一’l一
カキ炭痕病の病態生理学的研究,とくに雁病果実
の病徴発現にあずかるペクチン質分解酵素の役割
谷 利
Studies on the Phytopathological Physioiogy of Kaki
Anthracnose,WithSpecialReferencetotheRoleofPectic
Enzymesin the Symptom Development on KakiFruits
Toshikazu TANI 目 次 縮 口 第1葦 カキ異における本病の満徴と病斑拡大型
4 5 5 5 5 ′〇.〇 ′0 フ ァ 7 8 9 07 nU l 1
2 2 2 4 4 5 JO 7 7 1 イ一. 1 て 1 1 1 1 1 1 1 1 第1節 隈病カキ果の病徴 第1項 実験村料および方法 第2項 組織内紅おける菌糸の状態 第5項 細胞膜の染色性 第4項 病斑組織の黒変部位 第5項 考 察 欝2節 病斑の拡大型 第1項 実験材料および方法 第2項 病斑拡大の品種間差異 第5項 病斑拡大型の解析 第2章 本菌が分泌する多糖類分解酵素 欝1節 カキ果肉培地に分泌される多糖類分解酵素 第1項 実験材料および方法 第2項 酵素の種類と最適pH 第2節 ぺクチソ質分解酵素の分泌条件 第1項 実験材料および方法 欝2項 富有ガキ果肉培地における分泌 欝√5項 各種液体培地における分泌 第4項 表面培養における液化型酵素の分泌 第5項 液化ならびに糖化型酵素の分泌と培養期間 第占項 培地pHならびに糖含量と酵素分泌盈との関係 第7項 カキ果肉汁液における液化型酵素の分泌 第5節 本菌が分泌するぺクチン質分解酵素の種類欝1項 実験材料および方法
− 2 − 第2項 ZOne electrophoresisによる酵素の分別 第5項 分別した酵素の性質 第4項 カキ果肉培地に.分泌する液化型酵素の種類 簡4節 本菌が分泌するセルロ・−・ス分解酵素の種類 第1項 基質含有培地におけるNa・CMC分解作用
181921 21222525 24別25 鮎 鎚27272829295D5152525555髭 57575858585940 414141 42 454544 444445
第2項 糖化作用の基質 第5項 Cellulase Clの分泌 第5節 本章の考察および総括 第1項 分泌酵素の種類 欝2項 酵素の分泌条件 第5章 酵素基質としてのカキ果肉多糖類ならびに果肉中の酵素阻害物質 第1節 果肉多糖類の酵素的分解 第1項 実験村料および方法 第2項 果肉多糖類を構成する糖類のペーパークロマトグラム 第5項 粗製多糖類の酵素的分解 第4項 精製ペクチンの酵素的分解 第5項 酵素による多糖類の分解生成物 解る項 炭素源としてのカキ果肉多糖類 第7項 考 察 第2節 碁盤ガキ果肉申のペクチン質分解酵素阻害物質 第1項 実験胡料および方法 滞2項 柑害物質の分離 第5項 闊書物貿の分別 第4項 阻害物質の菌体生育におよばす影響 第5節 カキ果肉の酵素柑書物質と種々の阻害剤との比較 第1項 実験材料および方法 第2項 金属イオンの阻害力 滞5項 酵素阻害剤の阻害力 第4項 フェノール系化合物の阻害力 第5項 カキ果肉申の阻害物質と種々阻害剤との 第占項 考 察 第4節 本章の考察および総括 第1項 酵素基質としての果肉多糖類 第2項 酵素作用の阻害物質 第4章 ぺクチッ質分解酵素の分泌と病斑の拡大 第1節 酵素分泌愚と病斑拡大との関係 第1項 希薄しょう池培地における酵素分泌盟と病斑拡大との関係 第2項 病斑部における酵素活性 第2節 各種果菜類紅おける病斑拡大とぺクチン質分解酵素との関係 第1項 果菜類における病徴 第2項 曜病性果菜類の病斑部における酵素活性−5 − 4る 4る 47 48 48 48 49 49 49 50 51 52 第5項 果菜類切片の軟化 第4項 果菜類培地における酵素の 第5項 考 察 第5節 細胞膜貫通部位の顆微解剖的観察 第1項 実験材料および方 第2項 結果と考察 第4節 碁盤ガキ病斑部の解剖的観察 帝1項 実験材料および方法 第2項 病斑の大きさと菌糸蔓延の部位 第5項 病斑部の顧徴化学的観察 第4項 果菜類病斑部の顕微化学的観察 算5項 カキ果病斑部に.おける細胞膜黒変の原因 第5節 乾腐期における寄主細胞膜の破壊に関する考察 52 52 55 54 54 54 54 55 55 第1項 病斑拡大とペクチン賀 第2項 止り型病斑の 第5項 木蘭のぺクチン賀分解酵素と寄生性との関係 第5茸 軟腐性病徽の 第1節 牒病果の軟化過程ならびに軟化起因租物質の 第1項 実験材料および方法
欝2項 汁液の組織軟化カとpHとの関係
第5項 曜病果の軟化過程と汁液の軟化力との関係 5る 58 59 59 59 る0 占1 占1 る1 る2 占4 る5 る占 る7 る8 71 第4項 軟化を起因する植物質の 第5項 粗物質の多糖類分解作用 第2節 本菌が分泌する組織軟化酵 第1項 実験材料および方法 第2項 zone electrophoIeSisによる組織軟化酵素の 第5項 PMG一単位と組織軟化カとの関係 第5節 軟化果実における組織軟化酵素の分 第1項 実験材料および方法第2項 ZOne electrophoIeSisによる組織軟化酵素の
第5項 組織軟化酵素の分離ならびに・同酵素による多糖類の分解 第4項 軟化果の汁液における軟化力とペクチン液化力との関係 第5項 考 察 第4節 本章の考察および 結 摘 要 引用文献 SummaI■y …・小・……‥‥…U・……・− 4 − 緒 カキ炭症病ほ古くから各地に存在する疾病であ・つて,カキの重要病害の・−・つとされてしる.病原菌(Gん紺・ ・ざ♪07査■〝雛鳥α烏よHoRI)は主として果実と新生の柔軟な枝を侵害するはか,稀紅は葉をも侵すが,経済的被害ほ果 実で最も甚だしい発生の激甚なときは収穫がはとんど皆無になるばかりでなく,一度激発するとその軽減には 少なくとも数年を要する.また,栽培面積の最も多い品種富者が極めて曜病しやすいことも,本病が重要病害と されている理由の一山つであろうしかし,本病に関する既往の研究にほ断片的なものが多く,系統的なものとし ては鋳方(72)(1942)の報告につきるようであるり 本病の果実における発病機構を病態生理学的に解明する−・環 として,筆者は1955年以来,寄主組織の細胞膜破壊に関する酵素的究明に努力してきた 寄主組織を侵害する際,はとんどの植物病原菌ほ多糖類複合層である細胞膜を破壊せねばならないから,菌が 細胞膜を破壊する力を失なうか,あるいは何らかの原因で細胞膜が破壊されないようなものに変化すると,組織 内に.おける病原菌の聾延は阻止され,寄主一病原菌の栄養調係ほ遮断されようり 近年,ぺクチン質およぴぺクチ ン質分解酵素に関する基礎的研究のいちじるしい発達にともない(3S8き−85),病原菌の分泌する本酵素が病原性(7 10212786・434$・5795・9$100・109・111126・14=56・170−171,175185),品種間抵抗性(18・1928・2937・3い72),軟腐病(第5章参照)お よび萎凋病(12・1330・4糾9、8192、10り16−127140・14¢・174・179)の病徴発現などに関与するとの報告が極めで多く,植物疾病に おける同酵素の重要性は認識を新たにされつつある(68,l亀1 ̄183)またWooD(■83)は,一円祀〟如−α g7・の扇■戒5VaI\. わ与わcgの夏胞子に・おける同酵素の分泌(151)をとくにとりあげ,従来考えられていたよりも広範囲の植物病原菌が 同酵素を分泌するものと推定している・・−・方,多くの研究者(48・49−127140・174・179)によって\実験的に.立証されたかに 思われたトマト萎凋病の病散発現とペクチン質分解酵素との関係に対し,最近否定の動き(102・106・107)がでている ことも,この際見逃すことのできない点で,この種の研究におけるよ乃び如とわ宣Z浸わⅧとの結びつけの困難性を 示す−−=例であろう 従来の見解(167)に.よると,寄主細胞膜中層の破壊ほ多くの場合,病原菌のぺクチン質分解酵素に帰されている. しかし,軟腐性疾病以外にあってほ,その実験的根拠が極めてJ薄く,とくにね=痛川における基質一酵素間の関連 性を深く追及したものははとんどみあたらない(6$182) また,軟腐性疾病においても,既往の研究は病原菌の 酵素に主眼がおかれ,寄主の酵素ほはとんど無視されているが,最近,寄主の軟化には寄主自体のぺクテン賀分 解酵素が関与するとの推定(叫をみるに至ったのは,その意味において−特筆紅低いしようこのように,従来の 見解は必らずしも十分な実験的衷付けに立脚するものでほないから,筆者は,カキ炭痘病における寄主細胞膜の 破壊を追及するに.あたっても,病徴発現と病原菌および寄主のぺクチッ質分解酵素との関連性という基礎的問題 をまず解明すべきであると考えた 本論文は,既に発表した占報告(158・160 ̄1¢31叫紅未発表のものを加え,また既報の考察に上述の観点から多少の 訂正を試ろみ,系統的に取まとめたものであるすなわち,第1章に病徴と病斑の拡大型を論じ,第2,5茸に 病原菌の酵素と寄主細胞膜の構成物質に関する知見を述べ,第4,5章ではそれぞれ乾腐期,軟腐期(第1葦, 第1節参照)における寄主細胞膜中層の破壊機構を論じた また,第4章では,碁盤ガキにおける病斑拡大の停 止現象についても解明を試みた 本研究は香川大学農学部植物病学研究室ならびに約1年間の研修紅赴いた京都大学遊学部植物病理学研究室で 行なったもので,本稿を草するに・あたり,終始懇篤な御指導と御校閲の労を賜わった京都大学教授赤井重恭博 士,平素から御指導と激励を賜わっている本学教授内藤中人博士に深甚の謝意を表する.また,研究途上に種々 の御教示と御援助をいただいた京都大学助教授獅山慈孝博士,本学教授梶明博士,同助教授楢崎丁市民,同教授 川村信⊥・郎博士,同教授幡克美博士,同教授中潤三郎博士,同教授葦沢正義博士,同教授樽谷隆之博士,同講師 樽谷勝氏,京都大学教授小林章博士,同講師北川博敏氏,同助手上山昭則博士,同助手福富雅夫氏,京都府立大 学助教授正子朔博士,腿林省園芸試験場技官田中寛康博士に厚く御礼申し上げる さらに,供試材料ならびに研 究資料の入手にあたっては,前岡山県立農業試験場長鋳方夫彦博士,京都大学教授赤藤蒐巳博士,同助教授福田 照博士,愛媛大学助教授岩崎−・男氏,農林省芸園試験場技官山田唆−・博士,同技官伊藤三郎博士,香川県笠田高 等学校教諭関友明氏の御高配を賜わり,実験紅さいしては本研究室員諸氏の極めで熱心な協力をえた.ここに深 謝の意を表するしだいである な浄,本論文は京都大学審査学位論文を印刷に附したものである.
