MAAPコードによる
福島第一原子力発電所の 事象進展解析について
平成24年3月12日
東京電力株式会社
1
報告内容
1.
はじめに2.
1号機1.
1号機の過去に公表した解析結果の課題2.
1号機の解析上の主な仮定3.
1号機の解析結果3.
2号機1.
2号機の過去に公表した解析結果の課題2.
2号機の解析上の主な仮定3.
2号機の解析結果4.
3号機1.
3号機の過去に公表した解析結果の課題2.
3号機の解析上の主な仮定3.
3号機の解析結果5.
まとめ2
1.はじめに
平成23年5月23日、それまでに得られていた地震発生直後の状態 や運転操作等に関する情報をもとに、MAAPコードを用いてプラン ト状態解析を実施、結果を公表した。
この時点では、観測されたデータと解析結果との間に不一致があっ たことから、公表後もより詳細なプラントに関する情報を得るべく、運転員からのヒアリング、現場調査等を継続して実施した。
並行して、実機プラントデータやMAAPによる解析結果から、事故 の推移を合理的に説明出来るプラント状態の推定を行ってきた。
今回の解析は、現時点までに明らかになったプラントに関する情報 とプラント状態に関する推定を元に、事故発生直後のプラント挙動 をできる限り再現出来るように解析条件を設定、解析を実施した ものである。3
2.1. 5月に公表した1号機のMAAP解析の課題
0 2 4 6 8 10
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3/16 12:00
日時
原子炉圧力(MPa[abs])
RPV圧力( 解析)
実機計測値( A系)
実機計測値( B系)
IC起動による 圧力低下
RPV破損(約15時間後)
原子炉建屋爆発(約25時間後)
炉心損傷開始(約4時間後)
課題①
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
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3/13 12:00
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3/15 0:00
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3/16 0:00
3/16 12:00 日時
原子炉格納容器圧力(MPa[abs])
D/W圧力( 解析)
S/C圧力( 解析)
実機計測値( D/W)
実機計測値( S/C)
RPV破損(約15時間後) S/Cベント
格納容器漏えいを仮定(約18時間後以降)
格納容器漏えい拡大を仮定(約50時間後以降)
炉心損傷開始(約4時間後)
原子炉建屋爆発(約25時間後)
課題②
原子炉圧力の実測値と 解析値が合わない
格納容器圧力の実測値と 解析値が合わない
4
2.2.1号機 解析上の主な仮定
津波による全交流電源喪失以降、非常用復水器(IC)は 動作しなかったものと仮定
燃料被覆管最高温度727℃(1000K)に達するタイミングおよび炉内ガスが450℃となったタイミングで、それぞれ原子炉 圧力容器気相部からの漏えいを仮定
格納容器圧力の挙動を再現するため、地震発生から約12時間後、50時間後、70時間後に格納容器からの気相漏えいを仮定
<解析上の主な仮定>
課題①、②
5
2.2.気相漏えいの発生部位(その1)
燃料が露出し、炉心部が高温になると、
炉心部にある核計装配管が破損する可能性が ある
そのうち、炉外への取出し機構のある、
SRM/IRM及びTIPのドライチューブが 破損すると、原子炉内の気相部の蒸気が D/Wに漏えいする可能性がある
今回の解析では、燃料被覆管最高温度が 727℃(1000K)に到達した時点で、
漏えいが発生すると仮定
(漏えい面積は0.00014
m 2
)索引装置 PCV内
SRM/IRM 駆動装置
中性子束計装 ハウジング
継ぎ手部
PCV外 SRM/IRM
ドライチューブ TIPドライチューブ
索引装置 PCV内
SRM/IRM 駆動装置
中性子束計装 ハウジング
継ぎ手部
PCV外 SRM/IRM
ドライチューブ TIPドライチューブ
6
2.2.気相漏えいの発生部位(その2)
主蒸気配管のSRV 管台などのフランジ部に 使用されているガスケットは、燃料が露出し、
炉心部が高温になり、炉心部の気体(蒸気・
水素)が高温になると、シール機能を喪失す る可能性がある。
特に、膨張黒鉛ガスケットの耐熱温度は約 450℃程度である。
今回の解析では、炉心部の気体温度が450℃に 到達した時点で、漏えいが発生すると仮定
(漏えい面積は0.00136m
2 )
SRV 本体
蒸 気
蒸気
入口フランジ
出口フランジ
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日時
原子炉水位(m)
ダウンカマ水位 シュラウド内水位
実測値(原子炉水位(燃料域)(A)) 実測値(原子炉水位(燃料域)(B)) TAF到達
3月11日18時10分頃
BAF到達
3月11日19時40分頃
注水開始
TAF
BAF
2.3.1号機 解析結果の概要(原子炉水位)
8
0 2 4 6 8 10
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日時
