めん類に関する研究
ⅠⅠ テクスチェロメ、−タ一によるめんの物性測定三木英三, 福井義明
緒 白 めん頬の食味はその大部分が歯ぎれ,歯ごたえ,舌ぎわりなどの触感的な物理的性質,と〈に粘弾性による食味であ るといえる。著名ら(1)は先に,めん類の物性を研究するうえで物性測定に有効な測定法を確立する必要があると考えて テクスチェロメーター,カードメーター,■7・−ドレオメーターについて,ゆでめんの試験機としての適用性を検討した。 その結果,テクスチェロメーターとカードメーターは,めん帯を用いることによってゆでめん物性の基礎的な研究に応 用でき,フーードレオメーターもゆでめんの品質試験機として使用できることを認めた。 本報告では,官能検塞の結果と相関性が高いといわれている(2けクスチェロメ・−ターを用いて,製造条件の品質に対 する影響およびゆでめんの放置と温度による物性変化の測定を宿ない,その結果見出されためんの物理的性質を表わす に有効と思われるパラメーターについて述べる。 実 験 方 法 仁 試料の調製 原料′ト麦粉は日清製粉㈱の「金魚」(粗タンパク質91%,粗脂肪10%,灰分0.3%,水分13い7%)を用いた。小麦粉200プに食塩8ダ,脱塩水80㌶の割合で配合し,卓上ミキサー5DM型(品川工業所製)を用いて62rpmで10分間こねたの
ち,生地をアルミホイルに包んで20±10cで2時間熟成させた。熟成した生地を木屋式試験用製めん機で直角二軸方向 に各1回圧延し,厚さ3±0.1ガ”方,−L辺3仰のめん帯を調製した。生めんについてはこれを試験片とした。ゆでめんは, 生めんを15分間ゆでて30分間放置後試験に供した。以上は本実験における一・般的試料調製法であり,実験項削こよりそ れぞれの製造条件を変えた。 2 測定条件 テグスチュロメーター(全研製,GTX−2)によって硬さ(Hardness),凝集性(Cohesiveness),イ寸着性(Adhe− siveness)を測定した。Fig‖1にゆでめんの典型的なテクスチェロメーターカーブと各パラメーターの算出法を示した。Fig.1“Typicaltextur◇meter CurVe for cooked noodle
H(cク花) input volts Ha工・dness= A2 Cohesiveness= Adhesiveness=A3(cm2)/5V
測定条件は次のとおりである。プランジャー:生地用,Ⅴ字型,クリアランス:10仰,電圧:生めんでは075V, ゆでめんでは15V(Ⅴ字型プランジャーを使用の時は,めん常については5V,めん線については10Vと15V),岨し やく速度:12回/分,チャートスピード:15007沸/分。測定は6∼8回行なった。 3実験内容 (1)加水畳の影響 加水鼻は′卜麦粉の品質,手j丁めんと機械めんにより、また地方によってかろり異ちっているが,めんの品質,歩留り, ㌔し!道能率に大き〈影響する。そこで,加水貫を35%から50%まで変化させて物性変化をみた。食塩は,無添加と8%添加 のめん・について試験した。 (2)添加食塩還の影響 食塩はグルテンに対して収れん作用があり、生地の粘弾性に影響することが知られている二′ そこで,食塩を0%から 12%まで加えてめんの物性に対する効果をみた。 溶出固形鼻は蒸発乾閲により,また,めんからゆで水への溶出食鳩鰯は沈澱滴定法により測定した。 (3)製造温度の影響 従来,めんの製造にあたっては,季節によって食塩膿度および加水環を変えることによI),気温変化による生地物性 に対する影響を調節している。そこで,混合と熟成における混ノ支を10,20,300cと変え,←方食塩瀦加傾ほ0から6% まで変化させて,製造混度がめんの物性にどのように影響するか,また食塩の添加がいかなる効果を持っているかを試 験した。 (4)ゆで時間による物性変化 調製しためん帯100ダを2gの沸騰水中て5,10,15,20分間−わてたのち水冷し,30分後に物性を測定した。 (5)ゆで後の放置によるめんの物性変化 ゆでめんでは,ゆで後の放置による食味の劣下か大きな問題である。そこで,ゆで後の放召引こよっていかなるパラメ ーータ1−の変化が生じるかを試験した。放置温度は20±10cて,プランジャーは生地用とⅤ字型の二種類を使用した。 また,ゆで時間が放置しためんの物性変化にどのようiこ影響するかを調べるために,5,10,20分間ゆでためんにつ いて試験した。市販品のめん物性測定への通用性をあわせてみるために,めん線形の試料を供し,Ⅴ年型の7くランジャ ・−を使用して測定した。 (6)ゆでめんの温度による物性変化 一市販の生めんを15分間ゆでたのち25分間放置し,10,25,50,800cの恒温水中に5分間浸せき後,すばや〈各浸せき 温度の水を入れた試料皿(58PC−1)中に置き物性を測定した。めんの浮上,位置の移動を防ぐために,めんの両端を 金属でおさえた。プランジャーはⅤ年型を使用した。 実験結果および考察 l加水畳の影響 加水毘のめんの物性に対する影響をFig‖2小1,2・2に示した。加水鼠の叩加とともに斗めんでは硬さ,凝集性ともに減 少したが,付着性は食塩無添加では40%から,8%添加ては47.5%から急激に大きくなった。ゆでめんでは,硬さは加 水完の増加ととい二375%以上てはゆっ〈I)と減少した。加水鼻35%の硬さが高い偶を示したのは,めん帯成形の時に 同じ厚さの試料調製のためにロール巾を狭くしたので,高い圧力が生地に加わり,その結果生地に過度の緻密化をもた らしたためと考えられる。ゆでめんの凝集性に対する加水鼻の影響は顕著に明われなかった。付弟性は,加水鼻の叩加 とともに減少する傾向を示した。 めんの製造においては,加水完の多い方が生地の形成が円澗であり,高い圧力を必要としない。したがって生地に過 度の緻■密化が起こらないので訴慄錮寺間が短かくてすむ。しかし,加水蒐が多すぎると付着性が現われてくるので,作業 能率が悪くなると思われる。本実験における適正加水茄モは約40%であると考えられる。
