化 運 動 が 起 き 、 誰 で も ビ ジ ネ ス が で き る よ う にな り 、 小 型 印 刷 機 械 を 買 っ て 、 夫 と 印 刷 所 を 始 め た 。 紙 や 専 門 ス タ ッ フ の 不 足 、 家 賃 に す べ て 利 益 を 使 っ て 大 変 で あ っ た 。10年 間 で 会 社 を 少 し ず つ 大 き く し た 。 小 型 の 印 刷 機 械 は 韓 国 、 中 国 、 日本 製 で 、 50%は 日本 製 で あ る 。 中 小 企 業 に は 税 金 の 問 題 が あ る 。 ・Khatan Suikh Impex株 式 会 社 は ハ ム な ど の 肉 製 品 や ペ ッ ト フ ー ド を 作 っ て い る 。ペ ットフ ー ド は 草 原 で の 馬 に 目を つ け 、100%馬 肉 で あ る た め 、 注 文 が 増 え て い る 。 韓 国 に 牛 肉 、 馬 肉 、 牛 レ バ ー の 缶 詰 を 輸 出 し て い る 。 社 員 は40人 で 、 女 性 は30人 。 レ ス ト ラ ン も 持 っ て い る 。 ・モ ン ゴ ル 芸 術 家 援 助 連 盟 は 、地 方で 作られ て いる 民芸 品を販 売しよ う と姉妹2人 で設 立した 。モ ン ゴ ル で 実 施 さ れ た イ タ リ ア の プ ロ ジ ェ ク ト に参 加 し 、 地 方 で 女 性 た ち が 美 し く 、 か わ い い 民 芸 品 を 作 っ て い る こ と が わ か り 、 生 産 工 程 な ど 調 査 し て 、 家 庭 で 作 る 製 品 を ど こ で ど う 販 売 す る か を 結 び つ け て い る 。 ゲ ル の 中 で 家 庭 の 女 性 た ち の 職 と 収 入 源 に な る 。 現 在 連 盟 に は250人 が い る が 、7 割 が 女 性 で あ る 。 若 く て 民 芸 品 を 作 り 始 め て い る 人 た ち は 、20人 く ら い の 自分 の 小 さ な 工 場 を 作 っ て い る 。 万 博 に4人 が 参 加 、 外 国 へ 招 聘 さ れ る 女 性 も い る 。 連 盟 は 自立 す る た め の 支 援 が 役 割 で あ る 。 現 在 小 さ な 旅 行 会 社 を 作 り 、観 光 ビ ジ ネ ス も 始 め て い る 。 ・ウ ー ジ ン 株 式 会 社 は 、ラ ク ダ の毛 を利 用 し た ニッ ト製 品を 製造 販 売 して い る。 カ シ ミア も ある が 、砂 漠 の ラ ク ダ に 目を つ け 、 何 回 か 試 作 を 繰 り 返 し な が ら 毛 糸 を 作 っ た 。 国 内 紡 績 業 か ら10割 の ラ ク ダ の 毛 糸 紡 績 を 利 用 し 、 デ ザ イ ン に も 力 を 入 れ る よ う に な っ た 。 社 員 は10人 、 ウ ラ ン バ ー ト ル 市 の シ ョ ッ ピ ン グ セ ン タ ー 、 日本 、 ロ シ ア 、 ア メ リ カ 等 の 会 社 と 個 人 的 に 協 力 、 年 間 に約1万 点 が 生 産 可 能 で あ る 。 女 性 の 中小 企 業 に は 外 国 か ら の 援 助 が 届 か な い 。5000ド ル の 融 資 に は 、10000ド ル の 担 保 が 必 要 で 、 女 性 の 中 小 企 業 で は 受 け ら れ な い 。 ④ イ ン フ ォ ー マ ル 部 門 の 女 性 零 細 事 業 主 中 小 企 業 の 株 式 会 社 よ り 、 も っ と 零 細 に 仕 事 を 始 め た 女 性 た ち が 多 い 。 都 市 部 に お い て イ ン フ ォ ー マ ル 部 門 が 急 成 長 し た 。 モ ン ゴ ル で は イ ン フ ォ ー マ ル 部 門 は 非 合 法 で は な く 、 多 く の 事 業 所 が 正 式 に 納 税 し て い る 。 全 国 で 約6万 人 が 雇 用 さ れ て い る 。 タ ク シ ー 事 業 以 外 は 、 大 半 の 零 細 事 業 主 が 女 性 で あ る 。 ⑤ ジ ェ ン ダ ー によ る 所 得 格 差 こ う し た 状 況 下 で ジ ェ ン ダ ー に よ る 所 得 格 差 が あ る 。 例 え ば 自営 業 で 見 る と 次 の よ う で あ る 。 月
