ナツダイダイ樹の発育生理に関する研究 II 成熟果の大きさと果実内肥料5要素の含有率および含有量の比較-香川大学学術情報リポジトリ

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ナツダイダイ樹の発育生理に関する研究

Ⅱ 成熟果の大きさと果実内肥料5要素の

含有率および含有量の比較

井 上 宏,山 本 裕 昭

r.は し が き 筆者ら(る)は,第Ⅰ報において同一働から採取したナツダイダイの成熟果について,果実の大きさと果実の 形態ならびにニ,三の生理的特性の関係を報彗したが,本報ではさらに前報の供試材料と同時に同一・樹から 採取した果実について,果実の大きさと果実内肥料5要素の含有率および含有盈の関係を調査した結果を報 告する“ なお,本報告の要旨は園芸学会昭和41年度中四国支部大会で発表した. ⅠⅠ.実験材料および方法 本実験に供試した材料ほ第Ⅰ報(8)と同じく,高松市中山町の谷義凰氏園のナツダイダイの1樹’(約65年生) から1966年・5月21日に採取した成熟果を第1表の全国統一・出荷規格にしたがって,LLからSSに,さらに SS未満をSSSとして,それぞれの果径(横径)に分類し, 各階級20果ずつを供試し,果実の大きさと肥料5要素(N, P,K,Ca,Mg)の果実内含有率および含有盈を比較した. なお,本論文では,従来「含盈」と呼ばれている要素の含 有の割合を「含有率」,すなわち,乾物重量に対する百分率 で表わし,その絶対塵を「含有凰」と称して,以下記述す る.. 果実ば,果皮,果肉および秤子に分け,それぞれの生体 重を押遣してのち,その一・部をとって通風乾燥器で 700C で恒盛になるまで乾燥し,果皮および果肉は粉末とし,乾 第1表 果実の階級 皆 級l 果実の横径(c汀l) S LLIMSSSS S 10り9 以上 10,2∼10小9未満 9‖5 ′、′102 〝 8‖8.、′ 95 〝 8い0 へ′ 88 〝 80 〝 燥種子はそのまま化学分析を行ない,N,P,K,Caおよぴ Mgを走鼓した. 分析法ほ以下のとおりである. N:ガンニング氏変法(7) P:モリブデン再試薬を用いる光電管比色計法(5) K:炎光光度計法(7) Ca: .′′ Mg:ドー・タイト法(7) なお,各階級の果実の平均株径,縦径および果実生体重は第2表のとおりであるり ⅠⅠⅠ.実 験 結 果 L 果実の乾物重 果実各部の乾物%および乾物重を第3,4表に示すい

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第2表 供試果実の果径と果実重(20果の平均値) 横

径 l 縦

径 】 果 実 注)カツコ内の数字はLLの果実重を10とした比数

第3去 来実各部の乾物割合

皮 【 果

第4表 果実各部の乾物重

階 級 i 果 皮 l 果 肉 l 種

注)カノコ内の数字ほLLの乾物重を10とした比数 乾物%は果皮と果肉では果実が大きくなるにしたがって減少する傾向を示したのに射し,種子でほ逆に増 加する傾向が認められた.. 1果あたりの果実各部の乾物重は,果実が大きいぼど大であるが,生体重(第2表)ほどの開きは認めら れなかったい このことば,大束で果皮と果肉の乾物%が低下する結果である∴すなわち,LLの10に対して SSSが生体重では39であったが,乾物重では44とやや高い価を示した.. 2果実内肥料要素含有率 果実各部のN,P,K,CaおよびMgの含有率を対乾物%で示すと,第5表のとおりである.全般的にみて, N,P,Mgは種子に,Kは果肉に,Caは果皮にそれぞれ他の部位より多く含まれていた一 N:果皮および果肉では,果実の大きさによりN含有率にはあまり差ほ認められなかったが,種子では果 実が大きくなるにしたがって含有種子中のN含有率が少なくなる傾向にあった.全階級の平均では果皮が 1‖45%,果肉が1‖62%,種子が249%であった〃 P:果実の大きさに関係なくP含有率はほ−・定で,果皮は009%,果肉は0い15%,種子は0‖19%を示し た.

