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小学生の体力向上スキル

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Academic year: 2021

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(1)
(2)

もくじ

小学生の体力についての現状や課題

体力を向上させるために

はじめに

……… 1

(1)全国体力テストの結果から… ……… 2

(2)体力・運動能力調査結果から……… 3

(3)小学生の部位別負傷状況……… 4

(4)様々な体力的課題への指摘……… 5

(5)22年間の教育現場の経験から… ……… 5

(1)体育授業の充実……… 6

(2)業前・業間・昼休みの時間の活用………12

(3)体力テストへの取り組みの工夫… ………15

(4)特別活動・総合的な学習の時間の活用………15

(5)運動する場や用具の整備………15

(6)家庭との連携………16

おわりに

………17

1

2

(3)

 児童の体力低下が指摘されてから何年も経過しています。文部科学省では,児童 の体力・運動能力について調査を継続的に実施していますが,現在の児童(平成25 年度)とその親の世代(昭和60年度)とを比較すると,ほとんどのテスト項目において, 児童が親の世代を下回っています。例えば,第5学年男子で50m走は9.05秒→9.38 秒,女子は9.34秒→9.64秒,ソフトボール投げは男子が29.94m→23.18m,女子が 17.60m→13.92mと低下が見られます。一方で,身長は第5学年男子が137.7㎝→139.0 ㎝,女子が138.8㎝→140.1㎝となるなど,体格では親の世代を上回っています。このよ うに,体格はよくなってきましたが体力・運動能力が低下しているのが,今の児童の現状 ということになります。  これらは,利便性を求める生活スタイルの変化,住環境・生活習慣の変化,児童の遊 びの内容の変化など様々な要因が絡み合ってのことと考えられますが,それらによって児 童の運動する機会が減ったことは間違いありません。  生活スタイルの変化という点では,移動に自動車が使われ,歩く機会が減っているこ とが挙げられます。これは,都市部に限らず地方でも起こっていることで,登下校の安 全性の確保のためにスクールバスや保護者の自家用車での送迎があるため,歩く機会さ えも失われている場合があります。また,学校によっては雑巾がけがモップがけに変わっ て体を支持する機会が減ったことや,洋式トイレが多くなってしゃがむ姿勢を取ることが 少なくなり,足首が硬くなったというようなことなども聞かれます。  児童の遊びの内容の変化という点では,テレビゲームやカードゲームに加え,近年で はスマートフォンを持つ児童も増えてきており,外遊びをする児童が減少しています。塾 や習い事をしている児童もおり,放課後や休日に遊ぶというような機会さえも減ってきて いるようです。  さらに,ゆとり教育の課題が指摘され,学習指導要領が改訂されましたが,学力低下 にばかり目がいきがちで,体力低下については関心が薄い部分も見られます。例えば, 6時間単元の体育の授業のうち1時間減ったとしても苦情を言う保護者はほとんどいな いと思いますが,算数の1時間分,教科書でいえば見開き2ページ分が学習されないとし たら,児童も保護者も苦情を申し出ることになるでしょう。実際に,体力と学力について は相関があると報告されているにも関わらず,どちらかといえば学力偏重のような傾向に あるといえます。  このような中,各学校では「生きる力」の育成に向けて学校目標を掲げ,ほとんどの学 校が「健やかな体」に関することを謳っています。これを達成するためには,体育授業を 核として,教育活動全体を通した体力づくりを行う必要があります。児童を取り巻く環境 が変わった現在,体力向上への意識を高めるとともに,意図的に運動する場や機会を設 定していかなければなりません。  児童はもともと,体を動かしたいという欲求をもっています。健やかな体を育むために も,体を動かす喜びや楽しさを味わうことができる機会をつくっていくことが大切です。 そして,それが継続され,自分の体力向上が実感できるようにしていきたいものです。  これから,22年間の教育現場と2年間の教育行政での経験を踏まえて,児童の体力 向上について述べていきたいと思います。

はじめに

(4)

 平成25年12月に報告された,平成25年度全国体 力・運動能力,運動習慣等調査結果(文部科学省) では,図1に示すように反復横跳びは,男女とも体力 がピークといわれる昭和60年度の平均以上の値で した。しかし,それ以外の比較できる種目については, 男女とも昭和60年度の平均値を下回っていました。  また,図2に示すようにソフトボール投げについ てはその差が顕著でした。  さらに,図3に示すように,体育の授業以外の1 週間の総運動時間は,60分未満の児童の割合が 最も高く,特に女子で顕著でした。これは,これ までの調査とほぼ同様でした。

(1)全国体力テストの結果から

小学生の体力についての

現状や課題

1

図1 平成25年度全国体力・運動能力,運動習慣等調査結果(反復横跳び) 図2 平成25年度全国体力・運動能力,運動習慣等調査結果(ソフトボール投げ)

女子

男子

昭和60年度全国平均 39.46点 平成25年度全国平均 41.42点 昭和60年度全国平均 37.94点平成25年度全国平均 39.07点 (人) 40,000 35,000 30,000 25,000 15,000 10,000 5,000 0 40,000 35,000 30,000 25,000 15,000 10,000 5,000 0 (人) 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55   60(点)  5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60  65(点) 