表1 ジ ェ ン ダ ー に よ る 所 得 の相 違 (1997年 、所 得 区分 によ る 男 女 の%) .月収 自営 男性 女性 低(1-20,000tug) 中(20,001-60,000tug) 高(60,001<) 58.8 36.4 4.8 69.4 25.9 4.6 (出 所)UNDP/NSO 1999 収1-20000Tgの 低 所 得 層 は 男 性58.8%、 女 性69.4%。20001-60000 Tgの 中 所 得 層 は 男 性36.4%、 女 性25.9%。60000Tgの 高 所 得 層 は 男 性4.8%、 女 性4.6%で 、 高 所 得 層 は 男 女 差 が ほ と ん ど な い が 、 女 性 は 低 所 得 層 に7割 が 集 中 し て い る 。(表1) ⑥ カ シ ミ ア 生 産 にお け る 女 性 の 位 置 女 性 は カ シ ミ ア の 生 産 と 大 き く か か わ っ て い る 。 モ ン ゴ ル は 中 国 に 次 ぐ カ シ ミ ア の 生 産 地 で あ る 。 カ シ ミ ア の 輸 出 は 急 速 に 成 長 し て い る 。「ゴ ビ 」 カ シ ミ ア 加 工 工 場 は 日本 の 経 済 協 力 で 設 立 さ れ て い る 。 生 産 に必 要 な 広 大 な 牧 草 地 や 労 働 力 は モ ン ゴ ル で の 低 コ ス ト の 生 産 を 可 能 に し て い る 。 女 性 は 牧 畜 や 加 工 工 場 で の 雇 用 な ど 直 接 か か わ っ て い る 。 し か し 、 農 村 で の 牧 畜 、 加 工 工 場 、 販 売 、 取 引業 者 な ど 、 一 連 の 流 れ の 中で 、 直 接 生 産 に か か わ る 女 性 の 取 り 分 は 少 な い 。 こ れ は カ シ ミ ア 商 品 チ ェ ー ン研 究 グ ル ー プ に よ っ て 明 ら か に さ れ て い る 。 男 性 が 中 心 の 市 場 で の 取 引 に 、 最 近 女 性 も か か わ る 例 が 見 ら れ る 。 ⑦ 農 村 の 女 性 の 無 償 労 働 の 増 加 移 行 期 に こ う し た 女 性 の ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス が 生 ま れ た 一 方 、 女 性 に 負 担 が 増 大 し て い る 。 ま ず 牧 畜 を す る 農 村 の 女 性 で あ る 。 女 性 が 男 性 の 仕 事 を す る よ う に な り 、 男 性 と 女 性 の 仕 事 の 区 分 が は っ き り し な く な っ た 。 し か し 、 女 性 が こ れ ま で 担 っ て き た 生 産 的 な 仕 事 が 増 え た に も か か わ ら ず 、 伝 統 的 な 仕 事 区分 が 守 ら れ て い る 。 そ の た め 女 性 の 労 働 量 が 増 え て い る 。 モ ン ゴ ル に特 徴 的 な こ と は 、 市 場 経 済 へ 移 行 し て か ら 自給 自足 が 増 え て い る 点 で あ る 。 そ れ は 製 品 の 輸 入 が 減 り 、 生 活 費 は 高 く な り 、 政 府 の サ ー ビ ス が 低 下 し た た め で 、 で き る だ け 女 性 の 無 償 労働 に よ る 自給 自足 が 必 要 に 迫 ら れ て い る か ら で あ る 。 5.