叫 5w
第1章 カキ異における本病の病徴と病斑拡大型
大部分の植物病原糸状菌は,寄主体内を伸長する麒に寄主細胞膜を分解あるいは貫通するが,その方法とし て1(1磯披的穿孔,(2)菌の多糖類分解酵素による溶解,(3)両者の併用,すなわち酵素に.よりまず細胞膜の構造を 弱めてから機械的に穿孔するもの,(4)菌の侵害による寄主体の異状な生理作用に基づく崩壊などが考えられる このうち,機械的穿孔についてほP.γヂゐ≠甜∽dβ∂α㌢・よα〝〝∽に関するMISHRA(109)の報告以外にあまり例をみないよ うである,他の5者ほ細胞膜の化学的分解という点では−・致しているが,分解の量的差異により病徴の発現が異 なるものと考えられる(呵.しかし,上述(4)のような,寄主体の生理的異状化の場合には細胞膜の局部的分解ほ 考え難いので,これは軟腐病にのみ認められるものであろうこのように.,病原菌による寄主組織の破壊の方法 ならびに程度が疾病の種類により異なるこ.とほ当然考えられるところであり,HusAINら(β8)ほ膵病植物の種類と 病徴と紅基づき疾病を9種類に分類し,また,WooD(182)は軟腐性疾病と他の疾病とを区別して論じている,筆 者も上述の観点から,異なる病徽に.あ・つてほ異なる立場からぺクチン質分解酵索の役割を論ずるのが妥当である と考える.したがって,まずカキ果匿おける本病の病後を明らかにして−おく必要がある. また,カキ果紅おける本病の発生は品種間差異がいちじるしく,激発した曜病性品種が同一周内にあっても抵 抗性品種には全く曜病果の認められない場合がある.緒言に述べたように,疾病に対する品種間抵抗性とペクチ ン野分解酵素との関連性を認めている報告があるので,本病でも雁病,抵抗性の両品種を対比して’研究すべきで あると考える, 上述の理由から,まず本章でほ.,かキ果における病後と病覚の拡大型につき論ずることとした. 第1節 躍病カキ果の病微 香川県下における本病の発生は,果実でほ主として8月下旬から始まり,9月■F旬一−10月下旬の期間に最も多 く,11月上,中旬の収穫期にほやや減少するようである罷病巣は早期に着色軟化し,多くの場合過熱状態(爛 熟)となって落果するため,従来,果実でほ軟腐健疾病とされている(168)”しかし筆者の観察によると,肉眼的 に病斑を認めてから7−・10日間ほ檻病,健全部ともに軟化症状を示さず,それ以後に果実全体が軟化するた だし,このような状態に.なってもしっ黒色の病斑部のみ・は軟化しないい これは・−・般の軟腐病々徽と趣を異にする ところで,したがって,発病の初期は乾腐性,後期は軟腐性といえよう 本病のカキ果における初期病徴の推移は,すでに鋳方(72)が詳細に報告しており,また軟腐時の病徽は第5 章,第1節,第5項に後述するので,ここでは外観的病徴の詳述を避けるが,解剖的観察結果に基づいて,細胞 膜の破壊状態からカキ果紅おける乾腐と軟腐を区別してみたい 第1項 実験村料および方法 9月下旬−・11月上旬に摘果した富有ガキに,本章,輝2節,第2項の方法でF−2号菌(第1表参照)を接種 し,24−2るOCの定温器内で発萌させ,約2×2×4mm$に.切りとった病斑部を凍結ミクロトームで厚さ50−200〝の 切片にし換鏡したなお,細胞膜の染色にほルテ∵ニウムレッド(127),鉄吸収反応(153),ZnC12−Ⅰ2・KI(】52)などを用 いた。 第2項 組織内における菌糸の状態 菌糸は果肉(中果皮)の細胞内を迷走し(節1図1,2),細胞膜中層を琶延するものは少ない“また細胞間 隙に菌糸が侵入している場合も極く稀であった維管兼の細胞にも菜故紙細胞と同様,菌糸はよく聾延してい る(同溺5)が,タン㌧=∴ン細胞中には菌糸は少ない.しかし,侵入をうけた同細抱ではタンニンは例外なく赤 褐色を呈し,内容物は凝固している(同園4).下皮下の石綿抱紅は菌糸は全く侵入せず,粟組織の菌糸は石 細胞の間を伸長して下皮紅達している.接種果を小7日間湿室に保つと,その表面に空中菌糸を生ずるが,こ の場合,角皮は裂関して表皮から分離しており,スダンⅢによる角皮層の染色性ほ変らない(同図5参照).F・・ 2号菌は.果実に分生胞子堆を形或しなかったが,これは分離後5カ年を縫過しているためと思われる.分離後2 カ月以内のK号菌を接種した果実でほ,石綿胞の ̄戸部と上部に子靂を形成し,角皮を裂関して生じた分生胞子 堆には多丑の分生胞子が観察された(同図5)某組織内の菌糸密度ほ病斑の中心に近い場所はど高い なお,ー 占 一一 菌糸と寄主細胞膜の接触部における観察についてほ,第4童,第5節で述つる 第3項 細胞膜の染色 カキ果菜組織の細胞膜はルテニウムレッドで淡紅色(詳細は第4童,第5節,第2項参照),FeC18・フェロシ アン化カリ(鉄吸収反応)で汲青色紅染まる.ただし,石細胞下の数細胞は前者でほ染色性低く,やや語録紅色 を呈するのみである・・これらの昌色反応は健全部,乾腐期の病斑部とも紅同様であるから,菜組織細胞膜のぺク チッ貿ほ菌が侵入してもあまり変化しないものと解されるまた,乾腐期の果肉某組織がはとんど崩壊していな いことから,細胞膜の分解あるいは穿孔は菌糸に接する微細な部分にのみ起こるものと思われる.ただし,接種 後7,9日の病斑でほ,中心部附近に.のみ部分的な組織崩壊がみられる(第1図占)したがって,長期間を経 過すれば細胞膜ほやや広範囲に分解するものと考えられる なお,健全果肉および乾腐期の病斑部の細胞膜は ZnC12−Ⅰ2−KIで染色され難い, 接種後ト10日以上を経過した軟腐期の果肉では切片作製が不可能なため,組織として観察することはできな かったが,接種針で採取した果肉小塊をスライドグラス上で軽く押しつぶし,水で懸濁状態にすると,細胞膜の 破片が検鏡されるしかし,これはルデニクムレッドで染まらず,ZnC12・Ⅰ2・ⅩⅠで帯胃色の淡褐色を呈するか ら,軟腐果肉の美貌織でほ細胞膜中層のぺグチン質はすべて水溶化しぺいると考えられるただし,このような 状態にあっても,タンニン細胞の細胞膜は全く分解されていない(同図7ニ) 第4項 病斑組織の黒変部位 乾腐期および軟腐初期の病斑はしっ黒色であるが,病斑周縁では必ずしもそうでなく,鋳卦72)は“入墨の如き 色”と表現している“、有傷接種したカキ果の場合,接種後ト2日には接種カ所の周辺約2mmが淡黒色の入墨状 を呈し それ以後しっ黒色紅変わる,このような入超状の病底部を検鏡すると,果肉菜組織に散在する維管束の 細胞膜に・黒変を認めるのみであるが,接種後2−4日のしっ黒色の病斑部では,菜組織の細胞膜が顕著紅異変し ている(第1図1参照)接種後7日でも異変部は細胞膜のみにとどまり,細胞内容物は着色しない この時期 までの病斑周辺部でほ,黒変細胞の周辺2−5層の細胞まで,維管束の細胞膜が黒変している.また,異変は外 部に向うはど淡くなっている.このようなことのために,病斑周縁が入墨状の外観を呈するのであろう..なお, タンニン細胞の内容物は病斑の中央膠ではすべて赤褐色に酸化しかつ凝固しているが,内容物の吐出,黒変など ほノ観察されないい したがって,タンニン細胞中のタンニンほ黒変には鰻関係であるといわねばならない. 第5項 考 察 殺生菌は菌糸が寄主細胞内に侵入するものと,細胞内にほ侵入せずに細胞間隙に生活するものとに大別される (1)。カキ炭痕病菌は前者紅属し,細胞内には多数の菌糸体が概容される.高等植物の細胞膜ほぺクチン,へ.ミセ ルロ−ス,セルロースなどの多糖類を主成分とする8層から成るので,木蘭々糸の細胞内侵入にはぺクチン屑の みならずへミ.セルロ−ス,セルロース層の貫通をも必要とする.本論又は,主として寄主柔組織の細胞膜におけ るぺクチン野分解を論ずるものであるが,上述の理由から,へミセルロ−スおよびセルローースを分解する酵素に ついても一席論述すべきであると考える. 植物菜組織における乾腐,軟腐の区別は人為的なもので,差異は必ずしも明瞭でない、多くの場合において, 両者ほ水分あるいは液体の浸出程度により肉眼的に区別されているようであるが,HusAINら(68)はキ.ユ.クリ黒屋 病の例をあげ,細胞膜質の不完全な酵素分解に・よる部分的破壊を乾腐としている‖すなわら,酵素的観点からす ると,両者ほ細胞膜中層のペクチン貿分解が部分的か否かによってある程度は区別しうる場合もあるといえよ ■う.カキ炭疫病の愕病カキ果は,初期にほ乾腐性,後期砿ほ軟魔性の病徴を呈する.しかして,本筋の解剖的観 察結果によると,前者の時期の細胞膜破壊は部分的で,後者の時期にほしめて広範隣に細胞膜中層が溶解する. このように,本病でほ,両時期における細胞膜破壊の状態は異なるのであるから,病徴発現とぺクチッ野分解酵 素との関係は時期別に論述すべきであると考え,乾腐期のものほ第4童,軟腐期は第5茸で論ずることとした‖