男子

女子

昭和60年度全国平均 29.94m 平成25年度全国平均 23.18m 昭和60年度全国平均 17.60m平成25年度全国平均 13.92m 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 5 10 15 20 25 30 35 (m) (m) 55,000 50,000 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 (人) 55,000 50,000 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 (人)

(5)

 1週間の総運動時間が60分未満の児童を,図 4でさらに細かく見ていくと,男女ともそのほぼ半 数がまったく運動していないということがわかりま す。つまり,これらの児童は学校の体育の授業以 外では一切運動していないことになります。  もちろん,これらの児童は運動習慣が身に付い ていないわけですから,体力テストの数値も低く, 体力・運動能力が身に付いていないということが  一方で,平成25年10月に報告された平成24年 度体力・運動能力調査(文部科学省)の結果を見 ると,表1に示すように,男子の握力と立ち幅跳び を除くすべての項目で横ばい,または向上している ことがわかります。つまり,まだ親の世代が小学 生だった頃の記録には及びませんが,少しずつ体 力・運動能力が回復傾向にあるということがわか わかります。  この60分未満の児童が運動・スポーツをするよ うになる条件として,「好き,できそうな種目があれ ば」「友だちと一緒にできたら」「自由に使える場所 があれば」「自分のペースで運動ができたら」など が上位にあげられ,これらの意識をヒントに各学校 で,様々な対応策が必要になってくるでしょう。 ります。  これらが横ばい,または回復しているということ は,各学校において,様々な体力向上策が講じら れ,体力低下に歯止めがかけられているというこ とがいえるでしょう。各学校では,児童に目標を もたせながら,昨年の記録よりも伸びるように励ま し,児童もそれに向かって取り組んでいると思いま

(2)体力・運動能力調査結果から

図3 平成25年度全国体力・運動能力,運動習慣等調査結果(1週間の総運動時間) 図4 1週間の総運動時間が60分未満の児童の内訳(平成25年度)

女子

12.9% 16.5% 13.7% 9.3% 47.6%

男子

54.6% 8.1% 10.8% 13.9% 12.6% 0分 ● 1分以上15分未満 ● 15分以上30分未満 ● 31分以上45分未満 ● 45分以上60分未満 女子 男子 300 600 900 1,200 1,500 1,800 2,100 2,400 2,700 3,000 300 600 900 1,200 1,500 1,800 2,100 2,400 2,700 25 20 15 10 5 0 (%) (分) (分) 25 20 15 10 5 0 (%) 1週間の 総運動時間60分未満 21.0% 1週間の 総運動時間60分未満 9.1%

小学生の体力についての現状や課題

1

(6)

 表2は,日本スポーツ振興センターが公表してい る「学校の管理下の災害19 ~25基本統計」の中 の負傷における部位別発生割合をまとめたもので す。  どの部位においても,多少の増減は見られます が,特に顔部については上昇傾向にあります。平 成16 ~24年度は2.3%上昇しています。また,顔 部については,平成24年度の統計で,小学校就学 前の幼稚園では48.5%,保育所では48.7%という 数値になっています。

(3)小学生の部位別負傷状況

す。昨年の自分との比較から,記録の向上に目標 をもち,努力することも1つの教育活動だと思いま すので,歓迎したいことです。  しかし, 体力テストはあくまで1つの指標にしか 過ぎません。例えば,反復横跳びやソフトボール投 げといった項目は,時間をかけて何度も動き方を教 え反復すれば,数値は伸びていくと考えられます。 体力テストの数値が上がることは,それはそれでよ い傾向ではありますが,手放しでは喜べません。  これまでに扱った2つの調査は,悉皆と抽出によ り母数が異なるので単純には比較できません。し かし,運動する時間が少ない児童が増えているわ けですから,体力テストの数値に表れてこない動き 方や身のこなし方については,できないことが多く なっていると予想されます。体力テストの数値に 表れない動き方や身のこなし方はどうなっているの でしょうか。 表1 新体力テスト施行後(平成10 ~ 24…年度)の体力・運動能力の推移 表2 小学生の部位別負傷の割合(日本スポーツ振興センター)……………(単位:%) 小学生 (11 歳) 握力 上体起 こし 長座体 前屈 反復横 飛び シャトル ラン 50m 走 立ち幅 とび ボール 投げ 合計点 男子 低下 向上 横ばい 向上 向上 向上 低下 横ばい 向上 女子 横ばい 向上 向上 向上 向上 向上 横ばい 横ばい 向上 頭部 顔部 体幹部 上肢部 下肢部 その他 平成16年度 10.9 22.6 5.4 34.8 26.3 平成17年度 11.0 21.4 5.8 35.5 26.4 平成19年度 10.3 23.9 5.6 34.5 25.7 平成21年度 10.1 24.4 5.6 33.9 26.0 平成22年度 9.5 24.5 5.5 34.3 25.6 平成23年度 9.5 24.2 5.4 32.0 24.6 4.3 平成24年度 9.4 24.9 5.8 32.4 26.0 1.4

