は
し が
き
本研究報告書 は、新潟経営大学の平成17年度学内共同研究 (B班 「中国 ・アジア ビジネス教育 と新潟 県集積地域企業 一新潟経営大学 における経営資源の有効活用 について-」) の研究成果を取 りま とめた ものである。 昨年度 は、留学生教育 に対す る新たな視点 について研究 したが、本年度 にはさらにそれを 発展 させ、事例 としては 「国際 ビジネス学科」を取 り上 げ、国際 ビジネス教育 と新潟経営大学の課題 に ついて研究を行 った。 まず、研究内容を概括的に紹介 しておこう。 第 Ⅰ部 「国際 ビジネス教育 と本学経営資源の有効活用」 は本研究の総論 に当たる部分である。 そこで は、 はわれわれは二重の意味でキ ャリア教育を重視 している。すなわちわれわれは、抑従来の教育課題 である教養(
Ge
ne
r
alEdu
L
c
a
t
i
o
n)
、能力(
Abi
l
i
t
y)
、倫理(
Et
hi
c
s
)
、規律(
Di
s
c
i
pl
i
ne
)
に加えて新 たに適応力(
Co
mpe
t
e
nc
e
)
と くに職業人 としての適応力を教育課題 とす るという意味での 「キ ャリア 教育」 を重視す るとともに、(。)さらにそ うした 「キ ャリア教育」 自体の高度化を も重視す る-という観 点 に立 っている。 そ うした問題意識 に基づ き、われわれは、問題領域 として、1.国際 ビジネス教育の 内容、2.ビジネス外国語教育、3.ネ ッ ト・ビジネス教育 の三つの領域をと くに取 り上げることに し た (注1
)。 第1
章の 「国際 ビジネス学科へのアプローチ方法」 においては、国際 ビジネス学科を基軸 とす る国際 ビジネス教育 システムの形成を重視 し、そのための選択肢すなわち(1)国際 ビジネス学科の新設、(ロ)国際 ビジネス ・コースの設置、い)外国別総合 コースの設置-という三つの選択肢が提示 されている。そ して さらに、(1)三つの選択肢 は同時に三つの段階 として捉えることもできる、(ロ)だが三つの選択肢 に共通 し ているのは、 ビジネス英語 をは じめとす るビジネス外国語を教え る体制の充実を不可欠 としている-と いう点が指摘 されている。 第2章の 「ビジネス外国語教育」では、アジアにおけるグローバル ビジネスの重要性の高ま りという 時代のニーズに応えて、本学 として も、 グローバルな視野を持 ち、 アジアにおけるビジネスに精通 した スペ シャリス トの育成を 目指すべきであるとして、そうした観点 に立 って、(Jl)ビジネス英語の他 に、中 国語、韓国語、 ロシア語な どとくに環 日本海 ・北東アジア地域 に関わるビジネス外国語教育 に力を注 ぐ こと、(ロ)ビジネス外国語教育を、単にそれだけに止まらせ るのではな く、グローバル ・コ ミュニケーショ ン ・ビジネス教育 にも連動 させてい くこと、再 さらに特色ある語学学習環境提供のために、教室での基 本事項の学習 とともに、 さらにランゲー ジ ラウンジ(
LanguageLounge
)
の設置やe
-
1
e
ar
ni
ng
の活用 の必要性 -な どが提言 されている。 最後 に第3
章 の 「ネ ッ トビジネス学科の展開」 においては、抑 日本企業 におけるI
T
活用 は企業経営 戦略論 との関連性が不十分であるが、「ネ ッ トビジネス」 とは「
I
T
を戦略的に活用 した ビジネス」 とし て捉えること、(ロ)従 って、ネ ッ トビジネス教育 は、チ ビキタス時代 -それは同時にグローバル化時代で もあるが一におけるI
T
の企業経営戦略的活用のための教育 として位置づ けること、再 そ こで教育 内容 としては、高度情報 リテラシーの修得 とともに、経営能力 とりわけ社会状況を読む能力および経営に関 する総合力の滴養を通 じての戦略的経営能力育成が不可欠であること-な どが指摘 されている。 さらに そこには、㈱ネ ッ トビジネス教育を、外国語教育 ・ネ ッ トビジネス教育 ・アカウンティ ング教育か らな る 「国際 ビジネス教育」群の一環 として位置づけること、03)ネ ッ トビジネス教育の内容 は、(a)コンテ ン ツを育成す る教育、(b)コンテ ンツを活かす教育 -の二つか らなること、(0ネ ッ ト教育の展開 としては、 -1-経営情報 システム論 の一環 と してのネ ッ トビジネス教育 が求 め られてい ること-な どが合意 されてい る ので あ る。 第II部 「国際 ビジネ ス教育 に対す るニーズー新潟県 の中国 ア ジア ビジネス教育 を中心 と して
-」