(占) 第1図 富有ガキ病斑部の解剖的観察 1..某組織内の菌糸草延状態(×柑0) わ:菌糸 t:タン㌧=∴ン細胞 2..同 上(×400) b‥菌糸 石細胞に近い組織であるため,柔細胞は上図より小さい.. 5.維管束内の菌糸蔓延状態(×400) b:菌糸 Ⅴ:維管束 p:某組織 4.菌糸のタン㌧=・ン細胞侵入状態(×400) h:菌糸 p‥菜組織 タンニンが凝固して内容物(t)と細胞膜 の間に間隙(i)を生じている. 5.角皮層を裂関して生じた分生胞子堆(×100) a:分生胞子堆 cl:角皮層 e:表皮 hd:下皮 p:柔組織 一石細胞(sc)の上下に子座(s)を生じる. るい 細胞膜の部分的な崩壊状態(×100) w:崩壊しない細胞膜 dw:崩壊した細胞膜 t:タンニン細胞 7い 軟化果肉申のタンニン細胞(×400) 凝周した内容物(t)を包む細胞膜(w)ほ崩壊していない.
− 7一 策2節 病斑の拡大型
本節では,各品種のカキ果紅本菌を有傷接屈して病斑の拡大を調べるととも紅,その結果に基づき乾衛期にお
ける病斑の拡大型を論じた 第1項 実験材料および方法 健全果の表面を70−80%・エタノ− ルを含ませた脱脂綿で軽くふき,2 時間室温で風乾後,側面に接種針で 直径約1−1.5mm,探さ約5mmの 孔を1カ所あけた∴−・方,あらかじ め希薄しょう池寒天培地に.250Cで 占日間増発の菌叢先端部から,なる 第1表 供試した分離薗株 分離したカキの / \ 、、 品種 部位 分離月日 採 取 場 所 香川大学大宮果樹園 同 上 同 上 同 上 同 上 同 上 徳島県市場町粗銅絹枝枝顆粗銅粗銅耕
ZJ ZJ ZJ 7〇 ∵/ ′//′+′. 〇 nU nU nU Ⅶ ⅩⅦⅥ 5 5 5 ′0 5 5 9 2 富 有 富 有 富 有 富 有 富 有 碁 盤 次 郎 クスズミ饉■ べく培地が附著しないように切りと った切片を果実上の孔に挿入し, 1400Cで1時間乾熟殺菌した脱脂綿 をのせ,殺菌水を1,2滴々下して 2ト280Cに保った..接種の翌日ふた たび殺菌水を脱脂綿上に滴下し,接 種後5日に脱脂綿を除いたり 病斑の 拡大は,しっ黒色の斑点が出現して から,その長,短径を0.5mm単位 で経時的に測定し,平均値から接種孔の 宙径を差引いて表示した..なお,1回に 果実5コを用い,1コでも軟化すると測 定を打切った… 供試菌は筆者が分離したもので,分離 年月日,分離カキ果の品種名,分離部位 ならびに採取場所は第1真のとおりであ る‖ なお,ぺクチン質分解酵素の分泌能 は菌株ごとに異なっている(第2占表参 照). 2 9 9 ′0 5 5 Ⅶ Ⅸ Ⅸ / ′/ / 2 5 7〇 5/Ⅸ−,59 同 _1二 4/Ⅸ−’59 徳島県阿波町 24/Ⅸ−†る2 京都大学附属農場 2ヲ/Ⅸ・’占2 京都府当尾 野目保 償在来秤 禅寺丸 皆召日 詰 看 藤原御所 次 郎ノ/■//。/
..二..・∴・.・∴・・.・・・ /、../../
病 斑 の 直 径 ( mm 葉 帽 愛 宕 慶山盤柿 作州身不知/ ///
第2項 病斑拡大の品種間差異 1955年9月2占日に岡山県立農試果樹分 場で採取した25品種のカキ異にN・1号 菌を同月27,28日の2回にわけて接種 し,接種後5−10日間にわたり病斑患径 を測定した(第2区l).この場合,匡ト・ 品種でほ個体あるいは実験ごとの差異は 無視しうる程度であったり いま,病斑の大きさごとに品種を分頬 すると大略つぎのようになるい (A)病斑大(9日日までに11mm以 上になるもの)小禅寺丸,甘百目,富 有,清道,宮崎無核,平無核,舎谷,横 野,葉隠 ⊥ ▲ ▲ 井 盤 稲 山 堂上蜂見 甲州百目 寒御所 ′′√ ̄ノ./ ノ../...../
四 溝 西 条 大磨盤 紙園坊 天神御所/ /■ /〆
、 / / 二っ・て・r一・▲ 三一r◆丁∴▲一
6 10 6 10 2 6 10 2 10 2 6 10 2 2 6 接 種 後 の 日 数 第2区】N−1号菌を有傷接柾した各種品種のカキ異におけ る病斑の拡大(2ト280C,占コの平均)− 8 一−− (B)病斑中(10E】目に9mm以上になるもの,あるいはその可能性が考えられるもの)…‥藤原御所,次 郎,御所,愛宕,慶山盤柿,作州身不知 (C)病斑小(10日員までに9mm紅達しないもの,あるいはその可能性が考えられないもの)…碁盤,稲 山,堂上蜂屋,甲州百目,寒御所,四溝(渋),西条,大磨盤,祇園妨,天神御所 また,病斑拡大と接種後の日数との関係を検討すると,つぎの5型に分類できる. (A)直線型(接種後経過日数とともにはば直線的に拡がるもの)‥個百目,富有,宮崎無核,乎無核, 舎谷,横野,葉隠,次郎,愛宕,慶山盤柿,作州身不知,稲山,堂上蜂屋,甲州百目,寒御所,四溝,西条,祇 園坊,天神御所 (B)上昇型(接種後る一−9日に拡大速度が速くなるもの)州禅寺丸,御所,清道 (C)止り塾(接種後2−4日から拡大速度が遅くなるもの)碁盤,藤原御所,大磨盤 供試25品種のうち,碁盤ほとくに病斑の拡大が特異的で,大型病斑が急速に出現するにもかかわらず,その後 ははとんど拡大しない… 類似の現象ほ藤原御所,大磨盤にも認められるが,碁盤はど顕著でない.なお,供試品 種のうち,砥園坊および天神御所にF−2号菌を接種すると病斑ほ中程度であった..この2品種濫ついてはさら に追試を要すると考え,考察には加えないことにする 鋳方(72)が碁盤果で病斑の拡大を測定した結果によると,上述の傾向ほ認められて−いない..その原因として, 供試菌の違いが考えられたので,さらに11種の分離菌株(N−1号菌を含む)を用い同様の実験を行なったい す なわち,19る2年9月29日に・富有,平無核および碁盤果それぞれ20コにF−2号菌を,また同年相月1D,1る日の2 臥 それぞれ5コザつの果実(1品種に つき計占コ)紅10種の菌株を前述の方法 で有傷接種し,24−2るOCに保って病斑直 径を測定した.ただし,本実験では脱脂 綿上に殺菌水を滴下せず,また,供試果 ほいずれも京都大学農学部瀾属農場から 採取したものである..実験紆果ほ第5図 のとおりである. F・2号菌の痛覚は.他の菌株にく らべ ると大きいが,同菌株を10月下旬に摘果 した富有に接種した場合でも同様であっ た.したがって,これは摘果日の違い紅 よるものでほなく,病原性の差に基づく ものと考える.また,N・1号菌の病理 が第2図の同・−・品種のものより小さいの は,分離菌の保存日数,または.果実を採 取した圃場の違いなどによるものであろ うか。それはともかく第5図で明らかな ように,各菌株とも碁盤では止り塾の病 ーー .⊥ メオけ.山 二三 ̄ ̄ ̄ −;− ・ ▲ て ・ ・ L Y N3 ■t る 病 斑 の 應
:l;一一:二・二:∴■‥こ‥−こ∴
