脊椎外来の診療について
当院では、頚部痛・肩こり・手のしびれ、腰痛や下肢痛・しびれなどでお困 りの方、それらの症状を他院で治療しているが良くならない方など、紹介状を お持ちでなくても診察させて頂きます。 ただし、初診の患者様は御予約が出来ないため、診察までお待ちしていただく 可能性がある事はご了承ください。 御希望の方は、毎週火・木曜日の午前中に受診をお願いいたします。 脊椎初診外来:中島医師(火曜日)、大川医師(木曜日) 脊椎予約外来:大川医師(木曜日、金曜日) 脊椎由来の神経痛やしびれに対して、内服治療やブロック治療などの保存療法 を十分に行っても症状が改善しない方に、手術治療を検討しております。 【取り扱い疾患】 頚椎椎間板ヘルニア/ 頚椎症性脊髄症/ 変形性頚椎症/ 後縦靭帯骨化症・黄色 靭帯骨化症 胸髄症、胸椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニア/ 腰部脊柱管狭窄症/ 腰椎分離症・すべり症/ 変形性腰椎症 骨粗鬆症性椎体骨折 成人脊柱変形(変性後側弯症など) 特発性側弯症 脊椎外傷 転移性脊椎腫瘍 感染性脊椎炎(化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎) 【代表的疾患】 頚椎椎間板ヘルニア 病態:椎間板の髄核が脊柱管内に突出もしくは脱出し、神経を刺激する事で痛 みやしびれなどの症状が出現します。 症状:首が動かせなくなるような痛みの症状が多いですが、他にも肩・肩甲 骨・上腕への痛み・痺れ・脱力感が生じます。 症状がひどくなると、歩行障害や膀胱直腸障害(頻尿、排尿遅延、尿勢低下、 排便困難など)が出現します。治療:神経根症状であれば数週〜数ヶ月の保存加療で多くは対応可能ですが、 疼痛が強く麻痺などの合併がある場合や保存加療に特に抵抗性のあるものに関 しては手術を行います。特に、巧緻運動障害(箸、書字、ボタン掛けが困難)、 歩行障害がある場合は手術を考慮します。 頚椎症性脊髄症 病態:脊髄が圧迫され脊髄症症候の発現した状態を頚椎症性脊髄症といいます。 原因は様々で、骨棘、膨隆した椎間板、肥厚した黄色靭帯などにより神経が圧 迫される場合や、もともと椎弓根が短く、脊柱管容積や椎間孔が小さい事によ り症状が出現する場合があります。 症状:頚部運動制限、後頚部痛、肩こりなどの局所症状を経て、巧緻運動障害 (箸、書字、ボタン掛けが困難)、歩行障害、膀胱直腸障害(頻尿、排尿遅延、 尿勢低下、排便困難など)が出現します。症状は緩徐に進行する事が多いです。 治療:軽症例にはまず保存療法を試みます。装具療法は軽症例に対して短期的 には有効です。一般的に巧緻運動障害や歩行障害が出現すれば手術適応となり ます。 頚椎後縦靭帯骨化症 病態:脊柱管内に生じる靭帯骨化症のため、脊髄症を発症してくる疾患です。 東南アジアに多く(欧米の 10 倍)、厚生省が特定疾患に指定しております。 申請を行う事により医療費の減免が可能です。 症状:頚髄症の症状と同様です。頚部運動制限、後頚部痛、肩こりなどの局所 症状を経て、巧緻運動障害(箸、書字、ボタン掛けが困難)、歩行障害、膀胱 直腸障害(頻尿、排尿遅延、尿勢低下、排便困難など)が出現します。外傷を 契機に急性増悪することもあり注意を要します。 治療:症状がごく軽度な場合、しびれや疼痛に対して薬物療法を行います。脊 髄症を発症した場合、保存療法が有効との報告はなく手術療法となります。手 術療法は、骨化の大きさや形態、頚椎のアライメント(頚椎の並び)により、 術式を選択いたします。 腰椎分離症・すべり症 病態:腰椎分離症:成長期のスポーツ選手にみられる腰痛の原因として腰椎分離 症があります。発生原因は、疲労骨折であると考えられています。不十分は治療 を行うと慢性腰痛や分離すべり症へと移行する可能性があります。 腰椎すべり症:椎体の並びがずれてしまう病気です。分離症から移行するもの や椎間板の変性によってすべり症になるものまでいくつか原因はあります。