移 行 期 の マ イ ナ ス 面 と プ ラ ス 面 の モ ン ゴ ル の 特 徴 こ の よ う に移 行 期 に マ イ ナ ス 面 と し て 、 出 生 率 の 低 下 、 女 性 の 世 帯 主 の 増 加 、 家 庭 内 暴 力 や 女 性 に 対 し て の 暴 力 の 増 加 、 妊 産 婦 死 亡 率 の 増 加 、 社 会 サ ー ビ ス の 低 下 な ど に よ る 女 性 の 家 事 労 働 の 負 担 増 加 、 共 働 き 体 制 の 崩 れ 、貧 困 母 子 家 庭 の 子 ども の 放 棄 に よ る マ ン ホ ー ル チ ル ド レ ン の 増 加 が あ る 。 一 方 、 プ ラ ス 面 と し て 、 男 性 へ の 依 存 か ら 女 性 自身 が 自立 を 目指 し て 、 収 入 を 得 る 女 性 が 増 え
た こ と 、 特 に 女 性 の 高 学 歴 化 や 、 ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス が 生 ま れ た こ と に よ り 、 女 性 の 実 業 家 が 出 現 し 、 中小 企 業 の 経 営 者 と し て 起 業 す る 女 性 が 生 ま れ て い る 。 移 行 期 に 伴 う こ う し た 劇 的 な 状 況 変 化 に 対 応 し て 、 マ イ ナ ス 面 はも ち ろ ん 、 プ ラ ス 面 に 対 し て も 、 政 府 、 専 門 家 、NGOの 活 動 の そ れ ぞ れ の 役 割 と 、 そ の 連 携 の 果 た す 意 味 は 大 き い 。 特 にNGO の 役 割 の 比 重 が 大 き い 。 6.NGOの 役 割 の 重 要 性 モ ン ゴ ル の こ の よ う な 女 性 の 動 き を 支 え て き た 背 景 にNGOの 活 動 が あ る 。 モ ン ゴ ル に はNGOに 登 録 し て い る う ち の50団 体 が 女 性 問 題 に か か わ っ て い る 。 聞 き 取 り 調 査 を し た 、 最 近 で き た 女 性 の ネ ッ ト ワ ー ク と 代 表 的 な 個 別NGOを 紹 介 す る 。 (1)モ ン ゴ ル 女 性NGO全 国ネ ッ ト ワ ー ク 女 性 にか か わ るNGOは 、1990年 か ら 多 く 創 ら れ 、10年 間 そ れ ぞ れ が 自分 の仕 事 の 範 囲 の 活 動 を し て き た 。2000年 に 入 り ネ ッ ト ワ ー ク を創 っ た 。 い ろ い ろ なNGOが 集 ま り 、 お 互 い の 仕 事 を 語 り 合 っ て 、 ど の よ う な 仕 事 が 新 た に で き る の か を 討 議 し た 。 そ の ネ ッ ト ワ ー ク を 通 じ て 政 府 に影 響 力 を 持 つ こ と 、 情 報 交 換 も 大 事 で あ り 、 外 国 のNGOと 、 国 際 的 な 活 動 に参 加 し て い く こ と を 考 え て い る 。 メ ン バ ー は2002年 現 在33団 体 で 、 何 よ り 情 報 交 換 が 重 要 だ と 毎 月情 報 誌 を 出 し て い る 。 今 年 8月 に ウ ラ ン バ ー ト ル 市 で ア ジ ア ・太 平 洋 のNGO会 議 が あ る 。 国 際 女 性 協 会 の 会 員 に な る 申請 を し て い た が 、 組 織 のメ ン バ ー に 認 め ら れ る 予 定 で あ る 。 代 表 的 なNGOは 、 持 続 的 開 発 の た め の ジ ェ ン ダ ー セ ン タ ー 、 農 村 女 性 の エ ン パ ワ ー メ ン ト 基 金 (FERW)、 等 々 で 、 以 下 に そ の 活 動 内容 につ い て 述 べ る 。 写 真3 モ ン ゴ ル 女 性NGOの 代 表 メ ン バ ー(ウ ラ ン バ ー ト ル)