は、 上記 の 「国際 ビジネス教育」 に対す るニーズ問題 に関連 して、 と くに新潟県集積地域企業 なかんづ く中 越地域企業 の中国ア ジア ビジネス教育 に対す るニーズを事例 と して取 り上 げ研究 した もので ある。 その 場合、 中越金属加工業企業 を事例 と して取 り上 げたのは、金属加工業 が 中越地域 の代表的な産業 であ る ばか りで はな く日本 の地域製造業 の典型 で もある と考 えたか らであ る。 そ う した観点 に立 って、川 中越 地域企業 のボーダ レス化 とそれ に対す る経営課題 は何 か、(ロ)そ う した経営課題 の中で どの よ うな人材 が 求 め られてい るのか、 とい う点 を探 ってみた。 その結果 は以下 の通 りで あ る。 まず 中越地域企業 が依拠 す る新潟県集積地域 自体 が どの よ うな特性 を有 し如何 な る人材 を必要 と してい るのか とい う点 を明 らか に し、次 いでその中で中越地域企業 が どの よ うな人材 を求 めて いるのかを指摘 した。前者 の新潟県集積 地域 の特性 と人材 につ いて は、抑 中小企業 を主体 と してい る、(ロ)いわゆ る地域製造業拠点す なわ ち ``も のづ くり"拠点で ある、い ただ しその場合 の ``ものづ くり''拠点 は、製造業 の新製造業へ の変容 を背景 に して、 "新 ものづ くり"拠点へ の移行 が求 め られてい る、国従 って、 そ こで は熟練技能 ・技術 に依拠 した従来型 の熟練工 ・技術者 だ けで はな く、 ニ ーズの変化 や新 たなニーズの登場 を開発 ・製造過程 に も 反 映 しうるよ うな 「知 的人材」 が必要 とされて いる- とい うことであ る。 そ して後者 の中越地域企業 と くに中越金属加工業企業 において求 め られてい る人材 とは、(JI)グローバル経営戦 略 に携 わ り得 る人材、 (ロ)「市場獲得型 ビジネ スモデル」 の担 い手、再 「ローカル ・アーキテ クチ ャー ・イ ノベーター」 -な ど で あ る。 第Ⅲ部 「現代企業経営 にお ける国際 ビジネ ス と人材育成 一中国ア ジア ビジネスを中心 と して -」 は、 川現代企業経営 における人材育成 の意義、(ロ)中国 ア ジア ビジネスにおける人材育成 の課題 一につ いて考 察 した もので あ るが、 それ は本研究 のための論点整理 と しての役割 を帯 びてお り、 そ こで得 られた知見 は背景論 と して後 に本稿 において も紹介す るので省 略す ることにす る0 第Ⅳ部 「国際 ビジネ ス教育 にお ける人材育成 システムー中国ア ジア ビジネス教育 を中心 に して-」
も また補論 的な役割 を帯 びた もので あ る。一 つ は、 "ものづ くり"拠点 が何故 ``新 ものづ くり"拠点へ の 移行 を不可避 と してい るのかを、新製造業論 との関連 において説 いた ものであ る。 その含意 もまた後 に 説 明す るので省 略す る。 もう一 つ は、 「国際 ビジネ ス教育」
システム論 に関わ ってお り、 そ こで は、仰 それ は東 ア ジア地域統合論 と りわ けその中の東 ア ジア人材育成 システム論 の一環 をな して い る、(ロ)その 場合、東 ア ジア統合論 が東 ア ジア ビジネスネ ッ トワー ク論 に依拠 してい るとい うことに関連 して、人材 育成 システム もまた東 ア ジアにおいて はネ ッ トワー ク型 で あ ることが望 ま しい (注2
)、再 と くに新潟 県 の場合 には、 その地勢 的条件 を考慮 すれば東 ・北東 ア ジア人材育成 ネ ッ トワー ク論 と無縁 で はない、 F)そのためには、新潟県 における束 ・北東 ア ジア人材育成 コ ンソー シアムの形成 が急がれ る、(a)上記 の 人材育成 コ ンソー シアムは、 「ビジネス上 のニ ーズを満 たす教育手段すべ てを統 合 ・企画 ・開発 ・実施 す る戦 略的な中核機 関」 と しての 「企業 内大学」 との提携 が二 つの理 由-すなわ ち戦 略的な中核機 関 と しての性格 を帯 びて い る以上、 「企業 内大学」 は大学 との提携 によ る問題解決能力 の育成 ・訓練 つ ま りEduc
a
t
i
o
n
