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まえがき(pdf)

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Academic year: 2021

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まえがき

本書は,X 線構造解析を理解するための本である.X 線構造解析 の主要な基礎にフーリエ展開と空間群についての理論があり,多く の化学者にとっては,これらを乗り越えるのが難しい.このため, 基礎部分は,とりあえず,こういうものだと詰め込み,実際に構造 解析を体験して中身を理解する場合が多いと思う.最初に学んだと きには,なぜだろうという疑問がたくさん出てくるのだが,実地に 構造解析に携わり,試行錯誤しているうちに,こういうものかと理 屈抜きでわかってきて,疑問も感じなくなってくる. もし,最初の段階から,もう一段深い部分まで,わかりやすい解 説に触れることができれば,見通しよく X 線構造解析が学べるの ではないか,というのが,本書のねらいである.この「もう一段深 く」というところがなかなか難しく,細かな内容に落ち込んだ部分 や,逆に粗すぎる部分もあると思われる.読者は,適宜取捨選択し て読んでいただきたい. X線構造解析の基礎理論を理解したからといって,構造解析を直 ちに実行できるわけではない.そのためには,多くの実際的な知識 が必要である.幸い,X 線構造解析についてのよい指導書がすでに 多く出版されているので,本書は,あくまでも理解の部分,基礎の 部分に重点を置いた.ただし,無機結晶では大きな問題となりがち な事項については,少し突っ込んだ解説を行った. 本書は,大きく分けて 2 つに分かれている.最初の 3 章は,X 線 回折の理論である.第 1 章は X 線回折現象全体の把握を目指した ので,後の章と重なる部分がある.第 2 章は,回折条件の説明で, 周期的な構造と波数空間(逆格子空間)の関係が最も重要なテーマ

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である.第 3 章は,フーリエ変換を使って構造因子の式の意味を理 解することを目標としたため,数式がやや多くなっている.第 4 章 は,結晶構造の対称性についての解説である.多くの教科書では記 載が表面的な部分であり,構造解析以外でも役に立つかもしれない. 私自身は,無機合成の分野の人間で,構造解析の専門家ではな い.大学院生のときに X 線構造解析全般にわたる授業を受講して 一通りのことを学び,ポスドク時代から自分で構造解析を経験し た.その後,新しい精密化のプログラムを作ったりして,少しず つ,X 線構造解析について学んできた.その時々で必要な知識を身 につけてきたため,体系的な理解に欠ける部分があり,今回,本書 を書くにあたって,学び直し,考え直し,間違いのないように努力 したが,不正確な部分が残っているかもしれない.なお,用語は, できる だ け International Tables for Crystallography に 従 う よ う にしたので,日本の慣用的な用語からずれている部分がある. X線構造解析の基礎の部分は,内容量が多く,また,いろいろな 事項が互いに関係していて,理解しにくい部分が多い.これから構 造解析を学ぼうとする人が,本書を読んで,「ああ,そういうこと か!」と思うところがあれば,というのが,私の願いである. 約 40 年前,急遽,X 線構造解析を身につけることが必要となっ たとき,小林昭子先生に手ほどきをうけ,その後も,X 線測定・構 造解析について多くのことを教えていただいた.心から感謝いたし ます.また,編集委員の岩澤康裕先生には,細かな点から大きな方 向性まで,貴重なご意見をいただき,本書を今の形に完成すること ができた.ここに感謝申し上げます. 2016年 5 月

井本英夫

vi まえがき

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