/ゥ‘ ] 2 4 6 径 8 mm 4 2 4 6 2 4 6 2 4 6 接 棚 彼 の 日 数 第5図 各種分離菌株を接種した碁盤ガキにおける病斑の拡大 (24−2占OC,万・2ほ2ロコ,他は占コの平均) 斑を形成している。この他,香川大学農 学部大宮果樹園から採取の碁盤に分離菌株5種を接種し,同様の結果をえている(158)..このように,碁盤の病斑 拡大型ほ他品種と明らかに異なるものである. 第3項 病斑拡大型の解析 カキ果実の本病匿対する抵抗性が品種によりいちじるしく異なることは古くから知られているが,鋳方(72)ほ 実験的にそれを証明して,圃場観察と接種試験(有傷)の結束とがはぼ等しいことを明らかにした.本節実験で も,病斑の大きさを基準托して品種間抵抗性を分類すると鋳方(72)の結果に大体・十致するが,本節でほさらに病 斑の拡大速度紅基づいて拡大型を5型に大別した.いまそれぞれの塑を模式的に示すと第4図のとおりである. 本院のト1およぴⅠ−5は,いずれも直線型に属し,両者は同一・期旧内の病斑直径で拡大率を比較して差支え■・− 9 − なかろう.つぎに,ト2はある日数経 過以後に拡大が速くなる型である。筆者 の観察紅よると,この型の果実は図中の ×印以降にはやや軟化し,かつ同時期の カキ果ほ生理的に異状であると考えられ るので,この型の品種でほ×印までの期 間の病斑拡大率を問題にすべきであろ う.また,ト1,ト5型の品種におい て:も,接種後11−15日を経過して果実が 軟化しはじめると,病斑が急速粧拡大す るよう観察されたから,乾腐期の病斑拡 柄 斑 の 組∵径 不才 傷接 種 後 の 口 数 第4図 柄斑拡大に∴おける 2型式 大型を論ずる場合には,]卜2も本質的 に.は痘線型と考えるのが妥当であろ■う 第2,5図から明らかなように,はとんどのカキ果ほⅠ型に属する.これに対しⅡ型では,初期の病斑ほ大 きいが以後の拡大が遅い.仮にⅠ型を拡大型,Ⅱ型を止り型とすると,両者の病斑拡大を比較するに咋,黒斑が 現われた追後の病斑眉径,それ以後の拡大速度の2者にわけて考えねばなるまい.前者を基準紅すると碁盤の病 斑は供試品種中最も大きいが,拡大速度で比較すると同品種の抵抗性は最も大きい.すなわち,碁盤果実に本菌 を有傷接種した場合,病徴の発現と拡大とほ異質のものと考えざるをえない.従来,斑点性の病散を示す疾病に おいては,発病抵抗と拡大抵抗とほ同義的に取扱われて−いるようであるが(7),カキ果の炭癌病でほ上述の理由に 基づき,発病し難い場合を発満抵抗,病斑が拡大し難い場合を拡大抵抗と考えたい.しかして,カキ果肉某組織 における本菌々糸の草延にぺクチッ質分解酵素がどのように関与するかを論ずるに.ほ,有傷接種により発現した 病斑の大きさよりも,経時的な病斑の拡大を問題にすべきである 上述の理由から,拡大抵抗の最も大きい品種として碁盤ガキ,またその小さい品種として富有ガキを以下の実 験に供することとした
第2章 本薗が分泌する多糖類分解酵素
炭疫病菌が分泌する多糖腰分解辞素については,G10COISboriumkawahami’(124)のpolygalacturonase,Cellu・ lase,aIabarase,galactanase,G.laeticola(89)のpectinase,Ce11ulase紅よる糖化作用がそれぞれ報告され, G”0・ivarum(143)では.cellulaseによる繊維素分解作用が,またGlomeY’ella cingulda(6り4l・17う)でほpectic enzyme,eXO−glycosidase,Cellulaseによる基質添加培地の還元力増加ならびにCelluユase Cx,Cellulase Cl の存在が知られているい さらにCoJJβわf′・よcカ“桝Jαgβ乃α7よ〝桝(12・141・169・17いS6)においてほ,基質添加培地の還元力 を増加するpeCticenzyme,ペクチンを液化するpectinolyticenzyme,ぺクチン酸を糖化するぺグチン酸分解酵 素,peCtin methylesterase,pOlygalacturonase,Ce11ulaseCxの諸作用が報貸され,C・r Phomoides(141)でもpectic enzy皿e,Cellulaseの分泌が知られている カキ炭廟病菌(Gわβ0・Sか〝飽朝一如愈)も,侵入の際,果肉の多糖類を酵素的に分解するようであるが(72),該 酵素の種類ほ明らかにされていないので,本童ではこの点を追究した 第1節 カキ果肉培地に分泌される多糖類分解酵素 植物病原菌の多糖類分解酵素に関する既往の研究は,多くの場合,寄主成分と全く無関係な合成培地を使用し ている.しかし,これら酵素の生産は培地の組或により,また分泌酵素の種類ほ基質の有無によっていちじるし い影響をうけることが知られている∩ したがって,病原菌の酵素を調べるにほ,培地の栄養源,基質などをなる べく摘1淀川の状態に近づけるこ.とが望ましい. 本節では,湿熟殺菌したカキ果肉切片の培地に分泌される本菌酵素の種類匿ついて述べる.なお,カキ果肉多 糖類のモノマーーは主にガラグチ.ユ.ロン酸,キジロ−ス,グルコ・−スであるから(第5童,第1軌第2項参照),
−10・− ここではペクチン酸,キジラン,セルロL−スを基質とし,酵素の分解作用を検討したい 第1項 実験材料および方法 (a)培地ならびに培養法 摘果直後の富有ならびに碁盤ガキ果実を7ロ%エタノールで表面消毒後,滅菌ナイフで剥皮し,1′5cmの厚さに 横断,さら紅縦に4分してぺトリ皿に入れ,油紙に包み,コッホ蒸気殺菌釜で50分間加熱殺菌した。つぎに,あ らかじめ希薄しょう油液体培地に250C,5日間培養した菌体(N−1号菌)を殺菌水で洗浄,乳鉢で軽く磨砕し, 適監の殺菌水を加えて懸濁液とした後,滅菌した脱脂綿で前記殺菌果肉の表面に塗布した.培養は250Cで5日間 行なった” (b)酵素液の調製 培蕃後の果肉から種子を除き,等昆の蒸留水を加え.て−ときどき撹拝しながら2時間放置後ワ−リングプレンダ −で磨砕してカユ状とし,布袋で圧さくろ過した.ろ液は遠心分離(4,OOOrpm,10分)し,上澄をCe11ulase Cxの粘度低下作用,endo・pOlygalacturonase(endo−PG)作用ならびに組織軟化作用の実験紅供した… しか し,本液ほ多鼠の還元糖を含み,還元力増加作用を測定するにほ不適当であるから,小沢(1叫の方法に準じ精製 した.すなわら,上達液に5.5倍鼠(Ⅴ/V)の95%冷ユタノ・−ルを徐々に加え,生℃た沈殿を遠心分離(2,0口0 Ⅰpm,15分)し,80%冷エ・クノールで数回,最後匿95%エ・タノールで1回洗浄後,00Cで真空乾燥した.えられ た褐色粉末の標品を使用時に原果肉重の1/5鼠の蒸留水にとかして酵素液とし,eXO”POlyga】acturonase(exo− PG),ⅩylanaseおよびNa・CMC糖化の諸作用測定に供した.なお,酵素の不活性化を防ぐため,.以上の操作ほす べて:0−100Cで行なった. (C)基質ならび庭反応液の調製 基質に.用いるぺクチン酸の調製は福本(伯叱準じた.すなわち,市販カンキツぺクチッ(島久薬品)5gを500c の温浴中でN/10NaOHlOO皿lに,撹拝しながら溶解し,2時間放置後2倍鼠のHCl”lエ・タノー)Vを加えで酸性(pH 2)にし,生じた沈殿を70%.エタノールでCl ̄の反応がなくなるまで洗浄した.さらに85,95%および無水エタノ ールで順次洗浄,.エ.−テルで脱水,風乾した.また,キジランほイネわらから日比野法(】15)で調製し,Ce11ulase Cxの基質にほ市販のNa・カルポキVメチ・)L/セルロース(Na−CMC,島久薬品)をそのまま用いた。 反応液の処方はつぎのとおりである. ml ml ml
酎551
桐山m・m.滴 糖2215 測定法 基質(1%溶液) 酵 素 液 McILVAINE綬衝液 トルか−ル (d)酵素作用力の測定 糖化酵素の作用力ほ,20時間,150OCで反応後,SoMOGYI・ScHAFFER・HARTMANN法(39)で還元力を産屋し, 1000C,15分間加熱の酵素液を加えた対照区の滴定値を差引いて求めた..粘度低下の測定にほ,50◇Cの恒浣槽で 1時間反応させてから,反応液の粘度変化をオストワルド粘度計※で測定し,分解率(A%)を梶(7¢)に・したが い次式で算出した. (Ta ̄Tx) Axhr%=/(Ta_T。)×100
