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Microsoft Word - 宅建合格インプリンティング2016 pdf

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目次

第1章 権利関係 1-1 契約の成立・・・・・・2 1-2 意思表示・・・・・・・3 1-3 制限行為能力者・・・・5 1-4 代理・・・・・・・・・7 1-5 弁済・相殺・・・・・・10 1-6 時効・・・・・・・・・12 1-7 請負・・・・・・・・・14 1-8 委任・・・・・・・・・16 1-9 地役権・・・・・・・・17 1-10 債務不履行・・・・・・18 1-11 契約の解除・・・・・・20 1-12 手付・・・・・・・・・22 1-13 保証債務・・・・・・・23 1-14 連帯保証債務・・・・・25 1-15 連帯債務・・・・・・・26 1-16 売主の担保責任・・・・27 1-17 抵当権・・・・・・・・30 1-18 共有・・・・・・・・・34 1-19 その他の物権・・・・・36 1-20 不法行為・・・・・・・37 1-21 賃貸借・・・・・・・・39 1-22 借地借家法・・・・・・41 1-23 不動産登記法・・・・・47 1-24 区分所有法・・・・・・51 1-25 相続・・・・・・・・・57 第2章 宅建業法 2-1 宅地建物取引業の定義・・・・60 2-2 免許の申請と免許の基準・・・・・・・62 2-3 免許証の効力・・・・・・・・64 2-4 事務所・事務所以外の場所の規制・・・66 2-5 宅地建物取引士・・・・・・・68 2-6 営業保証金・・・・・・・・・・・・・72 2-7 弁済業務保証金・・・・・・・75 2-8 媒介契約・代理契約に関する規制・・・77 2-9 広告の規制・・・・・・・・・79 2-10 重要事項の説明(35 条書面) ・・・・・81 2-11 契約内容記載書面の交付・・・83 2-12 クーリング・オフ・・・・・・・・・・85 2-13 業務上の規制・その他・・・・87 2-14 報酬に関する規制・・・・・・・・・・90 2-15 監督処分・・・・・・・・・・91 2-16 住宅瑕疵担保履行法・・・・・・・・・94 第3章 法令上の制限 3-1 国土利用計画法・・・・・・・ 96 3-2 都市計画法の仕組み・・・ 99 3-3 開発許可制・・・・・・・・・102 3-4 用途制限・・・・・・・・105 3-5 道路に関する制限・・・・・・108 3-6 建ぺい率・容積率・・・・109 3-7 高さに関する制限・・・・・・110 3-8 防火・準防火地域・・・・111 3-9 建築確認・・・・・・・・・・112 3-10 農地法・・・・・・・・・114 3-11 土地区画整理法・・・・・・・116 3-12 宅地造成等規制法・・・・118 3-13 単体規定その他の法令制限・・119 第4章 税・その他 4-1 地価公示法・・・・・・121 4-2 住宅金融支援機構法・・・122 4-3 不当景表法・・・・・・124 4-4 固定資産税・・・・・・・126 4-5 不動産取得税・・・・・127 4-6 所得税・・・・・・・・・128 4-7 印紙税・・・・・・・・130 4-8 登録免許税・・・・・・・131 4-9 不動産鑑定評価基準・・132 4-10 土地・・・・・・・・・・134 4-11 建物・・・・・・・・・135 文頭が数字のものは CD 収録文章です。[ ]内の太字が無音部分となります。

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第一章 権利関係

(14 問:目標 8 点) 単純暗記だけでなく理解も必要で、元々難易度が高めだった権利関係ですが、更に近年の宅建試験 では難化が激しくなっています。その対策として補足を増やしましたので、権利関係ではインプリ の売りであるシンプルさが薄れています。難問に対抗するためある程度は仕方ありませんので、ま ずは( )等の補足は無視して重要本文を覚えていってください。基礎ができましたら補足の細か い知識を肉付けしていってください。ここでは出題数の半分、7~8点を目指しましょう! 1-1 契約の成立(★★☆☆☆)← 出題確率と覚える大変さのバランスを考慮した重要度です 出題確率が低くても簡単なものは★が多め(逆もあり) 契約とは、「申込み」と「承諾」という「意思表示」が合致することによって成立します。試 験で直接問われることは少ないので、基本の基本として覚えておいてください。 Point 契約の種類 ・契約各当事者がお互いに債務を負担するか 双務契約:売買、賃貸借、請負、有償委任など 片務契約:贈与、無償委任など ・契約各当事者がお互いに対価を要するか 有償契約:売買、賃貸借、請負、有償委任など 無償契約:贈与、無償委任など ・当事者の意思表示のみで成立するか、物の引渡しも要するか 諾成契約:売買、賃貸借、請負、交換、委任、贈与など 要物契約:消費貸借、使用貸借、質権、寄託、代物弁済など 1.売買契約は、売主と買主の契約をしようという[意思表示]が一致すれば成立する!(書面不要) 2.[公序良俗]に反する内容の契約は、無効である! 3.[意思能力]がない状態でした契約は、無効である! 4.承諾の通知を申込み者に[発した]ときに、契約は成立する! 5.承諾期間を定めた申込みは、[その期間内]は申込みを取り消すことができない! 6.定められた承諾期間を過ぎた後の承諾は、[新たな申込み]とみなされる! 7.当事者の[合意]がある場合は、承諾の通知を発しなくても契約は成立する! 8.契約締結費用は、当事者が[平分]して負担する! 「公序良俗に反する」=反社会性を帯びた行為(賭博、人を殺す契約など) 「意思能力」=行為の結果を弁識できるだけの精神能力(7~10 才程度の能力) ☆難問対策:契約交渉中であり、契約締結に至っていない準備段階であっても、当事者の一方が契約交 渉を打ち切った場合、具体的な事情によっては損害賠償責任を負うことがあります。胎児や成立前の法 人のように、その時点では実在しない者のために契約を締結させることも認められています。

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1-2 意思表示(★★★★★) ものすごく重要です。複数の人物が登場する問題が多いので、混乱しないように図を書いて考 えましょう。「取消し」は主張して初めて契約がなかったことになり、「無効」は何も言わなく ても当然に契約がなかったことになります。詐欺・強迫、錯誤、心裡留保、通謀虚偽表示のど れかから(または複合問題で)10 年で7~8問のペースで出題されています。 Point 善意の第三者に対抗することができるか? ・詐欺による取消→× ・強迫による取消→○ ・虚偽表示による無効→× ・錯誤による無効(要 素の錯誤+重過失なし)→○ ・(相手方が悪意または有過失で)心裡留保による無効→× 1.詐欺による取消しは、取消前に利害関係をもった[善意]の第三者に対抗することができない! 2.強迫による取消しは、[取消前]に利害関係をもった善意の第三者に対抗することができる! 3.第三者が詐欺をした場合、本人は、相手方が[悪意]の場合のみ取り消すことができる! 4.第三者が強迫をした場合、本人は、相手方の[善意悪意]に関わらず取り消すことができる! 5.錯誤による無効は、[善意]の第三者にも対抗することができる!(=通説) (第三者を保護するべきという有力説もあります→96 条 3 項 詐欺の取り消しを類推適用?) 6.要素の錯誤は無効だが、表意者に[重過失]があるときは、無効を主張することができない! 7.錯誤無効を主張することができるのは、原則として[表意者]のみである! (例外:表意者に対する債権をを保全する必要があり、表意者が錯誤を認めているとき) 8.動機の錯誤は原則的に無効とはならず、その動機が相手方に[表示]された場合(明示的、黙示 的を問わず)に意思表示の錯誤が成立することがある! 例)新幹線が通ると言われたからこんな田舎の土地を買ったのに・・←これを売主に言ったか? 9.心裡留保による意思表示は、相手方が[善意無過失]のときは有効となる! (=冗談が通じず、信じてしまった) 10.心裡留保による意思表示は、相手方の善意悪意に関わらず[有過失]のときは無効となる! (=冗談だと分かっていた、または誰がどう見ても冗談だと分かる話を信じた) 11.心裡留保が無効となった場合、[善意]の第三者に無効を主張することはできない! 12.通謀虚偽表示による契約は[無効]であるが、その無効を善意の第三者に対抗することはできな い!(第三者に該当する者 → 次ページ難問対策) 13.通謀虚偽表示による無効は、[契約当事者]以外の者も主張することができる! (過失があっても主張可) 14.契約を取り消した場合、その効果は、[契約締結時]に遡り失効する。