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第5表 果実各部の・5要素含有率(対乾物%) 果 皮 】 果 肉 K:果皮および種子では,果実が大きくなるほどK含有率が少なくなる傾向にあったが,果肉ではM級 で最も含有率が大で,果実がそれより大きくまたは小さくても含有率は滅ずる傾向にあった..平均では果皮 が1・03%,果肉が1・76%,種子が0/76%であったい Ca:果皮,果肉および種子ともCa含有率はM扱が最も多く,それより果実が大きくても小さくても, 含有率は減少する傾向にあった小 平均では果皮が062%,果肉が033%,種子が022%であった.

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Mg:果皮ではMg含有率はM扱が最も多かったが,階級間でほとんど差がなく,果肉および種子では −・定の傾向は認められなかった..平均値で争ると,果皮および果肉は013%,種子ほ0い14%と部位による 差異も認められなかった. 3.果実内肥料要素含有豊 前記の果実各部の乾物重にそれぞれの要素含有率を乗じ,1果あたりのN,P,K,CaおよびMg含有盈を 算出すると第6表のとおりである.各巽東とも果実が大きくなるにしたがって含有盈は増加した.各階級の 果実についてNの含有畳を10とした各要素の含有盈の比数をみると,Pは0.7∼08,Kは82∼8・8,Caは 2・7∼33,Mgは0.8∼0.9で,果実の大きさによる各要素の含有盈比はほとんど変らなかった.. さらに,第6表より,各階級の果実の中でそれぞれの要素が果皮,果肉および種子のいずれに多く分配さ れているかをみるために,果実全体の含有盈に占める各部位の含有量の分布割合を第7表に算出した..この 割合も各要素によってほとんど−・定で,果実の大きさによる割合の変動は認められなかった≠ 平均してみる 第6表1果あたり果実内15要素含有盈(mg) 果 皮 】 果

肉 l 種

級 階 素 要 4 9 0 4 4 0 −.ヽ︶ 1 5 0 8 9 4 4 ウJ 3 2 1 1 7 6 1 1 9 9 8 7 6 6 3 8 3 0U 4 9 3 2 2 8 8 8 5 0 0 0 0 0 0 9 9 7 6 ■hJ 4 S L LIMSSSS S 7 6 2 3 3 6 3 2 6 8 ■へ︶ 0 4 4 3 2 2 2 ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ ︶ 8 7 8 7 8 8 0 0 0 0 0 0 3 8 ■hJ 8 0 0J 8 6 6 4 ■hJ 3

S

LLIMSSSS S

3 2 2 1 1 1 1 6 3 7 8 3 ︻hJ 6 6 6 7 7 4 3 3 2 2 −1 7 6 6 5 ︻hJ 3 p▲ 6 7 2 8 9 3 2 2 2 1▲ l l 2 6 9 4 1 6 3 6 0 3 1 ︻hJ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ 8 8 0U 8 0U 8 4 2 8 4 5 4 8 7 6 5 仁J 3 0 7 8 4 9 5 0 9 う 9 8 5 3 2 2 1 1 1 7 2 0 1 0J 7 9 4 1 ウJ O 9 4 4 4 3 3 1

S

LLIMSSSS S

9 0 3 0 7 7 2 3 3 3 2 2 ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ 7 1 8 ウJ 2 9 8 8 5 9 6 1 2 2 2 1 1 1 7 6 0 2 8 7 9 7 8 6 う ウJ L L L M S S S S S S 2 7 0 8 9 7 8 8 9 0U 8 8 ∩︶ ∩︶ 0 0 0 0 ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ ︵ 9 6 1 2 6 4 7 7 7 ■﹂〇 4 ウJ