原子炉圧力(MPa[abs])
原子炉圧力
実測値(A系 原子炉圧力)
実測値(B系 原子炉圧力)
IC起動による 圧力低下
RPV破損
主蒸気配管フランジからの 気相漏えい
炉内核計装からの 気相漏えい
溶融燃料の下部プレナムへの 落下による圧力上昇
2.3.1号機 解析結果の概要(原子炉圧力)
原子炉圧力容器か らの気相漏えいを 仮定することで 原子炉圧力挙動を 再現
解析結果には、
急峻な圧力上昇が 見られるが、これは MAAPのモデルの
特徴に起因するもので、
現実には発生して いない可能性が高い
9
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
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3/12 12:00
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3/13 12:00
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3/15 12:00
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日時
格納容器圧力(Mpa[abs])
D/W圧力 S/C圧力
実測値(D/W圧力) 実測値(S/C圧力)
RPV破損
主蒸気配管フランジからの 気相漏えい
炉内核計装からの 気相漏えい
溶融燃料の下部プレナムへの 落下による圧力上昇
S/Cベント
格納容器 漏えいを仮定
2.3.1号機 解析結果の概要(格納容器圧力)
原子炉圧力容器か らの気相漏えいを 仮定することで 格納容器圧力挙動 を再現
10
2.3.1号機の解析結果のまとめ
<解析結果のまとめ>
・炉心露出開始時間:3月11日18時10分頃(地震発生から約3時間後)
・炉心損傷開始時間:3月11日18時50分頃(地震発生から約4時間後)
・圧力容器破損時間:3月12日1時50分頃(地震発生から約11時間後)
気相漏えいの仮定を取り入れた結果、原子炉圧力(課題①)、格納容器圧力(課題②)を概ね再現することができた
全交流電源喪失以降はICの停止を仮定しているため、比較的早期に炉心損傷に至り、圧力容器が破損に至る結果となった
圧力容器破損時間の時間が4時間ほど早まったが、MAAPコード の特徴に依存する非現実的な圧力挙動の影響を受けており、解析コードの高度化が期待される
11
3.1. 5月に公表した2号機のMAAP解析の課題
-2 0 2 4 6 8 10
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3/18 12:00 日時
原子炉圧力 (MPa[abs])
RPV圧力(解析)
実機計測値
RCIC起動 RCIC停止
SRV開
RPV破損(約109時間後) 炉心損傷開始(約77時間後)
課題③
-0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
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3/18 12:00 日時
原子炉格納容器圧力 (MPa[abs])
D/W圧力(解析)
S/C圧力(解析) 実機計測値(D/W) 実機計測値(S/C)
D/Wに漏えいを仮定 (約21時間後)
SRV開
RCIC停止
RCIC起動
炉心損傷開始(約77時間後)
RPV破損(約109時間後)
課題④ 課題⑤
原子炉圧力の実測値と 解析値が合わない
漏えいを仮定すると、
高い格納容器圧力が維持される 実測値を再現出来ない
格納容器からの漏えいを
仮定しないと、格納容器圧力 の実測値と解析値が合わない
12
3.1.12月に公表した2号機のMAAP解析の課題
-0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
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3/12 0:00
3/12 12:00
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3/13 12:00
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3/14 12:00
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3/15 12:00
時刻
格納容器圧力 (MPa[abs])
実機計測値(D/W) 実機計測値(S/C) D/W圧力(解析)
S/C圧力(解析)
RCIC停止判断 SRV開
課題⑧
高い格納容器圧力が維持される 解析結果を得たが、実測値を 定量的には再現出来ていない
(水素発生が少ないことが原因)
13
3.2.2号機 解析上の主な仮定と解析結果のまとめ
<解析上の主な仮定>
SRVの作動設定圧力以下となる圧力挙動を再現できるよう、原子炉隔離時冷却系(RCIC)タービンへ崩壊熱相当のエネルギー を持つ二相流として流出を仮定
トーラス室が津波到達以降徐々に浸水することで、格納容器内の熱がS/C境界から伝熱し格納容器外へ 移行したものと仮定