(2)持 続 的 開 発 の た め の ジ ェ ン ダ ー セ ン タ ー 以 前 は情 報 交 流 セ ン タ ー と し て 活 動 し て い た 。 女 性 に ど の よ う な 問 題 が 起 き て い る か 、 情 報 収 集 の 調 査 を し 、 政 府 な ど に 戦 略 を 提 言 す る 仕 事 を し て い た 。 持 続 的 開発 は ジ ェ ン ダ ー の 問題 に深 く 関 わ っ て い る 。 開 発 の プ ロ セ ス に ジ ェ ン ダ ー 問 題 が ど の よ う な 影 響 を 与 え る か を 調 査 し て い る 。 調 査 を20実 施 し 、"過 渡 期 の 女 性 の 状 況"を 選 び 、 広 い 範 囲 の 調 査 を し た 。 主 な 仕 事 と し て マ ス コ ミ や 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク へ の 女 性 の 参 加 に つ い て 調 べ 、 レ ポ ー ト を 出 し て い る 。 男 性 と 同様 にITに 参 加 で き る よ う な 可 能 性 を 探 っ た り 、 地 域 レ ベ ル で 行 わ れ た ア ジ ア 情 報 交 換 ネ ッ ト にも モ ン ゴ ル 代 表 を 送 っ た こ と が あ る 。 ユ ニ フ ェ ム の 協 力 で 、 女 性 と 情 報 で 仕 事 を し て い る 。 ま た 女 性 に 関 す る 資 料 を 多 く 蓄 積 し て い る 。 (3)女 性 の 社 会 進 歩 協 会 1994年 に 設 立 さ れ 、 二 つ の 仕 事 を し て い る 。 憲 法 に 定 め ら れ て い る 民 主 的 な 社 会 を 実 現 す る た め に 、 法 律 を 作 る と き に 男 女 平 等 参 画 を 、 最 近 ま で 政 府 の 活 動 は 国 民 に 知 ら れ て い な か っ た た め 、 た く さ ん の 内 容 が わ か る よ う に 情 報 サ ー ビ ス し 、 国 民 と 政 府 機 関 を 結 ぶ 役 割 を し て い る 。 投 票 者 教 育 セ ン タ ー を 設 立 し て 、 市 長 や 地 元 、 国 レ ベ ル ま で 女 性 が 参 画 す る こ と を 進 め て い る 。 こ れ か ら の 目 的 は 、 地 域 レ ベ ル で 、 地 方 の 機 関 で 、 地 方 の 人 た ち が 自分 の 問題 を 解 決 し て い く こ と が 重 要 で あ る と 考 え て い る 。 (4)反 暴 力 全 国 セ ン タ ー 同 セ ン タ ー は 設 立 さ れ て 一 年 、3つ のNGO代 表 者 が 話 し 合 う 中で で き た 。 事 業 は2つ の 流 れ が あ る 。 女 性 に対 す る 暴 力 や 家 庭 内 に お け る 暴 力 へ の 対 応 と 、 暴 力 を 未 然 に 防 止 す る プ ロ グ ラ ム で あ る 。 ま ず 精 神 的 暴 力 へ は 精 神 的 に ア ド バ イ ス 、 女 性 を 保 護 す る 保 護 寮 、 ホ ッ ト ラ イ ン を 設 け る こ と で 、今 年2002年 に入 り 、 国 か ら シ ェ ル タ ー の た め の 施 設 作 る こ と が 決 ま っ た 。 女 性 弁 護 士 協 会 の 協 力 が あ る 。 多 数 の 調 査 を し て 、 い く つ か の 調 査 結 果 で は 、3人 の う ち1人 が 家 庭 で 暴 力 を ふ る わ れ て い る 。 (5)女 性 と 家 族 と 母 国 協 会 モ ン ゴ ル の 女 性 た ち が ど う し て 生 き て い け ば い い の か 、 と い う 立 場 で 参 加 し て い る 。18県 の 中 心 に オ フ ィ ス を 開 い て お り 、4年 が 経 つ 。 