を必要 と して い る一方 で、他方 で は、大学 もまた地方企業 の大学 に対 す る知 的ニ ーズを知 る ためのモニ ター と しての 「企業 内大学」 との提携 を求 めて い る、 とい う二 つの理 由一によ って必要 とさ れてい る、(pt)そ う した中で、 「経営大学」 た る本学 に期 待 され るのは、経 営学 お よびその関連分野 にお ける専 門教育 は無論 の こと、 と くに中国 ア ジア ビジネス との関連 で重要 な ビジネ ス外 国語 を中心 と した国際 ビジネスコ ミュニケーション教育、知的所有権などの ビジネス法教育そ してネ ッ トビジネス教育 な どである-という諸点を提言 している。要す るに、われわれの 「国際 ビジネス学科」構想 とは、本学が その経営重源を活か して、東 ・北東アジアにおける人材育成ネ ッ トワークにおいてハ ブ機能の一端を担 おうとす るものに他な らないのだ。 では、 そ もそ も 「国際 ビジネス教育」 (「グローバル ビジネス教育
」
)
とは一体何か。次 にこの間題 を 本研究の背景論 として考察 しておかなければな らない。 この間題を考えるに当たって、われわれは予め 幾つかの論点を整理す る必 要があると考える。それは次の三点である。一つは現代 日本企業の経営戦略 におけるグローバル ビジネスなかんづ く中国アジア ビジネスの重要性 に関 してである。二つには、現代 日本企業 における人材育成の意義 についてである。最後 は、中小企業 ・地域企業 における人材育成の重 要性 に関 してである。 第一の論点に関 しては、 アジアとりわけ東 アジアにおける経済圏形成が 日本の企業経営にとって今や 戦略的な意味を帯び始めつつあるということをまず指摘 しておきたい。そのことは、・次の二つの根拠を 挙 げれば容易 に領 けよう。すなわち、川 日本経済 に主導 された相互依存関係深化および日系企業を基軸 とす る東アジア 「ビジネス経済圏」形成な どか らも明 らかなように、東 アジア経済圏にとって今なお 日 本の存在 は不可欠である、(ロ)だが同時にそのことは、 日本企業の ビジネスプロセスの中の主要 プロセス すなわち開発 i製造 ・販売な どのプロセスが ビジネス経済圏における産業内分業を通 じて今や東アジア 分業 に組み込 まれているとい うことを意味す る-という二つである.AS
EAN
を舞台 とす る束アジアに おける経済圏さらには共同体形成論議がアジアは云 うに及ばず 日本国内において も次第に活発化 してき ているということは、以上のこととも決 して無縁ではないであろう。か くして、今や 日本の経済 ・産業 ・ 企業 にとって も東アジア経済圏は死活的に重要な問題 とな ってきてお り、その意味で、 日本の今後の進 路 としては、東 アジア経済圏における 「共生」の途を選択す る以外 に最早ないと云 って も決 して過言で はないのである。同時にそのこと時、 日本企業 にとって も、 と くに中国アジア ビジネスが今や経営戦略 上避 けては通れな くな りつつあるということを意味 しているとも云えよう。 だがその場合、注意を要す るのは 日本 と中国 との関係 である。 日本 と中国 との経済関係 における緊密 さ、 さらには東アジアにおける両国経済が占める比重の大 きさなどを勘案すれば、 日中経済関係の 「あ り方」が とくに重要であることは論をまたないであろう。それは結局の ところ、両国経済の 「共生」関 係を如何 に して築 くのか という問題 に帰着す るが、企業経営の面では、 さらにそこに二つの問題の解明 が求め られることになる。一つは、 日本の製造業の新たな競争力源泉を何処に求めるべきかという問題 -それはいわゆる新製造業論 に関わる問題で もある-である。 いま丁つは、急速な経済発展を背景 として 国際競争力を強化 しつつある中国製品との競合問題-それはさらにそこに同国の軍事力増強諭などがオー バーラップすれば一挙 に "中国脅威論''にエスカ レー トしかねない問題で もある一に他な らない。要す るに中国 ビジネス論 は、企業の中国進 出諭や中国市場獲得論 として単 に企業 レベルでの議論 として しか も短期的な視点でのみ論 じられるべきではな く、 日中経済共生論 (注3)としてかつ中長期的な視点 に おいて もーすなわち東アジア地域統合問題を も視野 に入れて-論 じられ る必要があるということだ。 中 国アジア ビジネス諭が 日本企業の戦略課題であるという意味は以上の文脈 において理解 される必要があ るだろう。 ところで、上記の中国アジア共生論 は、 日本企業の人材育成論のあ り方 とも深 く関わっている。そ こ で、第二の論点である現代企業経営 における人材育成問題 に移 ることに しよう。現代企業経営 における-