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 これらの統計から,今の児童はつまずいたり転 んだりしたときに,とっさに手で支えることができ なくなってきているということが窺えます。つまり,  22年間の現場経験から,児童の様子を振り返っ て考えると,1年生の先生方と同様に,年々担任 した児童の動き方が変化してきていたと感じます。  例えば,先述した顔部の負傷に関連して,滑って 転んだ際に手をつけず,前歯を折ってしまった児童 がいました。また,机を倒してしまったときに,とっ さに足を引くことができずに指をけがしてしまった 児童もいました。特に体育の授業においては,器 械運動系の学習で体を丸めることができない児童 が多くなったと感じます。また,ボール運動系の学 習では,足首を曲げて膝にためをつくることがで きずに棒のように立っている児童を多く見かけるよ  1年生の担任の先生方とお話しする機会に,「い ろいろな動きができない児童が年々増えてきてい る」ということをよく耳にします。文部科学省では, 小学校への就学以前に,様々な動きを経験する必 要性から,「幼児期の運動指針」を策定し,1日60 分以上楽しく体を動かすという目安を示していま す。  策定の理由の中で「生活全体が便利になったこ とは,必ずしも高い体力や多くの運動量を必要とし なくなっており,子どもにとっては,体を動かす機会 を減少させただけでなく,家事の手伝いなどの機 会をも減少させています。また,都市化や少子化が 様々な動き方や身のこなし方が身に付いていない ということがいえるでしょう。 うになりました。  これらのことから,児童の体力向上を図って健 やかな体を育成するためには,体力テストの数値 の向上にのみとらわれるのではなく,様々な動きを 総合的に身に付けることが大切であるといえます。  そのためにも,先述のとおり,児童を取り巻く環 境が変化していることに対応し,様々な運動(遊び) の機会を保証していかなければならないと考えま す。さらに,その運動(遊び)が児童にとって魅力 的で,継続してやっていきたいという内容であれ ば,より効果が高まることでしょう。 進展したことは,社会環境や人々の生活様式を大 きく変化させ,子どもが遊ぶ場所,遊ぶ仲間,遊 ぶ時間の減少,そして交通事故や犯罪への懸念な どが体を動かして遊ぶ機会の減少を招いています。 このような社会の変化は幼児においても同様の影 響を与えており,結果的に幼児期からの多様な動 きの獲得や体力・運動能力に影響していると考え られます。」と述べています。これは,小学校期に もそのままあてはまることと考えます。実際に体を 動かして遊ぶ時間がない,自由に遊べる空間がな い,一緒に遊べる仲間がいないといった,三間の 減少が指摘されています。

(5)22年間の教育現場の経験から

(4)様々な体力的課題への指摘

小学生の体力についての現状や課題

1

(8)

2

 児童の体力向上を考えた場合,体育の授業を核 とし,学校教育活動全体を通して様々な手だてを 講じていくことが必要になってきます。また,学校 だけで行うのではなく,保護者,地域と連携・協 力して児童の体力向上を考えていく必要があるで  すべての児童に,運動する時間が保証されてい るのは体育の授業です。第1学年で102時間,第2 ~4学年で105時間,第5・6学年で90時間です から,単純に計算すると6年間で597時間は確保 できるわけです。1単位時間の45分の中で,何か 高めたい動きを身に付けるための,児童にとって楽 しい運動(遊び)を5分間だけ行ったとしたら,6年 間で約50時間を継続して使うことができます。し かし,集合や整列が遅くなり,授業をなかなか始め られずに5分経ってしまったら,反対にその50時間 が失われるということになります。ですから,すべ ての児童に運動することが保証されている体育授 業の充実が,まずは重要なのです。  以下に,体力の向上に関連して,体育授業の充 実について述べたいと思います。

①…運動学習場面・運動量の確保

 児童が準備運動や練習,ゲームを行うといった 運動学習場面は,最低でも全体の50%は確保した いところです。反対に,移動や待機,用具の準備 といった場面は20%以下にしたいところです。45 分授業であれば,20分~25分は運動学習が確保 できるように授業内容を考えなくてはなりません。  しかし,実際には,体育館やグランドへの移動に 時間がかかってしまったり,集合・整列するのが遅 れてしまったりして,体育の授業が始まるまでに時 間がかかってしまうことがよくあります。  そこで,児童と約束を決めて,体育の授業の最 初の5~10分をシステム化するとよいと考えます。  例えば,ボール運動で,「外へ出たらビブスを着 て,チーム全員がそろったらランニング・体操・シュー ト練習まで行う」ということを約束事としておけ ば,授業がスムーズに始められますし,チームの士 しょう。  ここでは,体育授業においての体力向上のため のポイントと,それ以外の活動における体力向上 策について述べていきたいと考えています。 気も高まっていきます。児童は早く取り組みたいの で,集合が早くなりますし,なかには決まった役割 でなくても用具を準備するような児童も出てくるで しょう。それを教師が認めることで,まわりの児童 も,次の時間はもっと頑張ろうと好循環が生まれて くるはずです。このように,体育授業における約束 事を決めておくことで,運動学習場面が多くなり, 運動量が確保されてきます。