農 村 地 域 で 活 動 す る の で 資 金 が 不 可 欠 で あ る 。 い ろ い ろ な 組 織 の 寄 付 で ま か な っ て お り 、 日本 の 赤 十 字 社 か ら の 支 援 も あ る 。 女 性 、 子 ども 、 子 ども の 教 育 、 家 計 、 家 庭 経 済 と 母 国 の 経 済 、 母 国 、 発 展 を キ ー ワ ー ド に し て い る 。 モ ン ゴ ル は 国 土 が 広 く 、 イ ン フ ラ が 十 分 で な く 、 地 域 の 女 性 は 大 変 な 状 況 で 、 貧 困 家 庭 が 多 い 。 貧 困 問 題 を ど う 解 決 す る か を 実 施 し て い る 。
(6)女 性 と 正 義 「 女 性 と 正 義 」 の 会 長 で あ る イ デ ル さ ん は 、 女 性 差 別 撤 廃 委 員 会 の 初 代 議 長 な ど 国連 で 活 躍 し た 人 で あ る 。 日本 で は 国 際 女 性 の 地 位 協 会 、 赤 松 良 子 賞 の 受 賞 者 と し て 知 ら れ る 。 男 女 平 等 に つ い て 、 情 報 や 知 識 を 提 供 す る 活 動 を 展 開 、 女 性 と 人 権 に 関 す る 法 律 案 に 意 見 を 提 言 し た り し て い る 。 モ ン ゴ ル の 女 性 の 雑 誌 を 発 行 し て い る 。 外 国 か ら の 寄 付 や 資 金 が 寄 せ ら れ た ら 、 ゼ ミ や 学 習 コ ー ス を 広 げ て い る 。 個 人 的 に は 貧 困 家 庭 に 寄 付 や 支 援 を し て い る と 言 う 。 日本 国 際 女 性 の 地 位 協 会 か ら 出 版 さ れ て い る 雑 誌 に 関 心 を 持 っ て い る 。 誰 で も わ か り や す く し た 、 ア イ デ ア が 気 に 入 っ て い る 。 モ ン ゴ ル の 女 性 の た め に そ の よ う な 雑 誌 を 作 り た い と 、 ア メ リ カ の ア ジ ア 基 金 、 ユ ニ フ ェ ム に 申 し 込 ん で い る 。 (7)農 村 女 性 の エ ン パ ワ ー メ ン ト 基 金(FERW) Ms. Otgonbayarさ ん は ゴ ビ 地 方 の 出 身 で あ る 。 モ ン ゴ ル の 農 村 地 域 の 開 発 と 女 性 の エ ン パ ワ ー メ ン ト に カ を 注 い で い る 。 国 土 が150万 平 方kmに 、 人 口 が283万 人 で 、46%が 地 方 に 住 ん で 、 遊 牧 し て い る 。 例 え ば ゴ ビ は4平 方kmに1人 し か 住 ん で い な い 。 こ の よ う な 広 大 な 中 で 暮 ら し て い る 女 性 を 調 査 し 、 デ ー タ に 基 づ い て 政 策 が 行 わ れ て い る 。 今 回 の ユ ニ フ ェ ム の プ ロ ジ ェ ク ト は 、2段 階 に わ た る 調 査 で 、 第1段 階 は10の 調 査 の べ 一 ス で 、 実 際 に 調 査 先 を ゲ ル に し 、 遊 牧 の 女 性 た ち に 聞 い た 。 西 モ ン ゴ ル で は バ ヤ ゴ ホ ン ゴ ル 県 、 東 モ ン ゴ ル で は ド ル ノ ド 県 、 南 モ ン ゴ ル で は ゴ ビ で 調 査 さ れ て い る 。 こ の 調 査 に 基 づ い て 、 農 村 地 域 開 発 報 告 書 が 政 府 機 関 、 国 会 に 提 出 さ れ た 。 基 金 に つ い て は 、 ウ ラ ン バ ー ト ル に 住 む 女 性 が 集 ま っ て 、 地 方 の 女 性 た ち を ど う 支 援 す る か を 考 え 、1994年 に 設 立 し た 。 事 業 の ほ と ん ど は 地 方 で 行 わ れ て い て 、18県 、200村 、100のaimag(地 域 の 単 位)で 実 施 さ れ て い る 。 