3-戦略的課題 の一つは技能 ・技術 ・知識の集積であるが、その集積は人材 とくに知的人材の育成 ・確保如 何 にかか「っている、 ということは今や周知の事柄である。その意味で人材育成の重要性 は容易に理解 さ れ得 よう。 ところが、その背景 には日本の製造業が新製造業 に移行 しつつあるという製造業変容論が横 たわ っているとい うことは殆 ど理解 されてはいないようだ。実 はこの新製造業諭 こ亘が、知的人材論を 上記の共生論 に結びつける上で決定的に重要な役割を果た しているのである。だが この間題 に関 しては、 さらにこっの新たな論点の解明を要す る。一つは新たな付加価値源泉 としての新高付加価値化論 と知的 人材論 との関連性であ り、 いま一つは ビジネスプロセスの中での 「知識集約工程 プロセス」 における知 的人材の意味 にっいてである。 これ ら二つの論点 との関連性 においては じめて、知的人材論 と共生論 と が結びつ くのである。 まず前者 について。 「新製造業」 とは何か。 グローバル ビジネスの下では、 日本の製造業企業 は否応 な く、 グローバル製品 とりわけ中国アジア製品 との競合 に晒 されることになる。 その場合、 日本の製造 業企業 は、抑新たな競争力源泉を獲得す るためには、経済社会の成熟化を背景 として台頭 してきた社会 的 ・文化的 ・知的ニーズに対 して積極的に対応す ることを自らの新たな経営戦略課題 としなければな ら ない、(ロ)その場合その企業は、単 に価格 ・生産性 ・技術 という従来型の付加価値源泉 に依拠 した高付加 価値化論 に基づ くだ けではなく、非価格競争力や非商品性 といった新たな付加価値源泉 に依拠 した高付 加価値化論の導入を も余儀な くされることになる、再そのことは、旧高付加価値化論か ら新高付加価値 化論への転換 という観点か らは、従来の製造業か ら新たな製造業への変容を意味す ることになる-とい う点で 「新製造業」企業への転身を不可避 と しているのである (注 4)。では、新製造業企業 において 求め られている人材 とはどのような人材なのか。それは、ー抑単 に製造 プロセスに係わる人材だけではな く、開発 ・製造 ・販売な どの全 ビジネスプロセスに係わること-とくに市場動向の変化 とりわけニーズ の変化や新たなニーズの台頭を開発 ・製造 プロセスへ フィー ドバ ックさせ ること-ができるような高度 かつ戦略的な人材である、(ロ)そうした意味での人材 は、技能 ・技術 ・知識の集積体 としての人材すなわ ち知的人材であると同時に、「ボーダ レス ・ビジネスプロセス」 (注 5) との関連 において求め られてい る人材で もある-とい うことだ。要す るに、新製造業企業 において求め られる人材 とは、知的人材であ ると同時に、 グローバル ビジネスに携わ り得 る人材で もなければな らないということである。か くして、 知的人材論 は共生論 に繋がるのである。 次 に後者の 「知識集約工程 プロセス」 と知的人材 との関係 についてはどうか。 グローバル ビジネスの 下で展開されている産業内分業 とりわけ中国ア ジア産業内分業 は、l三つの工程間分業 によって担われて いる。その中で 日本企業の国内製造業基盤を支える上で最 も重要な役割を担 っているのは、知識集約工 程であ りそれに係わるビジネスプロセスすなわち 「知識集約工程 プ白セス」である。以上の関係を図示 すれば下図の通 りとなる。
製造業 にお ける ビジネスプ ロセス と知識集約工程 との関係
工
程
間
分
業
ビ
ジ
ネ
ス
プ
ロ
セ
ス
_
.労働集約工程 資本集約工程 - .知識集約工程 -事 業 企 画 .試企金研デ J \究ザ 開イ部 門発作画型ン 製 調作 部 達門 \海外 (海外 (進 出先) .国内進 出先) -海外 (海外 (進 出先) .国内進 出先) .国内 一部 国内国内 (国内国内 (国内 (国内 (本社)本社)本社)本社). 部 品 生 産 海外 (進 出先) 海外 (進 出先) .国内 国内 組 立 マ-ケテ ィング部 門販 売 海外 (海外 (進 出先)進 出先) .国内 海外 (海外 (進 出先) .国内進 出先) ..国内 一部国 内戦 略部 門 は国内 (本社) (*1) なお 「知識集約工程」 に関す るオ リジナル ・コ ンセ プ トは、堺 屋太一 氏 に拠 って い る (堺屋太一 「世界、工程大分業 の時代 に」 [日本経済新 聞2005年5月25日]参照)。(
*
2
)
ここで用 い られて い る ビジネ ス プ ロセ スの類型化 につ いて は、Y
a
s
u
h
i
k
oE
b
i
n
a「
Ap
r
o
p
o
s
a
lo
f
A
s
i
a
nG
r
e
e
nM
a
n
u
f
a
c
t
u
r
i
n
gN
e
t
w
o
r
k-F
o
rt
h
eF
o
r
m
a
t
i
o
no
fA
s
i
a
nE
n
v
i
r
o
n
m
e
n
t
a
l
&
E
c
o
n
o
m
i
c
Z
o
n
e-
」 (新潟経営大学紀要 [第9
号]
)C
h
a
r
t3
[p.