LLIMS

4 8 8 7 9 6 3 3 0J 2 1 1 0 3 9 2 5 6 4 0J 2 2 2 1 ■hJ ■ヽ︶ 4 3 3 2 S S S S S 注)カソコ内の数字は各階級のNの含有盈を10とした比数

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第7表 5要素含有盈の果実各部の分布割合(%) 果 皮 】 果 肉 と,NとMgは果皮と果肉にほとんど等分に含まれ,PとKは果皮よりも果肉に多く,Caは果肉よりも果 皮に多く含まれていた.種子は各要素とも含有盈ほ少なく,果実全体の10%以下であったが,KとCaがと くに少なくわずか3%前後であった.. 以上は,1果あたりの含有盈についての結果であり,果実の大きさが直接に影響しているため,単位重量 あたりの含有盈の比較を行なってみた.果実1kgあたりの含有量を算出して,図示すると第1図のように

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0 0 0 乙 0 0 0 1 エエ エ M 5 5S 55S 第1図 果実1極あたり5要素含有盛 なる.′ N,PおよびKではSSの果実が,CaおよびMgではM級の果実が含有盈多く,それより果実が大 きくても小さくても含有盈は少なくなった..1果あたりの含有値の最大でであったLLの果実が単位重盈あ たりの比較ではいずれの安来も最小であった

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ⅠⅤ、考 察 本実験はナツダイダイの同一爛‘上に着生した種々の大きさの成熟果について,果実の大きさと果実内肥料 要素吸収との関係を観察するために実施した小 果実の大きさと,肥料要素吸収の関係については,すでに日 本ナシの二十世紀と長十郎種について菊池(4)が,大果は小栗にくらべてその灰分組成中のK20の含量が多い と述べ,細井,平田(2)は日本ナシ八雲種について大果と小果の生長周期と肥料要素吸収の季節的変化を比較 機察し,大果は小果より常にPやKを多く吸収し,成熟時のN:p205:K20の価は,大果で10:27‥190 であったのに射し,小果では10:1,5:け2で,P205やK20の吸収割合が大栄で多かったことを報告してい る. カンキツ果実について,同一・樹上の果実における以上のような観察はばとんどみられないが,肥料試験と して行なわれた成緻よりみると,REUrHER,SMITH(6)はバレンシヤ・オ・レンジでNの施用濃度が高くなると 果実は小さくなり,逆にK施用濃度が高くなると大果になることを認め,CHAPMAN,BROWN,RAYNER(1)は ネ・−ブル・オレンジでKの培養液汲度を増すほど収穫果実の大きさが増加したことを報じている.K施用 浪度が高くなって大果を生ずる現象についてSMITH,REUTHER(7)はKの増施によって果実内の細胞の水和 作用(Hy山ation)を促進し,果肉組織の膨圧を高め,細胞を大きくし,果形を大きくすると説明している一. 筆者らが同一・樹からとったナツダイダイの大束と小果の比較では日本ナシやカンキツの肥料試験でみられ たような傾向はなく,Kのみならず他の要素も∵磯に果実内に吸収され,要素間の比率は果実の大きさにか かわらずほとんど変らなかpたい いうまでもなく,果実が肥大するためには根から肥料や水が吸収され,奏 で炭水化物が合成されて,これらの養分が果実に供給されなければならない..1樹中の果実の大小は結果母 枝や結果枝の強弱,樹冠上の着果位置や第Ⅰ報(8)で述べたように砂じようの分化・発達の多少,完全種子の 形成数の多少などにより決定するものと思われる小 したがって,前述のカンキツの肥料試験の成績のように, 果実を着生している樹が異なる場合はナツダイダイでも同様に各樹の栄養状態が成熟果実の大きさを左右し, 果実内の肥料要素吸収の状態に変化を与えることが容易に考えられる∩ ただし,本案除からナツダイダイ果 実では,同一・樹上に着生し,種々の条件により果実の大きさに相違を生じても,肥料要素,少なくともN,P, K,CaおよびMgは果実の乾物重の多少に比例して吸収するものと思われる..ちなみに,果実の乾物1gあ たりの各要素含有盈を本実験の結果から算鞘すると,果実の大きさにかかわらず,ほぼ叫鬼で,N16mg,P lmg,K13mg,Ca5mg,Mglmgであったい Ⅴ摘 要 1ナツダイダイの同一・樹から採取した種々の大きさの成熟果実を全国統一儀荷規格にしたがって分類し, 各階級の来襲を果皮,果肉および種子に分け,N,P,K,CaおよびMgの15要素について分析・定蓋し,果 実の大きさが果実内肥料要素の含有率ならびに含有塵におよばす影響を観察した. 2果実の大きさと肥料5要素の含有率との関係をみると,NとPは果皮と果肉では果実の大きさによる 差がなく,種子ではNが大束で少なく,Pは差がなかった.Kは果皮と桂子では大果で少なく,果肉では 中果で殺大であ った..Caはいずれの部位でも中果で最大であった‖ Mgは果皮では中果が多く,果肉と種子 では差がなかった. 3い 1果あたりの肥料安東含有虞は大衆ほど多かったが,N‥P:K:Ca:Mg の含有比率はばとんと変ら ず,Nを10とするとPは07∼08,Kは82∼8・8,Caは2/7−33,Mgは0.8∼0.9であったけ 4果皮,果肉および種子の3部位に含有された各要素巌の分布割合をみると,果実の大きさによりほと んどかわらず,各要素で−・定の割合を示した.NとMgは果皮と果肉にほぼ等分に含まれ,PとKは果皮 よりも果肉に多く,Caは果肉よりも果皮に多かったい 5・果実生体重1kgあたりの肥料要素含有盈を算出し,果実の大きさによる比較をしたところ,N,Pお よびKの含有量は大果ほど少なくなった..CaおよびMgでは中果が最大であった..

