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法令上の制限 (8問:目標5点)

3-1 国土利用計画法(★★★★☆ 事後届出制★×5、事前届出制★×3

国土とは限られた資源であり、適切かつ効率的な利用の妨げとなる取引や、地価の上昇を招く おそれのある取引について規制を課す必要があります。この規制を定めた法律が、国土利用計 画法(国土法)です。ここで重要となるのは「届出制」です。届出制の適用される区域、届出 時期、届け出る者などを正確に覚えておいてください。事後届出制はほぼ毎年出題されます。

法令上の制限に関する法律の種類

土地の購入→国土利用計画法(or 農地法)

宅地の造成→都市計画法・土地区画整理法 建物の建築→建築基準法

Point

注視区域:地価が一定の期間内に社会的・経済的事情の変動に照らして相当な程度を超えて上昇し、

または上昇するおそれがあり、これにより適正かつ合理的な土地利用の確保に支障を生 ずるおそれがあると認められる区域

監視区域:地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあり、これにより適正かつ合理的な土地 利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域

規制区域:都道府県知事の許可がなければ土地取引ができない区域

1.国土法は、事後届出制・[注視区域内]における事前届出制・[監視区域内]における事前届出制 という3種の届出制を設けている!

2.規制区域では、都道府県知事の[許可]を得なければ土地取引をすることができない!

3.事後届出制とは、権利取得者が、一団の土地に関する権利を、対価を得て、売買等の契約によ り移転・設定する場合に、[都道府県知事]に土地の利用目的などを届け出る制度をいう!

権利取得者=買主等

一団の=取引の目的である土地が数個ある場合、個々の土地が隣接していて、かつ、その全部につき 取引する目的があれば一団といえる(1000 ㎡と 1500 ㎡の土地が隣接→2500 ㎡として考える)

土地に関する権利=所有権、地上権、賃借権等(抵当権設定は該当しない点に注意)

対価を得て=売買、地上権・賃借権の設定(対価がある場合のみ)、交換等(=相続や時効取得×)

4.事前届出は、契約の[両当事者]が行わなければならない!

5.事前届出は、契約の[両当事者]を基準に一団の土地かどうかを判断する!

6.事後届出の審査対象は、[土地の利用目的]についてのみである!

7.事前届出の審査対象は、[予定対価の額]および土地の利用目的についてである!

8.事前届出の場合、予定対価の額や土地の利用目的を変更するときは、[再度の届出]を要する!

(減額変更の場合は再度の届出不要。事後届出に再度の届出制度はない点に注意)

9.審査について勧告を受けた者がその勧告に従わない場合、都道府県知事は、その旨およびその 内容を[公表]することができる!(罰則はなし)

10.都道府県知事は、事後届出時に土地の利用目的について勧告を要する場合、届出から[3週間]

以内にしなければならない!(事前届出の場合は6週間以内)

11.土地の利用目的につき都道府県知事から[助言]を受け、その助言に従わなかったとしても、そ の旨を公表されることはない!(助言があるのは事後届出のみ)

12.規制区域内の土地売買について不許可の処分を受けた場合、都道府県知事に対して当該土地に 関する権利の[買取り]を請求することができる!

13.契約当事者の一方または双方が[国または地方公共団体]である場合、届出は不要である!

【届出対象面積】

事後届出 市街化区域:2,000 ㎡以上 市街化調整区域:5,000 ㎡以上

市街化区域以外の都市計画区域(=非線引区域):5,000 ㎡以上 都市計画区域外(準都市計画区域含む):10,000 ㎡以上

注視区域における事前届出:事後届出と同じ

監視区域における事前届出:都道府県の規則で定められた面積以上 規制区域における許可:面積要件なし

【事後届出と事前届出の意義】

事後届出制の目的は、限りある土地の有効かつ計画的な利用の確保にあります。よって国土利用に 影響を及ぼす規模の土地取引だけを把握しておけば足りるため、一団の土地かどうかは権利取得者 のみを基準に判断します。これに対して事前届出制の目的は、土地の利用方法よりも、むしろ地価 の抑制にあります。そこで、できるだけ多くの土地取引を把握する必要があるため、一団の土地か どうかは当事者双方を基準に判断します。これを頭に入れておくと覚えやすくなります。

そして出題の中心は、届出が必要な取引に当たるかどうかという点になります。まずは規制の対象 となる取引の種類を押さえてください。所有権・地上権・賃借権を、対価を得て、設定・移転する 合意が規制の対象となります。更に土地の面積について、一団の土地をしっかりと見極め、届出が 必要な面積かどうか考えていってください。

以下、特に記載がなければ市街化区域における事後届出

・ 届出が必要な一団の土地につき売買契約(予約を含む)を締結した場合、権利取得者(買主)

は、その契約を締結した日から2週間以内に都道府県知事に届け出なければならない!