②…単元に横断的に位置づける予備的な

 …運動(遊び)

 先述した内容とも重なりますが,図5に示すよう に単元をとおして主運動につながるような予備的 な運動(遊び)を取り入れることが,様々な動きを 身に付けることにつながり,体力向上に結びついて いくと考えます。  以下に,体つくり運動以外の各運動領域で行う 予備的な運動の例を紹介します。

(1)体育授業の充実

体力を向上させるために

図5 単元のモデル 集合・整列・準備運動 予備的な運動(遊び) 主運動

(9)

ア 器械運動系  例えば,「えんぴつ転がり→ゆりかご5回→背支 持倒立→ブリッジ」というように,いくつかの運動 をセット化して行うとよいでしょう。現場での私の 実践としては,図6に示すような器械運動系に必要 な感覚づくりの運動「ねこちゃん体操」(山内基広 氏考案)を全学年で行いました。  CDに自分の声で口伴奏を録音し,それを体育 館のCDラジカセと一緒に常備しておき,どの学年 もすぐに使えるようにしました。口伴奏をしながら の指導はなかなか難しいので,CDで音楽のよう に流すことで,上手に体が丸められない児童や背 支持倒立で足が伸ばせない児童の補助をすること ができます。 図6 ねこちゃん体操 「ね~こちゃんがおこった」 ひざをつき体操の準備をする。 おなかを見て背中を丸める。 上を見て背中を反らす。 腰を後ろにグッと引いて 肩を入れ止める。 「フーッ!」 「ハッ!」 「ね~こちゃんのあくび いち,に,さん,し」 「ニャ~オン」 あご,胸,腹をマットにする ようにして前に出る。 腹をつけ,上を見て体を反らす。 うつぶせの状態で足首を持つ。 体を反らす。 「ピーン」 「かめさんになって」 「ピーン」 「グーラン」 上,下を交互に見て,顎角を変え,前後にゆらす。 うつぶせから仰向けになる。 「グーラン」 「おーしまい」 「ブ~リッジ いち,に,さん,し」 「ピーン・ポキ・ピーン」 「お~~~し まい! ビシッ!」 「あ~しあげ いち,に,さん,し」 ブリッジ姿勢を取り,4秒間保つ。 足腰を持ち上げ,足先がマット につくように曲げる。 足先を垂直に上げる。尻をゆるめ,くの字形に体を曲げる。尻をしめ,少し反り気味に足を上げる。 足先をマットにつけ,手を伸ばして体角を開くようにして振り出して立つ。 ブリッジ姿勢で足を上げ,4秒間保つ。 「おーしまい」 「アンテナさんのようい」 「ぐるり」 10 回くり返す 10 回くり返す 10 回くり返す 10 回くり返す

体力を向上させるために

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 また,図7に示すように,器械運動系に必要な腕 支持感覚,腰が頭より高く上がる感覚を身に付け させるために,犬歩きやアザラシ歩きといった歩き  さらに,図8に示すように,いくつかの場に感覚 づくりの運動を設定し,そこを班ごとにローテー ションすることも効果的です。これは,第3学年の 跳び箱運動の例ですが,跳び箱運動に必要な動き を短い時間で単元をとおして継続して行うことで, 方を行うのも効果的です。  リレーにすることで,楽しみながら感覚づくりが できるとともに,運動量も確保することができます。 感覚づくりができるとともに運動量も確保するこ とができます。  あとの主運動のことも考えてこれらの場を設定 すれば,準備にそれほど時間を要することはあり ません。 図7 腕支持の動きでの折り返しリレー 図8 跳び箱運動(第3学年)の予備的な運動の場 折り返しライン スタート・ゴールライン

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イ 陸上運動系  図9は,第5学年で行った走り幅跳びの予備的な 運動の場の設定です。これも,器械運動系と同じ考 え方で,6つの場を設定し,そこをローテーションします。  片足で強く踏み切る感覚や,高く跳ぶ感覚を身 に付けながら,運動量を確保することもできます。 します。ネコ側は安全地帯に逃げ込むまで全力で 走り,ネズミ側は逃げ込む前にタッチできるよう全 力で追いかけます。かけっこや短距離走の導入と して,遊びながらスタートダッシュにつながる動き を経験し,運動量も確保できる例です。 ウ 水泳系  水泳系では,水中での浮く感覚や泳ぐ感覚を身 に付けるための1つの方法として,10分間泳が挙げ られます。もちろん,足をプールの床に何度ついて もよいですし,ビート板などの浮き具を使ってもよ いでしょう。  水泳の授業の際,指導することが多くなり,運 動がとぎれてしまいがちなので,連続して泳ぐこと が浮く感覚づくり,体力向上にもつながってくると 考えます。 エ ボール運動系  ボールは各学校に限られた数しか用意されてい ないと思いますが,可能な限り児童1人に1個,ま たは2人に1個を確保し,活動量を増やすことが大 切です。また,チームを少人数にして触球数を多く することを考える必要があります。さらに,ボール の扱いに慣れながら運動量を増やすようなゲーム 化した運動(遊び)を行うと効果的です。  図10は,「ネコとネズミ」や「ゴリラとゴジラ」と いわれるような,追いかけっこの運動遊びです。 教師が「ネ,ネ,ネ,ネコ」と言うと,ネコ側の児 童は逃げて,ネズミ側の児童が追いかけてタッチ 図9 走り幅跳び(第5学年)の予備的な運動の場 図10 ネコとネズミ(ゴリラとゴジラ) ネ,ネ,ネ,ネズミ ネズミ側 ネコ側