消防車による原子炉への注水量は、水素発生量を考慮の上、原子炉水位が燃料域以下程度となる量を仮定
格納容器圧力の挙動を再現するため、地震発生から約89時間後に 格納容器からの気相漏えいを仮定課題④、⑤
課題⑧ 課題③
14
-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10
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3/12 12:00
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3/13 12:00
3/14 0:00
3/14 12:00
3/15 0:00
日時
原子炉水位 (m)
実機計測値(燃料域A)
水位補正値
TAF
BAF
3.2.2号機のRCICの運転状態
基準面器
差圧計 Hs
Hr
炉側配管 基準面器
側配管
計測された水位は、補正*を施すと、水 位計最大値の基準面器水面と一致。
実際の水位はより高い位置にあった 可能性が高く、RCICタービンへ
水の混ざった蒸気(二相流)が流れ込 む状態であったと考えられる。
(電源がある場合は、それより低い 水位(L8)で、注水を停止する)
*:原子炉圧力、格納容器温度による
15
3.2.2号機格納容器(S/C)の状態
S
/
Cが収まっているトーラス室が浸水している状況を想定し、S/
Cに移行した熱が、S
/
Cの壁を介してトーラス室に浸水した水に与えられるという熱伝達経路を仮定した。2号機のトーラス室の状況は確認されていないが、4号機ではS/Cが水没していることが 確認されている。
4号機トーラス室キャットウォークから真下を撮影
水面
16
3.3.2号機 解析結果の概要(原子炉水位)
-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10
3/11 12:00
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3/12 12:00
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3/14 12:00
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3/17 0:00
3/17 12:00
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日時
原子炉水位
(m )
実機計測値(燃料域A)
シュラウド内水位(解析)
ダウンカマ水位(解析)
補正後の水位 RCIC機能低下(仮定)
SRV開
海水注水開始
TAF
BAF RCIC手動起動
TAF到達
3月14日17時00分頃
BAF到達
3月14日18時10分頃
17
0 2 4 6 8 10
3/11 12:00
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3/12 12:00
3/13 0:00
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3/14 12:00
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3/15 12:00
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3/17 0:00
3/17 12:00
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日時
原子炉圧力
( M Pa[abs])
実機計測値 RPV圧力(解析)
RCIC手動起動
RCIC機能 低下(仮定)
SRV開
計装バッテリ枯渇 に伴うハンチング RCICからの注水により
炉心部のボイド率が低 下し、原子炉圧力が低下
3.3.2号機 解析結果の概要(原子炉圧力)
RCICの運転状態 の仮定により原子 炉圧力挙動を再現
18
3.3.2号機 解析結果の概要(格納容器圧力)
S/Cの外壁からの 除熱を考慮するこ とで格納容器圧力 挙動を再現
水素発生による格納 容器圧力上昇と高い 圧力が維持される 挙動を再現
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
3/11 12:00
3/12 0:00
3/12 12:00
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3/17 12:00
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3/18 12:00
日時
格納容器圧力
(MPa[abs ])
実機計測値(D/W) 実機計測値(S/C) D/W圧力(解析)
S/C圧力(解析)
トーラス室に浸入した水 によるS/Cの除熱開始
(仮定)
SRV開
D/W気相部から 漏えい(仮定)
19
3.3.2号機の解析結果のまとめ
<解析結果のまとめ>
・炉心露出開始時間:3月14日17時00分頃(地震発生から約74時間後)
・炉心損傷開始時間:3月14日19時20分頃(地震発生から約77時間後)