ただしTa:不活性化した酵素液を配合した反応液の落下速度,または反応0時間における反応液の落下 速度 Tx:酵素液を配合した反応液のⅩ時間後における落下速度 To:基質を含まず,蒸留水に酵素液のみを加えたときの落下速度 (速度は秒数で表わす) 軟化力の測定にほ,汐ヤガイモ塊茎の中心部の均−・な組織をコルクポ−ヲ−で直径約10m皿の円柱に切りぬき, 50分間蒸留水に授精後ハンドミクロトームで厚さ0.5mmに切断した円坂10コザつを,酵素液5ml,McILVAINE 謙500cに.おいて蒸留水5mlが落下するの紅組50秒を要した−−11一 級衝液1mlの混合液に入れ,トルか−ル5滴を滴下して,500c,20時間後にその軟化状態を調べた・ 第2項 酵素の種類と最適pII
本菌の富有および碁盤ガキ果肉培地における生育は良好で,空中菌糸の生育状態にほ両培地間に肉眼的な相違
を認めなかったが,基中菌糸は富有のはうがやや厚かった.いま,各種pH偶における酵素作用を示すと,第5 図のとおりである 本菌はぺクチン酸,キンラン,Na− CMCを糖化,またNa CMCを液化す るそれぞれの酵素をカキ果肉培地に分 泌するい 糖化作用では,ペグチ:/酸に 対する活性が最も強く,その最適pH は5.2附近で,CoJJβ′〃≠㌢よcカ〟招Jαgβ一 礼飢り紆椚(186)の値とはぼ・−・致する 一一一 方,キンラン糖化作用の最適pHほ4..4 附近で,凱一〆βd去α扁■路用ね(1呵の2種 のⅩylanaseが示す最適pH15l8,5..4のは ば中間にあたるが,Cカαβね増産〝∽gJ〃 わ5〟∽(148),Coc肋■0∂βJ〝・S研よγα∂βα〝〟・S (7)の占.5,ムーアよ り も低いリ Na− CMCに対する糖化,液化作用の最適 pHほ,富有培地でほそれぞれ5…2, 4い5附近であるが,碁盤ではそれぞれ 4.0附近.,5.0以下である.繊維素ない し水溶性のセルロ」−ス誘導体を分解す る酵素の最適pIiほ菌の種類により異 なるものの,大体5』一7り0(2・5−7・50・51・ 61・93)のようであるから,本菌の酵素も その例外ではない.赤井ら(4)ほ助紺査・ nia caYOtOVOraにおけるpIOtOPeCti・ nase活性の巌適pHは培養条件により 異なると指摘しているが,本実験で鼓  ̄丁一子十T
ミ ーー 富有ガキ培地 トーー・− 碁敵ガ牛培地 哩 喝 恨 還 元 力 増 加 力 ; 加 ( mg ) 01 ql 3 4 5 6 7 反 応 液 p‖ キシラン糖化 3 4 5 6 7 反 応 液 pI† q3 昭 甲 還元力増加 ︵mg︶ ノ■・−・・●・・・t・ 一い′ ● ̄ ヽ、 ヽ、■ 3 4 5 6 / 反 応 液 pH 35 4S 55 65 75 反 応 液 pH 第5図 富有および碁盤ガキ果肉培地に分泌される多糖頬分 解酵素の各種pHにおける作用力 (250C,培贅5日,2回実験平均) *反応20時間後における反応液1ml中の還元糖鼠 (グルコースに換算) **反応1時間 適pHが相違したのも,培地に混在する物質の影轡によるものであろう∩ 本節で測定したすべての酵素作用は,各pH値とも富有培地からえたもののはうが碁盤のものより活性が高く, とくにべクチン酸糖化において両者の差ほいちじるしい−この点は,両品種における病斑拡大の差異と併せ考え るとき興味深い. 液化型ペクチン質分解酵素の分泌は多くの植物病原糸状菌で報告されているにもかかわらず(第5童,第4節 参購),本節の実験ではpH5−8の範囲で,両果肉培地ともぺクチッ酸液化,ジャガイモ切片軟化の両作用を全 く示さなかったハ しかし,ColE膵l)によると,動か・〆よ・ざC∠〃βγβα,5cJβ7・0′≠如αメタ・裾玖㌍鋸,5・Jα・別れは酸化 したリンゴの汁液申でほぺクチン野分解酵素を生産しないのに,正常な人工培地では生産するという.したがっ て,本実験のみから本菌は該酵素を生産しないということはできないが,追試に催する注目すべき点であろう (本茸,第2,.5節参照)り 第2節 ペクチン質分解酵素の分泌条件 植物病原糸状菌においてほ,液化型のぺクチッ質分解酵素を分泌しても糖化型の同酵素は分泌しないという例 (1244・116・17r=77)は比較的多いが,前曲のような逆の例ほ;粁常に少ないようである.したがって,カキ炭疫病菌は 液化塾ぺクチ・ン贋分解酵素を本質的に生産しないのか,あるいはカキ果肉培地では生産または分泌が阻害される−12− のかを明らかにするため,本節の実験を行なった小 間時に.,ぺクチン野分解酵素の分泌条件も検討↓た.なお, 酵素分泌監とほ,体外に排出された酵累の総監をいうべきであろうが,その測定ほ現在のところ不可能に近.いか ら,本論文でも慣例に従い,「分泌総監一不活性化鼠」,すなわち,培養後における培地中の酵素活性を・一定条 件下で測定した値によって分泌監を表わすこととした. 第1項 実験材料および方法 未熟枚菌した富有ガキ果肉切片を培地とし,F・2号菌を供試し,基質にはペグチッ酸を前節,第1項の,ま たぺクチンをつぎの方法で調製して用いた。すなわら,市販のカソキツぺクチン(島久薬品)5%水溶液湛2倍 蕊のエタノ−ルを加えて撹拝殴占00Cの温浴に.2時間保ち,冷却後ろ別した沈殿を70%エタノールに懸濁,ふた たびる00Cの温浴で2時間加湿した..本操作を5−4匝1繰返して混在する還元姓物質を除去し,85,95%および無 水.エクノールで順次洗浄後エ・−テルで洗い風乾した. 酵素標品の調製は10飽和の硫安で塩折する方法,アセトンによる沈殿法,培養液そのままを用いる方法など によったが,詳細ほ各実験の項で述べる. 反応液の処方は梶(7¢)にしたがいつぎのとおりにした. 基質(】%溶液) 2.5ml 酵 素 液 1.5ml McILVAIがE後衛液 1Oml トルオール(糖化力測定のときのみ)5滴 反応温度を550Cとし,pH50における粘度低下を反応1時間後に,還元力増加を20時間後に測定したが,液 化力ほ前節,第1項の分解率Alh,%,梶(i7)に準ずるPGqあるいほPMG一単位輩で表示した。オストワ)L/ド粘 計には45またほ占0砂附近(蒸留水5ml,550C)のものを用い,酵素液ほ50−50Alh,%の分解率になるようあら かじめ希釈した.. 第2項 富有ガ辛果肉培地における分泌 1000C,50分殺菌した富有果肉50gに菌体懸濁液を塗布し,250C,5−18日間培養後,前節,第1項の方法で抽 出液をとった.該液に2倍鼠の冷アセトンを徐々に加え,前節,第1頓に準じ生じた沈殿を漸次高波皮のアセト ンで洗浄,其空乾燥して淡哉白色,粉末状の酵素 標品をえ.た..使用時にほ,原果肉重の1/8相当の 蒸留水に溶解し,液化,糖化の基質世はそれぞれ ぺクチッ,ぺクチン酸を用いた巾 実験結果によると(第占図),液化,糖化の酵 素作用カはとも紅培養後5日に最高となり,同占 日には急に低下する小 ただし,ぺクチ∴/酸糖化作 用は占日以後18日までははとんど不変であって, その間明らかに活性ほ存在する∴−・あ ぺクチ∴/ 液化作用でほ占日以後18日まではとんど活性がみ られないが,5日目の分解率ほ.58%であるから, ある種の条件下では液化塾酵素も分泌されること ほ想像に難くない.、 第3項 各種液体培地における分泌 前項でぺクチン液化酵素の分泌が明らかになっ たので,同酵素の分泌条件を追及するため,まず 液体培地における活性を調べた.すなわち,200 3 6 12 1$ 培 養 日 数 第‘図 富者ガキ果肉培地紅おけるぺクチン質分解 酵素の作用力と培脊日数との関係 (250C,2回実験平均) *反応20時間後における反応液2mlが消 費したⅣ/200Na2S208のml数 **反応1時間 葦0.5%ぺクチン酸(またほぺクチッ)の粘度を550cで1時間に.45%低下する酸素癌性を10PG (または10PMG)・単位とする.