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A所有の土地がA→B→Cと転売され、登記も完了している場合 ・ AはBにだまされて土地を売ったとしても、Aの取り消しは善意のCには対抗できない! ・ AはBに強迫されて土地を売った場合、Aの取り消しはCが善意でも対抗できる! ・ AがCにだまされてBに土地を売却した場合、Bが悪意のとき、Aはその契約を取り消せる! ・ Aがその土地を売却した時に未成年者だった場合、Cが善意でも、法定代理人の同意を得てい なかったことを理由にその売買契約を取り消すことができる! ・ Bが代金を支払わないのでAが契約を解除しても、登記済みのCには対抗できない! ・ AB間の売買契約が公序良俗違反で無効であるときは、Cは善意悪意にかかわらずAに対抗で きない! ・ Cの善意悪意にかかわらず、Cは登記を備えておけば、AB間で契約が解除されてもCはAに 対抗できる! ・ AB間の売買契約が既に解除されていたとしても、Cは善意悪意にかかわらず、登記を備えれ ばAに対抗できる! ・ Aが本心ではなくBに売却の意思表示をしたとき、BがAの真意を知っていたときは、Aはそ の意思表示の無効を主張できる! ・ AがBにした売却の意思表示につき、法律行為の要素に錯誤があった場合、Aに重大な過失が あったとき以外は、Aはその意思表示の無効を主張できる! AとBが通謀してA所有地の登記をBに移し(通謀虚偽表示)、その土地をBがCに譲渡した場合 ・ 虚偽表示は無効なので、Bが登記を受けていても、Aは売買契約の無効を主張できる! ・ 登記を受けていなくても、Cは善意でさえあればAに対して所有権を主張できる! ・ Bは無権利者なので、登記がなくてもCはBに対して所有権を主張できる! ・ AがDにも当該土地を譲渡した場合、CとDでは先に登記を備えた方が所有権を取得する! ・ Cが更にEに土地を譲渡した場合、EはCの善意悪意にかかわらず、Eが善意であればAに対 して所有権を主張できる! ・ Eが悪意であっても、Cが善意なら、EはAに対して所有権を主張できる! 「善意」=知らなかった 「悪意」=知っていた 「善意無過失」=そのことを知らず、落ち度も無い状態 「錯誤」=勘違いによる意思表示 「要素の錯誤」=取引の重要な部分に錯誤があること 「心裡留保(しんりりゅうほ)」=真意ではないと自覚しながらする意思表示(=冗談) 「通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)」=2人の者が共謀し、ウソの契約をすること ☆難問対策(判例により第三者に該当するとされた主な例) ①虚偽表示による譲受人からさらにその目的物を譲り受けた者 ②虚偽表示による譲受人からその目的 物について抵当権の設定を受けた者 ③発生を仮装された債権の譲受人 ☆難問対策(判例により第三者に該当しないとされた主な例) ①代理人や法人の代表機関が虚偽表示をした場合における本人や法人 ②虚偽の債権譲受人から取立の ために債権を譲り受けた者 ③土地が仮装譲渡された場合におけるその土地上の建物賃借人

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1-3 制限行為能力者(★★★★★) 出題ポイントが多く、要注意です。制限行為能力者の意義や、売買契約を結んだ場合の効果な ど、重要事項満載です。まだ社会のことをよく知らない未成年者や、通常の人より精神的能力 が低い人を保護するための制度です。10 年で8問のペースで出題されています。 Point 制限行為能力者の種類 未成年者:満 20 歳未満の者(保護者→親権者、未成年後見人) 成年被後見人:精神上の障害により弁識能力を欠く者(保護者→成年後見人) 被保佐人:精神上の障害により弁識能力が著しく不十分な者(保護者→保佐人) 成年被後見人よりも症状が軽いものが被保佐人で、重度の浪費家などが含まれる場合もあります。 1.未成年後見人は、[複数]を選任することができる!( 法人も可。成年後見人、保佐人、補助 人も複数を選任することができます) 2.未成年者が未成年後見人の同意を得ないでした法律行為は、原則として[取り消す]ことができ る!(無効である→×、同意は黙示でもよい→○、同意は取引の相手方に対してでもよい→○) 取消ができない行為(=有効に成立する。未成年者が一方的に利益を得るだけの行為) 1.法定代理人の同意を得た契約 2.営業の許可を受けている行為 3.処分を許された財産を処分する行為 4.単に権利を得(贈与等)、または義務を免れる(債務の取消等)契約 3.成年被後見人が[単独]で行った法律行為は、原則として取り消すことができる! (成年後見人の同意を得ていても取消可。日常生活に関する行為は取消不可) 4.[法人]も、成年後見人となることができる! 5.成年後見人が成年被後見人に代わって建物等の売却、賃貸、抵当権の設定などの行為を行うと きは、[家庭裁判所]の許可を得なければならない! 6.被保佐人が[単独]で行った法律行為は、原則として取り消すことができない! 7.被保佐人が、保佐人の同意を得なければならない行為を、同意またはそれに代わる家庭裁判所 の許可を得ないでした場合、[被保佐人]又は保佐人が共に当該行為を取り消すことができる! 同意が必要(取消ができる)な重要な行為 1.不動産など、重要な財産の売買 2.5年を超える土地賃貸借 3.3年を超える建物賃貸借 4.建物の新築・改築・増築・大修繕の依頼

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8.未成年者と取引した相手方が、未成年後見人に対して1月以上の期間内に追認するように催告 したが確答がなかった場合、未成年後見人は未成年者の行為を[追認]したものとみなされる! 9.未成年者と取引した相手方が、未成年者本人に対してした追認の催告は、[無効]である! 10.契約締結時に未成年者であった者は、成年に達しても、契約から[20 年]経過するか、追認する ことができる状態になったときから[5年]以内は取消権を行使することができる! 11.契約の相手方が被保佐人に、保佐人の同意を得て追認するように催告したが、確答がなかった 場合、当該契約は[取り消された]ものとみなされる! 12.制限行為能力者が[行為能力者]であると相手方をだまして契約をした場合、その契約は取り消 すことができない! 「追認」=契約後に契約成立を認めること 「催告」=裁判外の請求 【制限行為能力者の相手方の催告権】 誰に催告するか? 確答がない場合 未成年者 法定代理人 追認とみなされる 成年被後見人 法定代理人 追認とみなされる 被保佐人 保佐人(※) 追認とみなされる 被補助人 補助人(※) 追認とみなされる 行為能力者となった後 本人 追認とみなされる ※被保佐人または被補助人に催告し確答がなかった場合は取消しとみなされます。 【成年擬制】 未成年者でも、男は満 18 歳、女は満 16 歳で婚姻をすることができ(父母どちらかの同意が必要で すが、同意なく婚姻届が受理されても取り消されません。両親ともいない場合は同意不要、未成年 後見人の同意も不要と緩い規定です)、婚姻をすれば民法上成年に達したものとみなされます。未成 年のうちに離婚をしても、成年擬制の効果は消滅しません(成年者のまま)。また、民法上成年とみ なされるだけですので、選挙権はなく、もちろん煙草や飲酒も認められません。不適齢婚(男 18 歳未満、女 16 歳未満)であっても、誤って受理された場合は取り消されるまで成年擬制が働きます。 ☆難問対策(胎児の権利能力):①不法行為による損害賠償請求 ②相続 ③遺贈について、胎児はすでに 生まれたものとみなされます。 ☆難問対策:精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、4親等内の親族から補 助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意を得た上で 同審判をすることができます。