RCICの運転条件の仮定により、原子炉圧力(課題③)を 概ね再現することができた
トーラス室への浸水の仮定により、格納容器圧力(課題④)を概ね 再現し、高い格納容器圧力が維持される挙動(課題⑤)を再現する ことができた
消防車による注水量を調整することにより、高い格納容器圧力が 維持される際の圧力(課題⑧)を定量的に再現することができた
RCICの停止に伴う原子炉水位の低下により炉心損傷に至ったが、圧力容器の破損には至らなかった。
(これまでに得られたプラントデータ等を総合的に評価すると、
原子炉圧力容器に破損がある可能性が高い。)
20
4.1. 5月に公表した3号機のMAAP解析の課題
課題⑥
-2 0 2 4 6 8 10
3/11 12:00
3/12 0:00
3/12 12:00
3/13 0:00
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3/16 0:00
3/16 12:00
3/17 0:00
3/17 12:00
3/18 0:00
3/18 12:00 日時
原子炉圧力 (MPa[abs])
RPV圧力(解析)
実機計測値 HPCI停止
RCIC停止
SRV1弁開 HPCI起動
RPV破損(約66時間後) 炉心損傷開始(約42時間後)
原子炉建屋爆発(約68時間後)
-0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
3/11 12:00
3/12 0:00
3/12 12:00
3/13 0:00
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3/15 0:00
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3/16 12:00
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3/17 12:00
3/18 0:00
3/18 12:00 日時
原子炉格納容器圧力 (MPa[abs])
D/W圧力(解析)
S/C圧力(解析) 実機計測値(D/W) 実機計測値(S/C) S/Cベント
S/Cベント
S/Cベント (仮定) SRV1弁開
計装DS/
ハンチング S/Cベント
S/Cベント 炉心損傷開始(約42時間後)
原子炉建屋爆発(約68時間後)
RPV破損(約66時間後)
課題⑦
原子炉圧力の実測値と 解析値が合わない
(高圧注水系(HPCI)
配管からの漏えいを 仮定すると傾向を再 現可能)
格納容器圧力が解析値より 高い期間、実測値(下降)
と解析値(上昇)の傾向が 異なる期間が存在
21
4.1. 12月に公表した3号機のMAAP解析の課題
-2 0 2 4 6 8 10
3/11 12:00 3/11 18:00 3/12 0:00 3/12 6:00 3/12 12:00 3/12 18:00 3/13 0:00 3/13 6:00
日時
原子炉圧力 (MPa[abs])
RPV圧力(解析)
実機計測値
HPCI停止 RCIC停止
HPCI起動
課題⑨
原子炉圧力の解析値は単調減少であるが、
実測値は階段状の圧力減少となっている
22
4.2.3号機 解析上の主な仮定
<解析上の主な仮定>
RCIC及びHPCIは、原子炉水位が適切な範囲に入るよう(水位低/水位高による起動停止を繰り返す運転とならないよう)、流量調整 を実施しながら連続運転していたと仮定
燃料装荷履歴を反映した、現実的な崩壊熱を採用
ディ-ゼル駆動の消火ポンプを用いて S/Cへのスプレイを実施
消防車による原子炉への注水量は、原子炉水位が燃料域以下程度と なる量を仮定課題⑥、⑨
課題⑦
課題⑦
23
4.2.3号のHPCI運転時の運転員の操作
運転員の証言から、原子炉水位を確認しながら、テストラインを活かしてHPCIの流量調整 を実施していたことが明らかになっている。なお、ミニマムフローラインはS/Cの水位が 上昇することを懸念して全閉操作していた。
また、同時期にディ-ゼル駆動の消火ポンプを用いてS/Cへのスプレイを実施していたこ とが明らかになっている。
復水貯蔵タンク
原 子 炉 圧力容器
MO 主蒸気管
MO
FIC MO
流量制御
タービン タービン
MO
MO
MO
水源切替ライン
MO
圧 力 抑制室
MO HO HO
AO
給水系
タービン止め弁
加減弁
格納容器
MO
最小流量 バイパス弁
ミニマムフローライン
注入ライン 蒸気管
MO
テストライン
MO
テストバイパス弁
24
-4 -2 0 2 4 6 8 10
3/11 12:00
3/12 0:00
3/12 12:00
3/13 0:00
3/13 12:00 日時
原子炉水位 (m)
シュラウド内水位(解析)
ダウンカマ水位(解析) 実機計測値
RCIC停止
HPCI起動
4.2.3号のHPCIの運転状態
HPCI起動直後、水位を急速に 回復させ、その後、水位高と ならないように流量調整しつつ 連続運転を仮定
HPCI運転開始後、原子炉圧力が低下しているが、単調減少ではなく、
一度、圧力低下が緩やかになっている時間帯がある
0 2 4 6 8 10
3/11 12:00
3/12 0:00
3/12 12:00
3/13 0:00
3/13 12:00
3/14 0:00 1
日時
原子炉圧力 (MPa[abs])