−15− ml容三角フラスコに培地50mlずつを分注し,東薄しょう油寒天培地紅あらかじめ5日間培養した本菌々叢の先 端を移植して,250C,12日間培蕃後,ろ液のペグチ・ン液化力を測定した(第2表).それによると,各液体培地 の菌体生育鼻にほ大差がな いにもかかわらず,ペグチ・ ン液化作用カは培地によっ て差異が認められる一. この原因は栄沓源,培地 pHなどに.よるものと想像 されるが,いずれにして:も 果肉培地の抽出液にくらべ るといちじるしく作用力が 大きく,なかでも希薄しょ う油,ぺプトン加用合成培 地器でほ約90,000単位を示 している. つぎに,250C,12日培 養の各種培脊液を次節,第 1項に準じ硫安塩析,透析 し,えられた粗酵素液を適 宜蒸留水で希釈後,ペグチ・ ン液化,ぺクチン酸糖化の 両作用力を測定して,両 者の比を指数(還元力増加 ml/PMG・単位×100)で 比較した(第5表). それによると,ぺクチン 無添加培地における指数ほ ぺプトン加用合成で最も低 く,ツアぺノクはやや高い 第2表 4種の液体培地匿おける液化型ぺクチン分解酵素の分泌 (250C,培蕃12日,2回実験平均) 菌 体 重 PMG一単位/フラスコ培餐後のpH (ng/フラスコ) 培 地 nU 7つ ′0 9 4 5 4 5 索汚 し ょ う 油 ぺプトン加用合成 づ チ ャ− ズ ツ ア ぺ ッ ク nU l ′O nU 8 9 8 4 4 7〇 7へ︶ 4 88,00〔) 88,00D 29,000 5,D口0 富有果肉( 29* ・く4.4* *第占図から算出 第5表 各種培地における液化型ならびに糖化型ぺクチ∴/貿分解酵素の 活性比 (250C,培希12日,2回実験平均) PMG一単位刷 還元力増加(鋸 B/AXl口0 培 地 4、.る 7−.4 2.0 5.d 5.1 痛 蒋 し ょ う 抽 同上十1%ペクチン ぺプトン加用合成 リ チ ャ− ズ ツ ア ぺ ッ ク 兆亜24 5055 nU nU O ︵U O 5 nU ′0 2 4 ′0 富者果肉く冨芸是≡** 1,.09 15..る 0.72 >72 *反応20時間後の反応液2ml中の還元糖鼠(mg)(グルコ−スに換算) **解る図から算出 が,すべて2−5の範匪匿 ある.これに対しカキ果肉培地の指数ほ,12日間培贅で72以上,液化作用の最も高い培養5日でも15るを示し, どの液体培地よりも糖化作用が液化作用にくらペですぐれて.いる.この場合カキ果肉培地でほ,0、.4−11.1%(7r)の ぺクチ∴/質を含む関係上,糖化酵素の適芯的生産もー応想像されたが,1%ぺクチン添加の希薄しょう油培地に おける指数が7小4にすぎないことから,そのようなことほ否定されよう.. さらに,第2,5表の結果に基づき,各培地が示す糖化作用カのカキ果肉培地のそれ紅対する比率を静出遵#す ると,果肉培地(培養5日)1に対し,同(培養12日)Dい4,希薄しょう油40,000,ぺプトン加用合成17る,リ チャーズる04,ツアぺノク254となる∴すなわち,カキ果肉培地では,他の培地紅くらべて,糖化作用も低い.. 以上の5点から,カキ果肉培地では何らかの原因によって雨酵素,とくに液化酵素の分泌が抑制されるのでほ ないかと考えた.以下にその原因の究明を試みたい(本筋,第4−7項参照). 葦ぺプt・ン1%,しょ糖5%,KH2PO.】0.2%,MgSO4い7技200‖05% 定※指数=等×諾意た軋,a,b‥各培地に醐る同劇酵素液の液化カ(a)と糖化力(b) 第5表から引用 C:1フラスコ当りの液化力第2表から引用 ak,bk,Ck:培発5日のカキ果肉培地におけるa,b,C
−14一 帯4項 表面培養における液化型酵素の分泌 本節第2項の方法でカキ果肉培地に本菌を接種した場合,培養後5日にほ基中菌糸のみが繁殖し,同占日に空 中菌糸が出現する,−・方ぺクチッ液化酵素の活性は前者の時期では明らかに検出されるが,後者の時期にいたる とほとんど認められない(第る図参照)また,本節,第5項の液体培養でほ,菌蓋が液中に生育して空中菌糸 ははとんど観察されないが,この場合にも酵素清隆ほ.いちじるしく高い(第2表参照).このような諸事実から, 本菌は表面培贅よりも深部培養のときに同酵素を盛んに分泌するのではないかと考.え,以下の実験を試みた 20Dml容三角フラスコに入れた50gの富者ガキ果肉培地に,本童,筋1節,第1項の方法で菌糸懸輯液を塗布 し,250C,5日間培養後,殺菌蒸 第4表 富有ガキ果肉培地紅おける液化型ぺクチン賀分解酵素 留水50mlを注加して.菌体を培地の の分泌におよぼす浸潰処理の影窄 まま全く水中に沈め,さらに5日間 (250C,培養占日,2回実験平均) 培養したいま,浸漬しない果肉培 養(る日培贅)を対照区とし,ぺク チン,ペクチン酸に対する培地抽出 液(前節,第1項参照)の液化作用 を比較Lrてみると(第4表),対照 区ははとんど作用を示さないの紅対 し,授潰区には酵素活性が明らかに 処肇=区 培養後のpH 基 質 PMG一単位/フラスコ クチ ン 200 ぺ ぺ /ノ\ 浸漬区 対照区 250 酸 ヽ′ チ ク ン ≡・50 クグ ぺ ぺ ′ノし チ 存在するしかし,この場合でも液 体培養のものに比較するといちしるしく低い(第5表参胸). つぎに,空中菌糸が発育するような状態で希薄しょう池およびリチャ−ズ培地に液体培養し,液化型酵素の分 泌を調べたすなわち,200ml容三角フラスコに培地50mlを分注後,殺菌ガラス綿2..5gを加え,菌体が液中紅沈 まないよう・その上に移植して250C,12日間培養後,ろ液のぺクチン液化作用を測定した.また,カキ果のかわ りに汐ヤガイモ塊茎とリン ゴ果肉の各切片を5Dgずつ 200ml容三角フラスコに入 れ,前者紅ほしょ糖2.5g を加え,殺菌後菌糸懸濁液 を表面に塗布して前記同様 に培発し,前節,第1項の 方法で調製した培地抽出液 を酵素放としたその実験 結果ほ第5表のとおりであ 第5表 各種培地の表面培贅における液化型ぺクチン質分解酵素の分泌 (250C,培脊12日,5回実験平均 監g′共ス男pMG・単位/フラスコ培嚢後のpH 培 地 *培地と菌体の分離が困難なため測定しなかったが,発育ほ良好である る ガラス紙上に接種した場合,カキ果肉培地のときはど多くほないが,明らかに空中菌糸を形成した.そのぺク チン液化作用は,ガラス綿を入れずに培養したもの(第2表参照)にくらべて,希薄しょう油培地で10/兆,ク チャーズでは1ロ/12占にそれぞれ減少しており,カキ果肉の浸清培発と同一イ頃向を示している∴−・方,汐・トガイモ 塊茎およびリンゴ果肉培地の示す液化作用ほ,両培地における菌体の生育がカキ果肉培地と極めて類似していた にもかかわらず,カキ果肉培黄の浸潰区(第4表)紅くらペはるか紅強い 以上の結果から,木蘭がカキ果肉培地で液化型酵素をはとんど分泌しないのほ,好気的培発条件がその・−・因で あるが,それのみに基づくものでほないと考える 第5項 液化ならびに糖化型繋素の分泌と培養期間 カキ果肉培養では5日後の液化,糖化両作用ほ大きいが(本節,第2項参照),この時期は果肉表面に菌糸が からみあい滞膜を形成しはじめたときで,d日頃のような菌蓋はなお形成されていない“このことから,両酵 素の分泌ほ生育の旺盛な若い菌糸でいちじるしいのではなかろうかと考えたそこで,菌の生育時期と酵素分泌
−15一
恩との関係を明らかにするため,分泌の最も顕著な希薄しょう抽培地に25。C,5−27日間培養後,ろ液の酵素作
用と菌体乾燥重を測定したなお,200ml容三角プラ・スコに25,50,100mlずつ培地を分催し,それぞれにつき
