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21分指-5-① 肺野限局性すりガラス様陰影の自然史解明のための前向き研究

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21 分指-5-○

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肺野限局性すりガラス様陰影の自然史解明のための

前向き研究

班主任研究者 国立がんセンターがん予防・検診研究センター

柿沼 龍太郎

研究成果の要旨 肺野限局性すりガラス様陰影(GGO)の自然史解明のための前向き研究を多施設共同研究として遂行 するための研究体制を確立し、各分担研究者の施設において研究計画書の倫理審査委員会での承認を 経て GGO を有する研究対象者の登録を開始した。平成 21 年度末において、61 症例、92 個の GGO を登 録した。個別研究の成果としては、多発腺がん例における上皮成長因子受容体遺伝子変異の解析を行 ない同一患者で各病変がすべて同一の変異パターンを示すことは稀であること、充実部分の割合•形 状•境界が病理学的予後因子と関連すること、浸潤性腺がんでは造影 CT 後期相で高い造影効果があ ること、GGO で血管収束、胸膜胸膜陥入像を有するものが増大しやすいこと、GGO の平均観察期間 46 ヶ月では約 90%は変化を認めないこと、多発肺腺癌および AAH において KRAS 変異とは排他的な EGFR 変異を約 40%で認めたが AAH では認めないことを明らかにした。 研 究 者 名 お よ び 所 属 施 設 研 究 者 名 所 属 施 設 お よ び 職 名 分 担 研 究 課 題 柿 沼 龍 太 郎 国 立 が ん セ ン タ ー が ん 予 防 ・ 検 診 研 究 セ ン タ ー 室 長 肺 野 限 局 性 す り ガ ラ ス 様 陰 影 の 自 然 史 解 明 の た め の 前 向 き 研 究 大 松 広 伸 国 立 が ん セ ン タ ー 東 病 院 医 長 肺 野 限 局 性 す り ガ ラ ス 様 陰 影 の 経 時 変 化 児 玉 憲 大 阪 府 立 病 院 機 構 大 阪 府 立 成 人 病 セ ン タ ー 副 院 長 す り ガ ラ ス 様 陰 影 を 示 す 病 変 の 取 り 扱 い の 標 準 化 に 関 す る 研 究 村 田 喜 代 史 滋 賀 医 科 大 学 教 授 す り ガ ラ ス 結 節 の 経 時 変 化 と 病 理 組 織 像 の 解 析 森 清 志 栃 木 県 立 が ん セ ン タ ー 部 長 小 型 肺 結 節 に 対 す る 診 断 ・ 治 療 法 の 確 立 山 田 耕 三 神 奈 川 県 立 が ん セ ン タ ー 部 長 肺 野 限 局 性 す り ガ ラ ス 様 陰 影 の 自 然 史 解 明 の た め の 前 向 き 研 究 米 谷 卓 郎 独 立 行 政 法 人 国 立 病 院 機 構 九 州 が ん セ ン タ ー 医 師 同 時 多 発 す る す り ガ ラ ス 状 陰 影 を 伴 う 肺 癌 の EGFR 遺 伝 子 変 異 に 関 す る 研 究 菱 田 智 之 国 立 が ん セ ン タ ー 東 病 院 医 員 肺 腺 癌 術 後 に 生 じ た 肺 内 転 移 /異 時 多 発 肺 癌 を 疑 う 孤 立 性 肺 結 節 の EGFR 遺 伝 子 変 異 に 関 す る 検 討 研究報告 A 研究目的 1.共同研究:肺がん CT 検診や日常臨床の胸部 CT 検査に より、限局性すりガラス様陰影(ground-glass opacity: GGO)を呈する肺結節が多数発見されるようになり、数ヶ 月経過しても消失しない陰影は、切除により肺腺がんの 早期病変の頻度が高いことが明らかにされた。限局性す