体力を向上させるために

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 図11は,中央に置いたボールを時間内に自分の 陣地に数多く持ってくるゲームです。ボールをつか む感覚を身に付けながら,素早く巧みに動くこと と,長く続けることで動きを持続する能力を身に付 けることのできる運動です。  図12は,グループが縦1列になって,ボールを後 ろに送るゲームです。先頭の児童が後ろの児童に ボールを渡し終えたら,列の最後尾に移動し,どち らのチームが速くゴールまでボールを運べるかを 競います。股の下→頭の上→股の下→頭の上や,右 →左→右→左のように条件を変えることで,ボール をつかむ感覚を身に付けるとともに,体の柔らかさ を高めることも期待できます。 オ 表現運動系  心身を解放して楽しく踊ることにつながるような もの,そして,運動量が多いものを行うとよいと考 えます。  図13は,新聞紙を体に当てて,それが落ちない ように走り回る運動遊びです。体育館中を自由に 走り回ることで,運動量も確保できます。その後, 図14に示すように,ペアの片方がリーダーになって 新聞を動かし,その動きを体全体を使って表現す るという運動遊びを行います。 図15 ペアでのミラーリング 図13… 新聞紙を落とさずに走り回る 図14… 新聞の動きを表現する  図15は,ペアでのミラーリングです。図14と同 様に,リーダーのいろいろな動きの真似をします。 また,図16はペアからグループになって,リーダー の動きをまねる運動です。  これらの運動遊びは,表現運動系に必要ないろ いろな表現の仕方への気付きを促すとともに,続 けることで,動きを持続する力を身に付けることが 期待できます。 図11 ボール運びゲーム 図12 ボール運びリレー

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③…体つくり運動の充実

 体つくり運動は,そのものが体力向上とも結びつ く領域ですので,この領域の充実が最も重要です。 ア 体ほぐしの運動  体ほぐしの運動は,「気付き」「調整」「交流」の3つ のねらいがあります。ここでは,技能を高めることは 求められていませんので,運動することの楽しさや心 地よさを十分に味わわせることが大切です。そうする ことで,体を動かす意欲につながっていくと考えます。 イ 多様な動きをつくる運動(遊び)  多様な動きをつくる運動(遊び)は,動きのレ パートリーを増やすことと,動きの質を高めること がねらいになります。なかでも,中学年で示されて いるような「~してから~する」「~しながら~する」 といった基本的な動きを組み合わせる運動をする と,動きの質が高まっていきます。  図17は,布を使ってボールを落とさないように 運ぶ運動です。2人で息を合わせてバランスを取り ながら移動します。ゲーム化して,リレー形式で楽 しく行うことができます。  図18はフラフープを回したあとに移動して,隣の フラフープをつかむ運動です。フラフープを回すこ とと,息を合わせて素早く動くことが大切です。 ウ 体力を高める運動  体力を高める運動は,直接的に体力を高めるた めの運動です。ここで大事なのは,高学年の児童 が,「体力を高める」ということに関心をもつことだ と考えます。ともすると,決まったことをやるだけ の受け身的な授業になってしまいがちです。そうな らないためにも,体力を高めることのよさやトレー ニングの基本的な原則など,高学年の児童の知的 好奇心をくすぐることが大事です。  例えば,図19のように,連続8の字跳びを8人く らいのグループで続けます。そのあと,脈を測るこ とで,巧みな動きを高めるための運動も連続して行 えば,動きを持続する能力を高める運動にもなると いったようなことに気付かせることが大事です。た だ単に,体力を高めることは大事だというのではな く,実際に動きながら体力を高めることの必要性 や楽しさに触れさせることが重要です。そのうえで, 高学年児童の発達の段階を考慮し,図20・図21の ような体の柔らかさや巧みな動きを高めるための 運動に重点を置いて指導していきましょう。 図17 布でボールを運ぶ運動 図16 グループでのミラーリング 図19 連続8の字跳び 図18 フラフープを回してつかむ運動

