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Apc変異による遺伝子発現や細胞動態への影響は細胞種に依存する

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Academic year: 2021

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Title

Cellular context-dependent consequences of Apc mutations on

gene regulation and cellular behavior( Abstract_要旨 )

Author(s)

Hashimoto, Kyoichi

Citation

Kyoto University (京都大学)

Issue Date

2018-01-23

URL

https://doi.org/10.14989/doctor.r13139

Right

Type

Thesis or Dissertation

Textversion

ETD

(2)

京都大学

博士( 医 学 ) 氏 名

橋 本 恭 一

論文題目

Cellular context-dependent consequences of

Apc

mutations on gene regulation

and cellular behavior

Apc

変異による遺伝子発現や細胞動態への影響は細胞種に依存する)

(論文内容の要旨)

癌は遺伝子変異の蓄積により生じる疾患と考えられているが、癌の発生する臓器によって変異が検出される遺 伝子は異なっている。このことから、発癌に関連した遺伝子変異の働きは、細胞の種類に依存して変化するこ とが示唆される。しかしながら細胞種がどの程度癌関連遺伝子変異の作用に関与しているのかは十分に理解さ れていない。本研究では腫瘍細胞を初期化し、再分化させることで、細胞種を規定しているエピゲノム制御が どの程度遺伝子変異の作用に影響し腫瘍発生に関与しているか検証を行った。

Apc遺伝子に変異のある大腸癌モデルマウス(Apc min マウス)と Doxycycline を投与することにより全身の 体細胞で初期化因子を発現することができるマウスとを交配し、全身の体細胞で初期化因子を発現することが できる Apc min マウスを作製した。このマウスに発生した大腸腫瘍細胞を初代培養し Doxycycline を作用させ ることにより腫瘍細胞の初期化を試みた。得られた細胞は形態的に ES/iPS 細胞に類似し、多能性幹細胞に関 与する遺伝子群の発現を認め、初期化された腫瘍細胞(Reprogrammed colon tumor cell; RTC と呼称)と考 えられた。 マイクロアレイにてRTC および腸管の細胞でApc遺伝子の変異によって発現に影響を受ける遺伝子を比較する とほとんど重複しておらず、細胞の初期化によってApc遺伝子変異により影響を受ける遺伝子群が大きく変化 することが分かった。 RTC は多能性を有しておらず免疫不全マウスの皮下に移植しても奇形腫は形成しなかったが、胎盤に存在する 巨細胞を含む腫瘍を形成した。また、RTC では胎盤の幹細胞への分化に関与するCdx2の発現上昇を認めた。 さらに RTC を 8 分割卵に移植すると RTC の一部は栄養膜細胞層へ寄与した。これらの結果より RTC は多能性を 有しないが胎盤系列細胞へ分化する能力を持つことが確認された。 Apc遺伝子欠損は胎児性致死であることが報告されており、RTC の多能性の欠如はApc遺伝子の不活性化によ るものと考えられた。変異したApc遺伝子の片アレルを相同組み換えにて正常Apc遺伝子で救済すると RTC に 多能性が付与された。この救済Apc遺伝子に loxP 配列を組み込むことで、分化させたApc救済 RTC に再びApc 遺伝子の不活性化を引き起こすことを可能とした。このApc救済 RTC を用いてキメラマウスを作製することに より、RTC 由来の細胞がマウスの体内のさまざまなタイプの細胞へと分化可能であることを示した。キメラマ ウス体内で Cre を発現させ RTC 由来細胞のApcを再び不活性化した結果、腸管細胞に分化した細胞では再び腫 瘍を形成したが、他の臓器の細胞では腫瘍形成は認められなかった。胎児線維芽細胞に分化させた RTC は in vitro での増殖能に変化は認められず、細胞種依存的な細胞動態の変化は、細胞自律的な変化であることが示 唆された。さらにキメラマウス発生した腸管腫瘍の大部分は、RTC における遺伝子変異を有するにも関わらず、 腫瘍前段階である粘膜内微小病変にとどまることを示した。 これらの結果より Apc 遺伝子変異により影響を受ける遺伝子発現や細胞動態の変化は細胞種に依存すると 考えられた。また腫瘍の進展には遺伝子配列異常のみならず、何らかのエピジェネティック変化が関与してい ることが示唆された。以上より、エピゲノム制御の改変により癌遺伝子変異の作用を変化、制御できる可能性 が示唆された。

(論文審査の結果の要旨)

癌は遺伝子変異により生じる疾患と考えられているが、発生する臓器により検出される遺伝

子変異は異なっている。このことから遺伝子変異による発癌は、臓器を構成する細胞の種類に

依存していることが示唆される。しかし依存の程度は十分に理解されていない。申請者は大腸

腫瘍細胞を初期化し、他の臓器の細胞へ再分化させることで細胞種を規定しているエピゲノム

制御を変化させ、遺伝子変異による腫瘍形成への影響を検証した。

Apc Minマウスに発生した大腸腫瘍を培養しその腫瘍細胞の初期化を行いRTCと命名した。

マイクロアレイにて

Apc

遺伝子の変異により発現に影響を受ける遺伝子を、RTCおよび腸管細胞

で比較すると重複しておらず、細胞の初期化によって

Apc

遺伝子の変異により影響を受ける遺

伝子群が大きく変化する可能性が示唆された。

RTCは多能性を消失していたが、

Apc

遺伝子の片アレルを正常

Apc

遺伝子で救済すると多能性が

付与された。キメラマウスを作製し体内で

Apc

遺伝子を再び不活性化した結果、腸管では再び

腫瘍を形成したが、他の臓器では腫瘍形成は認められなかった。さらに腸管腫瘍の大部分は、

遺伝子変異を有するにも関わらず、腫瘍前段階である粘膜内病変にとどまっていた。

以上より

Apc

遺伝子変異により影響を受ける遺伝子発現や細胞動態の変化は細胞種に依存する

と考えられ、腫瘍の進展には遺伝子配列異常のみならずエピゲノム制御が関与していることが

示唆された。

以上の研究はエピゲノム制御が癌の発生・進展に及ぼす影響の解明に貢献し、癌の新しい治療

戦略の構築に寄与するところが多い。

したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。

なお、本学位授与申請者は、平成 29 年 10 月 19 日実施の論文内容とそれに関連した試問

を受け、合格と認められたものである。

要旨公開可能日: 年 月 日 以降

参照

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