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りガラス陰影の経過観察例により、進展傾向を示すもの と不変であるものがあることが明らかになって来た。し かし、2 年以上の観察例の報告は、現在までのところ殆 どなく、限局性すりガラス様陰影が不変であった場合、 何年間経過観察したら肺がんではないと診断できるかは 全く解明されていない。本研究の目的は、肺野限局性す りガラス様陰影の自然史解明のために前向き研究を実施 することである。 2.個別研究: a.すりガラス様陰影を示す病変の取り扱いの標準化に関 する研究:末梢腺がん超多発症例における EGFR 遺伝子変 異の関与を明らかにし、EGFR-TKI による治療の可能性を 探る。 b.小型肺結節に対する診断・治療法の確立:Mixed GGO を呈する肺腺癌の thin-section CT (TS-CT)所見と予後 因子との関係について病変内の solid の形状に注目して 切除された肺腺がん症例で検討する。 c.すりガラス結節の経時変化と病理組織像の解析:野口 A 型は高分解能 CT (TS-CT)で比較的純粋なすりガラス結 節として認められることが多く、TS-CT の診断能は高い が、内部にすりガラス影の濃度差がある結節では、野口 B 型と野口 C 型の鑑別が困難なことが多い。そこで、造 影 CT を用いて造影効果を定量的に評価し、形態情報に付 加する情報を得られるかどうかを検討する。 d. 肺野限局性すりガラス様陰影の自然史解明のための 前向き研究に関する研究:術前腫瘍径 20 mm 以下の GGO 病変で経過観察中に腫瘍径が増大する症例と、腫瘍径に 変化を認めない症例の臨床および画像的特徴を比較する ことにより、緻密な経過観察を要する症例と要さない症 例とを区別し、今後の GGO 症例の経過観察のための画像 的特徴と経過観察の手順を明らかにする。 e. 肺野限局性すりガラス様陰影の経時変化: GGO 病変の 時間軸を含めた定量的な画像解析を行う。 f. 同時多発するすりガラス状陰影を伴う肺癌の EGFR 遺 伝子変異に関する研究: 切除標本を用いて、EGFR や KRAS 遺伝子の変異プロファイルを明らかにすることで疾患の 性質を明らかにする。 B 研究方法 1.肺野限局性すりガラス様陰影(GGO)の自然史解明のた めの前向き研究を、多施設共同研究として遂行するため の研究体制を確立し、各分担研究者の施設において研究 計画書の倫理審査委員会での承認を経て GGO を有する研 究対象者の登録を開始した。 2-a. すりガラス様陰影を示す病変の取り扱いの標準化 に関する研究:外科的切除が行われた超多発腺がん 21 例 を対象とした。それら 21 症例から切除された病変のうち 悪性度の高い病変から順に原則として 1 症例から 3 病変 を選び、ホルマリン固定パラフィン包埋標本から薄切標 本を作成し、その病変部分を切り出し、PNA-LNA PCR Clamp 法で EGFR 遺伝子の exon8-21 の変異を検索した。 2-b. 小型肺結節に対する診断・治療法の確立:TS-CT で mixed GGO を呈した最大腫瘍径 3cm 以下の肺腺癌 91 症例 を対象とした。TS-CT の所見は、主に solid 部に注目し て、solid 成分の境界が不明瞭か明瞭か、形が不整形か 整形か、占める割合が 50%未満か 50%以上かを検討した。 病理学的予後の予測因子として、野口 A 型、B 型かそれ 以外、脈管侵襲の有無、リンパ節転移の有無を検討した。 2-c. すりガラス結節の経時変化と病理組織像の解析:す りガラス影を含む腺がん 27 例(野口 A 型9結節、B 型8 結節、C 型10結節)を対象とした。手術によって摘出 された結節から病理標本を作製し、ヘマトキシリン・エ オジン染色、CD31 染色、CD105 染色および Ki67 染色を実 施した。CD31 は一般的な血管内皮細胞のマーカー、CD105 は増殖に関連する血管内皮細胞マーカー、Ki67 は増殖性 のマーカーと考えられている。得られた組織染色標本に おける血管内皮細胞の定量化は、画像解析ソフトを用い て行った。造影 CT による検討としては鑑別が問題になる 野口 B 型 3 例、C 型 5 例において、2 相性造影 CT を施行 した。造影剤注入速度は 3ml/sec、総量 100ml を注入し た。結節部位の 1mm 厚の TS-CT を造影前、造影 30 秒後、 120 秒後の 3 回施行した。3 回の CT で結節内での同一部 位(高濃度部)に関心領域を設定し、CT 値を測定し、造 影効果を算出した。野口 B 型および C 型の間での造影パ ターンの有無について検討した。 2-d. 肺野限局性すりガラス様陰影の自然史解明のため の前向き研究に関する研究:術前 TS-CT 画像で径 20mm 以 下の GGO を主体とした症例で初回 CT 撮影時より CT によ る経過の追えた 15 症例である。解析項目である腫瘍径、 病変の内部 CT 値(CT 値が-584 HU より高値のものを濃度 が濃い病変と判定)、関与気管支や血管、内部性状、辺縁 所見、周囲既存構造との関連などの評価は肺野条件で行 い、後向きに臨床像と CT 画像を解析した。 2-e. 肺野限局性すりガラス様陰影の経時変化: CT 上 最大径 2cm 以下の pure GGO 病変 33 例を検討した。スラ イス厚 1mm の TS-CT を用い読影ビューアで最大割面と思 われるスライス上の最大径、濃度(目視上約半分の面積 となる ROI を設定した時の平均濃度)を測定した。