症状:腰痛が主訴になることが多いです。進行すると下肢痛が出現します。 治療:分離症:まずは安静です。コルセット着用にてスポーツは休んでいただき ます。早期発見が早期スポーツ復帰へ繋がりますので、早期に受診をしてくださ い。十分な保存加療をおこなっても治療に抵抗して腰痛が残る場合は、手術を考 慮いたします。 腰椎椎間板ヘルニア 病態:変性により破綻した椎間板の髄核が脊柱管内に突出もしくは脱出し、神 経を刺激する事で腰の痛みや下肢の痛み・しびれなどの症状が出現します。 症状:突出したヘルニア塊により神経根や馬尾神経が圧迫されることで、下肢 痛・しびれ、腰痛などを呈する。 治療:腰椎椎間板ヘルニアの 8 割程度の症例では自然経過もしくは保存療法 で症状改善いたします。当院では、内服加療の他に、外来で出来る仙骨硬膜外 ブロックや1泊 2 日で行う神経根ブロックを積極的に行っております。 保存加療に抵抗して強い痛みが持続する場合や再発を繰り返し日常生活・就労 に支障をきたす症例には手術の適応となります。また、高度な下肢麻痺や膀胱 直腸障害を呈する場合には緊急手術の適応になります。 当院では、内視鏡下椎間板摘出術を行っております。内視鏡下手術は、患者さ んの身体への負担が少ない低侵襲の脊椎手術です。従来法と比較し、身体への ダメージが少ないため、入院期間も短く、早期社会復帰可能となります。 腰部脊柱管狭窄症 病態:近年、増加傾向にあります。脊柱管を取り囲む椎体や椎弓の変性や靭帯 の肥厚、椎間板の変性による膨隆・突出により脊柱管が狭くなったために、馬 尾神経や神経根を圧迫し腰痛や下肢のしびれ・痛みなどが引き起こされます。 症状:殿部から下肢の痛みやしびれがあり、立位や歩行の持続によって出現あ るいは増悪し、前屈や座位保持で軽快する事が多いです。(間欠性跛行) 足先が持ち上がらない、階段でつまずく、スリッパが脱げやすいなど足に力が 入りにくかったりする事もあります。症状がひどくなると、膀胱直腸障害や下 肢麻痺などを呈してきます。 治療:第一選択では内服加療、リハビリなどの保存療法が推奨されています。 保存加療抵抗性のものについては手術療法を考慮いたします。また、高度な下 肢麻痺や膀胱直腸障害が出現した場合は緊急手術の適応になります。
当院では、手術希望もしくは CT、MRI 施行しさらに病態精査が必要と判断し た場合、術前精査の目的で 1 泊 2 日の脊髄造形検査を行っております。 脊椎骨折(圧迫骨折) 病態:圧迫骨折とは、外傷椎体の衰弱が引き起こす骨折です。加齢による骨粗 鬆症などで骨密度が減少し、骨同士がぶつかり合うことで椎体が潰れてします ことが原因です。主に尻もちをつくことによって受傷することが多いですが、 中には身に覚えのない内に引き起こすこともあります。いわゆる『いつの間に か骨折』です。 症状:腰痛による体動困難が主な症状ですが、椎体の折れ方によっては神経を 刺激したりする可能性があります。ひどい場合だと、下肢麻痺や膀胱直腸障害 などの症状が出ることもあります。 治療:保存療法が第一選択です。コルセット作成をして早期に離床をしていき ます。次の骨折を防ぐために当院では積極的に骨粗鬆症の治療も行っておりま す。また、十分な保存加療を行った後に痛みが残る場合に手術を勧めておりま す。 脊柱変形(変性側弯症、後弯症) 病態:加齢により腰椎や椎間板が劣化することにより、徐々に弾力性が失われ ていきます。椎体の縁が変形してきて、椎体間の隙間が狭くなることで脊柱に 不安定性がでてきて徐々に脊椎がゆがんでいきます。 症状:腰痛や姿勢が歪むことによる歩行の不安定性が出てきます。さらに腰が曲 がっていくと逆流性食道炎(胸焼や呑酸など)や食欲不振などの症状も出てきま す。 治療:腰痛・下肢痛に対しては、内服加療や各種ブロック注射などを行います。 背骨が曲がって日常生活が困難である方には、手術療法をお勧めしております。 特発性側弯症 側弯症は前から見て脊椎が 10 度以上曲がる状態です。原因はいろいろとあり ますが、多くはその原因が明らかでない特発性側弯症といわれるものです。 その他、神経や筋肉の病気、外傷、腫瘍などが原因となることもあります。ま た、側弯症の多くは、成長期の子供に発症しますが、自覚症状が乏しいため、 初めは本人も周りの人達も気づかないことが多く見受けられます。 治療:骨年齢と曲がる角度により治療方針が変わります。軽症の場合は定期的 な経過観察、中等度になるとコルセット装具療法、重症例では慈恵医大本院脊 椎脊髄センターと連携して脊椎矯正固定手術を行っております。