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1-4 代理(★★★★★) 代理とは、他人の行為によって自分が効果を受ける制度をいいます。本人、相手方、代理人の 3人の人物が登場します。覚えることが多くて大変です。浅くてもよいので、広く正確な知識 を習得してください。9割方出題されますのでどこから出題されても対応できるように! 1.代理の効力が[本人]に及ぶためには、代理権があり、相手方に対し本人に代わって行うことを 示し(顕名)、相手方と契約することを要する! 2.代理人が顕名しないでした契約は、[代理人]自身のために効力を生ずる! (相手方が、周囲の事情から代理人であることを知りえた場合は本人に生ずる) 3.代理人が[制限行為能力者]であっても、代理行為は有効である! 4.代理人が、相手方の詐欺または強迫により代理契約を締結した場合、[本人]が当該契約を取り 消すことができる!(詐欺の場合は、本人が善意のときに限る) 5.代理人が、第三者の詐欺により代理契約を締結した場合、本人は、相手方が詐欺につき[悪意] のときにのみ当該契約を取り消すことができる!(強迫は善意悪意を問わない) 6.代理人が詐欺または強迫により代理契約を締結した場合、相手方は、[いつでも]当該契約を取 り消すことができる!(本人の善意悪意を問わない) 7.代理人が錯誤により代理行為をした場合、代理人に[重大な過失]がないときに限り、本人は代 理行為の無効を主張することができる! 8.代理人が[自己の利益]のために代理行為をした場合、相手方がその事実を知りえたときに限り、 本人は代理行為の無効を主張することができる! 9.無権代理行為は無効だが、本人が追認すれば、[契約締結時]に遡り有効となる!(無権代理人 に対して追認することもできるが、相手方が追認の事実を知らないとその効果を主張できない) 10.無権代理行為の相手方は、追認するかどうか本人に催告でき(悪意でも可)、確答がなければ[追 認拒絶]とみなされる! 11.無権代理行為の[善意](過失はあってもよい)の相手方は、本人が追認する前に、当該契約を 取り消して無効とすることができる! 12.無権代理行為の[善意無過失]の相手方は、本人の追認が得られなかった場合、無権代理人に対 して、代わって契約を履行させるか、損害賠償を請求することができる! (無権代理人が制限行為能力者であるときは、責任追及不可) 13.復代理人とは[本人]の代理人であり、代理行為をすれば、その効果は本人に及ぶ! 14.代理人が復代理人を選任しても、代理人の[代理権]は消滅しない!

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15.代理人の代理権が消滅すると、[復代理人]の代理権も消滅する! 16.法定代理人は、[いつでも]復代理人を選任することができる! 17.任意代理人は、[本人の承諾]があったとき、またはやむを得ない事情があるときに限り復代理 人を選任することができる! A(代理人)がB(本人)所有の建物の売却についてBから代理権を授与され、買主がC(相手方) である場合 Point こういった図を必ず書く ・ Aが買主Cから虚偽の事実を告げられて売買契約を締結した場合、善意のBは詐欺を理由に契 約を取り消せる! ・ 建物が破損したため、Bに無断でAが修繕した場合(=保存行為)、Bはその修繕代金を負担 する! ・ AはBの許諾があるとき、またはやむを得ない事情(急病など)があるときに限り、復代理人 を選任することができる! ・ CがAに対して、Aの権限内と思われる契約をBのためにすることを示して行ったときは、直 接Bに対してその効力を生じる! ・ 代理人は行為能力者であることを要しないため、Bが未成年者であるAを代理人に選んだ場合、 BはAに親権者の同意がないことを理由にAが締結した契約を取り消すことはできない! ・ AがBに隠れてCからも代理権を与えられていた場合(双方代理)は、当該契約は無効である! (BおよびCの同意があれば有効=この場合はCも本人) ・ Bが実はAに代理権を与えていなかった場合(=無権代理)、Cがそのことについて善意であ り、かつ、Bの追認がないとき、Cは当該売買契約を取り消すことができる!(cf. 「追認す るか?」との催告権は、Cは悪意でも行使可能。今後も出てくる cf.とは「比較」の意味です) B(本人) A(代理人) C(相手方)

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以下、無権代理 ・ Aの行為が実は無権代理だった場合、Cがそのことについて善意無過失であり、かつ、Bの追 認がないとき、Aに対して契約の履行の請求または損害賠償の請求ができる! ・ 実は代理権のなかったAとCの契約は、Bが直接Cに対して追認の意思表示を行えば、その契 約は有効となる! ・ Bが追認しない場合でも、CがAに代理権があると信じ、そう信じることに正当な理由がある とき(=表見代理)は、Cは直接Bに対して契約の成立を主張できる! ・ Aの行為が表権代理に該当するとき、CはAに対して損害賠償を請求するか、Bに対して契約 の成立を主張するかは自由である! ・ Aの無権代理行為をBが追認した場合、AとCが契約した時点から、当該契約は効力を生じて いたことになる!(本人と相手方の別段の意思表示により遡及しないものとすることも可) ・ 善意悪意を問わず、Cは期間を定めて、追認するか否かの催告をBに対してすることができ、 その期間内にBの確答がないときは、追認は拒絶されたものとみなされる! ・ Bが死亡して、AがBを単独で相続した場合、AはBが売買契約を追認していなくても、Cに 対して当該土地を引き渡さなければならない(当該無権代理行為は当然に有効となるため)! ・ Aが破産した場合、Aの代理権は消滅し、破産後のAの行為は無権代理行為となるが、CがA の破産を知らず善意無過失で信頼したときは、Aの行為は有効となる! (Aが死亡してBが単独相続した場合 → Bは追認拒絶可、Cが悪意 or 有過失なら一切責任なし) 【追認まとめ】 ・追認権はB(本人)にのみ認められる! ・追認は単独行為であり、C(相手方)やA(無権代理人)の同意は必要ない! ・無権代理行為の取消権はC(相手方)にのみ認められる! ・追認するか否かの催告権はC(相手方)にのみ認められる! 【無権代理の相手方が、本人または無権代理人に対して主張できること】 本人に対して:①相当期間を定めて催告(悪意でも可)②表見代理を主張(善意無過失の場合) 無権代理人に対して:①取消の主張(善意の場合)②損害賠償や履行請求(善意無過失の場合) ☆難問対策:代理人が本人を代理して自分と契約することを自己契約、契約当事者双方の代理人となっ て契約することを双方代理といい、これらは原則として禁止され、もしも行われた場合は無権代理とな り基本的に無効となります。しかし、本人の承諾がある場合や、単に債務を履行するだけの場合(=弁 済期の到来した債務の弁済など)には自己契約や双方代理も許されます。 ☆難問対策:本人の本質的意思が要求される婚姻や縁組などの純粋身分行為について代理は認められま せんが、例外として代諾縁組(親が代わってする 15 歳未満の子の縁組)は可能です。