00 0 べ●○︶ 6 0 ∽の心已むAl∽む‘OU .n.ト.∽の¢已phdH 4 0 ■﹁一、q﹂ 0 ∽∽む亡おA㌫むぷp可 35.0 37“5 40.0 42.5 45小0 47・5 500 Added water(%,flour basis)
35・0 37・5 40…0 42.5 45.0 47.5 50.O Added water(%.flour basis) Figr2′′1…Affect ofwateICOntent On hardness F;g2・2.Effect of water coIlte‖t Oll
cohesiveness and adhesiveness
ヱ;芸ご33呂…5ed)0%NaCl ヱ;呈3三三呈…覧ed)8%NaCl 3:3呂…芝ed)0%NaCl
豊㍊ed)8%NaCl
一」〇一 十 一一・○・− −−●−(molar type plunger) 2添加食塩量の影響 食塩のめん物附二対する影響を調べた結果をFig・3い1,3・2に示した0食塩添加窺の酢加ととい二生めんでは硬さI凝 集性が増加したが、付着性は逆に減少し,6%以上添加では現われなかった0ゆでめんでは硬さは4%,凝射射ま2% 以上添加では減少した。これは,めんに加えた食塩還の増力11につれてゆで水への溶出固形騒が直線的に増加し・しかも そのほとんどが食塩であるという結果(Figl4)から,ある還以上のめんからの食塩の溶出によりめんの構造か溺化し たために起こったと推測される。付利勤ま,生めんでは6%添加まで減少していき,それ以上ては現われなかったっゆでめ んでは4%以上添加すると,それまで減少していじ付着性がほぼ一定となった〇これらの結果から,食塩於加温は約4 %が追認と考えられる。 3製造温度の影響 製造混度は硬さにあまり影響しないが,食塩添加によって各組度における試料の硬さは増加した(Fig・5い1)。凝魔 性も混皮によってあまり影響されないが,食塩添加による増加がゆでめんにおいてみられた(Fig5い2)。付着性は温 度の影響を受けており,生めんでは200cで大きく,100c,300cでは小さかったo しかし,ゆでめんでは逆に200cで 小さ〈,100c,300cでは大きな億を示した(Figり5い3)。
.︰=、.● ・主−ご こT−・1・・主=二、ニー−−′ 8 6 0 0 0 2・・0 4・0 6・0 8小0 10.0 12,O Added NaCl(%,flou工 basis)
Fig.3・1‖ Effect of saltcontent on hardness
−Oq:uncooked,+:COOked (molar type plunger)
0 20 4.0 6け0 8い0 10。0 12O Added NaCl(%,flour basis)
Fig3n2.Effects ofsaltcontent on cohesiveness and adhesiveness サー公一:uncooked,◆−,▲:COOked 1 2 3 00 0 ︵訳︶※ ごdS pud p〓OS 0 0 6 8 n↑■s∽賀pJ遥 0 2・0 4・0 6.0 8O Added NaCl(%,flour basis) Fig 4. solid and salt solvedinto
COOking water
−くトsolved solid,◆soIved salt ※These values are shownin percents
Of soIved solid and salt to cooking
WateI
10 20 30
Temperature(Oc)
Fig‖ 5ul.Effects ofmixing and resting temperatures on ha工dness uncooked cooked −℃−NaClO% + 一小○−NaC12%・−・・●」・− い・・<トNaC14%−−●−−− ・0仙NaC16%…● (molar type plunger)
1 0 コ.↑ L∼ 6 0 .⊃.ト.∽のむ亡示A叫の茎OU \ . \∴. 0 0 .sの告ぎ叫∽蓬pく 8 9 0 0 ●′ ・・a ●‥・‥・−・・・・…・・=・−・・t一 個・・、・・・ ・・・・一・・・・、.. ≡三三 0 7 10 20 30 remperature(Oc) Fig”5l3Effects of mixing and resting
tempe工atureS On adhesiveness