測定したのであるが,5老ともはぼ同一傾向を示したので,ここには50mlの結果だけを示す(第7,8区ト)
7 6 5 4 3培養彼の画
培養後の渾
8晋㌢ラ㍗︵卿パ
培 養 日 数
第8図 希薄しょう油培地における糖化型ぺクチ ン肇分解酵素の分泌と培餐日数との関係 (250C,2回実験平均) *培産液を100倍に.希釈して酵素液とし 反応20時間後の反応液1mlが消費し たぺ/20DNa2S20$のml数 両図によると,両酵素作用とも対数胡にいちじるし く増大し,同末嘲に最高となり,生育の停止期には低 下するこのことは,液化,糖化両酵素ともに,若い 菌糸で分泌が旺盛なことを示すように思われる・しか し一・方,培地pHの変化との関係をみるのに,その値 の低下につれ酵素作用は増大し,培地の糖が消費しつ くされ(フェ−リング反応−),pHがる以上になると 減退しているすなわち,上述の酵素分泌には・培地 pHと糖含星が漬按関与しているとも考えられる・な ぉ,反応液はすべてpH5,0に緩衝化したので,培地 pHは静発作用測定にほ.影響していない 第8項 培地pIIならびに糖含盈と酵素分泌 盈との関係 上述の推定を確かめる一一助として,まず酵素分泌に およぼすpHの影響を明らかにしたすなわち,200ml 培 養 日 数 第7図 希蒋しょう抽培地における液化型ぺクチン 質分解酵素の分泌と培養日数との関係 (250C,2回実験平均) 1 7 3 9 1 竿計/フラスコ︵畑︶ ホ 還元力増加 ︵ml︶ 3 4 5 6 増 資 前 の 渾 第9図 希侍しょう油培地におけるぺクチン質分 解酵素の分泌と培地のpHとの関係 (250C,培沓12日,2回実験平均) *培養液を100倍濫希釈して酵素液とし, 反応20時間後の反応液1mlが消費し た〃/200Na2S208のml数−1占一 客三角フラスコ紅分注した希挿しょう抽培地50mlにjVlOHClまたはNaOHを滴下して殺菌後のpHが5.5一占い8に. なるよう調製し,250C,12日間培養後,ろ液の酵素作用をpH5.0で測定した(第9図) その繚果,菌の生育は培養前pHが5い4のとき最高であるの紅対し,酵素作用は液化,糖化カとも4い2のとき最 大を示し,またp‡Ⅰ51・5のはうが54一る・8よりも作周力は大きい。したがって,本菌の酵素分泌は比較的酸性の強 いとき旺盛であるといえよう つぎ紅上記同様の方法によって,0−10%のしょ糖を添加した頑蒋しょう池培地に25◇C,12日間培養してろ液 の酵素作用を測定したとこ・ろ(第10図),液化,糖化の両作用とも2ふ10%添加区で高く,1%以下の区ではい ちじるしく低い無添加,05および1% 区ではしょ糖ほすでに消費しつくされてお り(フェ−リング反応−),培養後のpHも 占、8以上になっている“したがってこれら の区でほ,菌の生育ほ.停止期にあり,pH の上昇が酵素分泌を低下させたものと思わ れる.・一方,2,5,5および10%区では培 養後のpH,菌体重に大差なく,いずれも フェーリング反応は十であるから,しょ糖 濃度以外の条件は−・応同・−・とみなしうる. ところがそれらの酵素活塵.には大差がない のであるから,しょ糖濃度ほ酵素分泌を値 接には左右しないものと考える小 第7項 カキ果肉汁液における液 化型繋真の分泌 富有ガキ果肉培養において,d日以後に 液化塾酵素の分泌が少なくなる原因には, 菌体が好気的条件下で生育し,また生育旺 盛な若い菌糸の少ないことが関係するもの と考えられるが(本筋,第2,4,5項参 照),これらの要素は分泌阻害の連接的原 、b
轡単軋イ
菌00体重へ影ウラス。︶ 4 2 還元力増加 4 テ ス コ O q51 之5 5 培 地 の しょ糖 濃 度(%) 第10図 希薄しょう油培地におけるぺグチン賀分解酵素の分泌 と培地のしょ糖濃度との関係 (250C,培贅12日,2一引回実験平均) *培養液を100倍に希釈して/酵素液とし,反応20時 間後の反応液1mlが消費したAソ200Na2S208の ml数 培贅前の培地pH:ほ5.4 因に.はなりえないようであるから,培養後 のpH,カキ果中の分泌阻害物質(本節,第4,占項参偲)などをその主因として:考慮する必要があるい カキ果 肉汁液における培養では,菌蓋の状態ならびに培黄前の培地pHが希薄しょう油培地に類似していることが予備 実験で観察されたので,つぎの実験を行なった すなわち,9月1□日,10月1占日摘果の富者ガキ果肉からジ.ユ−サ−でとった汁液50mlを,200ml容三角プラス コに分注,オ−・トクレ−プ (2気圧)で殺菌し,菌体 切片を移植して250Cで12 日間培養後,ろ液のくクチ ン液化作用を測定した(第 る表) カキ果肉汁液を培地にす ると空中菌糸は出現せず, 菌叢の状態も対照の希薄し ょう池培地のものに比較的 類似していたり 菌体の生育 は比較的良好であるが,培 第占表 カキ果肉汁液の培地における液化型ぺクチン質分解酵素分泌 (250C,培蕃12日) 摘 果 月 日 培 地 9月10日 10月1る日 /′、、 /ノ ̄、\ 富有汁液 僑蒋しょう抽 富者汁液 肩汚しょう油 培地のpHく冨霊芝 フェ−リ ング反応 菌体藍/フラスコ PMG一単位/フラスコ a/b x lO O a b 4 ′0 5 nU 5.5.+5700 ノ0 ′O ZJ nU L/孔 +74 57 ′0 ′0 2 0 51、む + 51 00 a 4 占 . 5.㌃ + b O nU l nU 4 nU 4 8 8.9 1い9ー・17 一一 発後の培地には遊離糖が検出されるので,その生育は対数期にあるものと考えられる それにもかかわらず,酵 素活性は希薄しょう油培地の1/50−1/10D紅すぎない′′ 培蕃後のpHは希蒋しょう油培地よりやや高いが,第2, 5表の結果をもあわせ参照すると,果肉汁液の培地における酵素活性の低下が単に培地pHの差だけに基づくも のでないことは明らかである.したがって,富有ガキの果肉汁液中には本菌の液化塾ペクチン野分解酵素の分泌 を阻害する物質が含まれていることが想像される 第3節 本菌が分泌するペクチン賀分解酵素の種叛 近.年にいたって.,有機溶媒による分別沈殿,イオン交換樹脂カラムあるいは電気泳動なとによる酵素の分画が 試みられた結果,べクチッ野分解酵素は種々の性質せ有する酵素群として認識されるように.なった.ところが植 物病原菌の同酵素に関する既往の研究をみ.ると,培養ろ液そのままを酵素液として使用しているものが多く,か つ糖化,液化酵素を区別して実験しているものほ少ない.培賓液をそのまま用いた場合,糖化型,液化塾あるい はesteraseの区別ほできても,類似の酵素作用を示すもの例えばendo−PMGとendo−PGが共存するような場合に は,単・一・なものか混合物かの判定が困難である.したがって,ある種の菌が分泌するペクチン質分解酵素の種類 を明らか紅するためには,何らかの方法によって酵素作用を分画し,個々の性質を調べるべきであると考え.る 聾者は種々の方法で本菌のペクチン貿■分解酵素の分別を試みたが,ZOne electropho工eSisによる方法が最良で あったので,その賠異について述べる 第1項 実験材料および方法 200ml容三角フラスコに50mlずつ分注した希博しょう池液体培地にF・2号菌の菌叢先端を移植し,250C,12 日間培養のろ液を供試した 本菌のぺグチン野分解酵素は08−1い0飽和の硫安溶液ではとんど,0.占−1.0飽和で完 全紅塩析されるので,第11図の方法でろ披から粗酵素液を鋼製した本彼のペグチッ,ぺクチッ酸に対する液化 作用ならびに.ぺクチッ酸に.