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1-5 弁済・相殺(★★★★☆) 弁済とは、債務者が約束どおり債務を果たすことによって債権者の債権を消滅させる行為をい います。相殺とは、債権者と債務者とが相互に同種の債権・債務を有する場合に、その債権と 債務を対等額で消滅させる行為をいいます。10 年で3~4問の出題ですが簡単です。 1.債務者は、弁済の提供をすれば、[債務不履行責任]を免れる!(cf. 不法行為責任は免れない) 2.弁済費用(=弁済をするための費用、交通費など)は、特約がないときは[債務者]が負担する! 3.弁済場所は、特約がないときは[債権者]の住所地で行う! (特定物の場合は、債権発生当時その物があった場所) 4.弁済と[受取証書]の交付は、同時履行の関係にある! 5.弁済と[借用書]の返還は、同時履行の関係にはない!(弁済が先) 6.弁済金が不足する場合、まずは[利息]に充当される! 7.法律上利害関係のない第三者は、[債務者]の意思に反して弁済することはできない! 8.法律上利害関係のある第三者は、[債務者]の意思に反しても弁済することができる! 9.弁済につき正当な利益のない者が弁済した場合、[債権者]の承諾を得て、債権者に代位するこ とができる!(=任意代位) 10.弁済につき正当な利益を有する者が弁済した場合、[当然]に債権者に代位し、債務者に対抗す ることができる!(=法定代位) 11.債務者は、[債権者]の承諾を得て、代わりの物をもって弁済とすることができる!(代物弁済) 12.相殺は、相手方に対する一方的[意思表示]によって行われる! 13.対立する債権債務の[履行地]が異なる場合でも、相殺することができる! 14.相殺をなすには、双方の債権が[弁済期]にあることを要する! (受働債権については、期限の利益を放棄すれば弁済期に達している必要はない) 15.相殺の意思表示に、[条件または期限]を付けることはできない! 16.相殺禁止特約があるときは相殺ができないが、この特約をもって[善意]の第三者に対抗するこ とはできない! 17.相殺適状になった後、[自働債権]が時効消滅した場合でも、相殺することができる! 18.不法行為によって生じた債権を、[受働債権]として相殺することはできない! AがBに対してお金を貸していますが、Bはお金を返してくれません。不法行為で生じた債権を受働債 権として相殺できるとすると、『お金を返してくれないことを理由にAがBを殴り、Bに損害賠償請求権 を発生させ、Aの貸金債権とBの損害賠償請求権を相殺する』ということが可能となります。加害者A にはしっかり賠償させ、暴力の被害者Bを保護するため、不法行為で生じた債権を受働債権とはできま せん。被害者Bからの申し出で「自分も悪いしこれでチャラにしましょう」というのは OK です(=不法 行為によって生じた損害賠償請求権が自働債権)。 19.相殺によって、対立する債権はその対等額で消滅し、その効力は[相殺適状時]まで遡る!

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A(債権者)がB(債務者)に金銭を貸し与えた場合 ・ AとBで返済の場所を定めていなかった場合、BはAの住所で弁済をする必要がある! ・ Aが住所を変更し、弁済場所を変更したため弁済費用が増加したときは、その増加額はAの負 担となる!(原則として弁済費用は債務者が負担) ・ Bの親でも、Bが反対すればAに弁済することはできない!(債権者Aの承諾を得ることで利害 関係のない者も弁済して代位可=任意代位) ・ Bの保証人が、Bの承諾なくAに弁済した場合、以後、保証人はAに代位してBに対して弁済 の請求をすることができる!(弁済に正当な利益を有する者に当然に認められる=法定代位。正当 な利益を有する者の例:保証人、連帯保証人、連帯債務者、物上保証人、担保目的物の第三取得者、 後順位担保権者、抵当権の実行により覆滅される不動産賃借人など) ・ Bの返済額に多少の不足があった場合でも、事情によっては債務の本旨に従った弁済の提供と して認められることがある! ・ A名義の領収証をCが持参したため、BがCに弁済した場合、Bが善意無過失のときは、Cに なされた弁済は有効となる!(このようなCを債権の準占有者という。準占有者の例:預金証書と 印鑑を持参する者、表見相続人、詐称代理人など) ・ BがAに対して領収証の発行を要求し、Aがこれを交付しないときは、その交付がされるまで Bは弁済を拒むことができる!(cf.借用書の返還は同時履行の関係に立たず、弁済が先) AはBに土地を売却し、一方BはAに金銭債権を有していた場合 ・ Bの金銭債権が時効により消滅していた場合でも、時効完成前に土地の売買契約が成立してい た(=時効消滅以前に相殺適状)場合には、BはAに対して相殺を主張することができる! ・ Bの債権について弁済期の定めがなく、Bから履行の請求がないときでも、Aは自分の債権の 弁済期が到来すれば相殺をなしうる! ・ 相殺の効力は、相殺の意思表示をしたときからではなく、相殺適状のときに遡及して生ずる! ・ Bの債権がAの不法行為によって発生した(AがBを車でひいた慰謝料など)ものである場合、 Aは自分の債権をもって相殺をすることはできない! ・ 土地代金の支払い場所と、貸金の返済場所が異なっても相殺は認められる! ・ 第三者CがAの債権を差し押さえた後に、BがAに金銭を貸し与えていた場合は、BはAに対 して相殺はできるが、それをもってCに対抗することはできない! 「債務不履行」=債務者が正当な理由なく債務の本旨に従った履行をしないこと 「相殺適状」=2つの債権が有効に存在、対立し、弁済期にあること 「自働債権」=相殺の意思表示を申し込む側の債権 「受働債権」=相殺の意思表示を申し込まれた側の債権

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1-6 時効(★★★☆☆) 時効とは、時間の経過によってこれまで持っていなかった権利を取得したり、これまで存在し ていた権利が消滅したりすることをいいます。10 年で2~3問の出題で、やや複雑。 Point 取得時効:従来は持っていなかった権利を時間の経過により取得すること 消滅時効:従来は存在した権利が時間の経過により消滅すること 1.不動産を、所有の意思を持ち、平穏かつ公然に、[占有開始時]に善意無過失で 10 年、悪意ま たは善意有過失で 20 年占有すれば、所有権を取得することができる! 2.他人の土地を[不法]に占有開始した場合でも、所有の意思があると認められる! 3.賃貸借契約に基づき[賃借人]として占有を開始した場合、所有の意思があると認められない! (土地賃貸借は、継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在すれば時効取得が認められる) 4.売買や相続により前の占有者の占有を引き継いだ者は、自己の占有期間のみを主張するほか、 前の占有者の占有期間を[併せて]主張することもできる! 5.不動産を時効取得した者は、時効完成当時の[原所有者]には登記なくして所有権を主張するこ とができる! 6.不動産を時効取得した者と、[時効完成後]に原権利者から権利を取得した者とは、登記の先後 によって所有権を決する! 7.債権は、[10 年間]権利を行使しないと消滅時効にかかる!(cf.所有権が消滅時効にかかるこ とはない) 8.確定期限ある債権、不確定期限ある債権の消滅時効は、ともに[期限到来]のときから起算する! 9.期限の定めのない債権の消滅時効は、[債権成立]のときから起算する! 10.債権の消滅時効は、債務者のほか、[保証人]や物上保証人も援用することができる! 11.債権の消滅時効が完成したにもかかわらず、債務者が債務を[承認]した場合、債務者は、後か らやはり時効を援用するということはできない! (時効完成を知らなかった場合も不可) 12.時効完成前に、時効の利益を[放棄]することはできない!(放棄する旨の約定は無効) 13.債権者が、裁判上の手続きにより債務者に弁済を[請求]すると、時効は中断される! (裁判外で請求した場合でも中断するが、6ヶ月以内に裁判上の手続き必要) 14.債務者が債務を[承認]すると、時効は中断される! 15.債務者が[利息]を支払うと、時効は中断される! 16.[物上保証人]が債務を承認しても、時効は中断されない! 「物上保証人」=債務者の債務を担保するため、自己所有の不動産に抵当権を設定した債務者以外 の第三者

