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報告 6 がなされている 合わせて 大学 研究機関を対象としたクラウド利活用に関する調査もいくつか行われており 以下にその結果の一部を紹介しながら考察する 図 2 は 九州大学 ( 文部科学省委託 ) のク 7 ラウドの利用状況調査 (2013 年度 ) の結果である クラウドをすでに利用している

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Academic year: 2021

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本稿では、大学・研究機関におけるクラウ ド利活用を目指して、大学・研究機関および 実際にクラウドサービスを提供しているクラ ウドサービスプロバイダが協働する場として の「学認クラウド」の取組みについて説明す る。さらに、プロバイダから提供されたクラ ウドサービスの情報を国立情報学研究所(以 下「NII」)が検証し大学・研究機関に提供す る「クラウド導入支援サービス」について、 現在実施中の実証実験の取組みも含めて紹介 する。

1. 大学・研究機関における

クラウド利活用

図 1 に、想定される将来の研究・教育環境 を示す。今後、研究・教育分野においても、 クラウドの利用が進み、研究・教育の ICT 基盤、ツール、コンテンツなどがクラウド化 されてゆく。一方で、図 1 に描かれた研究・ 教育環境に加えて、大学の管理・運営のため の ICT 基盤のクラウド化も進む。管理・運 営基盤のクラウド化は、一般企業におけるク ラウド導入との共通点も多く、むしろ研究・ 教育環境よりも先行することも考えられる。 図 1 において注目すべき点は、商用のクラ ウドサービスが、機能拡張のスピード、スケー ル、価格という利点から、大きな選択肢と なってゆくこと、しかも、1 種類の商用クラ ウドサービスだけではなく、複数のサービス の使い分けが想定されるということである。 したがって、クラウドサービスの選び方・使 い方が重要なポイントとなり、これに対する 学認クラウドの取組みを以下にご紹介したい。 海外における大学・研究機関におけるクラ ウド利活用の先行事例としては、米国の Internet2 における Net+1があげられる。こ れは大学間のコミュニティでクラウドサービ スを選択・評価してコミュニティ内に提供す るというプロジェクトである。その一環で、 共同調達や価格交渉といったことも進めてお り、Internet2 の教育研究ネットワークの活 用とコスト低減がねらいとなっている。 一方、国内でも、静岡大学2、広島大学3、北 海道大学4(50 音順)など、先進的にクラウ ド導入を進めている大学がある。研究分野か らクラウド導入を始めるケース、学内の業務 系から着手するケースなど、各大学の状況に 合わせて様々なアプローチがとられている。

2. クラウドに対する期待と課題

大学・研究機関におけるクラウド利活用に 関しては、2014 年度に、日本学術会議の提 言5や、文部科学省の学術情報委員会による 1 http://www.internet2.edu/vision-initiatives/ initiatives/internet2-netplus/ 2 http://www.cii.shizuoka.ac.jp/ 3 http://www.media.hiroshima-u.ac.jp/news/ cloudguide 4 http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~a10019/kosyu/ pdf2/cloud_1 5 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t192-2.pdf

大学・研究機関のクラウド活用に向けた協働

―学認クラウドの取組み

吉田 浩 国立情報学研究所クラウド基盤研究開発センター特任教授 概要:大学・研究機関の研究・教育・管理運営の ICT 基盤としてクラウドサービスに関心が集まる一方で、SLA やセキュ リティ、コスト低減への懸念がクラウド化の障壁とも言われています。クラウドを安全・安心に活用して効果を得るため の支援サービスとして国立情報学研究所が進める学認クラウドの取組みについてご紹介いたします。 キーワード:クラウド 図 1 将来の研究・教育環境