3
1
]
を参照 の こと。 まず、 ビジネスプ ロセス と知識集約工程 との関係 を整理 してお くと、(1)が業企両部 門なかんづ く研究 開発、 デザ イ ンさ らには高度 な試作 ・金型製作 な どは知識集約工程 に属 して い る、(ロ)製作部 門の中で も 高度 な部 品生産 や前 ・後工程 な どは高度 な技能 ・技術 の裏付 けを要す る とい う意 味でやは り知識班的工 程 に属 して いる、(A)上記(ィ)・(ロ)に関連 して、金型製造 に観 られ るよ うに、 ソ リッ ド・デー タ ・システム の高度化 によ る製造工 程 の 「統 合」
(I
nt
e
gr
a
t
i
o
n)
-す なわ ちCAD/CAB/CAM/CAT化 一に伴 い 前工程 で あ る企画 ・設計 な どの知識集約工程 の重要性 が ます ます捕 ま りつつ あ る、F)最後 にマーケテイ ング部 門 と りわ け販売戦略 ・物流戦略 とと もに金融業務 な どは知識集約工程 とみな され るべ きで あ る-とい うことにな る。 この ことは、 日本 の製造業企業が産業 内分業 において知識集約工程を担 うためには、 ビジネスプロセスの中で も企画 ・開発 ・試作 ・販売 ・物 流 ・金融 な どの知識集約工程 に係 わ る ビジネ ス プ ロセ スす なわ ち 「知識集約工程 プ ロセ ス」 に特化す る必要が あ る、 とい うことを示 唆 してい る。 つ ま り、 中国 ア ジア諸 国製 品なかんづ く中国製品 との現合 において、 日本企業が 「共生」 の途 を求 め よ うと す るので あれ ば、 中長期 的 には 「知識集約工程 プ ロセス」 に特化す る以外 にない とい うことであ る。云 うまで もな く、 こう したプ ロセスにおいて は暗黙知 ・形式知双方 に亘 って知 的人材が必要 とされ る。 そ して、 こう した知的人材が得 られ る限 り一換言すればそ うした人材が海外では容易 に狩 られない以上 -、 知識集約工程 プロセスは国内なかんづ く本社 に置 くことが可能 で あ りかつ そ うせ ざるをえない とい うこ とにな る。要す るに、一方 で中国ア ジア産業 内分業 を推進 しなが らも、他方 で国内の製造業基盤 を維持 し発展 させ るためには、知 的人材 の育成 ・確保 が不可欠 であ るとい うことだ。 か くして 「共生」 のため には、知 的人材 の育成 ・確保 が不可避 であ るとい うことにな る。 この こともまた、知 的人材論 と共生論 が表裏 の関係 にある とい うことを裏付 ける根拠以外 の何物 で もないであろ う。 しか も こ う した知 識 集 約 工 程 プ ロセ ス は、 ボ ー ダ レス な 「ビ ジネ ス プ ロセ ス ・ネ ッ トワー ク-5-(
Bus
i
ne
s
sPr
oc
e
s
sNe
t
wo
r
k;BPN)
」
(注6
) の中で もと くに高度 な 「ナ レッジ ・イ ンテ ンシブBP
N」 (注7)を形成 しているとい うことにわれわれは注 目しな くてはな らない。従 って、-ボーダ レスな 知識集約工程 プロセスに携わる知的労働は、情報通信ネ ッ トワーク上でさらにその知的創造力を増幅さ せ ることが求め られてお りまたその可能性を伏在 させている。その意味で も、 グローバル ビジネスに携 わる知的人材の育成 ・確保 は、I
T
化の下では、 なおさら重視 されなければな らないのである (注8)
0 最後 に、三つ 目の論点すなわち中小企業 ・集積地域企業 -とりわけ中小製造業企業 一においては、中 国アジア ビジネスにおける人材育成が とくに重要 とされているという問題 に一言触れておこう。 上記二 っの理 由か ら、 グロ-パル ビジネスなかんづ く中国アジア ビジネ女における人材 とりわけ知的人材育成 の意義は既 に明 らかであるが、大企業 と中小企業 とではその意味は自ずか ら異なっているということも また見落 とされてはな らない論点であろう。