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2-f. 同時多発するすりガラス状陰影を伴う肺癌の EGFR 遺伝子変異に関する研究: 外科的切除を施行された 25 症例 70 病変の多発肺腺癌および AAH の切除標本のパラフ ィン包埋切片より genomic DNA を抽出した。EGFR 変異に ついて exon19 の欠失変異(19del)、exon21 の点突然変異 (L858R、L861Q)の有無を検索した。KRAS codon12 点突然 変異については genomic PCR-direct sequencing を用い て解析した。 C 研究成果 1. 共同研究:平成 21 年度末において、61 症例、92 個の GGO を登録した。平成 21 年度内の該当症例で 3 月末の時 点で登録作業中の症例が残っており、今後の症例数の増 加が期待される。 2-a. すりガラス様陰影を示す病変の取り扱いの標準化 に関する研究:解析した 58 病変の病変ごとの EGFR 遺伝子 変異をみると、変異有りは 38 病変(65.5%)、変異無しは 20 病変(34.5%)で、2 病変において 1 病変内に異なる 2 個の変異を認めた。21 症例の症例ごとの EGFR 遺伝子変 異をみると変異有りが 18 例(85.7%)、変異無しが 3 例 (14.3%)であった。病変の組織型別(腫瘍異型度別)に EGFR 遺伝子変異の頻度をみると、AH では 4 病変 2 個 (50%)、AAH では 17 病変中 11 個(64.7%)、腺がんでは 37 病変中 25 個(67.6%)に変異が認められた。重複変異 を含めた 38 病変の 40 個の変異を部位別にみると、exon21 の変異が 33 個(82.5%)、exon19 が 6 個(15.0%)、exon18 が 1 個(2.5%)で、exon21 すなわち L858R の変異が大部分 を占めた。3 病変を検索しえた 17 症例において、3 病変 とも変異有りが 6 例、2 病変に変異有りが 6 例、1 病変の み変異有りが 3 例、3 病変とも変異無しが 2 例であった。 3 病変とも変異有りの 6 例中、3 病変全てが同じ変異パタ ーンを有していたのは 2 例のみであった。 2-b. 小型肺結節に対する診断・治療法の確立:solid の 占める割合、形状、境界が、予後因子と関連があった。 Solid の占める割合が大きく、solid の境界が明瞭で、 solid の形が円形に近い mixed GGO が、より病理学的予 後不良因子と関連があった。Solid が 50%未満の結節群で はリンパ節転移例はなく、solid の形が不整形、境界が 不明瞭である結節では、脈管侵襲を認めないことが多い。 Solid の形状が整形である結節では、野口 C 型/D 型/E 型 を呈する傾向がある。Solid が 50%以上の結節群では、リ ンパ節転移例が多い。Solid の形が不整形な結節や境界 が不明瞭な結節では、脈管侵襲が少なく、solid の形状 が整形や、境界が明瞭である結節では、野口 C 型、D 型、 E 型を呈する例が多かった。 2-c. すりガラス結節の経時変化と病理組織像の解析:病 理学的検討としては、CD31 の定量計測値は、野口 A 型は 4.85±4.13、野口 B 型は 3.55±3.12、野口 C 型は 11.18 ±9.41 で、A 型と B 型の間には有意の差は見られなかっ たが、A 型と C 型、B 型と C 型の間には有意な差がみられ、 C 型が高い値を示した。