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報告6がなされている。合わせて、大学・研 究機関を対象としたクラウド利活用に関する 調査もいくつか行われており、以下にその結 果の一部を紹介しながら考察する。 図 2 は、九州大学(文部科学省委託)のク ラウドの利用状況調査(2013 年度)の結果7 である。クラウドをすでに利用している・利 用したい・場合によっては利用したいという 回答を合わせて、2/3 の大学が関心を持って いる一方で、分からない・判断できないとい う大学も 1/3 あり、全体として、関心は高い が迷ってもいるという状況にあると解釈でき る。 図 2 クラウドへの期待と不安 さらに新しいものとして、2015 年 3 月に 文部科学省が全国立大学に対して実施した調 査結果を紹介する。実際にクラウドを導入し たことによって得られた効果に関する質問に 対しては、コスト低減、業務の省力化・効率 化、災害対策の実現、サービス内容の向上な どが回答されており、一般的に言われている クラウドの利点が、大学においても得られて いると言える(図 3)。 6 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/ gijyutu4/031/houkoku/1351113.htm 7 http://www.icer.kyushu-u.ac.jp/sites/default/ files/AC_last_report_document_2.pdf 図 3 クラウド化によって得られた効果 一方、クラウド利用・導入への課題として は、セキュリティ面・信頼性の不安を挙げた 大学がもっとも多く、他に、必要性を感じな い、費用面の課題、学内合意形成、ネットワー ク性能といった課題も挙がっている(図 4)。 「セキュリティ面・信頼性に不安がある」と いう懸念をいかに払拭あるいは軽減していく かということが、クラウド化を促進する上で 重要になってくると考える。 図 4 クラウド導入・利用への課題 さらに、クラウドの導入時期に関する質問 の回答からは、2016 年度ぐらいから事務系・ ICT 基盤のクラウド導入が進み、少し遅れ て教育・学習・図書館系がクラウド化されて ゆくという結果が得られている。一方で、研 究基盤のクラウド化の計画はまだこれからで ある。

3. 学認クラウド

(クラウド導入支援サービス)

このような提言や調査結果をふまえて、 NII が進めている学認クラウドの取組みにつ いて紹介する。

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図 5 クラウドに関わる NII の取組み 大学・研究機関がクラウドを利用するにあ たっては、開始フェーズ、利用フェーズ、高 度利用フェーズの 3 つの段階があるが、この 開始フェーズから利用フェーズを対象に進め ているのが「学認クラウド(クラウド導入支 援サービス)」である。なお、利用フェーズ に対しては、クラウドデータセンターの SINET 接続サービス、および、機関リポジ トリのクラウドサービスである JAIRO クラ ウドも合わせて提供している。さらに、高度 利用フェーズに対しては、インタークラウド として、複数のクラウドを連携させて活用す るための研究開発を進めている(図 5)。 前項に述べた調査結果から、大学・研究機 関のクラウドサービスの導入・利用における 課題は、クラウドを導入する際の仕様を決め てゆくことの困難さに集約されると認識して いる。クラウドの選択にあたっては、技術的 な機能要件から、性能・信頼性などの非機能 要件、さらに契約条件など多岐に渡る項目を 考慮しなければならない。それらの選択基準 が明確にできなければ、どのようなクラウド を利用したいかということを仕様として表現 することができない。また、多くのクラウド サービスの中から、業務のニーズに合うクラ ウドを探し出すことも容易ではない。大学・ 研究機関におけるこのような仕様策定や比較 検討のコストを減らすことが大きな課題であ ると考える。特に、クラウドがサービス商品 であることから、契約・約款・SLA(Service LevelAgreement)などの、手続きや法律の 領域に踏み込んだ考慮が必要という課題や、 費用を抑えるためにはどういう選択をすれば よいかといった課題も重要性を増してくる。 これらの課題解決を目指す学認クラウドの 枠組みを図 6 に示す。 図 6 学認クラウド (クラウド導入支援サービス) 全体は、以下のように進められる。 1)まず NII がクラウド導入・選択のため のチェックリストを策定する。これはク ラウドを導入する際の選択基準や考慮点 となる項目を一覧表としてまとめたもの である。 2)クラウドサービスプロバイダは、自社 のサービス商品において、これらの項目 に関して何がどのように提供されている かをチェックリストに記入する。 3)記入済のチェックリストを NII が検証・ 評価した上で、大学・研究機関に提供す る。 4)大学・研究機関は、チェックリストの 情報を活用して、クラウドの調達を行う。 重要な点は、複数のクラウドサービスにつ いて同一項目で記述レベルの揃ったチェック リストを整備して、どういう着眼点でクラウ ドを選べばよいか、その着眼点に対して現実 のサービスが何をどのように提供しているか ということを明確にするというところにある。 なお、学認クラウドの取組みの一環で、ク ラウドサービスプロバイダに対して、学認ク ラウドの参加大学・研究機関のクラウド所要 量のボリュームを背景とした価格交渉を行う といったことも検討している。 学認クラウドのロードマップとしては、3 段階に分けて進めることを計画している。第 一段階はチェックリストの策定・公開であり、 2015 年 6 月に初版を公開済である。第二段 階は、実証実験として上記 1)から 3)まで を試行することによって、チェックリストの 内容や運用プロセスを検証し、本番運用に向 けた課題の抽出と対処を行う。これは、2015 年 9 月から 2016 年 3 月末まで実施する。第 三段階は、実証実験の結果に基づく改善を