大企業の場合 には-とりわけ生産基地化 と市場獲得 という 二つの 目的の同時達成を狙 う大手 メーカーとしては-、知的人材を含めて人材の育成 ・確保を通 じて事 業のグローバルな展開のための準備 におさおさ怠 りはがないが、中小企業 とりわけ中小製造業企業の場 合 には、経営資源の面でそ うしたゆとりが乏 しいか或いは殆 どないに等 しいが故 に、そうした面での人 材確保の点で大企業 ・大手 メーカーに大 き く水 をあけられているのが実状である。 に もかかわ らず、親 企業の下請的な立場 に置かれている場合 には、′親企業の海外進 出に伴 い自らも進 出を余儀な くされるこ とが少な くない。その結果、人材 とくに経営戦略に係わる人材の不足が企業経営上の重大な陸路 とな り かねないのである。 しか もこうした中小企業なかんづ く下請的な製造業企業 は往 々に して産業集積地域 に依拠 している場合が多い。 さらに、今 日の海外企業進出がイ ンターネ ッ トを通 じてネ ッ トワーク化 し てお り、その点で、そ もそも ``デジタル ・デイバイ ド" に苦 しむ中小企業 ・集積地域企業 にとっては新 たなハ ンディキ ャップが発生 しているということも見落 とせないであろう。大企業 とくに大手 メーカー が、高度かつ豊富な人材を背景 に して、「ビジネス ・ネ ッ トワーク」
(注 9)を形成 し、それを通 じて企 業進 出を経営戦略 として有効 に活用 しているのに対 して、中小企棄 ・集積地域企業 は、人材不足 によ り この面で も大 き く立 ち後れているのである。 その意味で、 中小企業 ・集積地域 としては、集積地域の協力を も得て、「ローカル ・ビジネス ・ネ ッ トワーク」
を形成す る必要性 に迫 られているが、そのためには、 この面での人材確保 も求め られている のである。か くして、 グローバル ビジネスとくに中国アジア ビジネスにおける人材 とりわけ高度かつ戦 略的な人材 -すなわち知的人材 -の育成 ・確保 は、 中小企業 ・集積地域企業および集積地域 にとっては 今や死活的な問題であ りかつ急務である、 ということは容易に理解 されるであろう。 要す るに、国際 ビジネス教育つま りグローバル ビジネス教育 とは企業のグローバル ビジネスに携わる 人材 の育成 に他な らないのであるが、その場合 「グローバル ビジネス」 に関 しては、次の諸点 に留意 し てお く必要があるという訳だ。すなわち、川現代企業経営 において、 グローバル ビジネスなかんづ く中 国アジア ビジネスは戦略的重要性を増 しつつある、(ロ)しか もそれは、東 アジア統合時代 においては、単 に企業経営上の課題 としてだけではな く、 アジアにおける 「共生」 という観点か らも捉え られるべきで ある、再他方、現代企業経営の もう一つの戦略課題である人材育成 とりわけ知的人材育成 は、 日本の製 造業の新製造業への移行を背景 とす る新付加価値源泉論および知識集約工程 プロセス論 という二つの根 拠 に因 り、「共生」 との関係をますます深めている、国従 って、 グローバル ビジネスにおいて求め られ ている人材 とは、「共生」 を可能 にす る知的人材である、囲最後 にこうした人材の育成 ・確保 は中小企 業 ・地域企業 において こそ重要かつ急務 とされている-という諸点だ。か くして、「国際 ビジネス教育」/\ヽ とは、以上 の ような意味でのグローバル ビジネスに携わ ることがで きる人材すなわち 「グローバル ・ク リエイティブ ・パ ワー
(
Gl
o
ba
lCr
e
a
t
i
v
ePo
we
r
)
」
を育成す るための教育 に他 な らない、 と定義す る ことがで きよう。 では、「国際 ビジネス教育」 のための本学 の課題 は何か。 この点 こそが、平成17年度学 内共 同研究 に おいてわれわれ に課せ られた研究 目的 に他 な らなか った。 そ こでわれわれは、 こうした 目的 に添 って、 上記 の研究 を行 った とい う次第であ る。 本報告書 の構成 および執筆者 は以下 の通 りである。 第 Ⅰ部 国際 ビジネス教育 と本学経営資源 の有効活用 第1
章 国際 ビジネス学科へのアプローチ方法 第2