・ 停止条件付の契約をした場合でも、契約を締結した日から起算して2週間以内に届出を要す る!(条件成就から起算ではない)

・ 面積 2000 ㎡の一団の土地につき売買等の契約(贈与、信託契約、抵当権設定等は含まない)

を締結した場合、届出が必要となる!(実際の金銭の授受は関係なし)

・ 信託財産を有償で取得する場合は、届出が必要である!

・ AがBに対する金銭債権の担保として、Bが有する 2000 ㎡の土地の所有権をAに移転する譲 渡担保契約を締結した場合、Aは届出を要する!

・ 1000 ㎡ずつ2筆に分けて登記されている土地があり、ABそれぞれに所有権を移転する契約を 締結した場合、AおよびBは届出をする必要はない!

・ 3000 ㎡の土地をAとBが持分均一で共有している場合、A(B)のみがその持分を売却するに は届出をする必要はない!

・ 所有者が異なる隣り合った 1000 ㎡(甲地)と 1500 ㎡(乙地)の土地を、計画的に両方とも取 得しようとする者は、それぞれの取引について届出を要する!(届出は権利を取得する者のみ)

・ 上記甲地につき売買契約、乙地につき賃貸借契約(対価なし)を締結した場合、どちらの取引 についても届出は必要ない!(甲地のみを考慮=届出対象面積未満)

・ 農地について売買等の契約を締結した場合、農地法3条1項の許可を受けたときは届出不要だ が、農地法5条1項の許可を受けたときは届出を要する!

・ 注視区域内では市街化区域内につき 2000 ㎡以上、市街化区域外の都市計画区域内につき 5000

㎡以上、都市計画区域外につき 10000 ㎡以上の土地の売買等の契約締結前に届出を要する!

・ 注視区域外および監視区域外の土地売買につき届出をした後、取引価格や土地の利用目的を変 更したとしても、改めて届出をする必要はない!

・ 事前届出においてすでに届け出た事項につき、予定取引価格を増額するか利用目的を変更する 場合には、改めて届出を要する!

・ 注視区域内および監視区域内の土地売買につき所有権移転請求権を取得して、その届出をした 者が、当該請求権を第三者に売却した場合には、改めて届出を要する!

注:事後届出の対象となる普通の土地(注視区域外および監視区域外)でも改めて届出必要

・ 届出を怠ったり虚偽の届出をした場合、6ヶ月以下の懲役または 100 万円以下の罰金に処せら れる!(事前届出も同じ。勧告を無視しても罰則はないという点にも注意)

3-2 都市計画法の仕組み(★★★★☆)

都市計画区域の指定や、都市計画の決定手続など、正確な暗記が要求されます。面倒ですが、

時間的な流れに沿って、どの段階でどのような手続が必要とされるのかできる限り押さえてお いてください。建築基準法と一体化して覚えていくことが大切です。

1.都市計画法とは、[都市計画]として計画的な街づくりの方法を規定し、街づくりを行う都市計 画区域の場所を指定する法律をいう!

2.都市計画区域は、[行政区画]と関係なく定められる!

3.都市計画区域は、積極的に開発を行っていく[市街化区域]と、開発を抑える[市街化調整区域]

に分けられる!(=区域区分という。義務ではなく全ての区域を区分する必要はない)

4.市街化区域とは、既に[市街地]を形成している区域、および、およそ 10 年以内で優先的かつ 計画的に市街化を図るべき区域をいう!

5.[都市施設](道路や学校等)は、どちらの区域内においても定めることができる!

(道路・公園・下水道は、市街化区域と区域区分が定められていない都市計画区域内で必須)

6.市街化区域と市街化調整区域の区域区分は、原則として[都道府県]が定める!

(複数の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣が指定)

7.市街化区域と市街化調整区域とを区分することを、[線引き]という!

8.都道府県は関係市町村の意見を聴き、また一定の場合には[国土交通大臣]に協議し、その同意 を得て都市計画を決定しなければならない!

9.都道府県が都市計画を決定する場合、その旨を公告し、関係市町村の住民および利害関係人は これに対して[意見書]を提出することができる!(都道府県はこの意見書を審議会に提出)

10.必要がある場合、都市計画案は[公衆の縦覧](公告の日から2週間)に供せられ、それについ て住民等は[意見書提出]の機会を与えられる!

11.[都道府県]は、関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴き、将来多くの建築が行われ るであろう(既に行われている)区域を準都市計画区域に指定することができる!

12.市町村が準都市計画区域内で都市計画を決定する場合、都道府県知事に協議し、町村はその[同 意]を得なければならない!(市は協議のみでよい)

13.市町村が定める都市計画は、議会で定められた市町村建設に関する基本構想に即し、[都道府 県]が定めた都市計画に適合したものでなければならない!

14.市町村が定めた都市計画が都道府県の定めた都市計画に抵触するときは、その限りにおいて、

[都道府県]が定めた都市計画が優先する!

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