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行った上での本運用であり、2016 年度の開 始を予定している。

4. クラウドチェックリスト

クラウドチェックリストには、大学・研究 機関から見た利用価値と、クラウドサービス プロバイダから見た利用価値がある。 大学・研究機関にとってのチェックリスト の利用価値は、自組織のニーズに合ったサー ビス商品が探し出せるということである。ク ラウドを導入する際の着眼点、たとえば、ネッ トワーク接続性、セキュリティ、信頼性など に関する留意すべき項目が明確化される。も う一つは、複数のクラウドサービスに対して 同一のチェック項目について同じ記述レベル で書かれたチェックリストが提供されるため、 比較検討が容易となり、利用組織のニーズに 合ったサービスを選択しやすくなる。 クラウドサービスプロバイダにとっては、 チェックリストに沿って自社サービスの情報 提供を行ってフィードバックを得ることで、 大学・研究機関のニーズが把握でき、さらに 把握したニーズに基づいて、クラウド導入の 提案や支援が的確に進められる。 チェックリストの初版は学認クラウドの web サイト8ですでに公開されており、実際 にクラウドの選択基準を考える際の参考資料 として単独でも利用できるものなので、ぜひ ご活用いただきたい。チェックリストの実体 は 100 項目を超えるスプレッドシートである が、大きくは、以下のカテゴリからなる。 ・商品/サービスの概要 ・参加条件・成立条件 ・契約申込み ・学認対応状況 ・ネットワーク・通信機能 ・管理機能 ・信頼性 ・動作保証 ・スケーラビリティ ・セキュリティ ・データセンター ・データ管理 ・バックアップ ・データの取扱い ・データの引継ぎ ・クラウド事業者の信頼度 ・契約条件 8 http://cloud.gakunin.jp/ 以下に、いくつかのカテゴリに関して、詳 細項目を紹介する。 ネ ッ ト ワ ー ク・ 通 信 機 能 に つ い て は、 SINET 接続の有無、VPN の利用可否、IaaS の場合のサーバーのネットワーク関連機能、 ファイアウォール機能、暗号化オプション、 IP アドレスの付加方法といった項目を含む。 信 頼 性 に 関 し て は、 サ ー ビ ス の 稼 働 率 (99.5% など)の公開、計画停止の有無や通 知方法、障害の受付時間帯(24 時間 365 日 対応など)、障害以外の技術サポートの対応 時間帯などがある。一般に、停止の定義(時 間や範囲)や稼働率の算出基準はクラウド サービスごとに異なっており、これらの項目 の明確化にも意味があると考えている。 セキュリティに関しては、プロバイダがど ういうセキュリティポリシーのもとにサービ スを運用しているか、クラウドの基盤を構成 しているソフトウェアのバージョンアップの 頻度や脆弱性発見時の通知と対応、セキュリ ティ対策、ウイルス定義の更新、万一のセキュ リティ事故時のインシデント対応のやり方や 体制、セキュリティ関連の第三者認証の取得 状況などがチェック項目に入っている。 データセンターについては、物理面や管理 面におけるセキュリティの他に、データの保 管場所という観点から、データセンター設置 地域の公開や利用者による指定の可否などの 項目が含められている。 データの管理に関する項目には、格納した データがどのように取り扱われるのか、バッ クアップは行われているか、行われる場合は 自動か手動か、複数センターへのバックアッ プやレプリケーションが行われるか、バック アップデータは利用者自身がリストアできる か、バックアップされたデータのセキュリティ はどうかといった項目がある。また、「デー タの引継ぎ」、すなわち、あるクラウドサー ビスからデータを取り出して、オンプレミス や他のクラウドサービスで利用することが可 能かといった項目もある。 さらに、クラウドサービスの事業としての 信頼度、契約・SLA の更新手続き、準拠法 および係争時の管轄裁判所、契約終了後の データの取扱いなども項目として含めている。 先に、クラウドのセキュリティや信頼性に 不安を感じている大学が多いという調査結果 を紹介したが、本チェックリストを通じて、 クラウドサービスプロバイダがセキュリティ や信頼性の維持・管理に対してどう取り組み、