基 金 に は4つ の ク ラ ブ が あ り 、 乳 製 品 ク ラ ブ 、 太 陽 発 電 ク ラ ブ 、 編 み 物 ク ラ ブ 、 弁 護 士 ア ド バ イ ザ ー ク ラ ブ で あ る 。 今 年 の2002年 に ウ ラ ン バ ー ト ル 市 で 、 国 連 、 ユ ニ フ ァ ム 、 モ ン ゴ ル 政 府 の 協 力 で 地 方 の 女 性 の グ ロ ー バ ル 化 に つ い て 話 し 合 い 、 遊 牧 生 活 を 送 っ て い る 地 方 の 女 性 た ち の 生 活 を 基 礎 に し た 会 議 で あ っ た 。 (8)モ ン ゴ ル の 女 性NGOの 特 徴 モ ン ゴ ル の 女 性NGOの 特 徴 は 、 市 場 経 済 へ の 移 行 期 の 混 乱 と 、 国 連 の 世 界 女 性 会 議 以 後 の 女 性 の 意 識 の 高 ま り の 両 方 か ら 、 国 内 の 女 性 の 地 位 向 上 の 計 画 を 進 め る こ と と 、 現 実 の 移 行 期 の 女 性 を 支 え る こ と で あ る 。 ま た も う ひ と つ は 、 社 会 主 義 体 制 の 中 で 圧 迫 さ れ て い た モ ン ゴ ル の 文 化 も 見 出 し 、 そ こ か ら 発 展 さ せ て 女 性 の 仕 事 作 り につ な げ よ う と し て い る 点 で あ る 。 ま たNGOは 首 都 に 集 中し て い て 、 国 の 政 策 と 連 動 し て 、 女 性 の 国 会 議 員 や 女 性 企 業 家 、 行 政 の 官 僚 、 専 門 家 が 一 体 と な っ て 活 動 し て い る 。 さ ら に 海 外 か ら の 多 く の プ ロ ジ ェ ク ト や 経 済 的 支 援 の 受 け皿 と し て 機 能 し て い る こ と も 特 徴 で あ る 。
7.極 貧 の 女 性 と 子 ど も の 支 援 移 行 期 に 出 現 し て 最 も 困 窮 し て い る の は 、 母 子 家 庭 と 親 に 放 置 さ れ た 子 ど も た ち で あ る 。 チ ル ド レ ン ・セ ン タ ー 、 母 子 家 庭 自立 支 援 の 「希 望 の 家 」「希 望 の 森 」 プ ロ ジ ェ ク ト を み よ う 。 (1)母 子 家 庭 自立 支 援 プ ロ ジ ェ ク ト 「希 望 の 家 」 市 場 経 済 の 移 行 期 に 最 も 深 刻 な 影 響 を 受 け て い る の は 、 母 子 世 帯 と 子 ども た ち で あ る 。 母 子 家 庭 自立 支 援 プ1コジ ェ ク ト に 現 在12家 族 が 参 加 し て い る 。 ウ ヌ バ ヤ さ ん 一 家 は 夫 が 死 亡 、 子 ど も は10人 い る が8人 を 家 で 育 て 、2人 を 施 設 に入 れ て い る 。 周 囲 の ゲ ル は 周 り を 柵 で 囲 ん で い る が 、 木 材 を 買 う お 金 が な く 、 ま た ゲ ル の テ ン ト の フ ェ ル ト も 薄 く 、 厳 寒 の 冬 を 越 す の は 厳 し い 。14歳 と15歳 の 子 ど も2人 が 、 母 親 と 家 族 の 生 活 を 助 け る た め 、 何 キ ロ も 離 れ た 鉄 道 駅 か ら 石 炭 を 拾 っ て き て そ れ を 売 っ て い る 。 母 親 は キ リ ス ト 教 の 施 設 内で の 掃 除 で わ ず か な 収 入 が あ る 程 度 。 母 親 は 自立 支 援 プ ロ ジ ェ ク ト に 参 加 を 勧 め ら れ 、「希 望 の 家 」 で メ ン バ ー と と も に 豚 や ア ヒ ル の 世 話 を し て い る 。 栄 養 不 足 で3歳 の 子 ども は 体 が 小 さ い 。 