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タイトルMSゴチック14p

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Academic year: 2021

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(1)

愛媛県における樹木の推定分布域

1.ブナ科

松井宏光

1 MATSUI Hiromitsu 1. はじめに 野外に自生する植物はその場所の自然環境(気温,湿度,雨量,積雪,地質,地形など)と人為や自然 発生による撹乱などにさまざまな要因の総和として生育していると思われる。そのため各種の正確な分布 図から多くの情報を読み解くことができるであろう。筆者は森林群落の解析において出現種の水平・垂直 分布域のデータが群落区分種の抽出の際に重要な手がかりとなると考え,この分布図作成に取りかかった。 今回の分布図は野生樹木に限定した。草本植物は種類数が多いことと調査時期が季節に限定されるが, 樹木の多くは落葉時期でも種の同定が可能であること,さらに森林群落の区分種の多くは樹木であること などの理由である。 今回示した分布図は既存資料のある地点のみであり,空白地域に生育していないとは言えないが,概ね の分布傾向は推定できるであろう。この報告によって空白地域での調査が進み,より正確な分布図が出来 ることを期待している。 2. 分布図の作成方法 今回作成した分布図は,水平分布は 1/5 万地形図を東西 8 等分,南北 8 等分の 64 区画に分割して表示し, 垂直分布は標高差 50m単位で表示した。これは日本植物分布図譜(Horikawa 1972)で採用された Three dimensional method(三面法)にしたがったものであり,一区画は東西約 2.8 ㎞,南北約 2.3 ㎞である2 現在では分布図を作成する場合は標準地域メッシュを用いる場合が多い。標準地域メッシュは緯度・経 度をもとにしており,3 次メッシュは緯度差 30 秒,経度差 45 秒で,一区画の 1 辺はだいたい 1 ㎞である。 この標準地域メッシュが植生調査で広く採用されるようになったのは環境庁(当時)が 1991 年から実施し た自然環境保全基礎調査以降であるが,今回の分布図のデータの入力は 1980 年頃から開始していたため標 準地域メッシュを用いておらずまた入力済データの標準メッシュへの転換も困難であった。 分布図に採用した資料はおもに筆者の植物社会学的植生調査票であるが,その他に愛媛植物研究会誌(エ ヒメアヤマ)の記載や愛媛植物研究会観察記録(各月報に記載)なども引用している。 分布図は,水平分布は GIS(地図太郎 PLUS),垂直分布はエクセルを使用して作成されているが,そのプ ログラムはいずれも松田久司氏(NPO 法人カワウソ復活プロジェクト)から提供されたものであり,同氏 に深く感謝いたします。

(2)

ツブラジイCastanopsis cuspidata (Thunb.) Schottky

スダジイ Castanopsis sieboldii (Makino) Hatus. ex T.Yamaz. et Mashiba

水平分布は県内全域であり内陸部にも出現するが,垂直分布は低地からほぼ標高 600mまでである。現時点で は佐田岬半島の記録がないことが注目される。

水平分布は県内全域であるが南部沿岸に集中する傾向があり,また内陸では比較的少ない。垂直分布はツブラジ イと同様に低地からほぼ標高 600mまでである。

(3)

クリ Castanea crenata Siebold et Zucc.

ブナ Fagus crenata Blume

水平分布は県内全域であるが沿岸部には少なく内陸に多い傾向がある。垂直分布は標高 1150mが上限となってい る。

(4)

イヌブナ Fagus japonica Maxim.

ウバメガシ Quercus phillyreoides A.Gray

おおむね標高 700mから 1200mまでの内陸の山地に出現している。標高的にはシイ林とブナ林の中間に多く出現 する傾向がある。

高縄半島西部,芸予諸島,佐田岬半島以南の沿岸部に多く出現するが,高縄半島東部から四国中央市の間,松山 市から佐田三崎半島の間に少ないことが注目される。多くは標高 100m以下の沿岸部に出現する。一部は標高 600 mまでの内陸にも出現しているが,ほとんどは岩角地や土壌の浅い急傾斜地である。

(5)

アラカシ Quercus glauca Thunb.

ウラジロガシ Quercus salicina Blume

県内全域に出現しカシ類ではもっとも広く分布している。佐田岬半島の記録が少ないことが注目される。垂直的 には沿岸から約標高 850mまでである。

(6)

シラカシ Quercus myrsinifolia Blume

ツクバネガシ Quercus sessilifolia Blume 内陸部の標高 200m~850mに分布する傾向がある。

(7)

アカガシ Quercus acuta Thunb.

シリブカガシLithocarpus glaber (Thunb.) Nakai

内陸部の標高 400m前後~600mに多い傾向がある。カシ類のなかではもっとも高所まで分布している。

(8)

イチイガシQuercus gilva Blume

ハナガガシQuercus hondae Makino

県内には点在するが比較的まれな種である。多くが標高 300m以下の低地に出現する。

(9)

コナラ Quercus serrata Murray

ミズナラ Quercus crispula Blume

県内には広く分布し,低地から出現し,上限はほぼ標高 1000mである。

内陸山地の標高 800mあたりから高所に出現している。標高 800~1000mの上下でコナラとミズナラが交代する傾 向がある。ミズナラの下限あたりではコナラと混生する場合がある。

(10)

クヌギ Quercus acutissima Carruth.

アベマキ Quercus variabilis Blume

県内全域のやや内陸に出現している。薪炭材やシイタケのほだ木として植栽される場合が多く,自生の分布は把 握できない。

クヌギと同様に植栽由来も考えられることから自生の分布は把握できない。しかし高縄半島と芸予諸島に比較的 集中していることは注目される。

(11)

ナラガシワ Quercus aliena Blume

カシワ Quercus dentata Thunb.

大洲市と西予市の肱川中上流に集中する傾向がある。しかし高縄半島や県南部にも記録がある。

参照

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