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何を保証しているかということが明確になれ ば、不安は軽減されてゆくと考えている。 次に、チェックリストによるクラウドサー ビスの選択について説明する。クラウドサー ビスには多様性がある。チェックリスト上で Yes と回答されている項目の数が多いから良 いサービスであるということはない。むしろ、 適材適所という考え方が重要である。 図 7 チェックリストに基づくサービス選択 図 7 に選択方法のイメージを示す。たとえ ば、研究データのバックアップ / 長期保存で は、データが失われないという耐久性が必要 だが、アクセス頻度が低いことからデータ取 出しの時間はあまり重視しない、また単位容 量あたりの単価が低いこと、という要件が考 えられる。一方、個人情報を含む学務データ を保存するには、データの安全性の観点から 暗号化が必須であり、さらにデータを国内に 格納したい、また日本法に準拠し万一問題が あったときは国内の裁判所における係争とし たい、という要件が考えられる。チェックリ ストには、これらの項目が網羅されているの で、該当する項目を見て適切なプロバイダを 選択することができる。

5. 学認クラウド実証実験

チェックリストの項目や記入要領のブラッ シュアップと、クラウドサービスプロバイダ から提供されたチェックリストを NII が検証 して大学に渡すという一連のプロセスの試行・ 検証を行って、本番に向けた運用を確立して ゆく目的で、2015 年 9 月に実証実験を開始 した。 実証実験に参加する大学・研究機関は、大 学向けのクラウドサービスの情報を複数社分 まとまった形で先行して入手することができ る。また、クラウドサービスの選択において、 信頼性やセキュリティなどにどういう着眼点 があり、その着眼点に関して現実のクラウド サービスはどういう状況にあるのか、どのく らい情報が開示されているのかということを 把握できる。さらに、チェックリストの追加・ 修正項目の提案もできる。 一方、クラウドサービスプロバイダ側は、 実証実験を通じて大学・研究機関のニーズを 早期に把握することができるとともに、自社 のサービスの特長を早期に大学・研究機関に アピールすることができる。合わせて、大学・ 研究機関とのチャネル形成や、プロバイダか ら見て追加・修正が必要なチェックリスト項 目の提案も可能である。 実証実験の一環で、クラウド導入に関する 個別相談の対応も行っている。クラウドをこ れから導入したい大学・研究機関に対して、 クラウドを適用したい対象業務に即して、 チェックリストのどの項目を見てどう判断す ればよいかということを、NII の担当者が共 同で検討してゆく。このような検討事例を蓄 積してゆくことによって、クラウド利活用の 推進に役立つ知識を大学・研究機関と共有し てゆきたいと考える。

6. おわりに

表題にもあるように、学認クラウドの取組 みは、NII だけが進めるものではない。実際 にクラウドを利活用する大学・研究機関、 サービスを提供するクラウドサービスプロバ イダと協働することによって、クラウドの最 適な使い方、事例、選び方といった知識を全 体で共有してゆくことが目標であり、それが 大学・研究機関のクラウド化を進める上での 重要な成功要因となるのではないかと考える。 大学・研究機関およびクラウドサービスプロ バイダの皆様には、ぜひ実証実験を含めた活 動へのご参加とご支援をお願いしたい。

図 5 クラウドに関わる NII の取組み 大学・研究機関がクラウドを利用するにあ たっては、開始フェーズ、利用フェーズ、高 度利用フェーズの 3 つの段階があるが、この 開始フェーズから利用フェーズを対象に進め ているのが「学認クラウド(クラウド導入支 援サービス)」である。なお、利用フェーズ に対しては、クラウドデータセンターの SINET 接続サービス、および、機関リポジ トリのクラウドサービスである JAIRO クラ ウドも合わせて提供している。さらに、高度 利用フェーズに対しては、インタークラウド

参照

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