Same symboIs are used asin Fig5.1
10 20 30
Temperature(Oc)
Fig・5l2”Effects of mixing and resting temperatures on cohesiveness Same symboIs are used asin Fig・51 4ゆで時間による物性変化 ゆで時間によるめんの物性変化の結果をFig6に示した。 硬さは,ゆて時間15分までは急速に減少し,それ以後は減 .n.ト.︵□︶ss賀賀∽3pくべq︶ss告ぎ一∽ぷ。U コ.↑.︵○︶ s∽雲pJdエ 5 10 15 20 25 Cooking time(min)
Fig.6。Effect of cooking time on hardness, cohesiveness and adhesiveness
それ以後は減少した。この結果から,試作めんではゆで時間15分でゆてが完了したと思われる。 5ゆで後の放置によるめんの物性変化 ゆで彼の放掛こよる物性変化の結果をFig‖7に示した。硬さは,生地用プランジャーを用いて測定すると放劉寺間と ともに増加を示したが,Ⅴ字型7ウランジャーで測定すると,測定値にほとんど変化がみられなかった。これは生地用プ ランジャーでは力が圧縮的に働らくのに対して,Ⅴ字型7くランジヤーではその感圧両横が小さいために,力がせん断的 に働らくためと考えられる。凝集性は生地札 Ⅴ字型プランジャーのどちらを用いても放置時間の経過とともに減少し た。しかしながら,Ⅴ字型70ランジャーを用いた方が凝集性の低下をより大きくとらえた。ゆで後2時間までの凝集性 の低下がとくに著しかった。付着性は放置時間の経過につれて増加を示しており、食味に影響する一因と思われる。 ゴ↑ぜ︶ssぎ買S蓬ヨ二言︶∽器up篤H .n↑バq︶のSむ已ぎtのむ‘8 6‖0 2 4 6 8 Standing time(hr)
Figl・7h Effect of standing time on hardness,
cohesiveness and adhesiveness
show the values measuIed with molaI type plunger
showthevalues measured with cuspid type plunger
−<ト,1ゝ,一⊂ト ー・<>−,△−,一−−1コー ゆで彼の放置によるめんの物性変化のテクスチェロメーターカーブをFigい8に示した。ゆで直後と比べて,ゆで4時 間後では2回目の岨しゃく曲線のピークの高さ,面楷が減少している。これは岨しゃくに必要な仕事魔の減少を示して いると考えられる。従来いわれている放置によるめんの食味の劣化は,凝集性の低下,あるいは岨しゃくに必要か仕事 鼻の減少によってとらえることができると考えられる。ゆでめんの放置による凝集性の低下,付着性の増加は,澱粉の 老化や殺近小川(3)が述べているように,放置により水分含量が表面から芯部へ均一イヒするなどの構造の変化によるもの と推察される。
J ∇
Fig。8Pattern changein the texturomete工 CurVe f。r COOked noodle during stand・ing
B工Okenline shows the curve reco工ded after4hrs standing
Solidline shows the curve recordedimmediately afterCOOking
⇒↑︵○︶s∽告ぎlS苫OU︷︵●︶言S賀ph遥
50 80
0 10 25
Temperature(Oc)
Fig。10Effect of temperature on hardness and cohesiveness
2 4 6
Standing time(hr) Fig・9Effects of cooking and standing
times on ha.rdnes,COhesiveness
and adhesiveness
(cuspid type plunger)
The samples were immersed foI 5min
in water held at the constant temperature経過につれて若干増加した。凝集性は,放置時間の経過とともにゆで時間5分の試料では増加,10分の試料では8時間 までほとんど変化なく,20分の試料では漸次減少した。付着性は,各ゆで時間の試料とも放置時間とともに増加した。 これらの結果から,ゆで後放置する場合には,ゆで時間をゆで完了時間より少し短かくしておくことが食味劣化防止に 役立つのではないかと思われる。 6ゆでめんの温度による物性変化 ゆでめんの硬さと凝集性に対する温度の影響をFig・10に示した。硬さ,凝集性ともに温度の上昇につれて減少した。 800cのめんの硬さは100cのめんの約40%であった。800cのめんの凝集性は100cのめんの約65%であった。 7測定精度 各測定における精度を変動係数(%)で求めた。その結果,生地用プランジヤ、・・−・・を用いて測定した場合,硬さ1い9∼ 7・8%,凝集性0・9∼81・9%,付着性24・・8%、667%であった。