HPCI停止 RCIC停止
SRV開 HPCI起動
HPCIの 運転状態変化
が原因の 可能性
25
4.3.3号機 解析結果の概要(原子炉水位)
-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10
3/11 12:00
3/12 0:00
3/12 12:00
3/13 0:00
3/13 12:00
3/14 0:00
3/14 12:00
3/15 0:00
3/15 12:00
3/16 0:00
3/16 12:00
3/17 0:00
3/17 12:00
3/18 0:00
3/18 12:00
日時
原子炉水位
(m )
シュラウド内水位(解析)
ダウンカマ水位(解析)
実機計測値
TAF
BAF RCIC停止
SRV開 HPCI停止
淡水注入開始 HPCI起動
海水注入開始
海水注水停止
海水注水再開
建屋爆発 海水注水停止
海水注入再開 TAF到達
3月13日9時10分頃
BAF到達
3月14日15時10分頃
26
4.3.3号機 解析結果の概要(原子炉圧力)
0 2 4 6 8 10
3/11 12:00
3/12 0:00
3/12 12:00
3/13 0:00
3/13 12:00
3/14 0:00
3/14 12:00
3/15 0:00
3/15 12:00
3/16 0:00
3/16 12:00
3/17 0:00
3/17 12:00
3/18 0:00
3/18 12:00
日時 原子炉圧力
(MP a [abs ])
RPV圧力(解析)
実機計測値 HPCI停止
RCIC停止
SRV開 HPCI起動
仮定したHPCIの運転方法 から、原子炉圧力の低下
一時的な圧力低下率減少を再現
27
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
3/11 12:00
3/12 0:00
3/12 12:00
3/13 0:00
3/13 12:00
3/14 0:00
3/14 12:00
3/15 0:00
3/15 12:00
3/16 0:00
3/16 12:00
3/17 0:00
3/17 12:00
3/18 0:00
3/18 12:00
日時
格納容器圧力
( M Pa[ abs ])
D/W圧力(解析)
S/C圧力(解析) 実機計測値(D/W) 実機計測値(S/C)
S/Cベント開 SRV開
S/Cスプレイ開始 S/Cスプレイ停止
S/Cベント開
S/Cベント閉
S/Cベント閉(仮定)
S/Cベント開
S/Cベント開
S/Cベント閉(仮定)
S/Cベント開(仮定)
S/Cベント閉(仮定)
S/Cベント開 S/Cスプレイ開始
D/Wスプレイ開始
S/Cスプレイ停止 D/Wスプレイ停止
S/Cベント閉(仮定)
4.3.3号機 解析結果の概要(格納容器圧力)
格納容器圧力の 実測値との乖離 は再現出来ず
S/Cスプレイ
により乖離は低減
28
4.2.3号機の解析結果のまとめ
<解析結果のまとめ>
・炉心露出開始時間:3月13日9時10分頃(地震発生から約42時間後)
・炉心損傷開始時間:3月13日10時40分頃(地震発生から約44時間後)
HPCIの連続運転及び流量調整の設定により、原子炉圧力(課題⑥、⑨)の低下傾向を再現
RCIC運転期間中の格納容器圧力の実測値と解析値の乖離は改善されなかったが、S/Cスプレイ開始後から乖離は低減し、
実測値と解析値は概ね同程度の圧力となった
(MAAPでは解析出来ない、S/Cのプール水の成層化の影響 の可能性があり、解析コードの高度化が期待される)
HPCIの停止に伴う原子炉水位の低下により炉心損傷に 至ったが、圧力容器の破損には至らなかった。(これまでに得られたプラントデータ等を総合的に評価すると、
原子炉圧力容器に破損がある可能性が高い)
29
5.まとめ
現時点における、推定を含め明らかになっている情報(運転員に よる操作、プラントの特徴からの推定等)を元に、解析を実施した
その結果、炉心溶融より前の段階については、概ね事故時のプラント挙動を再現することができた
他方で、本解析では2,3号機では圧力容器が破損しないという、観測されている事実と異なる結果となった。(炉心損傷状況の推定 に関する技術ワークショップ(H23.11.30)報告参照)
これらから、現時点でのMAAPコードの解析能力の限界が明らかと なった。
政府・東京電力中長期対策会議は、研究開発推進本部の下に、炉内状況把握・解析サブワーキングチームを設置し、
MAAPコードも含めたシビアアクシデント解析コードの 高度化への取り組みを開始している
今後、この活動の成果も活用し、解析精度の向上を図り、事象進展の解明、炉内状況の把握に努める
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(参考)炉心状態の推定とMAAP解析の関係
炉心状態の推定
(11月30日報告)
MAAP解析
(5月23日、12月22日、
及び、今回の報告)
観測された 圧力・温度等 のパラメータ
その他の 解析コード による解析
作業現場に おいて観測 された現象
測定装置 を用いた 炉内調査
炉心状態の推定は、様々な情報を集約した上で、総合的に判断
(今回のMAAP解析では、既報告の炉心状態の推定 の不確かさの幅を縮めるには至らなかった)