当院では、毎月第2土曜日午前中に側弯外来をしております。側弯外来受診 の際は、電話でご予約をお取りになり受診をお願いいたします。 ※学会等で休診や日程変更になる場合もございますので、お手数ですが事前 にお電話でご確認ください。 【当院で行う代表的な脊椎手術】 当院では、椎弓形成術、椎弓切除術、髄核摘出術、後方固定術などを行ってお ります。また、MISt(Minimally Invasive spine Stabilization/最小侵襲脊椎 安定術)も取り入れております。MISt とは、脊椎不安定性や脊椎変形によるイン バランスの病態に対して、より低侵襲に固定術や制動術を達成することで脊椎の 安定化を図るという新たな概念のもとに生まれた手技の総称です。対応できる疾 患も腰椎変性すべり症、腰椎分離症、変性後側弯症、転移性脊椎腫瘍、感染性脊 椎炎、脊椎骨折、透析性脊椎症など、多岐にわたります。本術式の利点は出血量 や手術侵襲を低減でることであり、後早期の離床や術後疼痛も軽度となります。 椎弓形成術 頚椎性脊髄症に対する代表的な術式です。椎弓に切れ込みを入れて開き、間に 金属製のプレートを挿入して脊柱管を広げ、脊髄の圧迫を取り除きます。椎弓を 開く方法として、椎弓の正中で開く縦割式と、椎弓の片側に切れ込みを入れてド アのように開く片開き法があります。当院では、片開き法を行っております。 椎弓切除術(神経除圧術) 腰部脊柱管狭窄症に対する代表的な術式です。腰部の皮膚を約 5cm ほど縦に切 開して神経圧迫の原因となっている、椎間関節内側や黄色靭帯、椎弓の一部を切 除します。切除範囲によって、椎弓切除術、内側椎間関節切除術、開窓術などと 呼ばれる事もあります。 当院は東京慈恵会医科大学附属病院本院 脊椎・脊髄センターと密な連携をとっ ております。当院で対応困難な症例は、紹介させて頂きます。
最小侵襲腰椎後方椎体間固定術(MIS-TLIF) 不安定性のある腰部脊柱管狭窄症に適応されます。対側の筋肉を温存しなが ら、片側より直接神経の圧迫を解除し、変性した椎間板を取り除いて自家骨と ケージを挿入します。その後、経皮的椎弓根スクリュー(PPS)とロッドを経皮 的に挿入し、インプラントを体内で組み立てます。大きく展開する従来法より、 身体へのダメージや手術時間、出血量が少なくて済むのが特徴で、早期リハビ リテーションや入院期間の短縮が可能となります。
BKP(Balloon Kyphoplasty:経皮的椎体形成術) 圧迫骨折は保存的に治療することが多いですが、痛みが続く場合などに適応 されます。約 5mm の傷 2 つから細い針を骨折した椎体に挿入し、風船を膨ら ませた後、セメントを注入して骨折部の安定化を図ります。ほぼ出血の無い低 侵襲な手術であり、さらに即時的に効果が得られることが特徴です。本術式は 専門のトレーニングを受けた医師が行う手術など、一定の基準を満たす医療機 関で受けることができます。また、骨粗鬆症に伴う椎体骨折以外に、転移性脊 椎腫瘍による椎体骨折も適応となります。 最小侵襲後方多椎間固定術(MIS-long fixation) 経皮的椎弓根スクリューを使用した MIS-long fixation の利点は、最小限 の展開で胸椎から骨盤に至る広範囲に、インプラントを設置できることです。 従って、転移性脊椎腫瘍や感染性脊椎炎(化膿性脊椎炎/結核性脊椎炎)、骨 脆弱性を伴わない椎体破裂骨折などが良い適応となります。更には、経皮的椎 弓 根 ス ク リ ュ ー シ ス テ ム と PLIF/TILF や Lateral Access Surgery (XLIF®/OLIF®、 lateral corpectomy)などの椎体間固定と組み合わせることに より、変性すべり症や中等度の変性側弯症および後弯症にも応用が可能となり ます。
担当医師 大川杏里 (オオカワ アンリ) 日本整形外科学会整形外科専門医 厚労省臨床研修指導医 関東整形災害外科学会、日本脊椎脊髄病学会、日本側弯症学会、日本成人脊柱変形 学会 中島由晴 (ナカジマ ヨシハル) 日本整形外科学会専門医 日本脊椎脊髄病学会、日本低侵襲脊椎外科学会、日本最小侵襲整形外科学会、日本 MISt 研究会、日本 PED 研究会