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A所有の土地をBが占有している場合 ・ 時効が完成した場合、Bは占有を開始したときから、その所有権を取得したことになる! ・ Bは所有の意思を持たず、賃借人のつもりで占有し続けたときは、何十年経っても時効取得す ることはない!(所有の意思を持ち、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在 すれば時効取得も可能) ・ Bはその土地を自己のものであると過失なく信じて占有したときは、10 年間占有を継続すれば、 土地の所有権を取得できる! ・ Bはその土地がAのものであると知って占有したときは、20 年間占有を継続しなければ所有権 を取得できない! ・ Bは占有開始時に善意無過失ならば、途中でそれがAのものであると知っても、10 年間占有を 継続すれば所有権を取得できる! ・ Bの父が 15 年間所有の意思を持って占有した場合、相続により占有を継承したBは、その後 5年間占有すれば所有権を取得できる! ・ Bが 15 年間自己占有した後、Cに5年間賃貸した場合でも、Bは所有権を取得できる! ・ Bが 15 年間自己占有した時点で、AがDにその土地を売却した場合でも、Bはその後5年間 占有を継続すれば所有権を取得し、Dに対抗できる! ・ 当該土地が農地であっても、時効が完成すれば、農地法に基づく許可を受けずにBは所有権を 取得できる!(農業委員会への届出は必要) AがBに金銭を貸し付けている場合 ・ 弁済期の定めがない場合、Aが相当の期間を定めてBに催告し、この相当期間が過ぎたときか ら時効(=消滅時効)は進行する!(金銭貸借の場合は相当期間経過後←前ページ9番と比較) ・ Aの債権の担保として自己所有の土地に抵当権を設定しているCは、Aの債権が時効にかかっ たときは、それを援用して、Aに抵当権の抹消を求めることができる! ・ Aは催告をしても返済をしないBに対し、消滅時効が完成する前に支払いを求める訴えを提起 したときは、その訴え提起は関係なく、返済を催告したときに時効中断の効力が生じている! ・ AB間で裁判上の和解が成立したときは、和解成立から 10 年で消滅時効にかかる! ・ AがBに対して訴訟により弁済を求めても、その訴えが却下された場合は、時効中断の効力は 生じない!(仮執行の宣言の申立てをしたときは、消滅時効は中断する) ・ 確定判決で確定した権利でも、10 年で時効に服する! 「確定期限」=○月○日 「不確定期限」=~が~したら 「時効の中断」=それまで進行していた時効期間が元に戻ること ☆難問対策:出題可能性は極めて低いですが「時効の停止」というものも存在します。時効期間満了間 近に天災その他の避けることのできない事変のため時効を中断させることができない場合、その障害が 消滅したときから2週間を経過するまで時効は完成しません。時効期間を元に戻す時効の中断と区別し ておいてください。

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1-7 請負(★★★★☆) 請負とは、当事者の一方が報酬を支払うことを約束し、他方が仕事の完成を約束することによ って成立する契約をいいます。10 年で3~4問の出題ですが、とても簡単ですので、出題され たら絶対に落とせません。 1.注文者の報酬支払い義務と請負人の目的物引渡し義務は、[同時履行]の関係に立つ! (注文者の報酬支払い義務と請負人の損害賠償義務も同時履行の関係に立つ) 2.注文者が代金の全額をあらかじめ支払っていた場合、仕事の完成と同時にその所有権は[注文 者]に帰属する! 3.請負人が仕事完成に必要な材料の[主要部分]を自ら提供した場合、仕事が完成しても、注文者 が代金を支払うまでは、その所有権はいったん請負人に帰属する! 4.注文者は、[仕事が完成]する前であれば、請負人の受ける損害を賠償して、一方的に請負契約 を解除することができる! 5.請負人は原則として[瑕疵修補義務]を負うが、欠陥が重要でなく、かつ、その欠陥を直すのに 多額の費用がかかる場合は、当該義務を負う必要はない! (請負契約の目的物たる建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注 文者は当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる) 6.請負人が請け負った建物が火事により滅失した場合、なお工期内に[完成可能]ならば、請負人 の仕事完成義務は存続する! 7.請負人が請け負った建物が火事により滅失した場合、工事を再開しても工期内に完成不能であ るときは、請負人の仕事完成義務および注文者の報酬支払い義務は[消滅]する! 8.注文者と請負人との間で、請負人が[担保責任]を負わない旨の特約を結ぶことができる! (請負人があらかじめ瑕疵を知っていながら注文者に告げなかったときは責任を負う) 【請負人の担保責任】 瑕疵修補請求:原則→請負人に瑕疵修補責任あり 例外→欠陥が重要でなく、かつ、修補に多額の費用がかかる場合は請求不可 損害賠償請求:①瑕疵の修補に代えて損害賠償請求をする ②瑕疵修補請求と併せて損害賠償請求することも可能 契約の解除 :欠陥のため契約の目的を達成できない場合(土地工作物については解除不可) (仕事完成前ならば、注文者は損害を賠償して一方的に解除可能) 注文者の供した材料または注文者の指図により生じた瑕疵 → 請負人に責任なし (請負人が材料や指図の不適当なことを知っていながら告げなかった場合は責任あり)

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A(注文者)が建築業者B(請負人)に請け負わせて住宅を建築した場合 ・ 報酬の支払時期は後払いが原則で、Aの報酬支払い義務とBの住宅引渡し義務は、同時履行の 関係に立つ! ・ 完成した住宅に建物その他土地の工作物について瑕疵があるとき、Bは住宅の引渡しから5年 間は瑕疵担保責任を負うが、この期間は当事者間の特約により 10 年まで伸ばせる! (責任追及期間は原則として目的物の引渡しから1年以内 or 特約で 10 年まで可。例外:①建築 物5年、②石造、鉄骨造など頑丈な建築物 10 年、③土地工作物以外1年) ・ 完成した住宅に建物その他土地の工作物について瑕疵があり、契約の目的を達することができ なくても、Aは契約を解除できない!(=解除ができるのは建物その他の土地工作物以外の瑕疵) ・ 完成した住宅に瑕疵があり、Bが修補可能なものであっても、Aは瑕疵の修補に代えBに損害 賠償の請求ができる! ・ AとBの間で、Bが瑕疵担保責任を負わないとの特約があった場合でも、Bがもともと瑕疵の 存在を知ってAに告げなかったときは、Bは免責されない! ・ Aが代金の全額をあらかじめ支払っていた場合、住宅の完成と同時に所有権はAに帰属する! ・ Bが建物の材料の主要部分を自ら提供した場合、住宅が完成しても、Aが代金を支払うまでは 所有権はいったんBに帰属する! ・ 完成した建物をAから譲り受けたCには、Bに対する瑕疵修補または損害賠償の請求権はない !(Bに担保責任を追及できるのは請負を依頼したAのみ) ・ 住宅完成前ならば、AはBに損害を賠償して一方的に請負契約を解除できる! 「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」 =目的物に瑕疵(キズ)があった場合、買主が損害を受けないように、売主に課せられた責任 ☆難問対策:請負契約を締結する際、建設業法上の書面の作成が要求されますが、これは後日の紛争を 防止するためのものにすぎず、請負契約の成立要件ではありません。 ☆難問対策:請負人は、その仕事を原則として他の者にやらせることもできます(=下請負)。この場合、 下請負人の故意・過失について請負人が責任を負います。 【本試験で出る同時履行まる分かり一覧】 契約解除による原状回復義務:○ 請負における目的物の引渡しと報酬の支払い:○ 弁済と受取証書(領収書)の交付義務:○ 建物買取請求権と土地の明渡し:○ 不動産売買における登記協力義務と代金支払義務:○ 弁済と債権証書(契約書など)の交付:× 被担保債権の弁済と抵当権登記抹消手続:× 敷金返還義務と目的物明渡義務:× 造作買取請求権と建物の明渡し:×