体力を向上させるために

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 体育の授業以外で,すべての児童を対象とする 時間を設けるとしたら,業前・業間・昼休みの時 間の活用が挙げられるでしょう。この時間を利用 して,校内持久走大会前のランニングタイム,縄跳 び大会前の縄跳びタイムなど,多くの学校で実施 されていると思いますが,ここでは,その方法や内 容についていくつか紹介したいと思います。 ア 業前のストレッチタイム  業前の時間の活用については,各学校や地域の 実態を考えなくてはなりません。登校については, 集団登校と自由登校,スクールバスでの登校など 様々です。また,朝の時間は慌ただしく小学校の 先生方にとっては非常に貴重な時間でもあります し,十分な健康観察も必要になってきます。外や 体育館での業前の運動は,すべての学校で行える ものではないでしょう。   落ち着いて学習に取り組めたり集中力が増した りするという理由で,多くの小学校では,朝の読書 タイムやドリルタイムなどが行われていると思いま す。その時間を週1回でもよいですから,ストレッ チタイムとすることをおすすめします。  机を移動するような大がかりなことはいりませ ん。座ったままで腕・肩・首を伸ばしたり,机の横 に立って前後屈などをしたりします。そうすること で,体の柔らかさを継続して高めながら,学習へも 集中して取り組めるようになるでしょう。 イ シーズン制での業間運動  業間運動は,学校行事である校内持久走大会 や縄跳び大会前に行うことが多いでしょう。それ は,学校行事との関連を図り,体力向上のために も有効な方法です。しかし,それだけでは,持続 する力や巧みな動き以外の力や動きが身に付きま せん。授業と同じように年間をとおして様々な運動 (遊び)を行っていくことが大切です。  また,小学校は基本的に学級担任がすべての教 科を担当します。ノート指導,学習や宿題の課題 への個別指導など,業間休みに行う仕事も多いこ とでしょう。特に低学年を担当される先生方は, 自分で考えて行動することができる高学年と違っ て,児童に注意を向けておく頻度が高くなります。  そこでまず,1週間の中で無理のない曜日に設定 するのがよいと思います。また,最初は興味を示し た運動(遊び)でも同じことを続けることに飽きて しまうこともあります。年間を区切って様々な運動 (遊び)を取り入れ,シーズン制にして行うことが大 切です。そうすることで,児童も先生方も無理なく 続けられ,結果的には体力向上につながっていく と考えます。 ウ 昼休みの活用  昼休みは,業間休み同様20分程度が割り当て られていると思います。そして,その前後には清掃 活動を20分程度行う学校が多いでしょう。週1回, または月に2回程度でも構いませんので,清掃の 時間帯と合わせて40分のロングの昼休みにするこ ともおすすめです。その中で,思い切り遊べる時 間を確保すると,児童の運動への意欲も高まって いくことでしょう。しかし,自由遊びだけですと遊 びたい児童だけ外に出て,教室内にずっといる児 童がいることも考えられます。その日は,学級全 員で外に出て遊ぶ日などと位置づけて,有効に活 用できるようにすることが大切です。 図20 体を柔らかくする運動 図21 巧みな動きを要する運動

(2)業前・業間・昼休みの時間の活用

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 図23は,学年4クラスの大規模校の業間運動の 場の設定例です。このように,身に付けたい力を 学年毎に明らかにして取り組んでいくことで,その 部分を強化していくことができます。また,シーズ ン制にしたり,行う運動を組み合わせたりすること で,様々な力が身に付いていくと考えます。 エ 取り上げる運動の工夫  これらの体育的活動は,目の前にいる児童の体 力的課題は何なのかを見極め,意図的に行う運動 (遊び)を構成する必要があります。  また,児童がわくわくするような運動(遊び)や 場が提供されているか,さらに,自分の伸びが目に 見える工夫や,競争を取り入れ挑戦的な課題になっ ているかといった視点も,意欲を高めるうえで重要 です。  図22は,学年2クラスの小規模校の業間運動の 場の設定例です。体力テストの中でも,ソフトボー ル投げの値が全国的に低下しているといわれてい ますが,この学校でもそれを体力的課題ととらえ, 投げる力を高める運動を行っています。6種類の 運動を取り入れ,それを学年毎にローテーションし ながら行っていく方法です。この学校もシーズン 制で行っており,一定期間しかこの投げる運動を 行っていませんが,体力テストのソフトボール投げ の値は確実に向上しました。  学校によって,グランドや体育館の広さは多種 多様です。必ずしも,場所が人数規模に合ってな い場合もあります。でも,それはどうすることもで きません。その環境の中で,体力的課題を踏まえ, 児童が意欲的に取り組み,安全に行えることを考 えていくことが大切です。 図22… 小規模校の業間運動の場の 設定例 図23 大規模校の業間運動の場の設定例

体力を向上させるために

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図25 活用シート オ 体力向上のためのカード活用  ただ運動(遊び)を続けていくこ とだけでなく,それをカードなどに 記録することで,自分を振り返り, 継続して行うことにつながってきま す。それに,教師の肯定的な声か けがあれば,児童の意欲はさらに 高まります。図24は,ある学校の 運動への取り組みを自己評価する カードです。  運動したことをただ記録をしてい くのもよいですが,それを貯金のようにしていくこ とで,児童の意欲付けを図ったものです。  また,体力向上はともすると,学校側の児童へ の押しつけのような形になってしまうことも考えら れます。低学年のうちは,よくわからずに,ただ楽 しいだけで取り組んでいたとしても,高学年になっ てくると,なぜこの運動(遊び)を行うのか知識的 な部分で納得しないと取り組めないような実態も 出てくると思います。  そこで,体つくり運動を授業とも関連させながら, 体力を高めることの大切さを理解させる必要があり ます。文部科学省では,全国体力・運動能力,運 動習慣等調査に伴い,図25のような活用シートを発 行しています。これを使用したり,学校独自のシート を作成したりして,運動やスポーツをすることが必要 であることを理解したうえで取り組むことが大切で す。また,1週間でどれくらい運動しているのかを 振り返ったり,運動の計画を立てたりすることも有 効です。これは,中学校で行う体つくり運動の計画 を立てる学習にもつながっていくものです。 図24 体力向上カードの例