章 ビジネス外国語教育 第3章 ネ ッ トビジネス学科 の展開 ツエリチェフ・イワン 新潟経営大学教授 欧 孝明 新潟経営大学助教授 石井 泰串 新潟経営大学助教授 第 Ⅱ部 国際 ビジネス教育 に対す るニーズ-新潟県の中国ア ジア ビジネス教育 を中心 に して 一 地名 保彦 新潟経営大学教授 第 Ⅲ部 現代企業経営 における国際 ビジネスと人材市成 一中国ア ジア ビジネスを中心 に して -地名 保彦
師 掲経営大学教授 第Ⅳ部 国際 ビジネス教育 における人材育成 システムー中国ア ジア ビジネス教育 を中心 に して -第1章 "ものづ くり拠点" と人材育成 システム 第2
章 新潟県央 の経営系大学 に求 め られ る人材の育成 執筆者 の方 々には、 この場 を借 りて謝意 を表す る次第である。 平成18年3月
1日 柁名 作彦 新潟経営大学教授 片上 洋 新潟経営大学教授 新潟経営大学 平成17年度学 内共 同研究 (B班 「中国 ・ア ジア ビジ ネス教育 と新潟収集Gllf地域企業 一新潟経営大学 にお ける経営賢折の有効活用 につ いて-」) 研究代表者 姥名 保彦 (注1) われわれが これ ら三 つの問題領域 を選択 したのは、現代大学教育 における ミスマ ッチ論 とも関 わ っている。すなわち、現在 の大学 において学生ニーズ と教育 内容 との ミスマ ッチが最 も大 き いのはこれ ら三領域 に他 な らないのである。例えば、21世紀大学経営協会が行 った 『卒業生か らみた大学 《教育力》調査』 (2005年10月) によれば、社会へ 出た卒業生が大学 の習得 で 『役 立 った能力や知識』 (A) と 『もっと学んでおけばよか った と思 う能力 や知識』 (B) との帝離 幅(
B-A)
が最 も大 きいのは、「語学な ど国際化への対応能力」 (帝離率 ;-3
7
.
2
%)
であ り、 次 いで「
『資格 の取得』 による専 門知識 と活用能力」 (同 ;-25.4%) がその後 を追 ってお り、-7-そ して
「
I
T
時代 に対応 した情報 スキル」
(同 ;一一2
0
.
7
%)
と 「実務 に即戦力 として使え る専門 知識や技術」(同 ;-1
9
.
1
%)
がさらにその後を追 っている (日本経済新聞2
0
0
6
年1
2
月1
9
日参照)0 要す るに三領域 は、単 にグローバル ビジネス教育の充実 という観点か らだけではな く、そ もそ も現代大学教育 における 「価値」向上 とい う視点か らも重視 されるべき分野なのである。 (注2
) アジアにおける経済圏は、「自然経済圏」 をその特質 としているが、それは二つの要素か ら成 り立 っている。一つは、 それが企業 の海外進 出とりわけ日系企業 による生産 ・流通 ・物流を中 心 とす るビジネスネ ッ トワークに依拠 しているということだ。そ して、 こうした ビジネスネ ッ トワークの重層化の結果 として 「ビジネス経済圏」が形成 されているのである。二つ には、そ れは地域経済圏の融合 ・統合 による経済圏であるということである。 しか しなが らその中で も、 前者 の ビジネスネ ッ トワークに関 しては、 さらに敦宿 してお く必要がある。今 日では、情報通 信技術 (IT) および交通運輸手段 の発展のお陰で、 ネ ッ トワー クが さらに多元化 し高度化 し てきているか らだ。すなわち、 ビジネスネ ッ トワークは、単 に生産 ・流通 ・物流ネ ッ トワーク としてだけではな く、金融 ・為替ネ ットワーク、国際物流ネ ットワーク、集積地域間ネ ットワー クさらには都市間ネ ッ トワーク等様 々なネ ッ トワークとして展開されてお り、その結果、それ は多岐におよびかつ轟榛化 してきている。 こうしたネ ッ トワ-クの高度化 に対応 して、人材育 成論 もまたその中に包含 され始めているのである。-例えば経済産業省が東 アジアにおける人材 開発ネ ッ トワーク-なかんず く高度人材開発ネ ッ トワ-クーの構築を提案 しているの も (経済 産業省 『通商 白書』(
2
0
0
5
)p.