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1-8 委任(★★★☆☆) 委任とは、契約などの法律行為を他人にやってもらうようお願いすることです。委任は無償が 原則です。特約がある場合でも報酬は後払い、しかし委任事務費用は先払い、これは重要です。 10 年で1~2問出題されるかどうかですが、簡単ですので確実に覚えておいてください。 1.受任者は、委任者から[請求]された場合、いつでも委任事務の状況を報告しなければならない! 2.有償、無償を問わず、受任者は[善良なる管理者]の注意義務をもって事務を処理しなくてはな らない!(=善管注意義務) 3.委任者、受任者ともに、存続を望まないときは、[いつでも]委任契約を解除することができる! (相手方に不利な時期でも解除可能ですが、やむを得ない事由がある場合を除き損害を賠償する) 4.委任契約は、委任者の死亡または破産、受任者の死亡または破産および[後見開始の審判の開 始]により当然に終了する!(注:不動産登記法では特例が定められており、登記申請代理権は本 人死亡により消滅しない) 5.委任契約は委任者、受任者の死亡により当然に終了するので、その相続人はその地位を[相続] することはない! 6.受任者は、[特約]がなければ委任者に報酬を請求することができない!(事務処理費用は可) 7.受任者が委任者に引き渡すはずの金銭を自己のために消費したときは、その[消費した日]以後 の利息も支払わなければならない! 8.受任者は、委任者の承諾を得た場合、またはやむを得ない事情がある場合には[復受任者]を選 任することができる! 9.有償委任が、その履行の半途で終了した場合、受任者は既にした履行の割合に応じて[報酬]を 請求することができる!(cf.請負) 「委任者」=他人に法律行為をすることを頼む者 「受任者」=他人から法律行為をすることを頼まれた者 「善管注意義務」=十分に注意して物事を行う義務 ⇔「自己のためにすると同一の注意義務」 【本試験で出る善管注意義務が要求される者一覧】 ①留置権者 ②質権者 ③特定物の売主 ④賃借人 ⑤有償・無償の受任者 ⑥遺言執行者 ⑦贈与者など 【本試験で出る自己のためにすると同一の注意義務が要求される者一覧】 ①受領遅滞 ②親権者 ③相続放棄者 ④限定承認者など

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1-9 地役権(★★☆☆☆) 地役権とは、ある土地の便益を上昇させるため、他の土地を利用できる権利をいいます。この 「ある土地」を要役地(ようえきち)、「他の土地」を承役地(しょうえきち)と呼びます。10 年で1~2問の出題ですので、サラッと確認程度に読んでおいてください。 1.地役権は、[要役地]から分離して処分することはできない!(特約不可) 2.共有者の1人が地役権を時効取得すると、[他の共有者]も地役権を取得する! 3.要役地、承役地の共有者は、[自己の持分]についてのみ、地役権を消滅させることはできない! Aが自己所有の甲土地の一部について、通行目的で、隣地乙土地所有者Bのために、乙土地の便益 に供する通行地役権設定契約を締結した場合 ・ Aが甲土地をCに譲渡した場合、Cが通行地役権の存在を知っており、かつ、通路として継続 的に使用されているときは、CはBに対して通行地役権を否定することができない!(A→C に所有権移転登記あり、Bは地役権の登記必要なし) ・ Bが乙土地をDに譲渡した場合、DはAに対して通行地役権が自己に移転したことを主張する ことができる!(B→Dに所有権移転登記あり、Bは地役権の登記必要) ・ Bは、地役権が定められていない部分の甲土地の土地を、継続かつ表現の形で使用を継続した 場合、その部分についても通行地役権を時効取得することができる!(要役地所有者が通路を 開設している必要あり。「継続かつ表現」=使用を続け、それが客観的にも明らかな状態) ☆難問対策:要役地の共有 ①共有者の1人が地役権を消滅させることはできない ②1人が地役権を時 効取得すると他の共有者全員も時効取得する ③共有者に対する時効中断は全共有者に対してしなけれ ば効力を生じない ④1人に時効停止の事由があってもその効力は他の共有者に及ばない 【相隣関係】 囲繞地通行権⇒ある所有者の土地が、他の所有者の土地又は海岸・崖地等に囲まれて、公道に接し ていない場合に、囲まれている土地の所有者が公道まで他の土地を通行する権利。このような土地 の位置関係にある場合に、囲んでいる側の土地を「囲繞地」といい、囲まれている側の土地を「袋 地」という。通行者は、通行のために必要かつ囲繞地にとって最も損害の少ない方法、場所を選ば なければならない。通行権者は、必要があるときは自ら通路を開設することができ、囲繞地所有者 の承諾を要しない。通行権者は、囲繞地の損害に対して、原則として1年ごとに償金を支払う。袋 地の所有権を取得した者は、所有権移転登記を受けていなくても囲繞地通行権を主張できる。土地 の分割によって新たに公道に通じない土地が生じた場合、当該土地所有者は、他の分割者の所有地 のみを通行することができ、この場合は償金が不要となる。 異なる慣習がある場合を除き、建物の築造には境界線から 50cm 以上の距離を保たなければならない 隣地との境界付近で建物の修繕等を行うときは、隣地の使用を請求できる(立ち入るには承諾必要) 隣地の竹木の枝や根が境界線を越えてきた場合:枝=切除請求 根=自ら切除可能 土地所有者は、隣地の所有者と共同費用で境界標(境界を表示するもの)を設置することができる

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1-10 債務不履行(★★★★★) 債務不履行とは、債務者が、正当な理由もないのに約束どおりの履行をしないことをいいます。 売買契約の一連の流れをイメージしながら覚えるようにしてください。10 年で5問のペースで 出題され、他の分野の前提知識にもなりますので、しっかりと覚えておいてください。 1.履行遅滞とは、債務者の責任により、履行期に[正当な理由]なく履行しないことである! 2.履行不能とは、債務者の責任により、履行が[不可能]になってしまうことである! 3.不完全履行とは、一応[給付]はなされたが、それが不完全な場合をいう! 4.債務者が履行を遅滞しているときは、債権者は相当の期間を定めて履行を[催告]し、その期間 内に履行がないときは契約を解除することができる! 5.履行遅滞により契約を解除する場合、その催告期間が不相当に短くても、[客観的]に相当の期 間を経過しているとみられるときは、債権者はその契約を解除することができる! 6.履行遅滞により契約を解除する場合、債権者は解除とあわせて、[損害賠償]の請求もすること ができる! 7.買主が支払期日に代金を支払わない場合でも、売主が目的物の[提供]をしてこなければ、買主 は履行遅滞とはならない! 8.債務者の責任により履行が不能となったときは、債権者は催告することなく[直ちに]契約を解 除することができる! 9.履行不能による損害賠償額は、[請求者]が証明できた額である! (よく出る問題:損害賠償額は手付金の倍額である→×) 10.金銭債務の履行が遅れた場合は、[不可抗力]を抗弁とすることができない! 11.金銭債務の債務不履行では、[損害]を証明することなく、損害賠償を請求することができる! 12.確定期限付き債務の履行期は、[期限到来]のときである! 13.不確定期限付き債務の履行期は、債務者が期限到来を[知った]ときである! 14.期限の定めのない債務の履行期は、債権者から[請求]を受けたときである! 15.不法行為(P.37)による損害賠償債務は、[成立]と同時に履行期となる! 16.損害賠償額の予定をしておくと、[債務不履行]の事実さえ証明すれば、損害額を証明すること なく、予定された賠償額を請求することができる!(増減不可) 17.違約金の定めをした場合、[賠償額の予定]をしたものと推定される!(みなされる→×)