Ⅴ字型■70ランジャーを用いて測定した場合には,硬さ33 ・、7・8%,凝集性1」・2∼6・7%,付着性10.7−25小4%であった。ただし,ゆでめんの温度による物性変化の測定における高 温(500cと800c)での測定精度は,室温での測定精度より悪かった。種々の食品についてテクスチェロメーターで 測定したパラメーターの変動係数の平均値は,硬さ16・1%,凝集性11・8%,付着性22.5%といわれ(4)ており,これらの 結果と比べると,付着性を除いて硬さ,凝集性の精度は良好であった。 要 約 めんの製造条件の品質に対する影響,およぴゆでめんの放置と温度による物性変化をテクスチュロメータ一により測 定し,次の結果を得た。 1・めんの食味の評価には,硬さ,凝集性が有効なパラメーターになると考えられる。 2・ゆで彼の放置によるめんの食味の劣化は凝集性の低下,あるいは喝しゃくに必要な仕事盈の減少によることが示 唆された。 3・ゆでめんの硬さ,凝集性は温度によって大きく変化し,800cのめんの硬さと凝集性は100cのめんのそれぞれの 約45%と約65%に減少した。 藍本報告の大要は,日本食品工業学会,第19回大全(昭和47年4月)で発表した。耳 引 用 文 献 (1)福井喪明,時井幸夫,中土井正史,三木英三:香川 (3)小川玄吾:化学と生物,12,386(1974) 大学農学部学術報告,24.221(1973) (4)FRIEDMAN,H…H,WHITNEY,J。E,SzczESN工AK,A (2)SzczESNIAK,AいS。,BRANDT,M.A,,FRIEDMAN,Hn S:J‖Food sci.,28,390(1963)
:J.Food5cよ.,28,397(1963)
STUDIES ON NOODLES
ⅠⅠ.Measurement of the PhysicalProper・ties of Noodle with a Textur・Ometer
Eizo MIKIand YoshiakiFuKUI
Summary
Effects of processing condition,COOking time,Standing time and temperature on the
physicalpr・Operties of noodle wereinvestigated by using a texturomter・The results
obtainedin this study were as fo1lows:
(1)Both hardness and cohesiveness values of uncooked noodle were decr・eaSed with
incr・eaSein water content… These tendencies,however,Wer・enOt SO Clearly observedin
cooked noodle,Only hardness value decr・eaSed withincreasing water content・
(2)Theincr・eaSeSin hardness and cohesiveness values and the decreasein adhesive−
nessvalues ofuncooked noodle were observed when the salt concentr・ationwasincreased
For the cooked noodle,hardness reached the maximum value at the salt crlnCentrationof
4%,While cohesiveness values appeared to be a maximum at2% salt concentration・
(3)Both har・dness and cohesiveness values werelittle affected by mixing and resting
temperIatureS,but adhesiveness values werIe Significantly affected by these temperatures.
(4)The decreasein hardness valuse and the slightincreasein cohesiveness valuleS
WerIe Obser・Ved as the cooking time pro]onged。
(5)The slightincreasein hardness valuse withincrIeaSing time was observed when
measur・ed with a molar・type plunger,however,nO Change was appreciatedin the mea」
surements using a cuspid type plunger・,Cohesiveness values wer・e decreased as the
standing time prolonged,and especially a rapid decrease was observedin2 hr・S after