CD105 の定量化では、C 型で高い 値(67%)を示したが、A 型および B 型では陽性細胞数は低 値(0%)であった。Ki67 の定量化では、A 型では陽性率が 0%, B 型では 17%、C 型では 78%と C 型でもっとも高い値 を示した。造影 CT による検討では、造影早期相での造影 効果は野口 B 型と C 型では有意の差はみられなかったが、 後期相では、野口 C 型の高濃度部が B 型に比して有意に 大きい造影効果がみられた。野口 B 型と C 型の血管構築 の違いは、造影 CT での造影パターンの違いとして検出で きる可能性が示された。 2-d. 肺野限局性すりガラス様陰影の自然史解明のため の前向き研究に関する研究: 検討した 15 例中 8 例(53%) で 腫瘍径の増大が確認された。切除例であるという限定 した症例群ではあるが、腫瘍径の増大群と不変群では、 肺血管の収束像の有無について有意差が認められ、肺血 管の収束像の認められた GGO 例は腫瘍径が増大する可能 性が高いことが示された。一方胸膜陥入像に関しては、 陥入像が認められた場合には、腫瘍径が増大する傾向に あったが、有意差は認められなかった。腫瘍の内部濃度 については、不変群において腫瘍内部の CT 値が低く、そ の濃度が淡い症例が多い傾向にあった。 2-e. 肺野限局性すりガラス様陰影の経時変化:GGO の平 均長径は 9.1mm、平均面積(長径 x 短径)は 77mm2、平均 濃度は-606HU、平均観察期間は 46 ヶ月であり、現在も経 過観察中の症例は 28 結節、5例は切除され全例腺癌であ った。33 結節中、30 結節(91%)は経過中に有意なサイ ズ増大や濃度増加は認められなかった 2-f. 同時多発するすりガラス状陰影を伴う肺癌の EGFR 遺伝子変異に関する研究: 70 病変中 EGFR 遺伝子変異を 認めたのは 31 病変(44%)であり、その内訳は、exon19 の 欠失変異が 21 病変で、L858R 変異が 10 病変であった。 少なくともひとつの病変に EGFR 遺伝子変異を認める症 例は 16 例(64%)であった。4 例では全ての病変に exon19 の欠失変異を認め、1 例では全ての病変に L858R 変異を 認めた。野生型と exon19 欠失変異の混在は 4 例、野生型 と L858R 変異の混在は 4 例、exon19 欠失変異と L858R 変 異の混在は 2 例であった。病理組織学的診断は、AAH が 5 病変、BAC が 38 病変、腺癌が 27 病変で、EGFR 変異を有

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するものはそれぞれ 0 病変、17 病変、14 病変であった。 6 病変(いずれも BAC あるいは腺癌)で KRAS 変異を認め たが EGFR 変異とは排他的であった。 D 倫理面への配慮 肺野限局性すりガラス様陰影の自然史解明のための前 向き研究は、共通の研究計画書にもとづき、各施設の倫 理審査委員会の承認を得て実施した。研究のために集積 された臨床情報、画像情報は、厳重に管理・運用し、外 部への情報流出を防いだ。 研究成果の刊行発表 外国語論文

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