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AがBに金銭債権を有している場合 ・ 金銭の返済期日が定まっている場合、その期日を過ぎれば、Aから履行の請求を受けなくても Bは履行遅滞の責任を負う! ・ 金銭債権の場合、Bが債務の履行をしないとき、Aはその損害の証明をすることなく、Bに対 して損害賠償の請求ができる! ・ 金銭債権の場合、AがBの債務不履行について損害賠償を請求したとき、Bは不可抗力を理由 に責任を免れることはできない!(金銭に不可抗力は有り得ないため ※) ・ AB間であらかじめ、損害賠償額を予定していたとき、裁判所はその額を増減することはでき ない! 売主Aと買主Bで建物の売買契約を締結してAが建物を引き渡さない場合 ・ 当該建物の引渡し期日前にBがAに代金の全額を支払った場合、Aはその引渡し期日から履行 遅滞の責任を負う! ・ Aの父が死亡したら当該建物を引き渡す特約があった場合、Aは父の死亡を知ったときから履 行遅滞の責任を負う! ・ 当該建物の引渡し期日を定めていなかった場合、BがAに対し、引渡しの請求をしたときから Aは履行遅滞の責任を負う! ・ 債務者Aは、自己に帰責事由(故意や過失)がないことを主張・立証すれば履行遅滞責任を免 れる! 【履行遅滞の時期(消滅時効起算点)】 確定期限:期限到来のとき(期限到来のとき) 不確定期限:債務者が期限の到来を知ったとき(期限到来のとき) 期限の定めがない場合:債務者が履行の請求を受けたとき(債権が成立したとき) ※金銭に不可抗力は有り得ない! 世の中どこにでもお金は存在します。例えば平成○○年○月○日に出荷された製造番号××番の△ …などまで特定された物でしたら他に代わりの物はありません。しかしお金はいくらでも代わりが あります。火事で燃えました、泥棒に盗まれました、と言っても他から調達しろ、という話です。 ☆難問対策(催告不要で解除権が発生する履行遅滞):定期行為の遅滞(○月までに送ると約束した売買 契約等)、催告不要の特約がある場合(マンションの賃貸借契約等)など。

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1-11 契約の解除(★★★★☆) 解除とは、契約の一方当事者の意思表示によって、いったん有効に成立した契約を解消し、そ の契約を初めからなかったこととする制度です。買戻しとは、売主が不動産を売却する際に、 後日買主から受け取った代金および契約費用を返還して、売買契約を解除する旨を特約するこ とをいいます。10 年で3問ほどの出題ですが、他の分野にも影響しますので力を入れておきま しょう。 1.解除権は法定の解除原因以外に、当事者間の[契約]によっても発生する!(手付金の交付など) 2.解除権を行使しても、損害があれば、[損害賠償]の請求をすることができる! 3.売主が[引渡し]を行うまでは、買主は金銭を支払う必要はない! 4.解除原因が発生した場合でも、当事者が解除の[意思表示]をしなければ契約は解除されない! 5.一度行使した解除権は、その後[撤回]することはできない!(相手方の承諾あれば撤回可) 6.買主が[履行期]前に金銭を提供して売主に目的物の引渡しを求め、売主がこれを拒否したとし ても、買主は契約を解除することはできない! 7.買主が売主から建物を買い受け入居したが、2ヶ月後に契約が解除された場合、買主は売主に 建物を返還するとともに、2ヶ月分の使用料を[不当利得]として支払う必要がある! 8.解除により金銭を返還するには、[金銭受領]のときからの利息を付けることを要する! 9.売買契約が解除されると、売主及び買主はお互いに[原状回復義務]を負う! 10.「催告期間内に履行がない場合は改めて解除の意思表示をしなくても契約を解除できる」との [条件]があるとき、改めて解除の意思表示は必要ない! 11.解除権の行使期間を決めていない場合で、売主が買主に解除を行うか催告し、返事がないとき は、買主の[解除権]は消滅する! 12.「買主のローン不成立の時は契約を解除できる」との定めがある契約においてローンが不成立に なった場合でも、買主が解除の[意思表示]をしない限り契約は解除されない! 13.解除の当事者が複数の場合、その[全員]から、または全員に対して解除の意思表示をする必要 がある!(=解除権不可分の原則。当事者全員の特約で排除可) 14.売買契約において、売主が履行期に引渡しをしない場合でも、買主は金銭を[提供]しないと契 約を解除することはできない!(=同時履行の原則) 15.買主が金銭を支払った後、売主の[過失]によりその物が滅失したときは、買主は契約を解除す ることができる!(買主は売主に対して、代金の返還、その間の利息、損害賠償を請求できる)

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16.初めに損害賠償額が予定されている場合は、それ以上の損害額を証明しても[予定額]以上の請 求はできない! 「原状回復義務」=契約前の状態に戻す義務 17.買戻し特約は、売買契約と[同時]にしなければならない! 18.買戻しの目的物は、[不動産]に限られる! 19.買戻し期間は、[10 年]を超えることはできない! (10 年を超える定めをしたときは 10 年に短縮され、定めないときは5年以内) 20.買戻し期間は、後日これを[伸長]することはできない! 21.買戻しの対価は、売買代金と[契約費用]を足した額以内でなければならない! 22.買戻し特約は、売買契約と同時に[登記]をすれば第三者に対抗することができる! ☆難問対策(買戻しの対価):必要費・有益費を要求する特約は無効。特約がなくても、買主が必要 費を支出していた場合には売主は償還しなければならない。有益費については、売主の請求により 裁判所は期限を許与できます。利息を支払う旨の特約は有効だが、買戻しに際して提供する必要は ありません(利息を払わなければ買戻し不可 → ×)。 ☆難問対策(再売買の予約):出題可能性は極めて低いですが、買戻しと似て非なるものとして「再売買 の予約」というものも存在します。売買契約において売主が一旦売却した目的物を将来買主が売主に売 り渡す予約をいい、一度行った売買を解除する買戻しとは異なります。他に両者の異なる点を比較して おきます。目的物:買戻し→不動産、再売買の予約→制限なし。特約:買戻し→売買契約と同時、再売 買の予約→制限なし。対抗要件:買戻し→登記、再売買の予約→仮登記。権利行使期間:買戻し→定め ないとき5年、再売買の予約→定めないとき 10 年。 【ちょっと細かいですが…10 番と 12 番の違い】 契約のときに、「これこれの事態が生じたら、意思表示無しで解除だ」と決めておいたらどうなる? → 解除条件付の契約は、催告も解除の意思表示も無しに自動的に解除の効果を生じる。 これが原則です。一方 12 番は、「解除権留保型のローン特約」と呼ばれるものです。この解除権留 保型のローン特約があっても、解除するには相手方に対する意思表示によらなければなりません。 10 番の「解除条件付き法律行為」の場合は、解除の意思には関係なく、条件成就のときよりその効 力が失われます。つまり、「買主がローンを受けられなかったときは、この契約の効力は消滅する」 という「条件」があるときは解除の意思表示は必要なく、「買主のローンが不成立のときは契約を 解除することができる旨の定め」という「特約」がある場合は意思表示が必要となるわけです。 【本試験で出る不動産物権変動の対抗要件一覧】 登記をしなければ物権変動を対抗できない者 ①二重譲渡の譲受人(善意悪意不問)②時効完成後の第三者 ③取消後・解除後の第三者 ④賃借人 登記をしなくても物権変動を対抗できる者 ①無権利者 ②背信的悪意者 ③詐欺・強迫により登記を妨げた者 ④不法占拠者 ⑤相続人