対する糖化作用は極めて:強力であるが,PeCtinesteraseの活性ほ全く認められない 粗酵素汲ほ一100Cで貯蔵し,供試のつど適宜蒸留 水で希釈した. ZOne electrophoresisは梶(79)にしたがい東洋ろ 紙製の電気泳動器C号で行ない,担体にはジャガ イモでん粉を用いたすなわら,市販の局方でん 粉を蒸留水で数回,財/50りん酸緩衝液(pH7.4) でさらに.5回洗軌1夜同緩衝液に浸漬放置後, 上達液を除去し,少愚の援衝液を加えてでん粉乳 をつくり,両端をろ紙で封じたプラスチック製 tIay(深さ1..4cm,巾5cm,長さ25cm)に流し 込んだ。約1時間放置すると過剰の緩衝液が両端 のろ紅から流出し,でん粉カラムは適当な硬さと なるから,両端のろ紙をtエ■ayとはぼ同じ巾のNo2 ろ紙(東洋ろ紙)2枚を重ねたものに経きかえ, ろ紙の・【・端を竃解槽のりん酸緩衝液(pH7.4) に浸潰した泳動前紅5D分電流を通じてから,試 料導入部のでん粉を1cm巾に切りとり,1,000−・ 5,000PMG一単位/mlの粕酵素液0。7皿1とよく標津 し,ふたたびもとのところに充填した.250V, 5−・7mA,15時間(Aの方法)および550V,8 −10mA,24時間(Bの方法)で泳動後,試料導 入部から2cm巾に順次でん粉カラムを切断し, 陽極,陰極側からそれぞれブロックをえた(頗点 からNo′1,No・2, …No・10フラグションとす 硫安(−1…D飽和)添加1夜放置(0・−50C) 遠心分離(10,0口0Ipm,5分) 殿 小旗の水紅溶解 硫安(0.る飽和)添加1夜放置(0−50C) 遠心分離(10,000Ⅰpm,5分) 上滋部← 沈 1澱← 1 上達部 硫安(1い0飽和)添加1夜放置(ロー5◇C) 遠心分離(1□,口00rp皿,5分) 上澄部← 1 沈 殿 / 少鼠の水に溶解
」セロハン勝運析(水に対し20時間,0−5。C)
透析液殿←
J遠心分離(…80御,15分)
↓堅
∴㌢
(粗酵素液) 第11図 粗酵素標品の調製法ー18 − る)つぎに各ブロックに蒸留水占mlを加えてはげしく撹拝し,静置後上泣をとり酵素液としたなお,以上の 操作ほすべて0−50Cで行なった 酵素活性測定の反応液ほ前節,筋1現により調製したが,特記のはか,そのpHはペクチン質の場合5‖0,Na− CMCでは4…5に規正したまた,Na−CMCは0.5%水溶液を使用したなお,第12M・19図ならびに第7表はそれぞ れ2−5回反覆した実験のうちの代表例である 第2項 ZOne electrophoI・eSis による酵素の分別 前項(A)の方法により泳動した場合 (第12図),ペクチン,ペクチン酸のいずれ を基質としても液化作用は陰極側のNo. 5とNo.8の両プラクションに.極大があ り,Na・CMCでは陰極側のNo∴5にのみ 極大がみられる(B)の方法によると (第15図),ペクチン,Na−CMCに対する 液化作用の極大はそれぞれ陰極側のNo 5,No、8フラクションに認められ,両 作用の極大は完全に分離する.これらの 10 9 8 7 6 5
ノ∴
㊦ フ ラ ク ショ ン N(〉 1 3 2 1 結果から,粗酵素液匿は少なくとも2秤 のぺクチン貿分解酵素と1種のCellulase Cxが存在することほ明らかである つぎに,(A)法で泳動して,上述の5 種の基質に対する糖化作用を調べたが (第14図一),本実験では各プラグジョンに おける還元力増加の差がいちじるしく, 各プラグジョンの反応液を同一・倍数に索 釈したものでは還元力の定鼠ができなか ったので,希釈皮を異にして滴定後, ∧ソ2DONa2S208溶液消費鼠(ml)か 原反応液4ml中のグルコ−ス(mg)を 算出して図示したこの場合も液化作用\ のときと同じく,ぺグチン,ぺクチッ酸
第12図 液化型酵素のZOne electIOPhoresis(1) 泳動条件:250V,5−7mA,15時間 *反応1時間 分 解 率 A% 25 を基質紅したものでは,陰極側のNo巾5, No.8両フラクションに極大が現われ る。しかし,液化作用のときと異なり, No∴5に.おけるペクチン酸糖化作用が他 の5つの極大値にくらべていちじるしく 10 9 8 7 6 5 1 3 2 ノ ∈) フ ラ ク ショ ン No 第115阪l液化型酵素のZOne electrophoIeSis(2J 泳動条件:550V,8−10mA,24時間 *反応1時間 高い。なお,Na仙CMCに対する糖化作 用ほどのフラグレヨンにも認められない 第12,14図の結果から,Noい5フラクションには液化,糖化型の2種のペクチン肇分解酵素が混在するものと 推定されたので,泳動時間をさらに長くした.すなわち,550V,占一−8mA,27時間で両酵素の分別を試みたと ころ(第15区l),ぺクチン液化,ペグチッ酸糖化の両作用とも極大が陰極側のNol7プラクジョンⅥ・現われたが, Noい占,No、5附近ではNo、8附近にくらべ糖化作用に対する液化作用の比が大きい、.したがって,糖化型酵素 の泳動距離は液化型よりもわずか長いのではないかと思われる. 斉藤(135)はA.ざ♪g㌢・離〃机ゞ面■gβrの糖化型と液化型のぺクチッ質分解酵素を分別するのに,パルプカラムを用い19 好結果をえているので,つぎ に.,でん粉のかわりにセルロー ス粉末を担体として泳動を試み たすなわち,200・−500メッシ ュ.のセルロース(凍洋ろ紙)を 叫/10fICト志タノールと24時間 煮沸後,水洗してHClを除き, でん粉の場合と同じくりん酸綬 術液でpH7.4に緩衝化した.泳 動条件は25DV,7mA,15時間 とし,泳動後の溶出は2cm巾 のブロックに.対し蒸留水占ml で行なったただし,原点( Noり0フラクレヨン)は試料充 填部にあたる関係上1cm巾に しかとれないため,5mlで溶 出したその実験結果をみると (第1る図),作用力の極大はと もに原点に現われ,この場合も 両者間に差異がないしかし, 液化作用は糖化作用紅くら ぺ陽極側で高く,液化型酵 素のわずかながら陽極側に 泳動しやすいことがうかが われる 第5項 分別した酵素 の性質 以上の結果から,粗酵素 液は少なくとも2種の液化 型および1種の糖化型ぺク チ・ン質分解酵素を含むこと がほぼ明らかになった‖ そ こで,これら酵素作用の差 異を明らかにするため,前 項の(A)法で粗酵素液を泳 動し,No.5,No、.8フラ グジョン中の酵素の基質特 異性と作用力説適pHを調 べたなお,後述のように (第18図参照),両フラグ ジョンの液化作用力はそれ 1\ −1 ㌣′′ 逮 元力 地目 ■Ⅶ ︵ mg ︶ ㌧トー トh=︰ =りト㌧ 1−、 11 4 3 2 1 10 9 8 / 6 5 フ ラ ク ヨ ン Nq J」−− ∈) 第14図 糖化型酵素のZOne electrophoresis 泳動条件:25□Ⅴ,5−7mA,15時間 *反応20時間後の反応液4ml申の 還元糖景(グルコースに.換算) 還 元 力 増 加 ︵ ml ︶ 3 2 1 10 9 8 7 6 5 4 ノ+ ⑦ フ ラ ク ショ ン Nq 第15図 液化塾および糖化型ぺクチ・ン野分解酵素のZOne electrophoresis(1) 泳動条件∴550V,ムー8mA,27時間 担体 でん粉 *反応20時間後の反応液1.5mlが消費した〟/200 Na2S20$のml数 **反応1時間 ぞれpH4..5,5.5で最高を 示すから,基質特異性の実験では,両反応液をこのpH値に規正した いま,第17図をみると,Noい5プラクジョンの液化作用ほぺクチン酸よりもぺクチンを基質とした場合に高く, No.8でほ逆にぺクチッ酸のはうが高いしたがl?て,前者はendo・PMG(endo−pOlymethyl$alacturonase),