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文 (1)CHAPMAN,H。D,BROWN,S。M.,RAYNER, DS∴ ガ盲Jgαrd査α,1丁,619−650(1947) (2)細井寅三,平田尚美:園芸学会昭和31年度秋 季大会発表(1956) (3)井上宏,山本裕昭,福田光男:香川大学農学 部学術報告,19(れ115−121(1968) (4)菊池秋雄:園芸の研究,24(1),ト19(1929) (5)小島 惣:植物栄養学実験,24−27,束京,朝 献 倉書店(1960) (6)REUTHER,W,SMITH,PいF“:アrβ‘一d∽β71ぶ♂( ヱわrJ・ぶ(≠,59,1−12(1952) (7)佐藤公一・:作物試験法,340−351,東京,農業技 術協会(1963) (8)SMIT王す,PFn,REUTHER,W:MineralNutri− tion of■Fruit Crops,223−256,NewJersey, Somerset Press(1954)

Physiological studies on the growth of Natsudaidai trees

(Curu5nat5udaiddiHAYATA)

ⅠⅠ.Comparisonsofnutrientcontentsinmature

fhlits ofdifftrentsizes

HiroshiINOUEandHiroakiYAMAMOTO

Stlmmary

FivemqJOr mineralnutrientsinmatureNatsudaidaifruitsofdi鮎rentsizeswereinvesti−

gated.

AmountsofN,P,K,CaandMgperfiuitwer・e greaterinthelarger fi・uit thaninthe

Smalleronen However,theratioofN,P,K,Ca and Mg・COntainedin different size fhlits

was almost the same,andthe value waslO:0。7−0.8:8.2−8.8:2.7l−3.3:0.8−0.9. The

nutrientdistributioninpeel,Pulpandseedsdid not varied withdi鮎rent size fiuits. The

COntentSOfN,PandKinlkgofthelargerf王uitswerelessthanofthesmallerones.

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参照

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