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1-12 手付(★★★☆☆) 手付(解約手付)とは、買主・売主それぞれが、自分の都合で自由に契約を解除できるとする ために、買主が売主に、契約に際して金銭(手付金)を支払うことをいいます。分けましたが 解除の一部で、解除の 10 年で3問に手付も含まれます。 1.手付は特別の意思表示がない場合、[解約手付]と推定される! 2.代金等の弁済期前であれば、[売買契約締結後]の手付契約も有効である! 3.買主自ら履行に着手(中間金の支払い等)していても、売主が履行に着手していなければ、買 主は手付金を[放棄]して当該契約を解除することができる!(中間金は返還される) 4.売主が履行に着手していても、買主が履行に着手していなければ、売主は手付金の[倍額]を現 実に買主に提供して当該契約を解除することができる! 5.買主の債務不履行を理由に契約が解除された場合、買主は売主に違約金を支払わなくてはなら ないが、[手付金]は返還される! 6.債務不履行を理由に損害賠償を請求する場合、その額は交付した[手付]の額とは関係ない! 例)売主の責により履行不能となった場合、損害賠償額は手付の倍額である=× 7.買主が手付を放棄して契約を解除したことにより、売主が手付の額を超える損害を受けたとし ても、売主は買主に対して[損害賠償]を請求することはできない! 8.手付の額が売買契約の額に比べ[僅少]であっても、手付は有効である! 手付解除 損害賠償請求 → 手付と別に請求不可 手付金 → 買主が解除した場合は返還されない(手付放棄) 売主が解除した場合は返還される(手付倍返し) 債務不履行解除 損害賠償請求 → 手付と別に請求可 手付金 → 買主に返還される(原状回復義務) 手付交付者は手付の放棄により、手付受領者は手付の倍額償還により、債務不履行がなくても契約 を解除することができる。つまり、買主は意思表示だけで解除でき、売主が解除するには現実の提 供が必要となる(倍額を償還すると口頭の意思表示だけではダメ)。 【民法の条文に規定されているものはどれか】 条文なのか、判例なのか。ここ数年、本試験の問1で出題されている問題です。はっきり言って、 これは捨てです。いちいち条文か判例か確認して覚えていられません。しかし捨てと言っても、細 かい勉強を捨てるだけで1点を捨てるわけではありません。記述自体がそもそも誤っているサービ スの肢がありますので、残りの2~3肢から「はっきりと条文に規定されていそうなもの」「争いが あり判例で決められたっぽいもの」を冷静に判断してみてください。意外と分かります。

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1-13 保証債務(★★★★★) 保証債務とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、その保証人に主たる債務者に代わっ て債務を履行させる義務を負わせる制度をいいます。保証・連帯保証・連帯債務と細かい知識 は問われませんので、基本的な性質と効果、それぞれの違いを覚えておいてください。10 年で 5~6問のペースで、保証をメインに連帯保証、連帯債務との複合問題も出題されます。 1.保証債務は、[主たる債務者]の意思に反しても締結することができる! 2.保証債務は、[主債務]が成立しなければ成立せず、主債務が消滅すれば消滅する! 3.保証債務は、[主債務]より重くてはならない!(主債務の限度を減らす) 4.保証契約は、[書面]でしなければ効力を生じない!(電磁的記録でも可) 5.保証人は、行為能力および[弁済の資力]を有する者でなければならない! (債権者が資力ない者を指名することは自由) 6.債権者が自ら保証人を指名した場合、[制限行為能力者]でも保証人となることができる! (保証人に選ぶのは自由であって、契約後に制限行為能力者となった場合は取消事由となる) 7.保証人は、その[保証債務]についてのみ、違約金または損害賠償の額を約定することができる! 8.主たる債務者が債権者に対して[反対債権]を有しているときは、保証人はそれを用いて債権者 に対抗(相殺)できる!(主債務者が保証人の反対債権を行使することは不可) 例)債務者が債権者に 600 万円の債権を有している場合、債権者が保証人に 1,000 万円の支払いを求 めてきても、600 万円の債権による相殺を主張して 400 万円を支払えばよい 9.主債務が[免除]された場合、保証債務も免除される! 10.主債務の[期限が猶予]された場合、保証債務の期限も猶予される! 11.主債務が、[履行の請求]により時効が中断した場合、保証債務も時効中断される! 12.主債務が、[債務の承認]により時効が中断した場合、保証債務も時効中断される! 13.主債務者が[時効の利益]を放棄しても、保証人が時効の利益を放棄したことにはならない! 14.主債務が[消滅]する場合を除き、保証人に生じた事由は、主債務に影響を与えない! 15.保証人は、弁済などにより債務を消滅させた場合、主債務者に対し[求償]することができる! 「時効の利益」=人は皆、時効を援用するかどうかの自由を持つ

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AがBの保証を受け、C銀行から金銭を借り受けBからマンションを購入した場合 ・ Bは自己の保証債務についてのみ、違約金または損害賠償額を約定することができる! (AがC銀行に支払うべき違約金および損害賠償とは別に) ・ C銀行がBに債務の履行を請求したとき、Bは「まずAに催告せよ」とC銀行に請求できる! (催告の抗弁権) ・ C銀行がBに債務の履行を請求したとき、Bは「まずAの財産について執行せよ」とC銀行に 請求できる! (検索の抗弁権) ・ 催告(検索)の抗弁権は保証人の権利なので、Aは「まずBに催告せよ」とは言えない! ・ C銀行がAに債務の履行を請求したときは、Aの債務の消滅時効とともに、Bの保証債務の消 滅時効も中断される!(主たる債務に生じた事由はそのまま保証債務にも影響する) CがBに 1,000 万円を貸し付け、AがBの保証人となった場合 ・ Aが破産したとき、CはBに保証人の変更を請求できるが、最初にC自らAを保証人に指名し たときは、変更を請求することはできない! ・ BC間の契約が成立していなかった場合、当然ながらAもCに対して保証債務を負わない! ・ AC間の保証債務締結後、BC間の合意で債務が減額された場合、保証債務もそれに応じて軽 くなる! ・ AC間の保証債務締結後、BC間の合意で債務が増額されても、Aはその増額部分については 保証債務を負わない! 【保証債務と連帯保証債務の違い】 主従の関係 主債務者に 対する付従性 主債務者に 対する補充性 保証人間の 分別の利益 保証債務 あり あり あり あり 連帯保証債務 あり あり なし なし 付従性:主たる債務が成立しなければ、保証債務も成立しない 主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する 保証債務の内容は、主たる債務の内容よりも重くてはならない 補充性:催告の抗弁権 検索の抗弁権 分別の利益:各保証人は、主たる債務の額を保証人の頭数で割った額についてのみ保証債務 を負担すればよいとする利益

参照

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