3
1
1
-3
1
4
参照)、 そ うした文脈 に拠 っていると考え られ る。 ま たわれわれは、
.
「東 ア ジア共 同体」構築 に向けての人材育成 システムのための具体的な課題が 提案 され始めていることにも注 目しておかなければな らないであろう。例えば天児慧教授 は、E
Uにおける域内人材共 同教育計画である 「エラスムス計画」を参考 に して、東アジアにおい て もエネルギ-、環境、地域再生、平和構築、文化 ・情報交流な どの専門的なカ リキュラムを 域内学生が共同で学べる教育 システムの形成を提案 されてい.る (朝 日新聞2
0
0
6
年2
月1
5
日参照)0 (なお、 ビジネスネ ッ トワー ク論 の詳細 につ いては、拙著 『日中韓 「自由貿易協定」構想』[
2
0
0
4
年5
月、明石書店刊]p.
2
0
4
-2
1
5
を参照のこと。) (注 3) 日中経済共生論 に関 しては、拙著 『日中韓 「自由貿易協定」構想 一北東アジア共生経済圏をめ ざ して-
』 (明石書店刊、2
0
0
4
年5
月)p.
9
8
-1
3
7
、拙稿 「[補論 Ⅲ] 日中産業構造調整問題」 (ボーダ レス経営研究会編 『中越企業 の中国 ・アジア市場開拓研究 一地域国際ブラン ド戦略の 課題-』
[
2
0
0
5
年1
月])p.
8
9
-1
0
6
および拙稿 「第 Ⅰ部 (序論) 中国 ・アジア ビジネスにおけ る人材育成上の課題 一中国 ・アジア留学生教育の意義-
」(新潟経営大学学内共 同研究 (平成16
年) 『中国 ・アジア ビジネスと人材育成 一留学生教育 に対す る新たな視点 -』[
2
0
0
5
年3
月]
)
p.7
-3
5
な どを参照のこと。 (注4)
日本の 自動車 メーカーが旧 ビッグス リーを凌駕 して今や世界の トップメーカーに躍 り出ようと しているということは周知の通 りである。 自動車 メーカーに代表 されるこうした 日本の製造業 企業躍進の背景 には、-イブ リッ ドカーの成功 にみ られるように、彼 らが環境問題な ど社会的 ニーズの台頭 に対 して果敢 に挑戦す るとい う経営戦略を採用 し、 しか もそれに一定の成功 を収 -1めたという事実が横たわ っている。 われわれが このことの意味を考え る場合、本稿の文脈 との 関連性 において重要なのは、 日本の製造業企業なかんづ く ``勝 ち組''が今や 「新製造業」企業 への変容を遂 げることに成功を収めた企業ない しは収めつつある企業である、 ということだ。「\\
(注 5)企業の海外進 出に伴 い、付加価値曲線がボーダ レス化 し、 その結果、 ビジネスプロセス もまた ボーダ レス化す る。
(
Ya
s
uhi
koEbi
na「
TheNo
r
t
hEa
s
tAs
i
a
nBus
i
ne
s
sEc
o
no
mi
cZo
ne
a
ndade
s
i
gn o
fJKC (
Ja
pa
n・Ko
r
e
a・Chi
na)-
FTA」
[新潟経営大学紀要 (第1
1
号)
]
p.
7
3-.
7
4
を参照の こと。)従 って、 ここで必要 とされ る高度かつ戦略的な人材 とは、「ボーダ レ ス ・ビジネスプロセス」 に携わ ることができる人材の ことを指 している。(注
6)
「ビジネス ・プロセス ・ネ ッ トワーク」 (
BPN)
については、Yas
uhi
koEbi
na 「
Apr
o
po
s
a
lofAs
i
a
nGr
e
e
nManuf
a
c
t
ur
i
ngNe
t
wo
r
k-Fo
rt
hef
o
r
ma
t
i
o
no
fAs
i
a
nEnv
i
r
o
nme
nt
a
l
&Ec
o
no
mi
cZo
ne-
」 (新潟経営大学紀要 [第9
号]
)
p.
2
9
-3
2
を参照の こと。(注
7)
「ナ レッジ ・イ ンテ ンシブBPN」
に関 しては、 同上p.
3
3
を参照の こと。(注8) その意味では、
HRM (
Huma
nRe
s
o
ur
c
eMa
nage
me
nt
)
諭 も今やHCM (
Hur
ha
ncr
e
at
i
v
i
t
y
Ma
na
ge
me
nt
)
論 に席を譲 るべき時期を迎えてい るのか もしれない。(注