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 体育授業や体育的行事と関連させて,クラスが 複数ある学校ではクラスマッチを,単学級の学校 では縦割りでの班対抗を,それぞれ運動種目を決 めて行うことも有効です。対抗戦にすると,それ に向かって学級や班の意識が高まり,児童から休 み時間や放課後に練習したいというような声が自 然と聞かれるようになってきます。  例えば,「学級全員で大縄連続8の字跳びを5分 間で何回跳べるか」という運動課題を提示して行 うと,休み時間に自主的に,または先生を誘って外 へ出て練習するようになります。その回数が伸び たときの喜びや,競争して他の学級や班に勝ったと きの喜びを共有することで,運動への意欲がどん  全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果で は,運動をあまりしない理由として「してみたいと 思わない」が男女共に上位に挙がっています。  本来,児童は動きたいという運動欲求をもって います。児童の「やってみたい」を引き出すために も,興味・関心が高まるような運動や場,用具の 準備が必要でしょう。  図26は,ビールケースを2段に積み重ね,それ を連結した長い馬です。これに,手をついて体重 移動しながら何回で越えられるかを競います。両 側から2人で同時に始めて,出会ったところでジャ ンケンをするというようなゲームをしてもよいで しょう。昔の遊びでよくやった馬跳びと同じ運動 ができます。 どん高まります。また,うまくいかなかったときに も,教師の肯定的な励ましで,児童は「次は頑張る ぞ」とやる気になっていきます。  このような活動は,学校内だけでなく,他校とも 共有して行うことができます。同じ中学校区の小 学校と連携し,同じ種目を競い合います。それを, メールやホームページ上で情報交換すれば,同じ 場所で一緒に行わなくても,学校対抗戦をするこ とができます。  このように,児童が意欲的に運動に取り組む仕 組みづくりを考えていくことが大切です。きっかけ は教師側で与えても,活動は児童が自ら行ってい けるような設えにしていくことがよいと考えます。

(4)特別活動・総合的な学習の時間の活用

(5)運動する場や用具の整備

 全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果 が公表されるようになり,都道府県の順位付けが なされ,新聞等でも報道されるようになりました。 各学校も,数値目標を示しながら体力向上に様々 な努力をしています。しかし,体力テストの数値を 上げることばかりにとらわれるようになってしまっ ていないでしょうか。なかには,体力テストの練習 そのものが体育授業の学習内容になってしまって いるようなことも聞かれます。それでは,何のため にやっているのかわかりません。本末転倒です。  体力テストは,体力を測る1つの指標として正確 に計測する必要がありますから,やり方や動き方 を教えることも大事でしょう。ある大学の先生か ら,「低学年児童に反復横跳びのやり方を教えた ら,上位学年の記録よりもよくなった。」という話を お聞きしたことがあります。体力テストの場合,そ の種目の運動の仕方がわからず,記録が伸びない ということもあります。ですから,動きのこつを伝 えたり,ある一定の動きを反復したりすることも必 要でしょう。だからといって,何時間も費やすわけ にはいきません。効率よく行う必要があります。  ただ,実際問題として様々な動きを身に付けて いない児童,特に1年生にそのやり方を教えるのは 大変なことです。そこで,多くの学校で行っている とは思いますが,高学年児童が低学年児童に体力 テストのやり方を教えるなど,縦割りの活動を生か すことが考えられます。また,体育委員会の活動と して位置づけ,休み時間に各種目のやり方をワー クショップ形式で教えるようなことも効果的です。 さらに,学校行事としてイベント化することも工夫 の1つとして考えられるでしょう。  このように,少ない時間で効率よく,正しく計測 する工夫も必要だと考えます。

(3)体力テストへの取り組みの工夫

体力を向上させるために

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図30… バランスボート 図28… ロープに通した筒を投げる  図29は,はしごドッチボールのコートです。授 業ではしごドッチボールを教材として取り上げたあ と,このコートがグランドに引いてあるだけで,児 童はすぐに遊びたくなることでしょう。  図30はバランスボードです。板の中央下に塩ビ パイプを入れて,両足で乗ってバランスを取ります。 バランスを取りながら,ボールをパスし合うなど, 課題を少しずつ難しくしていくと挑戦意欲もわいて きます。  図28は,ベランダからロープを下げて引っ張り, そこに通した筒を思い切り投げる運動の場です。 ロープに印を付けておいて,どこまで届いたか確認 しながら行います。筒は,印刷機のマスターロール の芯やリレーのバトンを使用しています。  学校と家庭との連携は,体力向上のうえで,と ても重要です。学校だけの活動で終わることなく, 家庭での運動を奨励していくとよいでしょう。図 31は,家庭で行う運動のしおりです。家庭学習の 1つとして,このような運動に取り組むことで,体 力向上も期待できます。