プ ロ ジ ェ ク ト に 参 加 し て か ら 、 野 菜 、 ニ ワ ト リ 、 卵 を 食 べ ら れ る よ う に な っ た 。 冬 は 家 畜 の 一 部 を 売 っ て 、 一 部 を 食 べ る 。 プ ロ ジ ェ ク ト に 参 加 し て か ら8歳 の 子 ど も 一 人 だ け が 初 め て 学 校 に 行 け る よ う に な っ た 。 ま た ダ ン ボ ール の 壁 の 家 に 暮 ら す 母 子 家 庭 も あ る 。 夫 が 死 亡 し 、 ど う し よ う も な く プ ロ ジ ェ ク ト に 参 加 し た 。 母 子7人 が 以 前 は1m×2 m四 方 の 家 に 住 ん で い た 。 現 在 で も3m×4 m四 方 で あ り 、 壁 は ダ ン ボ ー ル 紙 の た め 、 厳 冬 は し の ぎ が た い 。 こ の プ ロ ジ ェ ク ト は 、 ど こ か らも 支 援 が な い 母 子 家 庭 の た め に 、 モ ン ゴ ル 商 工 会 議 所 ・ 日本 支 社 の ウ ル ジ ー(Ulzinyam)さ ん の 元 大 学 教 授 の 父 親 が 自分 の 年 金 を 使 っ て 地 元 で プ ロ ジ ェ ク ト を 支 援 し て い る 。 ウ ラ ン バ ー ト ル 市 か ら 土 地 を 借 り 、 貧 困 の12の 母 子 家 庭 に 、 豚2頭 、 ア ヒ ル 数 羽 か ら は じ め 、 食 料 と 売 る 家 畜 や 野 菜 を 増 や し て き た 。 柵 や 小 屋 の 建 設 費 や え さ 代 に お 金 が 要 っ た 。 夜 の 見 張 り の た め の 小 屋 は ワ ー ク シ ョ ッ プ ・ハ ウ ス と し て 使 わ れ て い る 。 自 立 し て 出 た 家 族 も い る 。 2002年4.月NGO「 希 望 の 架 け 橋 」 を 設 立 し 、 ウ ラ ン バ ー ト ル に 緑 が い っ ぱ い の 公 園(希 望 の 森) と 、 そ の 中 に緑 の 維 持 管 理 で 雇 用 を 作 り 、 母 子 家 庭 自立 支 援 の 希 望 の 家 」の 建 設 を 計 画 し て い る 。 (2)マ ン ホ ー ル に住 む 子 ど も た ち の チ ル ド レ ン ・ セ ン タ ー 母 子 家 庭 は 極 貧 と は い え 親 が い る 。 し か し 親 に 捨 て ら れ た り親 の 暴 力 か ら 家 を 逃 げ て き た 子 ど も た ち が 、 市 場 経 済 の 移 行 期 に 増 え た 。 厳 冬 の た め 地 中 の マ ン ホ ー ル で 生 活 す る 。 そ の た め 「 マ ン ホ ー ル ・チ ル ド レ ン 」 と 呼 ば れ て い る 。 チ ル ド レ ン セ ン タ ー は7歳 か ら18歳 の 子 ど も を 対 象 に し 、 1999年 設 立 、 現 在125人 、 元 ロ シ ア の 軍 隊 の 宿 舎 を 改 造 し16部 屋 あ る 。 セ ン タ ー の 子 ど も は 移 行 期 に 教 育 も 失 っ て し ま っ た 。 ド ロ ッ プ ア ウ ト し た 子 ど も た ち に 、イ ン フ ォ ー マ ル に 小 学 校 の 教 育 を し て い る 。 ま た 木 工 や 靴 の 縫 製 な ど 職 業 訓 練 も し て い る 。 当 初 は300人 の 子 ど も が い た が 、 逃 げ る 子 ど も も30人 く ら い い た 。 子 ど も た ち に 歌 や 楽 器 、 ダ ン ス も 教 え 、 音 楽 で 金 メ ダ ル を 取 っ た く ら い 優 秀 で 、 演 奏 旅 行 も 期 待 し て い る 。 施 設 職 員 は20人 、 ウ
ラ ン バ ー ト ル 市 が 運 営 し て い る が 寄 付 も な く 運 営 が き び し い 。 母 子 家 庭 の 自立 支 援 は 、 こ う し た 子 ど も を な く す た め にも 、 必 要 に な っ て い る 。