(6)家庭との連携

図29… はしごドッチボールのコート  図27は,的当て板と新聞紙を丸めたボールで す。ボールの購入には予算が必要ですが,新聞紙 のボールなら数多く準備することができます。新 聞紙のボールは新聞紙を丸めて,ビニールテープ で巻いただけです。新聞紙なので,的から外れて も遠くまで飛ばずに止まってくれます。中心にスー パーボールを入れて周りを新聞紙で丸めてボール を作ると,やや重さがでて投げやすくなります。 図26……ビールケースを連結した長い馬 図27… 的当て板と新聞紙のボール

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自転車こぎ お 家の人と足のう らを合わせて,空中 で自転車のペダル をこぐよう動かしま す。1人でもやって みましょう。 四つんばいで片足・片手あげ 四つんばいになって,右手 と左足,左手と右足を組み 合わせて上にあげましょ う。何回続けられるか数に チャレンジしましょう。 おしり歩き 床に手をつかないで,お しりだけ使って移動して みましょう。うでをしっか りふりましょう。 ぎっこんばったん お家の人と手をつ ないで,引き合いな がらねたり起きた りしてみましょう。 かえる逆立ち ひじの上にひざをのせて,床 から足をはなしバランスを取 りましょう。何秒できるか挑戦 しましょう。 うでたて手たたき うで立てふせのしせいから,手をはなして何回手をたたけ るか挑戦しましょう。 正座から立つ 正座のしせいから,うで を大きくふって立ってみ ましょう。 人間ゴムとび お家の人に足を開いた りとじたりしてもらっ て,その上を足をふま ないようにジャンプし ましょう。 ねこちゃん体操 p.7の図6にあります。器械運動につながるような動きを集めた体操です。体をしめたりゆるめたりします。 上体起こし 体力テストと同じです。うでは胸の前で組み,お家の人に足 をおさえてもらいましょう。 片足バランス立ち 両手を開いてバランスを取り,片足 で立って30数えましょう。なれて きたら時間を長くしたり目をとじ たりして挑戦してみましょう。 自転車こぎ お 家の人と足のう らを合わせて,空中 で自転車のペダル をこぐよう動かしま す。1人でもやって みましょう。 四つんばいで片足・片手あげ 四つんばいになって,右手 と左足,左手と右足を組み 合わせて上にあげましょ う。何回続けられるか数に チャレンジしましょう。 おしり歩き 床に手をつかないで,お しりだけ使って移動して みましょう。うでをしっか りふりましょう。 ぎっこんばったん お家の人と手をつ ないで,引き合いな がらねたり起きた りしてみましょう。 かえる逆立ち ひじの上にひざをのせて,床 から足をはなしバランスを取 りましょう。何秒できるか挑戦 しましょう。 うでたて手たたき うで立てふせのしせいから,手をはなして何回手をたたけ るか挑戦しましょう。 正座から立つ 正座のしせいから,うで を大きくふって立ってみ ましょう。 人間ゴムとび お家の人に足を開いた りとじたりしてもらっ て,その上を足をふま ないようにジャンプし ましょう。 ねこちゃん体操 p.7の図6にあります。器械運動につながるような動きを集めた体操です。体をしめたりゆるめたりします。 上体起こし 体力テストと同じです。うでは胸の前で組み,お家の人に足 をおさえてもらいましょう。 片足バランス立ち 両手を開いてバランスを取り,片足 で立って30数えましょう。なれて きたら時間を長くしたり目をとじ たりして挑戦してみましょう。 図31 家庭で行う運動のしおり 文部科学省「小学校学習指導要領解説体育編」 文部科学省「平成24年度体力・運動能力調査結果」 文部科学省「平成25年度全国体力・運動能力,運動習慣 等調査報告書」 文部科学省「学校保健統計調査」 文部科学省「子どもの体力向上のための取組ハンドブック」 文部科学省「学校体育実技指導資料第9集表現運動系及 びダンス指導の手引き」 文部科学省「学校体育実技指導資料第7集体つくり運動~ 平川 譲「体育 いっしょにのびる授業づくり」 内田雄三「鬼遊び・ボール遊びで多様な動きづくり」 髙橋健夫「体育授業を観察評価する」 清水 由「シンプルで子どもが伸びる体育の授業づくり」 神谷一成「体力を高める運動75」 中村和彦「子どもの体が危ない!」 学校体育同志会「小学校低学年体育の授業」 文部科学省「幼児期の運動指針」 文部科学省「学校保健統計調査」  これまで,体力向上について述べてきましたが, 今後も各学校において,体育授業を核として様々 な実践が行われ,児童が健やかに育っていくこと を期待したいと思います。また,体力テストの数値 を上げるための運動(遊び)にならずに,楽しく運 動した結果として体力が向上するような実践をお 願いしたいと思います。 

引用・参考文献

おわりに

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参照

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