ま と め
ユ ニ フ ェ ム の ジ ェ ン ダ ー 分 析 の 効 果 の 重 要 性 社 会 主 義 体 制 か ら 市 場 経 済 へ 移 行 し て11年 、 急 速 な 市 場 へ の 自 由化 の 中 で 、 女 性 の 社 会 的 、 経 済 的 な 状 況 は 大 き く 変 化 し て い る 。 女 性 の 世 帯 主 の 増 加 や 、 市 場 経 済 へ の 急 速 な 移 行 で 、 男 性 も 失 業 や 仕 事 の 増 大 や ス ト レ ス か ら 暴 力 が 増 加 す る な ど 、 ま た 保 育 な ど の 社 会 サ ー ビ ス の 低 下 で 、 女 性 の 家 庭 の 仕 事 に対 す る 責 任 や 男 性 の 家 族 の 長 と し て の 地 位 が よ り 明 確 に な っ て き て い る 。 し か し 、 一 方 、 女 性 の 経 済 的 自立 志 向 へ の 高 ま り や 、 男 性 に 比 べ て 特 異 な 女 性 の 高 学 歴 化 や 女 性 の 専 門職 の 増 加 や 、 ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス が 生 ま れ た た め に起 業 す る 女 性 が 輩 出 し 、 女 性 の 可 能 性 も 引 き 出 さ れ つ つ あ る 。 し か し 、 市 場 経 済 へ の 移 行 期 の 女 性 の 大 き な 変 化 へ の 対 応 を 支 え て い る の は 、 首 都 ウ ラ ン バ ー ト ル で 活 動 す る 女 性NGOで あ り 、 外 国 か ら の 支 援 や プ ロ ジ ェ ク ト の 受 け皿 と し て 機 能 し て い る 。 ユ ニ フ ェ ム の 「モ ン ゴ ル 女 性 の 地 位 向 上 国 家 プ ロ グ ラ ム 実 施 能 力 の 強 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト は 、 直 接 モ ン ゴ ル の 女 性 に 経 済 的 支 援 が 行 わ れ る も の で は な い が 、 移 行 期 に 女 性 に ど の よ う な 状 況 変 化 が 起 き て い る か 、 質 の 高 い 分 析 が さ れ て い る 。 ま た そ の 中で ジ ェ ン ダ ー 分 析 の 効 果 の 重 要 性 が 確 認 さ れ た 。 最 後 に訪 問 や 調 査 に 御 協 力 い た だ い た モ ン ゴ ル の 関係 者 に 心 か ら 感 謝 の 意 を 表 し た い 。 参 考 資 料 国 連 ユ ニ フ ェ ム ・ モ ン ゴ ル 女 性 ・ 年 間 レ ポ ー ト(2001年1月 一2001年12A) UNIFEM MongoliaFoundation for the Empowerment of Rural Women National Center Against Violence
Household Nutrition Pattern Survey Gender Center for Sustainable Development "Mother Land & Family" Women's Association
Re-vegetation against desertification and Single mother self-sustainable promotion Project Mongolian Women's Federation
Mongolian Best Companies and Entrepreneur 1997-2000 MONGOLIAN CHAMBER OF COMMERCE AND INDUSTRY Human Development Report Mongolia 2000
ORKHON UNIVERSITY EREL Co. Ltd